【解決手段】フィルム巻取装置は、巻取アームと、巻取アームが着脱可能に装着される上流側巻取ベースおよび下流側巻取ベースとを備える。巻取アームは、保持ピン挿入孔と保持ローラ係合部とを含む。上流側巻取ベースおよび下流側巻取ベースは、水平方向に移動する本体部材と、巻取アームを保持する第1保持機構部および第2保持機構部とを含む。第1保持機構部および第2保持機構部は、巻取アーム側に突出可能な保持ピンと、回動可能に設けられた一対の保持ローラとを有しており、保持ローラが回動された状態で保持ピンが巻取アームを押圧することにより、保持ローラと保持ローラ係合部とが係合された状態で、保持ピンが保持ピン挿入孔に挿入されて巻取アームを保持するように構成されている。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0017】
−フィルム巻取装置の構成−
まず、
図1を参照して、本実施形態によるフィルム巻取装置100の概略構成について説明する。
【0018】
フィルム巻取装置100は、
図1に示すように、製膜ライン(上流側)から供給されるフィルム150を巻き取るとともに、そのフィルム150を巻き取る巻芯151を切り替え可能に構成されている。なお、フィルム150は、たとえば樹脂製の帯状フィルムである。
【0019】
フィルム巻取装置100は、上流側巻取ベース11および下流側巻取ベース12と、上流側巻取ベース11および下流側巻取ベース12にそれぞれ着脱可能に装着される巻取アーム13と、上流側タッチローラベース14および下流側タッチローラベース15と、上流側タッチローラベース14および下流側タッチローラベース15にそれぞれ着脱可能に装着されるタッチローラアーム16とを備えている。
【0020】
なお、上流側巻取ベース11、下流側巻取ベース12、巻取アーム13、上流側タッチローラベース14、下流側タッチローラベース15、および、タッチローラアーム16は、フィルム150の幅方向(巻芯151の軸方向)の両端にそれぞれ設けられている。すなわち、これらは、フィルム150の幅方向において対向するように設けられているが、
図1では片側のみを示している。
【0021】
上流側巻取ベース11は、水平方向(Y1およびY2方向)に移動可能に設けられている。この上流側巻取ベース11は、装着された巻取アーム13を垂直方向(Z1およびZ2方向)に移動可能であり、装着された巻取アーム13を下流側巻取ベース12に受け渡し可能に構成されている。
【0022】
下流側巻取ベース12は、上流側巻取ベース11よりも下流側(Y1方向側)に配置され、水平方向に移動可能に設けられている。この下流側巻取ベース12は、装着された巻取アーム13を垂直方向に移動可能であり、装着された巻取アーム13を上流側巻取ベース11に受け渡し可能に構成されている。
【0023】
巻取アーム13は、巻取軸50を回転可能に支持するように構成されている。この巻取軸50には、円筒状の巻芯151が嵌め込まれており、その巻芯151が巻取軸50に保持されている。すなわち、巻取軸50が回転されると、巻取軸50とともに巻芯151が回転されるようになっている。つまり、巻取アーム13は、巻取軸50を回転させることにより、フィルム150を巻芯151に巻き取るように構成されている。なお、本実施形態では、巻取軸50が
図1において反時計回りに回転されることにより、フィルム150の上面が内側に配置されるように巻き取る下巻取りが行われる。
【0024】
上流側タッチローラベース14は、上流側巻取ベース11および下流側巻取ベース12の下方に配置されている。この上流側タッチローラベース14は、装着されたタッチローラアーム16を垂直方向に移動可能であり、装着されたタッチローラアーム16を下流側タッチローラベース15に受け渡し可能に構成されている。なお、上流側タッチローラベース14は、水平方向に移動しないように固定されている。
【0025】
下流側タッチローラベース15は、上流側巻取ベース11および下流側巻取ベース12の下方に配置されている。この下流側タッチローラベース15は、上流側タッチローラベース14よりも下流側に配置され、水平方向に移動可能に設けられている。また、下流側タッチローラベース15は、装着されたタッチローラアーム16を垂直方向に移動可能であり、装着されたタッチローラアーム16を上流側タッチローラベース14に受け渡し可能に構成されている。
【0026】
タッチローラアーム16は、タッチローラ16aを回転可能に支持するように構成されている。このタッチローラ16aは、フィルム150の下面に接触され、そのフィルム150を巻芯151に押圧するために設けられている。
【0027】
