【解決手段】本発明のパーキングロックは、上部に開口を有する円錐形状の標識体を路面に固定するものであり、路面に固定される土台部と、一端が前記土台部にヒンジ状に係合するとともに、他端が標識体の開口を貫通する棒状部材と、他端に取り付けられ、標識体を棒状部材から引き抜くことを防止する引き抜き防止器具とを備える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の標識体は、単に路上に載置されるだけなので、容易に移動することができる。そのため、悪質な運転者が、標識体を移動し、特定の土地や道に無断で侵入し、また、特定の場所に無断で駐車を行うという事態が生じていた。
特許文献1及び特許文献2記載のポストコーンは、路面に固定されるものであるが、樹脂ポール部分は、固定台に螺合されているため、樹脂ポール部分を回転させることにより、容易に樹脂ポール部分を取り外して移動することが出来てしまうものであった。そして、特許文献1及び特許文献2には、無断で樹脂ポール部分を移動する行為を防止するための構造は記載されていなかった。
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、路上に設置された円錐形状の標識体を無断で移動する行為を防止することの出来るパーキングロックを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のパーキングロックは、上部に開口を有する円錐形状の標識体を路面に固定するパーキングロックであって、前記路面に固定される土台部と、一端が前記土台部にヒンジ状に係合するとともに、他端が前記標識体の前記開口を貫通する棒状部材と、前記他端に取り付けられ、前記標識体を前記棒状部材から引き抜くことを防止する引き抜き防止器具とを備えることを特徴とする。
また、前記引き抜き防止器具は、前記棒状部材に貫通された状態で、前記開口を覆う蓋と、前記蓋と当接する掛け金を有する錠とからなり、前記掛け金は、前記棒状部材の前記他端に設けられた貫通孔を貫通するように構成しても良い。
さらに、前記引き抜き防止器具は、前記開口の幅が最も広い部分の両端の縁に当接可能な掛け金を有する錠からなり、前記掛け金は、前記貫通孔を貫通するように構成しても良い。
また、前記一端は、フック形状からなり、前記土台部は、前記フック形状に対応する形状の溝を有し、前記棒状部材は、前記溝内に前記一端を載置した際に、直立するように構成しても良い。
【発明の効果】
【0006】
このように、本発明のパーキングロックでは、棒状部材の他端に設置された引き抜き防止器具により、標識体の棒状部材からの引き抜きが防止される。そして、標識体を貫通する棒状部材は、一端が路面に固定される土台部にヒンジ状に係合する。そのため、引き抜き防止器具により棒状部材からの引き抜きが防止された標識体は、路面に固定される。これにより、標識体が無断で移動されることを防止することが出来る。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1〜
図10を用いて本発明の第1実施例のパーキングロック100の構成を説明する。
図1は、本発明の一実施例であるパーキングロック100の概要図である。
図2は、
図1のパーキングロック100の構成を示す斜視図である。
図3は、
図2のパーキングロック100の土台部10の平面図(
図3(a))、側面図(
図3(b))及び正面図(
図3(c))である。
図4は、
図2のパーキングロック100の棒状部材20の側面図(
図4(a))及び背面図(
図4(b))である。
図5は、
図4の棒状部材20のフック22の正面図(
図5(a))、平面図(
図5(b))及び側面図(
図5(c))である。
図6は、
図3の土台部10と
図2の棒状部材20とを組み合わせた際の様子を側方から立体的に描いた図である。
図7は、
図3の土台部10と
図2の棒状部材20とを組み合わせた際の様子を示す斜視図である。
図8は、
図3の土台部10と
図2の棒状部材20とを組み合わせた状態で、棒状部材20を倒した際の様子を示す図である。
図9は、
図2のパーキングロック100の蓋31の平面図(
図9(a))及び側面図(
図9(b))である。
図10は、本発明の第1実施例であるパーキングロック100により路面に固定される標識体P1の概略図である。
【0009】
本発明の第1実施例であるパーキングロック100は、上部に開口H1を有する、円錐形状で内部が中空の標識体(コーン)P1を路面に固定するものである。このパーキングロック100は、路面に固定される土台部10と、下端側が土台部10にヒンジ状に係合し、上端側が標識体P1の開口を貫通する棒状部材20と、棒状部材20の上端側に取り付けられて、標識体P1を棒状部材20から引き抜くことを防止する引き抜き防止器具30と、棒状部材20の上端に取り付けられるキャップ40とを有する。
