【解決手段】光変調器モジュールは、複数の光変調器が形成された基板と、複数の光変調器を駆動する複数の信号が入力される複数の端子を含むコネクタと、基板とコネクタとの間に設けられる中継基板を備える。各光変調器は、光導波路と、光導波路の近傍に形成される変調電極と、変調電極の一方の端部に電気的に接続されるフィード電極を含む。複数の端子は、基板の長手方向に平行に並んで配置される。基板の長手方向において、各光変調器のフィード電極が電気的に接続される変調電極の端部の位置は、対応する端子が配置されている位置とほぼ同じである。中継基板には、複数の端子をそれぞれ対応する光変調器のフィード電極に電気的に接続する複数の配線パターンが形成されている。
前記複数の光変調器は、前記基板の長手方向に平行またはほぼ平行に配置され、且つ、前記長手方向において前記コネクタの端子間の間隔に応じて順番にシフトした位置に配置される
ことを特徴とする請求項1または2に記載の光変調器モジュール。
【背景技術】
【0002】
光通信システムの高速化を実現するためのキーデバイスの1つは、光変調器である。光変調器は、例えば、LiNbO3基板を利用して構成される。LiNbO3基板を利用して構成される光変調器は、LN変調器と呼ばれることがある。LN変調器は、高速変調および低チャープを実現することができるので、10Gbps〜40Gbpsの光通信システムにおいて実用化されている。また、さらに高速のデータ通信を実現するために、偏波多重光信号を生成する100Gbps LN変調器も実用化されている。
【0003】
図1は、光変調器の一例を示す。
図1に示す光変調器は、偏波多重光信号を生成するために、1組のマッハツェンダ変調器101X、101Yを備える。マッハツェンダ変調器101Xは、1組のマッハツェンダ変調器101XI、101XQを含み、マッハツェンダ変調器101Yは、1組のマッハツェンダ変調器101YI、101YQを含む。各マッハツェンダ変調器101XI、101XQ、101YI、101YQは、それぞれ、基板100の表面領域に形成される1組の平行な光導波路を含む。また、各マッハツェンダ変調器101XI、101XQ、101YI、101YQにおいて、1組の平行な光導波路のうちの一方の近傍に信号電極102が形成されている。
【0004】
入力光導波路103は、入力連続光を分岐してマッハツェンダ変調器101X、101Yに導くように形成されている。マッハツェンダ変調器101Xに入力される連続光は、マッハツェンダ変調器101XI、101XQに導かれ、マッハツェンダ変調器101Yに入力される連続光は、マッハツェンダ変調器101YI、101YQに導かれる。
【0005】
マッハツェンダ変調器101XIに入力される連続光は、1組の光導波路を介して伝搬される。ここで、マッハツェンダ変調器101XIの信号電極102にデータ信号を与えると、その信号電極102の近傍の光導波路の屈折率が変化する。このため、マッハツェンダ変調器101XIの出力光信号は、信号電極102に与えられるデータ信号を表す。すなわち、マッハツェンダ変調器101XIは、データ信号を表す変調光信号を生成することができる。同様に、マッハツェンダ変調器101XQ、101YI、101YQも、それぞれ対応するデータ信号を表す変調光信号を生成する。
【0006】
マッハツェンダ変調器101XI、101XQの出力光信号は、合波されて出力光導波路104Xに導かれ、マッハツェンダ変調器101YI、101YQの出力光信号は、合波されて出力光導波路104Yに導かれる。なお、マッハツェンダ変調器101XI、101XQ間に位相差π/2が与えられ、マッハツェンダ変調器101YI、101YQ間に位相差π/2が与えられるようにしてもよい。
【0007】
出力光導波路104X、104Yから出力される変調光信号は、偏波ビームコンバイナ110により偏波多重される。すなわち、偏波多重光信号が生成される。偏波ビームコンバイナ110は、光変調器の一部であってもよい。
