特開2017-80840(P2017-80840A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特開2017-80840加工処理装置及び加工処理部の補正方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-80840(P2017-80840A)
(43)【公開日】2017年5月18日
(54)【発明の名称】加工処理装置及び加工処理部の補正方法
(51)【国際特許分類】
   B26D 5/02 20060101AFI20170414BHJP
   B26D 7/26 20060101ALI20170414BHJP
   B26D 1/24 20060101ALN20170414BHJP
【FI】
   B26D5/02 A
   B26D7/26
   B26D1/24 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2015-210869(P2015-210869)
(22)【出願日】2015年10月27日
(71)【出願人】
【識別番号】390002129
【氏名又は名称】デュプロ精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100138014
【弁理士】
【氏名又は名称】東山 香織
(72)【発明者】
【氏名】宇野 嘉晃
【テーマコード(参考)】
3C021
3C027
【Fターム(参考)】
3C021JA03
3C021JA09
3C027WW02
(57)【要約】
【課題】加工処理部の幅方向における設置位置の補正を容易に実行可能な加工装置及び加工方法を提供することである。
【解決手段】加工処理装置は、紙を搬送する搬送部4と、前記搬送部4により搬送される用紙Pに、搬送部4の搬送方向Fに沿った加工を施す加工処理部59と、前記搬送方向Fに対し直交する幅方向に前記加工処理部59を移動させる移動部51と、前記加工処理部59の前記搬送方向F下流側に設置され、加工処理の施された用紙Pの幅方向における加工処理位置を検出する加工位置検出部59と、前記加工位置検出部59の検出値に基づき加工処理部59の幅方向における設置位置を補正するよう制御する制御部45とを備えた。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙を搬送する搬送部と、
前記搬送部により搬送される用紙に、搬送部の搬送方向に沿った加工を施す加工処理部と、
前記搬送方向に対し直交する幅方向に前記加工処理部を移動させる移動部と、
前記加工処理部の前記搬送方向下流側に設置され、加工処理の施された用紙の幅方向における加工処理位置を検出する加工位置検出部と、
前記加工位置検出部の検出値に基づき加工処理部の幅方向における設置位置を補正するよう制御する制御部とを備えた加工処理装置。
【請求項2】
制御部は、加工処理部の位置補正のために設定された設定値と、前記加工位置検出部の検出値とのずれが所定範囲を超えたとき移動部により加工処理部を幅方向に移動させるよう制御する請求項1に記載の加工処理装置。
【請求項3】
制御部は、加工処理部の位置補正のために設定された設定値と、前記加工位置検出部の検出値とのずれの大きさに基づき移動部による加工処理部の移動量を制御する請求項1または請求項2に記載の加工処理装置。
【請求項4】
制御部は、加工処理部の位置補正のために設定された設定値と、前記加工位置検出部によって検出された先行する用紙の加工処理位置とのずれの大きさに基づき後続の用紙を加工する前に移動部により加工処理部を幅方向に移動させるよう制御する請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の加工処理装置。
【請求項5】
制御部は、加工処理部の位置補正のために設定された装置本体における加工処理部の設置位置と、加工位置検出部によって検出された装置本体における加工処理位置とのずれの大きさに基づき加工処理部を幅方向に移動させるよう制御する請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の加工処理装置。
【請求項6】
制御部は、加工処理部の位置補正のために設定された用紙の所定位置から加工処理位置までの長さと、加工位置検出部によって検出された用紙の所定位置から加工処理位置までの長さとのずれの大きさに基づき加工処理部を幅方向に移動させるよう制御する請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の加工処理装置。
【請求項7】
用紙に加工処理を施す加工処理部を、搬送部の搬送方向に直交する幅方向に移動させ、
移動後の所定位置において用紙に前記搬送方向に沿った加工を施し、
加工された用紙の幅方向における加工処理位置を加工位置検出部によって検出し、
前記加工位置検出部の検出値に基づいて加工処理部の幅方向における設置位置を補正する加工処理部の補正方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加工処理装置及び加工処理部の補正方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、搬送されてきた用紙を、裁断刃等の加工処理部によって搬送方向に沿って加工処理する加工処理装置が知られている。下記特許文献1には、円形スリッタで用紙を搬送方向に沿って切断する際、CCDによって用紙の搬送位置を検出する技術が開示されている。CCDの検出値に応じて円形スリッタの幅方向の設置位置を移動させる。そして、CCDの取り付け誤差がある場合には、誤差分だけ円形スリッタの移動量を補正している。これより、CCDの取り付け誤差がある場合でも、その影響を受けずに正確な用紙切断を実行可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8-243987号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1では、取り付け誤差の値をどのようにして把握するのかについて明確な記載はない。取り付け誤差を人手によって計測することは可能であるが、これには手間がかかる。また、取り付け誤差の計測は、僅かな数値を読み取る精密な作業であるため、正確な数値を取得できない危険性がある。
【0005】
