(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-81541(P2017-81541A)
(43)【公開日】2017年5月18日
(54)【発明の名称】車両アクセルのロック回路及び方法
(51)【国際特許分類】
B60R 25/045 20130101AFI20170414BHJP
B60K 28/14 20060101ALI20170414BHJP
【FI】
B60R25/045
B60K28/14
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-203565(P2016-203565)
(22)【出願日】2016年10月17日
(31)【優先権主張番号】104134768
(32)【優先日】2015年10月23日
(33)【優先権主張国】TW
(71)【出願人】
【識別番号】516311489
【氏名又は名称】ツァイ、ウィリアム ウェイ−ルン
【氏名又は名称原語表記】TSAI,William Wei‐Lun
(74)【代理人】
【識別番号】100143720
【弁理士】
【氏名又は名称】米田 耕一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100080252
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 征四郎
(72)【発明者】
【氏名】ツァイ、ウィリアム ウェイ−ルン
【テーマコード(参考)】
3D037
【Fターム(参考)】
3D037FB01
(57)【要約】
【課題】本発明は、車両走行の安全と盗難防止を同時に実現する、車両アクセルのロック回路及び方法を提供する。
【解決手段】本発明において、制御ユニットはアクセルペダルセンサーが出力するセンサー電圧を探測するとともに、クランプ始動信号がオンの時、センサー電圧の減速変化に基づいて徐々にデジタルクランプ電圧値を下方調整し、且つデジタルアナログ変換ユニットは下方調整されたデジタルクランプ電圧値をアナログクランプ電圧値に変換し、更に可変電圧クランプユニットはアナログクランプ電圧値に基づいてセンサー電圧をクランプする。センサー電圧がアイドリング速度の状態にクランプされた時には、デジタルクランプ電圧値の下方調整を停止することで、アクセルペダルをアイドリング状態に留め置く。以上により、効果的に盗難を防止すると同時に、車両が突然動力を失って交通事故を招き、歩行者に危険が及ぶことが無くなる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクセルペダルセンサーとエンジンコンピューターとを有する車両に用いられる、車両アクセルのロック回路であって、
前記アクセルペダルセンサーは、前記車両アクセルペダルの踏込みの深さに従って、関連するセンサー電圧を前記エンジンコンピューターへ出力し、
前記回路は、制御ユニットと、デジタルアナログ変換ユニットと、可変電圧クランプユニットとからなり、
前記制御ユニットは、前記アクセルペダルセンサーと接続されるとともに、クランプ始動信号を受信するために用いられ、且つ前記クランプ始動信号がオンの時、前記センサー電圧の変化に基づいてデジタルクランプ電圧値を出力し、
前記デジタルアナログ変換ユニットは、前記制御ユニットと接続されるとともに、前記デジタルクランプ電圧値をアナログクランプ電圧値に変換するために用いられ、
前記可変電圧クランプユニットは、前記デジタルアナログ変換ユニットと接続されるとともに、前記アナログクランプ電圧値に基づいて、前記センサー電圧をクランプするために用いられる
ことを特徴とする、車両アクセルのロック回路。
【請求項2】
更に、前記アクセルペダルセンサーが出力する前記センサー電圧は、高電圧と、低電圧とを含み、
前記制御ユニットは、前記高電圧と前記低電圧の変化に基づいて、高デジタル値と低デジタル値とを含む前記デジタルクランプ電圧値を出力する
ことを特徴とする、請求項1に記載の車両アクセルのロック回路。
【請求項3】
更に、前記デジタルアナログ変換ユニットには、それぞれ前記高デジタル値と前記低デジタル値を、高アナログクランプ電圧と低アナログクランプ電圧に変換するために用いられる、二つのデジタルアナログ変換器が設けられる
ことを特徴とする、請求項2に記載の車両アクセルのロック回路。
【請求項4】
