特開2017-87383(P2017-87383A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-87383(P2017-87383A)
(43)【公開日】2017年5月25日
(54)【発明の名称】切屑吸引用カバーおよび工作機械
(51)【国際特許分類】
   B23Q 11/00 20060101AFI20170421BHJP
   B23C 9/00 20060101ALI20170421BHJP
【FI】
   B23Q11/00 M
   B23C9/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-223737(P2015-223737)
(22)【出願日】2015年11月16日
(71)【出願人】
【識別番号】000146847
【氏名又は名称】DMG森精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊海 恵介
【テーマコード(参考)】
3C011
3C022
【Fターム(参考)】
3C011BB03
3C011BB06
3C022QQ07
(57)【要約】
【課題】ワーク加工に伴って発生する切屑の吸引効率が向上する切屑吸引用カバー、および、そのような切屑吸引用カバーを備える工作機械、を提供する。
【解決手段】切屑吸引用カバー21は、工具51を回転させる主軸32と、工具51の回転に伴って発生したワーク110の切屑を吸引する吸引機構部41とを備える工作機械10に用いられる。切屑吸引用カバー21は、主軸32の回転中心軸の軸上に配置される開口部27を有し、工具51を取り囲むように設けられる筒体26と、開口部27を部分的に閉塞するように筒体26に設けられ、工具51の先端部51aの一部を覆い、工具51の先端部51aの残りの部分を露出させる蓋体61とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
工具を回転させる主軸と、前記工具の回転に伴って発生したワークの切屑を吸引する吸引機構部とを備える工作機械に用いられる切屑吸引用カバーであって、
前記主軸の回転中心軸の軸上に配置される開口部を有し、前記工具を取り囲むように設けられる筒体と、
前記開口部を部分的に閉塞するように前記筒体に設けられ、前記主軸の回転中心軸の軸方向から見た場合に、前記工具の先端部の一部を覆い、前記工具の先端部の残りの部分を露出させる蓋体とを備える、切屑吸引用カバー。
【請求項2】
前記蓋体は、前記主軸の回転中心軸の軸方向において、前記工具の先端部よりも突出するように設けられる、請求項1に記載の切屑吸引用カバー。
【請求項3】
前記蓋体は、前記筒体に対して着脱可能に設けられる、請求項1または2に記載の切屑吸引用カバー。
【請求項4】
工具を回転させる主軸と、
前記工具の回転に伴って発生したワークの切屑を吸引する吸引機構部と、
請求項1から3のいずれか1項に記載の切屑吸引用カバーとを備える、工作機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、切屑吸引用カバーおよび工作機械に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の切屑吸引用カバーに関して、たとえば、特開2003−94216号公報には、ワークのずれや浮き上がりを防ぐ機能を損なうことなく、切粉の吸引に必要な空気の流入量を十分に確保して、切粉を確実に吸引除去することを目的とした、ワーク押え装置が開示されている(特許文献1)。
【0003】
特許文献1に開示されたワーク押え装置は、主軸に装着されたドリルが挿通するブッシュ体を備える。ブッシュ体の内周面には、ワークに当接する4つのリブが、半径方向内向きに突出するように設けられている。4つのリブの先端部間には、ドリルが通過できるだけの間隔が設けられている。ブッシュ体の下端の周縁には、外向きに開口する吸気溝が、隣り合うリブ間の溝状空間に連通するように設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−94216号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の特許文献1に開示されるように、ワーク加工に伴って発生する切屑を吸引するため、主軸に装着された工具に対してカバー体を装着する手法が知られている。しかしながら、ワークの加工位置やワーク加工の種類などによっては、カバー体の開口部が部分的にワーク表面からはみ出す場合がある。このような場合、主軸に装着された工具の周囲に閉空間を設けることができないため、切屑の吸引力が十分に上がらず、切屑が周囲に飛散するという問題が生じる。