本発明の目的は、加工処理部の幅方向における設置位置の補正を容易に実行可能な加工装置及び加工方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の加工処理装置は、用紙を搬送する搬送部と、前記搬送部により搬送される用紙に、搬送部の搬送方向に沿った加工を施す加工処理部と、前記搬送方向に対し直交する幅方向に前記加工処理部を移動させる移動部と、前記加工処理部の前記搬送方向下流側に設置され、加工処理の施された用紙の幅方向における加工処理位置を検出する加工位置検出部と、前記加工位置検出部の検出値に基づき加工処理部の幅方向における設置位置を補正するよう制御する制御部とを備えた。
【0007】
また、前記構成において、制御部は、加工処理部の位置補正のために設定された設定値と、前記加工位置検出部の検出値とのずれが所定範囲を超えたとき移動部により加工処理部を幅方向に移動させるよう制御する。
【0008】
そして、前記各構成において、制御部は、加工処理部の位置補正のために設定された設定値と、前記加工位置検出部の検出値とのずれの大きさに基づき移動部による加工処理部の移動量を制御する。
【0009】
更に、前記各構成において、制御部は、加工処理部の位置補正のために設定された設定値と、前記加工位置検出部によって検出された先行する用紙の加工処理位置とのずれの大きさに基づき後続の用紙を加工する前に移動部により加工処理部を幅方向に移動させるよう制御する。
【0010】
更に、前記各構成において、制御部は、加工処理部の位置補正のために設定された装置本体における加工処理部の設置位置と、加工位置検出部によって検出された装置本体における加工処理位置とのずれの大きさに基づき加工処理部を幅方向に移動させるよう制御する。
【0011】
更に、前記各構成において、制御部は、加工処理部の位置補正のために設定された用紙の所定位置から加工処理位置までの長さと、加工位置検出部によって検出された用紙の所定位置から加工処理位置までの長さとのずれの大きさに基づき加工処理部を幅方向に移動させるよう制御する。
【0012】
本発明の加工処理部の補正方法は、用紙に加工処理を施す加工処理部を、搬送部の搬送方向に直交する幅方向に移動させ、移動後の所定位置において用紙に前記搬送方向に沿った加工を施し、加工された用紙の幅方向における加工処理位置を加工位置検出部によって検出し、前記加工位置検出部の検出値に基づいて加工処理部の幅方向における設置位置を補正する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によると、用紙を搬送する搬送部と、前記搬送部により搬送される用紙に、搬送部の搬送方向に沿った加工を施す加工処理部と、前記搬送方向に対し直交する幅方向に前記加工処理部を移動させる移動部と、前記加工処理部の前記搬送方向下流側に設置され、加工処理の施された用紙の幅方向における加工処理位置を検出する加工位置検出部と、前記加工位置検出部の検出値に基づき加工処理部の幅方向における設置位置を補正するよう制御する制御部とを備えたので、加工処理部の幅方向における設置位置の補正を容易に実行できる。
【0014】
また、制御部は、加工処理部の位置補正のために設定された設定値と、前記加工位置検出部の検出値とのずれが所定範囲を超えたとき移動部により加工処理部を幅方向に移動させるよう制御する場合は、設置位置の補正の必要のある加工処理部のみを移動させることができる。
【0015】
そして、制御部は、加工処理部の位置補正のために設定された設定値と、前記加工位置検出部の検出値とのずれの大きさに基づき移動部による加工処理部の移動量を制御する場合は、短時間で効率よく加工処理部の設置位置を補正可能である。
【0016】
更に、制御部は、加工処理部の位置補正のために設定された設定値と、前記加工位置検出部によって検出された先行する用紙の加工処理位置とのずれの大きさに基づき後続の用紙を加工する前に移動部により加工処理部を幅方向に移動させるよう制御する場合は、用紙をより適正な位置で加工処理することができる。
【0017】
更に、制御部は、加工処理部の位置補正のために設定された装置本体における加工処理部の設置位置と、加工位置検出部によって検出された装置本体における加工処理位置とのずれの大きさに基づき加工処理部を幅方向に移動させるよう制御する場合は、加工処理の施された用紙が斜行するなどした場合であっても、加工処理部の設置位置を適正に補正することができる。
【0018】
更に、制御部は、加工処理部の位置補正のために設定された用紙の所定位置から加工処理位置までの長さと、加工位置検出部によって検出された用紙の所定位置から加工処理位置までの長さとのずれの大きさに基づき加工処理部を幅方向に移動させるよう制御する場合は、加工処理部の設置位置のずれの大きさを容易に把握することができる。
【0019】
本発明にかかる加工処理部の補正方法によれば、用紙に加工処理を施す加工処理部を、搬送部の搬送方向に直交する幅方向に移動させ、移動後の所定位置において用紙に前記搬送方向に沿った加工を施し、加工された用紙の幅方向における加工処理位置を加工位置検出部によって検出し、前記加工位置検出部の検出値に基づいて加工処理部の幅方向における設置位置を補正するので、加工処理部の幅方向における設置位置の補正を容易に実行できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の一実施形態に係る加工処理装置の模式縦断面図である。
図2】前記加工処理装置の加工パターンの一例を示す平面図である。
図3】前記加工処理装置の加工パターンの一例を示す平面図である。
図4】前記加工処理装置の制御フローである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(第1の実施形態)
本発明にかかる加工処理装置の第一の実施形態を、図面を用いて説明する。
[加工装置の全体構成]
図1は本発明に係る加工装置の模式縦断面図である。この図1において、加工処理装置100は、装置本体1の用紙Pの搬送方向Fの上流端部に給紙部3を備え、搬送方向Fの下流端部に紙受け部2を備え、該給紙部3と紙受け部2との間に、略水平な搬送経路5が構成されている。給紙部3には給紙ローラ対8が配置され、搬送経路5には、複数の搬送ローラ対9〜17を備えた用紙Pを搬送する搬送部4が設けられている。搬送ローラ対9〜17は、搬送方向Fに間隔をおいて配置される。更に、搬送経路5には、複数の加工機構が設けられている。加工機構として、本実施形態では、裁断機構18及びクリース機構21が設けられている。裁断機構18は、3つのスリッター機構20と、カッター機構22とにより構成される。
【0022】
