(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-82851(P2017-82851A)
(43)【公開日】2017年5月18日
(54)【発明の名称】仕切弁の弁操作装置と、弁操作装置用中継杆
(51)【国際特許分類】
F16K 31/46 20060101AFI20170414BHJP
F16K 31/44 20060101ALI20170414BHJP
E03B 9/10 20060101ALI20170414BHJP
【FI】
F16K31/46 B
F16K31/44 F
E03B9/10 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-209771(P2015-209771)
(22)【出願日】2015年10月26日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 平成27年10月23日から同年10月25日までに開催された川口市産品フェア2015の市産品展示会においてパネル展示及びパンフレットの頒布
(71)【出願人】
【識別番号】591116092
【氏名又は名称】株式会社福原鋳物製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100062797
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100188385
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 道俊
(72)【発明者】
【氏名】福原 勝
【テーマコード(参考)】
3H063
【Fターム(参考)】
3H063BB07
3H063BB33
3H063BB47
3H063DA02
3H063EE02
3H063EE05
3H063EE07
3H063GG06
(57)【要約】
【課題】 開栓器のスピンドルヘッドへのセット、即ち連結を容易にする仕切弁の弁操作装置と、該弁操作装置用の中継杆を提供する。
【解決手段】仕切弁1をねじ式弁筐3内に設けた弁操作装置であって、上端に前記仕切弁1のスピンドルヘッド1aと略同形状の角錐台形のヘッド6を設け、且つ下端に設けたソケット7を、前記スピンドルヘッド1aに嵌合させた中継杆5を設けると共に、前記ソケット7は前記中継杆5に上下2本の着脱自在の軸8又は9を外すことにより屈曲可能に構成する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
仕切弁を弁筐内に設けた弁操作装置であって、上端に前記仕切弁のスピンドルヘッドと略同形状の角錐台形のヘッドを設け、且つ下端に設けたソケットを、前記スピンドルヘッドに嵌合させた中継杆を設けると共に、前記ソケットは中継杆に上下2本の着脱自在の軸で連結し、一方の軸を外すことにより屈曲可能に構成したことを特徴とする弁操作装置。
【請求項2】
中継杆の上端に仕切弁のスピンドルヘッドと略同形状の角錐台形のヘッドを設け、且つ下端に上下2本の着脱自在の軸で前記仕切弁のスピンドルヘッドと嵌合するソケットを連結すると共に、前記軸の一方を外すことにより屈曲可能に構成したこと特徴とする弁操作装置用中継杆。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上水道設備における仕切弁の弁操作装置と、その弁操作装置用の中継杆に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、上水道設備における仕切弁の弁操作装置は一般に
図1に示すように地下に埋設された仕切弁1を覆うように蓋2を設けたねじ式の弁筐3を設けた構造である。
【0003】
このような一般的な弁操作装置においては、蓋2の開閉や隙間から土砂4や雨水等が流入し、弁機構全体が埋没又は水没し、視覚での弁確認が困難となり、開栓器のセットに戸惑うことがあった。また、夜間に弁の開閉を行う場合、仕切弁1のスピンドルヘッド1aの位置確認に困難を来たし、緊急事態に即応できず、又平常時においても弁筐3は細長いので、内部が暗く開栓器のセットに時間を要していた。
【0004】
更に傾斜道路に水道管が設置されている場合や、地震等により弁筐3の中心軸に対し、スピンドルヘッド1aの中心軸が傾斜したり、横にズレたりした場合には、一層開栓器のセットに困難を来たすといった問題があった。
【0005】
またねじ式の弁筐3は、仕切弁1の埋設深度によって弁筐3の上部を回転させて弁筐の高さを調節することができるが、弁筐3の高さが高くなった場合、地表から仕切弁のスピンドルヘッド1aまで深くなるため、上記の問題が一層困難を増すことになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−241377号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】日本水道協会規格 JWWA 水道用ねじ式弁筐 (社)日本水道協会 平成12年6月8日発行
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、開栓器のスピンドルヘッドへのセット、即ち連結を容易にする仕切弁の弁操作装置と、該弁操作装置用の中継杆を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたもので、請求項1記載の発明は、仕切弁を弁筐内に設けた弁操作装置であって、上端に前記仕切弁のスピンドルヘッドと略同形状の角錐台形のヘッドを設け、且つ下端に設けたソケットを、前記スピンドルヘッドに嵌合させた中継杆を設けると共に、前記ソケットは中継杆に上下2本の着脱自在の軸で連結し、一方の軸を外すことにより屈曲可能に構成したことを特徴とする弁操作装置である。
【0010】
