特開2017-81654(P2017-81654A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 村田機械株式会社の特許一覧

<>
  • 特開2017081654-糸巻取装置 図000003
  • 特開2017081654-糸巻取装置 図000004
  • 特開2017081654-糸巻取装置 図000005
  • 特開2017081654-糸巻取装置 図000006
  • 特開2017081654-糸巻取装置 図000007
  • 特開2017081654-糸巻取装置 図000008
  • 特開2017081654-糸巻取装置 図000009
  • 特開2017081654-糸巻取装置 図000010
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-81654(P2017-81654A)
(43)【公開日】2017年5月18日
(54)【発明の名称】糸巻取装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 67/08 20060101AFI20170414BHJP
   B65H 51/16 20060101ALI20170414BHJP
【FI】
   B65H67/08 B
   B65H51/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-208155(P2015-208155)
(22)【出願日】2015年10月22日
(71)【出願人】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140442
【弁理士】
【氏名又は名称】柴山 健一
(72)【発明者】
【氏名】宮埜 賢
(72)【発明者】
【氏名】陣山 達夫
【テーマコード(参考)】
3F112
【Fターム(参考)】
3F112AA08
3F112BA03
3F112EA04
3F112FB01
3F112LB04
3F112MB02
3F112MB06
3F112MB09
(57)【要約】
【課題】効率的な稼働を実現できる糸巻取装置を提供する。
【解決手段】糸巻取装置2は、糸20が巻かれた給糸ボビン21が支持される給糸部6と、給糸部に支持された給糸ボビン21から引き出された糸20を巻き取る巻取部8と、給糸ボビン21の糸端を空気流によって巻取部側に送る糸端吹送り部11と、糸端吹送り部11によって送られた糸端を捕捉する糸捕捉部14と、を備え、糸捕捉部14は、本体部72と、糸20を吸引する吸引口74aが形成された筒状部材からなる吸引部74と、を備え、吸引部74は、本体部72において筒状部材の軸方向に往復直線動可能に設けられており、給糸部6から巻取部8に移動する糸20の糸道に近い第1位置では吸引口74aに吸引力が発生し、糸道から退避した第2位置では吸引口74aに吸引力が発生しない。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
糸が巻かれた給糸ボビンが支持される給糸部と、
前記給糸部に支持された前記給糸ボビンから引き出された前記糸を巻き取る巻取部と、
前記給糸ボビンの糸端を、空気流を噴出することによって前記巻取部側に送る糸端吹送り部と、
前記糸端吹送り部によって送られた前記糸端を捕捉する糸捕捉部と、を備え、
前記糸捕捉部は、
本体部と、
前記糸を吸引する吸引口が形成された筒状部材からなる吸引部と、を備え、
前記吸引部は、前記本体部において前記筒状部材の軸方向に往復直線移動可能に設けられており、前記給糸部から前記巻取部に移動する前記糸の糸道に近い第1位置では前記吸引口に吸引力が発生し、前記糸道から退避した第2位置では前記吸引口に吸引力が発生しない、糸巻取装置。
【請求項2】
前記糸捕捉部は、前記吸引部を往復動させる駆動部を備え、
前記駆動部は、前記吸引部を、前記第1位置と、前記第2位置とに移動させる、請求項1に記載の糸巻取装置。
【請求項3】
前記本体部は、前記吸引部が位置する空間を区画して形成すると共に負圧源によって負圧となる中空部を有し、
前記吸引部は、前記軸方向の一端に前記吸引口が設けられていると共に他端が閉塞されており、前記一端と前記他端との間に内部と連通する開口部を有し、
前記駆動部は、前記吸引部を、前記開口部と前記中空部とが連通する前記第1位置と、前記開口部が前記本体部によって閉塞される前記第2位置とに移動させる、請求項2に記載の糸巻取装置。
【請求項4】
前記糸捕捉部に捕捉された前記給糸ボビンの前記糸と、前記巻取部に巻き取られた糸とを繋ぐ糸継装置を備え、
前記駆動部は、前記吸引部を、前記第1位置と前記第2位置とに加えて、前記開口部の一部と前記中空部とが連通することにより前記第1位置よりも弱い吸引力が前記吸引口に発生する第3位置に移動可能に構成され、
前記駆動部は、前記糸継装置が前記糸を繋ぐときには、前記吸引部を前記第3位置に移動させる、請求項3に記載の糸巻取装置。
【請求項5】
前記糸を切断するカッタと、
前記糸の状態を監視する糸監視装置と、を備え、
前記糸継装置は、前記給糸部と前記巻取部との間に配置され、前記給糸部と前記巻取部の間で分断された前記糸を継ぎ、
前記糸継装置の下流には、前記糸捕捉部と、前記カッタと、前記糸監視装置とがこの順番に配置されている、請求項4に記載の糸巻取装置。
【請求項6】
前記糸を切断するカッタと、
前記糸の状態を監視する糸監視装置と、
