【実施例】
【0033】
実施例1
[化合物1の合成]
以下の手順によって化合物1を合成した。
撹拌機を具備した500mL四つ口フラスコに、窒素雰囲気下で4,4’−ジブロモビフェニル(5.85g,18.8mmol)とテトラヒドロフラン(200mL)を仕込み、−78℃下で撹拌しながら、n−ブチルリチウムのn−ヘキサン溶液(1,6M,25.8mL,41.3mmol)をゆっくり滴下した。次いで、トリフルオロ酢酸エチル(11.73g,82.5mmol)をゆっくり滴下し、0℃まで昇温し、塩酸水溶液を加えて、有機層を分取した。得られた有機層を20%食塩水(50mL×3回)で水洗し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後に、ろ液を減圧濃縮した。得られた濃縮物をヘキサンで洗浄し、淡黄色固体の4,4’−ビス(トリフルオロアセチル)ビフェニルを6.17g得た。
【0034】
次いで、撹拌機を具備した300mL四つ口フラスコに、窒素雰囲気下でトリフェニルホスフィン(26.5g,101.0mmol)とテトラヒドロフラン(40mL)を仕込み撹拌しながら、0℃下でフルオロトリブロモメタン(19.2g,70.9mmol)を溶かしたテトラヒドロフラン溶液(20mL)をゆっくり滴下し、次いで4,4’−ビス(トリフルオロアセチル)ビフェニル(6.13g,17.7mmol)を溶かしたテトラヒドロフラン溶液(40mL)を滴下し、室温で5時間撹拌した。撹拌後、ヘキサン(100mL)を加え、析出固体を分離し、ろ液を20%食塩水(100mL×3回)で水洗し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後に、ろ液を減圧濃縮した。得られた濃縮物をシリカゲルクロマトグラフィーで精製し、黄色固体の4,4’−ビス(1−トリフルオロメチル−2−フルオロ−2−ブロモビニル)ビフェニルを7.30g得た。
【0035】
次いで、撹拌機を具備した300mL四つ口フラスコに、窒素雰囲気下で前述の4,4’−ビス(1−トリフルオロメチル−2−フルオロ−2−ブロモビニル)ビフェニル(6.23g,11.6mmol)とテトラヒドロフラン(120mL)を仕込み撹拌しながら、−78〜−55℃下でn−ブチルリチウムのn−ヘキサン溶液(1,6M,15.7mL,25.1mmol)を滴下した。次いで、水(3.0g)を加えて室温まで昇温した後、有機層を20%食塩水(20mL×3回)で水洗し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後に、ろ液を減圧濃縮した。得られた濃縮物をシリカゲルクロマトグラフィーで精製し、淡黄色オイル状の4,4’−ビス(1−トリフルオロメチル−2−フルオロビニル)ビフェニル(化合物1)を1.10g得た(単離収率=15%)。
【化3】
【0036】
得られた化合物は室温で液状であった。
また、得られた化合物について、GC−MS、
1H−NMR及び
19F−NMRの測定を行った。結果を以下に示す。これらの結果より、化合物1は3種の異性体(E−E、E−Z、Z−Z)の混合物であることが分かった。混合比は、E−E:E−Z:Z−Z=29:53:18であった。
【0037】
測定に用いた装置は以下の通りである。
GC−MS:島津製作所製GCMS−QP2010Plus
1H−NMR、
19F−NMR:BRUKER社製AVANCE II 400
【0038】
GC−MS(m/z):377(M
+−1),358,338,309,287,269,238,220,189
【0039】
【化4】
1H−NMR(Acetone−d
6,400MHz);7.37ppm(d,2H),7.52−7.57ppm(m,4H,Ar−H),7.79−7.85ppm(m,4H,Ar−H)
19F−NMR(Acetone−d
6,376MHz);−111.1ppm(ddd,2F),−57.6ppm(d,6F,CF
3)
【0040】
【化5】
1H−NMR(Acetone−d
6,400MHz);7.37ppm(d,1H),7.52−7.57ppm(m,4H,Ar−H),7.70ppm(d,1H),7.79−7.85ppm(m,4H,Ar−H)
