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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-87247(P2017-87247A)
(43)【公開日】2017年5月25日
(54)【発明の名称】発泡砂の製造方法およびその製造装置
(51)【国際特許分類】
   B22C 5/04 20060101AFI20170421BHJP
   B22C 5/18 20060101ALI20170421BHJP
   B22C 1/00 20060101ALI20170421BHJP
   B22C 1/18 20060101ALI20170421BHJP
   B01F 3/12 20060101ALI20170421BHJP
   B01F 15/02 20060101ALI20170421BHJP
   B01F 3/04 20060101ALI20170421BHJP
   B01F 5/06 20060101ALI20170421BHJP
【FI】
   B22C5/04 C
   B22C5/18
   B22C1/00 B
   B22C1/18 B
   B01F3/12
   B01F15/02 A
   B01F3/04 Z
   B01F5/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-218764(P2015-218764)
(22)【出願日】2015年11月6日
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000191009
【氏名又は名称】新東工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091096
【弁理士】
【氏名又は名称】平木 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100105463
【弁理士】
【氏名又は名称】関谷 三男
(74)【代理人】
【識別番号】100129861
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 滝治
(74)【代理人】
【識別番号】100160668
【弁理士】
【氏名又は名称】美馬 保彦
(72)【発明者】
【氏名】前川 工
(72)【発明者】
【氏名】森川 将史
(72)【発明者】
【氏名】森 健一郎
(72)【発明者】
【氏名】加藤 裕介
【テーマコード(参考)】
4E092
4G035
4G037
【Fターム(参考)】
4E092AA01
4E092AA18
4E092BA09
4G035AB04
4G035AB29
4G035AB46
4G035AC26
4G035AE02
4G035AE13
4G037AA01
4G037AA02
4G037AA18
4G037EA01
4G037EA04
(57)【要約】
【課題】発泡砂を製造する際の混練時間を短縮することができる、発泡砂の製造方法およびその製造装置を提供する。
【解決手段】砂粒子の表面に、水ガラス、水、および界面活性剤を含む泡体が付着した、砂型造形用の発泡砂の製造方法である。この製造方法では、界面活性剤が溶解した界面活性剤水溶液を発泡させて泡状物を生成し、生成した泡状物、水ガラス、および水を、砂粒子からなる砂と共に混練する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
砂粒子の表面に、水ガラス、水、および界面活性剤を含む泡体が付着した、砂型造形用の発泡砂の製造方法であって、
前記製造方法では、前記界面活性剤が溶解した界面活性剤水溶液を発泡させて、前記界面活性剤水溶液から泡状物を生成し、
生成した前記泡状物、前記水ガラス、および前記水を、前記砂粒子からなる砂と共に混練することを特徴とする発泡砂の製造方法。
【請求項2】
前記泡状物を生成する工程において、複数の細孔に、前記界面活性剤水溶液をエアと共に通過させることにより、前記界面活性剤水溶液を発泡させることを特徴とする請求項1に記載の発泡砂の製造方法。
【請求項3】
砂粒子の表面に、水ガラス、水、および界面活性剤を含む泡体が付着した、砂型造形用の発泡砂の製造装置であって、
前記製造装置は、前記砂粒子からなる砂を収容する収容部と、
前記収容部に、前記水ガラスを投入する水ガラス投入部と、
前記収容部に、前記水を投入する水投入部と、
前記界面活性剤が溶解した界面活性剤水溶液を発泡させて泡状物を生成し、前記収容部に、前記泡状物を投入する泡状物投入部と、
前記収容部に投入された前記水ガラス、前記水、および前記泡状物と共に、前記砂を前記収容部内で混練する混練部と、を備えることを特徴とする発泡砂の製造装置。
【請求項4】
前記泡状物投入部は、
前記界面活性剤水溶液を供給する液供給管と、
エアを供給するエア供給管と、
前記液供給管から供給された前記界面活性剤水溶液と前記エア供給管から供給された前記エアとを合流させる合流部と、
