特開2017-85979(P2017-85979A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特開2017085979-ロータリ耕耘装置 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-85979(P2017-85979A)
(43)【公開日】2017年5月25日
(54)【発明の名称】ロータリ耕耘装置
(51)【国際特許分類】
   A01B 33/12 20060101AFI20170421BHJP
【FI】
   A01B33/12 A
   A01B33/12 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-220841(P2015-220841)
(22)【出願日】2015年11月11日
(71)【出願人】
【識別番号】000171746
【氏名又は名称】株式会社ササキコーポレーション
(72)【発明者】
【氏名】蒲田 義明
(72)【発明者】
【氏名】木村 飛鳥
【テーマコード(参考)】
2B033
【Fターム(参考)】
2B033AA05
2B033AB01
2B033AB11
2B033AC05
2B033DB02
2B033DB32
2B033DB44
2B033DB47
2B033ED09
(57)【要約】
【課題】簡易な構造でロータリカバーへの土の付着を防止できる構造を備えたロータリ耕耘装置を提供する。
【解決手段】ロータリカバー7は、前方端をフレーム2に対し上下回動自在に軸支され、後端側をスプリング76によって下方に付勢されていて、ロータリカバー7のロータリ耕耘体6側の面側に土付着防止体である弾性板70が貼り付けられていて、弾性板70は、前端と後方側がフレーム2側に取付けられ、中間部がロータリカバー7に取付けられていて、各取付部間は、ロータリ耕耘体6側に円弧状に膨らませて取り付けられていることを特徴としたロータリ耕耘装置による。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トラクタに装着する装着部を設けたフレームと、
該フレームに回転自在に設けられたロータリ耕耘体と、
該ロータリ耕耘体の上方に位置して設けられたロータリカバーと、
前記ロータリ耕耘体の後方に上下回動自在に軸支された整地板と、
を備えたロータリ耕耘装置において、
前記ロータリカバーは、前方端をフレームに対し上下回動自在に軸支され、後端側をスプリングによって下方に付勢されており、ロータリカバーのロータリ耕耘体側の面側に土付着防止体である弾性板が貼り付けられていて、
弾性板は、前端と後方側がフレームに取付けられ、中間部がロータリカバーに取付けられていて、
各取付部間は、ロータリ耕耘体側に円弧状に膨らませて取り付けられていることを特徴としたロータリ耕耘装置。
【請求項2】
弾性板の後方側は、フレームに取付けられているとともに、整地板側に片持ち状に延設されていることを特徴とした請求項1に記載のロータリ耕耘装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トラクタに装着されて使用される農作業機であり、複数の耕耘爪を設けたロータリ耕耘体を回転させ耕耘するロータリ耕耘装置に関する。詳細には、ロータリ耕耘体の上方を覆うロータリカバー内面への耕耘土の付着を防止する構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ロータリ耕耘装置は、複数の耕耘爪を設けた左右方向に長いロータリ耕耘軸を左右端部を回転自在にフレームに保持させて回転して耕耘を行う。この際、耕耘爪が跳ね上げる耕耘土が上方に飛散しないようにロータリ耕耘体の上方部を覆うロータリカバーが設けられる。跳ね上げられた耕耘土の一部はロータリカバー内周面に付着して肥大していき、やがて回転する耕耘爪の回転抵抗になり、動力ロスを発生させる。このため、ロータリカバー内周面への土の付着と肥大を防止するため、内周面に弾性材等を設けた構成のものが知られている。例えば、実開平2−44901号公報や特開2010−284106号公報が公知となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平2−44901号公報