【0006】
そこでこの発明の目的は、上記の課題を解決することであり、ワーク加工に伴って発生する切屑の吸引効率が向上する切屑吸引用カバー、および、そのような切屑吸引用カバーを備える工作機械を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に従った切屑吸引用カバーは、工具を回転させる主軸と、工具の回転に伴って発生したワークの切屑を吸引する吸引機構部とを備える工作機械に用いられる。切屑吸引用カバーは、主軸の回転中心軸の軸上に配置される開口部を有し、工具を取り囲むように設けられる筒体と、開口部を部分的に閉塞するように筒体に設けられ、主軸の回転中心軸の軸方向から見た場合に、工具の先端部の一部を覆い、工具の先端部の残りの部分を露出させる蓋体とを備える。
【0008】
このように構成された切屑吸引用カバーによれば、ワークの加工時、筒体の開口部がワーク表面からはみ出す場合があっても、そのはみ出した開口部の部分に蓋体を配置することにより、筒体の内側を閉空間に近づけることができる。これにより、ワーク加工に伴って発生する切屑の吸引効率を向上させることができる。
【0009】
また好ましくは、蓋体は、主軸の回転中心軸の軸方向において、工具の先端部よりも突出するように設けられる。
【0010】
このように構成された切屑吸引用カバーによれば、蓋体を、主軸の回転中心軸の軸方向から見た場合に、工具の先端部の一部を覆い、工具の先端部の残りの部分を露出させるように設けることができる。
【0011】
また好ましくは、蓋体は、筒体に対して着脱可能に設けられる。
このように構成された切屑吸引用カバーによれば、ワークの加工状況に合わせて、蓋体を筒体に対して着脱することができる。
【0012】
この発明に従った工作機械は、工具を回転させる主軸と、工具の回転に伴って発生したワークの切屑を吸引する吸引機構部と、上述のいずれかに記載の切屑吸引用カバーとを備える。
【0013】
このように構成された工作機械によれば、ワーク加工に伴って発生する切屑の吸引効率を向上させることができる。
【発明の効果】
【0014】
以上に説明したように、この発明に従えば、ワーク加工に伴って発生する切屑の吸引効率が向上する切屑吸引用カバー、および、そのような切屑吸引用カバーを備える工作機械を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】この発明の実施の形態における切屑吸引用カバーを備える工作機械を部分的に示す図である。
図2図1中の切屑吸引用カバーを下方から見た斜視図である。
図3図1中の切屑吸引用カバーを示す底面図である。
図4図3中の蓋体の変形例を示す底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
この発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、以下で参照する図面では、同一またはそれに相当する部材には、同じ番号が付されている。
【0017】
図1は、この発明の実施の形態における切屑吸引用カバーを備える工作機械を部分的に示す図である。図2は、図1中の切屑吸引用カバーを下方から見た斜視図である。図3は、図1中の切屑吸引用カバーを示す底面図である。
【0018】
図1から図3を参照して、本実施の形態における工作機械10は、立型マシニングセンタである。工作機械10は、主軸頭31と、テーブル(不図示)と、切屑吸引用カバー21と、吸引機構部41とを有する。
【0019】
主軸頭31は、主軸ハウジング33および主軸32を有する。主軸32は、鉛直方向に延びる中心軸101を中心にして、回転駆動可能に設けられている。中心軸101は、主軸32の回転中心軸である。主軸32は、主軸ハウジング33に挿通されている。主軸32には、工具51がクランプされている。工具51は、主軸32の回転に伴って中心軸101を中心に回転する。
【0020】
テーブル(不図示)上のパレットには、ワーク110が搭載されている。本実施の形態では、ワーク110が、頂面110mと、外周面110nとを有する円柱形状を有する。主軸頭31およびテーブルの少なくともいずれか一方が移動することによって、工具51によるワーク110の加工位置が変化する。代表的な例として、主軸頭31が、鉛直軸方向に移動する。テーブルが、互いに直交する水平2軸方向に移動し、テーブル上のパレットが、鉛直軸を中心に旋回する。
【0021】