【0008】
なお、複数の光変調器を備える光デバイスは、例えば、特許文献1に記載されている。また、複数の光変調部が並列に配置された光変調器は、例えば、特許文献2に記載されている。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図4は、本発明の実施形態に係わる光変調器モジュールを備える光送信器の一例を示す。光送信器1は、
図4に示すように、変調光信号を生成するために、レーザ光源(LD)2、データ信号源3、光変調器モジュール4を備える。
【0019】
レーザ光源2は、この実施例では、所定の周波数の連続光を生成する。データ信号源3は、データ信号を生成する。この実施例では、光送信器1は、偏波多重変調光信号を生成して送信する。よって、データ信号源3は、データ信号XI、XQ、YI、YQを生成する。そして、データ信号源3により生成されるデータ信号は、不図示のドライバを介して光変調器モジュール4に与えられる。各データ信号は、光変調器モジュール4を駆動する駆動信号として使用される。
【0020】
光変調器モジュール4は、光変調器5を備え、レーザ光源2により生成される連続光をデータ信号で変調して偏波多重変調光信号を生成する。すなわち、光変調器モジュール4は、データ信号XI、XQに基づいて変調光信号Xを生成し、データ信号YI、YQに基づいて変調光信号Yを生成する。そして、変調光信号Xおよび変調光信号Yは、不図示の偏波ビームコンバイナにより偏波多重される。
【0021】
<第1の実施形態>
図5は、第1の実施形態に係わる光変調器モジュールに実装される光変調器の一例を示す。なお、光変調器5には、
図4に示すレーザ光源2により生成される連続光が入力される。また、光変調器5には、
図4に示すデータ信号源3により生成されるデータ信号が与えられる。
【0022】
基板10は、電気光学効果を有する電気光学基板であり、例えば、LiNbO3(LN)などの電気光学結晶により実現される。よって、基板10に電気信号が与えられると、その電気信号に応じて光学特性(例えば、屈折率など)が変化する。基板10の形状は、矩形または平行四辺形である。この実施例では、基板10の形状は平行四辺形である。
【0023】
なお、以下の記載では、連続光が入射される基板10のエッジを「入力端」と呼ぶことがある。また、光変調器5により生成される変調光信号が出力される基板10のエッジを「出力端」と呼ぶことがある。さらに、入力端から入射される光が基板10上を伝搬する方向を「光伝播方向」と呼ぶことがある。この例では、光伝搬方向は、基板10の長手方向と一致している。すなわち、入力端から入射される光は、基板10の長手方向に伝搬される。
【0024】
基板10の表面領域には、1組のマッハツェンダ変調器11X、11Yが形成されている。マッハツェンダ変調器11Xは、1組のマッハツェンダ変調器11XI、11XQを含み、マッハツェンダ変調器11Yは、1組のマッハツェンダ変調器11YI、11YQを含む。マッハツェンダ変調器11XI、11XQ、11YI、11YQは、それぞれ、基板10の表面領域に形成される1組の平行な光導波路を含む。また、各マッハツェンダ変調器11XI、11XQ、11YI、11YQにおいて、1組の平行な光導波路のうちの一方の近傍に変調電極12が形成されている。なお、変調電極12は、データ信号をマッハツェンダ変調器に与えるための信号電極の一部である。
【0025】
入力光導波路13は、入力連続光を分岐してマッハツェンダ変調器11X、11Yに導くように形成されている。マッハツェンダ変調器11Xに入力される連続光は、マッハツェンダ変調器11XI、11XQに導かれ、マッハツェンダ変調器11Yに入力される連続光は、マッハツェンダ変調器11YI、11YQに導かれる。
【0026】