スリッター機構20、クリース機構21及びカッター機構22は、それぞれ着脱可能なユニット20a,20b,20cとして構成されており、カセット方式により、装置本体1内の所望の位置に着脱できる構造となっている。したがって、加工の種類に応じて、各機構20,21,22の配置順序を変更したり、あるいは面取り機構やミシン目形成機構等の他の加工処理機構と取り替えたり、追加したりすることができる。
【0023】
スリッター機構20の用紙搬送上流側には、読取部26及びリジェクト機構25が配置され、スリッター機構20の用紙搬送下流側には、加工位置検出機構58及び紙片落とし機構27が配置されている。また、装置本体1内の下部には、紙片回収部23が配置されている。
【0024】
搬送部4を構成する各搬送ローラ対9〜17は、図示しない動力伝達機構を介してローラ駆動部41〜44にそれぞれ連結されており、各ローラ駆動部41〜44は制御部45に電気的に接続されている。制御部45には、CPTや、RAM及びROM等の記憶装置が内蔵されており、制御部45のインターフェースには、操作パネル46及び読取部26が電気的に接続されている。操作パネル46は、用紙Pの裁断処理に関する情報を含む各種作業設定情報を設定する設定部と表示部とを兼ねて構成する。また、読取部26は、前記設定部を構成する。
【0025】
搬送経路5には、さらに、用紙Pの前端縁(用紙搬送下流端縁)Paあるいは用紙Pの後端縁(用紙搬送上流端縁)Pbを検出する複数の光透過式の用紙検出部31〜35が配置されており、それぞれ制御部45のインターフェースに電気的に接続されている。用紙搬送F方向において最も上流側の第1用紙検出部31は、読取部26の用紙搬送上流側近傍に配置され、次の第2用紙検出部32は、スリッター機構20の用紙搬送上流側近傍に配置され、次の第3用紙検出部33は,スリッター機構20の途中に配置され、次の第4用紙検出部34は、クリース機構21の用紙搬送上流側近傍に配置され、用紙搬送Fで最も下流側の第5用紙検出部35は、紙受け部2の用紙搬送F上流側近傍に配置されている。
【0026】
第1用紙検出部31は、給紙部3から用紙Pが供給された後、搬送ローラ対9で把持された用紙Pの前端縁Pa又は後端縁Pbを検出し、検出した用紙位置を基準にして、搬送経路5上で搬送されている各用紙Pの位置を一義的に検出する。
【0027】
第2用紙検出部32及び第3用紙検出部33は、用紙Pの詰まりを検出する。第4用紙検出部34は、搬送経路5が長くなって搬送経路5上の用紙Pの搬送方向Fの位置ずれ(搬送誤差)の累積が起こった場合に備えて、第1用紙検出部31で得られた用紙位置情報を修正して、当該用紙位置情報をより正確なものにするために補助的に設置している。第5用紙検出部35は、紙受け部2への加工品Qの搬出を検出したり、詰まり等を検出する。用紙検出部32〜35は、裁断機構18で切り取られ不要となった紙片Jの有無や紙片Jの大きさ、例えば紙片Jの搬送方向Fの長さや幅方向の長さといった所定方向長さが予め設定した所定値より長いかどうかの検出に用いることも可能である。
【0028】
[給紙部3]
給紙部3は、吸引搬送ベルト機構8aを内蔵しており、給紙トレイ3a上に積載された所定枚数の用紙Pを、吸引搬送ベルト機構8a及び給紙ローラ対8により、上から順に、一枚ずつ搬送経路5に供給する。給紙ローラ対8のうち下方の給紙ローラ8b及び吸引搬送ベルト機構8aは、給紙用駆動部47に接続され、該給紙用駆動部47は制御部45に電気的に接続されている。
【0029】
[読取部26]
読取部26は、前記操作パネル46による各種作業設定情報の手動入力とは別に、自動的に作業設定情報を読み取ることができるように設置されている。具体的には、図2に示すような用紙Pの前端隅部に印刷された位置マークM1の画像を読み取って、用紙Pの搬送方向F及び搬送方向Fと直交する幅方向Wの加工位置を検出するとともに、用紙Pの前端部に印刷されたバーコードM2の画像を読み取って用紙Pに施されるべき各種作業設定情報を取得するCCDセンサー等により構成される。作業設定情報としては、たとえば、用紙Pの搬送方向Fの全長Lf及び全幅Lwに加え、裁断機構18としてのスリッター機構20及びカッター機構22による裁断線S、Kの位置情報、クリース機構21による折線Cの位置情報、これらの加工処理によって得られる加工品Qの寸法、数及び配置の情報等が挙げられる。
【0030】
[リジェクト機構25]
図1のリジェクト機構25は、用紙Pに印刷された位置マークM1やバーコードM2が不鮮明であるために読取部26による読取が不能であった場合、その用紙Pに対して、作動し、読取不能の用紙Pを落下させてトレイ25aで回収する。
【0031】
[スリッター機構20]
スリッター機構20は、搬送方向Fの上流側から下流側にかけて3つのユニット20a,20b,20cを並べており、各ユニット20a,20b,20cには、上下の回転刃からなる一対の裁断刃36が、それぞれ幅方向Wに間隔を置いて2組ずつ配置されている。一対の裁断刃36は、搬送部4により搬送される用紙Pに、搬送部4の搬送方向Fに沿った加工を施す加工処理部60を構成する。裁断刃駆動部48の駆動力で下側の各裁断刃36を回転させることにより、搬送部4による搬送方向Fに沿った裁断を行い用紙Pに対して裁断線Sを形成するようになっている。
【0032】
各ユニット20a,20b,20cには、搬送方向Fに対し直交する幅方向Wに、加工処理部60としての一対の裁断刃36を個別に移動させる移動部51を備える。当該移動部51の駆動により、幅方向Wに所定量離間して設置された2組の裁断刃36の幅方向Wの位置は任意に変更可能となっている。
【0033】
最上流のユニット20aには、裁断刃36の下流側にマージン落し部材55が設置されている。最上流のユニット20aでは、主として用紙Pの左右両端縁の不要な紙片Ja(図4参照)が切り取れられる。マージン落し部材55は、この裁断刃36によって切り取られた左右両端縁の紙片Jaを紙片回収部23へ案内し、落下させる。
【0034】
[加工位置検出機構58]
加工位置検出機構58は、加工処理部60としての一対の裁断刃36の搬送方向F下流側に設置される。加工位置検出機構58は、加工処理の施された用紙Pの幅方向における加工処理位置を検出する加工位置検出部59が設けられる。加工位置検出部59は、スリッター機構20の3つのユニット20a,20b,20cに2組ずつ設置された加工処理部60としての上下一対の裁断刃36による搬送方向Fに沿った裁断位置を検出する。
【0035】
加工位置検出部59は、ラインセンサ、エリアセンサ等によって構成される。加工位置検出部59は、加工処理部60の設置位置を補正するために設置された設定値に従って複数の裁断刃36によって用紙Pが裁断された際、裁断後の用紙Pのエッジを検出し、制御部45に送信する。
【0036】
[紙片落とし機構27]
