【解決手段】 可撓性のカテーテル処置プローブにおいて、弾性部材は、先端部をプローブの遠位部分に連結し、組織を係合するときに先端に掛かる圧力に反応して変形するように構成されている。プローブの遠位部分にある位置センサは、プローブの遠位部分に対する先端部の位置を感知する。相対位置は、弾性部材の変形に反応して変化する。位置センサは、位置センサ内に位置する磁場発生器によって生成される磁場に応じて先端部の位置を示す信号を発生させる。位置センサは、第1の巻線を有する導電性ワイヤの第1のコイルと、第2の巻線をそれぞれ有する導電性ワイヤの3つの第2のコイルとを有する。第2のコイルは、第1のコイルの長手方向軸線を中心にして対称的に分配されている。
【背景技術】
【0002】
心房細動等の心不整脈は、心臓組織の諸区域が、隣接組織に電気信号を異常に伝導することによって正常な心周期を阻害し、非同期的な律動を引き起こす場合に発生する。
【0003】
不整脈を治療するための手技としては、不整脈を発生させている信号の発生源を外科的に破壊することと、そのような信号の伝導路を破壊することが挙げられる。カテーテルを介してエネルギーを印加して心臓組織を選択的にアブレーションすることによって、心臓の一部分から別の部分への望ましくない電気信号の伝播を停止する又は変更することが時に可能である。アブレーションプロセスは、非伝導性の損傷部を形成することによって望ましくない電気経路を破壊するものである。
【0004】
標的組織との物理的な電極の接触を実証することは、アブレーションエネルギーの送達を制御するために重要である。当該技術分野において、組織と電極との接触を実証する試みはこれまで広範に行われ、様々な技法が提案されてきた。例えば、米国特許第6,695,808号は、選択された患者の組織又は器官領域を治療する装置について記載している。プローブは、その領域に押しつけられ得る接触面を有し、それにより接触圧力を生じさせる。圧力変換器が接触圧力を測定する。この構成は、接触力の存在及び規模の指標となる情報を機器のユーザーに提供することにより、医療機器を、解剖学的表面と過剰には接触しないが、しっかりと定置しなければならないという、処置の必要性を満たすと言われている。
【0005】
別の例として、米国特許第6,241,724号は、分割された電極アセンブリを使用して、体内組織中に損傷部を作成する方法を開示している。一実施形態では、カテーテル上の電極アセンブリは圧力変換器を有し、これは組織との接触を感知して、圧力接触モジュールに信号を伝達する。モジュールは、圧力変換器信号と関連する電極要素を特定し、エネルギー発生器がこれらの要素に高周波エネルギーを伝達し、血液のみと接触する他の要素には伝達しないように指示する。
【0006】
米国特許第6,915,149号に、更なる例が記載されている。この特許は、局所的な電気的活性を測定するための先端電極を有するカテーテルを使用して、心臓をマッピングするための方法を記載している。先端部と組織との接触不良から生じ得るアーチファクトを回避するために、先端部と組織の間の接触圧力が圧力センサを使用して測定され、安定的な接触を確保する。
【0007】
米国特許出願公開第2007/0100332号は、組織アブレーションのための、電極−組織間接触を評価するシステム及び方法について記載している。カテーテルのシャフト内の電子機械的センサは、カテーテルシャフトの遠位部分内の電極の運動量に対応する電気信号を発生する。出力デバイスは、電極と組織との間の接触レベルを評価するために、この電気信号を受け取る。
【0008】
カテーテル−組織間接触を評価するためのインピーダンスに基づく方法は、当該技術分野において既知であり、通常、カテーテル上の電極と身体表面電極との間のインピーダンスの大きさの測定に依存する。その大きさがある閾値より下である時、電極は組織と接触していると考えられる。しかし、このような2要素の接触指標は信頼性がない場合があり、身体表面電極と皮膚との間のインピーダンスの変化に対して敏感である。
【0009】
