(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-82406(P2017-82406A)
(43)【公開日】2017年5月18日
(54)【発明の名称】流し台
(51)【国際特許分類】
E03C 1/18 20060101AFI20170414BHJP
A47K 1/04 20060101ALI20170414BHJP
A47K 1/00 20060101ALI20170414BHJP
【FI】
E03C1/18
A47K1/04 E
A47K1/00 V
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-208736(P2015-208736)
(22)【出願日】2015年10月23日
(71)【出願人】
【識別番号】515295809
【氏名又は名称】有限会社東和工業
(74)【代理人】
【識別番号】100118393
【弁理士】
【氏名又は名称】中西 康裕
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 正夫
【テーマコード(参考)】
2D061
【Fターム(参考)】
2D061BA01
2D061BA04
2D061BA08
2D061BA10
2D061BB00
2D061BC04
2D061BC11
2D061BC18
(57)【要約】
【課題】 洗浄水放出口から出る洗浄水によって内周面が確実に洗浄され、洗浄水放出口にゴミ等が入り込んでしまうおそれがなく、意匠的にもマイナス要素のない流し台を提供する。
【解決手段】 排水口2を有する底面3と、該底面3と連続する内周面4と、給水手段8と連通して前記内周面4に洗浄水Wを供給する洗浄水放出口6と、を備え、前記洗浄水放出口6が前記内周面4の上部全周に沿って下向きに形成される。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
排水口を有する底面と、該底面と連続する内周面と、給水手段と連通して前記内周面に洗浄水を供給する洗浄水放出口と、を備え、前記洗浄水放出口が前記内周面の上部全周に沿って下向きに形成されている、流し台。
【請求項2】
前記給水手段と連通する洗浄水溜めが前記内周面の全周に沿って配設され、前記洗浄水溜めの上縁部は全周に渡って水平であり、この水平上縁部から溢れ出る洗浄水が前記洗浄水放出口から流出する、請求項1に記載の流し台。
【請求項3】
前記洗浄水放出口が、前記内周面に沿って切れ目なくつながる単一の洗浄水放出口である、請求項1又は2に記載の流し台。
【請求項4】
前記洗浄水溜めと前記洗浄水放出口とを上方から覆うカバーを備える、請求項2又は3に記載の流し台。
【請求項5】
前記給水手段と連通する流出口が前記内周面の上部全周に沿って形成され、前記流出口から流出する洗浄水を下向きに案内する洗浄水ガイドが前記内周面に沿って配設され、該内周面と前記洗浄水ガイドの下端部との間の隙間が前記洗浄水放出口とされている、請求項1乃至4のいずれかに記載の流し台。
【請求項6】
前記流出口が、前記内周面に沿って切れ目なくつながる単一の流出口である、請求項5に記載の流し台。
【請求項7】
排水口を有する底面と、該底面と連続する内周面と、給水手段と連通して前記内周面の全周に沿って配設される洗浄水溜めと、該洗浄水溜めの全周に渡って水平に位置する洗浄水放出口と、前記洗浄水溜めと前記洗浄水放出口とを上方から覆うカバーと、を備え、前記洗浄水放出口から洗浄水が溢れ出て前記内周面を伝って流れ落ちることを特徴とする流し台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流し台に関するものである。本発明に係る流し台は、台所に設けられる食器等洗浄用の流し台には限定されず、洗面所に設けられる洗面用の流し台、理美容院に設けられる洗髪用の流し台、医療機関や化学実験施設等に設けられる手洗い用、医療器具洗浄用、実験器具洗浄用等の流し台、厨房や工場等で使用される産業用の流し台等、広く流し台一般に関するものである。
【背景技術】
【0002】
