(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-86818(P2017-86818A)
(43)【公開日】2017年5月25日
(54)【発明の名称】組み立て式収納庫
(51)【国際特許分類】
A47B 47/04 20060101AFI20170421BHJP
F16B 12/14 20060101ALI20170421BHJP
F16B 12/12 20060101ALI20170421BHJP
【FI】
A47B47/04 B
F16B12/14
F16B12/12 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-225089(P2015-225089)
(22)【出願日】2015年11月17日
(71)【出願人】
【識別番号】514256597
【氏名又は名称】宮地 伸治
(74)【代理人】
【識別番号】100095636
【弁理士】
【氏名又は名称】早崎 修
(72)【発明者】
【氏名】宮地 伸治
【テーマコード(参考)】
3B054
3J024
【Fターム(参考)】
3B054AA01
3B054BA05
3B054BA10
3B054BB04
3B054BB09
3B054BC03
3B054BC07
3B054BC11
3J024AA13
3J024AA45
3J024BB03
3J024CA02
3J024CA03
(57)【要約】
【課題】背板を構成する化粧板間の継ぎ目が収納庫の正面に表れず、継ぎ目に沿った化粧板の境界部を仕切板若しくは棚板へ固定する組み立て式収納庫を提供する。
【解決手段】仕切板若しくは棚板の背面で連結される少なくとも一組の一方の背板分割板を、その裏当支持枠を仕切板若しくは棚板の背面に鋲着若しくはネジ止めする第1連結具により、仕切板若しくは棚板に固定すると共に、一組の他方の背板分割板を、仕切板若しくは棚板の背面側で隣接する一組の背板分割板の裏当支持枠間を鋲着若しくはネジ止めする第2連結具により、一組の一方の背板分割板を介して仕切板若しくは棚板に固定する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下に対向して配置される天板及び底板の左右両側に起立する一対の側板と、天板及び底板の背面側に起立する背板と、一対の側板の間に天板及び底板と平行に掛け渡される棚板と、一対の側板と平行に一対の側板の間に起立する仕切板とを、相互に組み付けて正面側が開口する直方体状に組み立てられ、建物の収納庫用空間に収容される組み立て式収納庫であって、
前記背板は、それぞれ、長方形の化粧板と、前記化粧板の背面側の輪郭に沿って固定される木製の裏当支持枠とからなる複数の背板分割板を同一平面上に連結して構成され、
前記仕切板若しくは前記棚板の背面で連結される少なくとも一組の一方の背板分割板は、その裏当支持枠と化粧板を前記仕切板若しくは前記棚板の背面に鋲着若しくはネジ止めする第1連結具により、前記仕切板若しくは前記棚板に固定されると共に、
前記一組の他方の背板分割板は、前記前記一組の背板分割板の裏当支持枠間を鋲着若しくはネジ止めする第2連結具により、前記一組の一方の背板分割板を介して前記仕切板若しくは前記棚板に固定されることを特徴とする組み立て式収納庫。
【請求項2】
第1連結具により鋲着若しくはネジ止めする前記仕切板若しくは前記棚板の背面に表れる木製固定部の前記一組の背板分割板の隣接方向に沿った厚みtが、
第1連結具を鋲着若しくはネジ止め可能な木製固定部の前記隣接方向の最小幅をδminとして、
δmin<t<2δminである場合に、
前記一対の一方の背板分割板を、δminからtの間の前記隣接方向幅δで、他方の背板分割板を、前記隣接方向幅t−δで、それぞれ前記木製固定部の背面に重ねることを特徴とする請求項1に記載の組み立て式収納庫。
【請求項3】
前記一組の背板分割板は、左右方向を短手方向として仕切板の背面で連結され、前記仕切板により仕切られる押入室とクローゼットの背面が、前記一組の一方と他方の背板分割板により覆われることを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれか1項に記載の組み立て式収納庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般住宅とする建物の建築時に収納庫用として形成された空間へ収容する組み立て式収納庫に関し、更に詳しくは、複数の背板分割板を連結して収納庫の背面を覆う背板を構成する組み立て式収納庫に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、工事現場での手間を削減し迅速な施工を目的として、建物の建築時には押入やクローゼット等の収納庫を収容する収納庫用空間のみを施工しておき、現場でユニット化した複数の長方形の板材を相互に連結して組み立てた収納庫を、収納庫用空間へ収容する組み立て式収納庫が知られている。一般にユニット化した板材としてベニヤなどの化粧板が用いられているが、量産して安価なものとするために、その長方形の輪郭は画一的なものとなっているので、収納庫の内奥壁面となる背板は、1枚の化粧板ではまかなえず、複数枚の化粧板を同一鉛直面上に沿って連結して背板としている(特許文献1参照)。