また、フィルム巻取装置100には、フィルム150を搬送するための複数のローラ17が設けられるとともに、巻芯151の切替時にフィルム150を切断するための切断装置(図示省略)が設けられている。また、フィルム巻取装置100には、フィルム150の巻き取りが終了されたロール152(
図17参照)を載置するための荷台18が設けられている。
【0028】
[巻取アーム]
次に、
図2および
図3を参照して、フィルム巻取装置100の巻取アーム13の構造について説明する。なお、
図2は、巻取アーム13を上流側から見た図であり、
図3は、巻取アーム13を下流側から見た図である。
【0029】
巻取アーム13は、
図2および
図3に示すように、フィルム150の幅方向(X1およびX2方向)において対向するように配置されており、その対向する2つの巻取アーム13により1つの巻取ユニット25を構成している。なお、このフィルム巻取装置100には、上流側巻取ベース11および下流側巻取ベース12にそれぞれ着脱可能に装着されるように、2つの巻取ユニット25が設けられている。
【0030】
巻取ユニット25を構成する2つの巻取アーム13は、連結部材26により連結されている。巻取ユニット25は、巻取軸50を回転可能に支持するとともに、その巻取軸50を取り外し可能に構成されている。
【0031】
各巻取アーム13は、本体部材131と、巻取軸50の端部を支持するチャック部132とを含んでいる。なお、チャック部132は、本体部材131の内側面(連結部材26が接続される側面)に設けられている。
【0032】
本体部材131には、4つの保持ピン挿入孔133が設けられるとともに、各保持ピン挿入孔133に対応して一対の保持ローラ係合部134が設けられている。一対の保持ローラ係合部134は、対応する保持ピン挿入孔133を垂直方向において挟み込むように配置されている。すなわち、保持ピン挿入孔133の上方および下方に保持ローラ係合部134が配置され、それらが垂直方向に連なるように配置されている。保持ローラ係合部134は、垂直方向から見て矩形環状に形成されている。
【0033】
4つの保持ピン挿入孔133は、本体部材131の上流側の側面131aに配置される保持ピン挿入孔133aおよび133b(
図2参照)と、本体部材131の下流側の側面131bに配置される保持ピン挿入孔133cおよび133d(
図3参照)とを有する。保持ピン挿入孔133aおよび133bは、同じ高さ位置に配置され、保持ピン挿入孔133aが内側に配置され、保持ピン挿入孔133bが外側に配置されている。保持ピン挿入孔133cおよび133dは、同じ高さ位置に配置され、保持ピン挿入孔133cが内側に配置され、保持ピン挿入孔133dが外側に配置されている。また、保持ピン挿入孔133aおよび133cは、フィルム150の流れ方向(Y1方向)から見て対応する位置に配置され、保持ピン挿入孔133bおよび133dは、フィルム150の流れ方向から見て対応する位置に配置されている。
【0034】
4つの一対の保持ローラ係合部134は、保持ピン挿入孔133a〜133dとそれぞれ対応する保持ローラ係合部134a〜134dを有する。
【0035】
[上流側巻取ベース]
次に、
図4および
図5を参照して、フィルム巻取装置100の上流側巻取ベース11の構造について説明する。
【0036】
上流側巻取ベース11は、
図4および
図5に示すように、フィルム150の幅方向において対向するように配置され、連結部材により連結されている。上流側巻取ベース11は、水平方向に移動する本体部材111と、本体部材111に設けられる保持機構部112とを含んでいる。
【0037】
本体部材111は、サイドフレーム20に設けられたガイドレール20aに沿って水平方向に移動するように構成されている。保持機構部112は、
図5に示すように、本体部材111の内側に配置される保持機構部112aと、本体部材111の外側に配置される保持機構部112bとを含んでいる。保持機構部112aは、本体部材111に固定され、保持機構部112bは、本体部材111に対して昇降するように構成されている。そして、一対の上流側巻取ベース11には、4つの保持機構部112が設けられており、内側の2つの保持機構部112aが同じ高さ位置で固定され、外側の2つの保持機構部112bが同期して昇降されるようになっている。なお、保持機構部112aおよび112bは、それぞれ、本発明の「第1保持機構部」および「第2保持機構部」の一例である。
【0038】
保持機構部112bは、保持機構部112aと同じ高さ位置から上方に移動可能である。この保持機構部112bを昇降させるために本体部材111には、
図4に示すように、保持機構部112bをガイドするガイドレール111aと、保持機構部112bを移動させるためのリードスクリュー111bとが設けられている。
