【解決手段】本発明を適用した埋設型枠1は、間隔を空けて並設された複数のプレキャスト部材5の間に形成される間詰め部6に経時硬化性材8を埋めるために用いられるものであって、板状に形成される底面部材2と、底面部材2の幅方向の両端に連続して設けられる一対の側面部材3と、一対の側面部材3の間に形成される複数のリブ部材4とを備える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、特許文献1又は2に開示された型枠は、吊下部材の下端部にはネジが切られ、埋設部材はナット等により吊下部材に固定されることから、吊下部材等に腐食が生じた場合、前記型枠が吊下部材から外れ、脱落するという問題点があった。
【0010】
特許文献3に開示されたスラブ橋げたの間詰めコンクリート用型枠は、リブ部材が設けられていないため、傾斜支承板と傾斜壁面との間にコンクリートが入り込んだ場合、傾斜支承板が容易に変形するため、間詰め部から脱落するという問題点があった。
【0011】
特許文献4に開示されたプレキャストコンクリート桁の間詰め部の型枠は、桁上の床版間詰め部の側方に角材を配設し、この角材上に横梁を掛け渡し、この横梁から吊治具を吊下げることから、取り付けに時間が掛かるという問題点があった。
【0012】
そこで、本発明は、上述した問題点に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、プレキャスト部材の間に形成される間詰め部に、足場を設けることなく容易に取り付けができ、間詰め部からの脱落の防止を実現することのできる埋設型枠を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
第1発明に係る埋設型枠は、間隔を空けて並設された複数のプレキャスト部材の間に形成される間詰め部に経時硬化性材を埋めるために用いられる埋設型枠であって、板状に形成される底面部材と、前記底面部材の幅方向の両端に連続して設けられる一対の側面部材と、前記一対の側面部材の間に形成される複数のリブ部材とを備えることを特徴とする。
【0014】
第2発明に係る埋設型枠は、第1発明において、前記一対の側面部材は、上方に向け互いに拡がるように傾斜して形成されることを特徴とする。
【0015】
第3発明に係る埋設型枠は、第1発明又は第2発明の何れかにおいて、前記リブ部材は、前記経時硬化性材と一体化させるための鋼材が挿通される挿通孔を有することを特徴とする。
【0016】
第4発明に係る埋設型枠は、第1発明〜第3発明の何れかにおいて、前記底面部材は、長手方向の両端に、他の埋設型枠と連結可能な底面連結部を有し、前記各側面部材は、長手方向の両端に、他の埋設型枠と連結可能な側面連結部を有することを特徴とする。
【0017】
第5発明に係る埋設型枠は、第1発明〜第4発明の何れかにおいて、高密度樹脂材料が用いられることを特徴とする。
【0018】
第6発明に係る埋設型枠は、第1発明〜第5発明の何れかにおいて、前記各側面部材は、前記プレキャスト部材と当接する面に止水性を有する接着剤が介装されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
第1発明〜第6発明によれば、間詰め部に設置されるときに、底面部材の幅方向の両端が一のプレキャスト部材の側面と隣り合う他のプレキャスト部材の側面とに係止させることができるため、間詰め部の下方に足場を設けることなく、プレキャスト部材の上面から容易に取り付けることが可能となる。
【0020】
また、第1発明〜第6発明によれば、一対の側面部材の上端の離間距離が拘束され、リブ部材の構成が省略された場合よりも曲げ剛性を高めることができることにより、上方から経時硬化性材の荷重の作用を受けたときに、底面部材が下方に向けて撓むような変形や、各側面部材の上端が互いに近づくような変形を抑えることができる。このため、プレキャスト部材の側面に底面部材が係止され、側面部材が当接した状態を維持でき、間詰め部からの脱落を防止することが可能となる。
