(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-82801(P2017-82801A)
(43)【公開日】2017年5月18日
(54)【発明の名称】エンジンおよび後処理機構を備えるシステム、およびその制御プロセス
(51)【国際特許分類】
F02D 43/00 20060101AFI20170414BHJP
F01N 9/00 20060101ALI20170414BHJP
F02D 45/00 20060101ALI20170414BHJP
F01N 3/08 20060101ALI20170414BHJP
【FI】
F02D43/00 301T
F01N9/00
F02D43/00 301D
F02D45/00 320A
F01N3/08 B
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【外国語出願】
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2017-22939(P2017-22939)
(22)【出願日】2017年2月10日
(62)【分割の表示】特願2012-243443(P2012-243443)の分割
【原出願日】2012年11月5日
(31)【優先権主張番号】13/290,025
(32)【優先日】2011年11月4日
(33)【優先権主張国】US
(71)【出願人】
【識別番号】512242114
【氏名又は名称】ハネウェル スポル,エス.エル.オ.
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【弁理士】
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100146710
【弁理士】
【氏名又は名称】鐘ヶ江 幸男
(72)【発明者】
【氏名】ヤロスラフ・ペカー
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル・ペクナー
【テーマコード(参考)】
3G091
3G384
【Fターム(参考)】
3G091AA10
3G091AA11
3G091AA18
3G091AB05
3G091CA17
3G091CB01
3G091DC01
3G384AA03
3G384BA08
3G384BA11
3G384BA27
3G384BA31
3G384DA02
3G384DA04
3G384DA14
3G384EA01
3G384EE32
(57)【要約】
【課題】最適化および制御のために1つのシステムに統合されたエンジンおよび1つまたは複数の後処理サブシステムを提供すること。
【解決手段】少なくとも1つの制御装置は、エンジンおよび1つまたは複数の後処理サブシステムに接続することができる。制御装置は、1つのシステムの最適化および制御のためのプログラムを含み、それを実行することができる。制御装置は、プログラム用にエンジンおよび1つまたは複数の後処理サブシステムに関する情報を受け取ることができる。制御装置は、1つのシステムの最適化および制御を有効にする際に助けになるプログラムに従って、測定変数および作動装置の位置に関する設定点および制約条件を規定することができる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジン、
前記エンジンに接続する後処理機構、ならびに
前記エンジンおよび前記後処理機構に接続する制御装置
を含む、エンジンおよび後処理システムであって、
前記制御装置は、最適化プログラムを含み、
前記最適化プログラムは、1つのシステムとして統合された前記エンジンおよび前記後処理機構の性能を最適化する、エンジンおよび後処理システム。
【請求項2】
前記最適化プログラムは、
前記エンジンの排出ガスからの排出物を規定されたレベルまで低減し、
前記排出物を少なくとも規定されたレベルまで低減しながら、前記エンジンの液体経済性を増加させる
前記後処理機構を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記エンジンは、
前記エンジン上の作動装置に対する制御入力、
相互接続出力、および
情報出力
を含み、
前記情報出力は、エンジン費用および/またはエンジン制約条件を示し、
前記費用および制約条件は、1つのシステムとして統合された前記エンジンおよび前記後処理機構の性能を最適化するための前記最適化プログラムに含まれる基礎である、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記後処理機構は、
前記エンジンの相互接続出力につながる相互接続入力、
前記後処理機構上の作動装置に対する制御入力、
相互接続出力、および
情報出力
を含み、
前記情報出力は、
後処理機構費用、および/または
後処理機構制約条件を示す、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記制御装置は、
前記エンジンの前記相互接続出力につながる第1の入力、および
前記エンジンの作動装置に対する前記制御入力につながる第1の出力
を含む、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記制御装置は、
前記後処理機構の前記相互接続入力につながる第2の入力、
前記後処理機構の前記相互接続出力につながる第3の入力、および
前記後処理機構の作動装置に対する前記制御入力につながる第2の出力
をさらに含む、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記制御装置は、
外乱排除、前記エンジン性能のばらつきの影響の最小化、および/または前記エンジンの過渡運転中の前記後処理機構の必要な性能の提供のためのフィードバックループと、
測定変数および前記エンジンの1つまたは複数の運転点に対するエンジン作動装置の位置に関する設定点および制約条件を規定するマップと
をさらに含み、
前記マップは、前記エンジンおよび前記後処理機構の変数により媒介変数化され、
前記マップは、1つのシステムとして統合された前記エンジンおよび前記後処理機構の性能を最適化するための前記最適化プログラムに含まれる基礎である、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
結合されたエンジンおよび後処理システムを制御するためのプロセスであって、
エンジンを提供するステップと、
結合されたエンジンおよび後処理システムをもたらすために1つまたは複数の後処理サブシステムを加えるステップと、
前記1つまたは複数の後処理サブシステムの1つを前記エンジンの排出ガス出力部に接続するステップと、
前記1つまたは複数の後処理サブシステムの最適な運転、および前記エンジンの最適な運転のために前記排出ガスの状態量を変化させるように、前記エンジンの作動装置を操作するステップと
を含む、プロセス。
【請求項9】
前記排出ガスの前記状態量を変化させることは、前記排出ガス中の汚染物質の量を規定された大きさ以下の大きさまで低減することを含み、
前記1つまたは複数の後処理サブシステムが、前記排出ガス中の汚染物質の量を前記規定された大きさ以下の大きさまで低減するとき、前記エンジンの燃料経済性を増加させるために、前記エンジンの前記作動装置を操作するステップをさらに含む、請求項8に記載のプロセス。
【請求項10】
前記エンジンの運転点および/または状態に対する測定変数および前記エンジン上の前記作動装置の位置に関する設定点および/または制約条件を規定する1つまたは複数のエンジンマップを処理するステップと、
