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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-8503(P2017-8503A)
(43)【公開日】2017年1月12日
(54)【発明の名称】土嚢用袋体
(51)【国際特許分類】
   E02B 3/04 20060101AFI20161216BHJP
【FI】
   E02B3/04 301
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-122330(P2015-122330)
(22)【出願日】2015年6月17日
(71)【出願人】
【識別番号】000201490
【氏名又は名称】前田工繊株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103805
【弁理士】
【氏名又は名称】白崎 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100126516
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 綽勝
(74)【代理人】
【識別番号】100132104
【弁理士】
【氏名又は名称】勝木 俊晴
(72)【発明者】
【氏名】天野 隆幸
【テーマコード(参考)】
2D118
【Fターム(参考)】
2D118BA07
2D118BA14
2D118GA42
2D118GA46
(57)【要約】
【課題】収容物を密閉収容可能であり、且つ土嚢用袋体が破損することを防止することができる土嚢用袋体を提供すること。
【解決手段】本発明は、土嚢に用いられる土嚢用袋体10であって、収容物を密閉収容するための内袋体1と、該内袋体1を収容する外袋体2と、を備え、内袋体1が、一対の樹脂フィルム同士の間にアルミニウムフィルムが配置された多層構造であり、内袋体1のJIS−K7127に準拠した引張り強度が、50.0N/15mm以上であり、JIS−K7127に準拠した引張り伸度が、400%以上であり、且つ、JIS−K7128−3−Aに準拠した引裂き強度が50.0N/mm以上である土嚢用袋体10である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
土嚢に用いられる土嚢用袋体であって、
収容物を密閉収容するための内袋体と、
該内袋体を収容する外袋体と、
を備え、
前記内袋体が、一対の樹脂フィルム同士の間にアルミニウムフィルムが配置された多層構造であり、
前記内袋体のJIS−K7127に準拠した引張り強度が、50.0N/15mm以上であり、JIS−K7127に準拠した引張り伸度が、400%以上であり、且つ、JIS−K7128−3−Aに準拠した引裂き強度が50.0N/mm以上である土嚢用袋体。
【請求項2】
前記内袋体の厚さが100μm以上であり、JIS−Z1707に準拠した突刺し強度が8.0N以上であり、JIS−Z1707に準拠したシール強度が40.0N/15mm以上である請求項1記載の土嚢用袋体。
【請求項3】
前記樹脂フィルムがポリエチレンフィルムであり、
該ポリエチレンフィルム同士の端部が互いに溶着されている請求項1又は2に記載の土嚢用袋体。
【請求項4】
前記樹脂フィルム同士の間に補強フィルムが更に配置されており、
該補強フィルムが、ポリエステルフィルム、ポリアミドフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリアクリロニトリルフィルム又はシリカフィルムである請求項1〜3のいずれか1項に記載の土嚢用袋体。
【請求項5】
前記樹脂フィルム同士の間に補強フィルムが更に配置されており、
該補強フィルムが、ポリエステルフィルム、ポリアミドフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリアクリロニトリルフィルム又はシリカフィルムを、ポリエチレンフィルムを介して複数積層した多層構造体である請求項1〜3のいずれか1項に記載の土嚢用袋体。
【請求項6】
前記外袋体が、ポリエステル又はポリプロピレンからなる織物、編物又は組物である請求項1〜5のいずれか1項に記載の土嚢用袋体。
【請求項7】
前記外袋体には、前記内袋体を固定する固定部が設けられている請求項1〜6のいずれか1項に記載の土嚢用袋体。
【請求項8】
前記固定部が粘着テープであり、
該固定部が縫着により前記外袋体に取り付けられ、貼着により前記内袋体に取り付けられている請求項7記載の土嚢用袋体。
【請求項9】
前記固定部が、前記内袋体の外側側面と前記外袋体の内側側面とを部分的に固定するものである請求項7又は8に記載の土嚢用袋体。
【請求項10】
前記内袋体が、前記固定部から着脱自在となっている請求項7〜9のいずれか1項に記載の土嚢用袋体。
【請求項11】
前記内袋体の容積が、前記外袋体の容積よりも大きくなっている請求項1〜10のいずれか1項に記載の土嚢用袋体。
【請求項12】