【0021】
特に、第2発明によれば、間詰め部に設けられるときに、一対の側面部材が上方に向け互いに拡がるように傾斜して形成されることによって、プレキャスト部材の側面に当接させることができるため、足場を設けることなく、プレキャスト部材の上面から容易に取り付けることが可能となる。
【0022】
また、第2発明によれば、上方から経時硬化性材の荷重の作用を受けたときに、プレキャスト部材の側面に一対の側面部材が当接でき、間詰め部からの脱落を防止することが可能となる。
【0023】
また、第2発明によれば、並列されたプレキャスト部材の間隔が、施工誤差や設計により変更された場合であっても、底面部材の幅寸法が異なる多数種の型枠を揃えなくとも、間詰め部に容易に取り付けることが可能となる。
【0024】
特に、第3発明によれば、経時硬化性材が硬化して鋼材と一体化されたときに、リブ部材が鋼材に固定されるため、間詰め部からの脱落を防止することが可能となる。
【0025】
特に、第4発明によれば、間詰め部の橋軸方向の寸法に応じて適切な長さとなるように複数連結させた上で、間詰め部に一括で容易に取り付けが可能となる。
【0026】
特に、第5発明によれば、上方から経時硬化性材が埋め込まれたときに、底面部材が下方に向けて撓むような変形や、各側面部材の上端が互いに近づくような変形を抑えることができるため、間詰め部からの脱落を防止することが可能となる。
【0027】
特に、第5発明によれば、鋼材の腐食生成物による体積膨張を防止でき、それに伴う経時硬化性材の体積膨張を防止できるため、プレキャスト部材の側面に底面部材が係止され、各側面部材が当接した状態を維持でき、間詰め部からの脱落を防止することが可能となる。
【0028】
特に、第6発明によれば、間詰め部に設置されるときに、各側面部材はプレキャスト部材と当接する面に止水性を有する接着剤が介装されることによって、プレキャスト部材の側面と接着されるため、間詰め部からの脱落を防止することが可能となる。
【0029】
また、第6発明によれば、各側面部材は、プレキャスト部材と当接する面に止水性を有する接着剤が介装されることによって、プレキャスト部材との間に間隙を生じることを防止できるため、間詰め部からの経時硬化性材の漏出を防止することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明を適用した埋設型枠1を実施するための第1実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0032】
埋設型枠1は、
図1に示すように、主として、T型橋桁等の間隔を空けて並設された複数のプレキャスト部材5の間に設けられる。埋設型枠1は、
図2(a)に示すように、複数のプレキャスト部材5の間に形成される間詰め部6に、
図2(b)に示すように、主として、セメント系材料を主成分とする経時硬化性材8を埋めるために用いられ、そのまま残置される。
【0033】
埋設型枠1は、T型橋桁に限らず、
図11(b)に示すように、中空床版橋桁や、
図11(c)に示すように、プレキャスト床版等との間に設けられてもよい。埋設型枠1は、主として、高密度樹脂材料が用いられる。ここで、高密度樹脂材料とは、密度が0.94g/cm
3以上の樹脂材料である。埋設型枠1は、例えば、高密度ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂等が用いられる。
【0034】
プレキャスト部材5は、主として、プレテンション方式により製作されたT型のコンクリート製の桁である。プレキャスト部材5は、プレテンション方式に限らず、ポストテンション方式により製作されてもよい。プレキャスト部材5は、鉄筋コンクリート、又は無筋コンクリート等により製作されてもよい。プレキャスト部材5は、断面形状もT型の物に限られず、断面ロの字の中空状の物や他の形状であっても構わない。
