特開2017-84486(P2017-84486A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-84486(P2017-84486A)
(43)【公開日】2017年5月18日
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/44 20060101AFI20170414BHJP
【FI】
   H01R13/44 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-208869(P2015-208869)
(22)【出願日】2015年10月23日
(71)【出願人】
【識別番号】000227995
【氏名又は名称】タイコエレクトロニクスジャパン合同会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094330
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 正紀
(74)【代理人】
【識別番号】100109689
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 結
(72)【発明者】
【氏名】古屋 澄美
(72)【発明者】
【氏名】近藤 弘紀
(72)【発明者】
【氏名】雨宮 真二
(72)【発明者】
【氏名】長島 史
【テーマコード(参考)】
5E087
【Fターム(参考)】
5E087EE11
5E087FF03
5E087HH04
5E087JJ09
5E087LL29
5E087LL34
5E087RR07
5E087RR17
(57)【要約】
【課題】信頼性の高い感電防止構造を備えたコネクタを提供する。
【解決手段】このコネクタ1は、ハウジング10と、タブ端子20と、ムービングプレート30とを備えている。ムービングプレート30には、前方に向かって片持ち梁形状に延びた係止アーム32が設けられている。この係止アーム32には、前端部に鉤部33が設けられている。この鉤部33は、相手コネクタの抜去にあたり、相手コネクタに引かれてムービングプレート30を前方位置にスライドさせる。またハウジング10には、台部12が設けられている。この台部12は、ムービングプレート30が前方位置にあるときに、相手コネクタに鉤部33を乗り越えさせるための係止アーム32の撓みを許容する。一方、この台部12は、ムービングプレート30が前方位置から外れた位置にあるときには、係止アーム32の撓みを阻止する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
嵌合する相手コネクタに向かう前方に開口した中空部を有するハウジングと、
前記ハウジングに支持されて前方に向かって前記中空部内に突き出た端子と、
前記端子を挿通させた挿通孔を有し、前記中空部内に配置されて、該端子の前端が該挿通孔内に引き込まれた前方位置と、相手コネクタの端子との接続に必要な該端子の長さ部分を、該挿通孔よりも前方に突き出させた後方位置との間でスライドするムービングプレートとを備え、
前記ムービングプレートが、前方に向かって片持ち梁形状に延び、自由端である前端部に、相手コネクタに係止し、嵌合した相手コネクタの抜去にあたり、該係止により相手コネクタに引かれて該ムービングプレートを前記前方位置にスライドさせる鉤部が設けられた係止アームを有し、
前記ハウジングが、前記ムービングプレートが前記前方位置にあるときには相手コネクタに前記鉤部を乗り越えさせるための前記係止アームの撓みを許容し、前記ムービングプレートが該前方位置から外れた位置にあるときには該撓みを阻止する撓み制御部を有することを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
前記ハウジングが、前記前方位置にスライドしてきた前記ムービングプレートに係止するハウジング側係止部を備え、
前記ムービングプレートが、前記前方位置にスライドしてきたときに前記ハウジング側係止部に係止して該ムービングプレートの前記後方位置に向かうスライドを阻止し、嵌合してきた相手コネクタにより該ハウジング側係止部との係止が解除されるムービングプレート側係止部を備えたことを特徴とする請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記鉤部および前記ムービングプレート側係止部が、前記ムービングプレートが前記前方位置にあるときに、嵌合してきた相手コネクタにより該鉤部が押され前記係止アームが撓んで該相手コネクタに該鉤部を乗り越えさせた後に、該相手コネクタにより、該ムービングプレート側係止部の、前記ハウジング側係止部からの係止が解除される位置関係にあることを特徴とする請求項2に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感電防止構造を備えたコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