【0003】
図6に示すように、組み立て式収納庫である特許文献1に記載の組み立て式押入100は、縦長長方形の2枚の化粧板101、101を同一面上に連続させ、その境界に沿って配置される水平断面がH型のジョイナー102に、
図7に示すように、2枚の化粧板101、101の各境界部101a、101aを収容して、背板を構成する2枚の化粧板101、101を連結している。これにより、押入室に収納する物が背板を構成する化粧板101に正面から当接して化粧板に外力が加わったり、湿気などで湾曲方向の力が加わっても、各境界部101a、101aの近傍がジョイナー102によって直線状に矯正されているので、化粧板101が湾曲したり、2枚の化粧板101、101の境界に隙間が生じることがない。
【0004】
この組み立て式押入100では、背板の正面側(押入室側)にジョイナー102が突出して表れるので、このようなジョイナー102を用いずに、2枚の化粧板111、111を連結して背板とした組み立て式収納ボックス110も知られている(特許文献2)。
【0005】
この収納ボックス110は、
図8に示すように、2枚の化粧板111、111の境界に沿って背面側から接着テープ112を貼り付けて2枚の化粧板111、111を仮止めし、仮止めした2枚の化粧板111、111の周囲を収納ボックス110の天板113、底板114及び左右の側板115、116の背面に固着し、その後、接着テープ112の上から補強板117を貼り付けて、2枚の化粧板111、111の境界を補強している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−5749号公報
【特許文献2】特開2009−189462号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に示される組み立て式押入100は、2枚の化粧板101、101の境界がジョイナー102で覆われるので、押入の正面から見た美感を損なうことがないが、水平断面がH型のジョイナー102を用意する必要があり、コスト上昇の原因となる。
【0008】
また、2枚の化粧板101、101の背面側に化粧板101を水平方向に補強する裏当支持枠103が固定されるが、裏当支持枠103側に鉛直方向に配置されるジョイナー102との干渉を避けるための凹溝を形成する必要があると共に、ジョイナー102で先に化粧板101、101を連結して大形化した背板としなければ、天板、底板及び左右の側板の背面側に固定することができず、一体化した大型の背板を組み付ける組み立て作業は極めて困難なものとなっていた。
【0009】
また、特許文献2に示される2枚の化粧板111、111を連結した背板は、押入の背板として用いた場合に、押入室内の正面側に2枚の化粧板111、111の継ぎ目が表れ、隙間なく継ぎ目が目立たないように連結する作業は、熟練した職人による手間を要する作業であり、どのように隙間なく連結しても直線状の継ぎ目は残り、美感を損なうものとなっていた。
【0010】
更に、化粧板111、111の継ぎ目を補強する補強板117は、化粧板111自体が薄肉であるために補強板113を化粧板111にネジ止めや釘打ちで固定することができず、接着剤等で固定する他なかった。従って、補強板113で化粧板113を平面状態に維持することが困難であり、吸湿性の高い合板等からなる化粧板113は経年変化で湾曲して、継ぎ目に隙間が生じて更に美感を損なうものとなっていた。
【0011】
本発明は、このような従来の問題点を考慮してなされたものであり、ジョイナーなどの別部品を用いず、化粧板間の継ぎ目が収納庫の正面側に表れない組み立て式収納庫を提供することを目的とする。
【0012】
