(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-81758(P2017-81758A)
(43)【公開日】2017年5月18日
(54)【発明の名称】エレベータシステムおよび保守安全アセンブリ
(51)【国際特許分類】
B66B 5/00 20060101AFI20170414BHJP
【FI】
B66B5/00 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】23
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-207957(P2016-207957)
(22)【出願日】2016年10月24日
(31)【優先権主張番号】62/244,999
(32)【優先日】2015年10月22日
(33)【優先権主張国】US
(71)【出願人】
【識別番号】591020353
【氏名又は名称】オーチス エレベータ カンパニー
【氏名又は名称原語表記】OTIS ELEVATOR COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【弁理士】
【氏名又は名称】富岡 潔
(72)【発明者】
【氏名】ケネス ピー.リッテラル
(72)【発明者】
【氏名】カート ジェイ.フレイ
【テーマコード(参考)】
3F304
【Fターム(参考)】
3F304BA02
3F304BA05
3F304BA22
3F304ED06
3F304ED07
3F304ED15
(57)【要約】
【課題】エレベータかごが点検または設置のための安全が確保されていないことをエレベータの整備士に警告する。
【解決手段】エレベータシステムで使用するための点検警報装置(32a)であって、少なくとも1つの安全信号を受信するように構成された制御盤(34a)と、制御盤(34a)と通信する警報装置(36a)とが含まれ、制御盤(34a)は、少なくとも1つの安全信号に基づいて警報装置を作動するように構成されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベータピットと、昇降路のドアを含む最も下の乗場とを含むエレベータシャフトと、
前記エレベータシャフト内に配設され、前記エレベータシャフト内を移動するように構成されたエレベータかごと、
前記エレベータかごと通信し、前記エレベータかごの移動を制御するように構成されたエレベータ駆動装置と、
前記エレベータ駆動装置と通信し、点検モードにおいて、前記エレベータかごの移動を制御するように構成されたエレベータ安全装置と、
前記エレベータ安全装置と通信する点検警報装置であって、
少なくとも1つの安全信号を受信するように構成された制御装置と、
前記制御装置と通信する警報装置とを備え、
前記制御装置が、前記少なくとも1つの安全信号に基づいて前記警報装置に少なくとも1つの警報信号を送信するように構成された点検警報装置とを備えるエレベータシステム。
【請求項2】
前記エレベータ安全装置が、前記エレベータピット内に配置され第1の安全信号を送信するように構成された第1の切り換え装置を備える、請求項1に記載のエレベータシステム。
【請求項3】
前記点検警報装置と通信し、前記最も下の乗場に配置され、第2の安全信号を送信するように構成された第1の感知装置と、
前記点検警報装置と通信し、前記昇降路のドアに配置され、第3の安全信号を送信するように構成された第2の感知装置とをさらに備える、請求項1または2に記載のエレベータシステム。
【請求項4】
前記点検警報装置が、前記第2の安全信号と前記第3の安全信号がアクティブであり、前記第1の安全信号がイナクティブである場合、警報信号を作動するように構成される、請求項3に記載のエレベータシステム。
【請求項5】
前記エレベータピットに隣接して配置されたアクセス開口と、
前記点検警報装置と通信し、前記アクセス開口上に配置され、第4の安全信号を送信するように構成された第3の感知装置とをさらに備える、請求項1または2に記載のエレベータシステム。
【請求項6】
前記点検警報装置は、前記第4の安全信号がアクティブであり、前記第1の安全信号がイナクティブである場合、少なくとも1つの警報信号を作動するように構成される、請求項5に記載のエレベータシステム。
【請求項7】
前記点検警報装置はさらに、前記制御装置と通信し、第5の安全信号を送信するように構成された警報切り換え装置を備える、請求項1に記載のエレベータシステム。
【請求項8】
