(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-86975(P2017-86975A)
(43)【公開日】2017年5月25日
(54)【発明の名称】靴の中敷又は履物底の構造
(51)【国際特許分類】
A43B 7/28 20060101AFI20170421BHJP
A43B 13/14 20060101ALI20170421BHJP
A43B 17/00 20060101ALI20170421BHJP
【FI】
A43B7/28
A43B13/14 B
A43B17/00 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【公開請求】
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2017-21396(P2017-21396)
(22)【出願日】2017年2月8日
(71)【出願人】
【識別番号】517042597
【氏名又は名称】山崎 竜
(74)【代理人】
【識別番号】100178102
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 晃
(72)【発明者】
【氏名】山崎 竜
【テーマコード(参考)】
4F050
【Fターム(参考)】
4F050AA01
4F050BA26
4F050BA27
4F050BA29
4F050BA30
4F050EA05
4F050EA06
4F050EA07
4F050EA08
4F050HA53
4F050HA58
4F050JA01
4F050LA01
(57)【要約】
【課題】革靴及び運動靴等の幅広い履物に使用する中敷又は履物底において、足底筋の強化を促し、腰への負担を軽減させる構造を提供する。また、運動時には、下半身の筋力を最大限に引き出し、最も踏ん張りやすい足の形状をつくり出す中敷又は履物底の構造を提供する。
【解決手段】足指受入部1、第1の隆起部2、第2の隆起部3、踵受入部4及び平面部5を有する。足指受入部1は各指の腹が配置されるべく5か所の凹部が形成され、第1の隆起部は足指受入部1に近接して幅方向にカーブを描いて形成され、第2の隆起部3は土踏まずの配置位置に長手方向に形成されている。踵受入部4は踵が配置されるべく円形又は略円形の凹部が形成されている。第2の隆起部3の外側の領域は平面5となっている。
重心をかかとに置きながら、5本指で靴底をつかみ、踏ん張る形を実現できる構造となっている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
足指受入部と、隆起部と、踵受入部と、平面部と、を有することを特徴とする靴の中敷又は履物底の構造。
【請求項2】
前記足指受入部は各指の腹が配置されるべく5の凹部が形成され、前記踵受入部は踵が配置されるべく円形又は略円形の凹部が形成されていることを特徴とする請求項1記載の靴の中敷又は履物底の構造。
【請求項3】
前記隆起部は、第1及び第2の隆起部によって構成され、前記第1の隆起部は前記足指受入部に近接して幅方向形成され、前記第2の隆起部は土踏まずの配置位置に長手方向に形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の靴の中敷又は履物底の構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トレーニング及びスポーツ時に力を発揮するための足裏矯正を目的とした靴の中敷又は履物底の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
市販の靴の中敷、又は靴、サンダル、草履、スリッパ、足袋、下駄などの履物の底の構造は、土踏まず等に配置したクッション・ゴムが、負荷を吸収して疲れを軽減させるものが多数である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−198399号公報
【特許文献2】特開2010−148540号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
土踏まず等にクッション・ゴムを配置した市販の靴の中敷又は履物の底の構造は、疲れを軽減させる程度の効果しか有さず、トレーニング及びスポーツ時に力を発揮するための足裏矯正を目的とする場合は不十分である。
【0005】
特許文献1には、母趾球部と母趾腹部がそれぞれ当て込める窪みを配設することにより足と履物とをフィットさせ、安定した歩行や走りを可能とする履物又は靴の中敷についての発明が開示されている。また、特許文献2には、踵部分にスポンジ素材の支障片(隆起部)を配置し、適度のつま先立ち運動により足腰をきたえることを課題とする靴の中敷が提案されている。
【0006】
しかしながら、特許文献1の発明は親指と母趾球の安定のみに焦点を当て、5本の指すべての屈曲と踵部分の重心を考慮していないことから、十分な安定性を確保することができないうえ、股関節が開けなくなり、腰が入らない状態をつくってしまう。また、特許文献2の発明は、踵上げ運動のみに注目するため、バランスのとれた運動効果を期待できないうえに、続けて使用した場合は膝や腰を故障する恐れもある。
【0007】
本発明は上記の従来品の問題点に鑑み、ウェイトトレーニングにおいて最も重要な三大トレーニングのうちの1つであるデットリフト種目(下半身・背筋・体幹強化)実施時の足裏の意識(踵に重心)及びトップアスリートの足裏の構造(つま先・地面をつかむ)を参考にし、踵に重心をおいた状態から5本指を屈曲の状態に定め、地面をつかみ踏ん張る足の動きを通して、足底筋強化を計り、土踏まずを作り出すことができる靴の中敷又は履物底の構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の課題を解決するために、請求項1記載の靴の中敷又は履物底の構造は、足指受入部と、隆起部と、踵受入部と、平面部と、を有することを特徴とする。