更に、前記可変電圧クランプユニットには、それぞれ前記高アナログクランプ電圧と前記低アナログクランプ電圧に基づいて、前記高電圧と前記低電圧をクランプするために用いられる、二つの可変電圧クランプ回路が設けられる
ことを特徴とする、請求項3に記載の車両アクセルのロック回路。
【請求項5】
更に、前記可変電圧クランプ回路は、演算増幅器と、第一電気抵抗と、トランジスタと、第二電気抵抗とからなり、
前記演算増幅器は、正入力端と、負入力端と、出力端とを有するとともに、
前記負入力端は、直接或は間接的に前記高アナログクランプ電圧或は前記低アナログクランプ電圧を受信するために用いられ、
前記第一電気抵抗は、前記出力端と接続され、
前記トランジスタは、ベースと、コレクタと、エミッタとを有するとともに、
前記ベースは前記第一電気抵抗の他端と接続され、前記エミッタは接地され、
前記第二電気抵抗は、両端がそれぞれ前記コレクタ及び前記正入力端と接続される
ことを特徴とする、請求項4に記載の車両アクセルのロック回路。
【請求項6】
更に、前記高アナログクランプ電圧と前記低アナログクランプ電圧は、それぞれ差動電圧であり、
前記可変電圧クランプ回路には、更に、前記デジタルアナログ変換器と前記演算増幅器の前記負入力端との間に差動増幅器が設けられて、前記差動電圧を増幅するために用いられる
ことを特徴とする、請求項5に記載の車両アクセルのロック回路。
【請求項7】
更に、前記差動増幅器は、第二演算増幅器と、第三電気抵抗と、第二トランジスタと、第四電気抵抗と、第五電気抵抗とからなり、
前記第二演算増幅器は、正入力端と、負入力端と、出力端とを有するとともに、
前記正入力端と前記負入力端は、前記差動電圧を受信するために用いられ、
前記第三電気抵抗は、前記第二演算増幅器の前記出力端と接続され、
前記第二トランジスタは、ベースと、コレクタと、エミッタとを有するとともに、
前記ベースは前記第三電気抵抗の他端と接続され、前記エミッタは接地され、
前記第四電気抵抗は、両端がそれぞれ前記第二トランジスタの前記コレクタ及び前記第二演算増幅器の前記正入力端と接続され、
前記第五電気抵抗は、両端がそれぞれ前記第二トランジスタの前記コレクタ及び電源端と接続される
ことを特徴とする、請求項6に記載の車両アクセルのロック回路。
【請求項8】
アクセルペダルセンサーとエンジンコンピューターとを有する車両に用いられる、車両アクセルのロック方法であって、
前記アクセルペダルセンサーは、前記車両アクセルペダルの踏込みの深さに従って、関連するセンサー電圧を前記エンジンコンピューターへ出力し、
前記方法は、
クランプ始動信号がオンの時、前記センサー電圧の変化に基づいて、デジタルクランプ電圧値を出力する手順と、
前記デジタルクランプ電圧値をアナログクランプ電圧値に変換する手順と、
前記アナログクランプ電圧値に基づいて、前記センサー電圧をクランプする手順とを含む
ことを特徴とする、車両アクセルのロック方法。
【請求項9】
更に、前記センサー電圧は、高電圧と、低電圧とを含み、
前記方法は、更に、前記高電圧と前記低電圧の変化に基づいて、前記アクセルペダルセンサーの型式を判断して記録する手順を含む
ことを特徴とする、請求項8に記載の車両アクセルのロック方法。
【請求項10】
更に、前記センサー電圧がアクセルの減速を示した時、前記高電圧・前記低電圧、及び前記アクセルペダルセンサーの型式に基づいて、前記デジタルクランプ電圧値を調整して出力する
ことを特徴とする、請求項9に記載の車両アクセルのロック方法。
【請求項11】
更に、相対的に低い値の前記高電圧或は前記低電圧、及び前記アクセルペダルセンサーの型式に基づいて、前記デジタルクランプ電圧値を調整して出力する
ことを特徴とする、請求項10に記載の車両アクセルのロック方法。
【請求項12】
更に、前記センサー電圧がアイドリング速度の状態にクランプされた時には、前記デジタルクランプ電圧値の継続的な下方調整を停止する
ことを特徴とする、請求項8に記載の車両アクセルのロック方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の盗難防止装置に関し、特に、車両走行の安全と盗難防止の目的を同時に達成することが可能な、車両アクセルのロック回路及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