【0039】
保持機構部112bは、リードスクリュー111bが挿入されるリード挿入部1121が設けられており、リードスクリュー111bの回転によってガイドレール111aに沿って垂直方向に移動するように構成されている。
【0040】
[下流側巻取ベース]
次に、
図4を参照して、フィルム巻取装置100の下流側巻取ベース12の構造について説明する。
【0041】
下流側巻取ベース12は、
図4に示すように、フィルム150の幅方向において対向するように配置され、連結部材により連結されている。下流側巻取ベース12は、水平方向に移動する本体部材121と、本体部材121に設けられる保持機構部122とを含んでいる。
【0042】
本体部材121は、サイドフレーム20に設けられたガイドレール20bに沿って水平方向に移動するように構成されている。保持機構部122は、本体部材121の内側に配置される保持機構部122aと、本体部材121の外側に配置される保持機構部122bとを含んでいる。保持機構部122aは、本体部材121に固定され、保持機構部122bは、本体部材121に対して昇降するように構成されている。そして、一対の下流側巻取ベース12には、4つの保持機構部122が設けられており、内側の2つの保持機構部122aが同じ高さ位置で固定され、外側の2つの保持機構部122bが同期して昇降されるようになっている。なお、保持機構部122aは、保持機構部112aと同じ高さ位置に配置されている。また、保持機構部122aおよび122bは、それぞれ、本発明の「第1保持機構部」および「第2保持機構部」の一例である。
【0043】
保持機構部122bは、保持機構部122aと同じ高さ位置から上方に移動可能である。この保持機構部122bを昇降させるために本体部材121には、保持機構部122bをガイドするガイドレール121aと、保持機構部122bを移動させるためのリードスクリュー121bとが設けられている。
【0044】
保持機構部122bは、リードスクリュー121bが挿入されるリード挿入部1221が設けられており、リードスクリュー121bの回転によってガイドレール121aに沿って垂直方向に移動するように構成されている。
【0045】
[保持機構部]
次に、
図6〜
図11を参照して、上流側巻取ベース11の保持機構部112および下流側巻取ベース12の保持機構部122の構造について説明する。なお、保持機構部122は、保持機構部112とほぼ同様に構成されているため、保持機構部112との相違点についてのみ説明する。
【0046】
保持機構部112は、
図6に示すように、箱状のボディ30と、巻取アーム13側に突出可能な保持ピン31と、回動可能に設けられた一対の保持ローラ32とを含んでいる。そして、保持機構部112は、保持ローラ32と巻取アーム13の保持ローラ係合部134とが係合された状態で、保持ピン31が巻取アーム13の保持ピン挿入孔133に挿入されることにより、巻取アーム13が装着されるようになっている。
【0047】
保持機構部112では、ボディ30の下流側(Y1方向側)に保持ピン31および保持ローラ32が設けられている。なお、保持機構部122では、ボディ30の上流側(Y2方向側)に保持ピン31および保持ローラ32が設けられている。この保持ローラ32は、たとえばローラフォロア(ヨーク形トラックローラ)であり、後述する軸部に転動体を介して外輪が組み付けられ、外輪が軸部に対して回転自在である。一対の保持ローラ32は、ボディ30の上端部および下端部にそれぞれ設けられており、保持ピン31を垂直方向において挟み込むように配置されている。すなわち、一対の保持ローラ32は、上方の保持ローラ32aと、下方の保持ローラ32bとにより構成されている。
【0048】
保持ピン31は、
図7および
図8に示すように、ケーシング311と、ケーシング311内に設けられたピストン312と、ピストン312の先端に設けられたラグ313とを有する。なお、
図7は、保持ピン31がボディ30に収納された状態(突出前の状態)を示し、
図8は、ボディ30から保持ピン31が突出された状態を示している。
【0049】
ケーシング311は、ボディ30に設けられたブッシュ30aに摺動可能に支持されている。このケーシング311は、図示省略したエアシリンダによって軸方向に移動可能に構成されている。ケーシング311の外周面には、貫通孔311aが形成されている。また、ケーシング311には、巻取アーム13と当接する当接部材311bが設けられ、この当接部材311bは、外周がラグ313よりも大きく外側に張り出すように形成されている。ピストン312は、ケーシング311内を軸方向に移動可能であり、図示省略したエアシリンダによって作動するように構成されている。このピストン312は、先端がテーパ状(先窄まり状)に形成され、外周面に凹部312aが形成されている。ラグ313は、ピストン312の軸方向への移動に応じて径方向に移動するように構成されている。