マッハツェンダ変調器11XIに入力される連続光は、1組の光導波路を介して伝搬される。ここで、マッハツェンダ変調器11XIの変調電極12にデータ信号XIを与えると、その変調電極12の近傍の光導波路の屈折率がデータ信号XIに応じて変化する。このため、マッハツェンダ変調器11XIの出力光信号は、変調電極12に与えられるデータ信号XIを表す。すなわち、マッハツェンダ変調器11XIは、データ信号XIを表す変調光信号を生成することができる。同様に、マッハツェンダ変調器11XQ、11YI、11YQも、それぞれ対応するデータ信号XQ、YI、YQを表す変調光信号を生成する。
【0027】
マッハツェンダ変調器11XI、11XQの出力光信号は、合波されて出力光導波路14Xに導かれ、マッハツェンダ変調器11YI、11YQの出力光信号は、合波されて出力光導波路14Yに導かれる。なお、図示しないが、マッハツェンダ変調器11XI、11XQ間に位相差π/2が与えられ、マッハツェンダ変調器11YI、11YQ間に位相差π/2が与えられるようにしてもよい。
【0028】
出力光導波路14X、14Yから出力される変調光信号は、不図示の偏波ビームコンバイナにより偏波多重される。すなわち、偏波多重光信号が生成される。なお、偏波ビームコンバイナは、光変調器5の一部であってもよい。
【0029】
なお、この実施例では、基板10の形状は平行四辺形である。すなわち、基板10は、基板10の入力端および出力端がそれぞれ基板10の長手方向に直交する方向に対して角度αを有するように形成されている。この構成により、基板10の端部における光の反射が抑制される。以下の記載では、基板10の長手方向に直交する方向を「直交方向」と呼ぶことがある。
【0030】
図6は、光変調器モジュール4の一例を示す。光変調器モジュール4は、
図6に示すように、光変調器5、コネクタ20、中継基板30を備える。
【0031】
光変調器5は、
図5および
図6において同じである。すなわち、光変調器5は、マッハツェンダ変調器11XI、11XQ、11YI、11YQを備える。また、各マッハツェンダ変調器11XI、11XQ、11YI、11YQにおいて、1組の平行な光導波路のうちの一方の近傍に変調電極12が形成されている。さらに、
図5においては省略されているが、基板10の表面には、各マッハツェンダ変調器11XI、11XQ、11YI、11YQに対してそれぞれ入力側フィード電極15および終端側リード電極16が形成されている。
【0032】
データ信号源3により生成されるデータ信号XI、XQ、YI、YQは、コネクタ20を介して光変調器5に与えられる。コネクタ20は、データ信号XI、XQ、YI、YQが入力される端子T1、T2、T3、T4を備えている。なお、コネクタ20は、OIFで規定されている構成であってもよいし、他の構成であってもよい。
【0033】
中継基板30は、コネクタ20と光変調器5との間に設けられる。そして、中継基板30の表面には、コネクタ20の各端子T1〜T4と、基板10の表面に形成されている対応する入力側フィード電極15とをそれぞれ電気的に接続する配線パターン31が形成されている。すなわち、中継基板30の表面に4本の配線パターン31が形成されている。なお、中継基板30の形状は、この実施例では、矩形である。
【0034】
入力側フィード電極15の一方の端部は、対応するマッハツェンダ変調器の変調電極12の端部に電気的に接続されている。また、入力側フィード電極15は、中継基板30の表面に形成されている対応する配線パターン31に電気的に接続され得るように、基板10の端部まで形成されている。
【0035】
終端側リード電極16の一方の端部は、対応するマッハツェンダ変調器の変調電極12の端部に電気的に接続されている。また、終端側リード電極16は、基板10の端部まで形成されて終端される。
【0036】
このように、各マッハツェンダ変調器11XI、11XQ、11YI、11YQに対してそれぞれ変調電極12、入力側フィード電極15、終端側リード電極16が形成されている。なお、各マッハツェンダ変調器11XI、11XQ、11YI、11YQに対してそれぞれ設けられる変調電極12、入力側フィード電極15、終端側リード電極16は、互いに電気的に接続されている。よって、互いに電気的に接続された変調電極12、入力側フィード電極15、終端側リード電極16を「信号電極」と呼ぶことがある。