また、継ぎ目に沿った化粧板の境界部を、鋲着やネジ止めする連結具を用いて十分な厚みのない仕切板若しくは棚板の背面に固定可能な組み立て式収納庫を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述の目的を達成するため、請求項1の組み立て式収納庫は、上下に対向して配置される天板及び底板の左右両側に起立する一対の側板と、天板及び底板の背面側に起立する背板と、一対の側板の間に天板及び底板と平行に掛け渡される棚板と、一対の側板と平行に一対の側板の間に起立する仕切板とを、相互に組み付けて正面側が開口する直方体状に組み立てられ、建物の収納庫用空間に収容される組み立て式収納庫であって、前記背板は、それぞれ、長方形の化粧板と、前記化粧板の背面側の輪郭に沿って固定される木製の裏当支持枠とからなる複数の背板分割板を同一平面上に連結して構成され、前記仕切板若しくは前記棚板の背面で連結される少なくとも一組の一方の背板分割板は、その裏当支持枠と化粧板を前記仕切板若しくは前記棚板の背面に鋲着若しくはネジ止めする第1連結具により、前記仕切板若しくは前記棚板に固定されると共に、前記一組の他方の背板分割板は、前記一組の背板分割板の裏当支持枠間を鋲着若しくはネジ止めする第2連結具により、前記一組の一方の背板分割板を介して前記仕切板若しくは前記棚板に固定されることを特徴とする。
【0014】
一組の背板分割板は、仕切板若しくは棚板の背面で連結されるので、背板分割板間の継ぎ目が収納庫の正面側に表れない。
【0015】
仕切板若しくは棚板の背面で連結される一組の背板分割板は、それぞれ裏当支持枠を正面側に表れない第1連結具と第2連結具で鋲着若しくはネジ止めして仕切板若しくは棚板に固定するので、連結する継ぎ目で湾曲することない。また、各背板分割板の化粧板は、その背面側の輪郭に沿って固定される裏当支持枠により平面を維持するように補強される。
【0016】
請求項2の組み立て式収納庫は、第1連結具により鋲着若しくはネジ止めする仕切板若しくは棚板の背面に表れる木製固定部の前記一組の背板分割板の隣接方向に沿った厚みtが、
第1連結具を鋲着若しくはネジ止め可能な木製固定部の前記隣接方向の最小幅をδminとして、
δmin<t<2δminである場合に、
前記一対の一方の背板分割板を、δminからtの間の前記隣接方向幅δで、他方の背板分割板を、前記隣接方向幅t−δで、それぞれ前記木製固定部の背面に重ねることを特徴とする。
【0017】
仕切板若しくは棚板の木製固定部の隣接方向の厚みtが、仕切板若しくは棚板の背面で連結する2枚の背板分割板を固定するのに十分な隣接方向幅2δmin未満である場合に、第1連結具を鋲着若しくはネジ止め可能な木製固定部の隣接方向の最小幅をδminより幅広の隣接方向幅δで一組の一方の背板分割板を木製固定部に重ね、一方の背板分割板が重ねられない残りの木製固定部の背面に一組の他方の背板分割板を重ねる。従って、一組の背板分割板間の境界は、木製固定部に覆われ、正面側に表れない。
【0018】
一組の一方の背板分割板は、第1連結具により木製固定部に固定され、他方の背板分割板は、第2連結具により、木製固定部に固定された一方の背板分割板に固定される。
【0019】
請求項3の組み立て式収納庫は、前記一組の背板分割板は、左右方向を短手方向として仕切板の背面で連結され、前記仕切板により仕切られる押入室とクローゼットの背面が、前記一組の一方と他方の背板分割板により覆われることを特徴とする。
【0020】
仕切板により押入室とクローゼットが仕切られ、クローゼットの背面は、縦長に配置される1枚の背板分割板により覆われる。
【発明の効果】
【0021】
請求項1の発明によれば、建物の収納庫用空間の幅に合わせた規格外の背板とするために、複数の背板を構成する背板分割板を継ぎ足してもその境界が収納庫の正面に表れない。
【0022】
仕切板若しくは棚板の背面で連結される一組の背板分割板は、連結具を用いて直接若しくは間接に仕切板若しくは棚板に固定されるので、一組の背板分割板の継ぎ目の部分は強固に仕切板若しくは棚板の背面に固定され、湾曲して継ぎ目に隙間が生じることがない。
【0023】
請求項2の発明によれば、仕切板若しくは棚板の木製固定部に、仕切板若しくは棚板の背面で連結される一組の2枚の背板分割板を固定する十分な厚みがない場合でも、一組の背板分割板を木製固定部に対して固定できる。
【0024】
従って、仕切板若しくは棚板の厚みを薄型化することが可能となり、仕切板若しくは棚板で仕切られる収納庫内の空間を拡大させることができる。
【0025】
請求項3の発明によれば、縦長のクローゼットの背面が1枚の背板分割板で覆われるので、2枚の背板分割板を連結することによる継ぎ目がクローゼットの正面側に表れない。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図3】組み立て式押入1の正面上方側から見た斜視図である。
【
図5】一組の背板分割板20、21と仕切板3との固定部を示す要部拡大断面図である。
【
図6】従来の組み立て式押入100の斜視図である。
【
図7】組み立て式押入100の化粧板101、101の連結部を示す要部拡大断面図である。