人の生活に関わる科学技術の変遷過程において、車両の発展が、人々の移動への需要と、更には乗車移動中における快適性への欲求に応じるものであったことは疑いようがない。しかしながら同時に、車両が高価なものであるが故に、窃盗事件が頻発しており、車両の使用者を悩ませている。
【0003】
このように頭の痛い問題を解決するために、車体に車両の盗難防止装置を取付ける必要性が不可避的に生じて、車両盗難防止装置の誕生・発展につながった。初期において、車両盗難防止の方法は、車両所有者の注意を引いたり、盗みを働こうとする窃盗犯を威嚇したりするための警告表示の方法にのみ着目されることが多かった。このような方法は、ある程度の盗難防止効果が得られるものの、窃盗行為の発生を阻止することは難しい。
【0004】
よって、窃盗発生時、車両の動力を直接切断することで車両が走り去るのを防止する新型の盗難防止装置が登場した。この方法は、直接的に窃盗を阻む効果が得られるものの、車両が突然動力を失うことで、交通事故を引き起したり、歩行者の安全を脅かしたりする可能性がある。
【0005】
この問題を改善するため、中華民国特許第M466837号では、アクセルを制限して妨げる車両の盗難防止装置が開示されており、これにより車両走行の安全と盗難防止の目的が同時に達成された。しかし、前述した特許の制御ユニットは盗難防止を実施するに当って困難な点があり、改善の必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
中華民国特許第M466837号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記に鑑み本発明は、車両走行の安全と盗難防止を無理なく同時に実現することが可能な、車両アクセルのロック回路及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述、及びその他の目的を達成するため、本発明が提供する車両アクセルのロック回路は、アクセルペダルセンサーとエンジンコンピューターとを有する車両に用いられるとともに、アクセルペダルセンサーは車両アクセルペダルの踏込みの深さに従って、関連するセンサー電圧をエンジンコンピューターへ出力する。
【0009】
前記車両アクセルのロック回路は、制御ユニットと、デジタルアナログ変換ユニットと、可変電圧クランプユニットとからなる。このうち、制御ユニットは、アクセルペダルセンサーと接続されて、クランプ始動信号を受信するために用いられるとともに、受信するクランプ始動信号がオンの時、センサー電圧の変化に基づいて、デジタルクランプ電圧値を出力する。デジタルアナログ変換ユニットは、制御ユニットと接続されて、前記デジタルクランプ電圧値をアナログクランプ電圧値に変換するために用いられる。可変電圧クランプユニットは、デジタルアナログ変換ユニットと接続されるとともに、アナログクランプ電圧値に基づいて、センサー電圧をクランプするために用いられる。
【0010】
実施例の一つでは、車両アクセルのロック回路におけるアクセルペダルセンサーが出力するセンサー電圧は、高電圧と、低電圧とを含む。また制御ユニットは、高電圧と低電圧の変化に基づいて、高デジタル値と低デジタル値とを含むデジタルクランプ電圧値を出力する。
【0011】
実施例の一つでは、車両アクセルのロック回路におけるデジタルアナログ変換ユニットは、それぞれ前記高デジタル値と低デジタル値を、高アナログクランプ電圧と低アナログクランプ電圧に変換するために用いられる、二つのデジタルアナログ変換器からなる。
【0012】
実施例の一つでは、車両アクセルのロック回路における可変電圧クランプユニットは、それぞれ前記高アナログクランプ電圧と低アナログクランプ電圧に基づいて、高電圧と低電圧をクランプするために用いられる、二つの可変電圧クランプ回路からなる。
【0013】
実施例の一つでは、車両アクセルのロック回路における可変電圧クランプ回路は、演算増幅器と、第一電気抵抗と、トランジスタと、第二電気抵抗とからなる。このうち、演算増幅器は、正入力端と、負入力端と、出力端とを有し、負入力端は直接或は間接的に高アナログクランプ電圧或は低アナログクランプ電圧を受信するために用いられる。第一電気抵抗は、演算増幅器の出力端と接続される。トランジスタは、ベースと、コレクタと、エミッタとを有し、ベースは第一電気抵抗の他端と接続され、エミッタは接地される。第二電気抵抗の両端は、それぞれトランジスタのコレクタ及び演算増幅器の正入力端と接続される。
