特開2017-80764(P2017-80764A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-80764(P2017-80764A)
(43)【公開日】2017年5月18日
(54)【発明の名称】チップドレッサー用カッター
(51)【国際特許分類】
   B23K 11/30 20060101AFI20170414BHJP
   B23B 5/00 20060101ALI20170414BHJP
   B23B 27/06 20060101ALI20170414BHJP
【FI】
   B23K11/30 350
   B23B5/00 A
   B23B27/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2015-210670(P2015-210670)
(22)【出願日】2015年10月27日
(71)【出願人】
【識別番号】591134373
【氏名又は名称】株式会社名空製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100073287
【弁理士】
【氏名又は名称】西山 聞一
(72)【発明者】
【氏名】天野 孝信
【テーマコード(参考)】
3C045
3C046
【Fターム(参考)】
3C045CA30
3C046AA07
(57)【要約】
【課題】中央部位で折れてしまう危険性がある。
【解決手段】一側部位をカッターブレード2とすると共に他側部位をガイドブレード3とした金属板材で、カッターブレード2の幅H1をガイドブレード3の幅H2より広くすると共にガイドブレード3の厚さD2をカッターブレード2の厚さD1より厚くすることによって、このチップカッター1の凹部5の形成部位での厚さがガイドブレード3側の部位で全体的に厚くなって、強度が向上する、
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一側部位をカッターブレードとすると共に他側部位をガイドブレードとした金属板材で、前記カッターブレードの幅を前記ガイドブレードの幅より広くすると共に前記ガイドブレードの厚さを前記カッターブレードの厚さより厚くし、加工側端面の中央に、電極チップの先端と整合する凹部を形成し、該凹部における前記ガイドブレード側の部位を前記カッターブレード側の部位より低く形成すると共に、前記カッターブレードに切削刃を形成し、前記凹部における前記カッターブレード側の部位と前記ガイドブレード側の部位との境界部に溝を刻設したことを特徴とするチップドレッサー用カッター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気スポット熔接機などに使用される電極チップを修正、整形、再生するチップドレッサー用のカッターに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、抵抗熔接などの電気スポット熔接に使用される電極チップには、熔接を繰り返すに従ってピックアップ分が付着したり、熱軟化により摩耗したり、打痕変形、損傷が発生し、これらの理由によってナゲット径が大きくなったり、バラツキが生じる理由等により、熔接時の電流密度が変化し、熔接不良が発生していた。
【0003】
よって、適当な熔接回数毎に電極チップの先端周面部等の切削作業を行い、電極チップに付着したピックアップ分を除去したり、ナゲット径を修正して先端表面をドレッシングせねばならず、そのドレッシング作業の一例としては、スポット熔接機に取付けた状態の電極チップに対して、作業者がチップカッターを具備した手持ち型のドレッシング機器を使用して、手で押し当てながら電極チップ先端表面の切削加工を行っていた。
【0004】
そこで本願出願人は、ドレッシング機器に回転自在に設けた略円筒状のカッターケースに対し着脱自在なチップカッターaとして、図7に示す様な、中央部で重合状態の一対板状の第1、2カッターブレードb、cを形成すると共に、第1、2カッターブレードb、cの端面に凹部dを形成し、第2カッターブレードcの端面を第1カッターブレードbの端面より低く形成すると共に、第1カッターブレードbの端面に第1切刃eを形成し、第1カッターブレードbの先端で回転中心を超えて第3ブレード部fを延出形成すると共に、該第3ブレード部fの端面に第1切刃eから延出した第3切刃gを形成し、第2カッターブレードc及び第3ブレード部fの先端に非干渉状態で一対の第1、2カッターブレードb、cを一体化する接合部h、iを設けたものを開発した(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