前記エレベータ安全装置は、前記エレベータかごの頂部に配置され、第6の安全信号を送信するように構成された第2の切り換え装置を備える、請求項7に記載のエレベータシステム。
【請求項9】
前記制御装置は、前記第5の安全信号がアクティブであり、前記第6の安全信号がイナクティブである場合、警報装置を作動するように構成される、請求項7または8に記載のエレベータシステム。
【請求項10】
前記点検警報装置と通信し、前記警報装置を一時的に不能にするように構成された補助点検装置をさらに備える、請求項7〜9のいずれかに記載のエレベータシステム。
【請求項11】
前記警報装置は、視覚警報装置と音響警報装置の少なくとも一方である、請求項1〜10のいずれかに記載のエレベータシステム。
【請求項12】
前記エレベータ駆動装置は、
(a)少なくとも1つの安全信号を受信し、
(b)前記少なくとも1つの安全信号に基づいて前記警報装置に少なくとも1つの警報信号を送信するように構成される、請求項1〜11のいずれかに記載のエレベータシステム。
【請求項13】
エレベータシステムにおいて使用するための保守安全アセンブリであって、
点検モードにおいて、エレベータかごの移動を制御するように構成されたエレベータ安全装置と、
前記エレベータ安全装置と通信する点検警報装置であって、
少なくとも1つの安全信号を受信するように構成された制御装置と、
前記制御装置と通信する警報装置とを備え、
前記制御装置が前記少なくとも1つの安全信号に基づいて前記警報装置に少なくとも1つの警報信号を送信するように構成された点検警報装置とを備える保守安全アセンブリ。
【請求項14】
前記エレベータ安全装置は、第1の安全信号を送信するように構成された第1の切り換え装置を備える、請求項13に記載の保守安全アセンブリ。
【請求項15】
前記点検警報装置と通信し、第2の安全信号を送信するように構成された第1の感知装置と、
前記点検警報装置と通信し、第3の安全信号を送信するように構成された第2の感知装置とをさらに備える、請求項13または14に記載の保守安全アセンブリ。
【請求項16】
前記点検警報装置は、前記第2の安全信号及び前記第3の安全信号がアクティブであり、前記第1の安全信号がイナクティブである場合、警報信号を作動するように構成される、請求項15に記載の保守安全アセンブリ。
【請求項17】
前記点検警報装置と通信し、第4の安全信号を送信するように構成された第3の感知装置をさらに備える、請求項13または14に記載の保守安全アセンブリ。
【請求項18】
前記点検警報装置は、前記第4の安全信号がアクティブであり、前記第1の安全信号がイナクティブである場合、少なくとも1つの警報信号を作動するように構成される、請求項17に記載の保守安全アセンブリ。
【請求項19】
前記点検警報装置はさらに、前記制御装置と通信し、第5の安全信号を送信するように構成された警報切り換え装置を備える、請求項13に記載の保守安全アセンブリ。
【請求項20】
前記エレベータ安全装置は、第6の安全信号を送信するように構成された第2の切り換え装置を備える、請求項19に記載の保守安全アセンブリ。
【請求項21】
前記制御装置は、前記第5の安全信号がアクティブであり、前記第6の安全信号がイナクティブである場合、警報装置を作動するように構成される、請求項19または20に記載の保守安全アセンブリ。
【請求項22】
前記アセンブリはさらに、前記制御装置と通信し、前記警報装置を一時的に不能にするように構成された補助点検装置を備える、請求項19〜21のいずれかに記載の保守安全アセンブリ。
【請求項23】
前記警報装置は視覚警報装置と音響警報装置の少なくとも一方である、請求項13〜22のいずれかに記載の保守安全アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は一般にエレベータシステムに関し、より具体的にはエレベータシステムのための点検警報装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、エレベータの整備士は、エレベータかごの予期せぬ動きが原因のエレベータシステムの保守及び設置に関連するリスクを被る。故にエレベータかごが点検または設置のための安全が確保されていないことをエレベータの整備士に警告する安全装置に関する要望がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