【0035】
プレキャスト部材5は、
図1に示すように、主桁の上フランジに、その長手方向である橋軸方向Xに平行にして形成される側面51と、側面51の上端側に連続して平面状に形成される上面部52と、側面51の下端側に連続して形成される下面部53とを有する。
【0036】
一のプレキャスト部材5の側面51は、
図2(a)に示すように、下方から上方に向かうに従って、隣り合う他のプレキャスト部材5の側面51から遠ざかるように傾斜して形成される。一のプレキャスト部材5の側面51は、隣り合う他のプレキャスト部材5の側面51との下端の間隔である配置間隔Pだけ離間して設けられる。配置間隔Pは、プレキャスト部材5の幅方向である橋幅方向Zにおける、一のプレキャスト部材5の側面51の下端と隣り合う他のプレキャスト部材5の側面51の下端との間隔である。
【0037】
間詰め部6は、
図2(a)に示すように、一のプレキャスト部材5の側面51と隣り合う他のプレキャスト部材5の側面51との間に形成される。間詰め部6は、
図2(b)に示すように、上方から経時硬化性材8が埋め込まれる。間詰め部6は、鉄筋が配設される場合もあるが、図示は省略している。
【0038】
経時硬化性材8は、例えば、コンクリート、モルタル等といった水和反応によって硬化するもの等、一定時間が経過すると硬化する材料である。
【0039】
埋設型枠1は、
図4に示すように、板状に形成される底面部材2と、底面部材2の幅方向の両端に連続して設けられる一対の側面部材3と、一対の側面部材3の間に形成される複数のリブ部材4とを備える。
【0040】
底面部材2は、所定の厚みを有して、平面状に形成される。底面部材2は、その長手方向が橋軸方向Xに向けて、直線状に延びて形成される。底面部材2は、平面状に限らず、その上面に経時硬化性材8との付着を高めるための凹凸が設けられるような形状でもよい。
【0041】
底面部材2は、
図6に示すように、上方から見た場合、長方形状に形成される。底面部材2は、長方形状に限らず、正方形状や平行四辺形状等に形成されてもよい。また、底面部材2は、上方から見た場合、その長手方向の両端の形状が、直線状に限らず、波形状や凹凸形状などの如何なる形状を有していてもよい。
【0042】
底面部材2は、
図4に示すように、その幅方向の両端から上方に向け一対の側面部材3が連続して設けられる。底面部材2は、上方にリブ部材4が間隔を空けて複数設けられる。底面部材2は、その長手方向の両端に、他の埋設型枠1と連結可能な底面連結部21を有する。
【0043】
底面部材2は、
図2(a)に示すように、その幅方向における寸法が幅寸法W1で形成される。底面部材2は、間詰め部6の下端に略水平に位置するように設けられる。底面部材2は、その幅方向の両端が一のプレキャスト部材5の側面51と隣り合う他のプレキャスト部材5の側面51とに係止されて設けられる。
【0044】
底面連結部21は、
図5(a)に示すように、他の埋設型枠1に形成される底面連結部21と連結可能な構造で形成される。底面連結部21は、
図6に示すように、底面部材2の長手方向の一方の側端を底面側端2aとしたとき、他方の側端が底面側端2bとなる。
【0045】
底面連結部21は、
図4に示すように、一方の底面側端2aに所定の厚みを有して突設される底面突片22が形成され、他方の底面側端2bに他の埋設型枠1に形成される底面突片22を挿通させ、嵌合させる底面凹部23が形成される。
【0046】
底面突片22は、一方の底面側端2aに、複数形成される。底面突片22は、基端側が底面側端2aで固定される。底面突片22は、底面部材2の長手方向に向けて延びて略水平に形成される。底面突片22は、これに限らず、単数で形成されてもよい。
【0047】
底面突片22は、板状に形成され、上方から見た場合、四角形状で形成される。底面突片22は、底面凹部23に挿通させやすくさせるために先端側が基端側よりも狭窄して形成される。底面突片22は、