前記エンジンおよび前記1つまたは複数の後処理サブシステムの変数により前記エンジンマップを媒介変数化するステップと
をさらに含む、請求項8に記載のプロセス。
【請求項11】
前記エンジンにより消費された燃料および/または前記1つもしくは複数の後処理サブシステムにより消費された尿素の費用により前記エンジンマップを媒介変数化するステップをさらに含む、請求項10に記載のプロセス。
【請求項12】
前記1つまたは複数のエンジンマップは、前記エンジンの速度およびトルクのマップを含む、請求項10に記載のプロセス。
【請求項13】
前記エンジンおよび前記1つまたは複数の後処理サブシステムに接続する、1つまたは複数の制御装置を提供するステップをさらに含み、
前記1つまたは複数の制御装置は、前記設定点を確実に認識し、および/または、
前記1つまたは複数の制御装置は、前記制約条件を確実に満たす、請求項9に記載のプロセス。
【請求項14】
エンジン、
前記エンジンに接続する後処理サブシステム、ならびに
前記エンジンおよび前記後処理サブシステムに接続する制御装置
を含む、エンジンおよび後処理サブシステムのシステムであって、
前記制御装置は、前記エンジンおよび前記後処理サブシステムのセンサから信号を受け取り、前記信号を処理し、1つのシステムとして前記エンジンおよび前記後処理サブシステムの性能を最適化する最適化プログラムに従って、前記エンジンおよび前記後処理サブシステムの作動装置に信号を提供する、エンジンおよび後処理サブシステムのシステム。
【請求項15】
前記エンジンは、
外部入力、
前記制御装置からの作動装置入力、および
前記制御装置に対する相互接続出力
を含み、
前記外部入力は、前記エンジンに関する外部情報を含み、
前記後処理サブシステムは、
前記エンジンの前記相互接続出力および前記制御装置につながる相互接続入力、
外部入力、
前記制御装置からの作動装置入力、ならびに
前記制御装置につながる出力
を含み、
前記外部入力は、前記後処理サブシステムに関する外部情報を含む、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記エンジンは、
内部状態、および
情報出力
をさらに含み、
前記情報出力は、前記内部状態、前記外部入力、および/または前記作動装置入力の関数としてエンジン費用を提供する、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記後処理サブシステムは、
内部状態、および
情報出力
をさらに含み、
前記情報出力は、前記内部状態、前記外部入力、作動装置入力、および/または前記相互接続入力の関数として費用を提供する、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記エンジンの前記情報出力は、
前記内部状態、前記外部入力、および/または前記エンジンの前記作動装置入力の関数としてエンジン制約条件の表示を提供し、
前記表示の前記情報出力は、
前記内部状態、前記外部入力、前記作動装置入力、および/または後処理サブシステムの前記相互接続入力の関数として後処理制約条件を提供する、請求項16に記載のシステム。
【請求項19】
前記エンジンおよび前記後処理サブシステムの前記外部入力は、前記制御装置に接続され、
前記制御装置は、前記エンジンの運転点に関する定常状態エンジンマップを含み、
前記マップは、前記センサからの測定変数および前記作動装置の位置に関する設定点および制約条件を規定する、請求項15に記載のシステム。
【請求項20】
前記後処理サブシステムに接続する、1つまたは複数の後処理サブシステムをさらに含む、請求項15に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンおよび後処理システムの統合された最適化および制御に関する。
【背景技術】
【0002】
本開示は、内燃エンジンに関し、具体的には、後処理機構を有するエンジンに関する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本開示は、最適化および制御のために1つのシステムに統合されたエンジンおよび1つまたは複数の後処理サブシステムを示す。少なくとも1つの制御装置は、エンジンおよび1つまたは複数の後処理サブシステムに接続することができる。制御装置は、1つのシステムの最適化および制御のためのプログラムを含み、それを実行することができる。制御装置は、プログラム用にエンジンおよび1つまたは複数の後処理サブシステムに関する情報を受け取ることができる。制御装置は、1つのシステムの最適化および制御を有効にする際に助けになるプログラムに従って、測定変数および作動装置の位置に関する設定点および制約条件を規定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【
図1】1つまたは複数の後処理サブシステムを有するエンジンの統合された最適化および制御のための本システムの基本的な体系の図である。
【
図3】制御装置と相互接続された、エンジンまたは後処理サブシステムの例示的な例の図である。
【
図4】エンジンおよび複数の後処理サブシステムを含む
図3の例の図である。
【
図5】エンジンおよび後処理システムのための方法の例示的な例の図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
現代の燃焼エンジンは、極めて複雑なシステムであるように見える。複雑性の増大は、すなわち燃焼エンジン排出物を制限する行政府法律により促進される可能性がある。したがって、相手先商標製品製造業者(OEM)は、規定された制限を実現し、例えば、燃料経済性、尿素消費量などのエンジン運転コストを最適化するために、エンジンに様々な装置、センサ、および作動装置を加えざるを得ない可能性がある。これらの条件の下で、エンジン運転最適化および最適化制御システムの設計は、困難な課題である可能性がある。
【0006】
いくつかの方法は、例えば、選択接触還元(SCR)、ディーゼル酸化触媒(DOC)、ディーゼル微粒子フィルタ(DPF)などを別々に含む、エンジンおよび個々の後処理システムを最適化することを含む場合がある。これらの方法は、必ずしも最適化の体系的な方法を提供しない。これらの方法は、時間が掛かり、費用が掛かる課題を含む可能性がある。さらに、これらの結果が最適であることは必ずしも保証されない。より良い解決方法が存在する可能性がある。
【0007】
別の方法は、後処理サブシステム(AFS)を伴うエンジンを1つのシステムとして最適化することである場合がある。そうした方法は、規定された排出物制限のほとんどすべてを満たしながら、経済的および技術的な観点から、後処理サブシステムを有するエンジンの全体的な最適動作を人が見出すことを可能にすることができる。エンジンおよび後処理サブシステムは、1つのシステムとしてのエンジンおよび1つまたは複数の後処理サブシステム用の最適化プログラムを有効にするために、必要に応じて適当なセンサおよび作
動装置を有することができる。エンジンは、後処理サブシステムの排出ガス源とみなすことができる。検知されるエンジン排出ガスの状態量には、ターボチャージャ排出口(WG)、可変容量ターボチャージャ(VGT)、排出ガス再循環(EGR)、噴射開始(SOI)、絞気弁(TV)などの作動装置などの利用可能なエンジン作動装置を操作することにより、一定の範囲内で影響を及ぼすことができる。エンジン運転点のほとんどすべてにおいて、後処理サブシステムの最適な運転のために排出ガス状態量を調整し、または変更するために、様々な自由度を使用することができる。例えば、いくつかの運転領域で検知されるように、現状の後処理サブシステムが低温のために排出物を低減することができないとき、エンジン作動装置は、温度を上昇させるように制御することができ、その結果、エンジン排出ガス排出物は、規定された制限を逸脱しない。他方、現状の後処理サブシステムが、大量の汚染物質を低減することができれば、エンジン作動装置を最良の燃料経済性も実現するように制御することができる。