前記合流部で合流した前記界面活性剤水溶液を前記エアとともに通過させ、前記界面活性剤水溶液を発泡させる複数の細孔が形成された多孔体と、
を備えることを特徴とする請求項3に記載の発泡砂の製造装置。
【請求項5】
前記製造装置は、前記液供給管による前記界面活性剤水溶液の供給の開始およびその供給の停止と、前記エア供給管による前記エアの供給の開始およびその供給の停止と、を制御する制御部をさらに備えており、
前記制御部は、前記液供給管による前記界面活性剤水溶液の供給の開始に合わせて、前記エア供給管による前記エアの供給を開始させ、その後、前記液供給管による前記供給の停止に合わせて、前記エア供給管による前記エアの供給を一旦停止させた後、一旦停止前の前記エアの圧力よりも高圧のエアが所定時間供給されるように前記エア供給管による前記エアの供給を再開させることを特徴とする請求項4に記載の発泡砂の製造装置。
【請求項6】
前記製造装置は、前記液供給管による前記界面活性剤水溶液の供給の開始およびその供給の停止と、前記エア供給管による前記エアの供給の開始およびその供給の停止と、を制御する制御部をさらに備えており、
前記制御部は、前記液供給管による前記界面活性剤水溶液の供給の開始に合わせて、前記エア供給管による前記エアの供給を開始させ、その後、前記液供給管により前記供給の停止をさせてから、所定時間経過後に、前記エア供給管による前記エアの供給を停止させることを特徴とする請求項4に記載の発泡砂の製造装置。
【請求項7】
前記製造装置は、前記合流部に接続され、作動により前記合流部の内部を負圧にする負圧機構と、
前記液供給管による前記界面活性剤水溶液の供給の開始およびその供給の停止と、前記エア供給管による前記エアの供給の開始およびその供給の停止と、前記負圧機構の作動およびその作動停止と、を制御する制御部と、をさらに備えており、
前記制御部は、前記液供給管による前記界面活性剤水溶液の供給の開始に合わせて、前記エア供給管による前記エアの供給を開始させ、その後、前記液供給管による前記供給の停止に合わせて、前記エア供給管による前記エアの供給を停止させてから、前記負圧機構を所定時間作動させることを特徴とする請求項4に記載の発泡砂の製造装置。
【請求項8】
前記多孔体の下方に配置され、開弁時に前記多孔体からの前記泡状物の投入を行い、閉弁時に前記多孔体からの前記泡状物の投入を停止する開閉弁を備えており、
前記製造装置は、前記液供給管による前記界面活性剤水溶液の供給の開始およびその供給の停止と、前記エア供給管による前記エアの供給の開始およびその供給の停止と、前記開閉弁の開弁および閉弁と、を制御する制御部を備えており、
前記制御部は、前記液供給管による前記界面活性剤水溶液の供給の開始に合わせて、前記エア供給管による前記エアの供給を開始するとともに前記開閉弁を開弁させ、その後、前記液供給管による前記供給の停止に合わせて、前記エア供給管による前記エアの供給を停止させてから、所定時間経過後に前記開閉弁を閉弁させることを特徴とする請求項4に記載の発泡砂の製造装置。
【請求項9】
前記エア供給管のエア流路内の前記エアの圧力を測定する圧力センサが配置されていることを特徴とする請求項4〜8のいずれか一項に記載の発泡砂の製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、砂型造形用の発泡砂の製造方法およびその製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エンジンのシリンダブロックやシリンヘッド等を鋳造する際、ウォータジャケットや吸排気ポート等の中空部を形成するために崩壊性の砂型(中子)が用いられており、砂型は、発泡砂により造形されることがある。
【0003】
このような発泡砂は、砂粒子の表面に、水ガラス、水および界面活性剤を含む泡体が付着(吸着)しており、水ガラスが、砂粒子同士を結合するバインダーとして作用している。前記発泡砂の製造方法として、例えば以下に示す製造方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
この製造方法では、骨材となる砂粒子からなる砂(砂粒子の集合体)に、水ガラス、水および界面活性剤を投入し、これらを混練することにより、水ガラス、水および界面活性剤からなる組成物を発泡させて、砂粒子の表面に泡体を付着させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013−111602号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に係る発泡砂の製造方法は、界面活性剤による発泡を、砂と水ガラス等を混練する際に行っている。このため、砂と水ガラス等が均一に混練されていても、界面活性剤による発泡が十分でないことがある。これにより、仮にこれらが均一に混練されていたとしても、発泡砂が所望の発泡状態となるまで(すなわち砂粒子の表面に所望の泡体が形成されるまで)、これらをさらに混練せねばならず、混練時間を延長しなければならなかった。
【0007】