流し台の一例として、特許文献1に記載されているように、洗浄用水槽の側壁の上方周辺に沿って複数個の給水口を設けたものが知られている。この文献には、複数の給水口が環状分岐給水管の内周に沿って開口され、この環状分岐給水管が洗浄用水槽の側壁上端部周囲に埋設される態様が記載されている(特許文献1の0011段落)。そして、洗浄用水槽の側壁に髪の毛やゴミ等が付着した場合には、多数の給水口から給水することにより、洗浄用水槽の側面に付着した髪の毛やゴミ等を洗浄することができるとされている(特許文献1の0013段落)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−237913号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来のものには次のような問題がある。
【0005】
第一に、複数の給水口が洗浄用水槽の側面に横穴状に開口しているので、環状分岐給水管内に供給される水の水圧が高いと、各給水口から洗浄用水槽の内方へ向かって散水されてしまう。このため、水圧によっては、洗浄用水槽の側面に付着した髪の毛やゴミ等の洗い流しが十分に実現されない場合がある。これを避けるためには、水圧の調整が必要になる。
【0006】
第二に、洗浄用水槽の側面に給水口が露出しているため、洗浄水が流れていないときに、ゴミや汚れが給水口の中に入り込んでしまうおそれがある。
【0007】
第三に、洗浄用水槽の側面に給水口が露出していることは意匠的にもマイナスであり、清潔感が損なわれる等、使用者によっては気分を害するおそれもある。
【0008】
本発明は、前記のような事情に鑑みてなされたもので、洗浄水放出口から出る洗浄水によって内周面が確実に洗浄され、洗浄水放出口にゴミ等が入り込んでしまうおそれがなく、意匠的にもマイナス要素のない流し台を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するため、本発明に係る流し台は、排水口を有する底面と、該底面と連続する内周面と、給水手段と連通して前記内周面に洗浄水を供給する洗浄水放出口と、を備え、前記洗浄水放出口が前記内周面の上部全周に沿って下向きに形成されていることを特徴とする(請求項1)。
【0010】
本発明においては、給水手段から洗浄水放出口へと洗浄水が供給され、洗浄水放出口から流出する洗浄水によって内周面が洗浄される。洗浄水放出口が下向きに設けられているので、洗浄水放出口から供給される洗浄水が水圧に左右されることなく確実に流し台の内周面に沿って流れ落ちる。このため、内周面が洗浄水によって確実に洗浄される。また、洗浄水放出口が下向きであるので、洗浄水が流出していないときでも洗浄水放出口にゴミ等が入りにくい。さらに、下向きの洗浄水放出口は使用者から視認されにくい。このため、意匠的に不利な外観とはならず、使用者の気分を害することも防止できる。
【0011】
好適な実施の一形態として、前記給水手段と連通する洗浄水溜めが前記内周面の全周に沿って配設され、前記洗浄水溜めの上縁部は全周に渡って水平であり、この水平上縁部から溢れ出る洗浄水が前記洗浄水放出口から流出する態様を例示する(請求項2)。この場合、給水手段から供給される洗浄水が洗浄水溜めに溜まり、洗浄水溜めの水平上縁部から溢れ出て前記洗浄水放出口から流出する。
【0012】
なお、前記洗浄水放出口は、前記内周面の全周に沿って設けられていればよく、相互間に小さな間隔をおいて多数の洗浄水放出口を配設することとしてもよいし、前記内周面に沿って切れ目なくつながる単一の洗浄水放出口を配設することとしてもよい(請求項3)。後者の態様とすれば、内周面の全周に隙間なく洗浄水が供給されて好適である。
【0013】
好適な実施の一形態として、前記洗浄水溜めと前記洗浄水放出口とを上方から覆うカバーを備える態様を例示する(請求項4)。このようにすれば、洗浄水溜めと洗浄水放出口へのゴミの入り込みが上方カバーによって防止されるとともに、意匠的にも好ましい外観が得られる。
【0014】
好適な実施の一形態として、前記給水手段と連通する流出口が前記内周面の上部全周に沿って形成され、前記流出口から流出する洗浄水を下向きに案内する洗浄水ガイドが前記内周面に沿って配設され、該内周面と前記洗浄水ガイドの下端部との間の隙間が前記洗浄水放出口とされている態様を例示する(請求項5)。この場合、流出口から流出する洗浄水が洗浄水ガイドで洗浄水放出口に向けて下向きに案内される。このため、流出口から流出する洗浄水の水圧が高くても全く問題がない。