【0008】
エンジン最適化および制御設計は、厳密な数学的最適化問題として定式化することができる。本方法は、この問題に対するモジュール式および体系的な解決方法を提供することができる。本方法は、エンジンおよび後処理の最適化および制御設計を2つの段階、すなわち(i)オフライン部分および(ii)オンライン部分(実時間)に分割することを含む。
【0009】
(i)オフライン部分は、(数学的プログラミングとして知られている)制約条件付きの数学的最適化問題として定式化することができ、その結果は、センサからの様々な種類の測定変数、および例えばエンジンの速度およびトルクのマップ上のエンジンのほとんどすべての主な運転点または状態に対するほとんどすべてのエンジン作動装置の位置に関する設定点および制約条件を規定する、様々なエンジンマップとすることができる。マップのほとんどすべては、エンジンおよび後処理システムの様々な変数により媒介変数化することができるが、測定燃料量および/もしくは尿素消費量ならびに対応する費用、それらの比率、または他の関連する経済性に関する量により媒介変数化することもできる。エンジンおよび後処理システムにより使用される燃料および他の液体の実際の市場価格に関する情報は、制御システムを媒介変数化するのに組み込むことができ、エンジン寿命の間、調整媒介変数として使用することができる。この方法は、使用される液体の価格が変化する際の制御装置挙動の微調整を可能にすることができ、その寿命の間のそうした変化を考慮してエンジンの経済的に最適な運転を確実にすることができる。
【0010】
(ii)オンライン部分は、1つまたは複数のフィードバック単一または多変数実時間制御装置から構成することができる。これらの制御装置は、例えばモデルに基づく予測制御装置(MPC)として実装することができる。フィードバック制御装置は、設定点のほとんどすべてを確実に認識することができるが、オフライン部分で計算される制約条件のほとんどすべてを確実に満たすこともできる。フィードバック制御装置は、外乱排除、エンジン部品生産のばらつきの影響の最小化、およびエンジンの経年処理を確実にすることもできる。さらに、フィードバック制御装置は、エンジンの過渡運転中、必要な性能を提供するように設計することもできる。
【0011】
図1は、1つまたは複数の後処理システムを有するエンジンの統合された最適化および制御のための本システムの基本的な体系のブロック図である。様々なブロックは、エンジン11と、いくつかの後処理システム(AFS)12および13とを表す。後処理システム13は、最終のシステムであり、「N」で示すことができる。「N」は、後処理システムの総数を示すこともできる。エンジン11と後処理システムNとの間の後処理システム12は、「i」で示すことができる。任意の数の後処理システムが存在する可能性がある。1つの後処理システムが存在するとき、それは、N=1のシステムNと表すことができる。
【0012】
エンジン11内の記号「x
0」は、エンジンの内部状態を示すことができる。「x
i」および「x
N」は、それぞれ、AFSi12およびAFSN13の内部状態を示すことができる。「v
0」は、エンジン11への外部入力15を表すことができる。外部入力は、外乱、液体価格などを含むことができる。同様に、「v
i」および「v
N」は、それぞれ、AFSi12およびAFSN13の外部入力24および25を表すことができる。「u
0」入力16は、エンジン11の1つまたは複数の作動装置を表すことができ、「u
i」入力26は、AFSi12の1つまたは複数の作動装置を表すことができ、「u
N」入力27は、AFSN13の1つまたは複数の作動装置を表すことができる。入力16、26、および27は、作動装置入力を含むことができる。
【0013】
出力17の「J
0(x
0,v
0i,u
0)」は、エンジン11に関するx
0、v
0、および/またはu
0のサブシステム費用関数を表すことができる。さらに、出力17の「g(x
0,v
0i,u
0)≦0」は、エンジン11に関するx
0、v
0、および/またはu
0のサブシステム制約条件を表すことができる。「y
0」は、AFSi12をエンジン11と接続する第1のAFS(i=1)であると仮定して、AFSi12への相互接続入力「y
i−1」19となることができる、エンジン11からの相互接続出力18を表すことができる。しかし、エンジン11とAFSi12との間に、1つまたは複数のAFSが接続される場合がある。「y
i」は、AFSN13がAFSi12に接続されると仮定して、AFSN13への相互接続入力「y
N−1」22となることができる、AFSi12からの相互接続出力21を表すことができる。しかし、AFSi12とAFSN13との間に、1つまたは複数のAFSが接続される場合がある。「y
N」は、AFSN13の出力23を表すことができ、先行するAFSは、「1」から「N−1」までである。
【0014】
出力28の「J
i(x
i,v
i,u
i,y
i−1)」は、AFSi12に関するx
i、v
i、u
i、および/またはy
i−1のサブシステム費用関数を表すことができる。「J
i(.)」は、サブシステム費用関数の略表示とすることができる。さらに、出力28の「g(x
i,v
i,u
i,y
i−1)≦0」は、AFSi12に関するx
i、v
i、u
i、および/またはy
i−1のサブシステム制約条件を表すことができる。「g(.)」は、サブシステム制約条件の略表示とすることができる。出力29の「J
N(x
N,v
N,u
N,y
N−1)」は、AFSN13に関するx
N、v
N、u
N、および/またはy
N−1のサブシステム費用関数を表すことができる。さらに、出力29の「g(x
N,v
N,u
N,y
N−1)≦0」は、AFSN13に関するx
N、v
N、u
N、および/またはy
N−1のサブシステム制約条件を表すことができる。エンジン11とAFSi12との間、およびAFSi12とAFSN13との間に存在すれば、本明細書ではx
S、v
S、u
S、およびy
Sにより行うように、追加のAFSに同様の表示を行うことができる。
【0015】
図2は、オフライン最適化を示す際に助けになる可能性がある。目的は、例えば、エンジントルク(nm)対エンジン速度(rpm)のグラフ31で示される、エンジン速度−トルク空間内の運転点のほぼすべてに関する最適な定常状態エンジンマップを計算することである可能性がある。グラフ31は、特定のトルクおよびエンジン速度にプロットされた、例示的なk番目の運転点32を示す。k番目の運転点は、グラフ31上の様々な位置における任意の点を表すことができる。
【0018】
により示すことができる。
ただし、g(x
i,v
i,u
i,y
i−1)≦0;i=0,1,...,N。
得られた最適な定常状態マップは、
【0022】
により示すことができる。定常状態マップ表示の略表示は、それぞれ、
【0024】
とすることができる。マップは、一定の条件の下で、x
iにより媒介変数化することもできることに留意されたい。
i番目の後処理サブシステムまたはエンジンに関するオンライン部分(実時間)は、
図3に示すことができる。制御装置は、エンジンおよびAFSと統合することができる。エンジンまたはAFS_i41はそれぞれ、x
0またはx
iの内部状態を有することができる。作動装置入力u
0またはu
i43はそれぞれ、エンジンまたはAFS_i41に進むことができる。作動装置入力43は、制御装置0または制御装置i42からそれぞれ来ることができる。制御装置42は、記号