前記給糸部から前記糸を引き出して貯留する糸貯留装置と、を備え、
前記糸継装置は、前記給糸部と前記糸貯留装置との間に配置され、前記給糸部と前記糸貯留装置との間で分断された前記糸を継ぎ、
前記糸継装置の下流には、前記糸捕捉部と、前記カッタと、前記糸監視装置と、前記糸貯留装置とがこの順番に配置されている、請求項4に記載の糸巻取装置。
【請求項7】
前記糸捕捉部は、前記吸引口に吸引される前記糸端を検出する検出部を備えている、請求項1〜6のいずれか一項に記載の糸巻取装置。
【請求項8】
前記糸捕捉部は、前記吸引部の移動に伴って前記吸引口を開放又は閉塞するシャッターを備えている、請求項1に記載の糸巻取装置。
【請求項9】
前記糸捕捉部は、前記吸引部を往復動させる駆動部を備え、
前記駆動部は、前記吸引部を、前記シャッターが開かれて前記吸引口が開放される第1位置と、前記シャッターによって前記吸引口が閉塞される第2位置とに移動させる、請求項8に記載の糸巻取装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、糸巻取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、糸巻取装置に取り付けられ、糸切れ時などに糸を捕捉する糸捕捉部が知られている。例えば特許文献1には、給糸ボビンの糸端を空気流によって巻取部側に送る糸端吹送り部と、糸端吹送り部によって送られた糸端を捕捉する糸捕捉部と、を備える糸巻取装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−20852号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の糸捕捉部は、糸巻取装置が稼働している状態では常に吸引力が生じている。すなわち、従来の糸捕捉部は、糸を捕捉する必要がないときであっても、吸引力が生じている。このように、従来では、吸引力を発生する負圧源において常に電力が消費されているため、効率的ではなかった。
【0005】
本発明は、効率的な稼働を実現できる糸巻取装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る糸巻取装置は、糸が巻かれた給糸ボビンが支持される給糸部と、給糸部に支持された給糸ボビンから引き出された糸を巻き取る巻取部と、給糸ボビンの糸端を、空気流を噴出することによって巻取部側に送る糸端吹送り部と、糸端吹送り部によって送られた糸端を捕捉する糸捕捉部と、を備え、糸捕捉部は、本体部と、糸を吸引する吸引口が形成された筒状部材からなる吸引部と、を備え、吸引部は、本体部において筒状部材の軸方向に往復直線移動可能に設けられており、給糸部から巻取部に移動する糸の糸道に近い第1位置では吸引口に吸引力が発生し、糸道から退避した第2位置では吸引口に吸引力が発生しない。
【0007】
この糸巻取装置では、糸捕捉部の吸引部は、給糸部から巻取部に移動する糸の糸道に近い第1位置では吸引口に吸引力が発生し、糸道から退避した第2位置では吸引口に吸引力が発生しない。この構成では、糸端を吸引しないときには、吸引部を第2位置とすることにより、吸引口に吸引力を発生させないようにできる。したがって、糸端を捕捉しないときには、負圧源における電力の消費を抑制できる。その結果、糸巻取装置では、効率的な稼働を実現できる。
【0008】
一実施形態においては、糸捕捉部は、吸引部を往復動させる駆動部を備え、駆動部は、吸引部を、第1位置と、第2位置とに移動させさせてもよい。この構成では、糸端を吸引しないときには、駆動部によって吸引部を第2位置に移動させることにより、負圧源における電力の消費をより確実に抑制できる。
【0009】
一実施形態においては、本体部は、吸引部が位置する空間を区画して形成すると共に負圧源によって負圧となる中空部を有し、吸引部は、軸方向の一端に吸引口が設けられていると共に他端が閉塞されており、一端と他端との間に内部と連通する開口部を有し、駆動部は、吸引部を、開口部と中空部とが連通する第1位置と、開口部が本体部によって閉塞される第2位置とに移動させもよい。この構成では、吸引部を第2位置に移動させることにより、吸引部の内部に連通する開口部が閉塞される。そのため、第2位置では吸引部において吸引力が発生しない。したがって、負圧源における電力の消費を確実に抑制できる。
【0010】
一実施形態においては、糸捕捉部に捕捉された給糸ボビンの糸と、巻取部に巻き取られた糸とを繋ぐ糸継装置を備え、駆動部は、吸引部を、第1位置と第2位置とに加えて、開口部の一部と中空部とが連通することにより第1位置よりも弱い吸引力が吸引口に発生する第3位置に移動可能に構成され、駆動部は、糸継装置が糸を繋ぐときには、吸引部を第3位置に移動させてもよい。糸継装置において糸を繋ぐときには、吸引部における糸端の吸引を維持する。このとき、吸引部による糸端の吸引力が大きいと、糸切れが発生することがある。そのため、開口部の一部と中空部とが連通する第3位置に吸引部を位置させることにより、吸引力を弱くできる。したがって、糸継ぎ時の糸切れを抑制できる。
【0011】
一実施形態においては、糸を切断するカッタと、糸の状態を監視する糸監視装置と、を備え、糸継装置は、給糸部と巻取部との間に配置され、給糸部と巻取部の間で分断された糸を継ぎ、糸継装置の下流には、糸捕捉部と、カッタと、糸監視装置とがこの順番に配置されていてもよい。このような構成によれば、糸監視装置が例えば糸欠陥を検出し、カッタにより糸が分断された場合、糸捕捉部が分断された糸を確実に捕捉し、糸継装置に捕捉した糸を案内することができる。