前記内袋体のJIS−K7129に準じて測定した透湿度が100g/m・24h以下であり、JIS−K7126に準じて測定した酸素透過度が500ml/m・24h・MPa以下である請求項1〜11いずれか1項に記載の土嚢用袋体。
【請求項13】
前記外袋体を吊り上げるための帯状の吊りベルトを更に備え、
該吊りベルトが、前記外袋体の側部に縫着されている請求項1〜12のいずれか1項に記載の土嚢用袋体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、土嚢に用いられる土嚢用袋体に関し、更に詳しくは、収容物を密閉収容可能であり、且つ土嚢用袋体が破損することを防止することができる土嚢用袋体に関する。
【背景技術】
【0002】
海岸、河川、湖、池等での土木工事に土嚢が各所で用いられている。ここで、土嚢は、土嚢用袋体の中に土砂や石材等が収容されたものである。
【0003】
このような土嚢用袋体としては、基布袋体に吊りベルトが縫着され、基布袋体の重ね合わせ部の縫着部分が、吊りベルトによって覆われている土木用土嚢(土嚢用袋体)が知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、基布袋体と、基布袋体に縫着された縫着部及び基布袋体に縫着されない非縫着部を有する吊りベルトと、基布袋体の側面の非縫着部に結束固定された結束ベルトと、を備え、結束ベルトが、隣の土嚢用袋体とも連結固定可能となっている土嚢用袋体が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
ところで、近年、土嚢用袋体は、上述した土木工事だけでなく、土砂や石材の他、汚染水、破砕片、汚染土壌、排便等の収容物を密閉して収容する用途にも用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−63767号公報
【特許文献2】特開2013−241816号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1及び2に記載の土嚢用袋体は、収容物を収容可能であるものの、密閉性が必ずしも十分とは言えず、収容物が漏れる恐れがある。特に、放射線を発する材料は、密閉性をより確実にしなければならない。
また、収容物として石材や破断片のように先が尖ったものを収容すると、それにより土嚢用袋体が破損する場合がある。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、収容物を極力密閉収容が可能であり、且つ土嚢用袋体が破損することを防止することができる土嚢用袋体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者等は、上記課題を解決するため鋭意検討したところ、外袋体と内袋体の二重構造とし、内袋体を、一対の樹脂フィルム同士の間にアルミニウムフィルムが配置された多層構造とし、引張り強度、引張り伸度及び引裂き強度を所定の範囲とすることにより、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0009】
本発明は、(1)土嚢に用いられる土嚢用袋体であって、収容物を密閉収容するための内袋体と、該内袋体を収容する外袋体と、を備え、内袋体が、一対の樹脂フィルム同士の間にアルミニウムフィルムが配置された多層構造であり、内袋体のJIS−K7127に準拠した引張り強度が、50.0N/15mm以上であり、JIS−K7127に準拠した引張り伸度が、400%以上であり、且つ、JIS−K7128−3−Aに準拠した引裂き強度が50.0N/mm以上である土嚢用袋体に存する。
【0010】
本発明は、(2)内袋体の厚さが100μm以上であり、JIS−Z1707に準拠した突刺し強度が8.0N以上であり、JIS−Z1707に準拠したシール強度が40.0N/15mm以上である上記(1)記載の土嚢用袋体に存する。
【0011】
本発明は、(3)樹脂フィルムがポリエチレンフィルムであり、該ポリエチレンフィルム同士の端部が互いに溶着されている上記(1)又は(2)に記載の土嚢用袋体に存する。
【0012】
本発明は、(4)樹脂フィルム同士の間に補強フィルムが更に配置されており、該補強フィルムが、ポリエステルフィルム、ポリアミドフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリアクリロニトリルフィルム又はシリカフィルムである上記(1)〜(3)のいずれか1つに記載の土嚢用袋体に存する。
【0013】
本発明は、(5)樹脂フィルム同士の間に補強フィルムが更に配置されており、該補強フィルムが、ポリエステルフィルム、ポリアミドフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリアクリロニトリルフィルム又はシリカフィルムを、ポリエチレンフィルムを介して複数積層した多層構造体である上記(1)〜(3)のいずれか1つに記載の土嚢用袋体に存する。
【0014】
本発明は、(6)外袋体が、ポリエステル又はポリプロピレンからなる織物、編物又は組物である上記(1)〜(5)のいずれか1つに記載の土嚢用袋体に存する。
【0015】
本発明は、(7)外袋体には、内袋体を固定する固定部が設けられている上記(1)〜(6)のいずれか1つに記載の土嚢用袋体に存する。