【0032】
により、それぞれ表される定常状態マップを提供することができる。制御装置i42は、MPC制御装置により実装することができる。外部入力v
0、...、v
N44(すなわち、外乱、液体価格など)は制御装置42に提供することができる。特定の入力v
0またはv
i45はそれぞれ、エンジンまたはAFS_i41に入力することができる。エンジンまたはAFS_i−1からの相互接続出力y
i−147は、AFS_i41および制御装置i42への入力46とすることができる。AFS_i+1またはAFS_Nに対する入力46としてエンジンまたはAFS_i41からの相互接続出力y
0またはy
i47が存在することができる。相互接続出力47も、制御装置i42に進むことができる。一般に、47は、相互接続でないが、統合された最適化に有用である可能性がある変数の測定値である信号も含むことができる。
【0033】
図3のi番目のサブシステムに関するオンライン部分は、
図4の図内に、接続されたエンジンおよび複数のAFSとして示すことができる。
図4の2つ以上の制御装置42は、1つの制御装置42として結合することができる。数的表示は、
図3に示すものと同様の部品および線に関しては同じである。
【0034】
図5は、オフライン段階51およびオンライン段階52を含む、2つの部分からなるエンジンおよび後処理の最適化制御方法50の図である。オフライン段階51では、記号53においてエンジンおよび後処理システムの数学的最適化、記号54において設定点および制約条件を含むエンジンマップ、および記号55においてエンジンマップの媒介変数化が存在する可能性がある。オンライン段階52では、記号56において1つまたは複数のフィードバック実時間制御装置、記号57において設定点の認識、および記号58において制約条件の充足が存在する可能性がある。
【0035】
1つまたは複数の制御装置によっては網羅されない、
図1〜5に開示されたシステムの項目または作業のいくつかは、プロセッサ/コンピュータにより実行することができる。
本開示の要約を以下に提供する。エンジンおよび後処理システムは、エンジン、エンジンに接続する後処理機構、ならびにエンジンおよび後処理機構に接続する制御装置を含むことができる。制御装置は、最適化プログラムを有することができる。最適化プログラムは、1つのシステムとして統合されたエンジンおよび後処理機構の性能を最適化するためのものとすることができる。最適化された性能は、排出物を低減することと、1つのシステムの流体効率を増加させることとを含むことができる。
【0036】
最適化プログラムは、エンジンの排出ガスからの排出物を規定されたレベルまで低減し、排出物を少なくとも規定されたレベルまで低減しながら、エンジンおよび後処理機構の流体効率を増加させるための後処理機構を含むことができる。
【0037】
エンジンは、その上の作動装置に対する制御入力、相互接続出力、および情報出力を含むことができる。情報出力は、エンジン費用および/またはエンジン制約条件を示すことができる。後処理機構は、エンジンの相互接続出力につながる相互接続入力、後処理機構上の作動装置に対する制御入力、相互接続出力、および情報出力を含むことができる。情報出力は、後処理機構費用および/または後処理機構制約条件を示すことができる。これらの費用および制約条件は、1つのシステムとして統合されたエンジンおよび後処理機構の性能を最適化するための最適化プログラムに含まれる基礎とすることができる。
【0038】
制御装置は、エンジンの相互接続出力につながる第1の入力、エンジンの作動装置に対する制御入力につながる第1の出力、後処理機構の相互接続入力につながる第2の入力、後処理機構の相互接続出力につながる第3の入力、および後処理機構の作動装置に対する制御入力につながる第2の出力をさらに含むことができる。
【0039】
制御装置は、外乱排除、エンジン性能のばらつきの影響の最小化、および/またはエンジンの過渡運転中の後処理機構の所定の性能の提供のためのフィードバックループと、測定変数およびエンジンの1つまたは複数の運転点に対するエンジン作動装置の位置に関する設定点および制約条件を規定するマップとをさらに含むことができる。マップは、エンジンおよび後処理機構の変数により媒介変数化することができる。マップは、1つのシステムとして統合されたエンジンおよび後処理機構の性能を最適化するための最適化プログラムに含まれる基礎とすることができる。
【0040】
エンジンおよび後処理の最適化および制御のための方法は、エンジンおよび後処理システムを数学的に最適化し、センサからの測定変数ならびにエンジンの運転点および状態に対するエンジン作動装置の位置に関する設定点および制約条件を規定するエンジンマップを提供し、エンジンおよび後処理システムの変数を有するエンジンマップを媒介変数化することを含む、オフライン部分を定式化することを含むことができる。
【0041】
エンジンおよび後処理の最適化および制御のための方法は、1つまたは複数のフィードバック実時間制御装置を提供し、エンジンおよび後処理システムの設定点を認識し、1つまたは複数の制御装置により計算された制約条件を満たす、オンライン部分を定式化することを含むこともできる。1つまたは複数の制御装置は、モデル予測制御装置とすることができる。
【0042】
1つまたは複数の制御装置は、外乱排除、エンジン部品生産のばらつきの入力の最小化、および/またはエンジン経年処理を確実にすることができる。1つまたは複数の制御装置は、エンジン過渡運転中、必要な性能を提供することができる。
【0043】
この方法は、測定燃料量、尿素消費量、および/または対応する費用により、エンジンおよび後処理システムを媒介変数化することをさらに含むことができる。この方法は、エンジンおよび後処理システムにより使用される燃料および他の液体の市場価格情報により制御システムを媒介変数化することをさらに含むこともできる。エンジンおよび後処理システムにより使用される液体の価格が変動し、その変動中、エンジンの経済的に最適な運転を確実にする際、制御装置を調整するために、制御システムを媒介変数化することもできる。
【0044】
エンジン、エンジンに接続する後処理サブシステム、ならびにエンジンおよび後処理サブシステムに接続する制御装置を含む、エンジンおよび後処理サブシステムのシステムが存在することができる。制御装置は、エンジンおよび後処理サブシステムのセンサから信号を受け取り、それらの信号を処理し、1つのシステムとしてエンジンおよび後処理サブシステムの性能を最適化するための最適化プログラムに従って、エンジンおよび後処理サブシステムの作動装置に信号を提供することができる。最適化された性能は、排出物を低減することと、1つのシステムの流体効率を増加させることとを含むことができる。
【0045】
エンジンおよび後処理サブシステムの外部入力は、制御装置に接続することができる。制御装置は、エンジンの運転点に関するエンジンマップを含むことができる。これらのマップは、1つのシステムとしてエンジンおよび後処理サブシステムの性能を最適化するための基礎とすることができる。マップは、センサからの測定変数および作動装置に関する設定点および制約条件を規定することができる。
【0046】
エンジンは、外部入力および制御装置からの作動装置入力と、制御装置につながる相互接続出力とを含むことができる。外部入力は、エンジンに関する外部情報を含むことができる。
【0047】
後処理サブシステムは、エンジンの相互接続出力および制御装置につながる相互接続入力、外部入力、制御装置からの作動装置入力、ならびに制御装置につながる相互接続出力を含むことができる。外部入力は、後処理サブシステムに関する外部情報を含むことができる。
【0048】