参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2008/0288038号及び第2008/0275465号(いずれもSauaravらによる)は、電気エネルギーを印加するように適合された電極を備えてもよい、電極カテーテルシステムについて記載している。インピーダンスを測定するように適合された測定回路を、電極が標的組織に接近する際に電極と接地との間に実装することができる。プロセッサ又は処理装置を実装して、測定回路によって測定されたインピーダンスのリアクタンスに少なくとも部分的に基づいて標的組織に関する接触状態を判定することができる。別の実施形態では、接触状態はインピーダンスの位相角に基づく場合がある。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下の説明では、本発明の様々な原理が充分に理解されるように、多くの具体的な詳細について記載する。しかしながら、これら詳細の全てが本発明を実施するうえで必ずしも必要であるとは限らないことは当業者にとって明らかであろう。この場合、一般的な概念を無用に分かりにくくすることのないよう、周知の回路、制御論理、並びに従来のアルゴリズム及びプロセスに対するコンピュータプログラム命令の詳細については、詳しく示していない。
【0023】
システムの概要
次に図面に移り、
図1を最初に参照すると、同図は、本発明の開示される実施形態に従って構成され、かつ動作可能である、電気的活動を評価して生きている対象の心臓12にアブレーション処置を実施するためのシステム10の図である。システムは、患者の脈管系を通って、心臓12の心腔又は脈管構造内に操作者16によって経皮的に挿入されるカテーテル14を備えている。通常、医師である操作者16は、カテーテルの遠位先端部18を、心臓壁、例えばアブレーション標的部位と接触させる。その開示が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第6,226,542号及び同第6,301,496号、並びに本願と同一譲受人に譲渡された米国特許第6,892,091号に開示される方法に従って、電気的活性化マップが作成され得る。システム10の要素を具現化する1つの市販の製品は、Biosense Webster,Inc.(3333 Diamond Canyon Road,Diamond Bar,CA 91765)より入手可能な、CARTO(登録商標)3システムとして入手可能である。このシステムは、本明細書に説明される本発明の原理を具現化するように、当業者によって変更されてもよい。
【0024】
例えば、電気的活性化マップの評価によって異常と判定された区域は、熱エネルギーの印加によって、例えば、心筋に高周波エネルギーを印加する遠位先端部18の1つ又は2つ以上の電極に、カテーテル内のワイヤを介して高周波電流を流すことなどによってアブレーションすることができる。エネルギーは、組織に吸収され、組織を電気的興奮性が恒久的に失われる点(通常、約60℃)まで加熱する。支障なく行われた場合、この処置によって心臓組織に非伝導性の損傷部が形成され、前記損傷部が、不整脈を引き起こす異常な電気経路を遮断する。本発明の原理は、異なる心室に適用されて、多数の異なる心不整脈を診断及び治療することができる。
【0025】
カテーテル14は、通常、アブレーションを行うために、操作者16が、所望により、カテーテルの遠位端の方向転換、位置決め、及び方向決めを行うことを可能にする、好適な制御部を有するハンドル20を備えている。操作者16を補助するため、カテーテル14の遠位部分には、コンソール24内に配置されたプロセッサ22に信号を供給する位置センサ(図示せず)が収容されている。プロセッサ22は、後述のような幾つかの処理機能を果たすことができる。
【0026】
アブレーションエネルギー及び電気信号を、遠位先端部18又はその付近に配置される1つ又は2つ以上のアブレーション電極32を通して、コンソール24に至るケーブル34を介し、心臓12へ及び心臓12から、伝えることができる。ペーシング信号及び他の制御信号は、コンソール24から、ケーブル34及び電極32を介して、心臓12へと搬送することができる。また、コンソール24に接続されている感知電極33は、アブレーション電極32の間に配設されて、ケーブル34へ接続している。
【0027】