本発明は、このような点に鑑みてなされたものであり、発泡砂を製造する際の混練時間を短縮することができる、砂型造形用の発泡砂の製造方法およびこれを行うための製造装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決すべく、本発明に係る発泡砂の製造方法は、砂粒子の表面に、水ガラス、水、および界面活性剤を含む泡体が付着した、砂型造形用の発泡砂の製造方法であって、前記製造方法では、前記界面活性剤が溶解した界面活性剤水溶液を発泡させて、前記界面活性剤水溶液から泡状物を生成し、生成した前記泡状物、前記水ガラス、および前記水を、前記砂粒子からなる砂と共に混練することを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、まず、界面活性剤水溶液を発泡させて、界面活性剤水溶液から泡状物を生成する。生成した泡状物、水ガラス、および水を、砂と共に混練するので、これらを均一に混練すれば、さらなる混練を利用した界面活性剤による発泡の時間(泡立て時間)を短縮することができる。なお、本発明でいう「砂」とは「砂粒子」の集合体のことをいう。
【0010】
より好ましくは、前記界面活性剤水溶液を発泡させる工程において、複数の細孔に、前記界面活性剤水溶液をエアと共に通過させることにより、前記界面活性剤水溶液を発泡させる。
【0011】
この態様によれば、複数の細孔に、前記界面活性剤水溶液をエアと共に通過させることにより界面活性剤水溶液を発泡させるので、界面活性剤水溶液から、より微細かつ均一に泡状物を、短時間で生成することができる。
【0012】
本願では、上述した発泡砂の製造方法を好適に行うための製造装置を開示する。本発明に係る発泡砂の製造装置は、砂粒子の表面に、水ガラス、水、および界面活性剤を含む泡体が付着した、砂型造形用の発泡砂の製造装置であって、前記製造装置は、前記砂粒子からなる砂を収容する収容部と、前記収容部に、前記水ガラスを投入する水ガラス投入部と、前記収容部に、前記水を投入する水投入部と、前記界面活性剤が溶解した界面活性剤水溶液を発泡させて泡状物を生成し、前記収容部に、前記泡状物を投入する泡状物投入部と、前記収容部に投入された前記水ガラス、前記水、および前記泡状物と共に、前記砂を前記収容部内で混練する混練部と、を備えることを特徴とする。
【0013】
本発明によれば、混練部で混練する前に、収容部に液体である界面活性剤水溶液を投入するのではなく、泡状物投入部で、界面活性剤水溶液を発泡させ、界面活性剤水溶液から泡状物を生成し、これを収容部に投入することができる。そして、この泡状物、水ガラス、および水を、砂粒子からなる砂(粉末)が収容された収容部に投入し、混練部で、泡状物、水ガラス、および水を、砂と共に混練することができる。
【0014】
このように、本発明に係る製造装置を用いれば、混練前に生成した泡状物、水ガラス、および水を、砂と共に混練するので、これらを均一に混練すれば、さらなる混練を利用した界面活性剤による発泡の生成時間を短縮することができる。これにより、これまでよりも短時間に、発泡砂を製造することができる。
【0015】
より好ましい態様としては、前記泡状物投入部は、前記界面活性剤水溶液を供給する液供給管と、エアを供給するエア供給管と、前記液供給管から供給された前記界面活性剤水溶液と前記エア供給管から供給された前記エアとを合流させる合流部と、前記合流部で合流した前記界面活性剤水溶液を前記エアとともに通過させ、前記界面活性剤水溶液を発泡させる複数の細孔が形成された多孔体と、を備える。
【0016】
この態様によれば、合流部で、液供給管から供給された界面活性剤水溶液とエア供給管から供給されたエアとを合流させ、多孔体の複数の細孔に、界面活性剤水溶液をエアと共に通過させることにより、界面活性剤水溶液を発泡させることができる。これにより、泡状物投入部で、界面活性剤水溶液から微細かつ均一に泡状物を、短時間で生成することができる。
【0017】
好ましい第1の態様としては、前記製造装置は、前記液供給管による前記界面活性剤水溶液の供給の開始およびその供給の停止と、前記エア供給管による前記エアの供給の開始およびその供給の停止と、を制御する制御部をさらに備えており、前記制御部は、前記液供給管による前記界面活性剤水溶液の供給の開始に合わせて、前記エア供給管による前記エアの供給を開始させ、その後、前記液供給管による前記供給の停止に合わせて、前記エア供給管による前記エアの供給を一旦停止させた後、一旦停止前の前記エアの圧力よりも高圧のエアが所定時間供給されるように前記エア供給管による前記エアの供給を再開させる。
【0018】
この態様によれば、泡状物が投入された後、エア供給管から高圧のエアが合流部に所定時間供給されるので、多孔体等に残留した界面活性剤水溶液を排出することができる。これにより、界面活性剤水溶液が多孔体から垂れることを防止するまたは抑制することができる。
【0019】
好ましい第2の態様としては、前記製造装置は、前記液供給管による前記界面活性剤水溶液の供給の開始およびその供給の停止と、前記エア供給管による前記エアの供給の開始およびその供給の停止と、を制御する制御部をさらに備えており、前記制御部は、前記液供給管による前記界面活性剤水溶液の供給の開始に合わせて、前記エア供給管による前記エアの供給を開始させ、その後、前記液供給管により前記供給の停止をさせてから、所定時間経過後に、前記エア供給管による前記エアの供給を停止させる。
