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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-86841(P2017-86841A)
(43)【公開日】2017年5月25日
(54)【発明の名称】灸頭鍼支援器具
(51)【国際特許分類】
   A61H 39/08 20060101AFI20170421BHJP
   A61H 39/06 20060101ALI20170421BHJP
【FI】
   A61H39/08 Q
   A61H39/06 318
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】書面
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-236974(P2015-236974)
(22)【出願日】2015年11月9日
(11)【特許番号】特許第5977423号(P5977423)
(45)【特許公報発行日】2016年8月24日
(71)【出願人】
【識別番号】302037423
【氏名又は名称】若林 明彦
(72)【発明者】
【氏名】若林 明彦
【テーマコード(参考)】
4C101
【Fターム(参考)】
4C101BB06
4C101BB07
4C101BE02
4C101CA04
4C101DA01
4C101DB02
4C101DC03
(57)【要約】
【課題】 浅刺し極細鍼による適応施術部位限定の解除を探り、優しい極細の温かい灸頭鍼をしっかり支え倒れる事無く、灸頭鍼困難部位への施術に役立つよう支援し、火傷事故防止を担う灸頭鍼支援器具の提案。
【解決手段】 鍼柄に艾を据え、傾いて倒れてしまう浅刺し極細鍼の重心に近い本体天井部に、支持部を設けることにより僅かな力でしっかり支え、刺鍼深度が選択でき、安定した安全な灸頭鍼施術に仕上げる。
本体天上部に回転盤を施し天井面と上下2層にした鍼導入口と誘導路と放射熱活用窓と支持部の一致により、鍼を速やかに設置でき、回転盤の回転により鍼と支持部の隔離ができ、浅刺し極細灸頭鍼をしっかり支え、倒れる事の無い灸頭鍼とする。
不燃天井面で燃焼艾の落下を受け止め、回転盤側壁で零れ落ちも防止し火傷事故にも備えられる。
本体側面下部を取り替え部品にし所定の形状の保持部にすることにより、身体の形状に合わせ易くする事で支援器具の安定を図る。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
天井部を有し底部が開放された筒状の本体であって、この本体側面の一部に空隙状の導入口と、前記本体天井部に前記導入口から当該本体天井部の中心に向かう空隙状の誘導路と、この誘導路の終端で当該天井部の中心に円形状空隙の支持部とを備え、身体に刺入した鍼に対し、本体の前記導入口から前記誘導路に沿って前記支持部まで導き入れ、前記鍼を保持することを特徴とする灸頭鍼支援器具。
【請求項2】
本体天井部中心の円形状空隙である支持部を中心に、放射状に配列され、中心近くが狭く、中心から離れるにしたがい広がる放射熱活用窓を備えることを特徴とする請求項1記載の灸頭鍼支援器具。
【請求項3】
本体と概同一の導入口と誘導路と放射熱活用窓と支持部とを備えた回転盤であって、この回転盤の外周に側壁を設け、この回転盤の支持部を本体天井部支持部の上に重ね、回転することを特徴とする請求項2記載の灸頭鍼支援器具。
【請求項4】
本体側面下部に所定の形状の取り替え可能で、身体に添う保持部を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の灸頭鍼支援器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