ハイブリッド自動車や電気自動車の中には、例えば瞬間的には1200Vにもなる高電圧を使用するものがある。このため、その高電圧が印加されるコネクタには、そのコネクタを操作する作業者が感電しないように感電防止構造が備えられている。
【0003】
ここで、特許文献1には、弾性変形部を有するムービングプレートにより、工具や作業者の指が雄端子に触れることを防止するコネクタが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014−530446号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような感電防止構造を備えたコネクタの場合、作業者等が万が一にも感電しないように、その感電防止構造を確実に機能させる高い信頼性が必要である。
【0006】
ここで、上掲の特許文献1に開示されているコネクタの場合、相手コネクタと嵌合している間、ムービングプレートのロック係止片が撓んだままであり、ロック係止片には常に応力が生じている。このため、コネクタが高温環境下にある場合、ロック係止片が元の状態に戻らず、感電防止の機能を果たさなくなるおそれがある。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑み、信頼性の高い感電防止構造を備えたコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成する本発明のコネクタは、
嵌合する相手コネクタに向かう前方に開口した中空部を有するハウジングと、
上記ハウジングに支持されて前方に向かって上記中空部内に突き出た端子と、
上記端子を挿通させた挿通孔を有し、上記中空部内に配置されて、端子の前端が挿通孔内に引き込まれた前方位置と、相手コネクタの端子との接続に必要な端子の長さ部分を、挿通孔よりも前方に突き出させた後方位置との間でスライドするムービングプレートとを備え、
上記ムービングプレートが、前方に向かって片持ち梁形状に延び、自由端である前端部に、相手コネクタに係止し、嵌合した相手コネクタの抜去にあたり、その係止により相手コネクタに引かれてムービングプレートを前方位置にスライドさせる鉤部が設けられた係止アームを有し、
上記ハウジングが、ムービングプレートが前方位置にあるときには相手コネクタに上記鉤部を乗り越えさせるための係止アームの撓みを許容し、ムービングプレートが前方位置から外れた位置にあるときにはその撓みを阻止する撓み制御部を有することを特徴とする。
【0009】
本発明のコネクタは、ハウジングが上記の撓み制御部を有するため、相手コネクタの抜去にあたり、ムービングプレートが確実に前方位置にスライドする。この前方位置は、端子の前端がムービングプレートの挿入孔内に引き込まれた位置である。したがって、相手コネクタが抜去されたときに、ムービングプレートによる確実な感電防止機能が発揮される。
【0010】
ここで、本発明のコネクタにおいて、上記ハウジングが、前方位置にスライドしてきたムービングプレートに係止するハウジング側係止部を備え、
上記ムービングプレートが、前方位置にスライドしてきたときに上記ハウジング側係止部に係止してムービングプレートの後方位置に向かうスライドを阻止し、嵌合してきた相手コネクタによりハウジング側係止部との係止が解除されるムービングプレート側係止部を備えることが好ましい。
【0011】
上記のハウジング側係止部およびムービングプレート側係止部を備えると、前方位置にまでスライドしてきたムービングプレートが、相手コネクタの嵌合まで確実に前方位置にとどまることになる。これにより、感電防止機能の一層の信頼性向上が図られる。
【0012】
さらに、本発明のコネクタにおいて、上記鉤部および上記ムービングプレート側係止部が、ムービングプレートが前方位置にあるときに、嵌合してきた相手コネクタにより鉤部が押され係止アームが撓んで相手コネクタに鉤部を乗り越えさせた後に、その相手コネクタにより、ムービングプレート側係止部の、ハウジング側係止部からの係止が解除される位置関係にあることが好ましい。
【0013】
上記鉤部および上記ムービングプレート側係止部を上記の位置関係に配置すると、鉤部と相手コネクタが一層確実に係止する。したがって、感電防止機能の信頼性が一層高められる。
【発明の効果】
【0014】
以上の本発明によれば、信頼性の高い感電防止構造を備えたコネクタが実現する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】互いに嵌合する第1コネクタと第2コネクタの外観を表わした斜視図である。
図2図1に示す第1コネクタを上下方向の中央を通る水平面で切断して、その断面を示した斜視図である。
図3図2の斜視図と同じ断面を示した平面図である。
図4】ムービングプレートの斜視図である。
図5図2と同様に断面した状態の、前側ハウジングを示した斜視図である。