【0050】
そして、保持ピン31が保持ピン挿入孔133に挿入された状態で、ラグ313が径方向に突出されることにより、そのラグ313が保持ピン挿入孔133の内周面を押圧するようになっている。すなわち、保持ピン31は、保持ピン挿入孔133を内周面から保持するように構成されている。
【0051】
ここで、ボディ30には、ケーシング311およびラグ313の突出状態を維持するための保持ピン用ストッパ33が設けられている。この保持ピン用ストッパ33は、保持ピン31を作動させるエアが過渡的に抜けたとしても、保持ピン31による巻取アーム13の保持が解除されるのを防止するために設けられている。保持ピン用ストッパ33は、係合ピン331と、係合ピン331を移動させるためのエアシリンダ332とを有し、係合ピン331が保持ピン31の軸方向と直交する方向に移動するように構成されている。そして、保持ピン用ストッパ33では、
図8に示すように、ケーシング311およびラグ313が突出されているときに、係合ピン331がケーシング311の貫通孔311aに挿入されるとともに、ピストン312の凹部312aに配置されることにより、ケーシング311およびラグ313(ピストン312)の移動が規制されるようになっている。なお、
図7に示すように、保持ピン31がボディ30に収納されているときには、係合ピン331がブッシュ30aの内周面の外側に退避されている。
【0052】
保持ローラ32aおよび32bは、
図6の仮想線で示すように、回動軸351および361に対してほぼ下方に配置されている。そして、保持ローラ32aおよび32bは、回動されると、
図6の実線で示すように、回動軸351および361とほぼ同じ高さ位置まで上昇されるようになっている。2つの保持ローラ32は、1つのエアシリンダ34により同時に回動されるように設けられている。
【0053】
具体的には、保持ローラ32aは、
図9に示すように、アーム351aの先端に設けられた軸部に取り付けられ、アーム351aの基端には、保持ローラ32aの回動軸351が設けられている。なお、保持ローラ32aは、アーム351aを挟み込むように同軸上に2つ設けられている。回動軸351は、ボディ30に回転可能に支持され、一端にかさ歯車351bが設けられている。このかさ歯車351bは、垂直方向に延びるシャフト352の上端に設けられたかさ歯車352aと噛み合っている。シャフト352は、ボディ30に回転可能に支持され、下端にかさ歯車352bが設けられている。
【0054】
また、保持ローラ32bは、アーム361aの先端に設けられた軸部に取り付けられ、アーム361aの基端には、保持ローラ32bの回動軸361が設けられている。なお、保持ローラ32bは、アーム361aを挟み込むように同軸上に2つ設けられている。回動軸361は、ボディ30に回転可能に支持され、一端にかさ歯車361bが設けられている。このかさ歯車361bは、垂直方向に延びるシャフト362の下端に設けられたかさ歯車362aと噛み合っている。シャフト362は、ボディ30に回転可能に支持され、上端にかさ歯車362bが設けられている。
【0055】
そして、
図6に示すように、エアシリンダ34は、リンク341を介してシャフト342の一端に連結され、そのシャフト342を回動させる機能を有する。シャフト342は、ボディ30に回転可能に支持され、他端にかさ歯車342aが設けられている。このかさ歯車342aは、上側でかさ歯車352bと噛み合うとともに、下側でかさ歯車362bと噛み合っている。すなわち、エアシリンダ34により回動されるシャフト342は、保持ローラ32aの回動軸351および保持ローラ32bの回動軸361に連結されている。このため、エアシリンダ34によりシャフト342が回動されると、シャフト352を介して保持ローラ32aの回動軸351が回動されるとともに、シャフト362を介して保持ローラ32bの回動軸361が回動されるようになっている。
【0056】
ここで、ボディ30には、
図10および
図11に示すように、保持ローラ32が上昇した状態で維持するための保持ローラ用ストッパ37が設けられている。この保持ローラ用ストッパ37は、故障等の発生時に巻取アーム13が落下するのを防止するために設けられている。なお、以下では、上方の保持ローラ32aの移動を規制する保持ローラ用ストッパ37について説明するが、下方の保持ローラ32bの移動を規制する保持ローラ用ストッパも同様に設けられている。
【0057】