【0012】
一実施形態においては、糸を切断するカッタと、糸の状態を監視する糸監視装置と、給糸部から糸を引き出して貯留する糸貯留装置と、を備え、糸継装置は、給糸部と糸貯留装置との間に配置され、給糸部と糸貯留装置との間で分断された糸を継ぎ、糸継装置の下流には、糸捕捉部と、カッタと、糸監視装置と、糸貯留装置とがこの順番に配置されていてもよい。このような構成によれば、糸監視装置が例えば糸欠陥を検出し、カッタにより糸が分断された場合、糸捕捉部が分断された糸を確実に捕捉し、糸継装置に捕捉した糸を案内することができる。
【0013】
一実施形態においては、糸捕捉部は、吸引口に吸引される糸端を検出する検出部を備えていてもよい。これにより、吸引部において糸端が吸引されているか否かを検出できる。
【0014】
一実施形態においては、糸捕捉部は、吸引部の移動に伴って吸引口を開放又は閉塞するシャッターを備えていてもよい。この構成では、移動する位置によって吸引力が変化する。したがって、糸を吸引しないときには、吸引口がシャッターによって閉塞される位置に吸引部を移動させることにより、負圧源における電力の消費をより確実に抑制できる。
【0015】
一実施形態においては、糸捕捉部は、吸引部を往復動させる駆動部を備え、駆動部は、吸引部を、シャッターが開かれて吸引口が開放される第1位置と、シャッターによって吸引口が閉塞される第2位置とに移動させてもよい。この構成では、吸引部を第2位置に移動させることにより、吸引口がシャッターで閉塞される。そのため、第2位置では吸引部において吸引力が発生しない。したがって、負圧源における電力の消費を確実に抑制できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、効率的な稼働を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】一実施形態に係る自動ワインダの全体的な構成を示す概略正面図である。
図2】一実施形態に係るワインダユニットを示す概略側面図である。
図3】第1捕捉部を示す斜視図である。
図4】第1捕捉部を示す斜視図である。
図5】第1捕捉部の動作を説明する図である。
図6】第1捕捉部の動作を説明する図である。
図7】他の実施形態に係る第1捕捉部を示す斜視図である。
図8】他の実施形態に係る第1捕捉部を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。「上流」及び「下流」とは、紡績時での糸の走行方向における上流及び下流をそれぞれ意味する。
【0019】
図1に示されるように、自動ワインダ1は、並べて配置された複数のワインダユニット(糸巻取装置)2と、機台制御装置3と、給糸ボビン供給装置4と、玉揚装置5と、図略のブロアボックスと、を備えている。
【0020】
機台制御装置3は、各ワインダユニット2と通信可能に構成されている。自動ワインダ1のオペレータは、機台制御装置3を適宜操作することにより、複数のワインダユニット2を集中的に管理することができる。機台制御装置3は、給糸ボビン供給装置4及び玉揚装置5の動作を制御する。
【0021】
給糸ボビン供給装置4は、図略の機構により給糸ボビン21を1本ずつ搬送トレイ26上にセットする。給糸ボビン供給装置4は、搬送トレイ26上にセットした給糸ボビン21を、複数のワインダユニット2のそれぞれに供給する。
【0022】
玉揚装置5は、ワインダユニット2においてパッケージ30が満巻(規定量の糸20が巻き取られた状態)となった場合に、当該ワインダユニット2の位置まで走行し、満巻のパッケージ30を取り外す。玉揚装置5は、パッケージ30を取り外した当該ワインダユニット2に対して空(糸が巻かれていない状態)の巻取ボビン22をセットする。
【0023】
次に、ワインダユニット2の構成について説明する。図2に示されるように、ワインダユニット2は、給糸部6と、糸貯留装置18と、パッケージ形成部8と、を備えている。ワインダユニット2では、給糸部6の給糸ボビン21の糸20を解舒し、解舒した糸20を糸貯留装置18で一旦貯留した後、巻取ボビン22に巻き取ってパッケージ30を形成する。
【0024】
給糸部6は、搬送トレイ26にセットされた給糸ボビン21を所定の位置で支持し、この給糸ボビン21から糸20を解舒して供給する。給糸部6は、給糸ボビン21から全ての糸20が解舒されると、空になった給糸ボビン21を排出して、給糸ボビン供給装置4から新しい給糸ボビン21の供給を受ける。
【0025】
糸貯留装置18は、給糸部6とパッケージ形成部8との間に配置されている。糸貯留装置18は、糸20の走行方向においてパッケージ形成部8の上流側の位置に設けられている。糸貯留装置18は、給糸部6から供給された糸20を一時的に貯留する。糸貯留装置18は、貯留している糸20をパッケージ形成部8が引き出せるように構成されている。糸貯留装置18は、糸20を巻き付けることが可能な糸貯留ローラ32と、糸貯留ローラ32を回転駆動するローラ駆動モータ33と、を備えている。ローラ駆動モータ33は、給糸部6からの糸20を巻き取る方向に糸貯留ローラ32を回転させる。また、ローラ駆動モータ33は、当該巻き取る方向とは反対の方向に糸貯留ローラ32を回転させることもできる。
【0026】