図6】第1コネクタへの第2コネクタの嵌合時の動作を順を追って示した図である。
図7】第1コネクタからの第2コネクタの抜去時の動作を順を追って示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0017】
図1は、互いに嵌合する第1コネクタと第2コネクタの外観を表わした斜視図である。
【0018】
ここで、第1コネクタ1は、本発明の一実施形態としてのコネクタである。また、第2コネクタ2は、その第1コネクタ1に嵌合する相手コネクタである。この図1では、互いに嵌合する姿勢にある第1コネクタ1と第2コネクタ2が示されている。
【0019】
第1コネクタ1は、ハウジング10を備えている。このハウジング10は、嵌合する相手コネクタである第2コネクタ2に向かう前方(矢印Xの向き)に開口した中空部11を有する。この中空部11には、第2コネクタ2のハウジング80の一部が嵌入する。その嵌入により、第1コネクタ1と第2コネクタ2が互いに嵌合する。
【0020】
このハウジング10は、前側ハウジング10Aと後側ハウジング10Bとの組合せにより構成されている。前側ハウジング10Aの、後側ハウジング10B寄りであってフランジ14の後方には、外面を一周する防水用のシールリング40が備えられている。
【0021】
図2は、図1に示す第1コネクタを上下方向の中央を通る水平面で切断して、その断面を示した斜視図である。
【0022】
また、図3は、図2の斜視図と同じ断面を示した平面図である。この図3には、安全規格に準拠した人の指の形状を模擬したテストフィンガーも示されている。
【0023】
第1コネクタ1は、図1に示した中空部11を有するハウジング10を備えている。また、この第1コネクタ1は、2つのタブ端子20と、ムービングプレート30とを備えている。
【0024】
タブ端子20は、ハウジング10への圧入により、ハウジング10に支持されているが、他の手段で固定されてもよい。そして、そのタブ端子20は、前方(矢印Xの向き)に向かって中空部11内に突き出ている。このタブ端子20には、高電圧(例えば、瞬時的には1200V)が印加される。このため、このタブ端子20に触れて感電することがないよう、感電防止構造が必要となる。これらのタブ端子20は、本発明にいう端子の一例に相当する。
【0025】
また、ムービングプレート30は、中空部11に配置されていて、前方(矢印Xの向き)と後方(矢印Xとは逆向き)に往復スライド自在となっている。ここでは、前方(矢印Xの向き)に最大限スライドした位置を前方位置と称する。図2図3には、前方位置にスライドした状態のムービングプレート30が示されている。また、ここでは、ムービングプレート30が後方(矢印Xとは逆向き)に最大限スライドした位置を後方位置と称する。後述する図6(C)、図7(A)には後方位置にスライドした状態のムービングプレート30が示されている。
【0026】
図4は、ムービングプレートの斜視図である。
【0027】
以下では、図2図3に加え、さらに図4を参照しながら、ムービングプレート30について説明を続ける。
【0028】
このムービングプレート30には、2つの挿入孔31を有する。これら2つの挿入孔31には2枚のタブ端子20がそれぞれ挿通されている。
【0029】
この第1コネクタ1に第2コネクタ2(図1参照)が嵌合していないときは、ムービングプレート30は、図2図3に示す前方位置にとどまっている。そして、ムービングプレート30がその前方位置にあるとき、タブ端子20の前端21は、ムービングプレート30の挿通孔31内に引き込まれている。したがって、図3にテストフィンガー50を示すように、ハウジング10の中空部11内に指が入り込んでもその指がタブ端子20に触れることはない。これにより、感電が防止される。
【0030】
この感電防止構造を確実に機能させる必要がある。そのためには、第1コネクタ1から第2コネクタ2(図1参照)が抜去されるときには、ムービングプレート30を確実に前方位置にスライドさせることが重要である。これを実現するために、本実施形態では、以下の構造が採用されている。
【0031】
このムービングプレート30には、上下に1本ずつ、合わせて2本の係止アーム32が設けられている。これらの係止アーム32は、前方(矢印Xの向き)に向かって片持ち梁形状に延びている。そして、これらの係止アーム32の、自由端である前端部には、鉤部33が設けられている。この鉤部33は、第2コネクタ2(図1参照)に係止する。そして、その鉤部33は、嵌合した第2コネクタ2の抜去にあたり、第2コネクタ2との係止により第2コネクタ2に引かれて、ムービングプレート30を前方位置にスライドさせる。
【0032】
図5は、図2と同様に断面した状態の、前側ハウジングを示した斜視図である。
【0033】
