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特開2017-87455一次成形品の二次成形方法及び二次成形装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-87455(P2017-87455A)
(43)【公開日】2017年5月25日
(54)【発明の名称】一次成形品の二次成形方法及び二次成形装置
(51)【国際特許分類】
   B29C 41/04 20060101AFI20170421BHJP
   C03B 23/053 20060101ALI20170421BHJP
   B29C 41/20 20060101ALI20170421BHJP
   B29L 22/00 20060101ALN20170421BHJP
【FI】
   B29C41/04
   C03B23/053
   B29C41/20
   B29L22:00
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-216577(P2015-216577)
(22)【出願日】2015年11月4日
(71)【出願人】
【識別番号】393026076
【氏名又は名称】石川樹脂工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074332
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100114432
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 寛昭
(74)【代理人】
【識別番号】100138416
【弁理士】
【氏名又は名称】北田 明
(72)【発明者】
【氏名】石川 章
【テーマコード(参考)】
4F205
4G015
【Fターム(参考)】
4F205AR06
4F205GA01
4F205GB01
4F205GC04
4F205GN01
4F205GN13
4F205GN29
4G015BA04
4G015BB01
(57)【要約】
【課題】パーティングラインが形成されることがなく、変化に富んだ形状にすることができる一次成形品の二次成形方法及び二次成形装置を提供する。
【解決手段】合成樹脂材料又は硝子材料で成形された筒状の側壁部1Aを有する一次成形品1を二次成形する一次成形品の二次成形方法であって、前記一次成形品1を成形型4の内側に配置し、その状態で前記一次成形品1を回転させながら加熱することによって一次成形品1の側壁部1Aを前記成形型4の成形面411,421に沿うように変形させる変形工程を備えている。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成樹脂材料又は硝子材料で成形された筒状の側壁部を有する一次成形品を二次成形する一次成形品の二次成形方法であって、前記一次成形品を成形型の内側に配置し、その状態で前記一次成形品を回転させながら加熱することによって該一次成形品の側壁部を前記成形型の成形面に沿うように変形させる変形工程を備えていることを特徴とする一次成形品の二次成形方法。
【請求項2】
前記一次成形品を、軟化点以上で融点未満の温度になるように加熱することを特徴とする請求項1に記載の一次成形品の二次成形方法。
【請求項3】
前記一次成形品が、前記側壁部と、該側壁部の一端を閉じる底部とを有する有底筒状の容器からなり、前記変形工程を実行中に前記開口側端を底部側へ押圧する押圧工程を備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の一次成形品の二次成形方法。
【請求項4】
合成樹脂材料又は硝子材料で成形された筒状の側壁部を有する一次成形品を二次成形する一次成形品の二次成形装置であって、前記一次成形品を加熱する加熱部と、該加熱部で加熱される一次成形品を回転させる回転部と、該回転部で回転させることによって外側に変形する前記一次成形品を受け止めて所定形状に成形するための成形面を有する成形型と、を備えていることを特徴とする一次成形品の二次成形装置。
【請求項5】
前記加熱部は、前記一次成形品を、軟化点以上で融点未満の温度になるように加熱するように構成されていることを特徴とする請求項4に記載の一次成形品の二次成形装置。
【請求項6】
前記一次成形品が、前記側壁部と、該側壁部の一端を閉じる底部とを有する有底筒状の容器からなり、前記加熱部で加熱されて変形可能となった前記容器の開口側端を底部側へ押圧する押圧部を備えていることを特徴とする請求項4又は5に記載の一次成形品の二次成形装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、合成樹脂材料又は硝子材料で成形された一次成形品を二次成形する一次成形品の二次成形方法及び二次成形装置に関する。
【背景技術】
【0002】
かかる一次成形品は、材料となる合成樹脂を溶融し、溶融した合成樹脂を成形型内に所定の圧力で射出して成形される(特許文献1)、あるいは成形型の内部に、チューブ状のパリソンを位置させ、そのパリソンの内部に圧力エアを吹き込んで膨らませることによって、成形型の成形面にパリソンを押し付けて成形される(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−297468号公報
【特許文献2】実開平6−53127号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記射出成形及びブロー成形のいずれの成形方法においても、容器を多少の凹凸部を有する形状に成形することができるものの、それ以上の凹凸部を有する変化に富んだ形状にしようとすれば、成形型を複数の分割成形型から構成しなければならない。このように複数の分割成形型で構成された成形型に圧力で押し付けられて成形される成形品の表面の分割成形型同士の接合部(繋ぎ目)に対応する部分に、パーティングラインが突出形成される。このようなパーティングラインが形成された成形品は、見栄えが悪く、商品価値を低下させるものになり、早期の改善が要望されている。
【0005】