保持ローラ用ストッパ37は、シャフト371と、シャフト371を移動させるためのエアシリンダ372とを含んでいる。シャフト371は、保持ローラ32aのアーム351aを逃がす逃がし部371aと、アーム351aに設けられた係合部351c(
図6参照)を受け止める受け止め部371bとを有する。逃がし部371aおよび受け止め部371bは、軸方向において隣接するように設けられている。逃がし部371aは、シャフト371のほぼ半分が切り欠かれることにより形成され、受け止め部371bは、シャフト371のほぼ1/4が切り欠かれることにより形成されている。そして、逃がし部371aの切り欠かれた領域がアーム351a側に配置され、受け止め部371bの切り欠かれた領域がアーム351a側の下方に配置されている。
【0058】
これにより、
図10に示すように、シャフト371が一方側(X1方向側)に配置される場合には、アーム351aがシャフト371に干渉されることなく、回動することが可能である。そして、
図6の実線で示すように、アーム351aが回動されることにより、係合部351cが水平になった状態で、
図11に示すように、エアシリンダ372によりシャフト371が他方側(X2方向側)に移動されると、シャフト371の受け止め部371bが係合部351cの上方に配置される。これにより、受け止め部371bに対して係合部351cを係合可能な状態になり、上昇した保持ローラ32aの下方への移動が規制されるようになっている。
【0059】
−フィルム巻取装置の動作−
次に、
図1および
図12〜
図17を参照して、本実施形態によるフィルム巻取装置100の動作について説明する。
【0060】
なお、フィルム巻取装置100によるフィルム150の巻取時には、
図1に示すように、上流側巻取ベース11が上流側(Y2方向側)に配置され、下流側巻取ベース12および下流側タッチローラベース15が下流側(Y1方向側)に配置される。上流側タッチローラベース14に装着されたタッチローラアーム16が上側に配置され、下流側タッチローラベース15に装着されたタッチローラアーム16が下側に配置される。
【0061】
このとき、上流側巻取ベース11では、本体部材111に固定された保持機構部112a(
図5参照)により巻取アーム13が保持されており、昇降可能な保持機構部112b(
図5参照)が巻取アーム13を保持していない状態で上側に配置されている。また、下流側巻取ベース12では、昇降可能な保持機構部122b(
図4参照)が巻取アーム13を保持した状態で上側に配置され、本体部材121に固定された保持機構部122a(
図4参照)が巻取アーム13を保持していない。
【0062】
具体的には、上流側巻取ベース11の内側の2つの保持機構部112aでは、保持ローラ32(
図6参照)が回動されて保持ローラ係合部134a(
図2参照)に係合されるとともに、保持ピン31(
図8参照)が保持ピン挿入孔133a(
図2参照)に挿入され、ラグ313がその保持ピン挿入孔133aの内面を押圧している。このとき、
図8に示すように、保持ピン用ストッパ33により、ラグ313およびケーシング311の移動が規制される。また、
図11に示すように、保持ローラ用ストッパ37により、保持ローラ32の移動が規制される。
【0063】
同様に、下流側巻取ベース12の外側の2つの保持機構部122bでは、保持ローラ32が回動されて保持ローラ係合部134d(
図3参照)に係合されるとともに、保持ピン31が保持ピン挿入孔133d(
図3参照)に挿入され、ラグ313がその保持ピン挿入孔133dの内面を押圧している。このとき、保持ピン用ストッパ33により、ラグ313およびケーシング311の移動が規制され、保持ローラ用ストッパ37により、保持ローラ32の移動が規制される。
【0064】
まず、
図1に示すように、製膜ライン(上流側)から供給されるフィルム150が複数のローラ17により、上流側巻取ベース11に装着された巻取アーム13の巻取軸50に嵌め込まれた巻芯151と、上流側タッチローラベース14に装着されたタッチローラアーム16のタッチローラ16aとの間に搬送される。そして、上流側巻取ベース11の巻芯151にフィルム150が巻き取られる。このとき、フィルム150の下面がタッチローラ16aにより押圧された状態で、巻芯151が
図1において反時計回りに回転されており、フィルム150の上面が内側に配置されるように巻き取られる。すなわち、フィルム巻取装置100では下巻取りが行われる。
【0065】
そして、
図12に示すように、フィルム150の巻き取りに起因する巻き径の増大に応じて上流側巻取ベース11が下流側(Y1方向側)に移動する。具体的には、上流側巻取ベース11の本体部材111(
図4参照)がガイドレール20aに沿って下流側に移動する。
【0066】
その後、巻芯151の切り替えが開始されると、まず、