浅刺し極細鍼を灸頭鍼用として使用可能にする灸頭鍼支援器具に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に鍼灸施術に多く使用されている鍼は、図8に示すような形の14〜18号鍼(0番〜2番鍼)が使われ、刺入される鍼体12(鍼先11〜鍼根13)の直径0,14〜0,18mmで長さ40〜50mm(1寸3分〜1寸6分)であり、鍼柄14(持ち手部分)は直径が金属製1mmとプラスチック製2mmの長さ20〜25mmの、鍼を使い分けている。
【0003】
鍼自体の重心は、水平にすると鍼柄中央の鍼体寄りにあり、鍼先・鍼体と離れているが、基本的に施術のため刺入するとき重心の位置は、刺入点(支点)の真上で鍼先・鍼体・鍼柄と垂直の一直線上に打つため一体となり刺入鍼自体、重心の位置に何も無ければ浅く刺されていても安定して自立している。
【0004】
しかし、筋肉や刺入角度等の僅かな影響により少しのずれで重心は、支点から遠く高く離れた極めて不安定な存在に変わり、鍼は傾き撓んでしまう。そこで、鍼の頭に艾を据え施術をする灸頭鍼を念頭に置き、説明すると、傾き倒れない為には、撓まない太い鍼を深く刺入して足元を確り支えないとならない。
【0005】
また、鍼灸施術の灸に使われる艾は、最上級艾と上級艾と中級艾と粗もぐさ等が在り、優しく燃え、燃え痕の残り難いと言われる最上級艾での最も細く刺激の少ない糸状灸でも、燃え痕が残るのが技術の未熟な初心者の灸である。
中級艾や粗艾を硬く小指の頭大に硬め、完全燃焼させても火傷も燃え痕も、起きない、残らないのが、鍼の鍼柄に艾を据えて施術する施術法、灸頭鍼法である。
【0006】
灸頭鍼(温鍼)は、自立鍼の鍼柄に艾を覆い被せるように挿し据え、刺入した鍼の機械刺激と燃焼艾の温熱刺激の相乗医療効果を施す温鍼法であり、20号鍼(鍼体の直径0,20mm)以上と太く、鍼体の長さも長めの40〜60mmまでを使い分けることとなる。
【0007】
刺鍼深度(皮膚面から鍼先までの深さ)は、燃焼艾の放射熱活用と火傷防止から刺入された鍼の残った長さが25〜30mmなので、15〜30mmと深刺しするため、施術部位は筋肉層の厚い、臀部や腰部や大腿部や肩関節部等と内臓等の組織に損傷を与えないよう限定するよう、教科書にも書いてあり、強く幾度も指導を受ける。
【0008】
特許文献1は、「灸頭鍼用火傷防止下敷き」審査請求の中で、『鍼が皮膚面と透熱素材の穴との2ヵ所で固定されるため、安定性が増し、灸頭鍼は3番鍼(直径0,20mm)以上の太い鍼で深く(深さ約20mm)刺さねばならないという従来の常識に拘束されずに、浅く皮膚に刺しただけ(深さ約3mm)の灸頭鍼、また、2番鍼(直径0,18mm)以下の細い鍼での灸頭鍼ができるようになり、患者への負担が軽減できる。そのため、太い鍼を使う事の出来なかった老年の患者や、浅くしか刺せなかった頭部や頸部・顔面などへ応用できるようになる。』と記載をされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】 実開平7−39837号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
通常の灸頭鍼施術は、鍼柄に艾を据えるため堅固な鍼の安定自立が条件であり、20号鍼以上の太い鍼による深刺しとなり適応施術部位を限定し、見た目にも強い刺激の施術でありながら、回復よりも症状の軽減や「気持ち良い」が強調された癒しの療法とされ、昭和初期に考案されてからの施術法を踏襲しながら、下敷き等の備品を考案し改良しつつ、大切に守り継がれてきている。
【0011】
灸頭鍼施術中は、平均3〜5回の艾交換があり、支援器具であるなら作業を確実にし、接触と荷重に耐える強度と安全性が求められる。
【0012】
しかし、前記先行技術での、鍼を鍼挿通用穴に下から挿し通す方法や、透熱性と透過性が高く薄い素材での現行構造では、艾燃焼中においては能力を発揮できても、他の施術場面では、能力を発揮し難いのではないか。