【0037】
上記構成の光変調器モジュール4において、各データ信号は、コネクタ20、配線パターン31、入力側フィード電極15を介して対応するマッハツェンダ変調器の変調電極12に導かれる。例えば、データ信号XIは、コネクタ20の端子T1、対応する配線パターン31、対応する入力側フィード電極15を介してマッハツェンダ変調器11XIの変調電極12に導かれる。したがって、マッハツェンダ変調器11XI、11XQ、11YI、11YQは、それぞれデータ信号XI、XQ、YI、YQに対応する変調光信号を生成することができる。
【0038】
また、各マッハツェンダ変調器のデータ信号は、入力側フィード電極15を介して変調電極12に到達する。そして、このデータ信号が変調電極12を伝搬することにより、マッハツェンダ変調器は入力光を変調する。よって、以下の記載では、入力側フィード電極15が電気的に接続されている変調電極12の端点を「変調開始点」と呼ぶことがある。
【0039】
第1の実施形態の光変調器モジュール4は、以下の条件を満足するように形成される。
(1)コネクタ20は、複数の端子T1〜T4が基板10の長手方向(すなわち、光変調器5の光伝搬方向)に平行またはほぼ平行に並んで配置されるように、基板10に対して設けられる。
(2)基板10の長手方向において、各マッハツェンダ変調器11XI、11XQ、11YI、11YQの変調開始点の位置は、コネクタ20の対応する端子T1〜T4の位置と同じまたはほぼ同じである。
(3)コネクタ20の各端子T1〜T4から対応するマッハツェンダ変調器11XI、11XQ、11YI、11YQへデータ信号を伝搬する経路は、可能な限り短く形成する。
(4)コネクタ20の複数の端子T1〜T4から各マッハツェンダ変調器11XI、11XQ、11YI、11YQへデータ信号を伝搬する複数の経路は、互いに平行またはほぼ平行に形成される。
【0040】
条件(1)に関して、コネクタ20の端子T1、T2、T3、T4は、基板10の長手方向に平行またはほぼ平行に並んで配置されている。すなわち、端子T1、T2、T3、T4が基板10の長手方向に平行またはほぼ平行に並んで配置されるように、基板10に対してコネクタ20が配置される。
【0041】
条件(2)に関して、基板10の長手方向において、マッハツェンダ変調器11XIの変調開始点の位置は、コネクタ20の端子T1の位置と同じまたはほぼ同じである。すなわち、基板10の長手方向において、マッハツェンダ変調器11XIの変調電極12の一方の端点(入力側フィード電極15が電気的に接続される端点)の位置は、端子T1の位置と同じまたはほぼ同じである。同様に、基板10の長手方向において、マッハツェンダ変調器11XQ、11YI、11YQの変調開始点の位置は、それぞれ、コネクタ20の端子T2、T3、T4の位置と同じまたはほぼ同じである。
【0042】
条件(3)及び条件(4)に関して、コネクタ20の端子T1、T2、T3、T4からマッハツェンダ変調器11XI、11XQ、11YI、11YQへデータ信号を伝搬する4本の経路は、それぞれ直線またはほぼ直線であり、互いに平行またはほぼ平行に形成されている。コネクタ20の各端子と対応するマッハツェンダ変調器との間の経路は、中継基板30の表面に形成される配線パターン31および基板10の表面に形成される入力側フィード電極15により実現される。
【0043】
したがって、第1の実施形態の光送信器モジュール4においては、
図3に示す構成と比較すると、コネクタ20からマッハツェンダ変調器へデータ信号が伝搬する経路が短くなる。すなわち、光送信器モジュール4においては、中継基板30上で配線パターンがほぼ最短経路で形成されるので、コネクタ20から各マッハツェンダ変調器へデータ信号が伝搬する経路が短くなる。加えて、