パーキングロック100の土台部10は、土台部本体11と、土台部本体11に設けられる係合棒12と、土台部本体11を路面に固定するボルト13とを有する。
土台部本体11は、中央付近に向かって盛り上がったドーム型の形状を有し、塩化ビニル樹脂により構成されている。土台部本体11は、土台部本体11の中央を横切るようにして形成される凹部11aと、凹部11aの長手方向の中央付近に形成される溝11bと、土台部本体11の側部に形成される四角穴11cとを有する。このうち、四角穴11cは、溝11bと接続している。これにより、溝11b内にゴミが溜まった際に、ゴミを四角穴11cから掻き出すことができ、清掃しやすいようになっている。
【0010】
係合棒12は、溝11bの上方に設けられる。そして、両端部が凹部11aの側壁を貫通し、土台部本体11内(樹脂内)に入った状態で固定されている。
なお、本実施例では、ボルト13を用いて土台部本体11を路面に固定しているが、これ以外のもので、土台部本体11を路面に固定しても良い。
棒状部材20は、内部が中空の鋼管からなるパイプ21と、パイプ21にスポット溶接されるフック22とを有する。
パイプ21は、直立した際に、上端が標識体P1の開口H1の位置よりも上方に位置する長さを有する。また、パイプ21は、直立した際に、標識体P1の開口H1の位置よりも上に位置する部分に、第1の貫通孔21a及び第2の貫通孔21bを有する。第1の貫通孔21a及び第2の貫通孔21bは、直立した状態のパイプ21を水平方向に貫通するものである。第1の貫通孔21aは、第2の貫通孔21bよりもパイプ21の上端に近い側に形成されている。また、パイプ21の上端部分には、パイプ21の孔を塞ぎ、内部に雨水やゴミが入らないようにするキャップ40が取り付けられている(
図4参照)。
フック22は、土台部10の係合棒12にヒンジ状に係合する部分であり、
図4(b)中の記号Sの箇所でスポット溶接されている。フック22には、切り欠き22aが設けられている。これにより、フック底面22bにゴミが溜まった際に、切り欠き22aからゴミを掻き出すことができ、清掃しやすいようになっている。
【0011】
このような構成を有する棒状部材20を土台部10に設置すると、棒状部材20のフック22の下部が土台部10の溝11b内にぴったりと収まる(
図6及び
図7参照)。これにより、フック22が安定し、パイプ21を直立させることが出来る。また、フック22の下部が溝11b内にあるため、フック底面22bにゴミが溜まった際に、四角穴11cから清掃を行うことができる。さらに、係合棒12がフック22の内側に位置するため、棒状部材20を持ち上げると、フック22が係合棒12とヒンジ状に係合する。また、係合棒12とフック底面22bとの間には、隙間が有るため、フック22が係合棒12と係合する際には、フック22の下部が溝11bから出る。そのため、棒状部材20を、係合棒12を中心に回転させて、倒すことが出来る(
図8参照)。
【0012】
引き抜き防止器具30は、標識体P1の開口H1を覆う蓋31と、蓋31がパイプ21から引き抜かれるのを防止する錠32とを有する。
蓋31は、上面側に凸形状31aを、下面側に凸形状31bを有する円板形状からなり、塩化ビニル樹脂により構成される。蓋31の中央部には、上面側から下面側に貫通する孔31cが形成されている。また、蓋31は、標識体P1の開口H1よりも大きい径を有しており、標識体P1の開口H1の縁E1に載置することが出来るようになっている。
蓋31の凸形状31bは、標識体Pの開口H1よりも少しだけ小さい径を有する。これにより、蓋31を開口H1の縁に乗せた際に、凸形状31bが開口H1の縁E1の内側に当接し、位置決めを行うことが出来る。
蓋31の孔31cは、凸形状31aの上面から凸形状31bの下面に貫通しており、パイプ21よりも少しだけ大きい径を有する。これにより、パイプ21が孔31cを貫通できるようになっている。
【0013】
錠32は、U字型の掛け金32aを有するダイヤル式の南京錠からなり、一度施錠がなされると、予め設定された正しい数字にダイヤルを合わせない限りは、解錠できないようになっている。そして、錠32は、掛け金32aをパイプ21の第1の貫通孔21a又は第2の貫通孔21bに通した状態で施錠される。
掛け金32aを第1の貫通孔21a又は第2の貫通孔21bのいずれに通すかは、標識体P1の背丈や土台部10周囲の路面の状況による。すなわち、もともと標識体P1の背丈が高い場合や、土台部10周囲の路面が盛り上がっていて(小石などで盛り上げる場合も含む)、標識体P1の上部の位置が、通常時(路面が平らな場合)よりも高くなる場合は、蓋31の凸形状31aにより、第2の貫通孔21bが隠れる。このようなときは、掛け金32aを、第2の貫通孔21bよりもパイプ21の上端に近い側に形成された第1の貫通孔21aに通す。
