【課題】スポット溶接用溶接ガンの電極チップに対して先端面の直径サイズ、汚染または破損の有無、研磨状態、整列状態、及び押圧力を確認して電極チップの適合か否かを検査する
【解決手段】リアルタイムモニタリング可能な電極チップ検査装置及びこれを備えた溶接システムに関するものであって、電極チップを安着した以後、上下電極チップの先端の間に配置したミラー50を用いて可視光及びレーザービームで電極チップの先端を照明し、ミラー50を用いて可視光映像及びレーザービーム映像を獲得し、可視光映像で電極チップの先端の汚染または破損部位を検出し、レーザービーム映像で電極チップの先端面の直径を検出し、同時に押圧力を測定し、電極チップを安着させる以前に電極チップの整列状態を検査することも可能であり、検査結果をリアルタイムモニタリングできるように構成される。
溶接ガンに相互対向するように装着された一対の電極チップを先端の縁側を上下ホールにかけられるように安着して、少なくとも電極チップの先端面が内部に向かうようにした本体と、
受光軸が上下ホールの間を繋ぐ鉛直線と直交するように本体の内部に収容したカメラと、
上下ホールの間に向けて可視光を照射する可視光光源と、
上下ホールの間に向けてレーザービームを照射するレーザー光源と、
上下ホールの間に配置されて可視光及びレーザービームを上下ホールに安着された電極チップの先端に照射されるように反射し、電極チップの先端の映像を反射してカメラに撮像されるようにするミラーと、
カメラで撮像された映像のうち、可視光映像から電極チップの先端の汚染または破損部位を検出し、レーザービーム映像から電極チップの先端面の直径を検出して、電極チップの先端の良不良を判定するコントローラと、
を含んで構成されることを特徴とする、リアルタイムモニタリング可能な電極チップ検査装置。
前記ミラーは回転可能に設置された1つのミラーで構成されて上下ホール方向の映像を交互にカメラに撮像されるようにすることを特徴とする、請求項1に記載のリアルタイムモニタリング可能な電極チップ検査装置。
前記カメラの受光軸上にハーフミラーを装着し、前記可視光光源の可視光をハーフミラーに反射させて前記ミラーに向けて照射されるようにして、可視光の光軸と前記カメラの受光軸とを一致させる同軸照明になることを特徴とする、請求項2に記載のリアルタイムモニタリング可能な電極チップ検査装置。
前記コントローラは電極チップの先端がホールに安着する以前に前記ミラーを回転させ、上下電極チップの先端の可視光映像を獲得するように制御し、獲得した両側電極チップの先端の可視光映像から電極チップの整列状態に対して良不良を判定することを特徴とする、請求項1に記載のリアルタイムモニタリング可能な電極チップ検査装置。
電極チップの先端が安着される上下ホールは、各々押えによりストレインゲージを押圧する板材に形成して、電極チップの押圧力をストレインゲージで測定することを特徴とする、請求項1に記載のリアルタイムモニタリング可能な電極チップ検査装置。
電極チップが備えられた溶接ガンを装着した溶接ロボットを制御して溶接工程を遂行し、研磨周期に合せて電極チップをチップドレッサーで研磨するようにする溶接コントローラと、溶接電圧、溶接電流、溶接時の押圧力、電極温度、または溶接状態を含む溶接モニタリングデータを溶接コントローラから収集する溶接モニタリング装置を含む溶接システムであって、
請求項1から8のうちのいずれか一項に記載の電極チップ検査装置を溶接コントローラと通信するように具備し、
溶接コントローラは電極チップを研磨した以後、溶接待機時間または予め設定した所定回数の溶接を遂行した以後に電極チップを前記電極チップ検査装置で検査するように制御し、検査結果の伝達を受けて電極チップを研磨するか否かを決定し、
溶接モニタリング装置は検査結果を溶接コントローラから伝達を受けてモニタリングしながら履歴管理し、溶接モニタリングデータと検査結果との間の相関関係分析を遂行して研磨周期設定、溶接品質管理、溶接不良追跡、または電極消耗管理を含んだ工程管理のための情報を生成することを特徴とする、溶接システム。
【背景技術】
【0002】