パッケージ形成部8は、巻取ボビン22を装着可能に構成されたクレードル23と、糸20を綾振りさせながら巻取ボビン22を駆動する綾振ドラム24と、を備えている。パッケージ形成部8は、巻取部を構成する。クレードル23は、巻取ボビン22(又はパッケージ30)を回転可能に支持する。クレードル23は、パッケージ30の外周面が綾振ドラム24の外周面に対して接離可能に支持されている。
【0027】
綾振ドラム24は、図略の駆動源(電動モータ等)によって回転駆動され、巻取ボビン22又はパッケージ30の外周面に接触した状態で回転することで、巻取ボビン22を従動回転させる。これにより、糸貯留装置18に貯留された糸20を引出ガイド37を介して解舒して引き出し、巻取ボビン22に巻き取ることができる。綾振ドラム24の外周面には図略の綾振溝が形成されており、この綾振溝によって糸20を所定の幅で綾振り(トラバース)することが可能になっている。以上の構成で、糸20を綾振りさせながら巻取ボビン22に巻き付けて、所定長で所定形状のパッケージ30を形成することができる。
【0028】
ワインダユニット2は、給糸部6から糸貯留装置18を経由してパッケージ形成部8に至る糸走行経路中に、各種の装置を備えている。具体的には、糸20の糸道には、上流の給糸部6側から下流の糸貯留装置18側へ向かって順に、解舒補助装置10と、第1吹送り部(糸端吹送り部)11と、第2捕捉部12と、糸継装置13と、第1捕捉部(糸捕捉部)14と、テンション付与装置15と、カッタ16と、糸監視装置17と、第2吹送り部48と、が配置されている。
【0029】
解舒補助装置10は、給糸ボビン21から解舒される糸20が振り回されて給糸ボビン21の上部に形成されるバルーンに対し、可動部材27を接触させ、当該バルーンの大きさを適切に制御することによって糸20の解舒を補助する。
【0030】
第1吹送り部11は、解舒補助装置10の下流側における解舒補助装置10に近接する位置に配置されたエアサッカー装置である。第1吹送り部11は、圧縮空気を噴出することにより、糸20を第1捕捉部14まで吹き送る空気流を形成する。したがって、例えば糸切れが生じた場合、第1吹送り部11が動作することで、給糸ボビン21側の糸端を糸継装置13側に向かって吹き送ることができる。
【0031】
なお、給糸部6に新しい給糸ボビン21が供給された直後の場合には、給糸ボビン21から糸20が十分に引き出されていないため、第1吹送り部11によっては糸端を糸継装置13側に吹き送ることが困難になる場合がある。これを考慮して、ワインダユニット2の給糸部6には、補助吹送り部28が設けられている。
【0032】
補助吹送り部28は、中空状に形成された搬送トレイ26及び給糸ボビン21の内部に圧縮空気を噴出することにより、給糸ボビン21の先端部に、当該給糸ボビン21の糸20を第1吹送り部11側へ吹き送る空気流を形成する。新しく供給された給糸ボビン21が給糸部6に支持された場合、補助吹送り部28及び第1吹送り部11が連動して動作することにより、当該給糸ボビン21側の糸端を糸継装置13側に向かって確実に送ることができる。
【0033】
第2捕捉部12は、糸継装置13の上流側における糸継装置13に近接する位置に配置されている。第2捕捉部12は図略の吸引空気流発生源に接続されており、糸継時に吸引空気流を発生させて、糸貯留装置18側の糸20を吸引して捕捉する。
【0034】
糸継装置13は、分断された糸20の糸継ぎを行う。糸継装置13は、糸監視装置17が糸欠陥を検出してカッタ16で糸20を切断する糸切断時、給糸ボビン21から解舒中の糸20が切れる糸切れ時、又は、給糸ボビン21の交換時等のように、給糸ボビン21と糸貯留装置18との間の糸20が分断された状態となったときに、給糸ボビン21側の糸20と、糸貯留装置18側の糸20と、を糸継ぎする。糸継装置13は、糸道から若干退避した位置に配置されている。糸継装置13は、導入された糸端同士を繋いで、糸20を連続状態とすることができる。糸継装置13としては、圧縮空気等の流体を用いる装置や、機械式の装置を使用できる。
【0035】
第1捕捉部14は、糸継装置13の下流側における糸継装置13に近接する位置に配置されている。第1捕捉部14は、糸道に接近している状態において、その先端側に吸引空気流を発生させることにより、第1吹送り部11によって吹き送られてくる給糸ボビン21からの糸端を吸引して捕捉する。第1捕捉部14の詳細な構成については、後述する。
【0036】
テンション付与装置15は、走行する糸20に所定のテンションを付与する。テンション付与装置15は、固定の櫛歯に対して可動の櫛歯を配置してなるゲート式に構成されており、櫛歯の間に糸20を走行させることで所定の抵抗を付与する。可動側の櫛歯は、櫛歯同士が噛合せ状態又は解放状態になるように、例えばソレノイドにより移動可能に構成されている。これにより、テンション付与装置15は、糸20に付与するテンションを調整することができる。なお、テンション付与装置15の構成は特に限定されず、例えばディスク式のテンション付与装置であってもよい。
【0037】
糸監視装置17は、糸20の太さ等を適宜のセンサで監視することにより、スラブや異物混入等の糸欠陥を検出する。糸監視装置17の上流側における当該糸監視装置17に近接する位置には、カッタ16が配置されている。カッタ16は、糸監視装置17が糸欠陥を検出した場合直ちに、糸20を切断する。
【0038】