このチップカッターは、下記(1)、(2)の効果を有している。
(1)カッターケースに取付けて切削加工した時に、カッターケース内の大部分は空間となって切り屑の排出、並びにチップカッターの冷却を効率的に行うことが出来、且つ第1、2カッターブレードは分離していないために、全体的な剛性を向上させることが出来る。
(2)電極チップの先端周面部及び先端中心部を第1切刃eで切削するに際して、低い方の第2カッターブレードcの凹部dは案内部の作用を発生し、高い方の第1切刃eが主に切削作用を行うこととなり、その結果、第1切刃eにおける送りを充分に確保出来たり、第1切刃eの先端周面部等への食い込み、引っ掛かりが良好となり、第1切刃eが単独での相当大きな切込み厚さを有した切込切削を行うことが出来、従って、作業者が大きな力でドレッシング機器で把持押圧しなくても、第1切刃eが先端周面部上を上滑りせず短時間で先端周面部等の切削を行うことが出来、トータルの工具寿命が同一と仮定すれば、ドレッシング回数を向上させて耐用寿命を伸ばすことが出来る。
とが出来る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平7−256467号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記従来技術にあっては、第1、2カッターブレードが分離していないことから、確かに全体的な剛性が高いが、中央部位に荷重が作用するため、当該部位で折れてしまう危険性を否定出来ず、而も切粉が接合部h、iの上に溜まってしまって切削作業に支障を来す可能性があるなど、解決せねばならない課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記従来技術に基づく、中央部位で折れてしまう危険性がある課題に鑑み、一側部位をカッターブレードとすると共に他側部位をガイドブレードとした金属板材で、前記カッターブレードの幅を前記ガイドブレードの幅より広くすると共に前記ガイドブレードの厚さを前記カッターブレードの厚さより厚くすることによって、このチップカッターの凹部形成部位での厚さがガイドブレード側の部位で全体的に厚くする様にして、上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0009】
要するに本発明は、一側部位をカッターブレードとすると共に他側部位をガイドブレードとした金属板材で、前記カッターブレードの幅を前記ガイドブレードの幅より広くすると共に前記ガイドブレードの厚さを前記カッターブレードの厚さより厚くし、加工側端面の中央に、電極チップの先端と整合する凹部を形成し、該凹部における前記ガイドブレード側の部位を前記カッターブレード側の部位より低く形成すると共に、前記カッターブレードに切削刃を形成し、前記凹部における前記カッターブレード側の部位と前記ガイドブレード側の部位との境界部に溝を刻設しているので、特許文献1に記載の発明と同様の、冷却の効率化、切削時間の短縮、耐用寿命の向上などの効果の他に、凹部形成部位での厚さがガイドブレード側の部位で全体的に厚くすることが出来るため、中央部位に荷重が作用しても、当該部位での折損発生を防止することが出来る等その実用的効果甚だ大なるものである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明に係るチップカッターの正面図である。
図2図1のチップカッターの平面である。
図3】カッターケース及びチップカッターの斜視図である。
図4】チップカッターを取り付けたカッターケースの平面図である。
図5図4のX−X断面図である。
図6】他の実施例のチップカッターを取り付けたカッターケースの断面図である。
図7】従来のチップカッターの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。
本発明に係るチップカッターは、電極チップMの先端周面部R及び先端中心部Pを修正するドレッシング用機器に回転自在に支持されたカッターケース10に取外し可能に取り付けられており、このチップカッター1は、基本的に、一側部位であるカッターブレード2より他側部位であるガイドブレード3の方が厚い金属板材で、加工側端面4の中央に、電極チップMの先端と整合する凹部5を形成し、該凹部5における第1カッターブレード2側の部位5aと第2カッターブレード3側の部位5bとの境界部に溝6を刻設し、カッターブレード2の外端側正面に嵌合突起7を設けて、第1カッターブレード2の外端部位を第2カッターブレード3の外端部位と同厚としている。