スポット溶接(spot welding)は溶接母材を重ねておいて、溶接しようとする部位を一対の電極に押圧しながら局部的な高電流を流して、溶接母材の重なった部位を抵抗により発生する熱エネルギーで溶融させて接合する溶接である。このようなスポット溶接は溶接作業が簡単で、かつ錆や熱による溶接母材の変形もよく起こらないので、自動車車体ライン及び多様な製品の生産現場で広く使われている。
【0003】
図1は一般的に使われるスポット溶接用溶接ガン1の例示図であって、中心軸が一致するように互いに対向し、間隔調節可能な一対のシャンク(shank)1aと、それぞれのシャンク1aの端部に脱着可能に装着する電極チップ2を備えて、シャンク1aと電極チップ2とで構成される電極でスポット溶接するようになっている。
【0004】
そして、電極チップ2の先端面2aは平らな円形であり、先端面2aから始まって外周縁に向けて徐々に直径が大きくなる弧面2bが形成される。このような電極チップ2の先端形状のうち、特に先端面2aの直径は溶接品質を大きく左右する。また、溶接工程を反復遂行することによって電極チップ2の先端が酸化被膜などの異質物により汚染または破損されるか、または元の先端面直径のサイズが拡大されれば、溶接品質を格段に低下させる。
【0005】
ここに、電極チップ2の先端を正面から撮影した映像を用いて検査し、検査結果によって不良の時にチップドレッサーで研磨し、研磨の以後にも電極チップの先端を検査して適合に練磨された時に溶接工程に投入されるようにする。
【0006】
一般に、先端面2aの直径サイズだけでなく、汚染及び破損部位も共に検査するために電極チップの先端の全体を均等に照明しながら撮影し、撮影して得たイメージから先端面2aの輪郭を検出して先端面2aの直径から接合されたか否かを判定し、色明るさの差または色濃度の差により検出する汚染及び破損部位のサイズによって適合か否かを判定する。
【0007】
しかしながら、このような方法により電極チップの先端を撮影して得るイメージには先端面2aの輪郭が鮮明に表れないので、先端面の直径を正確な値として得ることは困難である。
【0008】
一方、電極チップの先端の直径サイズを正確に得るために2方向の側面から撮影して測定することが良いが、製造工程ではできる限り溶接ロボットの活動に干渉を与えてはならない。
【0009】
溶接システムは溶接ガン1をアーム(arm)に装着して溶接位置に移動させた後、溶接ガン1で溶接するようにする溶接ロボット、溶接ガン1に必要な溶接電流を供給する給電装置、溶接ガン1の電極温度を下げるための冷却水供給装置、電極チップの研磨のためのチップドレッサー、溶接ロボットの動作、溶接電流の供給、冷却水の循環、電極チップ研磨など、溶接工程の全般を制御する溶接コントローラ、溶接コントローラにより制御される溶接状況を各種センサーを用いてモニタリングし、溶接工程及び溶接品質を管理するモニタリング装置を含む。
【0010】
ここに、電極チップ検査装置は溶接システムに干渉されない設置位置に設置し、かつ特に溶接ロボットの挙動に干渉されない設置位置に最小限のサイズに構成して設置しなければならない。ここに、電極チップの先端を正面から撮影して得るイメージで電極チップの先端の形状を正確に得ることが良い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明で解決しようとする課題は、電極チップの先端の汚染及び破損部位を検出しながら先端面の直径をより正確に検出すると共に、押圧力を測定し、最小限のサイズに製作可能であるので、溶接ロボットにより溶接工程がなされる現場で溶接ロボットの活動に干渉を与えないように設置使用することができるリアルタイムモニタリング可能な電極チップ検査装置及びこれを備えた溶接システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記の目的を達成するために、本発明は、リアルタイムモニタリング可能な電極チップ検査装置において、溶接ガンに相互対向するように装着された一対の電極チップを先端の縁側を上下ホールにかけられるように安着して、少なくとも電極チップの先