(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-87114(P2017-87114A)
(43)【公開日】2017年5月25日
(54)【発明の名称】グリスフィルター
(51)【国際特許分類】
B01D 45/06 20060101AFI20170421BHJP
F24F 7/06 20060101ALI20170421BHJP
B01D 45/08 20060101ALI20170421BHJP
【FI】
B01D45/06 101
F24F7/06 101A
B01D45/08 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-218099(P2015-218099)
(22)【出願日】2015年11月6日
(71)【出願人】
【識別番号】599094990
【氏名又は名称】サンタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088133
【弁理士】
【氏名又は名称】宮田 正道
(72)【発明者】
【氏名】三浦 雅博
【テーマコード(参考)】
3L058
4D031
【Fターム(参考)】
3L058BK04
3L058BK05
4D031AB06
4D031AB21
4D031BA07
4D031EA01
(57)【要約】
【課題】凝集した油脂分等の粒子を衝突した外側壁で捕捉して排気口から放出されないグリスフィルターを提供する。
【解決手段】吸気口21側と排気口23側とが略く字状に屈曲した通風路5を形成した。屈曲したコーナー部22から折り返した排気口23側の通風路5内に、コーナー部22方向へ外側鈑面1Aから衝突鈑6を突設した。衝突鈑6によって油脂分が排気口23から放出されるのを阻止すると共に、外側鈑面1Aと衝突鈑6で形成される空間7に保留され、且つ側鈑面1A及び衝突鈑6に油脂分が付着して捕捉する作用を高める。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸気口側と排気口側とが略く字状に屈曲した通風路を形成して成るグリスフィルターにおいて、屈曲したコーナー部から折り返した排気口側の通風路内に、コーナー部方向へ外側鈑面から衝突鈑が突設されていることを特徴とするグリスフィルター。
【請求項2】
衝突鈑が、排気口側の通風路を構成する外側鈑の先端部を折り返した状態で形成されていることを特徴とする請求項1に記載のグリスフィルター。
【請求項3】
コーナー部内側に通風路を狭めた遮狭鈑が形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のグリスフィルター。
【請求項4】
通風路の屈曲が吸気口面の左右側で逆方向に配置されていることを特徴とする請求項1乃至3に何れかに記載のグリスフィルター。
【請求項5】
吸気口からコーナー部に至る一部の通風路を幅方向に二分した分割鈑が設置されていることを特徴とする請求項1乃至4に何れかに記載のグリスフィルター。
【請求項6】
分割鈑が通風路のコーナー部の外側鈑方向へ湾曲していることを特徴とする請求項5に記載のグリスフィルター。
【請求項7】
分割鈑が内外側鈑と平行でない角度に設置されていることを特徴とする請求項5又は6に記載のグリスフィルター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油煙等の排気中に含まれる油脂分等の粒子(ミスト状態のものも含まれる)を捕捉するためのグリスフィルターに関するもので、特に厨房などで発生する油脂分やダストを捕捉するためのグリスフィルターに適するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、厨房などで発生する油煙等の排気中に含まれる油脂分等の粒子を捕捉するため、断面視概略「く」字状(以下「略く字状」という。)をした通風路を形成し、吸気側の通風路と排気側の通風路、及び吸気側から排気側へ風向きを変える中間のコーナー部とで構成されるグリスフィルターが知られている。
【0003】
この屈曲路を構成したグリスフィルターは、その通風路を排気が通風する時に発生する縮流によってミストを慣性分離させ、主に遠心力によりミストが飛ばされる方向の外周側壁にミストを衝突させ、油脂分を凝集させて捕捉するものである。
【0004】