エンジンは、内部状態および情報出力をさらに含むことができる。情報出力は、エンジン内部状態、外部入力、および/または作動装置入力の関数としてエンジン費用を示すことができる。
【0049】
後処理サブシステムは、内部状態および情報出力をさらに含むことができる。情報出力は、後処理サブシステム内部状態、外部入力、作動装置入力、および/または相互接続入力の関数として後処理費用を示すことができる。
【0050】
エンジンの情報出力は、内部状態、外部入力、および/またはエンジンの作動装置入力の関数としてエンジン制約条件を示すことができる。後処理サブシステムの情報出力は、内部状態、外部入力、作動装置入力、および/または後処理サブシステムの相互接続入力の関数として後処理制約条件を示すことができる。これらの費用および制約条件は、1つのシステムとしてエンジンおよび後処理サブシステムの性能を最適化するための基礎とすることができる。
【0051】
結合されたエンジンおよび後処理システムを制御するための方法は、エンジンを提供するステップと、結合されたエンジンおよび後処理システムをもたらすために1つまたは複数の後処理サブシステムを加えるステップと、1つまたは複数の後処理サブシステムの1つをエンジンの排出ガス出力部に接続するステップと、結合されたエンジンおよび後処理システムの最適な運転のために排出ガスの状態量を変化させるように、1つまたは複数の制御装置を有する、エンジンおよび1つまたは複数の後処理サブシステムの作動装置を操作するステップとを含むことができる。最適な運転は、結合されたエンジンおよび後処理システムの排出物の低減および流体効率の改善を含むことができる。
【0052】
排出ガスの状態量を変化させることは、排出ガス中の汚染物質の量を規定された大きさ以下の大きさまで低減することを含むことができる。1つまたは複数の後処理サブシステムが、排出ガス中の汚染物質の量を規定された大きさ以下の大きさまで低減するとき、エンジンの作動装置を操作することは、エンジンの燃料経済性を増加させることができる。
【0053】
この方法は、結合されたエンジンおよび後処理システムの最適な運転のための基礎として1つまたは複数のエンジンマップを提供するステップと、エンジンの運転点および/または状態に対する測定変数およびエンジン上の作動装置の位置に関する設定点および/または制約条件を規定する1つまたは複数のエンジンマップを処理するステップと、エンジンおよび1つまたは複数の後処理サブシステムの変数によりエンジンマップを媒介変数化するステップとをさらに含むことができる。
【0054】
この方法は、エンジンにより消費された燃料および/または1つもしくは複数の後処理サブシステムにより消費された尿素の費用によりエンジンマップを媒介変数化することをさらに含むことができる。1つまたは複数のエンジンマップは、エンジンの速度およびトルクのマップを含むことができる。1つまたは複数の制御装置は、エンジンと、結合されたエンジンおよび後処理システムの1つまたは複数の後処理サブシステムとに接続することができる。1つまたは複数の制御装置は、設定点を確実に認識し、および/または、制約条件を確実に満たすことができる。
【0055】
本明細書では、問題点のいくつかは、仮定的または予見的な性質のものである可能性があるが、別の様式または別の時制で記載されている。
本システムおよび/または方法を少なくとも1つの例示的な例に関して説明してきたが、本明細書を読むと直ちに、当業者には多くの変形形態および変更形態が明らかになろう。したがって、そうしたすべての変形形態および変更形態を含む関連技術を考慮して、添付の特許請求の範囲をできる限り広く解釈するものとする。
【手続補正書】
【提出日】2017年2月16日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
システムであって、前記システムは、
エンジン、
前記エンジンに接続する後処理機構、ならびに
前記エンジンおよび前記後処理機構に接続する制御装置
を含む、システムであって、前記制御装置は、前記システムのセンサから信号を受け取り、前記信号を処理し、最適化プログラムに従って前記システムの作動装置に信号を提供し、
前記制御装置は、前記最適化プログラムを含み、前記最適化プログラムは、オンライン部分およびオフライン部分を備え、
前記最適化プログラムのオフライン部分において、前記制御装置は、最適なエンジンマップを提供する制約条件付の最適化問題を含み、前記エンジンマップは、前記センサからの測定変数、および前記エンジンの1つ以上の運転点のためのエンジンの作動装置の位置に関する、設定点および制約条件を規定し、前記エンジンマップは、前記システムの変数により媒介変数化され、
前記最適化プログラムのオンライン部分において、前記制御装置は、1つのシステムとして統合された前記エンジンおよび前記後処理機構の性能を最適化するように、前記最適化プログラムの前記オフライン部分で提供される規定される設定点および制約条件を実現するために、前記エンジンの作動装置に入力を提供する、
エンジンおよび後処理システム。
【請求項2】
前記制御装置は、
外乱排除、経時変化による前記エンジン性能のばらつきの影響の最小化、および/または前記エンジンの過渡運転中の前記後処理機構の必要な性能の提供のためのフィードバックループを有し、
前記エンジンの作動装置は、可変容量ターボチャージャ(VGT)、排出ガス再循環(EGR)、および絞気弁(TV)の少なくとも1つを有する、
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
結合されたシステムを制御するためのプロセスであって、
エンジンを提供するステップと、
結合されたシステムをもたらすために1つまたは複数の後処理サブシステムを加えるステップと、
前記1つまたは複数の後処理サブシステムの1つを前記エンジンの排出ガス出力部に接続するステップと、
オンライン部分およびオフライン部分を備える最適化プログラムに従って、前記1つまたは複数の後処理サブシステムの最適な運転、および前記エンジンの最適な運転のために前記排出ガスの状態量を変化させるように、前記エンジンの作動装置を操作するステップと、を含み、
前記最適化プログラムのオフライン部分は、1つ以上の最適なエンジンマップを提供する制約条件付の最適化問題を含み、前記エンジンマップは、測定変数、および、前記エンジンの1つ以上の動作点のためのエンジンの作動装置の位置に関する設定点および制約条件を規定し、前記エンジンマップは、前記結合されたシステムの変数により媒介変数化され、
前記最適化プログラムのオンライン部分は、前記エンジンの作動装置の操作を含む、
プロセス。
【請求項4】
前記排出ガスの状態量を変化させるために、前記排出ガス中の汚染物質の量を規定された大きさ以下の大きさまで低減するステップと、
前記1つまたは複数の後処理サブシステムが、前記排出ガス中の汚染物質の量を前記規定された大きさ以下の大きさまで低減するとき、前記エンジンの燃料経済性を増加させるために、前記エンジンの前記作動装置を操作するステップと、
前記エンジンおよび前記1つまたは複数の後処理サブシステムに接続する、1つまたは複数の制御装置を提供するステップと、をさらに含み、
前記1つまたは複数の制御装置は、前記設定点を確実に認識し、および/または、
前記1つまたは複数の制御装置は、前記制約条件を確実に満たす、請求項3に記載のプロセス。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンおよび後処理システムの統合された最適化および制御に関する。
【背景技術】
【0002】