【0020】
この態様によれば、泡状物が投入された後も、エア供給管からエアが合流部に継続して所定時間供給されるので、この場合も、多孔体等に残留した界面活性剤水溶液を排出することができる。これにより、界面活性剤水溶液が多孔体から垂れることを防止するまたは抑制することができる。
【0021】
好ましい第3の態様としては、前記製造装置は、前記合流部に接続され、作動により前記合流部の内部を負圧にする負圧機構と、前記液供給管による前記界面活性剤水溶液の供給の開始およびその供給の停止と、前記エア供給管による前記エアの供給の開始およびその供給の停止と、前記負圧機構の作動およびその作動停止と、を制御する制御部と、をさらに備えており、前記制御部は、前記液供給管による前記界面活性剤水溶液の供給の開始に合わせて、前記エア供給管による前記エアの供給を開始させ、その後、前記液供給管による前記供給の停止に合わせて、前記エア供給管による前記エアの供給を停止させてから、前記負圧機構を所定時間作動させる。
【0022】
この態様によれば、泡状物が投入された後、負圧機構により、合流部の内部を、所定時間負圧にすることができるので、多孔体等に残留した界面活性剤水溶液を合流部から吸い出すことができる。これにより、界面活性剤水溶液が多孔体から収容部に垂れることを防止するまたは抑制することができる。
【0023】
好ましい第4の態様としては、前記多孔体の下方に配置され、開弁時に前記多孔体からの前記泡状物の投入を行い、閉弁時に前記多孔体からの前記泡状物の投入を停止する開閉弁を備えており、前記製造装置は、前記液供給管による前記界面活性剤水溶液の供給の開始およびその供給の停止と、前記エア供給管による前記エアの供給の開始およびその供給の停止と、前記開閉弁の開弁および閉弁と、を制御する制御部を備えており、前記制御部は、前記液供給管による前記界面活性剤水溶液の供給の開始に合わせて、前記エア供給管による前記エアの供給を開始するとともに前記開閉弁を開弁させ、その後、前記液供給管による前記供給の停止に合わせて、前記エア供給管による前記エアの供給を停止させてから、所定時間経過後に前記開閉弁を閉弁させる。
【0024】
この態様によれば、泡状物が投入された後、開閉弁により、所定時間経過後に、多孔体等に残留した界面活性剤水溶液の流出を防止すことができる。これにより、多孔体等に残留した界面活性剤水溶液が収容部に垂れることを防止するまたは抑制することができる。
【0025】
好ましい態様としては、前記エア供給管のエア流路内の前記エアの圧力を測定する圧力センサが配置されている。この態様によれば、エア供給管によるエアの供給不良を確認し、泡状物の生成不良を未然に防ぐことができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、発泡砂を製造する際の混練時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明に係る発泡砂の製造装置の模式的斜視図である。
図2図1に示す発泡砂の製造装置の泡状物投入部の断面図である。
図3】(a)は、図1の製造装置で製造された発泡砂の模式図であり、(b)は、(a)の発泡砂の泡体の拡大図である。
図4】(a)は、図1に示す製造装置に係る第1変形例の制御部を含む要部の模式図であり、(b)は、制御部による制御を説明するためのタイミングチャートである。
図5】(a)は、図1に示す製造装置に係る第2変形例の制御部を含む要部の模式図であり、(b)は、制御部による制御を説明するためのタイミングチャートである。
図6】(a)は、図1に示す製造装置に係る第3変形例の制御部を含む要部の模式図であり、(b)は、制御部による制御を説明するためのタイミングチャートである。
図7】(a)は、図1に示す製造装置に係る第4変形例の制御部を含む要部の模式図であり、(b)は、制御部による制御を説明するためのタイミングチャートである。
図8】発泡砂の動粘度を測定する装置の模式的斜視図である。
図9】実施例および比較例に示す方法で製造された発泡砂の動粘度の測定結果を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
1.発泡砂の製造装置1について
図1は、本発明に係る発泡砂の製造装置1の模式的斜視図であり、図2は、図1に示す発泡砂の製造装置1の泡状物投入部20の断面図である。図3(a)は、図1の製造装置1で製造された発泡砂sの模式図であり、(b)は、(a)の発泡砂sの泡体fの拡大図である。
【0029】
本実施形態に係る発泡砂の製造装置1は、鋳造時の中子(砂型)に使用に好適な砂型造形用の発泡砂を製造する装置である。具体的には、本実施形態では、製造装置1を用いて、砂、水ガラス、水、および界面活性剤を混練し、図3(a),(b)に示すように、砂粒子pの表面に、水ガラスb、水w、および界面活性剤cを含む泡体fが付着した発泡砂sを製造する。
【0030】