紙片落とし機構27は、前記スリッター機構20の3つのユニット20a,20b,20cのうち、搬送方向F中央のユニット20b及び最下流のユニット20cで、搬送部4による搬送方向Fに沿った用紙Pの裁断を行うことで搬送方向Fに沿って切り取られ不要となった用紙Pのなかほどの紙片Jbを、搬送経路5の下方へ排除する。紙片落とし機構27は、例えば、最下流のユニット20cの裁断刃36の幅方向Wの移動に伴って移動するよう構成することができ、用紙Pが紙片落とし機構27を通過する際に、前記紙片Jbを紙片回収部23へ案内し、落下させる。
【0037】
[クリース機構21]
クリース機構21は、上端凹部を有する下型21Bと、前記凹部に嵌合する下端凸部を有する上型21Aとを備えており、前記上型21Aは、モータ等の折り型駆動部49に動力伝達機構を介して連結されている。すなわち、折り型駆動部49の駆動力で上型21Aを下降させることにより、用紙Pに対して、搬送方向Fと直交する幅方向Wに折り目を形成する。
【0038】
[カッター機構22]
カッター機構22は、幅方向Wに延び、相対向する上側可動刃22A及び下側固定刃22Bからなる一対の裁断刃24を備える。上側可動刃22Aは下側固定刃22Bに対し近接離間し、これにより、用紙Pを搬送方向Fと直交する幅方向Wに沿って設定された所定位置で用紙Pを裁断する。上側可動刃22Aは、動力伝達機構を介してモータ等の裁断駆動部50に連結されている。
【0039】
[紙片回収部23]
紙片回収部23は、紙片収容箱65を備える。紙片収容箱65は、上部開口を有する直方体状に形成される。紙片収容箱65は、裁断機構18において切り取られ不要となった紙片Jを回収し、収容する。
【0040】
[制御部]
制御部45は、加工位置検出部59の検出値に基づき加工処理部60の幅方向Wにおける設置位置を補正するよう制御する。また、制御部45は、加工処理部60の位置補正のために設定された設定値と、加工位置検出部59の検出値とのずれが所定範囲を超えたとき移動部51により加工処理部60を幅方向Wに移動させるよう制御する。そして、制御部45は、加工処理部60の位置補正のために設定された設定値と、加工位置検出部59の検出値とのずれの大きさに基づき移動部51による加工処理部60の移動量を制御する。更に、制御部45は、加工処理部60の位置補正のために設定された用紙Pの所定位置から加工処理位置までの長さと、加工位置検出部59によって検出された用紙Pの所定位置から加工処理位置までの長さとのずれの大きさに基づき加工処理部60を幅方向Wに移動させるよう制御する
【0041】
[用紙の加工品配列パターン]
図2は、用紙P1の加工品Qの配列パターンの一例を示す平面図である。同図に示す加工品Qの配列パターンは、一枚の用紙Pから折り目を有する4枚の加工品Qを製作するようになっている。基本的には、搬送方向Fと平行に延びる4本の裁断線Sと、幅方向Wに延びる2本の折り線C及び4本の裁断線Kが設定されている。2本の折り線C及び裁断線Kは、裁断線Sで切り取られ、用紙P1から搬送方向Fに平行な長尺の紙片Ja,Jbが除去された後、幅方向Wに並んだ2枚の用紙Pに対し、それぞれクリース処理または裁断処理が2回ずつ施されることで形成される。このように裁断線S,Kで用紙P1を裁断し、折り線Cで折り目を形成することにより、折り目を有する4枚の加工品Qを製作する。尚、図2に示す加工品の配列パターンでは、スリッター機構20による搬送方向Fと平行な裁断線Sが4本となっているので、スリッター機構20のうち中央のユニット20bまたは最下流のユニット20cのいずれか一方のみ幅方向Wの所定位置に移動して裁断処理し、他方は、用紙搬送路5の外側へ移動して待機させる。
【0042】
このような用紙Pの裁断パターンについての情報は、予め記憶装置に記憶されるかまたは、位置調整用用紙PIのバーコードM2に記録される。
【0043】
[加工装置の全体作業の概要]
加工処理装置100を用いて用紙Pを加工処理する際の通常の動作を以下に説明する。用紙給紙部3の給紙トレイ3a上に積載された複数の用紙Pを、吸引搬送ベルト機構8a及び給紙ローラ8により、上端から一枚ずつ搬送経路5に供給する。読取部26では、用紙Pの位置マークM1並びに、必要に応じてバーコードM2を読み取って用紙Pに施されるべき各種作業設定情報を取得する。リジェクト機構25では、仮に、読取部26による読取が不能であり、加工条件が不明である場合には、その用紙Pに対して、作動し、読取不能の用紙Pを落下させて廃棄トレイ25aで回収する。
【0044】
スリッター機構20では、裁断刃36により搬送方向Fと平行な複数の裁断線Sで用紙Pを裁断する。最上流のユニット20aで用紙Pから切り取られた左右両端縁の不要な紙片Jaは、マージン落し部材55によって下方の紙片回収部23へと下向きに移動させられ、ガイド69に案内され、紙片収容箱65に収容される。
【0045】
紙片落とし機構27では、スリッター機構20のうち中央のユニット20b及び最下流のユニット20cによって用紙Pから切り取られた不要な紙片Jbが、下方の紙片回収部23へと下向きに移動させられ、紙片収容箱65に収容される。クリース機構21では、幅方向Wの折線Cで、折り目を形成する。
【0046】
カッター機構22では、各裁断線Kで順次用紙Pが裁断され、用紙Pから切り取られ不要となった紙片はガイド70により案内され、紙片回収部23に回収される。裁断及びクリース処理によって得られた加工品は紙受け部2に搬送され、積載される。
【0047】
このような用紙Pの加工処理装置100について製造工場で出荷する際に、複数の裁断刃361〜366の装置本体1における設置位置を、幅方向Wの適正な位置に補正する必要がある。また、加工処理装置100の納品先で、用紙Pを加工処理するに従って裁断刃36の設置位置にずれが生じることがある。このような場合にも裁断刃36の基準となる設置位置を補正し、裁断刃36を適正な位置に位置させることが重要となる。
【0048】
[裁断位置調整のための用紙の裁断パターン]
図3は、加工処理部60の位置補正のために設定される加工パターンの一例を示す平面図である。本実施形態では加工処理部60は、スリッター機構20の裁断刃36により構成され、加工処理装置100の製造工場で出荷する際に、裁断刃36の幅方向Wにおける設置位置を補正する際や、加工処理装置100の納品先において加工処理装置100を使用中に裁断刃36の設置位置を補正する際に用いられる。
【0049】
同図に示す裁断パターンでは、一枚の用紙P2に搬送方向Fに沿った6本の裁断線S1〜S6が設定されている。用紙P2は、裁断線S1〜S6によって7枚の帯状の補正用紙片TM,T1〜T6に裁断され、加工処理される。