本開示は、内燃エンジンに関し、具体的には、後処理機構を有するエンジンに関する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2007/0163244号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
現代の燃焼エンジンは、極めて複雑なシステムであるように見える。複雑性の増大は、すなわち燃焼エンジン排出物を制限する行政府法律により促進される可能性がある。したがって、相手先商標製品製造業者(OEM)は、規定された制限を実現し、例えば、燃料経済性、尿素消費量などのエンジン運転コストを最適化するために、エンジンに様々な装置、センサ、および作動装置を加えざるを得ない可能性がある
(例えば特許文献1)。これらの条件の下で、エンジン運転最適化および最適化制御システムの設計は、困難な課題である可能性がある。
【0005】
いくつかの方法は、例えば、選択接触還元(SCR)、ディーゼル酸化触媒(DOC)、ディーゼル微粒子フィルタ(DPF)などを別々に含む、エンジンおよび個々の後処理システムを最適化することを含む場合がある。これらの方法は、必ずしも最適化の体系的な方法を提供しない。これらの方法は、時間が掛かり、費用が掛かる課題を含む可能性がある。さらに、これらの結果が最適であることは必ずしも保証されない。より良い解決方法が存在する可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、最適化および制御のために1つのシステムに統合されたエンジンおよび1つまたは複数の後処理サブシステムを示す。少なくとも1つの制御装置は、エンジンおよび1つまたは複数の後処理サブシステムに接続することができる。制御装置は、1つのシステムの最適化および制御のためのプログラムを含み、それを実行することができる。制御装置は、プログラム用にエンジンおよび1つまたは複数の後処理サブシステムに関する情報を受け取ることができる。制御装置は、1つのシステムの最適化および制御を有効にする際に助けになるプログラムに従って、測定変数および作動装置の位置に関する設定点および制約条件を規定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】1つまたは複数の後処理サブシステムを有するエンジンの統合された最適化および制御のための本システムの基本的な体系の図である。
【
図3】制御装置と相互接続された、エンジンまたは後処理サブシステムの例示的な例の図である。
【
図4】エンジンおよび複数の後処理サブシステムを含む
図3の例の図である。
【
図5】エンジンおよび後処理システムのための方法の例示的な例の図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
別の方法は、後処理サブシステム(AFS)を伴うエンジンを1つのシステムとして最適化することである場合がある。そうした方法は、規定された排出物制限のほとんどすべてを満たしながら、経済的および技術的な観点から、後処理サブシステムを有するエンジンの全体的な最適動作を人が見出すことを可能にすることができる。エンジンおよび後処理サブシステムは、1つのシステムとしてのエンジンおよび1つまたは複数の後処理サブシステム用の最適化プログラムを有効にするために、必要に応じて適当なセンサおよび作
動装置を有することができる。エンジンは、後処理サブシステムの排出ガス源とみなすことができる。検知されるエンジン排出ガスの状態量には、ターボチャージャ排出口(WG)、可変容量ターボチャージャ(VGT)、排出ガス再循環(EGR)、噴射開始(SOI)、絞気弁(TV)などの作動装置などの利用可能なエンジン作動装置を操作することにより、一定の範囲内で影響を及ぼすことができる。エンジン運転点のほとんどすべてにおいて、後処理サブシステムの最適な運転のために排出ガス状態量を調整し、または変更するために、様々な自由度を使用することができる。例えば、いくつかの運転領域で検知されるように、現状の後処理サブシステムが低温のために排出物を低減することができないとき、エンジン作動装置は、温度を上昇させるように制御することができ、その結果、エンジン排出ガス排出物は、規定された制限を逸脱しない。他方、現状の後処理サブシステムが、大量の汚染物質を低減することができれば、エンジン作動装置を最良の燃料経済性も実現するように制御することができる。
【0009】
エンジン最適化および制御設計は、厳密な数学的最適化問題として定式化することができる。本方法は、この問題に対するモジュール式および体系的な解決方法を提供することができる。本方法は、エンジンおよび後処理の最適化および制御設計を2つの段階、すなわち(i)オフライン部分および(ii)オンライン部分(実時間)に分割することを含む。
【0010】
(i)オフライン部分は、(数学的プログラミングとして知られている)制約条件付きの数学的最適化問題として定式化することができ、その結果は、センサからの様々な種類の測定変数、および例えばエンジンの速度およびトルクのマップ上のエンジンのほとんどすべての主な運転点または状態に対するほとんどすべてのエンジン作動装置の位置に関する設定点および制約条件を規定する、様々なエンジンマップとすることができる。マップのほとんどすべては、エンジンおよび後処理システムの様々な変数により媒介変数化することができるが、測定燃料量および/もしくは尿素消費量ならびに対応する費用、それらの比率、または他の関連する経済性に関する量により媒介変数化することもできる。エンジンおよび後処理システムにより使用される燃料および他の液体の実際の市場価格に関する情報は、制御システムを媒介変数化するのに組み込むことができ、エンジン寿命の間、調整媒介変数として使用することができる。この方法は、使用される液体の価格が変化する際の制御装置挙動の微調整を可能にすることができ、その寿命の間のそうした変化を考慮してエンジンの経済的に最適な運転を確実にすることができる。
【0011】
(ii)オンライン部分は、1つまたは複数のフィードバック単一または多変数実時間制御装置から構成することができる。これらの制御装置は、例えばモデルに基づく予測制御装置(MPC)として実装することができる。フィードバック制御装置は、設定点のほとんどすべてを確実に認識することができるが、オフライン部分で計算される制約条件のほとんどすべてを確実に満たすこともできる。フィードバック制御装置は、外乱排除、エンジン部品生産のばらつきの影響の最小化、およびエンジンの経年処理を確実にすることもできる。さらに、フィードバック制御装置は、エンジンの過渡運転中、必要な性能を提供するように設計することもできる。
【0012】
図1は、1つまたは複数の後処理システムを有するエンジンの統合された最適化および制御のための本システムの基本的な体系のブロック図である。様々なブロックは、エンジン11と、いくつかの後処理システム(AFS)12および13とを表す。後処理システム13は、最終のシステムであり、「N」で示すことができる。「N」は、後処理システムの総数を示すこともできる。エンジン11と後処理システムNとの間の後処理システム12は、「i」で示すことができる。任意の数の後処理システムが存在する可能性がある。1つの後処理システムが存在するとき、それは、N=1のシステムNと表すことができる。
【0013】
エンジン11内の記号「x
0」は、エンジンの内部状態を示すことができる。「x
i」および「x
N」は、それぞれ、AFSi12およびAFSN13の内部状態を示すことができる。「v
0」は、エンジン11への外部入力15を表すことができる。外部入力は、外乱、液体価格などを含むことができる。同様に、「v
i」および「v
N」は、それぞれ、AFSi12およびAFSN13の外部入力24および25を表すことができる。「u