【0014】
実施例の一つでは、車両アクセルのロック回路における高アナログクランプ電圧と低アナログクランプ電圧は、それぞれ一つの差動電圧である。また可変電圧クランプ回路には、更にデジタルアナログ変換器と演算増幅器の負入力端との間に、差動増幅器が設けられて、前記差動電圧を増幅するために用いられる。
【0015】
実施例の一つでは、車両アクセルのロック回路における差動増幅器は、第二演算増幅器と、第三電気抵抗と、第二トランジスタと、第四電気抵抗と、第五電気抵抗とからなる。このうち、第二演算増幅器は、正入力端と、負入力端と、出力端とを有し、正入力端と負入力端は前記差動電圧を受信するために用いられる。第三電気抵抗は、第二演算増幅器の出力端と接続される。第二トランジスタは、ベースと、コレクタと、エミッタとを有し、ベースは第三電気抵抗の他端と接続され、エミッタは接地される。第四電気抵抗の両端は、それぞれ第二トランジスタのコレクタ及び第二演算増幅器の正入力端と接続される。第五電気抵抗の両端は、それぞれ第二トランジスタのコレクタ及び電源端と接続される。
【0016】
また本発明が提供する車両アクセルのロック方法は、アクセルペダルセンサーとエンジンコンピューターとを有する車両に用いられるとともに、アクセルペダルセンサーは車両アクセルペダルの踏込みの深さに従って、関連するセンサー電圧をエンジンコンピューターへ出力する。前記車両アクセルのロック方法は、以下の手順を含む。
【0017】
即ち、クランプ始動信号がオンの時、センサー電圧の変化に基づいて、デジタルクランプ電圧値を出力する手順と、前記デジタルクランプ電圧値をアナログクランプ電圧値に変換する手順と、アナログクランプ電圧値に基づいて、センサー電圧をクランプする手順である。
【0018】
このうち、センサー電圧は、高電圧と低電圧とを含む。また前記車両アクセルのロック方法は、更に高電圧と低電圧の変化に基づいて、アクセルペダルセンサーの型式を判断して記録する手順を含む。
【0019】
このうち、センサー電圧がアクセルの減速を示した時、例えば相対的に低い値の高電圧或は低電圧、及びアクセルペダルセンサーの型式に基づいて、デジタルクランプ電圧値を調整して出力する。これにより、効果的にアクセルペダルの加速機能を閉鎖する。
【0020】
このうちセンサー電圧がアイドリング速度の状態にクランプされた時には、デジタルクランプ電圧値の継続的な下方調整を停止することにより、効果的にアクセルペダルをアイドリング状態に留め置く。
【発明の効果】
【0021】
上記を総じて言えば、本発明の車両アクセルのロック回路及び方法は、クランプ始動信号がオンの時、センサー電圧の変化に基づいて、クランプ電圧値がアイドリング速度の電圧になるまで段階的に下方調整する。よって、車両が突然動力を失って交通事故の発生を招き、歩行者の安全を脅かすことが無くなり、これにより車両走行の安全と盗難防止の目的を共に達成することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の実施例における、車両アクセルのロック回路を示したブロック図である。
【
図3】本発明の実施例における、車両アクセルのロック方法を示したフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1を参照する。図は、本発明の実施例における、車両アクセルのロック回路を示したブロック図である。図示したように、車両アクセルのロック回路10は、アクセルペダルセンサー1とエンジンコンピューター2(Electronic Control Unit、略称ECU)とを有する車両に用いられるとともに、アクセルペダルセンサー1は車両アクセルペダルの踏込みの深さに従って、関連するセンサー電圧(例えば高電圧HVと低電圧LVとを含む)をエンジンコンピューター2へ出力する。これによりエンジンコンピューター2は、受信した高電圧HVと低電圧LVのセンサー電圧値に基づいて、車両アクセルを制御することで、車両の走行速度を制御する。
【0024】
図1において、車両アクセルのロック回路10は、制御ユニット11と、デジタルアナログ変換器12・14からなるデジタルアナログ変換ユニット21と、可変電圧クランプ回路13・15からなる可変電圧クランプユニット31とを含む。
【0025】