【0050】
図3において、用紙P2の左端縁ELは、装置本体1に設置された用紙搬送ガイド47に接触しつつ該用紙Pが搬送される。
【0051】
図3において用紙P2の左端に示す帯状の補正用紙片TMは、通常はマージン落し部材55において搬送経路5から排除され、下方の紙片回収部23へ案内される紙片Jaに相当する。しかし、加工処理部60の設置位置を補正するため図3に示す裁断パターンに従って加工処理する際には、マージン落し部材55を搬送路5から退避されることで、補正用紙片TMを落下させることなく下流側へ搬送するので、該マージン部分の補正用紙片TMについても加工位置検出部60において検出される。尚、マージン落とし部材55を搬送経路5から退避させるのに替えて、マージン落とし部材55によって搬送経路5の下方へ落下させた上で、第1補正用紙片T1の図3において左端縁を第1裁断刃361の加工位置として検出してもよい。
【0052】
図3において左端に示すマージン部分の補正用紙片TMと、このマージン部分の補正用紙片TMの右側に隣接する第1補正用紙片T1との間は、第1裁断線S1によって裁断される。第1裁断線S1は、最も上流側に設置されるスリッター機構20aの図3において左側に示す裁断刃361によって形成される。マージン部分の補正用紙片TMの幅方向の長さはWMに設定される。
【0053】
第1補正用紙片T1と、その右側の第2補正用紙片T2とは、第2裁断線S2によって裁断される。第2裁断線S2は、搬送方向Fで中央に位置するスリッター機構20bの左側に示す裁断刃363によって形成される。第1補正用紙片T1の幅方向の長さはW1に設定される。
【0054】
第2補正用紙片T2とその右側の第3補正用紙片T3とは、第3裁断線S3によって裁断される。第3裁断線S3は、搬送方向Fで最も下流側に位置するスリッター機構20cの左側に示す裁断刃365によって形成される。第2補正用紙片T2の幅方向の長さはW2に設定される。
【0055】
第3補正用紙片T3と第4補正用紙片T4とは、第4裁断線S4によって裁断される。第4裁断線S4は、搬送方向Fで中央のスリッター機構20bの右側に示す裁断刃364によって形成される。第3補正用紙片T3の幅方向の長さはW3に設定される。
【0056】
第4補正用紙片T4と第5補正用紙片T5とは、第5裁断線S5によって裁断される。第5裁断線S5は、搬送方向Fで最も下流側に位置するスリッター機構20cの右側の裁断刃366によって形成される。第4補正用紙片T4の幅方向の長さはW4に設定される。
【0057】
第5補正用紙片T5と用紙P2右端のマージン部分の第6補正用紙片T6とは、第6裁断線S6によって裁断される。第6裁断線S6は、搬送方向Fで最も上流側に位置するスリッター機構20aの右側の裁断刃362によって形成される。第5補正用紙片T5の幅方向の長さはW5に設定される。
【0058】
左端に示す帯状の補正用紙片TMは、マージン落し部材55を搬送経路5から退避されることで、補正用紙片TMを落下させることなく下流側へ搬送したが、右端に示す第6補正用紙片T6は、左端のマージン部分の補正用紙片TMと同様に、搬送経路5から落下させることなく下流側へ搬送し、加工位置検出部59で検出してもよく、あるいはマージン落し部材55によって搬送経路5から排除することとしてもよい。
【0059】
第1〜第5補正用紙片T1〜T5の幅方向の長さW1〜W5は、図4では同じ長さに設定される場合を示しており、左端に示すマージン部分の補正用紙片TMの幅方向の長さWMより長く設定されている。右端のマージン部分の第6補正用紙片T6の幅方向の長さW6は左端のマージン部分の補正用紙片TMの長さと同程度に設定される。
【0060】
図4に示す裁断パターンによって加工処理部60の設置位置を補正することで、スリッター機構20に設置された全ての裁断刃361〜366の幅方向Wにおける設置位置を補正することができる。尚、裁断パターンを、複数の裁断刃361〜366のうち一部の裁断刃36を用いて裁断を行うこととし、他の裁断刃36については、搬送路5の外側へ移動して待機させることとしてもよい。この場合、裁断位置の検出を行った一部の裁断刃36のみ設置位置の補正をすることができ、搬送経路5の外側で待機させた裁断位置の検出を行っていない他の裁断刃36については別途裁断位置の検出及びこれを基にした裁断刃36の設置位置の補正を実行する。
【0061】
図4に加工処理部60である裁断刃36の幅方向Wにおける設置位置を補正する際のフローを示す。ステップS1において、裁断位置調整用に用意した用紙Pを給紙トレイ3a上に載置し、吸引搬送ベルト機構8a及び給紙ローラ対8で下流側へ供給する。ステップS2において、スリッター機構20で、加工処理部60としての裁断刃36の位置補正のために設定された情報に基づき、搬送方向Fに沿って用紙Pが加工処理され、裁断される。ステップS3において、裁断により得られた補正用紙片TM、T1〜T6が、下流側へ搬送され、加工位置検出機構58に至り、該加工位置検出部59によって用紙Pの幅方向Wにおける加工処理位置である補正用紙片TM、T1〜T6のエッジを検出し、制御部45に送信する。
【0062】
加工位置検出部60によって検出する加工位置の箇所は、用紙P全体としてもよく、一部であってもよい。用紙P全体を検出して得られた加工位置の検出値がばらつくときには、全体の平均値を用いてもよく、中央値を用いてもよく、全体のデータの最大値及び最小値を省いた残りの平均値または中央値を用いてもよい。また、用紙Pの一部を検出するときは、用紙Pの所定位置、例えば用紙Pの先端部分を検出してもよく、用紙Pの所定位置から搬送方向Fで所定長さの箇所を検出してもよい。
【0063】
ステップS4で、制御部45は、受信した加工位置検出部60の検出値と、加工処理部60の位置補正のために設定された設定値とのずれを算出する。
【0064】
ステップS5で、S4において算出したずれの値が許容される所定範囲内であるかどうかを判断する。ずれの値が所定範囲内である場合、制御部45は、裁断刃36の設定位置の補正は必要ないと判断し終了する。
【0065】
ステップS5でずれの値が許容される所定範囲を超えていた場合、ステップS6に進み、制御部45が移動部51により加工処理部60を幅方向Wに移動させる。移動部51による加工処理部60の移動量の大きさは、加工処理部60の位置補正のために設定された設定値と、加工位置検出部59の検出値とのずれの大きさに基づいて決定される。このため制御部45は、ステップS4で算出したずれの値を基に移動部51の駆動時間を決定する。ずれの値が大きいとき、ずれの値が小さいときより長い時間移動部51を駆動し、裁断刃36を幅方向Wにより大きく移動させる。