カッタ16及び糸監視装置17は、共通のハウジング19に収容されている。糸監視装置17を収容するハウジング19は、テンション付与装置15の下流側における当該テンション付与装置15に近接する位置に配置されている。この構成により、走行する糸20がテンション付与装置15によって保持(案内)されている部分の近くを糸監視装置17で監視することになるため、監視部分の糸20がブレにくくなり、糸監視装置17が糸20の欠陥を検出する精度を一層高めることができる。
【0039】
第2吹送り部48は、糸貯留装置18の上流側における糸貯留装置18に近接する位置に配置されたエアサッカー装置である。第2吹送り部48は、圧縮空気を噴出することにより、糸貯留装置18側の糸端を吹き飛ばして第2捕捉部12まで送る空気流を形成する。具体的には、第2吹送り部48は、内部に糸20を通過させることが可能な細い筒状のガイド部材を備えている。ガイド部材の一端には、糸20の吹出口が形成されている。
【0040】
糸案内部材60は、第2吹送り部48の吹出口に近接するように設けられている。糸案内部材60の長手方向両端には、それぞれ開口が形成されている。糸案内部材60は、その一端側の開口を第2吹送り部48の吹出口に対向させ、且つ、その他端側の開口を第2捕捉部12に対向させた状態で配置されている。糸案内部材60の内部には、案内経路が形成されている。案内経路は、糸監視装置17、テンション付与装置15、及び糸継装置13等を迂回するように、糸案内部材60の両端の開口同士を繋ぐ。第2吹送り部48と糸案内部材60と第2捕捉部12とにより、貯留側糸端捕捉装置50が構成されている。
【0041】
第2吹送り部48は、給糸ボビン21と糸貯留装置18との間で糸20が分断状態となった場合、糸貯留装置18側の糸20を捕捉して糸案内部材60の案内経路へ吹き飛ばし、糸20を当該案内経路に沿って引き出して、第2捕捉部12に捕捉させる。なお、糸案内部材60には図略のスリットが全長にわたって形成されているため、糸20を第2捕捉部12に捕捉させた状態で、当該糸20を糸案内部材60の内部から引っ張り出すことができる。以上により、第2吹送り部48によって糸貯留装置18側の糸20を吹き送って、糸継装置13側に向かって案内することができる。
【0042】
各ワインダユニット2は、制御部25を備えている。制御部25は、図略のCPU、ROM、RAM等のハードウェアを備えている。RAMには、制御プログラム等のソフトウェアが記憶されている。制御部25は、ハードウェアとソフトウェアとの協働により、ワインダユニット2の各構成を制御する。制御部25は、機台制御装置3と通信可能に構成されている。これにより、自動ワインダ1が備えた複数のワインダユニット2の動作を、機台制御装置3において集中的に管理することができる。
【0043】
続いて、第1捕捉部14について詳細に説明する。図3及び図4に示されるように、第1捕捉部14は、ベース70と、本体部72と、吸引部74と、駆動部76と、糸検出部78と、を備えている。以下の説明では、図5及び図6における右を「前」、左を「後」と定義する。
【0044】
ベース70は、例えば、板状の金属部材により成形されている。ベース70は、例えば、L字状を呈している。ベース70は、支持部70aと、固定部70bと、を有している。支持部70aは、吸引部74、駆動部76及び糸検出部78を支持する。固定部70bは、ワインダユニット2のフレームに固定される。
【0045】
本体部72は、ベース70の支持部70aの下面に取り付けられている。本体部72は、吸引部74を往復動可能(摺動自在)に支持する。図5及び図6に示されるように、本体部72には、吸引部74を挿通させる挿通孔72a,72bが設けられている。挿通孔72a,72bは、吸引部74の外形(円形)と同等の形状を呈している。挿通孔72a,72bの径は、吸引部74の外径と略同等である。挿通孔72aと挿通孔72bとは、同軸上に配置されている。
【0046】
本体部72は、中空部72cを有している。中空部72cは、吸引部74が位置する空間を区画して形成している。中空部72cは、挿通孔72aと挿通孔72bとの間に配置されている。また、本体部72は、図示しない負圧源に接続される接続部73を有している。接続部73は、中空部72cと連通する流路73aを有している。これにより、本体部72の中空部72cは、接続部73に接続された負圧源によって負圧とされる。中空部72cは、気密性が確保されている。具体的には、挿通孔72a,72bには、図示しない封止部材(例えば、Oリング)が配置されている。これにより、吸引部74と挿通孔72a,72bとの間から空気が漏洩することが抑制され、中空部72cの気密性が確保されている。
【0047】
吸引部74は、円筒状部材からなる。吸引部74は、本体部72において、吸引部74の軸方向(長手方向)に沿って往復動する。吸引部74の軸方向の一端(前端、先端)には、吸引口74aが設けられている。吸引口74aは、糸20を内部に取り入れる。吸引部74の軸方向の他端(後端)は、例えば、封止部74bにより閉塞されている。吸引部74は、本体部72において、挿通孔72a、中空部72c及び挿通孔72bに亘って位置している。
【0048】