端面が内部に向かうようにした本体;受光軸が上下ホールの間を繋ぐ鉛直線と直交するように本体の内部に収容したカメラ;上下ホールの間に向けて可視光を照射する可視光光源;上下ホールの間に向けてレーザービームを照射するレーザー光源;上下ホールの間に配置されて可視光及びレーザービームを上下ホールに安着された電極チップの先端に照射されるように反射し、電極チップの先端の映像を反射してカメラに撮像されるようにするミラー;カメラで撮像された映像のうち、可視光映像から電極チップの先端の汚染または破損部位を検出し、レーザービーム映像から電極チップの先端面の直径を検出して、電極チップの先端の良不良を判定するコントローラ;を含んで構成されることを特徴とする。
【0014】
前記ミラーは回転可能に設置された1つのミラーで構成されて上下ホール方向の映像を交互にカメラに撮像されるようにすることを特徴とする。
【0015】
前記カメラの受光軸上にハーフミラーを装着し、前記可視光光源の可視光をハーフミラーに反射させて前記ミラーに向けて照射されるようにして、可視光の光軸と前記カメラの受光軸とを一致させる同軸照明になることを特徴とする。
【0016】
前記レーザー光源はラインビームを照射し、前記コントローラはカメラで撮影されたレーザービーム映像から光学三角測量法により電極チップの先端面の直径を検出することを特徴とする。
【0017】
前記レーザー光源で照射するラインビームは2つの平行するラインビームであり、前記コントローラはカメラで撮影されたレーザービーム映像で2つのラインビームを検出して電極チップの先端面の縁で折れる4個のポイントから電極チップの先端面の縁輪郭を獲得した後、電極チップの先端面の直径を検出することを特徴とする。
【0018】
前記2つの平行するラインビームは、1つのレーザー光源から放射される1つのラインビームを半透明ミラーにななめに照射して2つの平行するラインビームに反射された後、前記ミラーに照射させたものであることを特徴とする。
【0019】
前記コントローラは電極チップの先端がホールに安着する以前に前記ミラーを回転させ、上下電極チップの先端の可視光映像を獲得するように制御し、獲得した両側電極チップの先端の可視光映像から電極チップの整列状態に対して良不良を判定することを特徴とする。
【0020】
電極チップの先端が安着される上下ホールは、各々押えによりストレインゲージを押圧する板材に形成して、電極チップの押圧力をストレインゲージで測定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
前記のように構成される本発明は、電極チップの先端を可視光及びレーザービームで照明しながら撮影して可視光映像により汚染または破損部位を検出し、レーザービーム映像により電極チップの先端面の直径を検出するので、可視光映像により先端面の直径を検出する時よりは少ない誤差で高精密の先端面の直径を検出することができる。
【0022】
また、本発明は上下電極チップに対する可視光映像及びレーザービーム映像を1つのミラー及び1つのカメラを用いて撮影するので、コンパックなサイズに製作可能である。
【0023】
また、本発明は正確な先端面の直径を得るために、2つのラインビームで照明し、かつ1つのレーザービーム光源を用いるので、サイズ増加無しで正確な先端面の直径を得ることができる。
【0024】
また、上下電極チップの距離を一般的にほぼ30mmに定めた基準で電極チップの先端を検査しなければならない検査条件下では、先端面に適切な照明を照らすことが困難であるが、本発明は同軸照明とミラーにより照明が先端面に正反射される原理を用いるので、鮮明な映像を得て、汚染または破損部位を正確に検出することができる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の好ましい実施形態を添付した図面を参照して当該分野に通常の知識を有する者が容易に実施することができるように説明する。
【0027】
図2は、本発明の実施形態に係るリアルタイムモニタリング可能な電極チップ検査装置の斜視図である。
【0028】
図3は