図13に示すように、下流側巻取ベース12および下流側タッチローラベース15が上流側(Y2方向側)に移動する。これにより、上流側巻取ベース11に装着された巻取アーム13が下流側巻取ベース12に隣接配置されるとともに、下流側巻取ベース12に装着された巻取アーム13が上流側巻取ベース11に隣接配置される。同様に、上流側タッチローラベース14に装着されたタッチローラアーム16が下流側タッチローラベース15に隣接配置されるとともに、下流側タッチローラベース15に装着されたタッチローラアーム16が上流側タッチローラベース14に隣接配置される。
【0067】
そして、
図14に示すように、上流側巻取ベース11に装着されていた巻取アーム13(下側の巻取アーム13)が下流側巻取ベース12に受け渡されるとともに、下流側巻取ベース12に装着されていた巻取アーム13(上側の巻取アーム13)が上流側巻取ベース11に受け渡される。
【0068】
具体的に、上側の巻取アーム13の受け渡し動作としては、上流側巻取ベース11の外側の2つの保持機構部112bに巻取アーム13が装着された後に、下流側巻取ベース12の外側の2つの保持機構部122bにおいて巻取アーム13の装着が解除される。
【0069】
まず、上流側巻取ベース11の外側の2つの保持機構部112bにおいて、
図6に示すように、エアシリンダ34によってシャフト342が回動されることにより、シャフト352を介して保持ローラ32aの回動軸351が回動されるとともに、シャフト362(
図9参照)を介して保持ローラ32bの回動軸361が回動される。これにより、保持ローラ32aおよび32bが上昇され、その保持ローラ32aおよび32bが保持ローラ係合部134b(
図2参照)内に配置される。
【0070】
そして、図示省略したエアシリンダによって保持ピン31が下流側に突出されることにより、保持ピン31が保持ピン挿入孔133b(
図2参照)に挿入される。このとき、保持ピン31の当接部材311b(
図8参照)が巻取アーム13の上流側の側面131a(
図4参照)に当接され、その保持ピン31により巻取アーム13が下流側に押圧される。これにより、保持ローラ32aおよび32bと保持ローラ係合部134bの内側面とが係合され、保持機構部112bに対して巻取アーム13が位置決めされる。すなわち、巻取アーム13の側面131aが垂直方向を向くように位置決めされる。その後、図示省略したエアシリンダによりピストン312(
図8参照)が作動され、ラグ313(
図8参照)が径方向に突出される。このため、ラグ313が保持ピン挿入孔133bの内周面を押圧することにより、保持ピン31によって保持ピン挿入孔133bが保持される。
【0071】
また、保持ローラ用ストッパ37では、
図11に示すように、エアシリンダ372によりシャフト371が移動されることにより、保持ローラ32aのアーム351aの係合部351cがシャフト371の受け止め部371bに係合可能な状態になる。なお、保持ローラ32bについても同様である。また、保持ピン用ストッパ33では、
図8に示すように、エアシリンダ332により係合ピン331が移動され、その係合ピン331がケーシング311の貫通孔311aおよびピストン312の凹部312aに挿入される。これにより、保持ピン31および保持ローラ32による巻取アーム13の保持が解除されないようになっている。このようにして、上側の巻取アーム13が上流側巻取ベース11の外側の保持機構部112bに装着される。
【0072】
その後、下流側巻取ベース12の外側の2つの保持機構部122bにおいて、保持ローラ用ストッパ37および保持ピン用ストッパ33が解除される。具体的には、保持ローラ用ストッパ37では、
図10に示すように、エアシリンダ372によりシャフト371が移動されることにより、係合部351cの位置する領域から受け止め部371bが退避され、アーム351aと対応する位置に逃がし部371aが配置される。また、保持ピン用ストッパ33では、
図7に示すように、エアシリンダ332により係合ピン331が移動され、その係合ピン331がブッシュ30aの外側に退避される。これにより、保持ローラ32および保持ピン31が移動可能な状態になる。
【0073】
保持ピン31では、ピストン312が戻されることによりラグ313が退避される。これにより、ラグ313による保持ピン挿入孔133d(
図3参照)の内周面の押圧が解除される。そして、ケーシング311(保持ピン31)がボディ30内に収納される。
【0074】
また、保持ローラ32では、エアシリンダ34によってシャフト342が回動されることにより、シャフト352を介して保持ローラ32aの回動軸351が回動されるとともに、シャフト362を介して保持ローラ32bの回動軸361が回動される。これにより、保持ローラ32が下降され、その保持ローラ32と保持ローラ係合部134d(