吸引部74は、一端と他端との間に開口部75を有している。開口部75は、例えば、吸引部74の軸方向の略中央部に配置されている。開口部75は、吸引部74の内部(流路)と連通するように、吸引部74の側面を貫通して形成されている。吸引部74は、開口部75の位置により、吸引力が変化する。具体的には、吸引部74は、図5(b)に示されるように、開口部75と中空部72cとが連通する第1位置に位置するときには、第1吸引力となる。吸引部74は、図5(a)に示されるように、開口部75が本体部72の挿通孔72bによって閉塞される第2位置に位置するときには、吸引力が発生しない。吸引部74は、図6(a)に示されるように、開口部75の一部と中空部72cとが連通する第3位置に位置するときには、第1吸引力よりも弱い第2吸引力となる。詳細には、第3位置では、開口部75の開口面積が第1位置の場合と比べて小さくなるため、吸引部74の吸引力が弱くなる。
【0049】
吸引部74には、規制部74cが設けられている。規制部74cは、吸引部74の移動を規制する部材である。規制部74cは、吸引部74の前方側の外周に配置されている。規制部74cは、本体部72の挿通孔72a側に当接することにより、吸引部74の後方側への移動を規制する。
【0050】
駆動部76は、吸引部74を往復動(進退)させる。駆動部76は、モータ80と、駆動力伝達機構81と、を有している。本実施形態では、モータ80は、ステッピングモータである。モータ80は、ベース70の支持部70aの上面に固定されている。モータ80は、回転軸を有している。モータ80の動作は、制御部25により制御される。具体的には、モータ80は、制御部25から出力されるパルス信号に応じて駆動する。
【0051】
駆動力伝達機構81は、モータ80の駆動力を吸引部74に伝達する。駆動力伝達機構81は、モータ80の回転軸の回転を、吸引部74を往復動させる直線動作に変更する。駆動力伝達機構81は、第1可動部82と、第2可動部83と、を有している。第1可動部82は、一端が回転軸に接続されていると共に、他端が吸引部74の他端に設けられた接続部84に接続されている。第2可動部83は、一端が第1可動部82に一体的に接続されていると共に、他端にはベース70の支持部70aに設けられたセンサ部85に駆動力伝達機構81の位置を検知させるための検知部が設けられている。駆動部76は、モータ80の駆動により、吸引部74を往復動させ、吸引部74を第1位置、第2位置及び第3位置に往復直線移動させる。
【0052】
糸検出部78は、糸20を検出する。糸検出部78は、本体部72に取り付けられている。具体的には、糸検出部78は、取付部材79によって本体部72に取り付けられている。糸検出部78は、吸引部74の吸引口74a側に配置されている。これにより、糸検出部78は、吸引部74に吸引された糸20を検出する。
【0053】
上記構成を有する第1捕捉部14は、カッタ16で糸20を切断した際に、切断した糸20の給糸ボビン21側の糸端を吸引して捕捉する。また、第1捕捉部14は、吸引部74の吸引口74aに吸引空気流を発生させることにより、走行する糸20に付着している風綿等を吸引して除去するように構成することもできる。
【0054】
続いて、第1捕捉部14の動作について説明する。図5(a)に示されるように、第1捕捉部14が待機している状態では、吸引部74は、第2位置に位置している。第2位置では、吸引部74は、後方側に位置している(吸引口74aが糸道から離れた位置に位置している)。このとき、開口部75は、挿通孔72bにより閉塞されている。これにより、吸引部74は、開口部75と中空部73cとが連通しないため、その内部に負圧が作用せず、吸引力が発生していない。
【0055】
例えば、糸監視装置17により糸欠陥が検出されてカッタ16により糸20が切断されと、第1吹送り部11は、給糸部6側(給糸ボビン21側)の糸20を上側に吹き送る。第1捕捉部14では、糸20が切断されると、図5(b)に示されるように、駆動部76が吸引部74を第1位置に移動させる。第1位置では、吸引部74は、前方側に位置する(吸引口74aが糸道に近い位置に位置する)。このとき、開口部75は、中空部72c(流路73a)と連通する。これにより、吸引部74は、その内部に負圧が作用し、第1吸引力が発生する。第1吸引力は、糸端を吸引し得る吸引力に設定されている。なお、給糸部6に新しく給糸ボビン21が供給された場合は、補助吹送り部28もほぼ同時に動作して、第1吹送り部11による糸端の吹き送りを補助する。第1吹送り部11によって吹き上げられた糸20は、第1捕捉部14に吸引されて捕捉される。
【0056】
第1捕捉部14では、吸引部74が第1吹送り部11によって送られた糸20の糸端を捕捉すると、図6(a)に示されるように、駆動部76が吸引部74を第3位置に移動させる。第3位置では、吸引部74の一端は、糸検出部78の近傍に位置する。これにより、吸引部74により捕捉された糸20が糸検出部78によって検出される。なお、糸検出部78によって糸20が検出されない場合には、第1捕捉部14では、吸引部74を再度第1位置に移動させ、糸20の捕捉動作が再度行われる。吸引部74が第3位置に位置すると、開口部75の一部は、中空部72cと連通する。これにより、吸引部74は、その内部に負圧が作用し、第1吸引力よりも弱い第2吸引力が発生する。この状態で糸継装置13を動作させて、第1捕捉部14に捕捉された給糸ボビン21側の糸20と、第2捕捉部12に捕捉された糸貯留装置18側の糸20とを繋ぐ。
【0057】
第1捕捉部14では、糸継装置13による糸継動作が完了すると、図6(b)に示されるように、駆動部76が吸引部74を第2位置に移動させる。このとき、開口部75は、挿通孔72bにより閉塞される。これにより、吸引部74は、開口部75と中空部73cとが連通しないため、その内部に負圧が作用せず、吸引力の発生が停止され、糸端の捕捉を解除する。
【0058】