図2に図示した電極チップ検査装置の使用状態図であって、電極チップを安着する以前の図(a)と電極チップを安着した状態の図(b)が図示されている。
【0029】
図4は本体10の内部に収容された構成要素及びミラー50を回転させるための構成要素を示す図であって、ミラー50を回転させるための移動体53を分離して図示した電極チップ検査装置の外形斜視図(a)と、本体10を除去した状態で図示して検査ブロック11を含んだ本体10の内部に収容された構成要素を示す斜視図(b)が図示されている。
【0030】
本発明に係る電極チップ検査装置は、溶接ガンに相互対向するように装着された一対の電極チップで溶接母材を上下から押圧して溶接する動作のように動作させながら電極チップの先端を検査する装置であって、電極チップの先端面2aの直径、先端の汚染または破損、押圧力及び整列状態を検査することができ、このために、可視光光源20、レーザー光源30、カメラ40、及び駆動シリンダ60を内部空間に収容し、検査ブロック11を前方に突出するように一体化した本体10と、本体10に収容するか、または装着された構成要素の動作を制御するコントローラ70を含んで構成される。
【0031】
前記検査ブロック11は、上下ホール12、13が互いに鉛直方向に対向するように造成され、内部空間が本体10の内部空間に水平方向に繋がり、上下ホール12、13の間にはミラー50が配置された構成要素である。
【0032】
ここで、上下ホール12、13は溶接ガン1に相互対向するように装着された一対の電極チップ2の先端の縁側をかけられるように安着するホールであり、電極チップ2の先端のうち、少なくとも先端面2aが内部空間に向けて露出するようにする。即ち、上部側の電極チップの先端が上部ホール12に安着され、下部側の電極チップの先端が上部ホール13に安着されれば、それぞれの電極チップ2において先端面2aの縁側部位である弧面2bの一部がホール12、13に接触してかかるので、先端面2a同士は検査ブロック11の内部空間を通じて相互対向するようになる。
【0033】
本発明の実施形態では、上下ホール12、13を押圧しながら安着される電極チップ2の押圧力を測定するために、上下ホール12、13はストレインゲージ15を4個の隅に介した状態で検査ブロック11の上下面に設置する板材14に貫通ホール形状に形成して、電極チップの先端が安着される時の押圧力をストレインゲージ15で測定するようにした。勿論、板材14に形成したホール12、13の位置に合うように検査ブロック11にホールが造成される。ここで、ストレインゲージ15で感知した押圧力はコントローラ70に伝達され、コントローラ70は板材14の4個の隅に加えられる押圧力によって板材14の中央に造成したホール12、13に押圧しながら安着される電極チップ2の押圧力が得られるようになる。
【0034】
前記ミラー50は上下ホール12、13の間の中間に配置され、かつ反射面を本体10の内部空間に向ける方向と上向き45゜及び下向き45゜に傾斜して調節するように回転軸51により回転可能に配置される。
【0035】
前記ミラー50は、次の通り駆動シリンダ60により回転する。
【0036】
検査ブロック11の側面には駆動シリンダ60により前後進する移動体53が装着され、移動体53の前方端部には検査ブロック11の側面に造成したリミット用ホール52を貫通した後、ミラー50の一側面(ミラーを固定し、回転軸を設置して回転可能なブロックの一側面)に造成したピンホール55に余有のあるように嵌められる連結ピン54が設けられる。
【0037】
ここで、リミット用ホール52は前記ミラー50の回転範囲を上向き45゜と下向き45゜の間の範囲に制限するように前後方向に長く造成したホールである。そして、ピンホール55は回転軸51よりは下または上に造成し、連結ピン54の直径より上下に長く形成して前後進運動によりミラー50を回転させることができるようにする。
【0038】
駆動シリンダ60は、例えば空圧シリンダや、でなければ油圧シリンダで構成することができる。
【0039】