この前側ハウジング10Aには、前後方向に延びる台部12が形成されている。図4に示すように、ムービングプレート30には、係止アーム32が上下に1本ずつ設けられている。台部12は、これら2本の係止アーム32のそれぞれに対応して、ハウジング10の中空部11内の上下に1本ずつ形成されている。そして、ムービングプレート30は、係止アーム32が台部12に接した状態でスライドする。ただし、ムービングプレート30が図2図3に示す前方位置にスライドすると、係止アーム32の、鉤部33が設けられている前端部分は、台部12から外れて、台部12よりも前方に突き出た状態となる。係止アーム32は、この前方に突き出た状態にあるとき、外側へ撓むことができる。すなわち、この突き出た状態にあるときに第2コネクタ2が嵌合してくると、第2コネクタ2は、係止アーム32を撓ませながら鉤部33を乗り越えることができる。また、嵌合した状態にある第2コネクタ2を抜去するときも同様である。すなわち、第2コネクタ2は、係止アーム32が突き出た状態にあるときに係止アーム32を撓ませながら鉤部33を乗り越え、これにより鉤部33との係止が解除される。ムービングプレート30が図2図3に示す前方位置から外れた位置にあるときは、この係止アーム32は、台部12によって撓みが阻止される。したがって、このムービングプレート30が前方位置から外れた位置にあるときには、鉤部33と第2コネクタ2との間の係止は解除不能な状態となる。この台部12は、本発明にいう撓み制御部の一例に相当する。
【0034】
図4に示すように、ムービングプレート30には、左右上下に合計4つのムービングプレート側係止部34が設けられている。一方、ハウジング10には、それら4つのムービングプレート側係止部34のそれぞれに対応する4つのハウジング側係止部13が設けられている。図2には、ハウジング側係止部13が1つだけ図示されている。
【0035】
ムービングプレート30が図2図3に示す前方位置にスライドすると、ムービングプレート側係止部34とハウジング側係止部13が互いに係止する。そして、この係止により、ムービングプレート30の、前方位置から後方位置に向かうスライドが強固に阻止される。このムービングプレート側係止部34は、嵌合してきた第2コネクタ2(図1参照)により、ハウジング側係止部13との係止が解除される。
【0036】
図6は、第1コネクタへの第2コネクタの嵌合時の動作を順を追って示した図である。
【0037】
この図6は、第1コネクタ1および第2コネクタ2を、図4に示す4つのムービングプレート側係止部34のうちの、下側の2つのムービングプレート側係止部34を横切る水平面で断面して示した平面図である。ここで、図6(A),(B),(C)は、それぞれ、嵌合直前の状態、嵌合途中の状態、および嵌合完了時の状態を示している。
【0038】
第1コネクタ1への第2コネクタ2の嵌合前においては、ムービングプレート30は前方位置にある。ムービングプレート30がこの前方位置にあるときは、図6(A)に示すように、ムービングプレート側係止部34がハウジング側係止部13に係止している。したがって、図3に示すように、ムービングプレート30が指などで押えられてもムービングプレート30はスライドせずに、前方位置にとどまる。ここで、第2コネクタ2のハウジング80には、ムービングプレート側係止部34と対応する位置に、係止解除突起81が設けられている。第2コネクタ2が嵌合してくると、その係止解除突起81がムービングプレート側係止部34に接触し、そのムービングプレート側係止部34を押し退けるようにして弾性的に移動させる。これにより、ムービングプレート側係止部34とハウジング側係止部13との係止が解除され、ムービングプレート30は、前方位置から後方位置に向かってスライド可能となる。
【0039】
図6(B)には、ムービングプレート側係止部34とハウジング側係止部13との係止が外れて、ムービングプレート30が後方位置に向かって少しだけスライドした状態が示されている。この図6(B)では、図6(A)と比べ、ムービングプレート側係止部34とハウジング側係止部13の位置が、嵌合方向について逆になっている。すなわち、係止が解除されている。
【0040】
第2コネクタ2を第1コネクタ1にさらに嵌合させると、最終的に、図6(C)に示す嵌合完了の状態となる。この状態では、ムービングプレート30は後方位置までスライドしている。この後方位置は、タブ端子20の、第2コネクタ2の雌型端子90との接続に必要な長さ部分を、ムービングプレート30の挿通孔31よりも前方に突き出させた位置である。ムービングプレート30が図6(C)に示す後方位置にあるときは、タブ端子20と第2コネクタ2の雌型端子90とが確実に接続されている。
【0041】
次に、嵌合している第2コネクタ2の抜去時の動作を説明する。
【0042】
図7は、第1コネクタからの第2コネクタの抜去時の動作を順を追って示した図である。
【0043】
この図7は、図4に示す上下2つの係止アーム32を通る垂直面で断面して示した側面図である。ここで、図7(A),(B),(C)には、それぞれ、第1コネクタ1に第2コネクタが完全に嵌合した状態、第2コネクタ2が抜去の向きに僅かに移動した状態、および、第2コネクタ2が第1コネクタ1から抜去される直前の状態が示されている。