【
図8】従来の収納ボックス110の化粧板111、111の連結構造を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の一実施の形態に係る組み立て式収納庫である組み立て式押入1を、
図1乃至
図5を用いて説明する。
図1は、本実施の形態に係る組み立て式押入1の正面図、
図2は、同背面図であり、これらの図に示すように、組み立て式押入1は、背面側に配置される背板2、左右両側に配置される左側板4と右側板5、平面側に配置される天板6、底面側に配置される底板7と、側板4、5間に水平に掛け渡され、上部の天袋11を仕切る上部棚板8と、上部棚板8で仕切られる下方の空間を押入室12とクローゼット13に仕切る仕切板3と、仕切板3と左側板4間に水平に掛け渡され、押入室12を上下に仕切るで下部棚板9とから構成される。
【0028】
本実施形態において、背板2は、同一鉛直平面上に沿って配置される3枚の背板分割板20、21、22を相互に連結して構成されている。3枚の背板分割板20、21、22を連結した背板2は、図示しない建物の押入用空間に組み立て式押入1が収容されるように、全体の横幅が図示しない押入用空間の間口に、縦幅が挿入用空間の高さにほぼ一致する長方形状に形成され、正面から見て、左側背板分割板20は押入室12の背面を、右側背板分割板21はクローゼット13の背面を、上段側背板分割板22は天袋11の背面を、それぞれ覆っている。
【0029】
従って、ここでは、始めに背板2を除く各板材3〜9を相互に釘打ち、ネジ止めなどで固定した後、これらの板材3〜9に対して直交する3枚の背板分割板20、21、22を組み付ける。各背板分割板20、21、22は、
図2、
図4に示すように、表面(正面から目視される組み立て式押入1の内面を表面という)側に図示しない化粧シートが貼り付けられた厚さ2.5mmの化粧板20a、21a、22aと、化粧板20a、21a、22aの背面側に接着剤等で固定される木製ロッドからなる裏当支持枠20b、21b、22bとから構成されている。ここで、化粧板としては、ベニヤなどの合板、石膏ボード、MDF等の長繊維板、木材チップを接着してなるパーティクルボード等のいずれで構成してもよい。
【0030】
このうち上段側背板分割板22の化粧板22aは、汎用の長方形化粧板を横向きとして、幅1750mm、高さ470mmの天袋11の背面の大きさに一致するように、その周囲を裁断して形成される。また、左側背板分割板20の化粧板20aと、右側背板分割板21の化粧板21aは、汎用の長方形化粧板を縦向きとして、それぞれ高さ1900mmの押入室12及びクローゼット13の背面の大きさに一致するように、その周囲を裁断して形成される。
【0031】
木製ロッドからなる裏当支持枠20b、21b、22bは、各化粧板20a、21a、22aと同一輪郭形状となるように、幅30mm、奥行き18mmの木製ロッドを交差させて矩形枠状に組み立てられる。各化粧板20a、21a、22aの背面側にその輪郭に沿って裏当支持枠20b、21b、22bが固定されることにより、湿気などで湾曲しやすい化粧板20a、21a、22aが鉛直面に沿って平面状に維持されるとともに、背板分割板20、21、22の強度が補強される。
【0032】
図4、
図5に示すように、左右方向に隣り合う一組の左側背板分割板20と右側背板分割板21の鉛直方向の継ぎ目Bの表面側に、押入室12とクローゼット13に仕切る仕切板3が配置される。仕切板3は、厚さ(左右方向の幅)tが20mm、奥行き(鉛直面に沿った幅)30mmの木製ロッドを交差させて矩形の仕切枠3の外形に一致するように矩形枠状に組み立てた中支持枠3bと、汎用の厚さ2.5mmの化粧板から中支持枠3bの外形に一致するように裁断され、中支持枠3bの左右の両側面に接着剤等で固着される一対の化粧板3a、3aとから構成される。
【0033】
背板分割板20、21、22は、押入1に物を収容する際に正面側から外力を受けても背面側に撓まないように、各周囲の全体が、背板2に直交する左右の側板4、5や天板6等の板材に対して鋲着やネジ止め等で固定される。左右方向で隣接する一組の左側背板分割板20と右側背板分割板21の境界部についても、直交する仕切板3の背面に対して固定する必要があるが、仕切板3の背面の厚さは、隣接する一組の左側背板分割板20と右側背板分割板21の境界部を鋲着若しくはネジ止めするのに十分な幅に満たない。
【0034】