図6に示すように、上方から見て、台形状に形成される。底面突片22は、これに限らず、三角形状で形成されてもよい。底面突片22は、これに限らず、長方形状や正方形状等に形成されてもよい。
【0048】
底面凹部23は、
図5(a)に示すように、他方の底面側端2bに、複数形成される。底面凹部23は、他の埋設型枠1に形成される底面突片22と向かい合う位置に、底面突片22と同数に形成される。底面凹部23は、これに限らず、単数で形成されてもよい。
【0049】
底面凹部23は、底面部材2の幅方向における断面内に形成され、底面部材2の上面及び下面とで挟まれて形成される。底面凹部23は、他の底面部材2の底面突片22が挿通可能な空間で形成され、
図5(b)に示すように、嵌合される。
【0050】
底面凹部23は、
図6に示すように、上方から見た場合、四角形状の空間で形成され、所定の厚みを有して突設された底面突片22より大きく形成される。底面凹部23は、他方の底面側端2bから一方の底面側端2aに向けて、狭窄するように形成された台形状の空間である。底面凹部23は、これに限らず、底面突片22の形状に合わせて如何なる形状を有していてもよい。
【0051】
幅寸法W1は、
図2(a)に示すように、一のプレキャスト部材5の側面51と隣り合う他のプレキャスト部材5の側面51との間隔である配置間隔Pと略同一で形成される。
【0052】
一対の側面部材3は、上方に向け互いに拡がるように傾斜して形成される。一対の側面部材3は、その下端側が底面部材2の幅方向の両端から連続して設けられる。一対の側面部材3は、底面部材2の幅方向に向けてリブ部材4が連続して設けられる。一対の側面部材3は、底面部材2の幅方向において、上端が幅寸法W1以上となるような離間距離W2だけ離間されて形成される。
【0053】
各側面部材3は、プレキャスト部材5の側面51の勾配に沿うように傾斜して形成される。各側面部材3は、プレキャスト部材5の側面51に当接されるようにして設けられる。各側面部材3は、プレキャスト部材5の側面51と当接する面に止水性を有する接着剤9が介装される。
【0054】
各側面部材3は、
図4に示すように、長手方向の両端に、他の埋設型枠1と連結可能な側面連結部31を有する。各側面部材3は、所定の厚みを有した板状に形成される。各側面部材3は、底面部材2の長手方向に向けて延びて形成される。各側面部材3は、経時硬化性材8と接触する面に、経時硬化性材8との付着を高めるための凹凸が設けられるような形状で形成されてもよい。
【0055】
側面連結部31は、
図5(a)に示すように、他の埋設型枠1に形成される側面連結部31と連結可能な構造で形成される。側面連結部31は、
図6に示すように、側面部材3の長手方向の一方の側端を側面側端3aとしたとき、他方の側端が側面側端3bとなる。
【0056】
側面連結部31は、
図4に示すように、一方の側面側端3aに所定の厚みを有して突設される側面突片32が形成され、他方の側面側端3bに他の埋設型枠1に形成される側面突片32を挿通させ、嵌合させる側面凹部33が形成される。
【0057】
側面突片32は、一方の側面側端3aに、各々単数に形成される。側面突片32は、基端側が側面側端3aで固定される。側面突片32は、側面部材3の長手方向に向けて延びて形成される。側面突片32は、一方の側面側端3aに、複数に形成されてもよい。
【0058】
側面突片32は、板状に形成された四角形状で形成される。側面突片32は、側面凹部33に挿通させやすくさせるために先端側が基端側よりも狭窄して形成される。側面突片32は、台形状に形成される。側面突片32は、これに限らず、三角形状で形成されてもよい。側面突片32は、これに限らず、長方形状や正方形状等に形成されてもよい。
【0059】
側面凹部33は、