図1に示すように、製造装置1は、収容槽(収容部)11と、水供給管(水投入部)15、水ガラス供給管(水ガラス投入部)16、泡状物投入部20、および混練器(混練部)12をさらに備えている。収容槽11は、砂粒子からなる砂を収容する容器であり、収容槽11は、砂および水ガラス等を混練する混練釜の役割も果している。
【0031】
混練器12は、砂および水ガラス等を混練する網目状の羽根部12aと、羽根部12aを支持するシャフト部12bとを備えている。収容槽11の内部には、羽根部12aが配置され、シャフト部12bに接続されたモータ(図示せず)を駆動することにより、シャフト部12bと共に羽根部12aを所定の回転速度で回転させることができる。収容槽11の上方には、水供給管15と、水ガラス供給管16と、泡状物投入部20と、が配置されている。
【0032】
具体的には、水供給管15は、収容槽11に水wを供給する配管であり、一端が水供給源(図示せず)に接続されており、他端が収容槽11に水wが投入(供給)されるように配置されている。同様に、水ガラス供給管16は、収容槽11に水ガラスbを供給する配管であり、一端がガラス供給源(図示せず)に接続されており、他端が収容槽11に水ガラスbが投入(供給)されるように配置されている。
【0033】
さらに、泡状物投入部20は、水wに界面活性剤cが溶解した界面活性剤水溶液eを発泡させて、泡状物dを生成し、これを収容槽11に投入する器具であり、液供給管22、エア供給管23、合流部21、および多孔体26を少なくとも備えている。
【0034】
より具体的には、図2に示すように、液供給管22は、発泡前の液状の界面活性剤水溶液eを供給する配管であり、その一端は、界面活性剤水溶液eの供給源(図示せず)に接続されており、その他端は、合流部21の上部に接続されている。エア供給管23は、エアaを供給する配管であり、その一端は、コンプレッサ等のエア供給源(図示せず)に接続されており、その他端は、合流部21の側部に接続されている。
【0035】
合流部21は、液供給管22から供給された界面活性剤水溶液eと、エア供給管23から供給されたエアaとを合流させる部分であり、その下部には、界面活性剤水溶液eとエアaとを排出する排出部24が形成されている。排出部24の先端には、多孔体26が取り付けられている。
【0036】
多孔体26は、例えば、焼結金属などの多孔性を有したものであり、合流部21で合流した界面活性剤水溶液eをエアaとともに通過させる複数の細孔が形成されている。複数の細孔は、排出部24と泡状物投入部20の外部とを連通する孔であり、界面活性剤水溶液eおよびエアaが通過することにより、泡状物dを生成することができる大きさおよび形状になっている。たとえば、多孔体26としては、ろ過精度120μm程度の多孔質材料(焼結金属)を挙げることができる。
【0037】
本実施形態では、製造装置1は、界面活性剤水溶液eを発泡させる発泡用エア(エアa)と、泡状物dの生成終了後、泡状物投入部20に残存した泡状物dをそこから排出する排出用エアと、を選択してエア供給管23に流すことが可能なように構成されている。
【0038】
ここで、排出用エアの圧力(0.2〜0.35MPa)は、発泡用エアの圧力(0.05〜0.15MPa(最適設定圧0.1MPa))よりも高い。製造装置1では、エア供給管23の上流側で、発泡用エアと排出用エアが切換可能、またはこれらの圧力に圧力変更可能となっている。
【0039】
2.発泡砂の製造方法について
図1および図2に示す発泡砂の製造装置1を用いた製造方法を説明する。まず、収容槽11に、所望の量の砂を投入する。次に、混練器12で混練する前に、泡状物投入部20で、界面活性剤水溶液eを発泡させ、界面活性剤水溶液eから泡状物dを生成し、これを収容槽11に投入する。これと同時に、水供給管15から収容槽11に所定の量の水wを投入し、さらに、水ガラス供給管16から、所定の量の水ガラスを投入する。
【0040】
収容槽11に投入する水ガラス(NaO・nSiO・mHO)は、二酸化珪素(SiO)と、酸化ナトリウム(NaO)と水(HO)とを含む混合物である。後述する泡体f(図3(a)参照)を形成し、発泡砂の造形性を確保することができるのであれば、これらの割合(モル比)は特に限定されるものでない。
【0041】
収容槽11に投入する界面活性剤cには、例えばアニオン界面活性剤を挙げることができ、例えば硫酸塩系のアニオン界面活性剤が好ましいが、界面活性剤水溶液eを発泡させることができ、界面活性剤cにより泡体f(図3(b)参照)を形成することができるものであれば、特に限定されるものではない。
【0042】
ここで、界面活性剤cは、界面活性剤水溶液eに対して、たとえば、1〜12質量%含有することが好ましい。このような範囲で、界面活性剤cを含有させることにより、界面活性剤水溶液eを発泡させ、泡状物dを好適に生成することができる。
【0043】
泡状物投入部20による泡状物dの生成を、図2を参照しながら説明する。まず、界面活性剤水溶液eを液供給管22から供給し、これと同時に、エア供給管23からエアaを供給する。液供給管22から供給された界面活性剤水溶液wとエア供給管23から供給されたエアaとは、合流部21で合流する。
