特開2017-86618(P2017-86618A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特開2017086618-装身具 図000003
  • 特開2017086618-装身具 図000004
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-86618(P2017-86618A)
(43)【公開日】2017年5月25日
(54)【発明の名称】装身具
(51)【国際特許分類】
   A44C 25/00 20060101AFI20170421BHJP
【FI】
   A44C25/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-222531(P2015-222531)
(22)【出願日】2015年11月12日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (1)展示を行った日:平成27年9月2日; 展示会の名称:第80回東京インターナショナル・ギフトショー 秋2015; 展示を行った場所:東京国際展示場「東京ビッグサイト」(東京都江東区有明3−11−1) (2)展示を行った日:平成27年9月30日; 展示会の名称:ファッションワールド東京2015 第2回MEN’S TOKYO; 展示を行った場所:東京国際展示場「東京ビッグサイト」(東京都江東区有明3−11−1)
(71)【出願人】
【識別番号】514165761
【氏名又は名称】株式会社 FACTORY KURA
(74)【代理人】
【識別番号】100126675
【弁理士】
【氏名又は名称】福本 将彦
(72)【発明者】
【氏名】太田 綾乃
【テーマコード(参考)】
3B114
【Fターム(参考)】
3B114CC14
(57)【要約】
【課題】 磁力により衣服に止まるようにするとともに、衣服への取付状態を解除する操作を容易なものとする。
【解決手段】 装身具102は、衣服の服地1の表と裏とから磁力で互いに引き合うことにより、衣服に止まるようにした一組の部材3,5を有している。部材3,5は、カップ状の筒体4,6と、それらに収容される円板状の永久磁石7,9とを、それぞれ有している。部材3には、装飾品11が取り付けられている。部材3は、筒体4の外周面から外方に突出するように形成されたレバー13を、さらに有し、部材5は、筒体6の底面に連結部15を介して連結された円盤体14を、さらに有している。レバー13と円盤体14とを、指で押圧することにより、梃子の原理により、磁石7と磁石9とを互いの間で傾斜させ、吸引力を弱めて装身具102を外すことができる。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一組の磁石をそれぞれ有し、衣服の服地の表と裏とから磁力により互いに引き合うことにより、前記衣服に止まるようにした一組の部材と、
前記一組の部材のうちの一方に取り付けられた装飾品と、を備え、
前記一組の部材は、前記一組の磁石を相対的に傾けることにより、引き合う状態を解除するための一組の張出部であって、前記一組の部材が前記服地を挟んで引き合って止まるときの当該服地から離れた位置において、前記一組の磁石の周縁外方にそれぞれ張り出す一組の張出部を有する、装身具。
【請求項2】
前記一組の部材のうちの他方が有する前記張出部は、当該他方が有する前記磁石の全周にわたって、前記周縁外方に張り出している、請求項1に記載の装身具。
【請求項3】
前記一組の部材のうちの前記他方が有する前記張出部は、当該他方が有する前記磁石を中心として円形状に、前記周縁外方に張り出している、請求項2に記載の装身具。
【請求項4】
前記一組の部材のうちの前記他方が有する前記張出部は、水平面上に前記装身具を載置したときの支持台として機能する形状である、請求項2又は3に記載の装身具。
【請求項5】
前記一組の部材のうちの前記他方には前記張出部を含めて、当該他方を前記衣服の服地の表に止めたときに当該衣服の外側から目視し得る装飾が、施されている請求項2から4のいずれかに記載の装身具。
【請求項6】
前記一組の部材のうちの前記一方が有する前記張出部は、前記装飾品と調和する美観を具備する請求項1から5のいずれかに記載の装身具。
【請求項7】
前記一組の部材を連結する鎖又は紐体を、さらに備える請求項1から6のいずれかに記載の装身具。
【請求項8】