一態様において、エレベータシステムが設けられる。エレベータシステムは、エレベータピットと、最も下の乗場とを含むエレベータシャフトを含んでおり、最も下の乗場は昇降路のドアを含む。エレベータシステムはさらに、エレベータシャフト内に配設され、エレベータシャフト内を移動するように構成されたエレベータかごを含む。エレベータシステムはさらに、エレベータかごと通信し、エレベータかごの移動を制御するように構成されたエレベータ駆動装置を含む。エレベータシステムはさらに、エレベータ駆動装置と通信し、点検モードにおいて、エレベータかごの移動を制御するように構成されたエレベータ安全装置を含む。エレベータシステムはさらに、エレベータ安全装置と通信する点検警報装置を含み、点検警報装置は、少なくとも1つの安全信号を受信するように構成された制御装置と、制御装置と通信する警報装置とを含み、制御装置は、少なくとも1つの安全信号に基づいて警報装置に少なくとも1つの警報信号を送信するように構成されている。
【0004】
一実施形態において、エレベータ安全装置は、エレベータピット内に配置され第1の安全信号を送信するように構成された第1の切り換え装置を含む。先行する実施形態において、エレベータシステムはさらに、点検警報装置と通信し、最も下の乗場に配置され、第2の安全信号を送信するように構成された第1の感知装置と、点検警報装置と通信し、昇降路のドアに配置され、第3の安全信号を送信するように構成された第2の感知装置とを含む。先の実施形態では、点検警報装置は、第2の安全信号と第3の安全信号がアクティブであり、第1の安全信号がイナクティブである場合、警報信号を作動するように構成されている。
【0005】
一実施形態において、エレベータシステムはさらに、エレベータピットに隣接して配置されたアクセス開口と、点検警報装置と通信し、アクセス開口上に配置され、第4の安全信号を送信するように構成された第3の感知装置とを含む。先行する実施形態において、点検警報装置は、第4の安全信号がアクティブであり、第1の安全信号がイナクティブである場合、少なくとも1つの警報信号を作動するように構成されている。
【0006】
別の実施形態において、点検警報装置はさらに、制御装置と通信する警報切り換え装置を含む。警報切り換え装置は、第5の安全信号を送信するように構成されている。先の実施形態では、エレベータ安全装置は、エレベータかごの頂部に配置され、第6の安全信号を送信するように構成された第2の切り換え装置を含む。先行する実施形態において制御装置は、第5の安全信号がアクティブであり、第6の安全信号がイナクティブである場合、警報装置を作動するように構成されている。本実施形態において、エレベータシステムはさらに、点検警報装置と通信する補助点検装置を含む。補助点検装置は、警報装置を一時的に不能にするように構成されている。
【0007】
先行する実施形態のいずれかにおいて、警報装置は、視覚警報装置と音響警報装置の少なくとも一方を含む。
【0008】
一態様において、エレベータシステムにおいて使用するための保守安全アセンブリが提供される。アセンブリは、点検モードにおいて、エレベータかごの移動を制御するように構成されたエレベータ安全装置と、エレベータ安全装置と通信する点検警報装置とを含む。点検警報装置は、少なくとも1つの安全信号を受信するように構成された制御装置と、制御装置と通信する警報装置とを含み、制御装置は、少なくとも1つの安全信号に基づいて警報装置に少なくとも1つの警報信号を送信するように構成されている。
【0009】
アセンブリの一実施形態において、エレベータ安全装置は、第1の安全信号を送信するように構成された第1の切り換え装置を含む。先行する実施形態のいずれかにおいて、アセンブリはさらに、点検警報装置と通信し、第2の安全信号を送信するように構成された第1の感知装置と、点検警報装置と通信し、第3の安全信号を送信するように構成された第2の感知装置とを含む。アセンブリの先行する実施形態において、点検警報装置は、第2の安全信号及び第3の安全信号がアクティブであり、第1の安全信号がイナクティブである場合、警報信号を作動するように構成されている。
【0010】
別の実施形態において、アセンブリはさらに、点検警報装置と通信し、第4の安全信号を送信するように構成された第3の感知装置を含む。この実施形態において、点検警報装置は、第4の安全信号がアクティブであり、第1の安全信号がイナクティブである場合、少なくとも1つの警報信号を作動するように構成されている。
【0011】
アセンブリの別の実施形態において、点検警報装置はさらに、制御装置と通信し、第5の安全信号を送信するように構成された警報切り換え装置を含む。この実施形態において、エレベータ安全装置は、第6の安全信号を送信するように構成された第2の切り換え装置を含む。アセンブリの先行する実施形態において、制御装置は、第5の安全信号がアクティブであり、第6の安全信号がイナクティブである場合、警報装置を作動するように構成されている。先行する実施形態において、アセンブリはさらに、制御装置と通信し、警報装置を一時的に不能にするように構成された補助点検装置を含む。