図3に示す構成と比較して、中継基板30の幅W(基板10とコネクタ20との間の間隔)も狭くなる。例えば、中継基板30の幅Wを2mm以下とすることができる。また、
図3に示す構成と比較すると、コネクタからマッハツェンダ変調器へデータ信号が伝搬する経路の長さを2〜3mm短くできる。この結果、コネクタ20から各マッハツェンダ変調器へ至る経路上でのデータ信号の減衰が抑制され、光変調器5により生成される変調光信号の品質が改善される。
【0044】
なお、
図6に示す実施例では、コネクタ20の端子T1〜T4はほぼ等間隔に設けられているが、第1の実施形態はこの構成に限定されるものではない。すなわち、端子T1〜T4は等間隔に設けられている必要はない。例えば、端子T1〜T4は、OIFで提案されている配置であってもよい。この場合も、マッハツェンダ変調器11XI、11XQ、11YI、11YQの配置(すなわち、各マッハツェンダ変調器11XI、11XQ、11YI、11YQの変調開始点の位置)は、それぞれ基板10の長手方向における対応する端子T1〜T4の位置と同じになるように決定される。
【0045】
但し、光変調器モジュール4においては、コネクタ20から各マッハツェンダ変調器の変調電極12へ至る経路の長さ(到達時間)が互いに同じではない。
図6に示す例では、コネクタ20からマッハツェンダ変調器11XIの変調電極12を介して点R1へ至る経路(到達時間)が最も長く、コネクタ20からマッハツェンダ変調器11YQの変調電極12の点R4へ至る経路(到達時間)が最も短い。よって、仮に、コネクタ20に入力されるデータ信号XI、XQ、YI、YQ間のスキューがゼロであるものとすると、マッハツェンダ変調器11XI、11XQ、11YI、11YQに到着するデータ信号XI、XQ、YI、YQ間でスキューが発生してしまう。
【0046】
そこで、光変調器モジュール4が実装される光送信器においては、光変調器モジュール4の外部でデータ信号間のスキューが調整される。データ信号は、
図7に示すように、データ信号源3により生成される。そして、この実施例では、データ信号源3から出力されるデータ信号は、ドライバ回路6により増幅されてコネクタ20に導かれる。なお、データ信号源3とドライバ回路6との間は、4本の信号線7で接続されている。また、ドライバ回路6とコネクタ20との間は、4本の信号線8で接続されている。この場合、データ信号間のスキューは、以下のいずれかの方法で調整される。
【0047】
(1)データ信号源3は、コネクタ20とマッハツェンダ変調器11XI、11XQ、11YI、11YQとの間で発生するスキューを補償するように、異なるタイミングまたは位相でデータ信号XI、XQ、YI、YQを出力する。
(2)コネクタ20とマッハツェンダ変調器11XI、11XQ、11YI、11YQとの間で発生するスキューを補償するように、データ信号源3とドライバ回路6との間の4本の信号線7の長さが決定される。
(3)コネクタ20とマッハツェンダ変調器11XI、11XQ、11YI、11YQとの間で発生するスキューを補償するように、ドライバ回路6とコネクタ20との間の4本の信号線8の長さが決定される。
【0048】
次に、光変調器モジュール4の製造プロセスの一例について記載する。基板10は、例えば、Z-cut LiNbO3基板である。基板10の表面領域にTiが注入され、そのTiを熱拡散することにより光導波路が形成される。ここで、基板10に後述する分極反転領域を形成する場合は、分極反転領域を形成しない領域にレジストが形成され、基板10に高電圧が印加される。この結果、レジストが形成されていない領域の分極が反転する。その後、基板10の表面にSiO2層などのバッファ層が形成される。さらに、バッファ層の上面にメッキにより電極(変調電極12、入力側フィード電極15、終端側リード電極16を含む)が形成される。
【0049】