【0016】
本発明は、(8)固定部が粘着テープであり、該固定部が縫着により外袋体に取り付けられ、貼着により内袋体に取り付けられている上記(7)記載の土嚢用袋体に存する。
【0017】
本発明は、(9)固定部が、内袋体の外側側面と外袋体の内側側面とを部分的に固定するものである上記(7)又は(8)に記載の土嚢用袋体に存する。
【0018】
本発明は、(10)内袋体が、固定部から着脱自在となっている上記(7)〜(9)のいずれか1つに記載の土嚢用袋体に存する。
【0019】
本発明は、(11)内袋体の容積が、外袋体の容積よりも大きくなっている上記(1)〜(10)のいずれか1つに記載の土嚢用袋体に存する。
【0020】
本発明は、(12)内袋体のJIS−K7129に準じて測定した透湿度が100g/m・24h以下であり、JIS−K7126に準じて測定した酸素透過度が500ml/m・24h・MPa以下である上記(1)〜(11)のいずれか1つに記載の土嚢用袋体に存する。
【0021】
本発明は、(13)外袋体を吊り上げるための帯状の吊りベルトを更に備え、該吊りベルトが、外袋体の側部に縫着されている上記(1)〜(12)のいずれか1つに記載の土嚢用袋体に存する。
【発明の効果】
【0022】
本発明の土嚢用袋体においては、外袋体と内袋体の二重構造とすることにより、土嚢用袋体自体として、十分な強度を発揮することができる。これにより、大量の収容物を収容させることが可能となる。
また、内袋体を、一対の樹脂フィルム同士の間にアルミニウムフィルムが配置された多層構造とすることにより、収容物をより確実に密閉収容することができる。これにより、収容物の漏れ、及び、水分の内部への侵入等も防止することができる。
さらに、内袋体の引張り強度、引張り伸度及び引裂き強度を所定の範囲とすることにより、収容物を長期間収容した場合であっても土嚢用袋体が破損することを防止することができる。このとき、内袋体の厚さ、突刺し強度及びシール強度も所定の範囲とすることが好ましい。
【0023】
本発明の土嚢用袋体においては、樹脂フィルムがポリエチレンフィルムである場合、伸度が優れる。
また、ポリエチレンフィルム同士を互いに溶着させることにより、比較的簡単に内袋体を製造することができる。
【0024】
本発明の土嚢用袋体においては、樹脂フィルム同士の間に補強フィルムが更に配置されている場合、強度をより向上させることができる。このとき、補強フィルムが、ポリエステルフィルム、ポリアミドフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリアクリロニトリルフィルム又はシリカフィルムであることが好ましい。
また、補強フィルムが、これらのフィルムを、ポリエチレンフィルムを介して複数積層した多層構造体であると、強度をより一層向上させることができる。
【0025】
本発明の土嚢用袋体においては、外袋体が、ポリエステル又はポリプロピレンからなる織物、編物又は組物である場合、柔軟性を有し、内袋体からの応力を受けても、その力を分散させることができる。
【0026】
本発明の土嚢用袋体においては、外袋体には、内袋体を固定する固定部が設けられている場合、内袋体が外袋体に対してずれたり、互いに擦れ合うことを防止ですることができる。このとき、固定部が、内袋体の外側側面と外袋体の内側側面とを部分的に固定するものであると、内袋体には所定の自由度が確保されるので、取り扱い易い。
【0027】
本発明の土嚢用袋体において、固定部が粘着テープであり、該固定部が縫着により外袋体に取り付けられ、貼着により内袋体に取り付けられている場合、固定部を外袋体と内袋体とをワンタッチでしかも確実に固定できる。
また、内袋体が、固定部から着脱自在となっている場合、内袋体を適宜交換することが可能となる。
【0028】
本発明の土嚢用袋体においては、内袋体の容積が、外袋体の容積よりも大きくなっている場合、土嚢用袋体の形状が変わっても、内袋体を外袋体の形状に容易に追従させることができる。
また、土嚢用袋体を吊り上げた場合、外袋体と共に内袋体が引っ張られることを抑制できる(張力抑制作用)。
さらに、収容された収容物の充填圧が、内袋体を介して、外袋体に伝わることになるので、内袋体が破損することを防止できる(圧力抑制作用)。
【0029】
本発明の土嚢用袋体においては、内袋体の透湿度及び酸素透過度が所定の範囲内である場合、収容物から発せらせる悪臭が外部に漏れることを抑制することができる。
【0030】
本発明の土嚢用袋体においては、外袋体を吊り上げるための帯状の吊りベルトを更に備え、該吊りベルトが、外袋体の側面に縫着されている場合、吊りベルトを介して、土嚢用袋体をクレーン等で容易に運搬することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1図1は、本実施形態に係る土嚢用袋体の概略を示す斜視図である。
図2図2は、本実施形態に係る土嚢用袋体の内袋体の概略を示す斜視図である。
図3図3は、本実施形態に係る土嚢用袋体が変形したときの、内袋体と外袋体の状態を説明するための説明図である。
図4図4は、図1に示す土嚢用袋体の部分Pを示す拡大図である。