以上説明したように、本実施形態に係るワインダユニット2の第1捕捉部14では、吸引部74は、糸20の糸道に近い第1位置では吸引口74aに吸引力が発生し、糸道から退避した第2位置では吸引口74aに吸引力が発生しない。この構成では、糸端を吸引しないときには、吸引部74を第2位置とすることにより、吸引口74aに吸引力を発生させないようにできる。負圧源は、吸引部74の吸引口74aに吸引空気流が発生しているときに電力が消費され、吸引部74の吸引口74aに吸引空気流が発生していないときには電力の消費が抑えられる。したがって、糸端を捕捉しないときに吸引空気流を発生させない第1捕捉部14では、負圧源における電力の消費を抑制できる。その結果、ワインダユニット2では、効率的な稼働を実現できる。
【0059】
本実施形態では、第1捕捉部14は、吸引部74を往復動させる駆動部76を備えている。駆動部76は、吸引部74を、吸引口74aに吸引力が発生する第1位置と、吸引口74aに吸引力が発生しない第2位置とに移動させる。この構成では、糸端を吸引しないときには、駆動部76によって吸引部74を第2位置に移動させることにより、負圧源における電力の消費をより確実に抑制できる。
【0060】
本実施形態では、本体部72は、吸引部74が位置する空間を区画して形成すると共に負圧源によって負圧となる中空部72cを有している。吸引部74は、軸方向の一端に吸引口74aが設けられていると共に他端が閉塞されており、一端と他端との間に内部と連通する開口部75を有している。駆動部76は、吸引部74を、開口部75と中空部72cとが連通する第1位置と、開口部75が本体部72によって閉塞される第2位置とに移動させる。この構成では、吸引部74を第2位置に移動させることにより、吸引部74の内部に連通する開口部75が閉塞される。そのため、第2位置では吸引部74において吸引力が発生しない。したがって、負圧源における電力の消費を確実に抑制できる。
【0061】
本実施形態では、駆動部76は、吸引部74を、第1位置と第2位置とに加えて、開口部75の一部と中空部72cとが連通することにより第1位置よりも弱い吸引力が吸引口74aに発生する第3位置に移動可能に構成されている。駆動部76は、糸継装置13が糸20を繋ぐときには、吸引部74を第3位置に移動させる。糸継装置13において糸20を繋ぐときには、吸引部74における糸端の吸引を維持する。このとき、吸引部74による糸端の吸引力が大きいと、糸切れが発生することがある。そのため、開口部75の一部と中空部72cとが連通する第3位置に吸引部74を位置させることにより、吸引力を弱くできる。したがって、糸継ぎ時の糸切れを抑制できる。
【0062】
本実施形態では、糸20を切断するカッタ16と、糸20の状態を監視する糸監視装置17と、給糸部6から糸20を引き出して貯留する糸貯留装置18と、を備えている。糸継装置13は、給糸部6と糸貯留装置18との間に配置され、給糸部6と糸貯留装置18との間で分断された糸20を繋ぐ。糸継装置13の下流には、第1捕捉部14と、カッタ16と、糸監視装置17と、糸貯留装置18とがこの順番に配置されている。このような構成によれば、糸監視装置17が糸欠陥を検出し、カッタ16により糸20が分断された場合、第1捕捉部14が分断された糸20を確実に捕捉し、糸継装置13に捕捉した糸を案内することができる。
【0063】
本実施形態では、第1捕捉部14は、吸引口74aに吸引される糸端を検出する糸検出部78を備えている。これにより、吸引部74において糸端が吸引されているか否かを検出できる。
【0064】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。
【0065】
図7に示されるように、他の実施形態に係る第1捕捉部90は、ベース92と、本体部94と、吸引部96と、シャッター98と、糸検出部100と、を備えている。また、第1捕捉部90は、図示しない駆動部を備えている。駆動部は、第1実施形態と同様の構成を有しており、吸引部96を往復動(進退)させる。駆動部としてエアー式のシリンダを採用することもできる。
【0066】
本体部94は、ベース92の下面に取り付けられている。本体部94は、吸引部96を往復動可能(摺動自在)に支持する。
【0067】
吸引部96は、円筒状部材からなる。吸引部96は、本体部94において、吸引部96の軸方向(長手方向)に沿って往復動する。吸引部96の軸方向の一端には、吸引口96aが設けられている。吸引口96aは、糸20を内部に取り入れる。吸引部96の軸方向の他端には、負圧源が接続されている。
【0068】
吸引部96は、駆動部によって、図7に示されるように、シャッター98が開かれて吸引口96aが開放される第1位置と、図8に示されるように、シャッター98によって吸引口96aが閉塞される第2位置と、に移動する。吸引部96は、第1位置に位置するときには、吸引力が発生する。吸引部96は、第2位置に位置するときには、吸引力が発生しない。
【0069】
シャッター98は、吸引部96の移動に伴って吸引口96aを開放又は閉塞する。シャッター98は、吸引部96の一端側に配置されている。シャッター98は、取付部材99によって、ベース92に固定されている。シャッター98は、取付部材99に揺動可能に設けられている。シャッター98は、吸引部96の往復動に応じて揺動する。シャッター98は、図示しない付勢部材によって、反時計回り方向に付勢されている。シャッター98は、吸引部96に押圧されることによって時計回り方向に揺動する。また、シャッター98は、吸引部96との協働により、糸20をクランプする。