【特許文献2】特開2010−284106号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の「ロータリ耕耘機のカバー装置」は、「主カバー20の内面側に可撓性カバー体19を設けると共に、後部カバー21の前記横軸回りの回動に連動してカバー体19を伸張弛緩自在とすべく、カバー体19と後部カバー21とを連動機構51で連結してなることを特徴とするロータリ耕耘機のカバー装置」である。特許文献1の場合、後部カバー21の回動に連動するように連動機構51で連結してカバー体19を伸張弛緩して土の附着を防止するものであるが、構造が複雑であり、カバー体19を長さ方向に繰り返し伸張弛緩させるため耐久性に問題がある。
【0005】
特許文献2の「農作業機」は、「耕耘体の上方部を覆う弾性板と、・・・弾性板の下面を部分的に支持する支持体とを備え、前記弾性板の少なくとも一部が、前記支持体に対して移動可能となっている」農作業機であり、石等の異物の噛み込みによる弾性板の破損を抑制するもので、弾性板が支持体上を前後方向にスライド移動可能となっている構成のものである。
【0006】
本発明の目的は、簡易な構造でロータリカバーへの土の付着を防止できる構造を備えたロータリ耕耘装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1記載のロータリ耕耘装置は、トラクタに装着する装着部を設けたフレームと、該フレームに回転自在に設けられたロータリ耕耘体と、該ロータリ耕耘体の上方に位置して設けられたロータリカバーと、前記ロータリ耕耘体の後方に上下回動自在に軸支された整地板とを備えたロータリ耕耘装置において、
前記ロータリカバーは、前方端をフレームに対し上下回動自在に軸支され、後端側をスプリングによって下方に付勢されており、ロータリカバーのロータリ耕耘体側の面側に土付着防止体である弾性板が貼り付けられていて、弾性板は、前端と後方側がフレームに取付けられ、中間部がロータリカバーに取付けられていて、各取付部間は、ロータリ耕耘体側に円弧状に膨らませて取り付けられていることを特徴としたロータリ耕耘装置である。
【0008】
また、請求項2記載のロータリ耕耘装置は、弾性板の後方側は、フレームに取付けられているとともに、整地板側に片持ち状に延設されていることを特徴とした請求項1に記載のロータリ耕耘装置である。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、ロータリカバーの前方端をフレームに対し上下回動自在に軸支し、後端側をスプリングによって下方に付勢している構造によって、ロータリ耕耘体が回転する耕耘作業中には、耕耘土がロータリカバーに飛散してロータリカバーが常に振動して耕耘土の附着を抑制する。また、弾性板が円弧状に膨らみを持たせて取付けられているため、弾性板自体も振動や変形が発生して土の附着が抑制される効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施例のロータリ耕耘装置の進行方向左前方からの斜視図である。
図2】本発明の実施例のロータリ耕耘装置の進行方向左側面図である。
図3】本発明の実施例のロータリ耕耘装置の進行方向左側面断面図である。
図4】本発明の実施例のロータリ耕耘装置の作業時の進行方向左側面断面図である。
図5】本発明の実施例のロータリ耕耘装置の作業時の進行方向左側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施の一形態を、図1乃至図5に基づいて説明する。図1は本発明の実施例のロータリ耕耘装置の進行方向左前方からの斜視図、図2は本発明の実施例のロータリ耕耘装置の進行方向左側面図、図3は本発明の実施例のロータリ耕耘装置の進行方向左側面断面図、図4は本発明の実施例のロータリ耕耘装置の作業時の進行方向左側面断面図、図5は本発明の実施例のロータリ耕耘装置の作業時の進行方向左側面断面図でありロータリカバー後端側が上方側に回動した状態である。走行作業車両であるトラクタ(図示せず)の後部には昇降リンクである3点リンク機構が設けられていて、ロータリ耕耘装置のフレーム2前方部の装着部8と連結され、ロータリ耕耘装置は昇降自在に連結されるとともに、トラクタ側から出力される動力によって駆動される。説明においては、図2に示す左側を進行方向前方側、右側を進行方向の後方側として説明する。