そして、分離性能が高くなるにしたがって屈曲路の抵抗が大きくなる関係にあり、分離効果を高めるために屈曲路を狭くして流速を速くし、或いは、縮流による分離箇所を増加させるために繰り返し屈曲路を構成する等、通風抵抗を大きくすることで分離捕捉効果を高めている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平07−100318号公報
【特許文献2】特開2004−130257号公報
【特許文献3】特開2015−167910号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特開平07−100318号公報、及び特開2004−130257号公報で開示されているグリスフィルターは、吸引側と排気側とが略く字状に屈曲させて連続したく字状場鈑を複数並設し、これを枠体で囲んで構成したパネル状を成し、前記く字状鈑の両端部を、枠体を構成する枠材のうち一対の対向する枠材内にはめ込んで固着し、隣り合う略く字状鈑間を通風径路に形成したものである。
【0007】
そこで、略く字状に吸気側の通風経路と排気側の通風経路を形成して縮流を発生させ慣性分離作用を与えることを期待するのであるけれど、屈曲角度によっては当該通風経路に沿ってスムーズに排気煙が通過してしまい予定の縮流が生じないことがある。
また屈曲角度をあまりにも鋭角に設定すると抵抗が大きくなって、処理能力の低下をきたし吸引力を多大にしなければならなくなるため、効率を図るためには排気ファンの大型化を余儀なくされ、それに伴う騒音の問題も生じる。
【0008】
また、特開2015−167910号公報は、吸気口側と排気口側とが略く字状に屈曲した通風路を複数並設して構成するグリスフィルターにおいて、表裏のカバー材で中間板材を挟着して本体を構成し、前記カバー材には定間隔で穿設したコ型スリット内の舌片を中間板材側へ折曲して開口部を形成すると共に、折り曲げた舌片間を通風路としたこと、表側のカバー材の開口部を吸気口とし、裏側のカバー材の開口部を排気口とし、吸気口側の通風路と排気口側の通風路を略く字状に配置すると共に、対向する各通風路を連通する窓孔を前記中間板材に形成したことを特徴とするものである。
【0009】
上記と同様に、通風路を排気煙が通風する時に発生する縮流によって油脂分等の粒子を慣性分離させ、遠心力により油脂分等の粒子が飛ばされる方向の外側壁に油脂分を衝突させ、油脂分を凝集させて捕捉するものであるが、凝集した油脂分等の粒子がそのまま通過して排気口から放出してしまう場合が少なからずある。
そこで、本発明は、凝集した油脂分等の粒子を衝突した外側壁で捕捉して排気口から放出されないグリスフィルターを提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の本発明のグリスフィルターは、吸気口側と排気口側とが略く字状に屈曲した通風路を形成して成るグリスフィルターにおいて、屈曲したコーナー部から折り返した排気口側の通風路内に、コーナー部方向へ外側鈑面から衝突鈑が突設されていることを特徴とするものである。
【0011】
請求項2に記載の本発明は、請求項1に記載の発明において、衝突鈑が、排気口側の通風路を構成する外側鈑の先端部を折り返した状態で形成されていることを特徴とするものである。
【0012】
請求項3に記載の本発明は、請求項1又は2に記載の発明において、コーナー部内側に通風路を狭めた遮狭鈑が形成されていることを特徴とするものである。
【0013】
請求項4に記載の本発明は、請求項1乃至3の何れかに記載の発明において、通風路の屈曲が吸気口面の左右側で逆方向に配置されていることを特徴とするものである。
【0014】
請求項5に記載の本発明は、請求項1乃至4の何れかに記載の発明において、吸気口からコーナー部に至る一部の通風路を幅方向に二分した分割鈑が設置されていることを特徴とするものである。
【0015】
請求項6に記載の本発明は、請求項5に記載の発明において、分割鈑が通風路のコーナー部の外側鈑方向へ湾曲していることを特徴とするものである。
【0016】