0」入力16は、エンジン11の1つまたは複数の作動装置を表すことができ、「u
i」入力26は、AFSi12の1つまたは複数の作動装置を表すことができ、「u
N」入力27は、AFSN13の1つまたは複数の作動装置を表すことができる。入力16、26、および27は、作動装置入力を含むことができる。
【0014】
出力17の「J
0(x
0,v
0i,u
0)」は、エンジン11に関するx
0、v
0、および/またはu
0のサブシステム費用関数を表すことができる。さらに、出力17の「g(x
0,v
0i,u
0)≦0」は、エンジン11に関するx
0、v
0、および/またはu
0のサブシステム制約条件を表すことができる。「y
0」は、AFSi12をエンジン11と接続する第1のAFS(i=1)であると仮定して、AFSi12への相互接続入力「y
i−1」19となることができる、エンジン11からの相互接続出力18を表すことができる。しかし、エンジン11とAFSi12との間に、1つまたは複数のAFSが接続される場合がある。「y
i」は、AFSN13がAFSi12に接続されると仮定して、AFSN13への相互接続入力「y
N−1」22となることができる、AFSi12からの相互接続出力21を表すことができる。しかし、AFSi12とAFSN13との間に、1つまたは複数のAFSが接続される場合がある。「y
N」は、AFSN13の出力23を表すことができ、先行するAFSは、「1」から「N−1」までである。
【0015】
出力28の「J
i(x
i,v
i,u
i,y
i−1)」は、AFSi12に関するx
i、v
i、u
i、および/またはy
i−1のサブシステム費用関数を表すことができる。「J
i(.)」は、サブシステム費用関数の略表示とすることができる。さらに、出力28の「g(x
i,v
i,u
i,y
i−1)≦0」は、AFSi12に関するx
i、v
i、u
i、および/またはy
i−1のサブシステム制約条件を表すことができる。「g(.)」は、サブシステム制約条件の略表示とすることができる。出力29の「J
N(x
N,v
N,u
N,y
N−1)」は、AFSN13に関するx
N、v
N、u
N、および/またはy
N−1のサブシステム費用関数を表すことができる。さらに、出力29の「g(x
N,v
N,u
N,y
N−1)≦0」は、AFSN13に関するx
N、v
N、u
N、および/またはy
N−1のサブシステム制約条件を表すことができる。エンジン11とAFSi12との間、およびAFSi12とAFSN13との間に存在すれば、本明細書ではx
S、v
S、u
S、およびy
Sにより行うように、追加のAFSに同様の表示を行うことができる。
【0016】
図2は、オフライン最適化を示す際に助けになる可能性がある。目的は、例えば、エンジントルク(nm)対エンジン速度(rpm)のグラフ31で示される、エンジン速度−トルク空間内の運転点のほぼすべてに関する最適な定常状態エンジンマップを計算することである可能性がある。グラフ31は、特定のトルクおよびエンジン速度にプロットされた、例示的なk番目の運転点32を示す。k番目の運転点は、グラフ31上の様々な位置における任意の点を表すことができる。
【0019】
により示すことができる。
ただし、g(x
i,v
i,u
i,y
i−1)≦0;i=0,1,...,N。
得られた最適な定常状態マップは、
【0023】
により示すことができる。定常状態マップ表示の略表示は、それぞれ、
【0025】
とすることができる。マップは、一定の条件の下で、x
iにより媒介変数化することもできることに留意されたい。
i番目の後処理サブシステムまたはエンジンに関するオンライン部分(実時間)は、
図3に示すことができる。制御装置は、エンジンおよびAFSと統合することができる。エンジンまたはAFS_i41はそれぞれ、x
0またはx
iの内部状態を有することができる。作動装置入力u
0またはu
i43はそれぞれ、エンジンまたはAFS_i41に進むことができる。作動装置入力43は、制御装置0または制御装置i42からそれぞれ来ることができる。制御装置42は、記号
【0033】
により、それぞれ表される定常状態マップを提供することができる。制御装置i42は、MPC制御装置により実装することができる。外部入力v
0、...、v
N44(すなわち、外乱、液体価格など)は制御装置42に提供することができる。特定の入力v
0またはv
i45はそれぞれ、エンジンまたはAFS_i41に入力することができる。エンジンまたはAFS_i−1からの相互接続出力y
i−147は、AFS_i41および制御装置i42への入力46とすることができる。AFS_i+1またはAFS_Nに対する入力46としてエンジンまたはAFS_i41からの相互接続出力y
0またはy
i47が存在することができる。相互接続出力47も、制御装置i42に進むことができる。一般に、47は、相互接続でないが、統合された最適化に有用である可能性がある変数の測定値である信号も含むことができる。
【0034】
図3のi番目のサブシステムに関するオンライン部分は、
図4の図内に、接続されたエンジンおよび複数のAFSとして示すことができる。
図4の2つ以上の制御装置42は、1つの制御装置42として結合することができる。数的表示は、
図3に示すものと同様の部品および線に関しては同じである。
【0035】
図5は、オフライン段階51およびオンライン段階52を含む、2つの部分からなるエンジンおよび後処理の最適化制御方法50の図である。オフライン段階51では、記号53においてエンジンおよび後処理システムの数学的最適化、記号54において設定点および制約条件を含むエンジンマップ、および記号55においてエンジンマップの媒介変数化が存在する可能性がある。オンライン段階52では、記号56において1つまたは複数のフィードバック実時間制御装置、記号57において設定点の認識、および記号58において制約条件の充足が存在する可能性がある。
【0036】
1つまたは複数の制御装置によっては網羅されない、
図1〜5に開示されたシステムの項目または作業のいくつかは、プロセッサ/コンピュータにより実行することができる。
本開示の要約を以下に提供する。エンジンおよび後処理システムは、エンジン、エンジンに接続する後処理機構、ならびにエンジンおよび後処理機構に接続する制御装置を含むことができる。制御装置は、最適化プログラムを有することができる。最適化プログラムは、1つのシステムとして統合されたエンジンおよび後処理機構の性能を最適化するためのものとすることができる。最適化された性能は、排出物を低減することと、1つのシステムの流体効率を増加させることとを含むことができる。
【0037】
最適化プログラムは、エンジンの排出ガスからの排出物を規定されたレベルまで低減し、排出物を少なくとも規定されたレベルまで低減しながら、エンジンおよび後処理機構の流体効率を増加させるための後処理機構を含むことができる。
【0038】
エンジンは、その上の作動装置に対する制御入力、相互接続出力、および情報出力を含むことができる。情報出力は、エンジン費用および/またはエンジン制約条件を示すことができる。後処理機構は、エンジンの相互接続出力につながる相互接続入力、後処理機構上の作動装置に対する制御入力、相互接続出力、および情報出力を含むことができる。情報出力は、後処理機構費用および/または後処理機構制約条件を示すことができる。これらの費用および制約条件は、1つのシステムとして統合されたエンジンおよび後処理機構の性能を最適化するための最適化プログラムに含まれる基礎とすることができる。
【0039】