【0013】
さらに、灸頭鍼施術に必要な艾交換のような施術関連行為が、構造と材質に考慮されているように考え難く、安全性確保の対策とも受け止め難い。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の第一実施形態の灸頭鍼支援器具は、天井部を有し底部が開放された筒状の本体であって、この本体側面の一部に空隙状の導入口と、前記本体天井部に前記導入口から当該本体天井部の中心に向かう空隙状の誘導路と、この誘導路の終端で当該天井部の中心に円形状空隙の支持部とを備え、身体に刺入した鍼に対し、本体の前記導入口から前記誘導路に沿って前記支持部まで導き入れ、前記鍼を保持することを特徴とする。
【0015】
本発明の第二実施形態の灸頭鍼支援器具は、第一実施形態において、本体天井部中心の円形状空隙である支持部を中心に、放射状に配列され、中心近くが狭く、中心から離れるにしたがい広がる放射熱活用窓を備えることを特徴とするものである。
【0016】
本発明の第三実施形態の灸頭鍼支援器具は、第二実施形態において本体と概同一の導入口と誘導路と放射熱活用窓と支持部とを備えた回転盤であって、この回転盤の外周に側壁を設け、この回転盤の支持部を本体天井部支持部の上に重ね、回転することを特徴とするものである。
【0017】
本発明の第四実施形態の灸頭鍼支援器具は、第一乃至第三のいずれかの実施形態において、本体側面下部に所定の形状の取り替え可能で、身体の形状に添う保持部を有することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明の第一実施形態の灸頭鍼支援器具は、施術に際して皮膚に刺入された鍼であれば、浅い傾いた鍼でも、細く柔らかい不安定な鍼であっても、本体側面の導入口から天井部誘導路へ導き入れ、天井部円形状空隙の天井支持部へ進め、鍼を支持する手数の少ない清潔で迅速な鍼設置ができる。
【0019】
これらは、本体側面の空隙状導入口と天井部の空隙状誘導路から誘導路の終端である円形状空隙をした支持部へと繋がる空隙状誘導路を有し、これら空隙が維持できるのも、筒形構造が縦からの力には、安定し強靭な構造であり、横からの力にも天井部があることで、確り形状保持されているからである。
【0020】
又、この筒状構造により、確り空間が維持されるため、鍼を導き入れ易く設置し易いと共に、支持部の僅かな力で浅刺しの不安定な鍼を支えることができる。
【0021】
本発明の第二実施形態の灸頭鍼支援器具は、施術に際して、本体天井部が開くことにより、浅刺し極細鍼による灸頭鍼施術が行え、肩甲間部や頸部や顔面頭部等の繊細で筋肉層が薄く、深刺し困難で関連諸症状を表す筋が集まる箇所へも、優しい鍼と艾の熱との相乗医療効果を施せる。
【0022】
又、これにより、筋肉層の薄い女性や年配者にも、筋肉層が薄く大切な内臓の納まる近傍部や顔面頭部等の美容面へも、この効能と効果と適応範囲とを、より広げ、負担少なく、安全に刺鍼深度を自由に選択でき、浅刺し極細鍼での、優しい灸頭鍼施術が実現し、それなりの効果を発揮できる。
【0023】
一方、本体天井部の放射状に配列された放射熱活用窓は、中心近くが狭く、中心から離れるにしたがい広がる放射状空隙の窓を形成してこそ、設置され開いた価値を効率良く放射熱を総て無駄なく伝え、活かすことが出来る。
【0024】
即ち、中心部は、燃焼艾の近隣のため放射熱は強く多量だが、放射熱活用窓の開口域は狭く入り難く、放射熱は弱まり緩やかになり、離れるごとに放射熱量は少なく穏やかだが、放射熱活用窓の開口域は広がり、取り込む熱量は多くなり穏やかな熱量調整ができ、より効果的で損失の少ない、放射熱活用域全体に斑無く穏やかな温かさを施術として活かし伝え、患部に穏やかに感じさせることができる。
【0025】