前記一組の磁石はネオジム磁石である、請求項1から7のいずれかに記載の装身具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣服に付して使用するブローチ等の装身具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のブローチ等の装身具は、装身具の本体である装飾品の裏側にピンが突出しており、これを衣服に突き刺したり、襟のボタン穴に通したりした後、裏側からピンを留め具にて捕捉することにより、装飾品が衣服に止まるようになっていた。ピンで衣服を刺すことから衣服を傷める恐れがあるのに加え、留め具は頂部のつまみを指で引くことにより解除できることが使用者に直ちには分かりづらく、ネジであるかのように誤って回転させて解除しようとする使用者が多かった、という問題点があった。
【0003】
かかる問題点を解決しようとする技術として、特許文献1に開示される装身具が知られている。この装身具は、衣服の服地の表と裏とから磁力で引き合うことにより、衣服に止まるようにした一組の部材の一方に、装飾品を取り付けた点に特徴を有する。しかし、この装身具は、衣服に取り付けた状態を解除するために、強力な磁力で引き合う一組の部材を、互いに引き離すことが容易でない、という問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−327917号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたもので、磁力により衣服に止まるようにするとともに、衣服への取付状態を解除する操作を容易なものとした装身具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決し上記目的を達成するために、本発明のうち第1の態様によるものは、装身具であって、一組の磁石をそれぞれ有し、衣服の服地の表と裏とから磁力により互いに引き合うことにより、前記衣服に止まるようにした一組の部材と、前記一組の部材のうちの一方に取り付けられた装飾品と、を備えている。前記一組の部材は、前記一組の磁石を相対的に傾けることにより、引き合う状態を解除するための一組の張出部であって、前記一組の部材が前記服地を挟んで引き合って止まるときの当該服地から離れた位置において、前記一組の磁石の周縁外方にそれぞれ張り出す一組の張出部を有している。
【0007】
この構成によれば、一組の部材が衣服の服地の表と裏とから磁力で互いに引き合うことにより、装身具が衣服に装着されているときに、一方の手の指又は両方の手の指を使って、一組の張出部に、互いに近づくように又は離れるように力を加えることにより、一組の磁石を互いの間で傾けることができる。それにより、一組の磁石の間に作用する磁気的吸引力は急激に弱まるので、一組の部材の引き合う状態が解除される。このように、一組の張出部に指圧を加えることにより、装身具を衣服から容易に取り外すことが可能となる。
【0008】
本発明のうち第2の態様によるものは、第1の態様による装身具であって、前記一組の部材のうちの他方が有する前記張出部は、当該他方が有する前記磁石の全周にわたって、前記周縁外方に張り出している。
【0009】
この構成によれば、装身具を衣服に取り付けたときの一組の部材の姿勢によらず、一組の張出部に指圧を加えることにより、装身具を衣服から容易に取り外すことが可能となる。
【0010】
本発明のうち第3の態様によるものは、第2の態様による装身具であって、前記一組の部材のうちの前記他方が有する前記張出部は、当該他方が有する前記磁石を中心として円形状に、前記周縁外方に張り出している。
【0011】
この構成によれば、装身具を衣服に取り付けたときの一組の張出部の姿勢によらず、一組の張出部に同じ大きさの指圧を加えることにより、装身具を衣服から容易に取り外すことが可能となる。
【0012】
本発明のうち第4の態様によるものは、第2又は第3の態様による装身具であって、前記一組の部材のうちの前記他方が有する前記張出部は、水平面上に前記装身具を載置したときの支持台として機能する形状である。
【0013】
この構成によれば、他方の部材が有する張出部を支持台として、装身具を机上等に載置することが可能となる。
【0014】
本発明のうち第5の態様によるものは、第2から第4のいずれかの態様による装身具であって、前記一組の部材のうちの前記他方には前記張出部を含めて、当該他方を前記衣服の服地の表に止めたときに当該衣服の外側から目視し得る装飾が、施されている。
【0015】
この構成によれば、他方部材を衣服の服地の表に止めて、装身具として使用することも可能となる。すなわち装身具のリバーシブルな使用が可能となる。