このように構成することによって、駆動シリンダ55を稼動させて連結ピン54をリミット用ホール52の一側端部にかかるようにした後、リミット用ホール52の他側端部にかかるようにすれば、前記ミラー50は本体10の内部空間に向かう方向と上向き45゜の角度に傾いた後、下向き45゜の角度に傾くようになる。
【0040】
ここに、上部ホール12に安着される電極チップの先端の映像と下部ホール13に安着される電極チップの先端の映像は交互に前記ミラー50に反射されて上下ホールの間を繋ぐ鉛直線と直交する本体10の内部空間に向けて入射される。ここで、前記ミラー50による反射によれば、入射角が45゜であり、反射角が45゜となって、入射光の軸と反射光の軸との間の夾角は90゜となる。
【0041】
本体10の内部空間に収容される可視光光源20、レーザー光源30、及びカメラ40に対しては、
図4及び以下の
図5、
図6、
図7を参照して説明する。
【0042】
図5及び
図6は電極チップ検査装置の内部側面図であって、
図5はミラー50を上向き45゜に回転させた状態の図であり、
図6は
図5に図示した状態でミラー50を時計方向に90゜回転させて下向き45゜方向に向けるようにした図である。
図7は電極チップ検査装置の内部上面図である。
【0043】
前記カメラ40は受光軸(カメラに入射される光の軸)が上下ホール12、13の間を繋ぐ鉛直線と直交するように本体10に収容されて、ミラー50により90゜に折って入射される反射された電極チップの先端の映像を撮影する。
【0044】
前記可視光光源20は上下ホール12、13の間の中間に向けて可視光を照射するので、可視光はミラー50に反射された後、電極チップの先端を照明する。このように照明することによって、電極チップの先端の映像がミラー50に反射されてカメラ40により鮮明に撮像される。
【0045】
本発明の実施形態では、カメラ40に撮影される映像の光軸と45゜傾くようにしたハーフミラー(half mirror)21を設置し、可視光光源20が一側方向からハーフミラー21に向けて45゜入射角に照射するようにすることで、ミラー50に向けて照射する可視光の光軸、ミラー50に反射されてカメラ40に撮影される可視光映像の光軸を同軸にする同軸照明を適用する。即ち、前記ハーフミラー21により電極チップの先端を照明するための光学系と電極チップの先端を撮影するための光学系の光軸が同一になる。
【0046】
このように、同軸照明を適用することによって、電極チップの先端で平らな表面に反射される光は正反射されてカメラ40に明るく撮像され、傷跡があるか、または汚染された部位の境界線及びエッジ(Edge)は乱反射されてカメラ40に暗く撮像されるので、傷跡、汚染部位、及びエッジを鮮明に認知することができる可視光映像が得られる。また、同軸照明を適用することによって、鮮明な可視光映像を得るための可視光光源20を簡素化して狭い空間に設置することができ、したがって、本体10を小さく製作することができる利点を有する。
【0047】
前記レーザー光源30は上下ホール12、13の間の中間に向けてレーザービームを放射して、放射したレーザービームがミラー50に反射された後、電極チップの先端を照射するようにする。したがって、電極チップの先端に反射されたレーザービームがミラー50に反射された後、カメラ40に撮像される。
【0048】
即ち、本発明によれば、前記ミラー50は可視光光源20の可視光及びレーザー光源30のレーザービームを反射させて電極チップの先端に照射されるようにし、電極チップの先端に反射された可視光及びレーザービームを反射させてカメラ40に撮像されるようにすることで、電極チップの先端に対する可視光映像とレーザービーム映像が得られる。
【0049】
前記レーザー光源30は、レーザービームを用いた光学三角測量法(optical triangulation method)により電極チップの先端の形状を検出することにより電極チップの先端面2aの直径を得るためのものであって、カメラ40を構成する光学系の光軸(カメラで撮影する映像の光軸)から外れた位置で前記ミラー50に向けて照射するので、電極チップの先端のうち、先端面2aに入射されるレーザービームの入射角と電極チップの先端面2aに反射されるレーザービームの反射角との間に‘0’でない夾角が存在するようになる。