19F−NMR(Acetone−d
6,376MHz);−121.9ppm(ddd,1F),−111.1ppm(ddd,1F),−61.6ppm(d,3F,CF3),−57.6ppm(d,3F,CF
3)
【0041】
【化6】
1H−NMR(Acetone−d
6,400MHz);7.52−7.57ppm(m,4H,Ar−H),7.70ppm(d,2H),7.79−7.85ppm(m,4H,Ar−H)
19F−NMR(Acetone−d
6,376MHz);−121.9ppm(ddd,2F),−61.6ppm(d,6F,CF
3)
【0042】
[化合物1の評価]
以下の成分を混合して組成物を調製した。
・フルオロエラストマー(ソルベイ社製、テクノフロンPFR94):100g
・受酸剤(日本アエロジル社製、アエロジルR972):1.0g
・開始剤(日本油脂株式会社製、パークミルD):2.6mmol
・架橋剤(化合物1):6.1mmol
【0043】
上記の組成物を架橋させて架橋フルオロエラストマー(成形体)を製造した。架橋条件は、一次架橋が190℃で30分、二次架橋が290℃で8時間とした。
【0044】
得られた成形体について以下の評価を行った。
(1)耐熱性
得られた成形体を330℃の大気環境に16時間暴露した前後の重量減少率を測定した。また、外観の変化を観察した。結果を表1に示す。
【0045】
(2)重量膨潤変化率(耐蒸気試験)
下記の方法により重量膨潤変化率を測定した。また、耐蒸気試験による外観の変化を観察した。結果を表2に示す。
(i)重量膨潤率の測定
短冊状(長さ20mm、幅10mm、厚さ1mm)の成形体について、耐蒸気試験(300℃)前の重量膨潤率を測定する。
成形体を、パーフルオロカーボン溶液(フロリナートFC−3283(スリーエムジャパン社製))に、室温(21〜25℃)で、72時間浸漬させ、浸漬前後の重量膨潤率を、以下の式により、計算にて求める。
【数1】
【0046】
(ii)耐蒸気試験(300℃)
続いて、成形体について、耐蒸気試験(300℃)を行う。
成形体を、300℃の飽和水蒸気に22時間晒す。
【0047】
(iii)耐蒸気試験(300℃)後の重量膨潤率の測定
上記耐蒸気試験(300℃)後の成形体を、(i)と同様に、パーフルオロカーボン溶液に、室温(21〜25℃)で72時間浸漬し、耐蒸気試験(300℃)後の重量膨潤率を測定する。
【0048】
耐蒸気試験(300℃)前後における変化率(%)を、(耐蒸気試験前の重量膨潤率)及び(耐蒸気試験後の重量膨潤率)を用いて、以下の式により算出する。
【数2】
【0049】
実施例2
[化合物2の合成]
以下の手順によって化合物2を合成した。
撹拌機を具備した2L四つ口フラスコに、窒素雰囲気下で4,4’−ビフェニルジカルボアルデヒド(63.3g,0.30mol)と亜鉛粉末(59.2g,0.90mol)、トリフェニルホスフィン(315.8g,1.20mol)、N,N−ジメチルアセトアミド(600mL)を仕込み、室温〜40℃下で撹拌しながら、ジフルオロジブロモメタン(221.2g,1.05mol)をゆっくりフィードした。室温で一晩撹拌後、ヘキサン(1L×3回)で抽出し、得られたヘキサン層を20%食塩水(200mL×3回)で水洗し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後に減圧濃縮した。得られた濃縮物をシリカゲルクロマトグラフィーで精製し、白色固体の4,4’−ビス(2,2−ジフルオロビニル)ビフェニル(化合物2)を33.5g得た(単離収率=40%)。
【化7】
【0050】
得られた化合物の融点は88〜90℃であった。また、実施例1と同様にGC−MS、
1H−NMR及び
19F−NMRの測定を行った。結果を以下に示す。
【0051】
GC−MS(m/z):278(M
+),256,227,207,139,89
1H−NMR(Acetone−d
6,400MHz);5.30ppm(dd,2H),7.38ppm(d,4H,Ar−H),7.55ppm(d,4H,Ar−H)
19F−NMR(Acetone−d