図5(a)に示すように、他方の側面側端3bに、各単数に形成される。側面凹部33は、他の埋設型枠1に形成される側面突片32と向かい合う位置に、側面突片32と同数に形成される。側面凹部33は、これに限らず、他方の側面側端3bに、複数形成されてもよい。
【0060】
側面凹部33は、側面部材3の幅方向における断面内に形成され、側面部材3の両端面に挟まれて形成される。側面凹部33は、他の側面部材3の側面突片32が挿通可能な空間で形成され、
図5(b)に示すように、嵌合される。
【0061】
側面凹部33は、
図6に示すように、四角形状の空間で形成され、所定の厚みを有して突設された側面突片32より大きく形成される。側面凹部33は、他方の側面側端3bから一方の側面側端3aに向けて、狭窄するように形成された台形状の空間である。側面凹部33は、これに限らず、側面突片32の形状に合わせて如何なる形状を有していてもよい。
【0062】
接着剤9は、主として、ブチルゴム系接着剤が用いられる。接着剤9は、これに限らず、アクリル系接着剤、エポキシ系接着剤、ウレタン系接着剤等が用いられてもよい。
【0063】
接着剤9は、
図2(a)に示すように、各側面部材3において、プレキャスト部材5の側面51と当接する面に介装され、プレキャスト部材5の側面51と接着される。接着剤9は、プレキャスト部材5の側面51と側面部材3との間に間隙を生じることなく接着される。
【0064】
接着剤9は、
図6に示すように、帯状に形成される両面テープであり、側面部材3に容易に介装できるものとなる。接着剤9は、各側面部材3の長手方向に沿って、一方の側面側端3aから他方の側面側端3bまで連続して介装され、
図6中の破線で表される。
【0065】
接着剤9は、テープ状に限らず、ゲル状で形成されていてもよく、一方の側面側端3aから他方の側面側端3bまで連続して塗布される。
【0066】
離間距離W2は、
図2(a)に示すように、底面部材2の幅方向における、一対の側面部材3の上端の間隔である。離間距離W2は、一のプレキャスト部材5の側面51と隣り合う他のプレキャスト部材5の側面51との配置間隔Pよりも大きく形成される。
【0067】
リブ部材4は、その両端が一対の側面部材3に各々連続して設けられる。リブ部材4は、一方の側面部材3から他方の側面部材3に向けて延びて形成される。リブ部材4は、底面部材2から上方に向けて略鉛直に延びて連続して形成される。
【0068】
リブ部材4は、
図6に示すように、所定の厚みを有した板状で形成される。リブ部材4は、底面部材2の幅方向に向けて形成される。リブ部材4は、底面部材2の長手方向に間隔を空けて複数設けられる。
【0069】
リブ部材4は、
図2(b)に示すように、経時硬化性材8と一体化させるための鋼材81が挿通される挿通孔41を有する。リブ部材4は、
図7(a)に示すように、断面台形状に形成され、挿通孔41が1箇所に形成される。リブ部材4は、これに限らず、
図7(b)に示すように、挿通孔41の構成が省略されてもよい。リブ部材4は、これに限らず、
図7(c)に示すように、底面部材2と離間して設けられ、一対の側面部材3の間に連続して設けられてもよい。
【0070】
挿通孔41は、
図7(a)に示すように、断面円形状に形成され、直径が鋼材81よりも大きく形成される。挿通孔41は、リブ部材4の幅方向の略中央に、1箇所に設けられる。挿通孔41は、リブ部材4に1箇所に限らず、複数設けられてもよい。挿通孔41は、
図8(a)に示すように、円柱状の鋼材81が貫通可能なように形成される。
【0071】
鋼材81は、リブ部材4に設けられた挿通孔41に貫通するようにして設けられる。鋼材81は、主として、異形棒鋼や丸鋼等が用いられる。鋼材81は、
図8(b)に示すように、U字形状に形成されていてもよい。鋼材81の構成は、省略するようにしてもよい。
【0072】
本発明の実施形態に係る埋設型枠1は、
図9に示すように、間隔を空けて並設された複数のプレキャスト部材5の間に設けられる間詰め部6に経時硬化性材8を埋めるために用いられるものである。