【0050】
光学三角測量法を用いた3次元形状測定方式の基本的な技術は、測定対象物に入射される光と反射される光との間に夾角があるようにして、表面の高低によって受光系の撮像面に結ばれる像の位置が変わることを用いる。
【0051】
ここに、前記のようにレーザービームを照射することによって、電極チップの先端で先端面と先端面に繋がる弧面との間の境界を鮮明に区分することができる映像が得られる。
【0052】
本発明の実施形態では、前記レーザービームをラインビーム(または、スリットビーム)とした。
【0053】
ところが、1つのラインビームを使用する場合、ラインビームが電極チップの先端面2aの中心を正確に過ぎるように照射しなければならないので、ラインビームの照射方向に対する較正(calibration)を精密に遂行しなければならないという困難性があり、較正を精密に遂行した以後、実際の使用中に誤差が発生することもある。また、電極チップの先端面の直径を得るために十字型レーザービームを照射するか、または2つのレーザー光源30を使用する場合、本体10の体積増加が伴われる。
【0054】
ここに、本発明では前記レーザー光源30で1つのラインビームを照射し、かつミラー50に反射されて電極チップの先端に照射されるラインビームは2つの平行するラインビームになるようにする。
【0055】
このために、カメラ40の受光軸に設置したハーフミラー21の一側近辺に半透明ミラー(semitransparent mirror)31を配置し、1つのレーザー光源30から放射される1つのレーザービームを半透明ミラー31にななめに照射されるようにした後、半透明ミラー31に反射されて前記ミラー50に向かうようにした。
【0056】
半透明ミラー31は光が入射される前面及び背面側で各々可視的に十分に認知できる反射光が発生する特性を有しており、前面及び背面側での反射率がほぼ同一に製作することもある。
【0057】
図8に示すように、このような半透明ミラー31にレーザー入射光L
iをθの角度にななめに入射させれば、前面で反射される反射光L
O1が存在し、入射光L
iが透過した後、背面側で反射される反射光L
O2も存在するようになって、2つの反射光L
O1、L
O2に反射される。そして、レーザーラインビームを入射させる場合は、2つの平行するラインビームに反射される。
【0058】
ここに、2つの平行するラインビームが前記ミラー50に反射されて電極チップの先端に照射されるので、カメラ40に撮影されたレーザービーム映像にも2つのラインビームが存在する。勿論、平行する2つのラインビームは電極チップの先端面2aを過ぎるようにレーザー光源30のラインビーム照射方向または半透明ミラー31の入射角及び反射角を調節しなければならない。
【0059】
図9はカメラ40で撮影されたレーザービーム映像の例示であって、コントローラ70はレーザービーム映像で電極チップの先端面2aの縁(弧面2bとの境界)で折れる2つのラインビームLを検出して折れた4個のポイントPを獲得することによって、4個のポイントPにより形成される円の直径を算定する。この時の円は電極チップの先端面2aの縁輪郭に該当するので、円の直径が電極チップの先端面2aの直径となる。
【0060】
図9に例示した映像でも分かるように、電極チップの先端面2aの法線方向と所定の角をなす方向にラインビームを照射しなければ、カメラ40に撮影される電極チップの先端の映像で先端面2aと弧面2bとの間の境界で折れるライビームのイメージが得られない。
【0061】
このように、ミラー50及びハーフミラー21を配置して同軸照明により可視光を電極チップの先端面に正反射させて撮影するので、鮮明に撮影される映像を用いて電極チップの先端の汚染または破損部位を正確に検出することができる。また、1つのラインビームを放射するレーザー光源30、及び1つのラインビーム入射に対して2つのラインビームに反射する半透明ミラー31を用いて光学三角測量法により電極チップの先端面を検出するので、電極チップの先端面の直径を精密な値として得ることができる。