請求項7に記載の本発明は、請求項5又は6に記載の発明において、分割鈑が仕切鈑と平行でない角度に設置されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に記載の発明は、油脂分を含んだ排気煙がコーナー部をVターンして油脂分が慣性分離すると共に、コーナー部を通過する時に発生する遠心力によって油脂分等の粒子(以下単に「油脂分」という。)を分離し、そして遠心力によって飛ばされる方向の外側鈑面に沿って油脂分が通過しようとするため、コーナー部方向へ外側鈑面から突設された衝突鈑によって油脂分が排気口から放出されるのを阻止すると共に、外側鈑面と衝突鈑で形成される空間に保留され、且つ側鈑面及び衝突鈑に油脂分が付着して捕捉する作用を高める効果を有するものである。
【0018】
請求項2に記載の発明は、請求項1の発明の効果に加えて、衝突鈑が、排気口側の通風路を構成する外側鈑の先端部を折り返した状態で形成されているため、排気口まで捕捉できずに進行してきた油脂分が衝突鈑に当たって、確実に保留して補足できる効果を発揮する。
また、通風路を構成する外側鈑の先端部を折り曲げることで、簡単容易に側鈑面から突設された衝突鈑を形成できる効果を有する。
【0019】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2の発明の効果に加えて、コーナー部内側に通風路を狭めた遮狭鈑を形成したため、コーナー部の通風路が狭まって、縮流を生じさせて排気煙の流速を速めて通風抵抗が大きくなり、発生する遠心力によって油脂分を分離し、飛ばされる方向の側面鈑に油脂分が衝突して凝集した油脂分等を捕捉する作用を高める効果を有するものである。
【0020】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3の何れかの発明の効果に加えて、通風路の屈曲方向を左右側で逆に配置することによって、排気口から排出される排気が中央に集まり、合流して加速し戸外への排気を円滑に行うことができる効果を発揮する。
【0021】
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4の何れかの発明の効果に加えて、吸気口からコーナー部に向けて分割鈑を設置し、吸気口からコーナー部に至る一部の通風路を幅方向に二分したため、二方向から来た排気煙が狭くなったコーナー部付近で衝突・合流しより大きな縮流が発生し、油脂分の慣性分離を促進させると共に、縮流の遠心力により仕切鈑や分割鈑へ衝突し衝撃よる油脂分の凝集捕捉の効果も得られるものである。
【0022】
請求項6に記載の発明は、請求項5の発明の効果に加えて、分割鈑が通風路の屈曲したコーナー部の外側方向へ湾曲しているため、吸気口からコーナー部の外側の通風路を通過する排気煙が外側の仕切鈑の方向に誘導されて衝突して、真っ直ぐ狭窄されたコーナー部を通過してしまうのを回避し、吸気口からコーナー部の内側の通風路を通過する排気煙と衝突・合流して確実に縮流を発生させる効果を発揮するものである。
【0023】
請求項7に記載の発明は、請求項5又は6の発明の効果に加えて、分割鈑が内外側鈑と平行でない角度に分割鈑を設置したものであるから、コーナー部の外側方向へ傾斜した角度で設置すれば、前記請求項6と同様の効果を発揮するものである。
【0024】
また、分割鈑をコーナー部の内側方向へ傾斜した角度で設置すれば、コーナー部の外側の通風路を通過する排気煙は、いったんは拡散してコーナー部で絞られることになると同時に速度が緩み、コーナー部の内側の通風路を通過する排気煙は通路が絞られて速度を増し、外側の通風路を通過する排気煙とコーナー部付近で衝突・合流しより大きな縮流を発生させる効果を発揮するものである。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の一実施の形態を示す分解した斜視図である。
【
図2】遮狭鈑を取付枠に取り付ける状態を示す斜視図である。
【
図4】
図3のA−A線断面図(a)及び一部拡大断面図(b)である。
【
図5】本発明のグリスフィルターの油分分離作用を示す原理図である。
【
図6】本発明の変形例であるグリスフィルターの一部横断面図である。
【
図7】本発明の別の変形例であるグリスフィルターの一部横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の実施の形態を図面の一実施例に基づいて説明する。
図1は本発明の一実施の形態を示す分解した斜視図、
図3は組み立てた状態を示す斜視図である。
【0027】