すなわち、左側背板分割板20若しくは右側背板分割板21の境界部を、仕切板3の中支持枠(木製固定部)3bに対して釘打ちやネジ止めして固定するが、中支持枠3bの厚さtが釘打ちやネジ止めが可能な最小幅δmin未満であると中支持枠3bにクラックが生じたり割れて固定できない。この最小幅δminは、釘やビスの大きさ、中支持枠3bの材質にもよるが、本実施の形態では15mmである。従って、隣接する一組の左側背板分割板20と右側背板分割板21の境界部のいずれも中支持枠3bに鋲着若しくはネジ止めするには、中支持枠3bの厚さtを30mm以上とする必要があるが、一方で、押入1内の空間を仕切る仕切板3や棚板8、9は、押入室12やクローゼット13等の収容空間を可能な限り拡大させるために所定の強度が得られる最小の厚さに設定されるので、中支持枠(木製固定部)3bの厚さtは20mmとなっている。
【0035】
そこで、本実施の形態では、
図5に示すように、左右で隣接する一組の一方の左側背板分割板20を、最小幅δminの15mm以上の17.5mmの左右方向幅δで中支持枠3bに重ね、左側背板分割板20の境界部の中支持枠20bから化粧板20aを貫通するビス15を用いて仕切板3の中支持枠3bへネジ止めする。この左側背板分割板20の境界部と仕切板3の背面側の固定は、境界部の上下に分かれた4カ所の位置でビス15を用いてネジ止めしている。
【0036】
また、左右で隣接する一組の他方の右側背板分割板21は、仕切板3の背面で左側背板分割板20の隣接させ、2.5mmの左右方向幅t−δで中支持枠3bに重ねるが、直接仕切板3へは固定せず、左側背板分割板20との境界で隣接する裏当支持枠20aと裏当支持枠20b間をビス16でネジ止めして、左側背板分割板20に固定する。このビス16による右側背板分割板21と左側分割板20との固定は、ビス15に干渉しない裏当支持枠20bの3カ所の位置に水平方向にビス16を貫通させ、裏当支持枠21bにネジ止めする。
【0037】
これにより、隣接する一組の左側背板分割板20と右側背板分割板21の境界は、仕切板3に隠れて正面に表れず、また、右側背板分割板21は左側背板分割板20を介して仕切板3の背面に固定されるので、隣接する一組の左側背板分割板20と右側背板分割板21のいずれも薄い厚さtとした仕切板3に位置決め支持される。
【0038】
左側背板分割板20と右側背板分割板21の上記境界部を除く周囲は、裏当支持枠20b、21bと化粧板20a、21aを貫通するビス(図示せず)により、その正面側に対向する上部棚板8、左右の側板4、5及び底板7の背面にネジ止めされ、固定される。
【0039】
本実施の形態では、左側背板分割板20と右側背板分割板21の上辺部をネジ止めして固定する上部棚板8も、仕切板3と同様の構造で、厚さ20mmの中支持枠の上面と下面に厚さ2.5mmの化粧板を貼り付けてなるものであるので、左側背板分割板20と右側背板分割板21の上辺部と、その上方に隣接する上段側背板分割板22の下辺部とを共にネジ止め可能とする厚さに満たない。
【0040】
そこで、左側背板分割板20と右側背板分割板21の上辺部を上部棚板8の中支持枠の背面に下方から17.5mm重ねてネジ止めすると共に、残る中支持枠の2.5mmの背面に上段側背板分割板22の下辺部を重ね、上段側背板分割板22の裏当支持枠22bを、その下方に隣接する左側背板分割板20と右側背板分割板21の裏当支持枠20a、21aにネジ止めして固定する。
【0041】
上段側背板分割板22の上記下辺部を除く周囲は、その裏当支持枠22bと化粧板22aを貫通するビス(図示せず)により、その正面側に対向する天板7と左右の側板4、5の背面にネジ止めして固定される。
【0042】
上述の実施の形態では、ビス15、16を用いて、背板分割板間又は背板分割板と仕切板若しくは棚板をネジ止めして固定しているが、釘を用いて相互を鋲着してもよい。
【0043】
また、仕切板3、上部棚板8は、2枚の化粧板と化粧板の間に固定される中支持枠とから構成されているが、その背面にビスや釘を用いて固定する最小幅δmin以上の厚みがあれば、必ずしも化粧板を用いない一枚の板材から構成されるものであってもよい。
【0044】
また、上述の実施の形態では、組み立て式収納庫として、押入室とクローゼットを有する組み立て式押入1で説明しているが、組み立て式収納庫は、押入室からなる押入やクローゼットであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は、建物の建築現場で組み立てる組み立て式収納庫に適している。
【符号の説明】
【0046】
1 組み立て式押入
2 背板
3 仕切板
3b 中支持枠(木製固定部)
4 左側板
5 右側板
6 天板
7 底板
8 上部棚板
9 下部棚板
11 天袋
12 押入室
13 クローゼット
15 ビス(第1連結具)
16 ビス(第2連結具)
20 左側背板分割板
20b 裏当支持枠20b
21 右側背板分割板
21b 裏当支持枠21b
22 上段側背板分割板
22b 裏当支持枠