図5図5の(a)は、図1に示す土嚢用袋体を水平に切断した概略横断面図であり、(b)は、(a)の状態から、外袋体と内袋体との固定を解いた状態の図である。
図6図6の(a)は、本実施形態に係る土嚢用袋体の概略を示す底面図であり、(b)は、本実施形態に係る土嚢用袋体の概略を示す上面図である。
図7図7の(a)〜(d)は、本実施形態に係る土嚢用袋体への収容物の収容方法を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、必要に応じて図面を参照しつつ、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面中、同一要素には同一符号を付すこととし、重複する説明は省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。更に、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
【0033】
本実施形態に係る土嚢用袋体は、土嚢に用いられる。
具体的には、土嚢用袋体は、内部に収容物を収容した土嚢に用いられる。
ここで、収容物とは、土砂、石材、木材、汚染水、破砕片、汚染土壌、排便等を意味する。
【0034】
図1は、本実施形態に係る土嚢用袋体の概略を示す斜視図である。
図1に示すように、本実施形態に係る土嚢用袋体10は、収容物を直接、密閉収容するための内袋体1と、該内袋体1を収容する外袋体2と、内袋体1が収納された状態で外袋体2を吊り上げるための帯状の吊りベルト5とを備える。すなわち、内袋体1の外側に外袋体2が備わっている。
【0035】
土嚢用袋体10においては、内袋体1の口部(図示しない)を封止することにより、収容物が内袋体1内に密閉され、更にその外側にある外袋体2の口部8aを封止することにより、内袋体1が外袋体2内に完全に収容された状態となる。
したがって、土嚢用袋体10においては、内袋体1及び外袋体2によって2重に封止された状態で収容物が収容されることになる。なお、口部を封じる方法としては、特に限定されないが、内袋体1の口部については、貼着、結束バンド、ロープ等で縛る方法が挙げられ、外袋体2の口部8aについても、貼着、結束バンド、ロープ等で縛る方法が挙げられる。
【0036】
土嚢用袋体10は、上述したように、内袋体1と外袋体2との二重構造となっているので、土嚢用袋体としての強度が優れる。これにより、大量の収容物を収容させることが可能となる。
また、内袋体1が外部からの直接の衝撃を受けても外袋体2がいわゆるバリヤーとなり、破れることを防止でき、収容物の長期間収容が可能となる。
【0037】
土嚢用袋体10は、吊りベルト5を備えるので、その土嚢用袋体10の吊りベルト5を、クレーン等で吊り上げて運搬し、目標となる位置に配置施工することも可能である。
ここで、土嚢用袋体10においては、吊り上げる際に、外袋体2と内袋体1との間で、外袋体2が張力を負うことによって、内袋体1への張力負荷が抑制される(張力抑制作用)。
一方、収容された収容物の充填圧が、内袋体1を介して、外袋体2に伝わることになるので、外袋体2が、耐圧性を担保することにより、内袋体1が破損することを防止できる(圧力抑制作用)。
このように、土嚢用袋体10においては、張力抑制作用と圧力抑制作用が発揮される。
【0038】
次に、内袋体1、外袋体2及び吊りベルト5について、更に詳細に説明する。
(内袋体)
図2は、本実施形態に係る土嚢用袋体の内袋体の概略を示す斜視図である。
図2に示すように、内袋体1は、いわゆるマチ付きのガゼット形状となっている。すなわち、内袋体1は、4枚のフィルム体を、横の端部同士で溶着して縦シール部1bを形成し、その後、いわゆるマチを形成すると共に、向い合う下の端部同士を溶着して横シール部1aを形成することにより製造される。
【0039】
なお、内袋体1の内部に収容物が収容されると、収容物の充填圧が内袋体に均等にかかるため、収容物が収容された内袋体1は、略円柱形状となる。
また、内袋体1は、内部に収容物を収容した状態で図示しない口部が封止される。
【0040】
土嚢用袋体10において、内袋体1は、フィルム体から製造される。
そして、当該フィルム体は、一対の樹脂フィルム同士の間にアルミニウムフィルムが配置された多層構造となっている。
なお、樹脂フィルムとアルミニウムフィルムとは、公知の接着剤を介して一体化されている。
したがって、内袋体1を備える土嚢用袋体10は、収容物を確実に密閉して収容することができる。これにより、収容物の漏れ、及び、水分の内部への侵入を防止することができる。
【0041】
ここで、樹脂フィルムとしては、特に限定されないが、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエステルフィルム等が挙げられる。これらの中でも、伸度の観点から、樹脂フィルムは、ポリエチレンフィルムを採用することが好ましい。なお、ポリエチレンフィルムは融点が低いので、比較的簡単に互いを溶着させることができる。このため、例えば、上述したような方法で、ガゼット形状の内袋体1を簡単に製造することが可能となる。