コネクタ20と中継基板30との間においては、例えば、各端子と対応する配線パターン31とが半田により電気的に接続される。また、中間基板30と基板10との間においては、例えば、各配線パターン31と対応する入力側フィード電極16とがワイヤボンディングにより電気的に接続される。
【0050】
<第2の実施形態>
光変調器により生成される変調光信号の品質は、チャープにより劣化することがある。すなわち、光変調器により変調される光が光導波路を通過するときに、その光周波数が変動することがある。このため、光変調器のチャープを抑制する構成が提案されている。
【0051】
図8は、光変調器のチャープを抑制する構成の一例を示す。この例では、基板40の表面領域にマッハツェンダ変調器が形成されている。マッハツェンダ変調器は、1組の光導波路41、42、および信号電極43を含む。基板40の一部の領域に分極反転領域が形成されている。分極反転領域は、上述したように、所定の条件下で基板40に高電圧を印加することにより形成される。
【0052】
分極反転領域は、マッハツェンダ変調器の中央に形成されることが好ましい。
図8に示す例では、分極反転領域の入力側に形成される変調領域の長さL3と分極反転領域の出力側に形成される変調領域の長さL1とが同じまたはほぼ同じであることが好ましい。加えて、基板40の長手方向における分極反転領域の長さL2は、マッハツェンダ変調器の変調領域の長さLの約2分の1であることが好ましい。なお、変調領域は、ここでは、マッハツェンダ変調器を構成する光導波路が形成されている領域であって、信号電極に与えられるデータ信号によって光学特性が変化する部分を意味する。換言すれば、変調領域は、マッハツェンダ変調器を構成する光導波路に沿って信号電極が形成されている領域を意味する。
【0053】
信号電極43は、マッハツェンダ変調器を構成する光導波路の近傍に設けられる。ただし、信号電極43は、分極非反転領域で一方の光導波路の近傍に形成され、分極反転領域で他方の光導波路の近傍に形成される。
図8に示す例では、分極非反転領域においては光導波路42に沿って信号電極43が形成され、分極反転領域においては光導波路41に沿って信号電極43が形成されている。
【0054】
図9は、分極反転領域を形成する方法の一例を示す。この例では、製造プロセスを効率化するために、ウェハ上に複数の光変調器が同時に形成される。ここで、各光変調器を形成するための基板の形状が平行四辺形であるときは、分極反転領域の形状も平行四辺形にすることが可能である。さらに、分極反転領域を形成するためのマスクパターンの形状を簡素にするためには、分極反転領域は、分極反転領域の斜めの辺が基板の入力端または出力端の辺と平行になるように形成される。ずなわち、
図9において、α=βとなるように分極反転領域が形成される。
【0055】
図10は、第1の実施形態の光変調器に平行四辺形の分極反転領域が形成された構成を示す。斜線領域は、分極反転領域を示す。また、分極反転領域は、α=βとなるように形成されている。なお、
図10において、信号電極(変調電極12、入力側フィード電極15、終端側リード電極16)は省略されている。
【0056】
第1の実施形態の光変調器においては、コネクタ20の端子T1〜T4の間隔に合わせてマッハツェンダ変調器11XI、11XQ、11YI、11YQの配置が決定される。このため、
図1〜
図3に示す構成と比較して、基板10の長手方向において、マッハツェンダ変調器11XI、11XQ、11YI、11YQ間の位置のシフトが大きくなる。このため、第1の実施形態の光変調器に単純に平行四辺形の分極反転領域を形成すると、幾つかのマッハツェンダ変調器において、分極反転領域が変調領域の中央に配置されなくなる。例えば、マッハツェンダ変調器11XIにおいては、分極反転領域の入力側の変調領域に対して分極反転領域の出力側の変調領域の長さが短い。また、マッハツェンダ変調器11YQにおいては、分極反転領域の出力側の変調領域に対して分極反転領域の入力側の変調領域の長さが短い。そして、マッハツェンダ変調器の変調領域の中央からシフトした位置に分極反転領域が配置されると、高周波信号の場合、チャープが十分に抑制されないおそれがある。そこで、第2の実施形態では、各マッハツェンダ変調器のチャープが十分に抑制されるように分極反転領域の位置および形状が設計される。