ワイヤ連結部35は、コンソール24を、体表面電極30、及びカテーテル14の位置座標及び向き座標を測定するための位置決めサブシステムの他の構成要素と連結する。プロセッサ22又は別のプロセッサ(図示せず)は、位置決めサブシステムの要素であってよい。参照により本明細書に組み込まれる、Govariらに発行された米国特許第7,536,218号において教示されているように、電極32及び体表面電極30を使用して、アブレーション部位における組織インピーダンスを測定してもよい。温度センサ(図示せず)、一般的には熱電対又はサーミスタが、電極32のそれぞれの上又はその付近に載置されてもよい。
【0028】
コンソール24には通常、1つ又は2つ以上のアブレーション電力発生装置25が収容されている。カテーテル14は、例えば、高周波エネルギー、超音波エネルギー、及びレーザー生成光エネルギー等の任意の既知のアブレーション技術を使用して、心臓にアブレーションエネルギーを伝導するように適合され得る。このような方法は、参照により本明細書に組み込まれる、本願と同一譲受人に譲渡された、米国特許第6,814,733号、同第6,997,924号、及び同第7,156,816号に開示されている。
【0029】
一実施形態では、位置決めサブシステムは、磁場生成コイル28を使用して、所定の作業体積内に磁場を発生させ、カテーテルにおけるこれらの磁場を感知することによって、カテーテル14の位置及び向きを判定する磁気位置追跡の配置構成を含む。位置決めサブシステムは、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第7,756,576号、及び上記の米国特許第7,536,218号に記載されている。
【0030】
上述したように、カテーテル14は、コンソール24に連結されており、これにより操作者16は、カテーテル14を観察し、その機能を調節することができる。コンソール24は、プロセッサ、好ましくは、適当な信号処理回路を有するコンピュータを含む。プロセッサは、モニタ29を駆動するように連結される。信号処理回路は通常、例えば、カテーテル14内の遠位に配置された電気、温度、及び接触力センサ等のセンサ、並びに複数の位置感知電極(図示せず)が発生する信号を含む、カテーテル14からの信号を受信、増幅、フィルタリング、及びデジタル化する。デジタル化された信号は、コンソール24及び位置決めシステムによって受信され、カテーテル14の位置及び向きを計算し、電極からの電気信号を解析するために使用される。
【0031】
電気解剖学的マップを生成するために、プロセッサ22は典型的に、電気解剖学的マップ生成器と、画像位置合わせプログラムと、画像又はデータ解析プログラムと、モニタ29上にグラフィカル情報を提示するように構成されたグラフィカルユーザインタフェースと、を備える。
【0032】
簡略化のために図示されないが、通常、システム10は、他の要素を備える。例えば、システム10は、心電図(ECG)モニタを含んでもよく、このECGモニタは、ECG同期信号をコンソール24に供給するために、1つ又は2つ以上の体表面電極から信号を受信するように連結される。上述の通り、システム10はまた、通常、患者の身体の外側に取り付けられた外部から貼付された参照用パッチ、又は心臓12内に挿入され、心臓12に対して固定位置に維持されている、体内に置かれたカテーテルのいずれかにおいて、参照用位置センサを備える。アブレーション部位を冷却するための液体をカテーテル14を通って循環させるための従来のポンプ及びラインが設けられている。システム10は、MRIユニット等のような外部の画像診断法からの画像データを受信することができ、プロセッサ22によって取リ込み又は呼び出し、画像を生成及び表示することができる画像プロセッサを含む。
【0033】
接触力センサ
次に、本発明の一実施形態による接触力センサ37の概略斜視図である、
図2を参照する。中央コイル39は10μのエナメル銅線の1つ又は2つの層を備え、それらが円筒状の空気充填ポリイミドチューブ41の周りに巻き付けられて、中央の空芯インダクタ43を形成している。チューブ41の直径は、一般的に約0.8〜0.9mmである。ポリイミドチューブの周りに巻き付けられる10μmワイヤの1つの層の一般的な寸法は、外径0.947mm、長さ2.15mm、及び350巻である。中央コイル39は、一般に、チューブ41の長手方向軸線に対して横断方向で巻かれる。
【0034】
インダクタ43を取り囲むのは複数の楕円コイルである。3つの楕円コイル45、47、49が