【0062】
併せて、上下電極チップの距離を一般的にほぼ30mmに定めた基準に合せて電極チップの先端を検査しなければならない検査条件下では、先端面に適切な照明を照らすことが困難であるが、本発明は電極チップを安着する検査ブロック11に前記ミラー50を配置して同軸照明で照明及び撮影するので、検査条件を十分に満たすようにスリム化構造で構成可能である。したがって、本発明は溶接ガンを用いて溶接工程を遂行する溶接ロボットの活動に干渉を与えないように溶接現場に投入使用することができる。
【0063】
前記のように構成された本発明は、コントローラ70により制御されて電極チップの整列状態、電極チップの押圧力、電極チップの先端の汚染/破損、及び電極チップの先端面の直径を検査する。
【0064】
まず、溶接ロボットにより溶接ガン1が挙動して一対の電極チップ2の先端を検査ブロック11の上下ホール12、13に合せた後、一対の電極チップ2を相互対向する方向に移動させて上下ホール12、13に安着させ、コントローラ70は溶接ガン1の動作に連動して以下のような順に動作する。
【0065】
コントローラ70は電極チップの先端がホール12、13に安着する以前に前記ミラーを回転させ、両側電極チップの先端の可視光映像を獲得するように駆動シリンダ60及びカメラ40を制御する。この際、電極チップの先端はホール12、13を通じて撮影され、可視光光源20で可視光を照射することもできる。
【0066】
そして、コントローラ70は安着する以前に獲得した上下電極チップに対する可視光映像から電極チップの先端面を正面から眺めた全体輪郭形状及び中心点位置を検出することによって、整列状態を検査する。即ち、輪郭の形状から電極チップの傾いた角度を検出することができ、正確な円をなせば傾かないものと検出できるので、傾いた角度が基準設定値を超過する時に不良と判定する。また、電極チップ2で溶接する時の電極チップ2の原点に対する良不良も中心点位置から判定することができ、上下電極チップ2の中心軸の間に外れた程度を検出して、これに対する良不良も判定することができる。
【0067】
次に、コントローラ70は電極チップ2の先端が上下ホール12、13に安着される時にストレインゲージ15で検出される押圧力が基準設定値を満たさなければ不良と判定する。
【0068】
次に、コントローラ70は上部ホール12に安着した電極チップの先端を可視光及びレーザービームで照射して撮像する動作と、下部ホール13に安着した電極チップの先端に可視光及びレーザービームを照射しながら撮像する動作を順次に遂行するように、可視光光源20、レーザー光源20、カメラ40、及び駆動シリンダ60を制御して、一対の電極チップに対して各々可視光映像及びレーザービーム映像をカメラ40を通じて伝達を受ける。
【0069】
そして、コントローラ70は電極チップの先端の汚染及び破損部位を可視光映像から検出して汚染及び破損に従う良不良を判定し、電極チップの先端面2aの直径のサイズをレーザービーム映像により検出して先端面2aの直径サイズが適正か否かを判定する。
【0070】
ここで、それぞれの電極チップの先端に対して可視光及びレーザービームを時間間隔をおいて照射して可視光映像及びレーザービーム映像を順次に得る方式が可能である。
【0071】
また、それぞれの電極チップの先端に対して可視光及びレーザービームを同時に照射しながら撮影することによって、1つの可視光映像及びレーザービーム映像を1つの映像として得た後、良不良を判定することも可能である。この場合、コントローラ70は可視光映像にレーザービーム映像が重なった映像を得るようになるので、レーザービーム映像の読取により得られる先端面2aと弧面2bの区画情報に基づいて汚染または破損部位を先端面2aと弧面2bの位置別に区分して検査することができる。
【0072】
一方、本発明に係る電極チップ検査装置は溶接システムとの連係動作のために溶接コントローラとの通信のための通信ポートを備えて溶接システムの一構成要素として動作する。
【0073】
図10は、本発明の実施形態に係る溶接システムの構成図である。