【0057】
図11は、第2の実施形態の光変調器モジュールの一例を示す。ただし、
図11において、信号電極(変調電極12、入力側フィード電極15、終端側リード電極16)は省略されている。また、コネクタ20および中継基板30は、第1の実施形態および第2の実施形態において実質的に同じである。
【0058】
第2の実施形態においては、各マッハツェンダ変調器11XI、11XQ、11YI、11YQの変調領域のほぼ中央に分極反転領域17が配置されるように、分極反転領域17が階段状に形成される。各マッハツェンダ変調器の信号電極は、
図8に示す例と同様の構成で形成される。すなわち、各マッハツェンダ変調器において、分極非反転領域において一方の光導波路に沿って信号電極が形成され、分極反転領域17において他方の光導波路に沿って信号電極が形成される。たとえば、分極非反転領域において下アーム側の光導波路に沿って信号電極が形成され、分極反転領域17において上アーム側の光導波路に沿って信号電極が形成される。また、各マッハツェンダ変調器において、基板10の長手方向における分極反転領域17の長さが変調領域の長さの約2分の1になるように分極反転領域17が形成される。この結果、各マッハツェンダ変調器11XI、11XQ、11YI、11YQのチャープが抑制される。
【0059】
なお、
図11に示す実施例では、分極反転領域17の形状は、4個の矩形領域を接続することにより実現されるが、第2の実施形態はこの構成に限定されるものではない。例えば、4個の平行四辺形領域を接続することで略階段状の分極反転領域を形成してもよい。
【0060】
図12は、第2の実施形態の光変調器モジュールの変形例を示す。
図12に示す実施例では、分極反転領域18の形状は平行四辺形である。ただし、
図10に示す構成とは異なり、
図12に示す実施例では、各マッハツェンダ変調器11XI、11XQ、11YI、11YQの変調領域のほぼ中央に分極反転領域18が配置されるように、分極反転領域18が形成される。具体的には、基板10の直交方向に対する分極反転領域18の斜辺の角度βが、基板10の直交方向に対する入力端/出力端の角度αよりも大きくなるように、分極反転領域18の形状が決定される。このような構成であっても、各マッハツェンダ変調器11XI、11XQ、11YI、11YQのチャープが抑制される。
【0061】
<他の実施形態>
中継基板30の表面に形成される複数の配線パターン31は、必ずしも互いに平行でなくてもよい。但し、各配線パターン31は、直線またはほぼ直線であることが好ましい。また、基板10の表面に形成される複数の入力側フィード電極15は、必ずしも互いに平行でなくてもよい。但し、各入力側フィード電極15は、直線またはほぼ直線であることが好ましい。さらに、各配線パターン31および対応する入力側フィード電極15は、必ずしも1つの直線上に配置されなくてもよい。すなわち、各配線パターン31および対応する入力側フィード電極15は、任意の角度で配置されるようにしてもよい。
【0062】
中継基板30は、複数のサブ基板で構成してもよい。例えば、コネクタ20の各端子に対して1枚のサブ基板を設ける構成であってもよい。この場合、各サブ基板上にそれぞれ配線パターン31が形成される。また、各サブ基板上に形成される配線パターン31がそれぞれ対応する入力側フィード電極15に電気的に接続される。
前記複数の光変調器は、前記基板の長手方向に平行またはほぼ平行に配置され、且つ、前記長手方向において前記コネクタの端子間の間隔に応じて順番にシフトした位置に配置される
ことを特徴とする請求項1または2に記載の光変調器モジュール。