6,376MHz);−84.3ppm(d,2F),−82.4ppm(dd,2F)
【0052】
[化合物2の評価]
架橋剤として化合物1の代わりに化合物2を用いた他は実施例1と同様にして組成物及び成形体を調製し、評価した。結果を表1,2に示す。
【0053】
実施例3
[化合物3の合成]
以下の手順によって化合物3を合成した。
撹拌機を具備した50mL四つ口フラスコに、窒素雰囲気下で塩化亜鉛(1.57g,11.5mmol)とテトラヒドロフラン(20mL)を仕込み、−20℃下にて1,1,1,3−テトラフルオロエタン(1.78g,17.4mmol)をフィードし、次いで、リチウムジイソプロピルアミドのn−ヘキサン−テトラヒドロフラン溶液(1,0M,21.4mL,23.4mmol)を滴下した。次いで、4,4’−ジヨードビフェニル(1.33g,3.3mmol)とテトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0.13g,0.11mmol)を加え、室温で一晩撹拌した。その後、溶媒を留去し、得られた濃縮物をシリカゲル処理し、反応混合物を得た。
【0054】
次いで、撹拌機を具備した25mL三つ口フラスコに、前述の反応混合物とテトラヒドロフラン(10mL)を仕込み、0〜5℃下で撹拌しながら、水素化ビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウムの約70%トルエン溶液(1.21g,4.2mmol)をゆっくり滴下した。室温で一晩撹拌後、塩酸水溶液でクエンチし、定法の後処理操作により得られた濃縮物をシリカゲルクロマトグラフィーで精製し、白色固体の4,4’−ビス(1,2−ジフルオロビニル)ビフェニル(化合物3)を0.49g得た(単離収率=54%)。
【化8】
【0055】
得られた化合物の融点は123〜128℃であった。また、実施例1と同様にGC−MS、
1H−NMR及び
19F−NMRの測定を行った。結果を以下に示す。これらの結果より、化合物3は3種の異性体(E−E、E−Z、Z−Z)の混合物であることが分かった。混合比は、E−E:E−Z:Z−Z=34:48:18であった。
【0056】
GC−MS(m/z):278(M
+),256,238,139,75,61,45
【0057】
【化9】
1H−NMR(Acetone−d
6,400MHz);7.72ppm(dd,2H),7.75ppm(d,4H,Ar−H),7.85ppm(d,4H,Ar−H)
19F−NMR(Acetone−d
6,376MHz);−173.8ppm(ddd,2F),−167.5ppm(dd,2F)
【0058】
【化10】
1H−NMR(Acetone−d
6,400MHz);7.48ppm(dd,1H),7.62ppm(d,2H,Ar−H),7.70ppm(dd,1H),7.72−7.85ppm(m,6H,Ar−H)
19F−NMR(Acetone−d
6,376MHz);−173.8ppm(ddd,1F),−167.5ppm(dd,1F),−164.8ppm(dd,1F),−145.1ppm(d,1F)
【0059】
【化11】
1H−NMR(Acetone−d
6,400MHz);7.43ppm(dd,2H),7.47ppm(d,4H,Ar−H),7.62ppm(d,4H,Ar−H)
19F−NMR(Acetone−d
6,376MHz);−164.9ppm(dd,2F),−145.1ppm(d,2F)
【0060】
[化合物3の評価]
架橋剤として化合物1の代わりに化合物3を用いた他は実施例1と同様にして、組成物及び成形体を調製し、評価した。結果を表1,2に示す。
【0061】
実施例4
[化合物4の合成]
以下の手順によって化合物4を合成した。
撹拌機を具備した200mL四つ口フラスコに、窒素雰囲気下でテトラヒドロフラン(50mL)と1,1,1,2−テトラフルオロエタン(4.77g,46.8mmol)を仕込み、−78℃下でn−ブチルリチウムのn−ヘキサン溶液(1.6M,50mL,80.7mmol)をゆっくり滴下し、次いで、4,4’−ビフェニルジカルボアルデヒド(2.43g,11.5mmol)を溶かしたテトラヒドロフラン溶液(50mL)を滴下した。更に、0℃で水(0.5mL)を加え、溶媒を留去し、反応混合物を得た。