【0016】
本発明のうち第6の態様によるものは、第1から第5のいずれかの態様による装身具であって、前記一組の部材のうちの前記一方が有する前記張出部は、前記装飾品と調和する美観を具備する。
【0017】
この構成によれば、一方部材が有する張出部も装飾を構成し、装飾品の美観を損なわない。
【0018】
本発明のうち第7の態様によるものは、第1から第6のいずれかの態様による装身具であって、前記一組の部材を連結する鎖又は紐体を、さらに備える。
【0019】
この構成によれば、一組の部材が互いに分散してしまうことを防ぐことができる。
【0020】
本発明のうち第8の態様によるものは、第1から第7のいずれかの態様による装身具であって、前記一組の磁石はネオジム磁石である。
【0021】
この構成によれば、一組の磁石の磁気的吸引力が強力であるので、装身具が厚手のスーツへの装着にも適したものとなる。
【発明の効果】
【0022】
以上のように本発明によれば、磁力により衣服に止まるようにするとともに、衣服への取付状態を解除する操作を容易なものとした装身具が実現する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の一実施の形態による装身具を例示する図であり、(a)は外観図、(b)は使用状態の断面図である。
図2】本発明の別の実施の形態による装身具を例示する図であり、(a)は外観図、(b)は使用状態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は、本発明の一実施の形態による装身具を例示する図であり、図1(a)は外観を例示する斜視図、図1(b)は使用形態を例示する断面図である。この装身具101は、衣服の服地1の表と裏とから磁力で互いに引き合うことにより、衣服に止まるようにした一組の部材3,5を有している。部材3,5は、一例として、一方端が開口したカップ状の筒体4,6と、これらの筒体4,6に収容された円板状の永久磁石7,9と、をそれぞれ有している。永久磁石7,9は、筒体4,6から脱落しないように、例えば接着材により筒体4,6に接着されている。永久磁石7,9は、一例としてネオジム磁石である。ネオジム磁石の磁気的吸引力は強力であるので、衣服がスーツのような厚手の服地1からなるものであっても、部材3,5は互いに引き合い、服地1に吸着させることができる。
【0025】
部材3には装飾品11が、例えば接着剤により取り付けられている。すなわち装身具101は、部材3を服地1の人目に触れる表側に、部材5を人目に触れない裏側に止めることにより、使用に供される。図1に例示する装飾品11は、花びらをあしらったものであり、例えば布あるいは樹脂製である。部材3,5は、互いに分散しないように、例えば装飾性を具備する鎖10あるいは紐体により、互いに連結されている。鎖10等は、例えば、装身具101を衣服の胸の部分に装着するときには、衣服の襟の端縁12を跨ぐようにし、装身具101を衣服のポケットに装着するときには、ポケットの開口端縁等を跨ぐようにすることにより、装身具101を衣服へ装着することができる。
【0026】
図1(b)に例示するように、磁気的吸引力により服地1に吸着している部材3,5を、互いに引き離して装身具101を衣服から取り外す操作を容易なものとするために、部材3はレバー13をさらに有し、部材5は円盤体14をさらに有している。レバー13は、部材3の筒体4の外周面から外方に突出するように形成されている。レバー13は、装飾品11の美観を損なわないように、装飾品11と調和した美観を具備するのが好ましい。図1の例では、花びらをあしらった装飾品11と調和するように、レバー13は葉をあしらっている。円盤体14は、部材5の筒体6の底面に、連結部15を介して連結されている。なお、筒体4,6、レバー13、円盤体14、及び連結部15は、一例として金属製である。
【0027】
レバー13及び円盤体14はいずれも、磁石7,9を互いに傾ける梃子として機能するように、対応する磁石7,9の周縁外方に張り出した部材であり、レバー13は磁石7の周縁の一部の外方に張り出し、円盤体14は磁石9の周縁全体の外方に張り出している。円盤体14と磁石9とは、磁石7,9が吸引し合う方向に、互いにずれて配置されているが、円盤体14が磁石9の周縁外方に張り出していることに変わりはない。ここで、磁石7,9の周縁とは、磁石7,9が互いに引き合う方向からみたときに、磁石7,9の輪郭をなす周縁であり、図1に例示するように磁石7,9が円板状である場合には、その側面である。