(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-82973(P2017-82973A)
(43)【公開日】2017年5月18日
(54)【発明の名称】集塵機用逆止ダンパ
(51)【国際特許分類】
F16K 15/03 20060101AFI20170414BHJP
F24F 13/10 20060101ALI20170414BHJP
B01D 46/42 20060101ALI20170414BHJP
【FI】
F16K15/03 F
F24F13/10 Z
B01D46/42 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2015-213742(P2015-213742)
(22)【出願日】2015年10月30日
(71)【出願人】
【識別番号】000191009
【氏名又は名称】新東工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 功
【テーマコード(参考)】
3H058
3L081
4D058
【Fターム(参考)】
3H058AA07
3H058BB22
3H058BB32
3H058BB33
3H058CC05
3H058CD18
3H058EE04
3H058EE12
3L081AA05
3L081AB06
3L081FC02
3L081HA02
4D058JA01
4D058QA01
4D058QA03
4D058QA19
4D058QA21
4D058UA11
(57)【要約】 (修正有)
【課題】粉塵爆発の危険性がある条件下で使用される集塵機において、集塵機の装置サイズが大きくならない集塵機を提供する。
【解決手段】集塵機1に用いられる逆止ダンパ10であって、逆止ダンパは、形状が略U字型のダンパダクトと、ダンパダクトに設けられたストッパーと、ダンパ羽根と、を備え、ダンパダクトが集塵機のキャビネット2の内側に設けられている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
集塵機に用いられる逆止ダンパであって、
前記逆止ダンパは、形状が略U字型のダンパダクトと、前記ダンパダクトに設けられたストッパーと、ダンパ羽根と、を備え、
該ダンパダクトが前記集塵機のキャビネットの内側に設けられていることを特徴とする集塵機用逆止ダンパ。
【請求項2】
前記ダンパ羽根は、全閉状態から全開状態までの該ダンパ羽根の開き角度が90度未満であることを特徴とする請求項1に記載の集塵機用逆止ダンパ。
【請求項3】
前記ダンパ羽根が前記ダンパダクトの一端に設けられたダンパ取付板と接する箇所、もしくは、該ダンパ羽根が前記ストッパーと接する箇所に、ゴムもしくは樹脂が用いられていることを特徴とする請求項1または2に記載の集塵機用逆止ダンパ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉塵爆発の危険性がある条件下で使用される集塵機用の逆止ダンパに関するものである。
【背景技術】
【0002】
粉塵を含んだ空気を捕集する集塵機においては、粉塵爆発の危険性への配慮が不可欠である。そこで粉塵爆発の危険性を低減し、粉塵爆発時に周囲への危険を回避する集塵機として、特許文献1に記載のような吸入空気の逆流を防止する逆止弁と、爆発時の高圧の空気を外気へ放出する放散孔を備えた集塵機が提案されている。
【0003】
しかしこのような集塵機は、集塵機の側面に逆止弁と放散孔を備えるため、どうしても全体の装置サイズが大きくなり、集塵機の設置スペースが大きくなってしまう問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭62−56120号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って本発明の目的は上記した従来の問題点を解決し、粉塵爆発に対応した集塵機であっても装置サイズが大きくならない集塵機用逆止ダンパを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために本発明の逆止ダンパは、形状が略U字型のダンパダクトと、前記ダンパダクトに設けられたストッパーと、ダンパ羽根と、を備え、該ダンパダクトが前記集塵機のキャビネットの内側に設けられていることを特徴とする。
【0007】
このように構成された本発明においては、逆止ダンパを構成するダンパダクトが集塵機のキャビネットの内側にあるため、粉塵爆発に対応した集塵機であっても装置サイズが大きくならない。また、ダンパダクトの形状が略U字型であるため、ダンパダクトの上部に集塵機内のダストが堆積することがなく、メンテナンスが楽になる。
【0008】
本発明において、ダンパ羽根は、全閉状態から全開状態までの該ダンパ羽根の開き角度が90度未満であることを特徴とする。
【0009】
このように構成された本発明においては、ダンパ羽根は、全閉状態から全開状態までのダンパ羽根の開き角度が90度未満であるため、集塵機内部において、万が一、粉塵爆発が生じた時に、ダンパ羽根が爆発時の風圧により必ず閉じることができる。
【0010】
本発明において、ダンパ羽根がダンパダクトの一端に設けられたダンパ取付板と接する箇所、もしくは、ダンパ羽根がストッパーと接する箇所に、ゴムもしくは樹脂が用いられていることを特徴とする。
【0011】