【0062】
次いで、撹拌機を具備した500mLテフロン反応器に、クロロホルム(45mL)とポリフッ化水素ピリジニウム塩(38.5g,103.9mmol)を仕込み、0〜5℃下で撹拌しながら、前述の反応混合物を溶かしたクロロホルム溶液(40mL)をゆっくり滴下した。室温で3時間撹拌後、炭酸水素ナトリウム水溶液で中和し、得られた有機層を減圧濃縮し、得られた濃縮物をシリカゲルクロマトグラフィーで精製し、白色固体の4,4’−ビス(2−トリフルオロメチル−2−フルオロビニル)ビフェニル(化合物4)を3.65g得た(単離収率=84%)。
【化12】
【0063】
得られた化合物の融点は156〜158℃であった。また、実施例1と同様にGC−MS、
1H−NMR及び
19F−NMRの測定を行った。結果を以下に示す。
【0064】
GC−MS(m/z):374(M
+),354,295,263,227,155,111,109,91
1H−NMR(Acetone−d
6,400MHz);6.84ppm(d,2H),7.80ppm(d,4H,Ar−H),7.83ppm(d,4H,Ar−H)
19F−NMR(Acetone−d
6,376MHz);−132.2ppm(ddd,2F),−70.5ppm(d,6F,CF
3)
【0065】
[化合物4の評価]
架橋剤として化合物1の代わりに化合物4を用いた他は実施例1と同様にして、組成物及び成形体を調製し、評価した。結果を表1,2に示す。
【0066】
実施例5
[化合物5の合成]
以下の手順によって化合物5を合成した。
撹拌機を具備した500mL四つ口フラスコに、窒素雰囲気下で1,6−ビス(4−ブロモフェニル)−1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6−ドデカフルオロヘキサン(11.51g,18.8mmol)とテトラヒドロフラン(370mL)を仕込み撹拌しながら、−78℃下でn−ブチルリチウムのn−ヘキサン溶液(1.6M,26.0mL,41.4mmol)をゆっくり滴下した。次いで、N,N−ジメチルホルムアミド(4.01g,54.9mmol)をゆっくり滴下し、0℃まで昇温した後、塩酸水溶液を加え、有機層を20%食塩水(100mL×3回)で水洗し、得られた有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後に、ろ液を減圧濃縮し、淡黄色固体の1,6−ビス(4−ホルミルフェニル)−1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6−ドデカフルオロヘキサンを8.00g得た。
【0067】
次いで、撹拌機を具備した200mL四つ口フラスコに、窒素雰囲気下で前述の1,6−ビス(4−ホルミルフェニル)−1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6−ドデカフルオロヘキサン(5.11g,10.0mmol)と亜鉛粉末(1.96g,30.0mmol)、トリフェニルホスフィン(10.49g,40.0mmol)とN,N−ジメチルアセトアミド(40mL)を仕込み撹拌しながら、室温から40℃下でジフルオロジブロモメタン(7.34g,35.0mmol)を溶かしたN,N−ジメチルアセトアミド溶液(10mL)をゆっくり滴下し、室温で一晩撹拌した。反応後、ヘキサン(100mL)を加え、析出固体を分離し、ろ液を20%食塩水(50mL×3回)で水洗し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後に、ろ液を減圧濃縮した。得られた濃縮物をシリカゲルクロマトグラフィーで精製し、白色固体の1,6−ビス[4−(2,2−ジフルオロビニル)フェニル]−1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6−ドデカフルオロヘキサン(化合物5)を1.73g得た(単離収率=26%)。
【化13】
【0068】
得られた化合物の融点は68〜70℃であった。また、実施例1と同様にGC−MS、