又、患部を優しい温かみで癒す燃焼艾が、鍼柄から外れ猛烈燃焼艾となり火傷の原因と変貌したとき、放射空隙形状の放射熱活用窓は、皮膚を保護する防護具となるために、熱効率を損なわない狭い幅の窓を形作っている。
【0026】
本発明の第三実施形態の灸頭鍼支援器具は、本体天井部と概同一の導入口と誘導路と放射熱活用窓と支持部とを備え、外周に側壁を設け、前記支持部を本体天井部支持部の上に重ね、回転する回転盤を設けることである。
【0027】
これにより、施術に際し、本体天井部と回転盤との各々の導入口の一致により、導入口と誘導路とが開き、手数の少ない衛生的で迅速な鍼の設置が出来、回転により導入口と誘導路は閉まり、設置された鍼と支持部は、外部から完全に隔離されるため、鍼柄に艾を据えても設置された鍼は、支持部から外れ出る事は無い。
【0028】
又、重なり合っている回転盤開口部は、本体天井部の各開口部と同じ役割であるが、回転すると空隙である導入口と誘導路とが閉まり、放射熱活用窓の内窓と外窓との開口部は、それぞれ一部分遮りを繰り返しながら、回転で全放射熱活用窓は本来の全開状態に達するまで、回転途中の状態が放射熱量の調整を可能とする。
【0029】
さらに、艾の落下に対しても、回転することで放射熱活用窓の開口部は一部が遮られるため落下物を、従来よりも細かく捕獲でき、回転盤外周側壁により天井部からの艾零れ落下も防げる。
【0030】
本発明の第四実施形態の灸頭鍼支援器具は、皮膚に接触する本体側面下部の保持部が取り替え交換を可能とし、又、所定の形状にすることで、患部の形状に合わせ易く灸頭鍼支援器具の安定設置が、頸部等の湾曲した複雑な形状の患部にも可能となり浅刺し極細灸頭鍼による、優しい鍼と温かく穏やかな艾が頸部や頭部や上背部等でも施術できることとなる。
【0031】
この本体の筒形構造と本体側面下部の形状は、安定設置を実現すると共に加重にも優れた耐久力を発揮し、使用素材の能力が活かされているので潰れることも無く、支援器具上での施術支援作業にも充分耐えられる器具である。
【0032】
このように、本体側面下部の保持部を交換可能な部品にすることにより、複雑な患部形状にも合わせ易く、軽量な厚紙により製作可能で、費用対効果も高く、何より、個々の皮膚に直に接触するため、清潔さの維持や衛生面の予防効果が高い。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】 灸頭鍼支援器具 分離斜視図
図2】 天井部回転盤 回転例図
図3】 回転盤なし灸頭鍼支援器具 施術段階斜視図
図4】 灸頭鍼支援器具 施術段階斜視図
図5】 灸頭鍼支援器具 吸盤固定補助具斜視図
図6】 灸頭鍼支援器具 施術実施例斜刺図
図7】 灸頭鍼支援器具 斜視図
図8】 鍼 全体図
図9】 本体側面下部の保持部 平面縮尺図
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明品を示す図7全体図は、図1の分離斜視図で示すように三部から成り立ち、その中心部としての本体1は、図1(b)で示すように天井部8を有し底部が開放された筒形状の本体1であって、この本体側面9の一部に空隙状の鍼の導入口4と、本体天井部8に導入口4から当該本体天井部8の中心に向かう空隙の誘導路5と、誘導路5の終端で当該天井部8の中心に円形状空隙の支持部2とを備える。
【0035】
この筒形構造の本体1により、確り空間や空隙が維持されるため、鍼を導き入れ易く設置し易いと共に、支持部2により僅かな力で鍼を支えることができるからこそ、筋肉層の薄い患部へ鍼を打ち、鍼柄に艾を据えての灸頭鍼の立位姿勢が維持できる。
【0036】
また、浅い刺入鍼でも細い柔らかい鍼でも、手数の少ない衛生的扱いで迅速な手順により支持部2への鍼設置ができ、更に、筒形構造により、圧倒的に縦からの荷重に強い筒形でも、横からの荷重には弱く構造上の弱点であるが、天井部が設けられることにより補強され、灸頭鍼支援器具として鍼を支え施術を補助するに、充分な強度を有することとなる。