【0014】
一方、もともと標識体P1の背丈が低い場合や、土台部10周囲の路面が沈み込んでいて、標識体P1の上部の位置が、通常時よりも低くなる場合は、蓋31の凸形状31aが第2の貫通孔21bの下に位置する。このようなときは、掛け金32aを第2の貫通孔21bに通す。
掛け金32aが、第1の貫通孔21a又は第2の貫通孔21bのいずれか最適な方に通されて、錠32が施錠されることにより、錠32の掛け金32aが蓋31の凸形状31aに当接し、蓋31がパイプ21から抜けなくなる。このように、錠32により、蓋31のパイプ21からの引き抜きが防止されることによって、蓋31により開口H1部分を覆われた標識体P1の引き抜きも防止される。
なお、本実施例では、錠32は、U字型の掛け金32aを有するダイヤル式の南京錠としたが、掛け金の形状はU字型に限られず、例えば、棒状のものであっても良い。また、南京錠は、ダイヤル操作により施錠及び解錠を行うダイヤル式南京錠に限られず、例えば、鍵により、施錠及び解錠を行う方式のものであっても良い。
【0015】
次に、パーキングロック100の使用方法を説明する。
まず、標識体P1の設置予定場所に、土台部10を設置する。この際、ボルト13により、土台部本体11を路面に固定する。次いで、棒状部材20を横倒しした状態で、フック22を係合棒12に係合させる。そして、係合棒12を中心に棒状部材20を回転させ、フック22の下部が溝11bの上方に位置するようにする。次いで、フック22の下部を溝11b内に収めて、パイプ21を直立させる。このとき、係合棒12は、フック22の内側に位置しており、パイプ21を持ち上げると、フック22と係合するようになっている。
その後、キャップ40をパイプ21の上端に取り付ける。そして、標識体P1の開口H1にパイプ21を通しながら、標識体P1を設置予定場所に置く。次いで、蓋31の孔31cにパイプ21を通しながら、蓋31を標識体P1の開口H1の縁E1に載置する。このとき、蓋31の下面側の凸形状31bを用いて、位置決めを行う。これにより、蓋31により、標識体P1の開口H1を覆う。
【0016】
その後、パイプ21の第1の貫通孔21a(又は第2の貫通孔21b)に掛け金32aを通し、錠32を施錠する。これにより、錠32の掛け金32aが蓋31の凸形状31aに当接するので、蓋31のパイプ21からの引き抜きが防止される。そのため、蓋31により上部を覆われた標識体P1のパイプ21からの引き抜きも防止される。そして、蓋31及び標識体P1を貫通するパイプ21は、下端部に取り付けられたフック22により、路面に固定された土台部10の係合棒12とヒンジ状に係合する状態にある。そのため、錠32及び蓋31により、パイプ21からの引き抜きが防止された標識体P1は、路面に固定される。これにより、標識体P1が無断で移動されることを防止することが出来る。
【0017】
パーキングロック100使用後は、錠32を解錠して、掛け金32aを第1の貫通孔21a(又は第2の貫通孔21b)から取り外す。次いで、蓋31及び標識体P1をパイプ21から引き抜く。その後、棒状部材20を持ち上げて、フック22の下部が溝11bから出た状態で、フック22を係合棒12に係合させる。この状態で棒状部材20を係合棒12を中心に回転させて倒す。ここで、棒状部材20を、倒れている方向と逆方向に押すことにより、フック22が係合棒12から外れる。このようにして、棒状部材20を土台部10から取り外す。これにより、路面には土台部10が残されるが、土台部10がドーム状の形状を有するため、その上を車両に通行させることが出来る。
【0018】
次に、本発明の第2実施例であるパーキングロック200について説明する。
図11は、本発明の第2実施例のパーキングロック200で用いられる引き抜き防止器具230の構成を示す図(
図11(a))及び引き抜き防止器具230を棒状部材20に取り付けた際の様子を示す上面図(
図11(b))である。
図12は、
図11のパーキングロック200の引き抜き防止器具230を棒状部材20に取り付けた際の様子を示す斜視図である。
本実施例のパーキングロック200は、引き抜き防止器具230の構成が第1実施例と異なる以外は、第1実施例の構成と同様であるため、同様の部分は説明を省略する。また、本実施例のパーキングロック200により固定される標識体P2の開口H2は、第1実施例のパーキングロック100により固定される標識体P1の開口H1よりも小さくなっている。
【0019】
引き抜き防止器具230は、錠231のみからなる。錠231は、直線状の掛け金231aを有するダイヤル式の南京錠からなる。この錠231では、解錠状態で、掛け金231aがスライド移動するようになっている(