図3参照)との係合が解除される。このようにして、上側の巻取アーム13が下流側巻取ベース12の外側の保持機構部122bから取り外される。
【0075】
同様に、下側の巻取アーム13の受け渡し動作としては、下流側巻取ベース12の内側の2つの保持機構部122aに巻取アーム13が装着された後に、上流側巻取ベース11の内側の2つの保持機構部112aにおいて巻取アーム13の装着が解除される。なお、下流側巻取ベース12の内側の保持機構部122aでは、保持ピン31が保持ピン挿入孔133c(
図3参照)に挿入されるとともに、保持ローラ32が保持ローラ係合部134c(
図3参照)に係合される。
【0076】
また、上流側タッチローラベース14に装着されていたタッチローラアーム16(上側のタッチローラアーム16)が下流側タッチローラベース15に受け渡されるとともに、下流側タッチローラベース15に装着されていたタッチローラアーム16(下側のタッチローラアーム16)が上流側タッチローラベース14に受け渡される。
【0077】
そして、
図15に示すように、下流側タッチローラベース15に受け渡されたタッチローラ16aにより押圧されるフィルム150が下流側巻取ベース12に受け渡された巻芯151により巻き取られながら、下流側巻取ベース12および下流側タッチローラベース15が下流側に移動する。また、上流側巻取ベース11が上流側に移動する。これにより、巻き取りを行っている巻芯151が下流側に配置されるとともに、新しい巻芯151が上流側に配置される。
【0078】
その後、
図16に示すように、上流側巻取ベース11に装着された巻取アーム13が下降されるとともに、上流側タッチローラベース14に装着されたタッチローラアーム16が上昇される。これにより、上流側タッチローラベース14のタッチローラ16aによりフィルム150が上流側巻取ベース11の新しい巻芯151に押圧される。
【0079】
そして、図示省略した切断装置によりフィルム150が切断され、その切断されたフィルム150が上流側巻取ベース11に装着された巻取アーム13の新しい巻芯151に巻き付けられる。なお、新しい巻芯151は反時計回りに回転されており、新しい巻芯151によってフィルム150が巻き取られる。このようにして、フィルム150を巻き取りながら、フィルム150を巻き取る巻芯151が切り替えられる。すなわち、このフィルム巻取装置100では、巻芯151が切り替えられる際に、巻芯151が直線的に移動されている間も、フィルム150の巻き取りが停止されることなく行われるようになっている。
【0080】
そして、上流側巻取ベース11では、巻き取りを行っている巻取アーム13が内側の保持機構部112aにより保持される。すなわち、本体部材111に固定された保持機構部112aにより巻取アーム13が保持される。そして、昇降可能な外側の保持機構部112bが巻取アーム13の保持を解除して上側に移動する。
【0081】
その後、
図17に示すように、下流側タッチローラベース15に装着されたタッチローラアーム16が下降され、下流側タッチローラベース15が次回の巻芯151の切り替えまで待機する。また、下流側巻取ベース12が下流側(Y1方向側)に移動するとともに、荷台18が上昇する。これにより、フィルム150の巻き取りが終了されたロール152が荷台18に受け渡される。
【0082】
また、ロール152から巻取軸50が引き抜かれ、荷台18からロール152が排出される。そして、巻取軸50に新しい巻芯151が嵌め込まれ、その巻取軸50が下流側巻取ベース12の巻取アーム13に保持される。また、下流側巻取ベース12では、外側の保持機構部122bにより巻取アーム13が保持され、内側の保持機構部122aによる巻取アーム13の保持が解除される。そして、昇降可能な保持機構部122bが上昇することにより、巻取アーム13が上側に配置される。
【0083】
以上の動作が繰り返し行われることにより、巻芯151の切り替えを行いながら、フィルム150が連続的に巻き取られる。
【0084】
−効果−