また、アルミニウムフィルムとしては、アルミニウム蒸着フィルムやアルミ箔が挙げられる。これらの中でも、軽量化の観点から、アルミニウムフィルムは、アルミ箔を採用することが好ましい。
【0042】
フィルム体において、樹脂フィルム同士の間には補強フィルムが更に配置されていることが好ましい。これにより、強度をより向上させることができる。
なお、樹脂フィルムと補強フィルムとは、公知の接着剤を介して一体化されていてもよく、溶着により一体化されていてもよい。
また、補強フィルムとアルミニウムフィルムとは、公知の接着剤を介して一体化されている。
【0043】
ここで、補強フィルムとしては、特に限定されないが、例えば、ポリプロピレンフィルム、ポリエステルフィルム、ポリアミドフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリアクリロニトリルフィルム、シリカ蒸着フィルム等のフィルムが挙げられる。これらの中でも、強度、伸度及び軽量化のバランスの観点から、補強フィルムは、ポリアミドフィルム(例えば、ナイロンフィルム)であることが好ましい。
【0044】
したがって、フィルム体は、一対のポリエチレンフィルム同士の間に、アルミニウムフィルムが配置されていることが好ましく、一対のポリエチレンフィルムの間に、アルミニウムフィルム及び補強フィルムが配置されていることがより好ましく、一対のポリエチレンフィルムの間に、アルミニウムフィルム及びポリアミドフィルム(補強フィルム)が配置されていることが更に好ましい。
【0045】
例えば、図2の部分Qに示すように、内袋体1は、フィルム体から構成され、かかるフィルム体が内側から、ポリエチレンフィルムR1、アルミ箔(アルミニウムフィルムR2)、ポリアミドフィルムR3及びポリエチレンフィルムR4が積層された構造となっていることがより一層好ましい。なお、アルミ箔とポリアミドフィルムR3の配置位置は逆であってもよい。
この場合、アルミ箔の一方側に、強度に優れるポリアミドフィルムR3及びポリエチレンフィルムR4の多層フィルムが配置され、他方側に、伸度に優れるポリエチレンフィルムR1が配置されることになるので、内袋体1は、伸度及び強度が優れるものとなる。
【0046】
内袋体1は、JIS−K7127に準拠して測定した引張り強度が、50.0N/15mm以上である。引張り強度が50.0N/15mm未満であると、土嚢用袋体を吊り上げた場合に、外袋体2と共に内袋体1が引っ張られ、内袋体1が破れる恐れがある。
【0047】
内袋体1は、JIS−K7127に準拠して測定した引張り伸度が、400%以上である。伸度が400%未満であると、運搬等の際に、収容された収容物が動くことにより、内袋体1がそれによる変形に追従できず、破損する場合がある。
【0048】
内袋体1は、JIS−K7128−3−Aに準拠して測定した引裂き強度が50.0N/mm以上である。引裂き強度が50.0N/15mm未満であると、運搬等の際に、収容された収容物が動くことにより、突発的に大きな充填圧が内袋体にかかることで、内袋体が破損する場合がある。
【0049】
したがって、本実施形態に係る土嚢用袋体10は、内袋体の引張り強度、引張り伸度及び引裂き強度を所定の範囲とすることにより、収容物を長期間収容した場合であっても土嚢用袋体が破損することを防止することができる。
【0050】
また、内袋体1は、厚さが100μm以上であることが好ましい。厚さが100μm未満であると、厚さが上記範囲内にある場合と比較して、長期間使用した場合に、脆化により破損し易くなる欠点がある。
【0051】
内袋体1は、JIS−Z1707に準拠して測定した突刺し強度が8.0N以上であることが好ましい。突刺し強度が8.0N未満であると、突刺し強度が上記範囲内にある場合と比較して、収容物として石材や破断片のように先が尖ったものを収容すると、それにより内袋体1が破損する場合がある。
【0052】
内袋体1は、JIS−Z1707に準拠して測定したシール強度が40.0N/15mm以上であることが好ましい。シール強度が40.0N/15mm未満であると、長期間使用した場合に、フィルムが剥離する場合がある。
【0053】
内袋体1は、JIS−K7129に準拠して測定した透湿度が100g/m・24h以下であり、20g/m・24h以下であることが好ましく、5g/m・24h以下であることがより好ましい。透湿度が100g/m・24hを超えると、透湿度が上記範囲内にある場合と比較して、特に流動性のある収容物の漏れや外部からの水分の浸入を確実に防止することができない場合がある。
【0054】
内袋体1は、JIS−K6404−7のB法の防水試験において、0.3MPaの圧をかけても漏れないものであることが好ましい。この場合、収容物の漏れ及び水分の浸入をより確実に防止することができる。
【0055】
内袋体1は、JIS−K7126に準拠して測定した酸素透過度が500ml/m・24h・MPa以下であることが好ましく、100ml/m・24h・MPa以下であることがより好ましく、25ml/m・24h・MPa以下であることが更に好ましい。酸素透過度が500ml/m・24h・MPaを超えると、酸素透過度が上記範囲内にある場合と比較して、収容物の悪臭が外部に漏れる恐れがある。
【0056】