工具51の種類は、特に限定されないが、例を挙げれば、研削工具やフライス、エンドミルなどである。本実施の形態では、工具51が研削工具であり、工具51によりワーク110の頂面110mを研削加工する場合について説明する。
【0022】
工具51は、その構成部位として、基部52と、砥石部53とを有する。基部52は、金属から形成されている。基部52は、主軸32によりクランプされている。基部52は、主軸32から中心軸101の軸方向に向けて突出し、その先端で円形の受け皿形状を有する。砥石部53は、研削砥石からなる。砥石部53は、基部52の先端に固定されている。砥石部53は、中心軸101を中心に帯状に周回するように設けられている。
【0023】
工具51は、先端部51aを有する。先端部51aは、工具51の、中心軸101の軸方向における先端に設けられている。先端部51aは、研削加工時にワーク110との接点となる砥石部53の表面から構成されている。先端部51aは、中心軸101に直交する平面内に配置されている。
【0024】
切屑吸引用カバー21は、後述する吸引機構部41による切屑の吸引時に、切屑の飛散を防ぐためのカバー体である。
【0025】
切屑吸引用カバー21は、筒体26および蓋体61を有する。筒体26は、主軸頭31(主軸ハウジング33)に取り付けられている。筒体26は、主軸頭31(主軸ハウジング33)に対して着脱可能に設けられている。
【0026】
筒体26は、工具51を取り囲むように設けられている。筒体26は、開口部27を有する。開口部27は、中心軸101の軸上に配置されている。筒体26は、主軸頭31(主軸ハウジング33)から中心軸101を中心に筒状に延びる形状を有し、その先端で開口部27が開口している。開口部27は、円形状の開口面を有する。ワーク110の研削加工時、開口部27の開口面は、ワーク110の頂面110mと対向する。
【0027】
筒体26は、中心軸101を中心に筒状に延びる先端に先端部26aを有する。工具51の先端部51aは、中心軸101の軸方向において、筒体26の先端部26aよりも突出している。筒体26および工具51の間には、隙間が設けられている。
【0028】
吸引機構部41は、工具51の回転に伴って発生したワーク110の切屑を吸引する。より具体的に説明すると、吸引機構部41は、集塵機42と、配管46,47と、切屑吸引管部43とを有する。
【0029】
集塵機42は、工作機械10の機外に設置されている。配管46は、集塵機42および主軸32の間を接続するように設けられている。主軸32には、中心軸101の軸方向に延びるスルーホール36が形成されている。工具51(基部52)には、切屑導入孔54が形成されている。切屑導入孔54は、中心軸101の軸方向において工具51(基部52)を貫通し、スルーホール36に連通する。
【0030】
配管47は、集塵機42および切屑吸引管部43の間を接続するように設けられている。切屑吸引管部43は、筒体26に連結されている。筒体26および工具51の間の隙間により、切屑導入路44が形成されている。切屑導入路44は、切屑吸引管部43に連通する。
【0031】
工具51の回転に伴って発生したワーク110の切屑は、切屑導入孔54、スルーホール36および配管46を通じて、集塵機42に吸引され(主軸吸引)、切屑導入路44、切屑吸引管部43および配管47を通じて、集塵機42に吸引される(外部吸引)。
【0032】
なお、本実施の形態では、吸引機構部41が、主軸吸引および外部吸引の両方によってワーク110の切屑を吸引する場合について説明したが、これに限られず、主軸吸引および外部吸引のいずれか一方のみを備える構成であってもよい。
【0033】
続いて、切屑吸引用カバー21が有する蓋体61の構造について詳細に説明する。
蓋体61は、筒体26に取り付けられている。蓋体61は、複数のボルト66により筒体26に締結されている。これにより、蓋体61は、筒体26に対して着脱可能に設けられている。
【0034】
蓋体61は、開口部27を部分的に閉塞するように設けられている。中心軸101の軸方向から見た場合に、蓋体61は、工具51の先端部51aの一部を覆い、工具51の先端部51aの残りの部分を露出させるように設けられている。
【0035】
より具体的には、蓋体61は、その構成部位として、ベース部62と、平板部63とを有する。ベース部62は、中心軸101を中心にその周方向に帯状に延びて設けられている。ベース部62は、筒体26の先端部26aに重ね合わされている。ベース部62は、先端部26aから一定の厚みを有して設けられている。蓋体61のうちのベース部62が筒体26に締結されている。
【0036】