1H−NMR及び
19F−NMRの測定を行った。結果を以下に示す。
【0069】
GC−MS(m/z):578(M
+),559,220,189,169,138,119,99
1H−NMR(Acetone−d
6,400MHz);5.77ppm(dd,2H),7.64ppm(d,4H,Ar−H),7.69ppm(d,4H,Ar−H)
19F−NMR(Acetone−d
6,376MHz);−121.7ppm(s,4F,CF
2),−121.2ppm(s,4F,CF
2),−110.3ppm(s,4F,CF
2),−82.7ppm(d,2F),−80.9ppm(dd,2F)
【0070】
[化合物5の評価]
架橋剤として化合物1の代わりに化合物5を用いた他は実施例1と同様にして、組成物及び成形体を調製し、評価した。結果を表1,2に示す。
【0071】
実施例6
[化合物6の合成]
以下の手順によって化合物6を合成した。
4,4’−ビフェニルジカルボアルデヒドを3,3’−ビフェニルジカルボアルデヒドとした以外は、実施例2と同様にして反応を行い、3,3’−ビス(2,2−ジフルオロビニル)ビフェニル(化合物6)を合成した。化合物6は淡黄色固体として得られ、単離収率は36%であった。
【化14】
【0072】
得られた化合物の融点は29〜30℃であった。また、実施例1と同様にGC−MS、
1H−NMR及び
19F−NMRの測定を行った。結果を以下に示す。
【0073】
GC−MS(m/z):278(M
+),256,227,207,139,89
1H−NMR(Acetone−d
6,400MHz);5.68ppm(dd,2H),7.40−7.68ppm(m,8H,Ar−H)
19F−NMR(Acetone−d
6,376MHz);−86.5ppm(d,2F),−83.5ppm(dd,2F)
【0074】
[化合物6の評価]
架橋剤として化合物1の代わりに化合物6を用いた他は実施例1と同様にして、組成物及び成形体を調製し、評価した。結果を表1,2に示す。
【0075】
実施例7
[化合物7の合成]
以下の手順によって化合物7を合成した。
4,4’−ビフェニルジカルボアルデヒドを4,4’−ジホルミルジフェニルエーテルとした以外は、実施例2と同様にして反応を行い、4,4’−ビス(2,2−ジフルオロビニル)ジフェニルエーテル(化合物7)を合成した。化合物7は白色固体として得られ、単離収率は35%であった。
【化15】
【0076】
得られた化合物の融点は36℃〜38℃であった。また、実施例1と同様にGC−MS、
1H−NMR及び
19F−NMRの測定を行った。結果を以下に示す。
【0077】
GC−MS(m/z):294(M
+),265,245,196,156,127,119,99
1H−NMR(Acetone−d
6,400MHz);5.60ppm(dd,2H),7.04ppm(d,4H,Ar−H),7.43ppm(d,4H,Ar−H)
19F−NMR(Acetone−d
6,376MHz);−86.9ppm(d,2F),−85.1ppm(dd,2F)
【0078】
[化合物7の評価]
架橋剤として化合物1の代わりに化合物7を用いた他は実施例1と同様にして、組成物及び成形体を調製し、評価した。結果を表1,2に示す。
【0079】
実施例8
[化合物8の合成]
以下の手順によって化合物8を合成した。
1,6−ビス(4−ブロモフェニル)−1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6−ドデカフルオロヘキサンを1,6−ビス(3−ブロモフェニル)−1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6−ドデカフルオロヘキサンとした以外は、実施例5と同様にして反応を行い、1,6−ビス[3−(2,2−ジフルオロビニル)フェニル]−1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6−ドデカフルオロヘキサン(化合物8)を合成した。白色固体として得られた化合物8の単離収率は22%であった。
【化16】