図3は、本実施形態に係る土嚢用袋体が変形したときの、内袋体と外袋体の状態を説明するための説明図である。
図3に示すように、土嚢用袋体10において、内袋体1は、外袋体2の内部で側面が襞状になって収容されている。すなわち、側面の襞を伸ばしたときの内袋体1の容積は、外袋体2の容積よりも大きくなっている。このため、土嚢用袋体10の形状が変わっても、内袋体1を外袋体2の形状に容易に追従させることができる(矢印方向の変化)。
また、一旦、追従させた後は、襞の摩擦力により、保形性が確保される。
なお、本明細書において、「外袋体の容積」とは、外袋体2の口部8aを封止したときの内部の最大容積を意味し、「内袋体の容積」とは、内袋体1を外袋体2から取り出し、襞を伸ばした状態で内袋体1の口部を封止したときの内部の最大容積を意味する。
【0057】
このとき、内袋体1の容積V1は、取り扱い性の観点から、外袋体2の容積V2の1倍より大きく、4.0倍以下であることが好ましい。すなわち、下記式を満たすことが好ましい。
1<V1/V2≦4.0
【0058】
(外袋体)
図1に戻り、本実施形態に係る土嚢用袋体10において、外袋体2は、内部に上述した内袋体1を収容した状態で口部8aが封止される。
また、外袋体2は、外側側面に吊りベルト5が部分的に縫着されており、内側側面に、内袋体を固定するための固定部3が設けられている。すなわち、外袋体2は、固定部3を介して、内袋体1を固定可能となっている。なお、固定部3の詳細については、後述する。
【0059】
ここで、外袋体2の素材としては、特に限定されないが、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアミド、アラミド等が用いられる。これらの中でも、外袋体2の素材は、強度及びリサイクルのし易さの観点から、ポリエステル又はポリプロピレンであることが好ましい。
【0060】
本実施形態に係る土嚢用袋体10において、外袋体2の組織は、織物、編物、不織布又は組物である。このため、外袋体2は柔軟性を有するので、外部からの衝撃があっても吸収することができる。
特に、外袋体が、ポリエステル又はポリプロピレンからなる織物、編物又は組物であることがより好ましい。この場合、所定の強度を有すると共に、柔軟性を有するので、内袋体1からの応力を受けても、その力を分散させることができる。
【0061】
外袋体2においては、反射剤又は紫外線吸収剤等の添加剤が含まれていることが好ましい。かかる添加剤は、素材に練りこまれていてもよく、外袋体2を形成後、付与してもよい。この場合、紫外線による外袋体2の劣化を抑制することができる。なお、反射剤としては、カーボンブラック、酸化鉄、酸化クロム、酸化鉛、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化チタン、炭酸カルシウム、硫酸バリウム等が挙げられ、紫外線吸収剤としては、フェニルサリシレート系、ヒドロキシベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系等の吸収剤が挙げられる。
【0062】
外袋体2において、JIS−L1096に準じて測定した引張強度が240N/cm以上であることが好ましい。内袋体1の外側に、引張強度が240N/cm以上の外袋体を備えることにより、土嚢用袋体10自体として、十分な強度を発揮することができる。これにより、大量の収容物を収容させた土嚢用袋体を、クレーン等で吊り上げて運搬することが可能となる。また、土嚢用袋体10の強度が外袋体2によって担保されるので、内袋体1は、強度がさほどなくても、収容物を密閉収容可能な材質のものを広い範囲で選択使用できる。
【0063】
図4は、図1に示す土嚢用袋体の部分Pを示す拡大図である。
図4に示すように、吊りベルト5は、外袋体2の外側側面の縫着部2bに部分的に縫着されており、被覆材7は、縫着部2bを十分覆うように、外袋体2の外側側面に縫着されている。
なお、本明細書において、外袋体2の部分的に縫着される個所を縫着部とする。また、被覆材7は、矩形状であり、被覆材7の両端部が吊りベルト5の両側に沿うようにして縫われる。
【0064】
被覆材7の素材としては、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアミド、アラミド等が用いられる。これらの中でも、被覆材2の素材は、強度及びリサイクルのし易さの観点から、ポリエステル又はポリプロピレンであることが好ましい。
また、被覆材7の素材は、外袋体2の素材と同じであることがより好ましい。
【0065】
被覆材7においては、反射剤又は紫外線吸収剤等の添加剤が含まれていることが好ましい。かかる添加剤は、素材に練りこまれていてもよく、被覆材7を形成後、付与してもよい。この場合、紫外線による被覆材7の劣化を抑制することができる。なお、反射剤及び紫外線吸収剤は上述したものと同じものを適宜用いることができる。
【0066】
土嚢用袋体10においては、被覆材7を備えることにより、縫着部2b、特に縫着に用いられる糸の紫外線による劣化を防止できる。
また、縫着部2bと外袋体2との固定が補強される。
【0067】