請求項2記載の発明は、中継杆の上端に仕切弁のスピンドルヘッドと略同形状の角錐台形のヘッドを設け、且つ下端に上下2本の着脱自在の軸で前記仕切弁のスピンドルヘッドと嵌合するソケットを連結すると共に、前記軸の一方を外すことにより屈曲可能に構成したこと特徴とする弁操作装置用中継杆である。
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載の本発明によれば、上端に仕切弁のスピンドルヘッドと略同形状の角錐台形のヘッドを設け、且つ下端に設けたソケットを、前記スピンドルヘッドに嵌合させた中継杆を設けたので、開栓器のセットは、前記中継杆の上端に設けたヘッドに連結すればよいので、開閉作業が楽になり、緊急事態に即応することができる。また、垂直に設置される弁筐の中心軸に対し、仕切弁のスピンドルヘッドの中心軸が傾斜している場合や、仕切弁の設置位置が弁筐の中心軸に対し横ズレした場合であっても、上下2本の軸で取付けられた中継杆とソケットを何れか1本の軸を取り外して屈曲可能にすることにより、中継杆のヘッドを開栓作業に支障のない位置とすることができる。
【0012】
請求項2記載の本発明によれば、中継杆とソケットを上下2本の軸で連結する構造としたので、2本の軸で中継杆とソケットを連結した場合は、直列に連結固定され、1本の軸で連結するようにすると、ソケットと中継杆が屈曲可能になり、上の軸で屈曲可能にした場合と下の軸で屈曲可能にした場合とでは、異なる態様とすることができ、使用現場に応じて任意に選択することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】従来のねじ式弁筐を使用した場合の弁操作装置の縦断面図である。
【
図3】本発明の実施例で用いられた中継杆を示すもので、(a)は正面図、(b)は右側面図である。
【
図4】本発明の実施例で用いられた中継杆の斜視図である。
【
図6】開栓時の本発明の実施例2の縦断面図である。
【
図8】開栓時の本発明の実施例3の縦断面図である。
【実施例1】
【0014】
図2は本発明の実施例1の縦断面図で、1は仕切弁、3は上部弁筐3aに蓋2を設けたねじ式弁筐である。
【0015】
5は上端に前記仕切弁1のスピンドルヘッド1aと略同形状の角錐台形のヘッド6を設け、下端にスピンドルヘッド1aと嵌合するソケット7を上下2本の軸8,9により連結固定した中継杆である。
【0016】
図3(a)は前記中継杆5の正面図,
図3(b)はその側面図を示し、
図4は中継杆の斜視図である。
【0017】
この実施例の中継杆5では、下端5aをソケット7の切り込み溝7aに割り込ませる構造とし、上下2本のボルトを用いた軸8,9で中継杆5にソケットを取付ける構造としているが、この構造のみに限定されるものではない。
【0018】
そして、上下に設けた軸8,9の一方の軸を外すとソケット7に対し、中継杆5は屈曲可能となり、通常は2本の軸8,9によってソケット7と中継杆5は固定されるが、上又は下の一方の軸を外せば屈曲するようになり、どちらを外すかは、後述するように、仕切弁1の設置状況に応じて選択される。
【0019】
図2から明らかなように、従来は、細長い弁筐3の底部に位置するスピンドルヘッド1aに開栓器(図示せず)の下端に設けたソケットを嵌合させなければならないので、段落〔0003〕〜〔0005〕に記載したような問題があったが、実施例1の弁操作装置では、開栓器のソケットを嵌合させる位置、即ちヘッド6の位置が、蓋2に近い位置にあるので、開栓器をセットしやすく、迅速に開栓作業を行うことができる。
【実施例2】
【0020】
図5は本発明の実施例2の縦断面図で、1’は仕切弁、Aは弁筐、Bはレジンコンクリート製や再生プラスチック製の環状の台座10上に設置された鋳物製の蓋受枠、5は実施例1に示したものと同様の中継杆である。
【0021】
弁筐Aは、鋳物製の下部筐体11の上端に設けた筒状の筒体取付部11aに、塩化ビニール製の円筒形状の中間筐体12をボルト等で接続し、その中間筐体12の上端に合成ゴム等からなる環状の弾性の継手13を介して、高さ調節用の塩化ビニール製の調整用筐体14を接続し、モルタル15を流し込んで、両者を一体に連結した構造となっている。なお図中16は調節用筐体14の上部開口部に嵌合させた中蓋であり、前記蓋受枠Bは地盤に設置された台座10に支持されるように構成されている。
【0022】
この実施例2の弁筐Aは、弁筐Aを設置するに際して、現場で調節用筐体14を適正な長さに切断して接続させる。
【0023】
そして、蓋受枠Bは地盤に設置された台座10によって支持され、路上を通過する車両等による荷重は弁筐Aには直接加わらないので、弁筐Aを毀損させることはなく、また弁筐Aは下部筐体11、中間筐体12、継手13及び調節用筐体14とからなる分割式であり、中間筐体12と調節用筐体14は塩化ビニール製であるため、全体を鋳物製の従来品に比し軽量であるから、搬送が非常に楽であると共に、現場における作業性に優れている。
【0024】
図6は本発明の実施例2において、開栓時に開栓器17のソケット17aを中継杆5のヘッド6に嵌合させた状態を示すもので、開栓器17のセットが、従来の弁操作装置よりはるかに容易であると共に、開栓器17を図示のように小型化できる利点がある。
【実施例3】
【0025】
図7は実施例3の縦断面図を示し、仕切弁1’のスピンドルヘッド1’aの軸が弁筐Aの中心軸に対し傾斜した場合で、軸9を外して中継杆5を屈曲可能として、
図8に示すように開栓器17を中継杆5のヘッド6にセットし得るようにしたものである。
【符号の説明】
【0026】
A 弁筐
B 蓋受枠
1,1’ 仕切弁
1a,1’a スピンドルヘッド
2 蓋
3 ねじ式弁筺
3a 上部弁筐
4 土砂
5 中継杆
5a 下端
6 ヘッド
7 ソケット
7a 切り込み溝
8,9 軸
10 台座
11 下部弁筐
12 中間筐体
13 継手
14 調整用筐体
15 モルタル
16 中蓋
17 開栓器