本発明のグリスフィルターは、吸気口21側と排気口23側とが略く字状に屈曲した通風路5を形成し、前記通風路5は幅方向へ仕切鈑1を平行に複数並設して構成している。
したがって、中間位置の仕切鈑1は隣り合う通風路5の内側鈑面と外側鈑面を兼ねている。
【0028】
また、排気口23側の仕切鈑1の先端部は、通風路5を構成する外側鈑面1Aに位置する側へ鋭角に折り返され、この折り返した部位が衝突鈑6と成っている。
即ち、吸気口21側と排気口23側とが略く字状に屈曲した通風路5、5を形成して成り、屈曲したコーナー部22から折り返した排気口23側の通風路5内に、コーナー部22方向へ外側鈑面1Aから衝突鈑6が突設されている構成を有するものである。
この衝突鈑6は排気口23側の仕切鈑1において、外側鈑面1Aの中間部から突設される状体で板状鈑を植設等して形成してもよい。
【0029】
そして、屈曲したコーナー部22の内側に遮狭鈑3を配設し、コーナー部22の通風路5を狭めてある。
さらに、吸気口21からコーナー部22に向けて分割鈑4を設置し、吸気口21からコーナー部22に至る一部の通風路5を幅方向に二分5A、5Bした構成となっている。
【0030】
仕切鈑1と遮狭鈑3は、一枚鈑を折曲して形成したもので、折曲した一方を仕切鈑1とし、他方を遮狭鈑3としてある。
仕切鈑1の幅は通風路5の吸気口21側又は排気口23側の長さと成り、遮狭鈑3はコーナー部22の通風路5を狭める長さ(幅)と成り、各所定の寸法で設計される。
【0031】
そして、複数の遮狭鈑3、3・・・の上下端部を取付枠11の上・下枠12、13に定間隔で当着固定し、隣設した仕切鈑1間に通風路5を形成する。
遮狭鈑3の当着固定は、上・下枠12、13の表裏両面になされ、各面において折曲した仕切鈑1が平行に突出する方向に、定間隔をおいて各遮狭鈑3を上・下枠12、13に当着固定するものである(
図2)。
また、上・下枠12、13の表裏両面において、仕切鈑1が反対方向へ傾斜して突出するように両面の遮狭鈑3、3が重合する位置で当着固定して通風路5、5を形成している。
【0032】
したがって、取付枠11の表裏面に遮狭鈑3が取り付けられ、平行に突出した仕切鈑1、1・・・間が通風路5、5と成り、仕切鈑1、1・・・の両面は反対方向に突出し、且つ両面の遮狭鈑3、3が重合する位置で当着固定されているため、各面の通風路5、5が連通し、略く字状に屈曲した通風路5、5を形成できるのであり、一方の面が吸気口21側、他方の面が排気口23側と成る。
【0033】
そして、この屈曲したコーナー部22の内側に遮狭鈑3が位置し、コーナー部22において吸気口21側及び排気口23側に対する通風路5、5を連通するコーナー部22の幅を狭めている。
遮狭鈑3を上・下枠12、13に当着固定する間隔によって通風路5、5の幅が決定され、遮狭鈑3の長さ(幅)によってコーナー部22の通風路5を狭める長さを決定できるものである。
【0034】
実施の形態例における図面では、通風路5を左右異なる方向へ傾斜して突出させた二枚の取付枠11を一組としている。
また、通風路5、5を形成した取付枠11には連結片14が表裏面へ突設してあり、当該連結片14はフレーム枠15の連結片16に固定し、2枚の取付枠11、11はフレーム枠15の左右に併設して納められる。
このフレーム枠15の外周面はグリスフィルターの周囲面を構成する。
【0035】
一方、吸気口21からコーナー部22に向けて一部の通風路5を幅方向に二分5A、5Bする分割鈑4は、矩形の平面鈑に一定間隔でコ型スリットを穿設し、スリット内の舌片を一面側へ折り曲げて形成してある。
また、前記矩形の平面鈑の周囲端は、分割鈑4が形成された同一面側へ折曲して枠面41を形成し、前記フレーム枠15の外周面と重合してグリスフィルターの周囲面を構成する。
【0036】
そして、分割鈑4を形成した窓孔42の中間部に仕切鈑1の先端部を位置せしめて窓孔42を分ける関係となり、仕切鈑1で分かれた隣設する各窓孔42、42・・・が通風路5を二分5A,5Bした吸気口21となり、窓孔42は開口しているから通風に問題がなく、窓孔42と前記矩形の平面鈑の残余部43の幅長が吸気口21の横幅と同一長さとなる。
【0037】
図面の実施の形態例では、中央の左右で分割鈑4の折り曲げ方向を逆にして、前記二枚の取付枠11、11の左右異なる方向へ傾斜した通風路5に合わせてある。