図2に示されている。それぞれ、10μのエナメル銅線の10超過の層を備えて、一般的には2.15〜2.35cmの長軸と0.6〜0.8cmの短軸とをそれぞれ有する、空芯楕円コイルを作成している。この実施形態では、楕円コイル45、47、49は、各楕円の長軸を中央コイル39の長手方向軸線に対して平行にして、中央コイル39の周りに配設されている。楕円コイル45、47、49の巻線は、それぞれの楕円の一方の頂点から他方の頂点へとそれぞれ全体的に方向付けられている。楕円コイル45、47、49は、チューブ41の長手方向軸線を中心にして対称的に分配されている。リード線51は、楕円コイル45、47、49からプロセッサ(図示せず)へと信号を伝導する。リード線53は、中央コイル39からプロセッサへと信号を伝導する。
【0035】
次に、本発明の一実施形態によるセンサの断面図である
図3を参照する。楕円コイル45、47、49の120°間隔での分布が、この図において実証されている。楕円コイル45、47、49及び中央コイル39の形態のそれぞれの間に接触関係がある。信号をコイルから伝導するワイヤリード線55が設けられている。
【0036】
次に、本発明の一実施形態による空芯楕円コイル57の概略部分図である
図4を参照する。コイル57の線A−Aを通る断面59に示されるように、ワイヤ61の10層を超える層が楕円パターンで巻かれて、楕円形のエアコイルを形成している。
【0037】
次に、本発明の一実施形態による心臓カテーテル63の遠位部分の立面図である
図5を参照する。本発明の一実施形態に従って構築された接触力センサは、カテーテルのセグメント65内に配設されている。接触力センサを除いて、カテーテル63は、参照により本明細書に組み込まれる、本願と同一譲受人に譲渡されたGovariらによる米国特許出願公開第2009/0093806号に記載されているカテーテルであってもよい。カテーテル63は可撓性挿入チューブであり、患者の体腔内に挿入するための遠位端67と、体腔内の組織と接触させるように構成された遠位先端部69とを有する。弾性部材71は、遠位先端部69を遠位端67に連結し、遠位先端部69に掛かる圧力に反応して変形する。遠位先端部69が組織を係合するとき。プローブ内の接触力センサは、カテーテル63の遠位端67に対する遠位先端部69の位置を感知する。位置及びセンサ読取り値は、弾性部材71の変形に反応して変化する。
【0038】
次に、本発明の一実施形態に従って構成され、かつ動作可能である、従来の接触力センサを接触力センサ75に置き換えることによって修正されている、心臓カテーテル73の遠位部分の概略縦断面図である、
図6を参照する。操作者から見て、カテーテル63の操作は修正前のものと変わらない。しかしながら、修正前のものと比べてコイルは1つ少なく、電気チャネルも1つ少ない。送信コイル77は、接触力センサ75内の中央コイル及び楕円コイルに対する信号源として提供されている。4つの受信コイル79(楕円コイル45、47、49及び中央コイル39として
図2で最も良く分かる)が存在する。接触力センサ75は、外部磁場生成コイル28(
図1)及び送信コイル77から信号を受信し、それによって4つの受信コイル79は、それぞれの周波数の4つの電磁場に対して露出している。接触力センサ75の他の構成要素としては、送信コイル77と受信コイル79との間に配設されたばね81が挙げられる。本開示の範囲を越える機能を有する様々な一般的な非対称の金属構造体83が、心臓カテーテル73に存在してもよい。上述したように、金属構造体83は、接触力センサ75の読取り値に悪影響を及ぼす恐れがある。
【0039】
動作
上述したように、楕円コイル45、47、49は力の値及び方向に関する情報を提供する。中央コイル39は力の値に関する情報を提供する。
図2に戻ると、楕円コイル45、47、49及び中央コイル39で受信された信号が測定され、送信コイル77(
図6)によって生成された送信信号と、楕円コイルからの受信信号との比が、それぞれの周波数で磁場生成コイル28(
図1)からの信号を使用して、楕円コイル45、47、49及び中央コイル39のそれぞれに対して計算される。
【0041】
送信信号と受信信号との比は、力がカテーテルの先端に加えられていないときに取った測定値を用いて正規化される。
【0043】
校正後、カテーテルの先端に加えられる力は次式の通り推定される。