【0066】
そして、ステップS7に進み、移動部51による移動後の裁断刃36の位置を、新たな基準となる設置位置として設定する。
【0067】
ステップ6の加工処理部60としての各裁断刃361~366の幅方向Wにおける設置位置の補正を行う際は、準備段階として、用紙搬送ガイド47、加工位置検出部60及び、加工処理部60が幅方向Wでホームポジションに位置することを検出するホームポジションセンサー(図示省略)が、装置本体1に対して適正な位置に位置するよう補正を行う。
【0068】
そして、各裁断刃361~366の幅方向Wにおける設置位置の補正は、加工処理部60の位置補正のために設定された用紙Pの所定位置から加工処理位置までの長さと、加工位置検出部59によって検出された用紙Pの所定位置から加工処理位置までの長さとを比較し、これらのずれの大きさを算出することで実行する。所定位置として、用紙Pの端縁や、用紙Pの端縁から所定長さ内方の位置等を用いるができる。所定位置から加工処理位置までの長さとして、端縁から第1〜第6裁断線S1〜S6までの長さを用いることができ、図3に示す裁断パターンのマージン部分の補正用紙片TMの幅方向の長さWMや第1〜第6補正用紙片T1〜T6の幅方向の長さW1〜W5を用いることもできる。
【0069】
表1は、図3に示す裁断パターンに従って用紙Pを加工処理し、加工処理部60の設置位置を補正する際における加工処理部60の位置補正のためのマージン部分の補正用紙片TM及び第1〜6補正用紙片T1〜T6の幅方向の長さWM,W1〜W5の設定値の一例を示す。また、実際に用紙Pを裁断することで得られたマージン部分の補正用紙片TM及び第1〜6補正用紙片T1〜T6を加工位置検出部59で検出して得られた幅方向の長さWM,W1〜W5の一例についても示している。
【0070】
【表1】
【0071】
表1において、設定値とは加工処理部60としての裁断刃36の位置補正のために予め設定され記憶装置に記憶された補正用紙片TM,T1〜T6の幅方向の長さWM,W1〜W5である。検出値とは、加工位置検出部59の検出値を基に算出したマージン部分の補正用紙片TM及び第1〜5補正用紙片T1〜T5の幅方向の長さWM,W1〜W5である。各補正用紙片TM,T1〜T6の設定値から検出値を引き算することで設定値からの検出値のずれの長さが算出される。ずれの値は、図3における右側にずれている場合を正の値、左側にずれている場合を負の値として示される。
【0072】
ずれの大きさがあらかじめ設定された所定範囲以内であるとき、「OK」と表示している。所定範囲について、例えば、表1ではずれの大きさが0.20mm以内である場合に「OK」と表示している。一方、ずれの大きさが所定範囲である0.2mmを超えた場合には、「NG」と表示している。
【0073】
以下の表2には、表1に示した設定値及び検出値について、上から順に積算して得られる値を示す。表2では、用紙P2の所定位置である左端縁ELから、第1〜第6裁断線S1〜S6までの幅方向Wにおける距離が示されることになる。また、表2の設定値の積算値から検出値の積算値を引き算することで第1〜第6裁断線S1〜S6の設定値からのずれの大きさを算出し、示している。
【0074】
【表2】
【0075】
表2における基準位置とは、用紙搬送ガイド47の用紙Pが接触する面を当該基準位置としてている。これより表2における設定値は、用紙Pの図3における左端縁ELから第1〜第6裁断線S1〜S6までの長さの設定値に等しくなる。表2における検出値は、搬送経路5上を搬送される用紙Pの左端縁ELから第1〜第6裁断線S1〜S6までの幅方向の長さWM,W1〜W5を加工位置検出部60によって検出することで得られる値に等しくなる。
【0076】
表2に示す例では、第1裁断刃361により形成される第1裁断線S1の設定値は、25.00mmである。これに対し、第1裁断刃S1の検出値は24.96mmである。よって、設定値から検出値を差し引いて得られるずれの大きさは‐0.04mmである。このずれの大きさは、許容範囲の閾値を±0.20mmとした場合、この許容される所定範囲内に含まれる。この場合、制御部45は、第1裁断刃361の設置位置の補正は必要ないと判断し表2において「OK」と表示している。制御部45は、移動部51による第1裁断刃361の幅方向Wの移動を行わない。表2においては第1裁断刃361の移動量を0mmと示している。
【0077】
第2裁断刃362については、基準位置からの距離の設定値が75.00mmであるところ、加工位置検出部60の検出値が75.06mmであるので、ずれの値は0.06mmとなり許容される所定範囲内である。判定は「OK」となり、第2裁断刃362についても設置位置の補正は行わず、移動量は0mmである。
【0078】
第3裁断刃363は、基準位置からの距離の設定値が125.00mmであるのに対し、加工位置検出部60の検出値が125.53mmである。よって、ずれの大きさは0.53mmとなる。この値は、閾値である±0.20mmより大きい値である。すると、制御部45は、第3裁断刃363の設置位置を補正する必要があると判断し、判定欄に「NG」と表示する。
【0079】
制御部45は、ずれの大きさに基づき移動部51による加工処理部60の移動量を制御する。表2では、第3裁断刃363のずれの大きさが0.53mmとなったので、制御部45は例えば第3裁断刃363を図3において左方に0.5mm移動させるよう移動部51を制御する。移動後の第3裁断刃363の設置位置は、設定値とのずれが0.03mmとなるはずであるので、第3裁断刃363は許容範囲内の位置に補正されたことになる。
【0080】
第4裁断刃364は、基準位置からの距離の設定値が175.00mmであるのに対し、加工位置検出部60の検出値が175.08mmである。よって、ずれの大きさは0.08mmとなる。この値は、閾値である±0.20mmより小さい値である。すると、制御部45は、第4裁断刃364の設置位置を補正する必要はないと判断し、判定欄に「OK」と表示する。
【0081】
ここで、表1では、第4裁断刃364によって図3において右端縁が裁断される第3補正用紙片T3の幅方向の長さW3は、ずれの値が-0.45mmであるので、許容される所定範囲を±0.20mmとすると、許容範囲を超えている。このため表1では、第3補正用紙片T3の幅方向の長さW3の判定は「NG」と示されている。しかし、第3補正用紙片T4の幅方向の長さW3は、第3裁断刃363の移動部51による移動に伴い大きくなる。上記のように、移動部51によって第3裁断刃363を0.5mmだけ図3において左方に移動させたときには、第3補正用紙片T3の幅方向の長さW4は、49.55mm+0.5mm=50.05mmとなる。これより、第3補正用紙片T3の幅方向の長さWの長さ3は許容される所定範囲内となる。