【0037】
更に、灸頭鍼の立位を保つために深く刺入した太く堅固な鍼の鍼柄へ艾を据えるのでは無く、日頃使い慣れている鍼での、診察、診断による施術のために必要な刺鍼深度を選択しての、穏やかな鍼の機械刺激による艾の温熱刺激との組み合わせを、実施することが出来る。
【0038】
又、本体天井部8の中心に円形状空隙支持部2の近くに空隙が開くことにより、放射熱を患部へ伝え、浅刺し極細鍼による灸頭鍼施術が行え、肩甲間部や頸部や顔面頭部等の繊細で筋肉層が薄く、深刺し困難で関連諸症状を表す筋が集まる箇所へも、優しい鍼と燃焼艾の放射熱との相乗医療効果を施せる。
【0039】
これにより、筋肉層の薄い女性や年配者にも、筋肉層が薄く大切な内臓の納まる近傍部や顔面頭部等の美容面へも、この効能と効果と適応範囲とを、より広げ、負担少なく、浅刺し極細鍼での、優しい灸頭鍼施術が実現し、それなりの効果を体感できる。
【0040】
一方、図2(a)で示す様に、より良い効率的な形態は本体天井部の放射状に配列された放射熱活用窓3が、中心近くが狭く、中心から離れるにしたがい広がる放射状空隙の放射熱活用窓3を形成してこそ、天井部に設置し開かれた放射熱活用窓3の価値を効率良く放射熱を無駄なく、導き入れ活かすことが出来る。
【0041】
即ち、この放射熱活用窓3の形状は、熱効率を考慮しての形状で、最も燃焼艾に近い支持部2近隣は受ける放射熱量が多く熱くなるため、支持部に近い開口域が、狭いことで熱量を少なく和らげ、支持部から離れるにしたがい開口域が広がることで、離れるにしたがい弱まった放射熱量を多く取り込み、放射熱活用域内を等しい穏やかな熱量調整とすることで、より効果的で損失の少ない、穏やかな温かみを施術として活用できることとなる。
【0042】
放射熱活用窓3が開き放射熱が効率良く効果的に活用される事により、燃焼艾の放射熱が穏やかな調和のとれた温もりの熱量調整により、放射熱活用域10(図1(c)に示す)全体に、より効率良く灸頭鍼として伝え、患者さんに熱く痛いお灸の温熱刺激を、気持ちの良い温かさと感じてもらいながらの、適切な刺鍼深度の鍼刺激による患部への灸頭鍼施術をすることとなる。
【0043】
つまり、優しい鍼の機械刺激と穏やかで温かい艾の温熱刺激との相乗医療効果と効能とを、より広く適応範囲を全身へ広げ、刺激負担の少ない、温熱刺激を穏やかに患部の深部へと伝え、効能効果を癒し系から正道の鍼灸施術としての灸頭鍼施術の特徴を発揮するのである。
【0044】
又、この放射熱活用窓3の形状は、殺風景な施術室に痛みからの開放を願って訪れる患者さんの心に、少しでも温もりや安らぎを感じ取って、和んで心身共に、癒されて欲しい想いからの形状製作でもある。
【0045】
更に、この整然と放射状に並んだ放射空隙形状の放射熱活用窓3は、穏やかな温かみで患部を癒す燃焼艾15(図3に示す)が、鍼柄から外れ猛烈燃焼艾となって落ちて来て、火傷の原因と変貌しても、放射熱活用窓3は、熱効率を損なわない狭い幅の窓で優しく燃焼艾を受け止め、皮膚を保護する防護具となる。
【0046】
図1(a)と図1(b)とに示すように、本体天井部8と概同一の回転盤6の空隙状導入口20と空隙状誘導路21と放射状空隙の放射熱活用窓22とを配列し回転盤6中心の誘導路終端、円形状空隙である支持部23とを備え、外周に側壁7を設けた回転盤6であって、回転盤支持部23を本体天井部支持部2の上に重ね、回転する回転盤6を設けることを特徴とするものである。
【0047】
この回転盤6を、本体導入口4と回転盤導入口20との一致により図2(a)に示すように、導入口4と回転盤導入口20、誘導路5と回転盤誘導路21、放射熱活用窓3と回転盤放射熱活用窓22、支持部2と回転盤支持部23等の各開口部が重なり合い、導入口4と回転盤導入口20、誘導路5と回転盤誘導路21が外部に開かれることで、灸頭鍼支援器具への手数の少ない衛生的で迅速な鍼の支持が出来る。