【0044】
第2コネクタ2のハウジング80には、ムービングプレート30の係止アーム32の先端側に設けられている鉤部33と係止する係止突起82が設けられている。図7(A)に示す第2コネクタ2が第1コネクタ1に嵌合した状態にあるときは、係止突起82は、鉤部33よりも、係止アーム32の固定端側にある。
【0045】
前述の通り、ムービングプレート30の係止アーム32は、ハウジング10の台部12(図5を合わせて参照)に接しているので、外側へ撓むことができない状態となっている。このため、第2コネクタ2を第1コネクタ1から抜去の向きに引くと、係止突起82は、図7(B)に示すように、係止アーム32の先端の鉤部33に確実に係止される。したがって、第2コネクタ2を抜去の向きに引き抜くと、ムービングプレート30も確実に前方位置に向かって引き出される。図7(C)は、ムービングプレート30が前方位置まで引き出された直後の状態を示している。ムービングプレート30が図7(C)に示す前方位置にまで引き出されると、その図7(C)に示すように、係止アーム32の、鉤部33側の先端部分がハウジング10に設けられている台部32から外れる。係止アーム32がこの状態になると、係止アーム32の鉤部33が設けられている先端部分が外側へ撓むことができる。そこで、図7(C)に示した状態から第2コネクタ2を抜去の向きにさらに引き抜く。すると、第2コネクタ2の係止部82が、係止アーム32を外側へ撓ませながら、鉤部33を抜去の向きに乗り越える。第2コネクタ2は、これにより、第1コネクタ1から完全に抜去される。
【0046】
ここでは、図7(C)を参照して、第2コネクタ2の抜去時の最終段階について説明したが、次に、この図7(C)を参照して、第2コネクタ2の嵌合時の初期段階について説明する。
【0047】
ここで、図7(C)と図6(A)は、第1コネクタ1に対する第2コネクタ2が嵌合時の同じ初期段階を示している。すなわち、この段階では、図7(C)に示すように、第2コネクタ2の係止突起82は、係止アーム32の先端の鉤部33を嵌合の向きに既に乗り越えている。一方、この同じ段階において、図6(A)に示すように、第2コネクタ2の係止解除突起81は、嵌合の向きの手前にある。
【0048】
第2コネクタ2が未嵌合の状態から図7(C)に示す嵌合初期段階に進む。それまでの間に、第2コネクタ2の係止突起82は、ムービングプレート30の係止アーム32の先端部分を撓ませながら鉤部33を嵌合の向きに乗り越える。このとき、図6(A)に示すように、ムービングプレート側係止部34は、ハウジング側係止部13に未だ係止されたままの状態にある。すなわち、ムービングプレート30が前進位置にロックされた状態のまま、第2コネクタ2の係止突起82が鉤部33を嵌合の向きに乗り越えることになる。これにより、係止突起82が鉤部33を嵌合の向きに乗り越えずに、ムービングプレート30が第2コネクタ2に押されて後方位置に向かってスライドするという事態の発生が防止される。
【0049】
図7(C)と図6(A)を参照して、再度、抜去の最終段階について説明する。図7(C)と図6(A)は、嵌合時の同じ初期段階を示すとともに抜去時の同じ最終段階を示している。
【0050】
第2コネクタ2の抜去時には、第2コネクタ2の係止突起82が鉤部33に係止した状態(図7(C)に示す状態)にあるときに、図6(A)に示すように、ムービングプレート側係止部34がハウジング側係止部13に係止する。すなわち、ムービングプレート30が確実に前方位置に移動して後方位置に向かってスライドが不能となるまでは、係止突起82による鉤部33の係止は解除されない。ムービングプレート30が前方位置にロックされてスライドが不能となってから、係止突起82と鉤部33との係止が解除されて、第2コネクタ2が第1コネクタ1から完全に抜去される。
【0051】
このように、本実施形態によれば、第2コネクタ2の第1コネクタ1への嵌合時には、第2コネクタ2の係止突起82が鉤部33を確実に嵌合の向きに乗り越える。そして、ムービングプレート30が前方位置から後方位置に向かってスライドを開始すると台部12によって係止アーム32の撓みが阻止される。このため、第2コネクタ2の抜去時には、係止突起82と鉤部33との係止により、ムービングプレートが確実に前方位置にスライドし、その前方位置でロックされる。したがって、本実施形態によれば、信頼性の高い感電防止構造が実現する。
【符号の説明】
【0052】
1 第1コネクタ
2 第2コネクタ
10 ハウジング
10A 前側ハウジング
10B 後側ハウジング
11 中空部
12 台部(撓み制御部)
13 ハウジング側係止部
20 タブ端子
21 前端
30 ムービングプレート
31 挿入孔
32 係止アーム
33 鉤部
34 ムービングプレート側係止部
40 シールリング
50 テストフィンガー
80 ハウジング
81 係止解除突起
82 係止突起
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7