【0012】
装着部8は、ロータリ耕耘装置の前方中央部に設けてあり、上部中央のトップリンクピン81とその下方左右に位置する一対のロアリンクピン80により構成されていて、トラクタ側の3点リンク機構(図示せず)のトップリンクとロアリンクにそれぞれ連結されトラクタに装着される。
【0013】
前方装着部8の中央には、入力ケース1が設けられ、前方に向け入力軸10が突設されている。入力軸10は、トラクタの出力軸(図示せず)とユニバーサルジョイント等で連結されトラクタ側の動力が入力される。入力ケース1上面には、トップマスト23が固着され、上端部には前記トップリンクピン81が備えられる。
【0014】
入力ケース1から左右側方にそれぞれ一体的に突出してフレーム2の一部を構成する丸パイプで構成されたパイプフレーム21が設けられ、左右一方側(図1においては右側)のパイプフレーム21の突出端部から下方に向かって延設された上下方向の伝動ケース5と、左右他方側のパイプフレーム21の突出端部から下方に向かって延設された上下方向のサポートフレーム22とパイプフレーム21前方部に平行に設けたフロントフレーム24によって全体のフレーム部を構成していて、左右方向のロータ軸60を回転自在に、伝動ケース5下端部とサポートフレーム22の下端部との間に架設支持している。
【0015】
ロータ軸60には、放射状に一定間隔を設けて耕耘爪61が多数取り付けられ、ロータリ耕耘体6を構成している。ロータリ耕耘体6上方部はロータリカバー7により覆われていて、ロータリ耕耘体6によって耕耘された土壌の上方への飛散を防ぐとともに砕土や整地の性能を補助する。ロータリ耕耘体6後方部にはフレーム2側に前方端部を上下方向回動自在に連結された整地板4が位置し、ロータリ耕耘体6により耕耘された土壌の飛散を受け止めるとともに整地板4後方部によって整地が行われる。
【0016】
前記左右一対のロワリンクピン80の外側側方部には、それぞれフロントフレーム24に保持されたゲージホイール20が設けられている。ゲージホイール20は、耕耘する地表面に接地して回転するホイール部の高さを調整してロータリ耕耘体6の耕耘深さを調整する。高さ調整は、ホイールを保持する上下方向の平板棒状のアームをフロントフレーム24に固着させたホルダー部を上下摺動させ、ホルダー部とアームに設けた複数の固定孔を選択して固定ピンを差し込んで高さを調整する。
【0017】
入力ケース1の入力軸10から入力された動力は、入力ケース1に内装されるギヤによって減速され、左右一方側の側方に突設したパイプフレーム21(図1においては右側)内を通る出力軸11により伝動ケース5内に伝達される。伝動ケース5内の出力軸11端部には出力スプロケット(図示せず)が固着され、伝動ケース5下端部に支持されたロータ軸60の端部のロータ軸スプロケット(図示せず)との間に巻着されたローラチェーン(図示せず)により動力が伝達されロータ軸60が回転駆動される。
【0018】
伝動ケース5のロータ軸60の支持部は、ベアリングにより回転自在に支持されていて、伝動ケース5内に貯留された潤滑オイルにより潤滑されている。伝動ケース5の上部にはオイル給油口が設けられ、給油された潤滑オイルによりローラチェーンやベアリングが潤滑される。
【0019】
ロータ軸60のサポートフレーム3側の支持部は、サポートフレーム3にボルトおよびナット等で取り付けられたベアリングリテーナ(図示せず)を介してサポートフレーム3に保持されたベアリングにより回転自在に支持されている。
【0020】