【0073】
埋設型枠1は、
図2(a)に示すように、間詰め部6の下端に設置されるときに、四角形状の底面部材2を備えることによって、底面部材2の幅方向の両端が一のプレキャスト部材5の側面51と隣り合う他のプレキャスト部材5の側面51とに係止させることができる。
【0074】
また、埋設型枠1は、各側面部材3がプレキャスト部材5の側面51の勾配に沿うように傾斜して形成されることによって、プレキャスト部材5の側面51に当接することができる。
【0075】
このため、埋設型枠1は、間詰め部6の下方に足場を設けることなく、プレキャスト部材5の上面部52から容易に間詰め部6に取り付けることが可能となる。
【0076】
埋設型枠1は、
図10(a)に示すように、配置間隔Pが幅寸法W1よりも小さくなる場合にも同様に、プレキャスト部材5の側面51に底面部材2が係止され、側面部材3が当接することができる。
【0077】
また、埋設型枠1は、
図10(b)に示すように、配置間隔Pが幅寸法W1よりも大きくなる場合には、プレキャスト部材5の側面51に底面部材2が係止されないものの、一対の側面部材3の上端の離間距離W2が、配置間隔Pよりも大きく形成されることによって、各側面部材3を当接させることができる。
【0078】
このため、埋設型枠1は、間詰め部6の下方に足場を設けることなく、プレキャスト部材5の上面部52から容易に間詰め部6に取り付けることが可能となる。
【0079】
すなわち、埋設型枠1は、並列されたプレキャスト部材5の間隔が、施工誤差や設計により変更された場合であっても、底面部材2の幅寸法W1が異なる多数種の型枠を揃えなくとも、間詰め部6に容易に取り付けることが可能となる。
【0080】
埋設型枠1は、
図2(b)に示すように、一対の側面部材3との間に形成される複数のリブ部材4とを備えることによって、一対の側面部材3の上端の離間距離W2が拘束され、リブ部材4を設けない構成よりも曲げ剛性を高めることができる。
【0081】
これにより、埋設型枠1は、上方から経時硬化性材8の荷重の作用を受けたときに、底面部材2が下方に向けて撓むような変形や、各側面部材3の上端が互いに近づくような変形を、リブ部材4を介して、抑えることができる。
【0082】
このため、埋設型枠1は、プレキャスト部材5の側面51に底面部材2が係止され、側面部材3が当接されるため、間詰め部6からの脱落を防止することが可能となる。
【0083】
また、埋設型枠1は、各側面部材3がプレキャスト部材5の側面51に当接するため、プレキャスト部材5の側面51との間に隙間を生じさせることを防止するものとなる。これにより、埋設型枠1は、経時硬化性材8が間詰め部6に埋め込まれるときに、下方へ漏出することを防止することが可能となる。
【0084】
このため、埋設型枠1は、隙間から漏出した経時硬化性材8が硬化することによって引き起こされる景観上の悪化を防止でき、間詰め部6の下方から経時硬化性材8を除去するための足場を設ける労力の負担を軽減できる。
【0085】
埋設型枠1は、
図9に示すように、経時硬化性材8と一体化させるための鋼材81が複数のリブ部材4の各々の挿通孔41に挿通されることによって、経時硬化性材8が硬化したときに、リブ部材4が鋼材81に固定されるため、間詰め部6からの脱落を防止することが可能となる。
【0086】
埋設型枠1は、
図5(a)に示すように、一方の底面側端2aに底面突片22が形成され、他方の底面側端2bに底面突片22より大きく形成される底面凹部23が形成されるとともに、一方の側面側端3aに側面突片32が形成され、他方の側面側端3bに側面突片32より大きく形成される側面凹部33が形成されるものとなる。
【0087】
特に、埋設型枠1は、底面突片22及び側面突片32が台形状に形成されることによって、他の埋設型枠1に形成される底面凹部23及び側面凹部33に挿通させやすくすることが可能となる。
【0088】