【0012】
アセンブリのいずれかの実施形態において、警報装置は視覚警報装置と音響警報装置の少なくとも一方を含む。
【0013】
他の実施形態も開示されている。
【0014】
添付の図面と併せて本開示の様々な例示の実施形態の以下の記載を参照することによって本明細書に含まれる実施形態及び他の特徴、利点及び開示、ならびにそれらを達成する方法が明らかになり、本開示がより適切に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本開示の一実施形態によるエレベータシステムの概略図である。
【
図2】本開示の一実施形態による点検警報装置を含むエレベータピットの概略図である。
【
図3】本開示の別の実施形態による点検警報装置を含むエレベータピットの概略図である。
【
図4】本開示の別の実施形態による点検警報装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本開示の原理の理解を促す目的で、図面に示される実施形態を参照するとともに、具体的な言葉で説明する。それでもなお、本開示の範囲の限定はそれにより意図されるものではないことを理解されたい。
【0017】
図1は、全体が10で示されるエレベータシステムを例示している。エレベータシステム10は、ケーブル12と、エレベータかご14とを含む。ケーブル12は、昇降路18の内側でエレベータかご14と、カウンタウエイト16とに接続される。かご14は、昇降路18の頂部における機械室22の中に一般に配置されるエレベータ駆動装置20によってケーブルまたはベルト12を介してエレベータかご14に伝達される力によって、昇降路18を上下に移動する。エレベータシステム10が複数の乗場26A〜Cにおいて停止することで、乗客がそれぞれの乗場26A〜Cに配置された1組の昇降路のドア15(
図2に示される乗場26Aにおけるドア15A)を介してエレベータかご14を出入りすることを可能にするように構成されている。最も下の乗場26Aより下で昇降路18の底部内にエレベータピット24が位置している。
【0018】
図2は、一実施形態における昇降路18の底部部分を示している。エレベータ安全装置30Aが、エレベータピット24内に配置されている。エレベータ安全装置30Aは、エレベータ駆動装置20と電気通信する第1の切り換え装置31を含むエレベータピット停止スイッチであって良い。第1の切り換え装置31が作動される際、エレベータピット停止スイッチ30Aは、エレベータ駆動装置20に第1の安全信号を送信してエレベータかご14の予期せぬ移動を阻止するように構成されている。いくつかの非制限的な例を挙げると、第1の切り換え装置31は、プッシュボタン、プッシュプル式トグルスイッチ、スイッチなどであり得ることを理解されたい。
【0019】
エレベータピット24内にはエレベータ点検警報装置32Aも配置されており、エレベータ安全装置30Aが適切に作動されない場合、エレベータの整備士に警告を与える。エレベータ点検警報装置32Aは、制御装置34Aを含む。制御装置34Aは、エレベータ安全装置30Aと電気通信しており、制御装置34Aは、エレベータ安全装置30Aから第1の安全信号を受信するように構成されている。
【0020】
エレベータ点検警報装置32Aはさらに、制御装置34Aと通信する警報装置36Aを含む。一実施形態において警報装置36Aは、視覚警報と音響警報の少なくとも一方を含む。例えば警報装置36Aは、いくつかの非制限的な例を挙げると、ブザー、ベル、サイレン、点滅する照明及び/または発光ダイオードなどであって良い。制御装置34Aは、少なくとも1つの安全信号の受信に基づいて警報装置36Aを作動するように構成されている。
【0021】
図2の実施形態に示されるように、エレベータ点検警報装置32Aは、エレベータピット24内で作業するエレベータの整備士に警告を与えることが可能である。エレベータシステム10はさらに、制御装置34Aと通信する第1の感知装置38を含む。第1の感知装置38は、最も下の乗場26Aに配置されて良く、エレベータかご14が最も下の乗場26Aに位置しているかどうかを示す第2の安全信号を送信するように構成されている。昇降路のドア15に配置された第2の感知装置40は、制御盤34Aと通信することができる。第2の感知装置40は、昇降路のドア15が開放状態であるか、閉鎖状態であるかを示す第3の安全信号を送信するように構成されて良い。