【0048】
誘導路の導き順の設定は、施術者の注意要件により選択肢が幾つか設定可能で、慎重派は、鍼が外れ出ないように迂回しながら導き、迅速派は、直線に近い少ない蛇行で導ける。
【0049】
回転により図2(c)に示すように導入口4と回転盤導入口20、誘導路5と回転盤誘導路21は、本体天井部8と回転盤6との双方により閉められ、設置された鍼と支持部2と回転盤支持部23とは、外部から完全に隔離され、浅く刺入された不安定な細い鍼の鍼柄14に艾15を据えても支持部から外れ出たりする事は無い。
【0050】
重なり合っている回転盤放射熱活用窓22は、本体放射熱活用窓3と同じ役割であるが、回転中に起こる状態は、図2(b)に示すように放射熱活用窓の一部を遮り、窓の開口域が狭まり放射熱量の調整が出来ると共に、鍼柄14からの艾15の落下に対しても、落下物を細かく受け止め皮膚への落下を防止することへと繋がる。
【0051】
このように、回転盤6で受け止められても、零れ落ちることはあるが、回転盤に外周側壁7があることで回転盤6からの燃焼艾の零れ落下を防止できる。
【0052】
本体導入口4と回転盤導入口20との一致により図2(a)で示した全開状態から回転により図2(c)で示すように放射熱活用窓3と回転盤放射熱活用窓22、支持部2と回転盤支持部23とだけが、開いた活用状態に至り、鍼は、支持部に確り収まっている、この体制で灸頭鍼をするのが、浅刺し極細鍼にとり安全で効果的な優しい鍼の機械刺激と穏やかで温かい艾の温熱刺激を施術表現できる場となる。
【0053】
又、本体天井部と回転盤とには、過酷な状況で多くを求められるがゆえ、不燃素材で熱伝導率が良く比熱の小さい素材を活用すると、更に良い機能表現ができる。
【0054】
このことで放射熱活用には、熱伝導率が良く比熱が小さいため、本体天井部8や回転盤6自身を温めるために発熱し放射熱を損失するのではなく、強い放射熱を素材が受けても発熱損失を少なく、回転盤6から本体天井部8へ時間差により穏やかな熱を継続して伝えてくれ、燃焼艾が本体天井部8や回転盤6の上に落ちても不燃素材のため燃焼せず受け止め、火傷防止として充分対応できる。
【0055】
更に、より良い天井部の構成は、本体天井部に回転盤を据えて、回転盤は、本体天井部に乗せるだけではなく、本体支持部が一部空隙を有する図1(b)中央記載の筒状であり、小さくては役に立たず、大きく出すぎては邪魔になり、この筒状支持部を回転盤支持部が抱えこむように軸として回転するのが、安定した天井部構成となる。
【0056】
図1(b)に示す本体1の構造と図1(c)に示す本体側面下部に設けた保持部19の形状を、図9に示すように所定の形状として左右非対称にすることにより、個々複雑で湾曲や太さや大きさ等の違いによる多彩な形状を形作る、人間の身体へ添うように多彩な形状に合わせられ、支援器具の姿勢の支え補助ができるようになり、この形状による保持を確実にして、本体の安定設置が確保できる。
【0057】
何故なら、保持部19は、縦幅(図9図示X)を変えることで皮膚からの高さを変えることもでき、皮膚接触部分に大きさの異なる凹凸があり、その凹みの幅も数通りの組み合わせになり、形成する辺は斜めで軽く角度を変えれば多種多様な形状に合わせ易く、皮膚接触部分の掛け止めする接地部分が増え、確り皮膚を挟み込むような接地部分の保持態勢となり、角に丸みを加えるだけで優しい肌触りに変わり、違和感の無い支援器具の設置となるからである。
【0058】
又、保持部19を取り替えできる部品とすることで、施術器具としての衛生面での信頼度も増し、図4(c)に示すように頸部のような施術器具の設置し難い患部でも、各々の身体の形状に合わせ易く安定設置が可能となり浅刺し極細灸頭鍼による、優しい鍼と穏やかな温かい艾の効果を頸部や顔面頭部や上背部等でも施術できる。
【0059】