これにより、埋設型枠1は、
図5(b)に示すように、他の埋設型枠1と容易に嵌合可能なものとなるため、間詰め部6の橋軸方向Xの寸法に応じて適切な長さとなるように複数連結させた上で、間詰め部6に一括で取り付けが可能となる。
【0089】
埋設型枠1は、高密度樹脂材料が用いられることによって、上方から経時硬化性材8の荷重の作用を受けたときに、底面部材2が下方に向けて撓むような変形や、各側面部材3の上端が互いに近づくような変形を抑えることができる。
【0090】
これにより、埋設型枠1は、プレキャスト部材5の側面51に、底面部材2が係止され、一対の側面部材3が当接した状態を維持できるため、間詰め部6からの脱落を防止することが可能となる。
【0091】
埋設型枠1は、高密度樹脂材料が用いられることによって、鋼等の金属が用いられる場合よりも防錆性に優れるものとなる。
【0092】
埋設型枠1は、高密度樹脂材料が用いられることによって、長期間設置されたときに、鋼材81に酸素や水などの腐食因子の侵入を減少でき、鋼材81の腐食の発生を防止することができる。
【0093】
これにより、埋設型枠1は、鋼材81の腐食生成物による体積膨張を防止でき、それに伴う経時硬化性材8の体積膨張を防止できるため、プレキャスト部材5の側面51に底面部材2が係止され、各側面部材3が当接した状態を維持でき、間詰め部6からの脱落を防止することが可能となる。
【0094】
埋設型枠1は、
図2(b)に示すように、間詰め部6の下端に設置されるときに、各側面部材3のプレキャスト部材5と当接する面に止水性を有する接着剤9が介装されることによって、プレキャスト部材5の側面51と接着されるため、間詰め部6からの脱落を防止することが可能となる。
【0095】
また、埋設型枠1は、止水性を有する接着剤9が各側面部材3の長手方向に沿って、一方の側面側端3aから他方の側面側端3bまで連続して介装されることによって、プレキャスト部材5との間に間隙を生じるのを防止できる。
【0096】
これにより、埋設型枠1は、経時硬化性材8が間詰め部6に埋め込まれるときに、下方へ漏出することを防止することが可能となる。このため、埋設型枠1は、隙間から漏出した経時硬化性材8が硬化することによって引き起こされる景観上の悪化を防止でき、間詰め部6の下方から経時硬化性材8を除去するための足場を設ける労力の負担を軽減できる。
【0097】
また、埋設型枠1は、接着剤9がテープ状に形成されることによって、各側面部材3の長手方向に沿って、容易に介装することができ、施工時間を短縮することが可能となる。
【0098】
例えば、本発明を適用した埋設型枠1は、
図11(b)に示すように、中空床版橋桁からなる複数のプレキャスト部材5の間に設けられてもよい。このとき、一のプレキャスト部材5の側面51は、下方から上方に向けて隣り合う他のプレキャスト部材5と間隔が遠ざかるように形成される傾斜部54と、傾斜部54の上端側に略鉛直に連続して形成される上端側鉛直壁55と、傾斜部54の下端側に略鉛直に連続して形成される下端側鉛直壁56とを有する。埋設型枠1は、傾斜部54及び上端側鉛直壁55との間に形成される間詰め部6の下端を塞ぐようにして設けられる。
【0099】
埋設型枠1は、傾斜部54に底面部材2が係止され、側面部材3が当接するため、容易に取り付けることが可能となる。また、埋設型枠1は、一対の側面部材3の間に形成される複数のリブ部材4が設けられていることによって、上方から経時硬化性材8の荷重の作用を受けたときに、傾斜部54に底面部材2が係止され、側面部材3が当接した状態を維持でき、間詰め部6からの脱落を防止することが可能となる。
【0100】
例えば、本発明を適用した埋設型枠1は、
図11(c)に示すように、床版からなる複数のプレキャスト部材5の間に設けられてもよい。
【0101】