【0015】
なお、前記流出口は、前記内周面の全周に沿って設けられていればよく、相互間に小さな間隔をおいて多数の流出口を配設することとしてもよいし、前記内周面に沿って切れ目なくつながる単一の流出口を配設することとしてもよい(請求項6)。後者の態様とすれば、内周面の全周に隙間なく洗浄水が供給されて好適である。
【0016】
本発明の他の実施の形態として、次のものも採用可能である。すなわち、排水口を有する底面と、該底面と連続する内周面と、給水手段と連通して前記内周面の全周に沿って配設される洗浄水溜めと、該洗浄水溜めの全周に渡って水平に位置する洗浄水放出口と、前記洗浄水溜めと前記洗浄水放出口とを上方から覆うカバーと、を備え、前記洗浄水放出口から洗浄水が溢れ出て前記内周面を伝って流れ落ちることを特徴とする流し台である(請求項7)。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施の一形態に係る流し台の平面図である。
【
図2】
図1の流し台のII矢視図(正面図)である。
【
図3】
図1の流し台のIII矢視図(右側面図)である。
【
図4】
図1の流し台のIV矢視図(背面図)である。
【
図8】本発明の他の実施の形態の要部の断面図である。
【
図9】本発明の他の実施の形態の要部の断面図である。
【
図10】本発明の他の実施の形態の要部の断面図である。
【
図11】本発明の他の実施の形態の要部の断面図である。
【
図12】本発明の他の実施の形態の要部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
【0019】
図1〜
図6に示すように、本発明の実施の一形態に係る流し台1は、排水口2を有する底面3と、該底面3と連続する内周面4と、を備える。水道管に連通する蛇口5(
図6参照)からの給水により、流し台1内で、手や物品等の対象物を洗浄することができる。流し台1内に供給された水は排水口2から流出し、排水口2に接続される図示しない排水管を通して下水道等へと排出される。流し台1は、ステンレス製、陶器製、磁器製、ガラス製等、種々の用途に応じた材料で作製すればよく、材質にも用途にも限定はない。
【0020】
図5及び
図6に示すように、前記流し台1は、内周面4に洗浄水を供給するための洗浄水放出口6を備える。この洗浄水放出口6は、
図1に示すように、給水管路7を介して水道管やポンプ付き洗浄水タンク等の給水手段8と連通する。給水管路7上に設けた操作手段の一例としてのバルブ9を必要に応じて開くことにより、洗浄水放出口6から洗浄水が流出する。給水手段8から供給される洗浄水は、真水のほか、消毒液入りの洗浄水、香料入りの洗浄水等、用途に応じて適宜に決定することができる。例えば、台所、厨房、洗面所等の流し台では水道水を使用し、医療機関の手洗い用又は医療器具洗浄用の流し台では消毒液入りの洗浄水を使用し、ホテルのトイレ等の流し台では香料入りの洗浄水を使用する等である。
【0021】
本実施の形態では、前記洗浄水放出口6が流し台1の内周面4の上部全周に沿って下向きに形成される。具体的には次の通りである。
【0022】
図5及び
図6に示すように、流し台1の内周面4の外側全周に沿って、洗浄水溜め形成板10が固着される。
図7に拡大して示すように、洗浄水溜め形成板10は、流し台1の外周面11の全周に固着される底板部12と、この底板部12の外端部から上向きに延びる外板部13と、この外板部13の上端から流し台1の内周面4の上縁部4aを越えて流し台1の内方へと延びる上板部14と、この上板部14から下向きに延びる内板部15と、を備える。その結果、洗浄水溜め形成板10と流し台1の外周面11との間に、環状の洗浄水溜め16が形成される。流し台1の内周面4の上縁部4aと洗浄水溜め形成板10の上板部14との間の隙間が洗浄水の流出口17である。また、流し台1の内周面4と洗浄水溜め形成板10の内板部15の下端との間の隙間が下向きの洗浄水放出口6である。
【0023】