【0070】
糸検出部100は、糸20を検出する。糸検出部100は、本体部94に取り付けられている。具体的には、糸検出部100は、取付部材99によって本体部94に取り付けられている。糸検出部100は、吸引部96の吸引口96a側に配置されている。これにより、糸検出部100は、吸引部96に吸引された糸20を検出する。
【0071】
続いて、第1捕捉部90の動作について説明する。図8に示されるように、第1捕捉部90が待機している状態では、吸引部96は、第2位置に位置している。第2位置では、吸引部96は、後方側に位置している(吸引口96aが糸道から離れた位置に位置している)。このとき、吸引部96の吸引口96aは、シャッター98により閉塞されている。これにより、吸引部96の吸引口96aには、吸引力が発生していない。
【0072】
例えば、糸監視装置17により糸欠陥が検出されてカッタ16により糸20が切断されと、第1吹送り部11は、給糸部6側(給糸ボビン21側)の糸20を上側に吹き送る。第1捕捉部14では、糸20が切断されると、図7に示されるように、駆動部によって、吸引部96が第1位置に移動される。第1位置では、吸引部96は、前方側に位置する(吸引口96aが糸道に近い位置に位置している)。このとき、シャッター98は、吸引部96に押圧されて、開いている。これにより、吸引部96は、その内部に負圧が作用し、吸引力が発生する。
【0073】
第1捕捉部90では、吸引部96が第1吹送り部11によって送られた糸20の糸端を捕捉すると、駆動部が吸引部96を第2位置に移動させる。第2位置では、吸引部96の一端は、糸検出部100の近傍に位置する。これにより、吸引部96により捕捉された糸20が糸検出部100によって検出される。なお、糸検出部100によって糸20が検出されない場合には、第1捕捉部90では、吸引部96を再度第1位置に移動させ、糸20の捕捉動作が再度行われる。第2位置では、シャッター98は、吸引部96の吸引口96aを閉塞する。これにより、吸引部96により捕捉された糸20は、吸引部96とシャッター98との協働によりクランプされる。この状態で糸継装置13を動作させて、第1捕捉部90に捕捉された給糸ボビン21側の糸20と、第2捕捉部12に捕捉された糸貯留装置18側の糸20とを繋ぐ。
【0074】
第1捕捉部90では、糸継装置13による糸継動作が完了すると、駆動部が吸引部96を前方に移動させる。これにより、吸引部96とシャッター98とによる糸20のクランプ(糸20の捕捉)が解除される。
【0075】
第1捕捉部90では、吸引部96は、糸20の糸道に近い第1位置では吸引口96aに吸引力が発生し、糸道から退避した第2位置では吸引口96aに吸引力が発生しない。この構成では、糸端を吸引しないときには、吸引部96を第2位置とすることにより、吸引口96aに吸引力を発生させないようにできる。負圧源は、吸引部96の吸引口96aに吸引空気流が発生しているときに電力が消費され、吸引部96の吸引口96aに吸引空気流が発生していないときには電力の消費が抑えられる。したがって、糸端を捕捉しないときに吸引空気流を発生させない第1捕捉部90では、負圧源における電力の消費を抑制できる。その結果、ワインダユニット2では、効率的な稼働を実現できる。
【0076】
上記実施形態では、駆動部76がモータ80と駆動力伝達機構81とを有する形態を一例に説明した。しかし、駆動部は、吸引部74,96を往復動させる構成であればよい。例えば、駆動部には、シリンダ等が用いられてもよい。
【0077】
上記実施形態では、糸貯留装置18を省略し、給糸部6の糸20をパッケージ形成部8で直接巻き取るように構成し、糸20が分断された場合には、パッケージ形成部8から糸20を捕捉して糸継装置13に導入するように構成してもよい。
【0078】
上記実施形態では、給糸部6をトレイ搬送式とする構成に限らず、マガジン式のボビン供給装置から新しい給糸ボビン21の供給を受けるように構成してもよい。この構成において、ボビン供給装置が給糸部6に新しい給糸ボビン21を供給するときに、当該ボビン供給装置が当該給糸ボビン21から糸端を引き出して第1吹送り部11に受け渡すようにすることもできる。この場合、補助吹送り部28を省略することができる。
【0079】
上記実施形態では、パッケージ形成部8の一例として、綾振ドラム24による糸20のトラバースを示したが、これには限定されない。糸20のトラバース方法として、アーム式やベルト式のトラバース機構を採用することもできる。上記実施形態では、ねじりコイルばね(図示しない)を用いたが、種々の弾性部材を用いてもよい。上記実施形態では、チーズ形状のパッケージ30を巻き取ってもよいし、コーン形状のパッケージ30を巻き取ってもよい。各構成の材料及び形状には、上述した材料及び形状に限らず、様々な材料及び形状を採用することができる。
【符号の説明】
【0080】
2…ワインダユニット(糸巻取装置)、6…給糸部、8…パッケージ形成部(巻取部)、11…第1吹送り部(糸端吹送り部)、13…糸継装置、14,90…第1捕捉部(糸捕捉部)、16…カッタ、18…糸貯留装置、20…糸、21…給糸ボビン、72,94…本体部、74,96…吸引部、74a,96a…吸引口、72c…中空部、75…開口部、78,100…糸検出部、98…シャッター。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8