保持部19の使い捨て交換は、清潔さ維持からも感染予防対策面からも、固体別使用とすることができ、大変有効な対処法となる。
【0060】
又、保持部19の端と端は、導入口で対峙し空隙を形成する事で、側面下部の導入口を形成するが、底部を少し広げ二等辺三角形状の導入口とすることで、鍼の刺入部を放射熱活用域10へ導き入れ易く、支持部への鍼設置も行い易くなる。
【0061】
更に、頼もしい要の本体と成るべく、支援器具を支える本体の側面を二重側面構造にすることにより、本体1として、より強さを増すと共に、細い鍼を支え、人間の身体に合わせる本体側面下部の保持部19を筒状に補助形成することが出来、より安定した支援器具を下支えする重要な部分を形作ることとなる。
【0062】
この二重側面構造の本体1と本体側面下部の保持部19の筒形状は、安定設置を実現すると共に荷重にも優れた耐久力を発揮し、使用素材の能力が活かされているので、天井部への3kg位の荷重で潰れることも無く、支援器具上での施術支援作業に充分耐えられる施術支援器具であることの証明ともなる。
【0063】
又、前記本体1は、外側面に磁気接着素材を使用し、内側面を断熱素材での二重側面構造にすることで、保持部19を外側面と内側面双方の間に差し込むように設置することができ、更に、外側面は図6に示すように、吸盤固定補助具24と強く磁気接着し易くなり、内側面は、燃焼艾の放射熱やその熱を受けての本体天井部や回転盤からの伝導熱を外部に放たず、熱量を損ねること無く患部へ導き入れ、医療温熱効果として活用できるからである。
【0064】
これら日常の刺鍼所作には、存在しない支援器具の取り扱いになってしまいますが、図3(b)に示すように、利き手で患部に刺鍼終了後、刺入部分に添えていた別の手で至極自然に本体1を持ち進め、そのまま利き手で鍼柄を保持しつつ、導入口4から誘導路5へ進み、放射熱活用窓3へと入り、誘導路5の終端で天井部中心の支持部2へと鍼を進め、平素の動きを邪魔する事無く、日頃の刺鍼所作による流れの中で支援器具への鍼設置が行えます。
【0065】
また、図4は、支援器具25が三点揃った完成形の実施行程例を示した段階図ですが、この鍼設置行程は、図3と概ね同じように進め、支持部に鍼を支持終了後、目立つ動きでは無いが、利き手で回転盤6を回転させ、外部から鍼を完全に隔離する大切な行程を加えても、普段通りの衛生的で迅速な手順で鍼設置が行え、負担少なく従来の施術範囲からは、遥かに大きく施術有効範囲を広げることができます。
【0066】
更に、本体側面下部の保持部19においてでも、設置し難く不安定な場合には、図5に示すような吸盤16とスポイト17とを組み合わせた吸盤固定補助具24を、図6に示すように本体横に吸着設置し、支援器具25と磁気接着しての固定補助支えと成りますが、燃焼艾の放射熱によりスポイトが暖められ吸引力を弱めるので、より安定設置を求めるには、艾交換時などを含め度々スポイトの膨らみを注意し、小まめに観察しながらの吸引力調整に注意し医療事故防止に努めます。
【符号の説明】
【0067】
1 本体
2 支持部
3 放射熱活用窓
4 導入口
5 誘導路
6 回転盤
7 回転盤外周側壁
8 本体天井部
9 本体側面
10 放射熱活用域
11 鍼先
12 鍼体
13 鍼根
14 鍼柄
15 艾
16 吸盤
17 スポイト
18 磁石
19 保持部
20 回転盤鍼導入口
21 回転盤誘導路
22 回転盤放射熱活用窓
23 回転盤支持部
24 吸盤固定補助具
25 支援器具
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2016年4月19日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