【0044】
エアaに合流した界面活性剤水溶液wは、エアaにより排出部24を介して多孔体26に搬送される。多孔体26には、複数の細孔が形成されており、複数の細孔に界面活性剤水溶液eをエアaと共に通過させることにより、界面活性剤水溶液eを発泡させることができる。これにより、界面活性剤水溶液eからなる泡状物dが生成される。
【0045】
このような結果、例えば、撹拌等により界面活性剤水溶液eを発泡させる場合に比べて、泡状物投入部20で、界面活性剤水溶液eから微細かつ均一に泡状物dを、短時間で生成することができる。なお、泡状物dを投入後には、多孔体26等に残存した泡状物dが排出されるように、エア供給管23に流れるエアを、発泡用エア(エアa)から排出用エアに切り替え、排出用エアを5〜30秒流す。
【0046】
次に、界面活性剤水溶液eが発泡した泡状物d、水ガラスb、および水wを収容槽11に投入完了後、収容槽11に収容された砂と共に、混練器12で混練する。具体的には、シャフト部12bに接続されたモータ(図示せず)を駆動し、シャフト部12bと共に羽根部12aを所定の回転速度で回転させる。これにより、図3(a)および(b)に示すように、砂粒子pの表面に、水ガラスb、水w、および界面活性剤cを含む泡体fが付着した発泡砂sを得ることができる。
【0047】
具体的には、発泡砂sに含まれる砂粒子pには、水ガラスbの水溶液の表面を界面活性剤cで覆った泡体fが形成される。
【0048】
ここで、例えば、砂に対して、水ガラスのモル比(二酸化珪素の酸化ナトリウムに対する混合比率)0.5〜3.0、重量比0.4〜3.0%、水の重量比1.5〜5.0%、界面活性剤の重量比0.003〜2.0%程度とすることにより、適度な粘性を有する発泡砂sを得ることができる。
【0049】
このように、本実施形態によれば、界面活性剤水溶液eを発泡させて、界面活性剤水溶液eから泡状物dを生成する。生成した泡状物d、水ガラスb、および水wを、砂と共に混練するので、これらを均一に混練すれば、砂粒子pの表面には、所望の状態の泡体fが付着(吸着)しているので、さらなる混練を利用した界面活性剤cによる発泡の時間(泡立て時間)を短縮することができる。
【0050】
3.製造装置1の第1〜第4変形例について
以下に、図1に示す製造装置1に係る第1〜第4変形例を示す。以下に示す変形例では、制御部30A〜30Dを備えており、制御部30A〜30Dの制御により、泡状物を生成する。なお、図1に示す製造装置1と相違する点のみを、図4図7を参照しながら、以下に詳述する。
【0051】
3−1.第1変形例について
図4(a)に示すように、第1変形例では、制御部30Aは、液供給管22による界面活性剤水溶液eの供給の開始およびその供給の停止と、エア供給管23によるエアa,a1の供給の開始およびその供給の停止と、を制御する。
【0052】
具体的には、この変形例では、液供給管22は、電磁弁22aを介して、界面活性剤水溶液eの供給源に接続されている。制御部30Aは、電磁弁22aに接続されており、これに制御信号を入力することにより、電磁弁22aを制御し、界面活性剤水溶液eの供給およびその供給停止(非供給)を選択することができる。
【0053】
一方、エア供給管23は、電磁弁(三方弁)23aを介して、上述した発泡用のエアaの供給源と、発泡用のエアaよりも高圧の排出用のエアa1の供給源に接続されている。制御部30Aは、電磁弁23aに接続されており、これに制御信号を入力することにより、電磁弁23aを制御し、発泡用のエアaの供給、排出用のエアa1の供給、およびエアa,a1の供給停止(非供給)を選択することができる。
【0054】
本変形例では、図4(b)に示すように、制御部30Aは、発泡砂の製造開始に、電磁弁22a,23aを制御し、液供給管22による界面活性剤水溶液eの供給を開始し、これに合わせて、エア供給管23による発泡用のエアaの供給を開始する。
【0055】
その後、制御部30Aは、所定の量の泡状物が投入された後、電磁弁22a,23aを制御し、液供給管22による界面活性剤水溶液eの供給を停止させ、これに合わせて、エア供給管23による発泡用のエアaの供給を一旦停止させる(図4(b)の時刻t1参照)。
【0056】
その後、制御部30Aは、一旦停止前の発泡用のエアaの圧力よりも高圧の排出用のエアa1が所定時間供給されるように、電磁弁23aを制御し、エア供給管23によるエアの供給を再開させる。
【0057】
これにより、泡状物の投入終了後、泡状物投入部20に残存した界面活性剤水溶液eをそこから排出することができ、多孔体26からの界面活性剤水溶液eの液だれを防止するまたは抑制することができる。なお、本変形例では、制御部30Aは、電磁弁22a,23bを制御したが、発泡用のエアaおよび排出用のエアa1の供給源であるコンプレッサ、さらには界面活性剤水溶液eの供給源となるポンプ等を直接制御してもよい。
【0058】
3−2.第2変形例について