図1に戻り、固定部3は、内袋体1の外側側面と外袋体2の内側側面とを部分的に固定するものである。
図5の(a)は、図1に示す土嚢用袋体を水平に切断した概略横断面図であり、(b)は、(a)の状態から、外袋体と内袋体との固定を解いた状態の図である。
図5の(a)に示すように、土嚢用袋体10においては、外袋体2の内側側面と、内袋体1の外側側面とが、固定部3を介して周方向に対し部分的に固定されている。このため、内袋体1が外袋体2に対してずれ、互いに擦れ合うことを防止できる。すなわち、固定部3が、内袋体1の外側側面と外袋体2の内側側面とを部分的に固定しているので、固定部3以外の部分において、内袋体1には所定の動きの自由度がある。
また、固定部3は、外袋体2の内側側面の四方に等間隔で固定されていることにより、吊りベルト5を介して、土嚢用袋体10をクレーン等で吊り上げた場合、内袋体1がバランスよく外袋体2に支持されることになる。
【0068】
ここで、本実施形態に係る土嚢用袋体10においては、外袋体2が、織物、編物、不織布又は組物であるので、固定部3と縫着により固定することが可能となっている。縫着により固定することで、固定部3が外袋体2に確実に固定される。
【0069】
一方、本実施形態に係る土嚢用袋体10においては、内袋体1が、フィルム体であるので、固定部3と貼着により固定することも可能となっている。
このとき、内袋体1は、固定部3に対して着脱自在となっていることが好ましい。この場合、図5の(b)に示すように、固定部3に貼着した内袋体1を一度剥がすことができ、その後、所望の位置に貼着しなおすことができる。
【0070】
固定部3の材質としては、特に限定されないが、市販の縫製可能な粘着テープや繊維片に粘着剤を塗布したもの等が挙げられる。これらの中でも固定部3が粘着テープであることが好ましい。
したがって、上述したように、固定部3を縫着により外袋体2に取り付け、且つ貼着により内袋体1に容易に取り付けることが好ましい。この場合、固定部3を外袋体2に確実に固定できると共に、固定部3と内袋体1とを容易に固定できる。また、一方で内袋体1の着脱も容易に行うことができる。
【0071】
(吊りベルト)
図6の(a)は、本実施形態に係る土嚢用袋体の概略を示す底面図であり、(b)は、本実施形態に係る土嚢用袋体の概略を示す上面図である。
図6の(a)に示すように、土嚢用袋体10において、吊りベルト5は、外袋体2の底部2aで直交し、外袋体2の側面では底部2aから立ち上がるように底部2aと垂直に取り付けられる。このため、収容物が投入された状態で吊り上げた場合、外袋体2は周囲から内方へ向けて吊りベルト5による押圧作用が有効に働くので、土嚢用袋体10を吊り上げたときの安定性が増し、より安全且つ確実に運搬することが可能となる。なお、外袋体2の底部2aにおいては、底部2aの縫着部2bにて、吊りベルト5が縫着されている。
【0072】
そして、図6の(b)に示すように、外袋体1の上面では、隣の吊りベルト5同士が繋がっている。すなわち、実質的には1本の吊りベルト5が外袋体2に取り付けられている。これにより、土嚢用袋体10を吊り上げる際には、外袋体2と吊りベルト5との縫着強度に依存することなく、外袋体2全体が吊りベルト5によって持ち上げられることになる。
【0073】
吊りベルト5の上端部には、取っ手部5aが形成されている。なお、取っ手部5aは、土嚢用袋体10をクレーン等で吊り上げる場合に、クレーンのフックに引っ掛ける部位である。なお、取っ手部5aは、強度をより向上させる観点から、吊りベルト5を2重に折り畳んだ構成となっていることが好ましい。また、クレーン車のフックをかける位置を間違えないようにするため、取っ手部5aは、外袋体2の色とは異なる色とすることが好ましい。さらに、取っ手部5aには、補強のためのカバーが設けられていてもよく、そのカバーに外袋体2の色とは異なる色が施されていてもよい。
【0074】
ここで、吊りベルト5の素材としては、特に限定されないが、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアミド等が用いられる。これらの中でも、吊りベルト5の材質は、耐久性及びリサイクルのし易さの観点から、ポリプロピレンであることが好ましい。
【0075】
吊りベルト5においては、反射剤又は紫外線吸収剤等の添加剤が含まれていることが好ましい。かかる添加剤は、素材に練りこまれていてもよく、吊りベルト5を形成後、付与してもよい。この場合、紫外線による吊りベルト5の劣化を抑制することができる。なお、反射剤及び紫外線吸収剤は上述したものと同じものを適宜用いることができる。
【0076】
吊りベルト5において、JIS−L1096に準じた引張強度が30kN/本以上であることが好ましい。
引張り強度が30kN/本未満であると、引張り強度が上記範囲内にある場合と比較して、収容物が収容された土嚢用袋体を吊り上げる際に、吊りベルトが破損する恐れがある。
【0077】
土嚢用袋体10においては、外袋体2の外側側面に対して、四方に吊りベルト5が取り付けられている。すなわち、外袋体2の外側側面には4本の吊りベルト5が取り付けられているので、いわゆる4本吊りとなっている。このため、土嚢用袋体10においては、吊りベルト5を介して、土嚢用袋体10をクレーン等で吊り上げた場合、4本の吊りベルト5に略均等に荷重が加わるので、土嚢用袋体10の破損を抑制することができる。