【0074】
溶接システムは、溶接ガン1をアーム3’に装着された溶接ロボット3と、溶接電流を供給する給電装置6と、電極温度の調節のための冷却水供給装置7と、電極チップ2の研磨のためのチップドレッサー5と、溶接ロボット1の動作、溶接電流の供給、冷却水の循環、電極チップ研磨など、溶接工程の全般を制御する溶接コントローラ4と、溶接電圧、溶接電流、溶接時の押圧力、電極温度または溶接状態を含む溶接モニタリングデータを溶接コントローラ4を通じて収集されてリアルタイムモニタリングし、溶接工程及び溶接品質を管理する溶接モニタリング装置8を周知の技術構成要素として含んで構成される。
【0075】
本発明に係る溶接システムは、溶接コントローラ4と通信するように結合される電極チップ検査装置をさらに含み、以下、電極チップ検査装置の含むことによって周知の技術構成要素と差がつくようになる点を説明する。
【0076】
電極チップ検査装置による検査タイミングを溶接コントローラ4にセッティングできるようになる。
【0077】
ここに、電極チップ検査装置は溶接コントローラ4の制御によって溶接コントローラ4にセッティングされた検査タイミングに合せて電極チップ2が検査ブロック11に移動される時に検査動作を遂行し、判定結果、汚染または破損部位、先端面の直径及び押圧力のサイズを含んだ検査結果を通信ポートを介して溶接コントローラ4に伝達して電極チップ管理のための動作(研磨動作)に反映されるようにし、検査結果を溶接モニタリング装置8に伝達されるようにして記録管理されるようにし、最適の工程管理のための資料として活用されるようにする。
【0078】
詳細に説明すると、前記の検査タイミングは電極チップをチップドレッサーで研磨した以後、溶接待機時間、または予め設定した所定回数の溶接を遂行した以後にセッティングされる。
【0079】
そして、検査タイミングに合せて動作することにより得る検査結果は、通信ポートを介して溶接コントローラ4に伝達され、したがって、溶接コントローラ4は検査結果によって次のように、以後の制御動作を決定して遂行する。
【0080】
溶接コントローラ4は研磨の以後の検査結果で、研磨状態が適正であると判定される時に電極チップを用いた溶接工程を遂行し、汚染または破損部位が検出されるか、または先端面の直径が基準設定値から外れたと判定される時にチップドレッサー5で再研磨するように制御する。
【0081】
溶接コントローラ4は、溶接工程の遂行中、溶接待機時間または予め設定した所定回数に溶接した以後の検査結果で、電極チップの先端の状態が適合しないと判定される時にチップドレッサー5で研磨した後、再検査するように制御し、適合すると判定される時には研磨せずに溶接工程を遂行する。
【0082】
また、溶接コントローラ4は検査結果で、電極チップの整列状態が不良と判定されれば、作業者が整列不良状態を認知するように、例えばアラームを発する。
【0083】
そして、検査結果を溶接モニタリング装置8にリアルタイムに伝達することによって、溶接モニタリング装置8は伝達を受けた検査結果をリアルタイムモニタリングしながら履歴管理し、溶接モニタリングデータと検査結果との間の相関関係の分析を遂行して最適の研磨周期設定、溶接品質管理、不良追跡、電極消耗管理などの工程管理のための資料を生成し、生成した資料を工程管理に活用されるようにする。
【0084】
即ち、反復溶接に従う電極チップの状態変動を把握して研磨周期を再設定し、電極チップの状態を溶接モニタリングデータにマッチングさせて溶接品質を保証し、溶接不良が発生した原因の追跡のために電極チップの状態を活用し、溶接工程に従う電極チップの消耗程度を把握して工程管理に活用することができる。
【0085】
以上、本発明の技術的思想を例示するために具体的な実施形態として図示及び説明したが、本発明は前記のように具体的な実施形態と同一な構成及び作用のみに限定されず、本発明の範囲から外れない限度内で種々の変形が可能である。したがって、そのような変形も本発明の範囲に属すると見なさなければならず、本発明の範囲は後述する特許請求範囲により決定されるべきである。