本実施形態では、上記のように、巻取アーム13の保持ピン挿入孔133に挿入される保持ピン31と、巻取アーム13の保持ローラ係合部134に係合される保持ローラ32とを保持機構部112(122)に設けることによって、保持ローラ32と保持ローラ係合部134とが係合されることにより巻取アーム13が位置決めされた状態、すなわち巻取アーム13の本体部材131の上端部および下端部で位置決めされた状態で、保持ピン31が保持ピン挿入孔133に挿入されて巻取アーム13を保持するので、保持機構部112(122)に対する巻取アーム13の位置精度の向上を図ることができる。すなわち、荷重の大きい巻取アーム13の側面131a(131b)を保持機構部112(122)が保持する際に、その側面131a(131b)が垂直方向を向くように適切に位置決めすることができる。したがって、巻き取りを安定した状態で行うことができるので、巻取品質の向上を図ることができる。また、保持ローラ32および保持ローラ係合部134の係合と、保持ピン31の当接部材311bの当接とにより位置決めすることによって、位置決めの際に接触する接触部が摩耗するのを抑制するとともに、摩耗したとしても位置決め精度の低下を抑制することができる。すなわち、接触部が摩耗したとしても、その摩耗量が同じであれば、側面131a(131b)が垂直方向を向くように適切に位置決めすることができる。したがって、フィルム巻取装置100の耐久性の向上を図ることができる。
【0085】
また、本実施形態では、保持ローラ32aの回動軸351および保持ローラ32bの回動軸361がかさ歯車342aに連結されることによって、保持ローラ32aおよび32bを同期させた状態で回動させることができる。
【0086】
また、本実施形態では、保持ローラ用ストッパ37を設けることによって、保持ローラ32を回動させるためのエアが抜けたとしても、アーム351aの係合部351cがシャフト371の受け止め部371bに係合されるので、アーム351aの先端の下方への移動が規制される。これにより、保持ピン31が抜けるなどの故障が発生したとしても、アーム351aおよび361aにより巻取アーム13を支持することができるので、巻取アーム13の落下を防止することができる。したがって、安全性の向上を図ることができる。
【0087】
また、本実施形態では、保持ピン用ストッパ33を設けることによって、たとえば、保持ピン31を作動させるエアが過渡的に抜けたとしても、ケーシング311の貫通孔311aおよびピストン312の凹部312aが係合ピン331に係合されるので、保持ピン31による巻取アーム13の保持が解除されるのを防止することができる。したがって、保持ピン31を作動させるエアが過渡的に抜けたとしても、巻き取りを継続して行うことができるので、信頼性の向上を図ることができる。
【0088】
また、本実施形態では、巻芯151の切り替え時以外の通常時には、本体部材111に固定された保持機構部112aが巻取アーム13を保持することによって、巻き取りを行う巻取アーム13を昇降可能な保持機構部112bで保持する場合に比べて、巻き取りを安定した状態で行うことができる。なお、巻芯151の切り替え時に、下流側巻取ベース12では、本体部材121に固定された保持機構部122aが巻取アーム13を保持することによっても、巻き取りの安定化を図ることができる。
【0089】
−他の実施形態−
なお、今回開示した実施形態は、すべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。したがって、本発明の技術的範囲は、上記した実施形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、本発明の技術的範囲には、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0090】
たとえば、本実施形態では、上流側タッチローラベース14および下流側タッチローラベース15が上流側巻取ベース11および下流側巻取ベース12の下方に配置され、下巻取りを行うフィルム巻取装置100に本発明を適用する例を示したが、これに限らず、上流側タッチローラベースおよび下流側タッチローラベースが上流側巻取ベースおよび下流側巻取ベースの上方に配置され、上巻取りを行うフィルム巻取装置に本発明を適用してもよい。
【0091】
また、本実施形態では、保持ローラ32がローラフォロアである例を示したが、これに限らず、保持ローラがカムフォロアなどであってもよい。
に示すように、エアシリンダ34は、リンク341を介してシャフト342の一端に連結され、そのシャフト342を回動させる機能を有する。シャフト342は、ボディ30に回転可能に支持され、他端にかさ歯車342aが設けられている。このかさ歯車342aは、上側でかさ歯車352bと噛み合うとともに、下側でかさ歯車362bと噛み合っている。すなわち、エアシリンダ34により回動されるシャフト342は、保持ローラ32aの回動軸351および保持ローラ32bの回動軸361に連結されている。このため、エアシリンダ34によりシャフト342が回動されると、シャフト352を介して保持ローラ32aの回動軸351が回動されるとともに、シャフト362を介して保持ローラ32bの回動軸361が回動されるようになっている。