【0078】
次に、本実施形態に係る土嚢用袋体10への収容物の収容方法について説明する。
図7の(a)〜(d)は、本実施形態に係る土嚢用袋体への収容物の収容方法を説明するための説明図である。
まず、図7の(a)に示すように、外袋体2及び内袋体1を開口した状態で設置する。このとき、土嚢用袋体10は、図示しない枠等を用いて固定しておくことが望ましい。
次に、図7の(b)に示すように、内袋体1の内部に収容物を投入する。
そして、図7の(c)に示すように、内袋体1の開口を閉じると共に、口部8bを封止することにより、収容物を内袋体1内に密閉する。
次に、図7の(d)に示すように、外袋体2の開口を閉じると共に、口部8aを封止することにより、内袋体1が外袋体2内に収容される。
そして、外袋体2に取り付けられた吊りベルト5を、図示しないクレーン等で吊り上げて運搬し、目的の位置に配置施工される。
【0079】
上記土嚢用袋体10への収容物の収容方法によれば、大量の収容物を確実に密閉収容することができる。
【0080】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。
【0081】
例えば、本実施形態に係る土嚢用袋体10において、内袋体1は、マチ付きのガゼット形状となっているが、これに限定されない。例えば、内袋体1の形状が、円柱状、封筒状、四角柱状、楕円柱状等であってもよい。
また、固定部3の形状も矩形状に限定されない。
【0082】
本実施形態に係る土嚢用袋体10においては、図2に示すように、補強フィルムが、ポリアミドフィルムR3の単層構造からなっているが、補強フィルムは、ポリプロピレンフィルム、ポリエステルフィルム、ポリアミドフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリアクリロニトリルフィルム、シリカ蒸着フィルム等のフィルムが複数積層された多層構造であってもよい。なお、使用する複数のフィルムは、同一種類であっても、異なる種類であってもよい。
また、補強フィルムは、これらのフィルムが、ポリエチレンフィルムを介して複数積層された多層構造であってもよい。例えば、補強フィルムは、ポリアミドフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリアミドフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリアミドフィルムの順序で5層積層された構造であってもよい。
この場合、土嚢用袋体10は、より強度が優れるものとなる。
【0083】
本実施形態に係る土嚢用袋体10においては、外袋体2に、内袋体1を固定する固定部3が設けられているが、固定部3は、必ずしも設ける必要はない。
また、土嚢用袋体10においては、外袋体2の内側側面と、内袋体1の外側側面とが、固定部3を介して周方向に対し部分的に固定されているが、外袋体2と内袋体1とを固定する位置は特に限定されない。
さらに、固定部3と外袋体2とが縫着され、固定部3と内袋体1とが貼着されているが、固定方法はこれらに限定されない。
【0084】
本実施形態に係る土嚢用袋体10は、内袋体1が収納された外袋体2を吊り上げるための帯状の吊りベルト5を備えているが、吊りベルト5の形状は帯状に限定されない。
また、土嚢用袋体10は、吊りベルト5を有していなくてもよい。
【0085】
本実施形態に係る土嚢用袋体10においては、1本の吊りベルト5をループ状にして外袋体2に取り付けているが、複数本の吊りベルトを用いてもよい。
また、吊りベルト5は、外袋体2に部分的に縫着されているが、側面全体に縫着されていてもよい。なお、外袋体2の底部2aについても同様である。
さらに、吊りベルト5は、外袋体1の底部2aで直交し、底部2aから立ち上がるように、外袋体2の側面に沿って取り付けられているが、この構造に限定されない。
さらにまた、土嚢用袋体10においては、4本吊りとなっているが、2本又は3本吊りであってもよく、5本吊り以上であってもよい。
【0086】
本実施形態に係る土嚢用袋体10においては、内袋体1に逆止弁が設けられていてもよい。この場合、内袋体1の内部にガスが発生した場合は、これを当該逆止弁から外部に放出することにより、土嚢用袋体10が破裂することを防止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0087】
本発明に係る土嚢用袋体10は、大量の収容物を収容し、所定の位置に運搬、施工するために用いられる。本発明に係る土嚢用袋体によれば、収容物を密閉収容可能であり、且つ土嚢用袋体が破損することを防止することができる。
【符号の説明】
【0088】
1・・・内袋体
1a・・・横シール部
1b・・・縦シール部
10・・・土嚢用袋体
2・・・外袋体
2a・・・底部
2b・・・縫着部
3・・・固定部
5・・・吊りベルト
5a・・・取っ手部
7・・・被覆材
8a,8b・・・口部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7