図5(a)に示すように、第2変形例が、第1変形例と相違する点は、高圧の排出用のエアa1を用いずに、(発泡用の)エアaで泡状物投入部20に残存した界面活性剤水溶液eを排出する点である。なお、第1変形例と共通する構成は、同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
【0059】
第2変形例では、エア供給管23は、電磁弁23bを介して、(発泡用の)エアaの供給源に接続されている。制御部30Bは、電磁弁22aに接続されており、これに制御信号を送ることにより、電磁弁23bを制御し、エアaの供給および供給停止(非供給)を選択することができる。
【0060】
本変形例では、図5(b)に示すように、制御部30Bは、発泡砂の製造開始に、電磁弁22a,23bを制御し、液供給管22による界面活性剤水溶液eの供給を開始し、これに合わせて、エア供給管23によるエアaの供給を開始する。
【0061】
その後、制御部30Bは、所定の量の泡状物が投入された後、電磁弁22aを制御し、液供給管22による界面活性剤水溶液eの供給を停止させる(図5(b)の時刻t1参照)。第2変形例では、この供給の停止から、エアaの供給を所定時間継続して行い、その後(すなわち所定時間経過後)電磁弁23bを制御し、エア供給管23によるエアaの供給を停止させる(図5(b)の時刻t2参照)。
【0062】
これにより、泡状物の投入終了後、エアaにより、泡状物投入部20に残存した界面活性剤水溶液eをそこから排出することができ、多孔体26からの界面活性剤水溶液eの液だれを防止するまたは抑制することができる。なお、本変形例では、制御部30Bは、電磁弁22a,23bを制御したが、エアaの供給源であるコンプレッサ、および界面活性剤水溶液eの供給源となるポンプ等を直接制御してもよい。
【0063】
3−3.第3変形例について
図6(a)に示すように、第3変形例が、第2変形例と相違する点は、エアaで泡状物投入部20に残存した界面活性剤水溶液eを排出せず、負圧機構により投入部20に残存した界面活性剤水溶液eを吸い出す点である。なお、第2変形例と共通する構成は、同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
【0064】
図6(a)に示すように、泡状物投入部20は、合流部21に接続された排出管28を備えており、排出管28は、電磁弁28aを介して、負圧ポンプ(吸い込みポンプ)28bに接続されている。これにより、負圧ポンプ28bを作動させることにより、合流部21の内部を負圧にすることができる。なお、排出管28、電磁弁28a、および負圧ポンプ28bが、本発明でいう負圧機構に相当する。合流部21内に負圧を発生させることができるのであれば、負圧ポンプ28bの代わりに、シリンダ機構等を用いてもよい。
【0065】
第3変形例では、制御部30Cは、第2変形例と同様に、電磁弁22a,23bを制御し、さらに、電磁弁28aの開弁および閉弁を制御することにより、負圧機構の作動およびその作動停止を選択して制御することができる。
【0066】
本変形例では、図6(b)に示すように、制御部30Cは、発泡砂の製造開始に、電磁弁22a,23bを制御し、液供給管22による界面活性剤水溶液eの供給を開始し、これに合わせて、エア供給管23によるエアaの供給を開始する。
【0067】
その後、制御部30Cは、所定の量の泡状物が投入された後、電磁弁22a,23bを制御し、液供給管22による界面活性剤水溶液eの供給を停止させ、これに合わせて、エア供給管23によるエアaの供給を停止させる(図6(b)の時刻t1参照)。
【0068】
その後、制御部30Cは、電磁弁28aを所定時間、開弁状態に制御し(負圧機構を所定時間作動させ)、負圧ポンプ28bにより、泡状物投入部20に残存した界面活性剤水溶液eを吸い出す。これにより、多孔体26からの界面活性剤水溶液eの液だれを防止するまたは抑制することができる。なお、本変形例では、電磁弁28aを制御したが、電磁弁28aを設けずに、負圧ポンプ28bの作動および作動停止を直接制御してもよい。
【0069】
3−4.第4変形例について
図7(a)に示すように、第4変形例が、第2変形例と相違する点は、エアaで泡状物投入部20に残存した泡状物を排出せず、開閉弁29により残存した泡状物の排出を防止した点である。なお、第2変形例と共通する構成は、同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
【0070】
図7(a)に示すように、泡状物投入部20の多孔体26の下方に開閉弁29を配置している。開閉弁29は、開弁時に多孔体26からの泡状物の投入を行い、閉弁時に多孔体26からの泡状物の投入を停止するように、泡状物投入部20に接続されている。制御部30Dは、開閉弁29に接続されており、これに制御信号を送ることにより、開閉弁29の開弁および閉弁を選択することができる。
【0071】
本変形例では、図7(b)に示すように、制御部30Dは、発泡砂の製造開始に、電磁弁22a,23bおよび開閉弁29を制御する。具体的には、液供給管22による界面活性剤水溶液eの供給を開始し、これに合わせて、エア供給管23によるエアaの供給を開始するとともに、開閉弁29を開弁させる。