図4は、ロータリ耕耘体6部の進行方向左側方より見た実施例の作業状態時の断面図であり、整地板4が耕耘土によって上方に回動した状態を示している。また、図3は、非作業時の進行方向左側方より見た断面図であり、整地板4が下方に垂れ下がった状態である。本例においては、ロータリ耕耘体6は未耕地である前方側がダウンカットされるように図4の状態で左回転となっている。ロータリ耕耘体6の上方部には、耕耘爪61の回転外周端に沿うように離間してロータリカバー7が設けられている。ロータリカバー7は、薄い鋼板で成型され、前端部をフレーム2に上下回動自在に蝶番75を介して連結されている。また、後端側の回動端部は、スプリング76によってロータリ耕耘体6側に付勢されている。ロータリカバー7は、伝動ケース5側とサポートフレーム3側に架け渡された前方側フレーム25と蝶番75で取付けられ、同じく架け渡された後方側フレーム26にスプリング76で付勢され保持される。スプリング76は、後方側フレーム26に立設させて設けたスプリングガイドピン77にガイドされるとともにロータリカバー7に設けたガイド孔によってロータリカバー7の回動をガイドする。この構造によって、ロータリ耕耘体6側から飛散される耕耘土の衝突によって全体が振動しやすい構造となっている。
【0021】
ロータリカバー7の後方側には、フレーム2側に左右水平方向に設けた整地板回動軸41によって前方端部を上下方向回動自在に連結された整地板4が位置し、ロータリ耕耘体6により耕耘された土壌の飛散を受け止めるとともに整地板4後方部によって整地が行われる。整地板4の外側上面とこれの前方側のフレーム2側のパイプフレーム21とにコンプレッションロッド40が架け渡させていて、コンプレッションロッド40に設けたスプリングの押圧力を調整することによって整地板4の押圧力を調整可能である。
【0022】
ロータリカバー7のロータリ耕耘体6側の面には、土付着防止用の弾性板70が貼付けされている。弾性板70は、鉄板等より比較的土が付着しにくい弾性変形可能な合成ゴム等の板材で構成される。前端をロータリカバー7の前端側を保持している前方側フレーム25に弾性板前方取付ネジ71によって固定保持される。そして、後端側は、後方側フレーム26に弾性板後方取付ネジ72によって固定保持されている。また、前端側と後端側との中間部は、ロータリカバー7に弾性板中間取付ネジ73によって複数個所固定保持される。尚、前記各取付ネジ間はロータリ耕耘体側に弾性板70を円弧状に膨らませて取り付けられる。このため、ロータリ耕耘体6側から飛散される耕耘土の衝突によって膨らみ部が変形や振動をおこして耕耘土の附着が抑制される。また、弾性板70の中間部が保持されるロータリカバー7自体も振動できる構造であるため、相乗効果によってさらに耕耘土が付着しにくい構造となっている。
【0023】
図5は、ロータリカバー7がスプリング76の付勢力に抗して上方に回動した状態を示していて、ロータリ耕耘体6との隙間が大きくなっている。このため、ロータリカバー7とロータリ耕耘体6との間に石や異物が噛みこもうとしたときに、ロータリカバー7が逃げて噛み込みを防止可能である。
【0024】
弾性板70の弾性板後方取付ネジ72によって固定保持されている後方側は、整地板4側に片持ち状に延設されていて弾性板延長部74を形成している。弾性板延長部74によって、整地板4に付着しようとする耕耘土が弾性板70の弾性板延長部74によって付着せず、弾性板延長部74に付着した耕耘土は片持ち状に保持された弾性板延長部74が振動又は変形することによって払い落とされる。整地板4後端側の弾性板70がとどかない部分は、耕耘土が滑るように作用するため耕耘土の附着は起こらない。
【0025】
この簡易な構造の為、作業時は、ロータリ耕耘体6で耕耘された土壌がその上部に位置するロータリカバー7や後方の整地板4に飛散するが、振動するロータリカバー7や弾性板70によって付着が阻止され、付着した土壌によりロータリ耕耘体6の回転抵抗が増加して動力ロスを発生させることがない。
【産業上の利用可能性】
【0026】
この発明は、トラクタ等の走行機後方に装着されて耕耘作業を行うロータリ耕耘装置に適用できる。
【符号の説明】
【0027】
1 入力ケース
10 入力軸
11 出力軸
2 フレーム
20 ゲージホイール
21 パイプフレーム
22 サポートフレーム
23 トップマスト
24 フロントフレーム
25 前方側フレーム
26 後方側フレーム
4 整地板
40 コンプレッションロッド
41 整地板回動軸
5 伝動ケース
6 ロータリ耕耘体
60 ロータ軸
61 耕耘爪
7 ロータリカバー
70 弾性板
71 弾性板前方取付ネジ
72 弾性板後方取付ネジ
73 弾性板中間取付ネジ
74 弾性板延長部
75 蝶番
76 スプリング
77 スプリングガイドピン
8 装着部
80 ロアリンクピン
81 トップリンクピン
図1
図2
図3
図4
図5