【0044】
【数3】
式中、M
ijは、成分F
x、F
y、F
zをそれぞれ含む、N力測定値の所与の行列に対して計算される校正要素である。4つの力測定値を、3つの楕円コイル45、47、49及び中央コイル39から得ることができる。
【0045】
4つ全てのコイルからの信号は、大きさ及び方向に関する解を提供する。
【0046】
4つ全てのコイルに関して、力ベクトルは次式の通りである。
式(2)
【0047】
単一のコイルのみが使用されている場合、式は次式のように変換される。
=[Fx]式(3)
【0048】
3つの楕円コイルからの信号によって提供される、大きさ及び方向に関する解は、4つ全てのコイルからの場合よりも精度が低い。
【0049】
中央コイルのみから得た信号は、大きさに関する解を提供するが、方向に関しては提供しない。
【0050】
接触力センサからの読取り値の大きさは、カテーテル及び電子部品のハードウェア構成に依存する。一般的に、検出される最大軸方向力は1.5N(150gm)である。横方向力は、0.3Nまで(30gmまで)は正確に測定することができ、それを超えると確度が低下する。力測定の分解能は0.01N未満(1gm未満)である。
【0051】
次に、本発明の一実施形態によるプローブと組織との間の接触を判定する方法のフローチャートである、
図7を参照する。プロセスの工程は、説明を分かりやすくするために、特定の線形的順序で示されている。しかしながら、かかる工程の多くは、並行して、非同期的に、又は異なる順序で行われてもよい点は明らかであろう。当業者であれば、プロセスを、例えば、状態図において、多数の相互に関連する状態又は事象としても代替的に表現され得ることを理解するであろう。更に、例示されているプロセスの工程のすべてが、かかる方法の実施に必要とされるわけではない。
【0052】
最初の工程85で、プローブを、被験体の体内に従来通り導入し、組織と接触させる。金属物は、接触力センサの読取り値に影響を及ぼす程十分に近傍に存在しているものと仮定される。
【0053】
次に、工程87で、式2に従って、4つの全てのコイルを、例えば楕円コイル45、47、49及び中央コイル39(
図2)を使用して、力ベクトル(A)を判定する。
【0054】
次に、工程89で、式1に従って、3つの楕円コイル45、47、49を使用して力ベクトル(B)を判定する。
【0055】
次に、工程91で、式3に従って、中央コイル39のみを使用して力ベクトル(C)を判定する。
【0056】
次に、決定工程93で、所定の基準、例えば2つの力の大きさの差が5%未満であるという基準に従って、工程91で中央コイル39から得られた力の大きさ(C)が、工程89で楕円コイル45、47、49から得られた力の大きさ(B)と一致するかを判定する。この基準は別の適用例では異なってもよい。
【0057】
決定工程93での判定が肯定である場合、制御は最終工程95に進行する。工程87で得られた4つ全てのコイルからの力の大きさ及び方向の読取り値(A)を使用して、プローブと組織との間の接触を評価する。
【0058】
決定工程93での判定が否定である場合、最終工程97では、中央コイル39から得られた力の大きさの情報(C)を使用して、プローブと組織との間の接触を評価する。方向の情報は利用できない。
【0059】
当業者であれば、本発明が上記で具体的に図示及び記載されたものに限定されない点を理解するであろう。むしろ、本発明の範囲は、上述した様々な特徴の組み合わせ及び部分的組み合わせ、並びに上記の説明を読むことで当業者が想到するであろう、先行技術にはない特徴の変形例及び改変例をも含むものである。
【0060】
〔実施の態様〕
(1) 装置であって、
患者の体腔内に挿入するための遠位部分を有する、可撓性プローブであって、前記プローブが、前記体腔内の組織と接触させられるように構成されている、遠位先端部を有する、可撓性プローブと、
前記遠位先端部を前記プローブの前記遠位部分に連結する弾性部材であって、前記遠位先端部が前記組織を係合したときに前記遠位先端部に掛かる圧力に反応して変形するように構成されている、弾性部材と、
前記弾性部材の変形に反応して変化する、前記プローブの前記遠位部分に対する前記遠位先端部の位置を感知するために、前記プローブの前記遠位部分内に配設された、位置センサであって、前記位置センサは、前記遠位先端部の近傍で発生する磁場に応じて前記遠位先端部の前記位置を示す信号を発生させるように構成されている、位置センサと、