上板部14は、洗浄水溜め16と流出口17と洗浄水放出口6とを上から覆うカバー(上方カバー)であり、内板部15は、流出口17を側方から覆うカバー(側方カバー)である。これらのカバー14,15により洗浄水溜め16と流出口17と洗浄水放出口6とが覆い隠される。このため、洗浄水放出口6と流出口17と洗浄水溜め16へのゴミの入り込みが防止される。また、流し台1の使用者の目から洗浄水溜め16と流出口17と洗浄水放出口6とが隠されるので、意匠的にも好ましく、使用者の気分を害してしまう等の問題もない。なお、側方カバーとしての内板部15は、ゴミの入り込みを確実に防止し、且つ、流出口17を使用者の目から確実に隠す観点から、流出口17よりも下方位置まで延びていることが好ましい。また、上板部14、内板部15は、外板部13と一体となっているが、所謂ワークトップと呼ばれるような別部材の天板で構成してもよい。
【0024】
洗浄水溜め16は、給水管路7(
図1、
図4及び
図6参照)を介して給水手段8に連通する。図示例では、流し台1の背面側に給水管路7が設けられているが、これには限定されない。洗浄水溜め16の上縁部、すなわち、図示例では流し台1の内周面4の上縁部4aは、全周に渡って水平である。このため、洗浄手段8から洗浄水溜め16へと洗浄水Wが供給されると、洗浄水溜め16に洗浄水Wが溜まり、洗浄水Wの水位が上がり、やがて、洗浄水溜め16の上縁部4aを越えて流出口17から一斉に洗浄水Wが溢れ出る。流出口17から溢れ出た洗浄水Wは、流し台1の内周面4を伝って洗浄水放出口6から流れ落ちる。このため、流し台1の内周面4の全体に洗浄水Wが行き渡り、内周面4の汚れがきれいに洗い流される。
【0025】
なお、流出口17と洗浄水放出口6は、それぞれ、流し台1の内周面4の全周に沿って設けられていればよく、相互間に小さな間隔をおいて多数の流出口及び洗浄水放出口を配設することとしてもよいし、流し台1の内周面4に沿って切れ目なくつながる単一の流出口17及び洗浄水放出口6を配設することとしてもよい。後者の態様とすれば、内周面4の全周に隙間なく洗浄水Wが供給されて好適である。
【0026】
洗浄水溜め16から洗浄水Wがどのような態様で流出するかは、洗浄水溜め16の容量、洗浄水溜め16に供給される洗浄水Wの流量、流出口17の総面積等に依存して定まる。例えば、
図7に示すように、洗浄水溜め16の容量と流出口17の総面積とが共に大きい場合であって、洗浄水Wの流量がさほど大きくない場合には、流出口17から洗浄水Wが緩やかに溢れ出す。このため、洗浄水Wが流し台1の内周面4の上端縁4aから内周面4を伝って洗浄水放出口6から流れ落ちる。
【0027】
これに対し、
図8に示すように、流出口17の総面積が小さい場合であって、洗浄水Wの流量が大きい場合には、流出口17から流し台1の内方(矢印A)へと洗浄水Wが噴出する。この場合、流出口17から噴出した洗浄水Wは、洗浄水溜め形成板10の内板部15に衝突し、下向きに案内される。したがって、この場合の内板部15は、流出口17から噴出する洗浄水Wを下向きに案内する洗浄水ガイドとして作用する。
【0028】
なお、
図7を参照して既に述べたように、洗浄水溜め16の容量と流出口17の総面積とが共に十分大きい場合であって、洗浄水Wの流量がさほど大きくない場合には、流出口17から洗浄水Wが緩やかに溢れ出る。このため、洗浄水Wが流し台1の内周面4の上端縁4aから内周面4を伝って流れ落ちる。したがってこの場合、
図9に示すように、洗浄水溜め形成板10の内板部15を省略することも可能になる。洗浄水溜め形成板10の上板部14が流水口17を越えて流し台1の内方へと庇状に延び出してさえいれば、上板部14が上方カバーとして作用する。この上方カバー14は、洗浄水溜め16と流出口17とを上方から覆い隠すので、洗浄水溜め16と流出口17へのゴミの入り込みが防止される。また、上方カバー14は、流し台1の使用者の目から洗浄水溜め16と流出口17とを隠すので、意匠的にも好ましく、使用者の気分を害してしまう等の問題もない。この場合、流出口17が洗浄水放出口6を兼ねることになる。
【0029】
なお、
図9の例では、洗浄水放出口6(流水口17)が横向きである。しかし、前記構成により
図7と同様の作用効果が得られるので、本発明の範囲内である。
【0030】
他の実施の形態として、