レバー13を、図1(b)に矢印で示すように、服地1に近づく方向、又は服地1から遠ざかる方向に指で押圧し、別の指で円盤体14を、レバー13を押圧する方向とは反対の方向に押圧することにより、梃子の原理により、磁石7と磁石9の一方を他方に対して傾斜させることができる。図1(b)には、レバー13を服地1から遠ざかる方向に押圧したときの、筒体4及びレバー13の姿勢を、二点鎖線で示している。このように、磁石7と磁石9とが互いに傾斜した姿勢を取ると、磁石7と磁石9の間の距離が長くなるため、それらの間に作用する磁気的吸引力は著しく減少する。その結果、吸引力が不足し、部材3,5は、服地1への吸着状態を脱し、服地1から外れる。このように、部材3がレバー13を有し、部材5が円盤体14を有するので、衣服に装着した装身具101を、衣服から容易に取り外すことができる。図1(b)に例示するように、レバー13及び円盤体14は、服地1からある程度の間隔を有するように形成されている。このため、レバー13及び円盤体14は、互いに近づく方向に指圧を加えることができ、また、服地1とそれぞれとの間に指を挿入して互いに離れる方向に指圧を加えることも可能である。
【0028】
円盤体14は、磁石9の周縁の全周にわたって、周縁外方に張り出しているので、部材3と部材5の姿勢によらずに、レバー13と円盤体14とに指圧を加えることができる。すなわち、装身具101を衣服に装着するときに、部材3と部材5の姿勢を選ぶ必要がない。特に、円盤体14の外周端縁は、磁石9を中心とした円形であり、磁石9からの距離が、周方向の位置にかかわりなく一定であるので、部材3と部材5の姿勢にかかわりなく、レバー13と円盤体14とに一定の力を付与することにより、装身具101を、衣服から容易に取り外すことができる。
【0029】
円盤体14は、底面が平坦であるので、装身具101の支持台としても機能する。すなわち、部材3,5を互いに吸着させた状態で、円盤体14を支持台として、装身具101を平坦な机上等の上に載置して、保管したりあるいは室内装飾として使用したりすることができる。
【0030】
円盤体14の底面には、刻印あるいは印刷などにより、装飾が施されていてもよい。そうすることにより、衣服の種類やデザイン、あるいは装身具101を着用する場面などに応じて、装身具101を表裏リバーシブルに使用することが可能となる。
【0031】
円盤体14の底面は、平坦でなくとも、例えば底面が凹面状であるなど、支持台として機能する形状として、様々な形状を採り得ることは自明である。また、円盤体14に代えて、輪郭形状が楕円あるいは異形である張出部を用いてもよい。また、レバー13と同様に、磁石9の周縁の一部の外方に張り出すレバーを、円盤体14に代えて用いてもよい。さらに、レバー13は、磁石7の周縁に沿った複数箇所に設けられても良く、円盤体14と同様に、磁石7の周縁の全周にわたって、周縁外方に張り出す張出部に代えてもよい。
【0032】
図2は、本発明の別の実施の形態による装身具を例示する図であり、図2(a)は外観を例示する斜視図、図2(b)は使用形態を例示する断面図である。図2において、図1の装身具101と対応する部材には、同一の符号を付して、その詳細な説明を略する。この装身具102では、装飾品11が布製であり、永久磁石7を保持する筒体4が、装飾品11の外側表面をなす袋状の布に包み込まれている。筒体4が外部から見えないので、装飾品11の装飾的効果がより高まる。装身具101と同様に、筒体4の外周面から外方に突出するように形成されたレバー13は、その付け根部分が、装飾品11の外側表面をなす袋状の布を貫通することにより、末端を含む大半部が、装飾品11の外側に露出している。これにより、柔らかい装身具11に力を加えることなく、レバー13にのみ指の力を加えることが可能となっている。装飾品11の外側表面をなす袋状の布の内側には、布が詰まっており、かつ適宜に縫い込まれることにより、装飾品11の形は保持され、かつ装飾品11の中での筒体4の位置も、おおよそ一定に保持される。図2の例では、装飾品11は薔薇の花びらをあしらっており、例えば金属製であるレバー13は、これに調和するように葉をあしらっている。装身具102においいても、装身具101と同様に、様々な変形形態があり得る。例えば、円盤体14の底面に装飾を施すことができ、それにより装身具102を表裏リバーシブルに使用することが可能となる。
【符号の説明】
【0033】
1 服地; 3,5 部材; 4,6 筒体; 7,9 永久磁石; 10 鎖; 11 装飾品; 12 端縁; 13 レバー(張出部); 14 円盤体(張出部); 15 連結部;101 装身具
図1
図2