天井部を有し底部が開放された筒状の本体であって、この本体側面の一部に空隙状の導入口と、前記本体天井部に前記導入口から当該本体天井部の中心に向かう空隙状の誘導路と、この誘導路の終端で当該天井部の中心に円形状空隙の支持部とを備え、身体に刺入した鍼に対し、本体の前記導入口から前記誘導路に沿って前記支持部まで導き入れ、前記鍼を保持し、本体天井部中心の円形状空隙である支持部を中心に、放射状に配列され、中心近くが狭く、中心から離れるにしたがい広がる放射熱活用窓を備え、本体と概同一の導入口と誘導路と放射熱活用窓と支持部とを備えた回転盤であって、この回転盤の外周に側壁を設け、この回転盤の支持部を本体天井部支持部の上に重ね、回転することを特徴とする灸頭鍼支援器具。
【請求項2】
本体側面下部に所定の形状の取り替え可能で、身体に添う保持部を有することを特徴とする請求項1に記載の灸頭鍼支援器具。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0014】
本発明の第一実施形態の灸頭鍼支援器具は、天井部を有し底部が開放された筒状の本体であって、この本体側面の一部に空隙状の導入口と、前記本体天井部に前記導入口から当該本体天井部の中心に向かう空隙状の誘導路と、この誘導路の終端で当該天井部の中心に円形状空隙の支持部とを備え、身体に刺入した鍼に対し、本体の前記導入口から前記誘導路に沿って前記支持部まで導き入れ、前記鍼を保持し、
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0015】
体天井部中心の円形状空隙である支持部を中心に、放射状に配列され、中心近くが狭く、中心から離れるにしたがい広がる放射熱活用窓を備え、
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0016】
体と概同一の導入口と誘導路と放射熱活用窓と支持部とを備えた回転盤であって、この回転盤の外周に側壁を設け、この回転盤の支持部を本体天井部支持部の上に重ね、回転することを特徴とするものである。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0017】
本発明の第実施形態の灸頭鍼支援器具は、第の実施形態において、本体側面下部に所定の形状の取り替え可能で、身体の形状に添う保持部を有することを特徴とするものである。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0021
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0021】
さらに、施術に際して、本体天井部が開くことにより、浅刺し極細鍼による灸頭鍼施術が行え、肩甲間部や頸部や顔面頭部等の繊細で筋肉層が薄く、深刺し困難で関連諸症状を表す筋が集まる箇所へも、優しい鍼と艾の熱との相乗医療効果を施せる。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0026
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0026】
さらに、本体天井部と概同一の導入口と誘導路と放射熱活用窓と支持部とを備え、外周に側壁を設け、前記支持部を本体天井部支持部の上に重ね、回転する回転盤を設けることである。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0030
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0030】
本発明の第実施形態の灸頭鍼支援器具は、皮膚に接触する本体側面下部の保持部が取り替え交換を可能とし、又、所定の形状にすることで、患部の形状に合わせ易く灸頭鍼支援器具の安定設置が、頸部等の湾曲した複雑な形状の患部にも可能となり浅刺し極細灸頭鍼による、優しい鍼と温かく穩やかな艾が頸部や頭部や上背部等でも施術できることとなる。