通風路5の屈曲方向を左右側で逆に配置することによって、排気口23から排出される排気が中央に集まり、合流して加速し戸外への排気を円滑に行うことができる作用を奏する。
【0038】
したがって、排気装置に設置された本発明のグリスフィルターでは、排気煙が吸気側の吸気口21から通風路5A、5Bを通り、コーナー部22を抜けて排気側の通風路5を通って排気口23に至る屈曲径路を通過するのである。
そして、油脂分を含んだ排気煙が遮狭鈑3で狭まったコーナー部22を通過する際に、縮流をおこすと同時に気流がVターンをして油脂分等が慣性分離するので、その径路を通過する時に発生する遠心力によって油脂分等を分離し、遠心力により油脂分等が飛ばされる方向の仕切鈑1や遮狭鈑3に油脂分等が衝突し、凝集されて捕捉する作用を奏するものである(
図4)。
【0039】
また、排気煙がコーナー部をVターンして油脂分が慣性分離すると、その径路を通過する時に発生する遠心力によって油脂分等を分離し、そして遠心力によって飛ばされる方向の仕切鈑1の外側鈑面1Aに沿って油脂分が通過しようとするため、コーナー部22の方向へ仕切鈑1から突設された衝突鈑6によって油脂分が排気口23から放出されるのを阻止すると共に、仕切鈑1の外側鈑面1Aと衝突鈑6で形成される空間7に保留され、且つ仕切鈑1の外側鈑面1A及び衝突鈑6に油脂分が付着して捕捉する作用を高める。
【0040】
また、吸気口21からコーナー部22に向けて分割板4を設置し、吸気口21からコーナー部22に至る一部の通風路5を幅方向に二分5A、5Bしたため、二方向から来た排気煙が狭くなったコーナー部22付近で衝突・合流してより大きな縮流が発生し、油脂分等の慣性分離を促進させると共に、縮流の遠心力により仕切鈑1や分割鈑4又は遮狭鈑3へ衝突し、衝撃による油脂分等の凝集捕捉を為す作用を奏するものである。
【0041】
図面の実施の形態例では、分割鈑4が通風路5の屈曲したコーナー部22の外側方向へ湾曲しているため、吸気口21からコーナー部22の外側の通風路5Aを通過する排気煙が外側の仕切鈑1の方向へ誘導され、真っ直ぐ狭窄されたコーナー部22を通過してしまうのを回避し、吸気口21からコーナー部22の内側の通風路5Bを通過する排気煙と衝突・合流して確実に縮流を発生させる作用を奏する(
図5)。
【0042】
また、分割鈑4は仕切鈑1と平行でない角度に設置しても良く、コーナー部22の外側方向へ傾斜した角度で設置すれば前記湾曲させた分割鈑4と同様の作用を奏するものである(
図6)。
【0043】
更に、分割鈑4をコーナー部22の内側方向へ傾斜した角度で設置すれば、コーナー部22の外側の通風路5Aを通過する排気煙は、いったんは拡散してコーナー部22で絞られることになると同時に速度が緩み、コーナー部22の内側の通風路5Bを通過する排気煙は通路が絞られて速度を増し、外側の通風路5Aを通過する排気煙とコーナー部22付近で衝突・合流し、より大きな縮流を発生させる作用を奏するものである(
図7)。
【0044】
図面の実施の形態例では、仕切鈑1の傾斜は中央部を境に左右方向に分かれているけれど、何れかの同一方向へ統一させても良く、使用場所等の条件に併せて設計する事項である。
また、底面を形成するフレーム枠15、及び分割鈑4を形成した枠面41が重合した底面に油抜き孔を形成しておけば、仕切鈑1や遮狭鈑3及び分割鈑4或いは衝突鈑6に衝突、凝集され、捕捉して流下した油脂分等を排出する作用を奏するものである。
【0045】
油脂分等の分離性能は屈曲径路の抵抗の大小が関っているため、通風路5の横幅に対して遮狭鈑3の横幅を任意に設定することによって、通風抵抗を増減でき、適所のグリスフィルターを簡単の提供することが可能である。この種のフィルターの材質はステンレスを用いることが多く、油脂分等の付着を防止する表面処理や、洗浄時に流れ落ち易くするための特殊処理を行うこともできる。
【0046】
以上、本発明を実施の形態を図面に基づき具体的に説明したが、発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、発明の思想を逸脱することない範囲の他の実施の形態にも適用可能である。
【符号の説明】
【0047】
1 仕切鈑
1A 仕切鈑の外側鈑面
3 遮狭鈑
4 分割鈑
5、5A、5B 通風路
6 衝突鈑
7 空間
11 取付枠
12 上枠
13 下枠
14、16 連結片
15 フレーム枠
21 吸気口
22 コーナー部
23 排気口
41 枠面