【0082】
第5裁断刃365は、基準位置からの距離の設定値が225.00mmであるのに対し、加工位置検出部60の検出値が225.18mmである。よって、ずれの大きさは0.18mmとなる。この値は、閾値である±0.20mmより小さい値であるので、制御部45は、第5裁断刃365の設置位置を補正する必要があると判断し、判定欄に「OK」と表示する。
【0083】
第6裁断刃366は、基準位置からの距離の設定値が275.00mmであるのに対し、加工位置検出部60の検出値が274.61mmである。よって、ずれの大きさは-0.39mmとなる。この値は、閾値である±0.20mmより大きい値である。すると、制御部45は、第6裁断刃363の設置位置を補正する必要があると判断し、判定欄に「NG」と表示する。
【0084】
制御部45は、ずれの大きさに基づき移動部51による加工処理部60の移動量を制御し、第6裁断刃366のずれの大きさは0.39mmとなったので、例えば第6裁断刃363を図3において右方に0.4mm移動させるよう移動部51を制御する。移動後の第6裁断刃363の設置位置は、設定値とのずれが(274.61mm+0.4mm)-275.01mm=0.01mmとなるはずである。すると、ずれの大きさが許容される所定範囲内となり、第6裁断刃363は適正な設置位置に補正されたことになる。
【0085】
以上より、本実施形態に係る加工処理装置100は、加工処理としての裁断の施された用紙Pの幅方向Wにおける加工処理位置を検出する加工位置検出部59と、加工位置検出部59の検出値に基づき加工処理部60としての裁断刃36の幅方向Wにおける設置位置を補正するよう制御する制御部45とを備えたので、裁断刃36の幅方向における設置位置の補正を容易に行うことができる。
【0086】
また、制御部45は、加工処理部60としての裁断刃36の位置補正のために設定された設定値と、加工位置検出部60の検出値とのずれが所定範囲を超えたとき移動部51により加工処理部60としての裁断刃36を幅方向Wに移動させるよう制御するので、加工処理部60の設置位置が補正する必要があるのかどうかを容易に判断することができる。そして、設置位置の補正の必要のある加工処理部60のみを移動させることができる。
【0087】
そして、制御部45は、加工処理部60としての裁断刃36の位置補正のために設定された設定値と、加工位置検出部59の検出値とのずれの大きさに基づき移動部51による加工処理部60としての裁断刃36の移動量を制御するので、加工処理部60としての裁断刃36の設置位置のずれが大きさに応じて加工処理部60を移動させることができる。これより、短時間で効率よく加工処理部60の設置位置を補正可能である。
【0088】
更に、制御部45は、加工処理部60としての裁断刃36の位置補正のために設定された用紙Pの所定位置から加工処理位置までの長さと、加工位置検出部59によって検出された用紙Pの所定位置から加工処理位置までの長さとのずれの大きさに基づき加工処理部60としての裁断刃36を幅方向Wに移動させるよう制御するので、加工処理部60としての裁断刃36の設置位置のずれの大きさを容易に把握することができる。
【0089】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態について以下に説明する。上記第1の実施形態では、加工処理部60の幅方向Wにおける設置位置の補正を、加工処理部60の位置補正のために設定された用紙Pの所定位置から加工処理位置までの長さと、加工位置検出部60によって検出された用紙Pの所定位置から加工処理位置までの長さとのずれの大きさに基づいて行った。これに対し、本第2の実施形態では、制御部45は、加工処理部60の位置補正のために設定された加工処理部60の装置本体1における設置位置と、加工位置検出部60によって検出された装置本体1における加工処理位置とのずれの大きさに基づき加工処理部60を幅方向Wに移動させる。
【0090】
このため、制御部45は、加工処理部60の位置補正のために設定された加工処理部60の装置本体1における設置位置と、加工位置検出部60によって検出された装置本体1における加工処理位置とのずれの大きさに基づき加工処理部60を幅方向Wに移動させるよう制御する。記憶装置には、加工処理部60の位置補正のために、装置本体1における加工処理部60としての裁断刃36の設置位置を設定されている。
【0091】
第2の実施形態の作用を以下に説明する。加工処理部60の設置位置の補正を行う際は、上記第1の実施形態と同様に、給紙トレイ3a上に載置された位置補正用の用紙Pを加工処理部60へ供給し、供給された用紙Pを実際に加工処理部60によって加工処理する。そして、加工位置検出部60によって用紙Pの幅方向Wにおける加工位置を検出する。このとき加工位置検出部は、上記第1の実施形態のように、用紙Pの所定位置から加工処理位置までの長さとして検出値を取得するのに替えて、本第2の実施形態では、装置本体1において幅方向Wのどの位置で加工処理が施されているのかを検出する。
【0092】
制御部45は、加工位置検出部60から送られた装置本体1における加工位置の検出値を、予め設定された装置本体1における加工処理部60の設置位置とのずれを算出する。ずれの値が予め設定した所定範囲内であれば加工処理部60の設置位置の補正は必要ないと判断して終了する。一方、ずれが所定範囲を超えているときには、ずれの大きさに応じた移動量だけ移動部51によって加工処理部60を幅方向Wに移動し、移動後の設置位置を新たな基準位置として設定する。
【0093】
これより、第2の実施形態では、装置本体1における加工処理部60の設置位置を、予め設定した設定値と、実際に用紙Pに加工処理を施して得られた補正用紙片Tにおける加工位置の検出値とを比較することで補正する。よって、用紙Pの所定位置から加工処理位置までの長さを基に補正する場合に比較して、制御方法が容易となる。また、用紙Pが斜行するなどした場合であっても、加工処理部60の設置位置を適正に補正することができる。
【0094】
(第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態について以下に説明する。上記第1の実施形態では、加工処理部60としての裁断刃36の設置位置の補正を、製造工場で出荷する際、または加工処理装置100の納品先で、用紙Pを加工処理するに従って裁断刃36の設置位置にずれが生じるようなとき実施するとした。納品先での加工処理部60の設置位置の調整は、例えば用紙の加工位置のずれが著しくなったときや加工処理装置100のメンテナンス時等に実施することができる。これに加え、本第3の実施形態では、加工処理装置100によって複数枚の用紙Pを連続処理する際に、前後して搬送される複数の用紙Pの加工処理部60による加工処理の間に加工処理部60の設置位置を補正する。