図11(a)参照)。そして、掛け金231aの端部を錠231の本体部分に挿入し、ダイヤルを操作することで、錠231の施錠がなされるようになっている。また、施錠状態で、ダイヤルを予め設定された正しい数字に合わせることにより、錠231の解錠がなされるようになっている。掛け金231aの長さは、標識体P2の開口H2の最も幅の広い部分の長さRにその両端部の縁Eの長さを加えた長さよりも長くなっている。
【0020】
これにより、掛け金231aを、パイプ21の第1の貫通孔21a(又は第2の貫通孔22b)に通して、錠231を施錠した状態で、標識体P2をパイプ21から引き抜こうとしても、縁E2が必ず掛け金231aに当接する。そのため、標識体P2のパイプ21からの引き抜きが防止される。そして、本実施例のパーキングロック200でも第1実施例と同様に、標識体P2を貫通するパイプ21は、下端部に取り付けられたフックにより、路面に固定された土台部の係合棒と係合する状態にある。そのため、錠231により、パイプ21からの引き抜きが防止された標識体P2は、路面に固定される。これにより、本実施例のパーキングロック200においても、標識体P2が無断で移動されることを防止することが出来る。
【0021】
ここで、第2実施例の変形例(又は第1実施例の変形例)として、錠231(32)の代わりに紐状部材を用いるパーキングロックについて説明する。このパーキングロックでは、パイプ21の第1の貫通孔21aの上部に、紐状部材(ロープ、チェーン等)を通すための第3の貫通孔が設けられている。このパーキングロックを使用するには、同様にパイプに第3の貫通孔が設けられたパーキングロックが隣接して(少なくとも1つ)設置されていることが必要となる。使用時には、パーキングロックの第3の貫通孔に紐状部材を通し、隣接するパーキングロックの第3の貫通孔にも紐状部材を通す。そして、複数並べられた(紐状部材の通された)パーキングロックのうち、端に位置するパーキングロックの第3の貫通孔から外に出ている紐状部材の端部に結び目を形成する。これにより、結び目が第3の貫通孔の縁に当たり、紐状部材のパーキングロックからの抜け落ちが防止される。このような構成を有することにより、複数並べられたパーキングロック間の車両の通行を禁止することが出来る。また、標識体を引き抜こうとしても、標識体が紐状部材に当たり(1実施例の変形例の場合は間接的に当たり)、さらにこの紐状部材が、結び目により、両端に設置されたパーキングロックのパイプ21から抜けないようになっているため、標識体のパイプからの引き抜きが防止される。その結果、標識体を無断で移動することを防止することが出来る。なお、紐状部材にチェーンを用いる場合は、結び目の代わりに、チェーンの環に南京錠の掛け金を通して施錠し、紐状部材が抜け落ちないようにしても良い。南京錠を用いた場合は、結び目が解かれるといった事態を避けることが出来る。また、紐状部材の太さによっては、第3の貫通孔を設けず、紐状部材を第1の貫通孔21a又は第2の貫通孔21bに通しても良い。
【0022】
なお、第1実施例及び第2実施例のパーキングロック100、200では、錠32、230は、いずれもダイヤル式であり、人が直接手で触ってダイヤルを合わせることで解錠を行うものであったが、リモコンから特定の信号を送ることにより、施錠及び解錠を行うタイプの錠であっても良い。
また、第1実施例では、引き抜き防止器具30として、蓋31と錠32を用いたが、標識体P1を棒状部材20から引き抜くのを防止するものであれば、どのようなものを用いても良い。また、引き抜き防止器具として蓋と錠を用いる場合でも、それは、第1実施例に示したものに限定されない。
【0023】
さらに、第2実施例では、引き抜き防止器具230として、錠231を用いたが、標識体P2を棒状部材から引き抜くのを防止するものであれば、どのようなものを用いても良い。また、引き抜き防止器具として錠を用いる場合でも、それは、第2実施例に示したものに限定されない。例えば、第2実施例では、錠231はダイヤル式であったが、鍵で施錠及び解錠を行うものであっても良い。また、掛け金の形状も、棒状だけでなく、U字形状であっても良い。
また、第2実施例では、掛け金231aが、標識体P2の開口H2の幅が最も広い部分の両端の縁E2に当接することで、標識体P2の引き抜きが防止されていたが、掛け金の長さが第2実施例のものより短くても、錠の本体部分が標識体の開口の幅が最も広い部分の両端の縁に当接して、標識体の引き抜きが防止されるのであれば、そのような形状の錠を用いても良い。
【0024】
以上に、本発明の第1実施例及び第2実施例であるパーキングロック100、200を説明したが、本発明は、上記の実施例に限定されることなく、本発明の技術思想を逸脱しない範囲で、多様に変形して実施することが出来る。