【0072】
その後、制御部30Dは、所定の量の泡状物が投入された後、電磁弁22a,23bを制御し、液供給管22による界面活性剤水溶液eの供給を停止させ、これに合わせて、エア供給管23によるエアaの供給を停止させる(図7(b)の時刻t1参照)。その後、制御部30Dは、所定時間経過後に開閉弁29を閉弁する(図7(b)の時刻t3参照)。
【0073】
これにより、所定時間経過後に開閉弁29を閉弁することにより、泡状物投入部20にある界面活性剤水溶液eを出し切り、その後、多孔体26からの界面活性剤水溶液eの液だれを防止するまたは抑制することができる。
【実施例】
【0074】
以下の本発明を、実施例により説明する。
【0075】
(実施例)
図1に示す製造装置を用いて、発泡砂を生成した。まず、収容槽に投入される砂が5000gとなり、収容槽に投入される水ガラスが砂の重量に対して0.65%、界面活性剤が砂の重量に対して0.03%、水が砂の重量に対して3.2%となるように、砂、水ガラス、界面活性剤、および水を準備した。
【0076】
収容槽に砂を投入し、次に、界面活性剤を3質量%含有した界面活性剤水溶液を準備した。界面活性剤水溶液に合流させるエアの圧力を0.1MPaとし、泡状物投入部で、界面活性剤水溶液を発泡させ、泡状物を生成し、界面活性剤が上述した量となるように、泡状物を収容槽に投入した。これと同時に水ガラスと、水とが、上述した量となるように、これらを収容槽に投入し、砂、泡状物、水ガラス、水を混練し、発泡砂を作製した。
【0077】
ここで、混練開始からの混練時間は1分〜5分までとし、1分間隔で発泡砂を採取し、図8に示す、容器41および錘43からなる器具を用いて、発泡砂の動粘度を測定した。具体的には、図8に示すように、容器41の上部まで発泡砂を収容し、その上から計測部分(計測区間)Lを示した錘43を載せた。これにより、錘43の自重で、発泡砂sが押圧され、容器41の底部の穴42から発泡砂が抜け、錘43が下方に移動した。このとき、錘43に示した計測部分Lが、容器41の開口縁を通過する時間(通過時間)を動粘度として測定した。この結果を、図9に示す。
【0078】
なお、砂の動粘度が短いと、容器41の穴42からの発泡砂の排出が速くなるため、計測部分Lの通過時間が短くなり、発泡砂としては良品であると判断できる。今回は、動粘度(通過時間)が2秒以下で、砂粒子の表面に泡体が均一に付着し、良好な発泡砂であると判断する。
【0079】
(比較例)
実施例と同じように、発泡砂を作製した。実施例と相違する点は、界面活性剤水溶液を発泡させず、直接、収容槽に投入した点である。そして、実施例と同様に、混練時間を1分〜5分までとし、1分間隔で発泡砂を採取し、図8に示す、容器41および錘43からなる器具を用いて、発泡砂の動粘度を測定した。
【0080】
(結果および考察)
図9に示すように、実施例の場合には、いずれの混練時間であっても、動粘度が2秒以下であった。一方、比較例の場合には、混練時間1分間では、動粘度が2秒を超えており、その後、混練時間が経過するに伴い、動粘度が、実施例のものに近づいた。
【0081】
実施例の場合には、混練時から、界面活性剤水溶液を発泡させた泡状物を投入したことにより、混練開始から早期に砂粒子の表面には十分に泡体が形成されていたと考えられる。
【0082】
一方、比較例の場合には、混練開始から、混練が進むにしたがって砂粒子の表面に泡体が形成されると考えられ、混練時間1分間では、充分に泡体が形成されていなかったと考えられる。この結果から、実施例の如く、混練前に界面活性剤水溶液から泡状物を生成すれば、発泡砂の製造時間(混練時間)を短縮することができると考えられる。
【0083】
以上、本発明の実施の形態を詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計変更があっても、それらは本発明に含まれるものである。また、前記実施形態および複数の変形例は、適宜組み合わせて実施可能である。
【0084】
本実施系形態では、合流部における、界面活性剤溶液とエアが流れる流路は、T字状の流路であったが、この流路の形状は、たとえばY字状であってもよい。
【0085】
また、本実施系形態のエア供給管のエア流路内のエアの圧力を測定する圧力センサが配置してもよい。これにより、エア供給管によるエアの供給不良を確認し、泡状物の生成不良を未然に防ぐことができる。
【符号の説明】
【0086】
1…発泡砂の製造装置、11…収容槽(収容部)、12…混練器(混練部)、12a…羽根部、12b…シャフト部、15…水供給管(水投入部)、16…水ガラス供給管(水ガラス投入部)、20…泡状物投入部、21…合流部、22…液供給管、22a…電磁弁、23…エア供給管、23a,23b…電磁弁、24…排出部、26…多孔体、28…排出管、28a…電磁弁、28b…負圧ポンプ、29…開閉弁、30A〜30D…制御部、a…エア、b…水ガラス、c…界面活性剤、d…泡状物、e…界面活性剤水溶液、f…泡体、s…発泡砂、w…水
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9