このように構成された本発明においては、金属同士の接触による火花の発生を防ぐことができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の集塵機用逆止ダンパによれば、粉塵爆発に対応した集塵機であっても装置サイズ大きくならないコンパクトな集塵機を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明における集塵機用逆止ダンパを用いた集塵機の正面断面図である。
【
図2】(a)本発明における集塵機用逆止ダンパの全開時の斜視図である。 (b)本発明における集塵機用逆止ダンパの全閉時の斜視図である。
【
図3】(a)本発明における集塵機用逆止ダンパの全開時の正面断面図である。 (b)本発明における集塵機用逆止ダンパの全閉時の正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の集塵機用逆止ダンパについて
図1を用いて説明する。集塵機1は、キャビネット2により構成されており、キャビネット2内のセルプレート3により上下に分割され、その上部は清浄室であり、ファン4及びパルスジェット装置などが収められている。また、上下に分割された下部は除塵室であり、主にフィルタ5などが収められている。除塵室の側面のキャビネット2には含塵ガスを集塵機内に導入するための逆止ダンパ10が設けられている。また、図には記載されていない放散孔も除塵室の側面のキャビネット2に設けられている。
【0015】
図2及び
図3を用いて本発明の集塵機用逆止ダンパの詳細について説明する。逆止ダンパ10は、主にダンパダクト11とダンパ羽根12及びストッパー13により構成されており、ダンパ取付板14により集塵機1のキャビネット2へ、ダンパダクト11がキャビネットの内部となるよう取り付けられている。吸込みダクト15はダンパ取付板14を挟んでダンパダクト11の反対側に取り付けられている。
図2(a)及び
図3(a)が逆止ダンパの全開時の状態を示しており、
図2(b)及び
図3(b)が逆止ダンパの全閉時の状態を示している。
【0016】
ダンパダクト11は、ダクトの上部が開放しており、その形状は略U字型である。通常用いる上部が開放していない円形のダンパダクトを用いると、ダンパダクトの上部に集塵機内のダストが堆積してしまい、メンテナンス性が悪くなるなどの不具合が生じる。なお、ダンパダクトを設けずにダンパ羽根のみとすると、万が一、粉塵爆発が生じた時に、ダンパ羽根が爆発時の風圧の向きによっては閉じることができなくなる恐れが生じるため、ダンパダクトは必要である。なお、ダンパダクト11の長さは、ダンパ羽根12の長さと同等程度が好ましい。ダンパダクトの長さがダンパ羽根の長さより短いと、万が一、粉塵爆発が生じた時に、ダンパ羽根が爆発時の風圧の向きによっては閉じることができなくなる恐れが生じるためである。
【0017】
ダンパ羽根12は、含塵ガスを集塵機に取り込むための吸込口を塞ぐことを目的とし、その形状は略U字型の平板である。ダンパ取付板14と接するダンパダクト11の上部にダンパ羽根の駆動軸が取り付けられており、ダンパ羽根12はこの軸を支点として、全閉状態の吸込口を塞ぐ位置から含塵ガスを集塵機内に取り込む全開状態の位置まで動く。なお、全開状態は、ダンパダクトの先端に取り付けられたストッパー13に接する位置となり、全閉状態から全開状態までのダンパ羽根の開き角度は90度未満であることが好ましい。この理由は、集塵機内部において、万が一、粉塵爆発が生じた時に、ダンパ羽根が爆発時の風圧により必ず閉じることができためである。このダンパ羽根の開き角度が90度以上の場合は、ダンパ羽根が爆発時の風圧の向きによっては閉じることができなくなる恐れが生じる。
【0018】
ストッパー13の形状は平板であり、ダンパダクトのダンパ取付板が取り付けてある反対側の一端の上部に設けられている。このストッパーは、ダンパ羽根が全開状態時にダンパ羽根と接触するため、接触による火花にて粉塵爆発や火災の原因になる恐れある。よって、ダンパ羽根と接触する部分にゴムもしくは樹脂を使用することが好ましい。
【0019】
ダンパ取付板14は、集塵機用逆止ダンパを集塵機に取り付けるためのものであり、その形状は平板である。ダンパ取付板は、その四隅をボルトにて集塵機側面のキャビネットに固定する。また、ストッパーの場合と同じく、ダンパ羽根が全閉状態時にダンパ羽根とダンパ取付板とが接触するため、接触による火花にて粉塵爆発や火災の原因になる恐れある。よって、ダンパ羽根と接触する部分にゴムもしくは樹脂を使用することが好ましい。
【0020】
吸込ダクト15は、ダンパ取付板を介してダンパダクトの反対側に設けられている。この吸込ダクトは、ホース等を接続する場合に用いられる。
【0021】
次に、集塵機の運転動作とダンパ羽根の動きについて説明する。含塵ガスは、集塵機内のファン4の吸引力により吸込みダクト15を通り、ダンパ羽根12を動かし、ダンパダクト11を通りキャビネット2内の除塵室に導入される。その後、含塵ガスは、フィルタ5の表面上でダストが分離され、フィルタの内部を通ってキャビネット2上部の清浄室を通って外部へ排気される。この集塵機運転中のダンパ羽根12は、ストッパー13に接した全開状態となる。万が一、粉塵爆発があった際には、ダンパ羽根12が爆発時の風圧によりダンパ取付板14に接した全閉状態となる。
【符号の説明】
【0022】
1 集塵機
2 キャビネット
3 セルプレート
4 ファン
5 フィルタ
10 逆止ダンパ
11 ダンパダクト
12 ダンパ羽根
13 ストッパー
14 ダンパ取付板
15 吸込みダクト