【0022】
第1及び第2の感知装置38、40は、いくつかの非制限的な例を挙げると、例えばドライ接点スイッチ及び磁気センサなどの記載される目的に適したいずれのタイプの感知装置でも良いことを理解されたい。一部の実施形態では、エレベータ駆動装置20が、エレベータかご14の位置及び昇降路のドア15の位置を示すソフトウェア入力に基づいて第1の安全信号、第2の安全信号及び第3の安全信号のいずれかを制御装置34Aに送信する場合もある。
【0023】
図2の実施形態において、制御装置34Aは、第2の安全信号及び第3の安全信号がアクティブであり、第1の安全信号がイナクティブである場合、第1の警報信号を警報装置36Aに送信するように構成されている。第1の感知装置38及び第2の感知装置40の構成(例えば通常閉鎖したまたは通常開放した)に基づいて第2の安全信号及び第3の安全信号がイナクティブである場合に制御装置34Aが第1の警報信号を送信するように構成される場合もあることを理解されたい。一部の実施形態では、第2の安全信号及び第3の安全信号がアクティブであり、第1の安全信号がイナクティブである場合、エレベータ駆動装置20が第1の警報信号を警報装置36Aに送信する場合もある。
【0024】
第1の警報信号によって、警報装置36Aに第1の警報(例えば1つの非制限的な例を挙げると視覚警報)を作動させる。警報装置36Aに第1の警報信号を発信した後、制御装置34Aは、第2の安全信号及び第3の安全信号がアクティブであり、かつ第1の警報信号を発信した後の所定の期間にわたって第1の安全信号がイナクティブのままである場合、警報装置36Aに第2の警報信号を送信するように構成されている。この第2の警報信号によって、警報装置36Aに第2の警報(例えば1つの非制限的な例を挙げると聴覚警報)を作動させる。
【0025】
例えばかご14が最も下の乗場26Aから離れており昇降路のドア15が開放位置にある状態で点検者がエレベータピット24内にいる、あるいはエレベータピット24に進入しようとしている場合、エレベータ安全装置32Aは、警報状況を作動させることになる(例えば照明を点滅させる)。このような警報状況は、エレベータかご14の移動を停止させるためにエレベータピットの緊急スイッチ30Aが作動されなかったために発動され、第2の感知装置38が、かご14が最も下の乗場26Aから離れていることを示す第2の安全信号を制御盤34に送信し、第3の感知装置40が昇降路のドア15が開放していることを示す第3の安全信号を制御装置34Aに送信する。このような場合、エレベータの整備士は、警報装置36Aに第2の警報信号(例えばブザーまたはサイレン)が送信されるまで、ピット緊急停止スイッチ30Aを作動させるのに所定の時間(例えば5秒)を有する。
【0026】
図3の実施形態は、エレベータピット24内で作業しているエレベータの整備士のための別の警告システムを示す。この実施形態では、エレベータピット24に隣接してアクセス開口28(例えばピットアクセスドア)が配置されることで、エレベータの整備士が点検を行うためにエレベータピット24に出入りすることが可能になる。第3の感知装置42が、アクセス開口28上に配置されて良く、制御盤34Aと通信している。第3の感知装置42は、アクセス開口28が開放状態にあるか、あるいは閉鎖状態にあるかを示す第4の安全信号を送信するように構成されて良い。第3の感知装置42は、2つの非制限的な例を挙げると、例えばドライ接点スイッチ、磁気センサなど記載される目的に適したいずれのタイプの感知装置でも良い。
【0027】
制御装置34Aは、第4の安全信号がアクティブであり、第1の安全信号がイナクティブである場合、警報装置36Aに少なくとも1つの警報信号を送信するように構成されている。制御装置34Aは、第3の感知装置42の構成(例えば通常閉鎖したまたは通常開放した)に基づいて第4の安全信号がイナクティブである場合に少なくとも1つの警報信号を送信するように構成される場合もあることを理解されたい。例えば、アクセスドア28が開放位置にある場合、エレベータ安全装置32Aは、警報状況(例えば照明を点滅する)を作動させることになる。このような警報状況は、エレベータかご14の移動を停止させるためにエレベータピット緊急スイッチ30Aが作動されなかったために発動され、第3の感知装置42は、エレベータの整備士がエレベータピット24内にいる可能性があることを示す、アクセス開口28が開放状態にあることを示す第4の安全信号を制御装置34Aに送信する。このような場合、エレベータの整備士は、第2の警報信号(例えばブザーまたはサイレン)が警報装置36Aに送信されるまでピットの緊急スイッチ30Aを作動させるのに所定の時間(例えば5秒)を有する。