前記磁場を発生させるための前記遠位先端部内の磁場発生器と、を備え、前記位置センサが、
長手方向軸線及び第1の巻線を有する導電性ワイヤの第1のコイルと、
それぞれの第2の巻線を有する導電性ワイヤの3つの第2のコイルであって、前記第2のコイルが、前記第1のコイルの前記長手方向軸線を中心にして対称的に分配されている、第2のコイルと、を備える、装置。
(2) 厳密に3つの第2のコイルが存在する、実施態様1に記載の装置。
(3) 前記第1の巻線が前記第1のコイルの前記長手方向軸線を中心にして方向付けられている、実施態様1に記載の装置。
(4) 前記第2のコイルが、長軸、第1の頂点、及び第2の頂点をそれぞれ有する楕円コイルである、実施態様1に記載の装置。
(5) 前記第2のコイルが前記第1のコイルと接触している、実施態様4に記載の装置。
【0061】
(6) 前記楕円コイルの前記長軸が、前記第1のコイルの前記長手方向軸線に平行である、実施態様4に記載の装置。
(7) 前記第2の巻線が、前記第1の頂点から前記第2の頂点へとそれぞれ方向付けられている、実施態様4に記載の装置。
(8) 前記第1のコイルが中空チューブの周りに巻き付けられている、実施態様1に記載の装置。
(9) 前記第2のコイルが空芯インダクタである、実施態様1に記載の装置。
(10) 方法であって、
遠位部分及び遠位先端部を有する可撓性プローブを患者の体腔に挿入する工程と、
前記プローブの前記遠位先端部を前記体腔内の組織と接触させる工程と、
前記遠位先端部が前記組織を係合したときに前記遠位先端部に掛かる圧力に反応して変形するように構成されている弾性部材を用いて、前記遠位先端部を前記プローブの前記遠位部分に連結する工程と、
前記プローブの前記遠位部分内に配設された位置センサを用いて、前記プローブの前記遠位部分に対する前記遠位先端部の位置を感知する工程であって、前記遠位先端部の前記位置が前記弾性部材の変形に反応して変化する、工程と、
前記遠位先端部の近傍で発生する磁場に応じて前記遠位先端部の前記位置を示す信号を発生させる工程と、
前記磁場を発生させるために前記遠位先端部内に磁場発生器を提供する工程と、を含み、前記位置センサが、
長手方向軸線及び第1の巻線を有する導電性ワイヤの第1のコイルと、
それぞれの第2の巻線を有する導電性ワイヤの3つの第2のコイルであって、前記第2のコイルが、前記第1のコイルの前記長手方向軸線を中心にして対称的に分配されている、第2のコイルと、を備える、方法。
【0062】
(11) 厳密に3つの第2のコイルが存在する、実施態様10に記載の方法。
(12) 前記第1の巻線が前記第1のコイルの前記長手方向軸線を中心にして方向付けられている、実施態様10に記載の方法。
(13) 前記第2のコイルが、長軸、第1の頂点、及び第2の頂点をそれぞれ有する楕円コイルである、実施態様10に記載の方法。
(14) 前記第2のコイルが前記第1のコイルと接触している、実施態様13に記載の方法。
(15) 前記楕円コイルの前記長軸が、前記第1のコイルの前記長手方向軸線に平行である、実施態様13に記載の方法。
【0063】
(16) 前記第2の巻線が、前記第1の頂点から前記第2の頂点へとそれぞれ方向付けられている、実施態様13に記載の方法。
(17) 前記第1のコイルが中空チューブの周りに巻き付けられている、実施態様10に記載の方法。
(18) 前記第2のコイルが空芯インダクタである、実施態様10に記載の方法。
(19) 信号を発生させる工程が、
前記第1のコイル及び前記3つの第2のコイルからの信号を使用して、第1の力ベクトルを判定することと、
前記3つの第2のコイルからの信号のみを使用して、第2の力ベクトルを判定することと、
前記第1のコイルからの信号のみを使用して、第3の力ベクトルを判定することと、
前記第2の力ベクトル及び前記第3の力ベクトルの差が閾値未満のとき、前記第1の力ベクトルを、前記遠位先端部の前記位置を示す信号として使用することと、
前記第2の力ベクトル及び前記第3の力ベクトルの差が前記閾値超過のとき、前記第3の力ベクトルを、前記遠位先端部の前記位置を示す信号として使用することと、を含む、実施態様10に記載の方法。