【0080】
得られた化合物の融点は23〜25℃であった。また、実施例1と同様にGC−MS、
1H−NMR及び
19F−NMRの測定を行った。結果を以下に示す。
【0081】
GC−MS(m/z):578(M
+),559,220,189,169,138,119,99
1H−NMR(Acetone−d
6,400MHz);5.79ppm(dd,2H),7.57−7.74ppm(m,8H,Ar−H)
19F−NMR(Acetone−d
6,376MHz);−121.7ppm(s,4F,CF
2),−121.1ppm(s,4F,CF
2),−110.5ppm(s,4F,CF
2),−83.9ppm(d,2F),−82.3ppm(dd,2F)
【0082】
[化合物8の評価]
架橋剤として化合物1の代わりに化合物8を用いた他は実施例1と同様にして、組成物及び成形体を調製し、評価した。結果を表1,2に示す。
【0083】
実施例9
[化合物9の合成]
以下の手順によって化合物9を合成した。
撹拌機を具備した500mL四つ口フラスコに、窒素雰囲気下で1,4−ビス(4−ブロモフェニル)−1,1,2,2,3,3,4,4−オクタフルオロブタン(10.24g,20.0mmol)とテトラヒドロフラン(350mL)を仕込み撹拌しながら、−78℃下でn−ブチルリチウムのn−ヘキサン溶液(1.6M,25.6mL,41mmol)をゆっくり滴下した。次いで、N,N−ジメチルホルムアミド(4.39g,60.0mmol)をゆっくり滴下し、0℃まで昇温した後、塩酸水溶液を加え、有機層を20%食塩水(100mL×3回)で水洗し、得られた有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後に、ろ液を減圧濃縮し、淡黄色固体の1,4−ビス(4−ホルミルフェニル)−1,1,2,2,3,3,4,4−オクタフルオロブタンを4.99g得た。
次いで、撹拌機を具備した300mL四つ口フラスコに、窒素雰囲気下で前述の1,4−ビス(4−ホルミルフェニル)−1,1,2,2,3,3,4,4−オクタフルオロブタン(4.92g,12.0mmol)と亜鉛粉末(2.35g,36.0mmol)、トリフェニルホスフィン(12.59g,48.0mmol)とN,N−ジメチルアセトアミド(75mL)を仕込み撹拌しながら、室温から40℃下でジフルオロジブロモメタン(8.98g,42.8mmol)を溶かしたN,N−ジメチルアセトアミド溶液(20mL)をゆっくり滴下し、室温で一晩撹拌した。反応後、ヘキサン(150mL)を加え、析出固体を分離し、ろ液を15%食塩水(50mL×3回)で水洗し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後に、ろ液を減圧濃縮した。得られた濃縮物をシリカゲルクロマトグラフィーで精製し、白色固体の1,4−ビス[4−(2,2−ジフルオロビニル)フェニル]−1,1,2,2,3,3,4,4−オクタフルオロブタン(化合物9)を2.12g得た(単離収率=22%)。
【化17】
【0084】
得られた化合物の融点は86〜88℃であった。また、実施例1と同様にGC−MS、
1H−NMR及び
19F−NMRの測定を行った。結果を以下に示す。
【0085】
GC−MS(m/z):478(M
+),319,189,169,138,119,99
1H−NMR(Acetone−d
6,400MHz);5.75ppm(dd,2H),7.62ppm(d,4H,Ar−H),7.66ppm(d,4H,Ar−H)
19F−NMR(Acetone−d
6,376MHz);−121.2ppm(s,4F,CF
2),−110.3ppm(s,4F,CF
2),−82.9ppm(d,2F),−81.1ppm(dd,2F)
【0086】
比較例1
比較化合物1として下記の1,6−ジビニル(パーフルオロヘキサン)(東ソー・エフテック社製)を用いた。
【化18】
【0087】
[比較化合物1の評価]
架橋剤として化合物1の代わりに比較化合物1を用いた他は実施例1と同様にして、組成物及び成形体を調製し、評価した。結果を表1,2に示す。
【0088】
【表1】
【0089】
【表2】