【0028】
図4は、点検警報装置32Bの別の実施形態を示す。この実施形態において、点検警報装置32Bは、エレベータかご14の頂部で作業しているエレベータの整備士に警告を与えることが可能である。点検警報装置32Bは、警報装置36Bと通信する制御装置34Bと、制御盤34Bと通信する警報切り換え装置44とを含む。警報切り換え装置44は、第5の安全信号を送信するように構成されている。この実施形態において、第5の安全信号は、点検照明46が点灯されたかどうかを示している。
【0029】
点検警報装置32Bは、エレベータ安全装置30Bと通信している。この実施形態において、エレベータ安全装置30Bは、エレベータかご14の頂部に位置するかごの頂部検査箱であって良い。かごの頂部検査箱30Bは、エレベータ駆動装置20と電気通信しており、エレベータかご14の頂部から点検を行う間エレベータの整備士がエレベータかご14を上下方向に移動させることを可能にするように構成されている。一実施形態において、エレベータ安全装置30Bは、第2の切り換え装置48(すなわち検査停止スイッチ)を含む。第2の切り換え装置48は、検査停止スイッチが使用可能(イネーブル)にされたかどうかを示す第6の安全信号を送信するように構成されており、このようにしてかごの頂部検査箱30Bは、エレベータかご14の移動を制御する。一部の実施形態では、エレベータ駆動装置20が、かごの頂部検査箱30B及び照明が使用可能にされたかどうかのソフトウェア入力に基づいて第5の安全信号及び第6の安全信号のいずれかを制御装置34Aに送信する場合もある。
【0030】
制御装置34Bは、第5の安全信号がアクティブであり、第6の安全信号がイナクティブである場合、警報装置36Bに少なくとも1つの警報信号を送信するように構成されている。一部の実施形態では、第5の安全信号がアクティブであり、第6の安全信号がイナクティブである場合、エレベータ駆動装置20が警報装置36Bに少なくとも1つの警報信号を送信するように構成されている。例えばエレベータの整備士がエレベータかご14の頂部におり、照明スイッチ44を介して点検照明46を作動させる際、警報装置36Bが作動される。検査停止スイッチ48が所定の時間(例えば5秒)にわたって使用可能にされない場合、制御盤34Bは、警報装置36Bを作動させて、検査停止スイッチ48が使用可能にされないことの視覚及び/または聴覚警告をエレベータの整備士に対して生成する。第5の安全信号がアクティブであり、第6の安全信号がイナクティブであるときはいつでも、制御装置34Bが警報装置36Bを作動させることを理解されたい。
【0031】
一実施形態において、補助点検装置50が点検警報装置32Bと通信している。補助点検装置50は、第5の安全信号がアクティブであり、第6の安全信号がイナクティブである場合、警報装置36Bを一時的に使用不可にするように構成されている。補助点検装置50は、いくつかの非制限な例を挙げるとボタン、スイッチ、トグルスイッチなどであり得ることを理解されたい。
【0032】
例えばエレベータかご14の頂部にいるときに特定の任務を果たすために、エレベータの整備士は、点検照明46をつけたままにしてエレベータかご14を移動させる必要がある場合がある。これにより、エレベータの整備士は、検査停止スイッチ48をイナクティブな(すなわちエレベータかご14を移動させることが可能な)状態にする必要が生じる。したがってエレベータの整備士は、エレベータかご14を所望される方向に移動させる間補助点検装置50を作動させることによって警報装置36Bを沈黙させることが可能になり得る。エレベータの整備士がひとたび所望される点検位置に到達すると、補助点検装置50を停止させ、検査停止スイッチ48が使用可能にされるまで制御盤34Bが警報装置36Bに少なくとも1つの警報信号を送信することを理解されたい。
【0033】
故に本実施形態は、安全に点検を行うためにエレベータシステム10が適切に停止されていないという警告をエレベータの整備士に与えるために、エレベータピット24内及び/またはエレベータかご14の頂部に配置され得る点検警報装置32A〜Bを含むことを理解されたい。
【0034】
本開示は、図面及び上述の記載に詳細に示され記載されてきたが、これは例示としてみなすべきであり性質の制限としてみなすべきではなく、特定の実施形態のみが示され記載されるが、本開示の趣旨の範囲内にある全ての変更及び修正も保護されることが望まれることを理解されたい。