このうち、制御ユニット11は、アクセルペダルセンサー1と接続されて、例えば使用者或は盗難防止センサーが発したクランプ始動信号CVを受信するために用いられるとともに、受信するクランプ始動信号CVがオンの時、例えば高電圧HVと低電圧LVとを含むセンサー電圧の変化に基づいて、高デジタル値hと低デジタル値lとを含むデジタルクランプ電圧値を出力する。
【0026】
制御ユニット11は、高デジタル値hと低デジタル値lとを含むデジタルクランプ電圧値を出力するとともに、接続されたデジタルアナログ変換器12・14を含むデジタルアナログ変換ユニット21をそれぞれ経由して、高アナログクランプ電圧Hと低アナログクランプ電圧Lのアナログクランプ電圧値に変換する。更に、高アナログクランプ電圧Hと低アナログクランプ電圧Lは、デジタルアナログ変換器12・14と接続された可変電圧クランプ回路13・15を含む可変電圧クランプユニット31に受信され、これにより高アナログクランプ電圧Hと低アナログクランプ電圧Lのアナログクランプ電圧値に基づいて、高電圧HVと低電圧LVを含むセンサー電圧がそれぞれクランプされる。
【0027】
図2を参照する。図は、
図1における可変電圧クランプ回路13・15を示した回路図である。図示したように、車両アクセルのロック回路10の制御ユニット11と、デジタルアナログ変換器12・14によって出力される高アナログクランプ電圧H及び低アナログクランプ電圧Lは、差動電圧である。よって、可変電圧クランプ回路13・15は、予めデジタルアナログ変換器12・14と演算増幅器1321の負入力端との間における差動増幅器131によって、高アナログクランプ電圧Hと低アナログクランプ電圧L等の差動電圧を増幅してから、演算増幅器1321の負入力端に入力することで、高電圧HVと低電圧LVとを含むセンサー電圧のクランプを実行する必要がある。
【0028】
図2において、差動増幅器131は、演算増幅器1311と、電気抵抗1313・1314・1315と、トランジスタ1312とからなる。このうち、演算増幅器1311は、正入力端・負入力端・出力端を有するとともに、正入力端と負入力端は高アナログクランプ電圧H或は低アナログクランプ電圧L等の差動電圧を受信するために用いられる。電気抵抗1315は、演算増幅器1311の出力端と接続される。トランジスタ1312は、ベース・コレクタ・エミッタを有するとともに、ベースは電気抵抗1315の他端と接続され、エミッタは接地される。電気抵抗1313両端は、それぞれトランジスタ1312のコレクタ及び演算増幅器1311の正入力端と接続される。電気抵抗1314両端は、それぞれトランジスタ1312のコレクタ及び電源端と接続される。
【0029】
差動増幅器131を経由して増幅出力された高アナログクランプ電圧H及び低アナログクランプ電圧L、また或は車両アクセルのロック回路10における制御ユニット11とデジタルアナログ変換器12・14によって出力された高アナログクランプ電圧H及び低アナログクランプ電圧Lが、差動電圧でない時には、直接或は間接的に可変電圧クランプ回路13・15の演算増幅器1321における負入力端に入力されて、高電圧HVと低電圧LVとを含むセンサー電圧のクランプが実行される。
【0030】
図2に示したように、選択的に使用される差動増幅器131のほかに、可変電圧クランプ回路13・15は、演算増幅器1321と、電気抵抗1323・1324と、トランジスタ1322とを含む。このうち、演算増幅器1321は、正入力端・負入力端・出力端を有するとともに、負入力端は高アナログクランプ電圧H或は低アナログクランプ電圧Lを受信するために用いられる。電気抵抗1324は、演算増幅器1321の出力端と接続される。トランジスタ1322は、ベース・コレクタ・エミッタを有するとともに、ベースは電気抵抗1324の他端と接続され、エミッタは接地される。電気抵抗1323両端は、それぞれトランジスタ1322のコレクタ及び演算増幅器1321の正入力端と接続される。
【0031】
図3を参照する。図は、本発明の実施例における、車両アクセルのロック方法を示したフロー図である。まず、手順301において、制御ユニット11はアクセルペダルセンサー1が出力した高電圧HVと低電圧LVとを含むセンサー電圧を読取る。続いて手順302に入り、アクセルペダルが既に踏込まれて加速したか否かを判断するとともに、もしアイドリング状態のままでアクセルが踏込まれていない時には、フローは手順301に戻って待機を続ける。そうでない時には、手順303に入り、高電圧HVと低電圧LVの変化に基づいて、アクセルペダルセンサー1の型式を判断して記録する。以上で、初期設定の作業が完了する。