制御装置は、エンジンの相互接続出力につながる第1の入力、エンジンの作動装置に対する制御入力につながる第1の出力、後処理機構の相互接続入力につながる第2の入力、後処理機構の相互接続出力につながる第3の入力、および後処理機構の作動装置に対する制御入力につながる第2の出力をさらに含むことができる。
【0040】
制御装置は、外乱排除、エンジン性能のばらつきの影響の最小化、および/またはエンジンの過渡運転中の後処理機構の所定の性能の提供のためのフィードバックループと、測定変数およびエンジンの1つまたは複数の運転点に対するエンジン作動装置の位置に関する設定点および制約条件を規定するマップとをさらに含むことができる。マップは、エンジンおよび後処理機構の変数により媒介変数化することができる。マップは、1つのシステムとして統合されたエンジンおよび後処理機構の性能を最適化するための最適化プログラムに含まれる基礎とすることができる。
【0041】
エンジンおよび後処理の最適化および制御のための方法は、エンジンおよび後処理システムを数学的に最適化し、センサからの測定変数ならびにエンジンの運転点および状態に対するエンジン作動装置の位置に関する設定点および制約条件を規定するエンジンマップを提供し、エンジンおよび後処理システムの変数を有するエンジンマップを媒介変数化することを含む、オフライン部分を定式化することを含むことができる。
【0042】
エンジンおよび後処理の最適化および制御のための方法は、1つまたは複数のフィードバック実時間制御装置を提供し、エンジンおよび後処理システムの設定点を認識し、1つまたは複数の制御装置により計算された制約条件を満たす、オンライン部分を定式化することを含むこともできる。1つまたは複数の制御装置は、モデル予測制御装置とすることができる。
【0043】
1つまたは複数の制御装置は、外乱排除、エンジン部品生産のばらつきの入力の最小化、および/またはエンジン経年処理を確実にすることができる。1つまたは複数の制御装置は、エンジン過渡運転中、必要な性能を提供することができる。
【0044】
この方法は、測定燃料量、尿素消費量、および/または対応する費用により、エンジンおよび後処理システムを媒介変数化することをさらに含むことができる。この方法は、エンジンおよび後処理システムにより使用される燃料および他の液体の市場価格情報により制御システムを媒介変数化することをさらに含むこともできる。エンジンおよび後処理システムにより使用される液体の価格が変動し、その変動中、エンジンの経済的に最適な運転を確実にする際、制御装置を調整するために、制御システムを媒介変数化することもできる。
【0045】
エンジン、エンジンに接続する後処理サブシステム、ならびにエンジンおよび後処理サブシステムに接続する制御装置を含む、エンジンおよび後処理サブシステムのシステムが存在することができる。制御装置は、エンジンおよび後処理サブシステムのセンサから信号を受け取り、それらの信号を処理し、1つのシステムとしてエンジンおよび後処理サブシステムの性能を最適化するための最適化プログラムに従って、エンジンおよび後処理サブシステムの作動装置に信号を提供することができる。最適化された性能は、排出物を低減することと、1つのシステムの流体効率を増加させることとを含むことができる。
【0046】
エンジンおよび後処理サブシステムの外部入力は、制御装置に接続することができる。制御装置は、エンジンの運転点に関するエンジンマップを含むことができる。これらのマップは、1つのシステムとしてエンジンおよび後処理サブシステムの性能を最適化するための基礎とすることができる。マップは、センサからの測定変数および作動装置に関する設定点および制約条件を規定することができる。
【0047】
エンジンは、外部入力および制御装置からの作動装置入力と、制御装置につながる相互接続出力とを含むことができる。外部入力は、エンジンに関する外部情報を含むことができる。
【0048】
後処理サブシステムは、エンジンの相互接続出力および制御装置につながる相互接続入力、外部入力、制御装置からの作動装置入力、ならびに制御装置につながる相互接続出力を含むことができる。外部入力は、後処理サブシステムに関する外部情報を含むことができる。
【0049】
エンジンは、内部状態および情報出力をさらに含むことができる。情報出力は、エンジン内部状態、外部入力、および/または作動装置入力の関数としてエンジン費用を示すことができる。
【0050】
後処理サブシステムは、内部状態および情報出力をさらに含むことができる。情報出力は、後処理サブシステム内部状態、外部入力、作動装置入力、および/または相互接続入力の関数として後処理費用を示すことができる。
【0051】
エンジンの情報出力は、内部状態、外部入力、および/またはエンジンの作動装置入力の関数としてエンジン制約条件を示すことができる。後処理サブシステムの情報出力は、内部状態、外部入力、作動装置入力、および/または後処理サブシステムの相互接続入力の関数として後処理制約条件を示すことができる。これらの費用および制約条件は、1つのシステムとしてエンジンおよび後処理サブシステムの性能を最適化するための基礎とすることができる。
【0052】
結合されたエンジンおよび後処理システムを制御するための方法は、エンジンを提供するステップと、結合されたエンジンおよび後処理システムをもたらすために1つまたは複数の後処理サブシステムを加えるステップと、1つまたは複数の後処理サブシステムの1つをエンジンの排出ガス出力部に接続するステップと、結合されたエンジンおよび後処理システムの最適な運転のために排出ガスの状態量を変化させるように、1つまたは複数の制御装置を有する、エンジンおよび1つまたは複数の後処理サブシステムの作動装置を操作するステップとを含むことができる。最適な運転は、結合されたエンジンおよび後処理システムの排出物の低減および流体効率の改善を含むことができる。
【0053】
排出ガスの状態量を変化させることは、排出ガス中の汚染物質の量を規定された大きさ以下の大きさまで低減することを含むことができる。1つまたは複数の後処理サブシステムが、排出ガス中の汚染物質の量を規定された大きさ以下の大きさまで低減するとき、エンジンの作動装置を操作することは、エンジンの燃料経済性を増加させることができる。
【0054】
この方法は、結合されたエンジンおよび後処理システムの最適な運転のための基礎として1つまたは複数のエンジンマップを提供するステップと、エンジンの運転点および/または状態に対する測定変数およびエンジン上の作動装置の位置に関する設定点および/または制約条件を規定する1つまたは複数のエンジンマップを処理するステップと、エンジンおよび1つまたは複数の後処理サブシステムの変数によりエンジンマップを媒介変数化するステップとをさらに含むことができる。
【0055】
この方法は、エンジンにより消費された燃料および/または1つもしくは複数の後処理サブシステムにより消費された尿素の費用によりエンジンマップを媒介変数化することをさらに含むことができる。1つまたは複数のエンジンマップは、エンジンの速度およびトルクのマップを含むことができる。1つまたは複数の制御装置は、エンジンと、結合されたエンジンおよび後処理システムの1つまたは複数の後処理サブシステムとに接続することができる。1つまたは複数の制御装置は、設定点を確実に認識し、および/または、制約条件を確実に満たすことができる。
【0056】
本明細書では、問題点のいくつかは、仮定的または予見的な性質のものである可能性があるが、別の様式または別の時制で記載されている。
本システムおよび/または方法を少なくとも1つの例示的な例に関して説明してきたが、本明細書を読むと直ちに、当業者には多くの変形形態および変更形態が明らかになろう。したがって、そうしたすべての変形形態および変更形態を含む関連技術を考慮して、添付の特許請求の範囲をできる限り広く解釈するものとする。
【外国語明細書】