平板部63は、中心軸101に直交する面内で平板状に延在する。平板部63は、ベース部62から、中心軸101を中心とする半径方向内側に向けて延出している。平板部63は、中心軸101の軸方向において工具51と隙間を設けて対向している。蓋体61(平板部63)は、中心軸101の軸方向において、工具51の先端部51aよりも突出するように設けられている。
【0037】
平板部63には、切り欠き部64が形成されている。工具51の先端部51aは、中心軸101の軸方向において切り欠き部64と対向する位置で蓋体61から露出している。中心軸101の軸方向から見た場合に、切り欠き部64は、平板部63の外周縁の1箇所が切り欠かれることにより構成されている。切り欠き部64は、ワーク110の外周面110nに沿う形状、すなわち円弧形状の切り欠き縁を有する。切り欠き部64の切り欠き縁の曲率と、ワーク110の外周面110nの曲率とは、互いに等しい。
【0038】
ワーク110の研削加工時、ワーク110を切り欠き部64に配置する。このとき、切り欠き部64の切り欠き縁が、ワーク110の外周面110nに沿って延びる。ワーク110が切り欠き部64に配置された状態を維持しながら、たとえば、ワーク110を、図3中の矢印102に示す方向に旋回させることにより、ワーク110の頂面110mを工具51によって研削加工する。
【0039】
本実施の形態では、ワーク110の頂面110mからはみ出した筒体26の開口部27の部分が、蓋体61によって閉塞されるため、筒体26の内側を閉空間に近づけることができる。これにより、ワーク110の切屑の吸引効率を向上させ、切屑の飛散を防止することができる。
【0040】
図4は、図3中の蓋体の変形例を示す底面図である。図4を参照して、本変形例では、ワーク110が、平面形状の側面110pを有する。切り欠き部64は、ワーク110の側面110pに沿う形状、すなわち直線形状の切り欠き縁を有する。
【0041】
本変形例においても、ワーク110の研削加工時に、ワーク110を切り欠き部64に配置する。このとき、切り欠き部64の切り欠き縁が、ワーク110の側面110pに沿って延びる。ワーク110が切り欠き部64に配置された状態を維持しながら、たとえば、ワーク110を、図4中の矢印103に示す方向に移動させることにより、ワーク110の頂面110mを工具51によって研削加工する。
【0042】
蓋体61に形成される切り欠き部64の形状は、特に限定されず、加工対象となるワークの形状に合わせて適宜変更される。
【0043】
以上に説明した、この発明の実施の形態における切屑吸引用カバー21の構造についてまとめて説明すると、本実施の形態における切屑吸引用カバー21は、工具51を回転させる主軸32と、工具51の回転に伴って発生したワーク110の切屑を吸引する吸引機構部41とを備える工作機械10に用いられる。切屑吸引用カバー21は、主軸32の回転中心軸の軸上に配置される開口部27を有し、工具51を取り囲むように設けられる筒体26と、開口部27を部分的に閉塞するように筒体26に設けられ、工具51の先端部51aの一部を覆い、工具51の先端部51aの残りの部分を露出させる蓋体61とを備える。
【0044】
このように構成された、この発明の実施の形態における切屑吸引用カバー21および工作機械10によれば、ワークの端部の加工時などに、切屑吸引用カバー21がワークからはみ出す場合があっても、蓋体61により工具51の周りを閉空間に近づけることができる。これにより、切屑の吸引効率を向上させて、切屑の飛散を防ぐことができる。結果、加工終了後の切屑の清掃作業が容易となる。
【0045】
なお、本実施の形態では、筒体26および蓋体61が別体に設けられる切屑吸引用カバー21について説明したが、本発明は、これに限られず、筒体および蓋体が一体に設けられる切屑吸引用カバーであってもよい。本発明における切屑吸引用カバーは、研削工具やフライスを用いたワークの平面加工により好適に適用される。
【0046】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0047】
この発明は、主に、ワークの切屑を吸引する吸引機構を備えた工作機械に適用される。
【符号の説明】
【0048】
10 工作機械、21 切屑吸引用カバー、26 筒体、26a,51a 先端部、27 開口部、31 主軸頭、32 主軸、33 主軸ハウジング、36 スルーホール、41 吸引機構部、42 集塵機、43 切屑吸引管部、44 切屑導入路、46,47 配管、51 工具、52 基部、53 砥石部、54 切屑導入孔、61 蓋体、62 ベース部、63 平板部、64 切り欠き部、66 ボルト、101 中心軸、110 ワーク、110m 頂面、110n 外周面、110p 側面。
図1
図2
図3
図4