【0095】
このため、制御部45は、加工処理部60の位置補正のために設定された設定値と、加工位置検出部60によって検出された先行する用紙Pの加工処理位置とのずれの大きさに基づき後続の用紙を加工する前に移動部51により加工処理部60を幅方向Wに移動させるよう制御する。
【0096】
加工処理部60の設置位置の補正は、1枚の用紙Pが加工処理され、加工位置検出部60を通過するたびに毎回行ってもよく、所定枚数毎や所定時間経過する毎に実行してもよい。また、加工処理部60の設置位置の補正を、複数の用紙Pを加工処理する際に1枚目から所定枚数までを必ず実行し、その後は補正しない、または所定枚数毎等間欠的に実行してもよい。更に、用紙Pのジャムや搬送不良、加工不良等何らかの不具合があったときに実行することとしてもよい。
【0097】
これより、複数枚の用紙Pが連続して加工処理される際に、先行する用紙Pの加工処理位置の設定値からのずれに応じて後続する用紙Pの加工処理位置を補正できる。用紙Pを適正な位置で加工処理することができる。
【0098】
制御部45は、加工処理部の位置補正のために設定された加工処理部60の装置本体における設置位置と、加工位置検出部によって検出された装置本体における加工処理位置とのずれの大きさに基づき加工処理部を幅方向に移動させるよう制御する。
【0099】
尚、上記実施形態では、加工処理部60は、一対の裁断刃36により構成されたが、これに限定されず、ミシン刃やクリース刃、用紙の厚さ方向の一部のみ切断するハーフカット刃等を用いてもよい。また、裁断ユニット20a、20b、20cが搬送方向Fに沿って3つ設置されたが、裁断ユニットは1個、2個、または4個以上でもよい。各ユニットに2組ずつ設置されることで、合計で6個の裁断刃36が設置されたが、裁断刃の個数は1〜5個であってもよく、7個以上でもよい。
【0100】
制御部45は、加工処理部60の位置補正のために設定された設定値と、前記加工位置検出部の検出値とのずれが所定範囲を超えたとき移動部51により加工処理部60を幅方向に移動させるよう制御したが、ずれが所定範囲を超えたかどうかを判断することなく、移動部によって加工処理部を移動させてもよい。また、制御部45は、加工処理部60の位置補正のために設定された設定値と、前記加工位置検出部60の検出値とのずれの大きさに基づき移動部51による加工処理部60の移動量を制御したが、ずれの大きさに関わらず、同じ長さだけ移動してもよい。例えば、ずれの大きさが比較的大きいときでも、毎回同じだけ加工処理部を移動し、これを繰り返すことによって、加工処理部を必要な範囲を超えて過剰に移動させることを抑制できる。
【0101】
また、各種作業設定情報は、操作パネル46より使用者が手動設定するかまたは読取部26によりバーコードM2を読み取ることで自動的に入力したが、パソコンなど外部の情報処理装置と通信を行って設定してもよい。また、予め操作パネルからの手動入力によって、用紙の配列パターンを複数記憶装置に記憶しておき、各パターンを番号などによって呼出して、設定することとしてもよい。
【0102】
また、加工処理装置100は、スリッター機構20、カッター機構22及びクリース機構21を備えたが、スリッター機構及びカッター機構の少なくともいずれかの裁断機構を備えた加工装置としてもよく、裁断機構と他の加工機構(ミシン目形成機構、丸み形成機構等も含む)とを適宜組み合わせた加工装置、更には加工機構、搬送ローラ対の数が前記実施の形態と異なる加工装置にも、本発明を適用できることはいうまでもない。また、用紙の配列パターンは、図4に例示したものに限定されず、裁断線S,Kや折線Cの数について、他の種々のパターンが設定可能である。
【0103】
また、加工位置検出機構58は、加工処理装置100の装置本体1内部に固定された場合を示したが、装置本体に対し、着脱自在に構成してもよい。加工位置検出機構を装置本体に対して着脱自在とするときは、加工位置検出部の検出値に基づき加工処理部の幅方向における設置位置を補正するよう制御する制御部を、加工処理装置の装置本体内に設置された制御部よって構成してもよく、加工位置検出機構とともに、装置本体に対し着脱自在としてよく、電気通信回線等によって電気的に接続することで外部のパーソナルコンピューター等の他の装置に設けてもよい。
【0104】
加工位置検出機構を装置本体に対し着脱自在とする場合には、加工処理装置の出荷時やメンテナンス、保守管理などの特に加工処理部の設置位置の補正が必要となるときにだけ、加工位置検出機構を装置本体に取り付けて使用することができる。1個の加工位置検出機構を複数の加工処理装置で兼用可能とし、順次使用できるようにすれば、1個の加工処理装置に1個の加工位置検出機構を内蔵させる場合に比較して製造コストを抑制できる。
【0105】
そして、例えば加工処理装置を出荷する際に、加工処理装置のカバー内にまたはカバーを外した状態で、加工位置検出機構を取り付け、加工処理装置の制御部と電気的な接続を行って、加工処理部の幅方向における設置位置を補正することができる。更に、加工処理装置を用いて用紙に加工処理を施す際、加工処理装置の使用者が、加工処理装置の設置場所から離れたところにある機器から加工処理部の設置位置の補正を実行させるようにしてもよい。同様に、加工処理装置のメンテナンス作業を担当するサービスマン等が、加工処理部の幅方向における位置補正が必要となる所定期間毎に、イントラネットやインターネットなどの電気通信回線を介して、加工処理部の設置位置の補正を実行するようにしてもよい。
【0106】
また、加工処理装置に対し着脱自在な加工位置検出機構を、用紙に所定の画像を印刷する印刷機に取り付けられるようにしてもよい。印刷機に取り付けた加工位置検出機構の加工位置検出部は、印刷機の印刷部が搬送方向に対し直交する幅方向に移動可能である場合に、印刷部によって印刷の施された用紙の幅方向における印刷位置を検出し、この加工位置検出部が検出した印刷位置に基づき印刷部の幅方向における設置位置を補正するよう制御部によって制御することとしてもよい。これより、加工位置検出機構を、加工処理装置と印刷機の双方の補正で兼用することができる。
【符号の説明】
【0107】
F 搬送方向
P 用紙
W 幅方向
4 搬送部
45 制御部
51 移動部
59 加工位置検出部
60 加工処理部
100 加工処理装置
図1
図2
図3
図4