このとき、埋設型枠1は、プレキャスト部材5の側面51に底面部材2が係止され、側面部材3が当接されるため、容易に取り付けることが可能となる。また、埋設型枠1は、一対の側面部材3の間に形成される複数のリブ部材4が設けられていることによって、上方から経時硬化性材8の荷重の作用を受けたときに、プレキャスト部材5の側面51に底面部材2が係止され、側面部材3が当接した状態を維持でき、脱落を防止することが可能となる。
【0102】
次に、本発明を適用した埋設型枠1の第2実施形態について説明する。なお、上述した構成要素と同一の構成要素については、同一の符号を付すことにより以下での説明を省略する。
【0103】
本発明を適用した第2実施形態における埋設型枠1は、
図12に示すように、特に、一対の側面部材3が上方に向け互いに拡がるように傾斜して形成され、リブ部材4が挿通孔41の構成を省略し、鋼材81の構成を省略したものとなる。
【0104】
このとき、埋設型枠1は、プレキャスト部材5の側面51に底面部材2が係止され、側面部材3が当接されるため、容易に取り付けることが可能となる。
【0105】
また、埋設型枠1は、挿通孔41の構成が省略されることによって、経時硬化性材8と一体化される鋼材81の構成も省略されるものとなる。しかし、埋設型枠1は、経時硬化性材8が硬化したときであっても、プレキャスト部材5の側面51に底面部材2が係止され、側面部材3が当接した状態を維持できるため、鋼材81の構成を省略したとしても、下方への脱落を防止することが十分に可能となる。
【0106】
従って、本発明を適用した埋設型枠1は、第2実施形態においても、プレキャスト部材5の間に形成される間詰め部6に、足場を設けることなく容易に取り付けができ、間詰め部6からの脱落を防止することが可能となる。
【0107】
次に、本発明を適用した埋設型枠1の第3実施形態について説明する。なお、上述した構成要素と同一の構成要素については、同一の符号を付すことにより以下での説明を省略する。
【0108】
本発明を適用した第3実施形態における埋設型枠1は、
図13に示すように、特に、底面部材2の幅方向の両端に連続して設けられる一対の側面部材3が、プレキャスト部材5の側面51と離間させて形成されるものとなる。
【0109】
このとき、埋設型枠1は、側面部材3がプレキャスト部材5の側面51と離間させることで当接されないものの、底面部材2が係止されるため、容易に取り付けることが可能となる。
【0110】
また、埋設型枠1は、一対の側面部材3の間に形成される複数のリブ部材4が設けられていることによって、上方から経時硬化性材8の荷重の作用を受けたときに、底面部材2が下方に向けて撓むような変形を抑えられるため、プレキャスト部材5の側面51に係止させた状態を維持することが可能となる。
【0111】
特に、埋設型枠1は、側面部材3が底面部材2の幅方向の両端から上方に向け略垂直に形成される場合であっても、リブ部材4が備えられていることによって一対の側面部材3の上端の離間距離W2が拘束されるものとなる。このため、埋設型枠1は、上方から経時硬化性材8の荷重の作用により、底面部材2がプレキャスト部材5の側面51の下方へ微動した場合であっても、側面部材3がプレキャスト部材5の側面51に係止されるため、間詰め部6からの脱落を防止することが可能となる。
【0112】
また、埋設型枠1は、経時硬化性材8と一体化させるための鋼材81が複数のリブ部材4の各々の挿通孔41に挿通されることによって、経時硬化性材8が硬化したとき、リブ部材4が鋼材81に固定されるため、間詰め部6からの脱落を防止することが可能となる。
【0113】
従って、本発明を適用した埋設型枠1は、第3実施形態においても、プレキャスト部材5の間に形成される間詰め部6に、足場を設けることなく容易に取り付けができ、間詰め部6からの脱落を防止することが可能となる。
【0114】
以上、本発明の実施形態の例について詳細に説明したが、上述した実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。