【0032】
一般的に見られるアクセルペダルセンサー1の型式は、以下の通りである。
1.平行方式では、センサー電圧は高電圧HVと低電圧LVとを含むとともに、高電圧HVと低電圧LVのアイドリング速度開始値及び増加量は等しくなる。例えば、高電圧HVと低電圧LVは、いずれも0.3V〜4Vの範囲内で変化する。
2.固定平行方式では、センサー電圧は高電圧HVと低電圧LVとを含むとともに、高電圧HVと低電圧LVのアイドリング速度開始値は異なり、増加量は等しくなる。例えば、高電圧HVは1.6V〜4Vの範囲内で変化し、低電圧LVは0.8V〜3.2Vの範囲内で変化する。
3.倍数方式では、センサー電圧は高電圧HVと低電圧LVとを含むとともに、高電圧HVと低電圧LVのアイドリング速度開始値及び増加量はいずれも倍数となる。例えば、高電圧HVは0.7V〜4Vの範囲内で変化し、低電圧LVは0.35V〜2Vの範囲内で変化する。よって303の手順では、後続の手順に備えるために、読取った高電圧HVと低電圧LVの変化に基づいて、アクセルペダルセンサーの型式を判断して記録することが可能である。
【0033】
この後、フローは手順304に入り、クランプ始動信号CVが既にオン状態か否かを判断する。もしオン状態でなければ、フローは手順304に戻って待機を続ける。そうでない時には、手順305に入って、アクセルペダルセンサー1が出力する高電圧HVと低電圧LVとを含むセンサー電圧を読取る。続いて、手順306に入り、アクセルペダルが既に緩められて減速したか否を判断するとともに、もし減速状態でない時には、フローは手順308に入る。そうでない時、つまり既に緩められて減速した時には、フローは手順307に入り、相対的に低い(或は高い)値の高電圧或は低電圧、及び手順303で記録したアクセルペダルセンサー1の型式に基づいて、デジタルクランプ電圧値を調整して出力する。
【0034】
例えば、アクセルペダルセンサー1が平行方式である場合には、アクセルペダルが緩められて減速する前の高電圧HVと低電圧LVはいずれも3.6Vであり、減速後の高電圧HVは3.0V、低電圧LVは2.9Vである。これにより、デジタルクランプ電圧値を調整・出力して、高電圧HVと低電圧LVを2.9Vという相対的に低い値の状態にクランプすることが出来る。
【0035】
アクセルペダルセンサー1が固定平行方式である場合には、アクセルペダルが緩められて減速する前の高電圧HVは3.6V、低電圧LVは2.8Vであり、減速後の高電圧HVは3.0V、低電圧LVは2.1Vである。これにより、デジタルクランプ電圧値を調整・出力して、高電圧HVを2.9Vにクランプし、且つ低電圧LVを2.1Vという相対的に低い値の状態にクランプすることが出来る。
【0036】
このほか、アクセルペダルセンサー1が倍数方式である場合には、アクセルペダルが緩められて減速する前の高電圧HVは3.6V、低電圧LVは1.8Vであり、減速後の高電圧HVは3.0V、低電圧LVは1.4Vである。これにより、デジタルクランプ電圧値を調整・出力して、高電圧HVを2.8Vにクランプし、且つ低電圧LVを1.4Vという相対的に低い値の状態にクランプすることが出来る。
【0037】
手順308において、クランプ始動信号CVがオン状態か否かを再び判断するとともに、もしオン状態でない場合には、フローは手順310に入って、高電圧HVと低電圧LVのクランプを解除し、これにより車両は正常走行の状態に戻る。そうでない場合には、手順309に入り、センサー電圧が既にアイドリング速度の状態にクランプされたか否かを判断するとともに、もし肯定されれば手順308に戻り、クランプ始動信号CVがオフになるまで待機した後、高電圧HVと低電圧LVのクランプを解除する。そうでなければ手順305に入り、次のサイクルを実行してアイドリング状態になるまで繰返す。
【符号の説明】
【0038】
1 アクセルペダルセンサー
2 エンジンコンピューター
10 車両アクセルのロック回路
11 制御ユニット
12・14 デジタルアナログ変換器
13・15 可変電圧クランプ回路
131 差動増幅器
1311・1321 演算増幅器
1312・1322 トランジスタ
1313・1314・1315・1323・1324 電気抵抗
21 デジタルアナログ変換ユニット
31 可変電圧クランプユニット
301〜310 フロー手順