【0012】
カッターブレード2の幅H1とガイドブレード3の幅H2との関係はH1>H2で、カッターブレード2の厚さD1とガイドブレード3の厚さD2の関係はD1>D2/2且つD1≒D2/2とし、ガイドブレード3の正面におけるカッターブレード2との境界側部位を傾斜面として、ガイドブレード3の厚さをD1からD2へ徐々に厚くし、カッターブレード2の背面とガイドブレード3の背面を面一としている。
【0013】
凹部5にあっては、カッターブレード2側の部位5aに対しガイドブレード3側の部位5bがそのままの形状で所定寸法tだけ下げて形成されており、この所定寸法tは極微小なもので、例えば図5に示す様な電極チップMで直径16mmの場合、所定寸法tは0.1mmとしている。
【0014】
具体的には、電極チップMの先端と整合する半円形状、V字状、皿状、角柱状、截頭円錐状等の左右対称の各種形状のものを、ガイドブレード3側の部位5bだけそのままの形状で所定寸法tだけ下げて形成されており、この所定寸法tは極微小なもので、例えば図5に示す様な電極チップMで直径16mmの場合、所定寸法tは0.1mmとしている。
【0015】
凹部5のカッターブレード2側の部位5aにおける内側縁部に、電極チップMの先端周面部Rに対する切削刃8を形成し、カッターブレード2の幅H1とガイドブレード3の幅H2との関係がH1>H2であることから、切削刃8のガイドブレード3側の部位が回転線CLからガイドブレード3側へ延出状態となり、この切削刃8における回転線CLに対し一側方部位の大部分を占める切削部8aに、被削材である電極チップMを押し当てて切削する様に成し、且つカッターブレード2の切削刃8における回転線CLに対し他側方部位の均し部8bで電極チップMの先端中心部Pを均し可能としている。
【0016】
尚、ドレッシング用機器にあっては、手持式の他、ボール盤などの切削機械を含み、具体的には、カッターケース10の外周に連動部材を設けると共に、内蔵した空気式、電気式等のモーターでカッターケース10を回転駆動させる様に成したり、或いはカッターケース10を固定して、電極チップMを回転且つ上下動可能としている。
【0017】
このカッターケース10の側部に形成された取付凹部11、11a にチップカッター1の両外端部位を嵌入して、カッターケース4に対しチップカッター5を着脱自在と成している。
【0018】
次に、本発明に係るチップドレッサー用カッターの作用について説明する。
電極チップMの先端を、カッターケース10に装着されたチップカッター1の凹部5に差し込み押し当てながら、カッターケース10を回転させるか、電極チップMを回転させると、接触回転する切削刃6で電極チップMの先端周面部R及び先端中心部Pの切削、修正が行われる。
【0019】
この切削加工状態における電極チップMの先端周面部Rにおいて、工具本体1の押し当てによる送りにより、カッターブレード2の切削刃6で電極チップMの先端周面部Rを切削すると、切削個所と未切削部分ではチップカッター5の送り分の高低差が発生し、切削個所に対して切削刃6より低いガイドブレード3側の部位5bが接触し、かかる部位5bが案内部となって、電極チップMの先端周面部Rの高低個所に対して高低差のある切削刃6及び部位5bで接触する。
【0020】
そして、送りを付与されたチップカッター5の切削刃6は、高い未切削部分の電極チップMの先端周面部Rに当接し、切込み切削を行う。
【0021】
又、電極チップMの先端中心部Pに対する切削加工において、回転中心Oを基点として両方の径方向に延出するカッターブレード2の切削刃6における均し部8bはすくい面がチップカッター5の回転方向後方を向くために、電極チップMの先端中心部Pの切削作用を発揮しないが、先端中心部Pをしごいて平滑にする作用を発揮する。
【符号の説明】
【0022】
2 カッターブレード
3 ガイドブレード
4 加工側端面
5 凹部
5a 凹部のカッターブレード側の部位
5b 凹部のガイドブレード側の部位
6 溝
8 切削刃
H1 カッターブレードの幅
H2 ガイドブレードの幅
D1 カッターブレードの厚さ
D2 ガイドブレードの厚さ
M 電極チップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7