図10に示す態様を採用することもできる。すなわち、洗浄水溜め16が流し台1の内周面4の内側に配設される態様である。この場合、洗浄水溜め形成板18が樋状に成形され、上板部19によって流し台1の内周面4の上部の内側に固着される。洗浄水溜め形成板18の樋状部20によって洗浄水溜め16が形成される。この洗浄水溜め16には、
図1と同様に給水管路7を介して給水手段8が連通される。樋状部20の上向きの自由端縁20aと上板部19との間の隙間が、洗浄水Wの流出口17となる。また、洗浄水溜め形成板18のうち、流し台1の内周面4と対面する対面板部21の下端と、流し台1の内周面4と、の間の隙間が、洗浄水放出口6となる。
【0031】
図10の例の場合、対面板部21と流し台1の内周面4との間の隙間が大き過ぎると、流出口17から溢れ出る洗浄水Wが流し台1の内周面4に当たらなくなってしまう。このため、流出口17から溢れ出る洗浄水Wが流し台1の内周面4を伝って流れ落ちるように、対面板部21と流し台1の内周面4との間の隙間を適宜に設定する。
【0032】
図10において、上板部19は、洗浄水溜め16と流出口17と洗浄水放出口6とを上から覆うカバー(上方カバー)である。このカバー19により洗浄水溜め16と流出口17と洗浄水放出口6とが覆い隠される。このため、洗浄水溜め16と流出口17と洗浄水放出口6へのゴミの入り込みが防止される。また、流し台1の使用者の目から洗浄水溜め16と流出口17と洗浄水放出口6が隠されるので、意匠的にも好ましく、使用者の気分を害してしまう等の問題もない。
【0033】
図10の構成において、洗浄水溜め16の上縁部、すなわち、対面板部21の上縁部20aは、流し台1の内周面4の全周に渡って水平である。このため、洗浄手段8から洗浄水溜め16へと洗浄水Wが供給されると、洗浄水溜め16に洗浄水Wが溜まり、洗浄水Wの水位が上がり、やがて、洗浄水溜め16の上縁部20aを越えて流出口17から一斉に洗浄水Wが溢れ出る。流出口17から溢れ出た洗浄水Wは、流し台1の内周面4を伝って洗浄水放出口6から流れ落ちる。このため、流し台1の内周面4の全体に洗浄水Wが行き渡り、内周面4の汚れがきれいに洗い流される。
【0034】
図10の例においても、流出口17と洗浄水放出口6は、それぞれ、相互間に小さな間隔をおいて多数配設することとしてもよいし、流し台1の内周面4に沿って切れ目なくつながる単一の流出口17及び洗浄水放出口6を配設することとしてもよい。後者の態様とすれば、流し台1の内周面4の全周に隙間なく洗浄水Wが供給されて好適である。
【0035】
他の実施の形態として、
図11に示す態様を採用することもできる。すなわち、洗浄水溜めに相当する通水管22が流し台1の内周面4の上部内側全周に渡って水平に配設される態様である。この場合、洗浄水放出口6は、流し台1の内周面4に近接させて通水管22の下面に下向きに形成される。洗浄水放出口6は、通水管22の長さ方向に小さな間隔をおいて多数配設することとしてもよいし、通水管22の長さ方向に切れ目なくつながる単一の洗浄水放出口としてもよい。
【0036】
通水管22には、
図1と同様に給水管路7を介して給水手段8が連通される。給水管路7を通して通水管22に洗浄水Wが供給されると、洗浄水Wは通水管22内を行き渡り、洗浄水放出口6から流れ落ちる。洗浄水放出口6から流れ落ちる洗浄水Wは、流し台1の内周面4を伝って流れ落ちることで、内周面4を洗浄する。
【0037】
洗浄水放出口6が通水管22の下面に設けられているので、洗浄水放出口6から通水管22内へのゴミの入り込みが防止される。また、流し台1の使用者の目から洗浄水放出口6が見えないので、意匠的にも好ましく、使用者の気分を害してしまう等の問題もない。
【0038】
図11の態様は、流し台1の内周面4に通水管22を後付けすることで作製できるので、既存の流し台をそのまま利用できて好適である。
【0039】
他の実施の形態として、
図12及び
図13に示す態様も採用可能である。すなわち、
図12及び
図13の例は
図8の変形例であり、流し台1の内周面4の上部を打ち抜いて多数の流水口17を形成したものである。
【符号の説明】
【0040】
1 流し台
2 排水口
3 底面
4 内周面
4a 洗浄水溜めの上縁部
6 洗浄水放出口
8 給水手段
14 上板部(上方カバー)
15 内板部(洗浄水ガイド)
16 洗浄水溜め
17 流出口
19 上板部(上方カバー)
20a 洗浄水溜めの上縁部
W 洗浄水