【0009】
請求項2記載の靴の中敷又は履物底の構造は、請求項1記載の該構造において、前記足指受入部は各指の腹が配置されるべく5の凹部が形成され、前記踵受入部は踵が配置されるべく円形又は略円形の凹部が形成されていることを特徴とする。
【0010】
請求項3記載の靴の中敷又は履物底の構造は、請求項1又は2記載の構造において、前記隆起部は、第1及び第2の隆起部によって構成され、前記第1の隆起部は前記足指受入部に近接して幅方向形成され、前記第2の隆起部は土踏まずの配置位置に長手方向に形成されていることを特徴とする
【発明の効果】
【0011】
ウェイトトレーニング初心者等では、上記デットリフト種目時に、フォームが確立しないまま高重量のトレーニングを行い、腰を負傷するケースが多くみられるが、本発明に係る構造を有する中敷等の使用により、正しい足裏の状態を導きだし、股関節・腰痛予防(背筋が丸まらず、腰を入れることができる)及び各種運動種目の記録向上を期待できる。
【0012】
本発明に係る構造を有する中敷等の使用により、タオルギャザー(足底筋強化トレーニング)と同じ効果を期待することができ、日常に履くだけで土踏まずをつくり出す。これにより、幼児・児童の偏平足改善予防、老化による足底筋低下を防ぎ、腰痛予防の効果を期待できる。
【0013】
本発明に係る構造を有する中敷等の使用により、踵に重心を置きながら5本指で地面をつかむ足の動きが実現し、これにより、下半身の筋力を最大限に活かすことのできる足の形状を作り出すことができる。
【0014】
各種スポーツ競技において、足が使えていないなどの下半身に弱点のあるアスリートは、本発明に係る構造を有する中敷等の使用により、該弱点を改善することが期待できる。
【0015】
本発明に係る構造を有する中敷等を有する靴を履くだけで、体のバランスを整え、腰や下半身に負担をかけず、疲れにくいという効果も期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本実施形態の靴の中敷等の構造を示す平面図(右足用)である。
【
図2】本実施形態の靴の中敷等の構造を示す側面図(右足用)である。
【
図3】本実施形態の構造を有する靴の中敷等を使用したときの靴内部の足の状態を示すイメージ図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本実施形態の中敷等の構造について、各部の詳細と機能を図を用いて説明する。
図1乃至3に示すように、本実施形態の中敷等は、足指受入部1、第1の隆起部2、第2の隆起部3、踵受入部4及び平面部5により構成される。
【0018】
足指受入部1は、5本指が屈曲した際に、それぞれの指が踏ん張るための定位置を与えるもので、1mm程度の窪みが形成され、印がつけられている。
【0019】
第1の隆起部2は、最頂部において2.0〜2.5cm程度の高さを有し、ポリウレタン・エチレン等の酢酸ビニル樹脂(EVA)・合成樹脂などのクッション材及びゴム等の弾性を有する素材より成る。5本指が、猿の足のように、しっかりと屈曲し、地面をつかむ状態をつくりだすために設置された隆起である。親指だけに力が入ると股関節が開けなくなり、腰が入らないので、5本の指がそろって屈曲するように、親指側から小指側に向かいカーブをつけて配設されている。
【0020】
後述の第2の隆起部3(土踏まず)だけでなく、この部分にも第1の隆起部を設置したもう一つの理由は、土踏まずだけではなく、足指の付け根にもクッションを配置することにより、O脚になりにくい構造にするためである。
【0021】
第2の隆起部3は、足裏に土踏まずのアーチをつくり出すためのものである。素材は、第1の隆起部2と同じく、クッション材とゴム等を用い、最頂部において2.0〜2.5cm程度の高さを有する。踵に重心がのるよう、通常の土踏まずの形状よりも高く設定した。股関節を負傷しないようにするためである。
【0022】
第1の隆起部2、第2の隆起部3の外周縁は、ともに角がないよう丸みを帯びる形で前記クッション材が配置されている。足裏に負荷をかけ過ぎないようにするためである。
【0023】
踵受入部4は踵の位置を提供するもので、1mm程度の窪みが設置され、印がつけられている。体の重心が前に行き過ぎると、股関節に負荷がかかりすぎ負傷の原因になるため、足指受入部1より若干低いか又は同等の高さになっている。 この部分の素材は、踵に重心がのっても痛く無いよう、適度にクッション材を用いた。
【0024】
第2の隆起部3の外側の領域は平面5となっている。この領域を盛り上げてしまうと、股関節が開かなくなり、腰が丸まってしまうので、土踏まずのみ盛り上げて、腰を入れることができるようにして腰痛を予防するとの意図による。
【0025】
図3は、本実施形態の構造を有する靴の中敷等を使用したときの靴内部の足の状態を示す。重心をかかとに置きながら、5本指で靴底をつかみ、踏ん張る形を実現している。これは、デットリフト時の足の形、及びトップアスリートたちが踏ん張って下半身の力を引き出すときの足の形と同じである。デットリフトでは、地面をつかむという意識だけでなく、5本指を屈曲して立てなければ、かかとに重心が行かず、つま先の方に重心が行ったままになると股関節や腰を壊してしまう。本発明の技術的思想の根幹は、まさにここにある。
【符号の説明】
【0026】
1 足指受入部
2 第1の隆起部
3 第2の隆起部
4 踵受入部
5 平面部