そこで、本発明は、かかる事情に鑑みてなされたもので、パーティングラインが形成されることがなく、変化に富んだ形状にすることができる一次成形品の二次成形方法及び二次成形装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る一次成形品の二次成形方法は、合成樹脂材料又は硝子材料で成形された筒状の側壁部を有する一次成形品を二次成形する一次成形品の二次成形方法であって、前記一次成形品を成形型の内側に配置し、その状態で前記一次成形品を回転させながら加熱することによって該一次成形品の側壁部を前記成形型の成形面に沿うように変形させる変形工程を備えていることを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、一次成形品を成形型の内側に配置し、その状態で一次成形品を回転させながら加熱することによって、軟化状態となった一次成形品の側壁部が回転による遠心力を受けて外側へ変形する。その変形する一次成形品が成形型の成形面に沿うように変形することによって、側壁部を変化に富んだ所望の形状の二次成形品にすることができる。そして、軟化状態となった一次成形品が遠心力を受けて変形するものであるため、成形型が複数の分割成形型から構成されていても、分割成形型同士の接合部(繋ぎ目)に強固な力で押し付けられることがないため、二次成形品の表面の分割成形型同士の接合部(繋ぎ目)に対応する部分に、パーティングラインが突出形成されることがない。また、前記変形により二次成形品の肉厚が薄い部分と厚い部分とが混在する肉厚のバラツキ(偏肉)が発生することによって、更に変化の富んだ二次成形品を得ることができる。
【0008】
また、本発明に係る一次成形品の二次成形方法は、前記一次成形品を、軟化点以上で融点未満の温度になるように加熱する構成であることが好ましい。
【0009】
上記のように、一次成形品を、軟化点以上で融点未満の温度になるように加熱することによって、一次成形品を確実に軟化させて変形させることができる。
【0010】
また、本発明に係る本発明に係る一次成形品の二次成形方法は、前記一次成形品が、前記側壁部と、該側壁部の一端を閉じる底部とを有する有底筒状の容器からなり、前記変形工程を実行中に前記開口側端を底部側へ押圧する押圧工程を備えていてもよい。
【0011】
上記のように、変形工程を実行中に押圧工程で開口側端を底部側へ押圧することによって、側壁部の外側への変形を迅速に行うことができ、二次成形にかかる時間を短縮することができる。
【0012】
また、本発明に係る一次成形品の二次成形装置は、合成樹脂材料又は硝子材料で成形された筒状の側壁部を有する一次成形品を二次成形する一次成形品の二次成形装置であって、前記一次成形品を加熱する加熱部と、該加熱部で加熱される一次成形品を回転させる回転部と、該回転部で回転させることによって外側に変形する前記一次成形品を受け止めて所定形状に成形するための成形面を有する成形型と、を備えていることを特徴とする。
【0013】
本発明によれば、加熱部で加熱する一次成形品を回転部で回転させることによって、軟化状態となった一次成形品の側壁部が回転による遠心力を受けて外側へ変形する。その変形する一次成形品の側壁部を成形型の成形面で受け止めて所定形状に変形させることによって、側壁部を変化に富んだ所望の形状の二次成形品にすることができる。そして、軟化状態となった一次成形品が遠心力を受けて変形するものであるため、成形型が複数の分割成形型から構成されていても、分割成形型同士の接合部(繋ぎ目)に強固な力で押し付けられることがないため、二次成形品の表面の分割成形型同士の接合部(繋ぎ目)に対応する部分に、パーティングラインが突出形成されることがない。また、前記変形により二次成形品の肉厚が薄い部分と厚い部分とが混在する肉厚のバラツキ(偏肉)が発生することによって、更に変化の富んだ二次成形品を得ることができる。
【0014】
また、本発明に係る一次成形品の二次成形装置は、前記加熱部は、前記一次成形品を、軟化点以上で融点未満の温度になるように加熱するように構成されていることが望ましい。
【0015】
上記のように、加熱部が、一次成形品を軟化点以上で融点未満の温度になるように加熱することによって、一次成形品を確実に軟化させて変形させることができる。
【0016】
また、本発明に係る一次成形品の二次成形装置は、前記一次成形品が、前記側壁部と、該側壁部の一端を閉じる底部とを有する有底筒状の容器からなり、前記加熱部で加熱されて変形可能となった前記容器の開口側端を底部側へ押圧する押圧部を備えていてもよい。
【0017】
上記のように、加熱部で加熱されて変形可能となった容器の開口側端を底部側へ押圧することによって、側壁部の外側への変形を迅速に行うことができ、二次成形にかかる時間を短縮することができる。
【発明の効果】
【0018】
以上の如く、本発明によれば、一次成形品を回転させながら加熱することによって、回転による遠心力を受けて軟化状態となった一次成形品の側壁部を成形型の成形面に沿って所望通り変形させることができるので、パーティングラインが形成されることがなく、変化に富んだ形状にすることができる一次成形品の二次成形方法及び二次成形装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】(a)は本発明の二次成形装置の縦断側面図、(b)は(a)の装置で成形した二次成形品の縦断側面図である。
図2】同二次成形装置の正面図である。
図3】同二次成形装置の要部の横断平面図である。
図4】(a)は一次成形品の正面図であり、(b)は(a)の一次成形品を二次成形装置で二次成形した二次成形品の正面図である。
図5】(a),(b)は他の形状の一次成形品を二次成形装置で二次成形した二次成形品の正面図である。
図6】他の形状の一次成形品の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1に、本発明の二次成形装置Sを示している。この二次成形装置Sは、合成樹脂材料又は硝子材料で成形された筒状の側壁部1Aを有する一次成形品1を二次成形するための装置である。図1(a)に示すように、一次成形品1は、円筒状の側壁部1Aと、側壁部1Aの一端(図では下端)を閉じる略円形の底部1Bとを有する上方が開放された有底筒状の容器(コップ)であるが、筒状の側壁部のみからなる筒状体であってもよい。側壁部1Aは、上端側ほど直径が大きくなるテーパー形状になっている。尚、図1(a)において左側を前とし、右側を後とし、図2において左側を左とし、右側を右とし、図3において、左側を左とし、右側を右とし、下側を前とし、上側を後として、それぞれ説明する。
【0021】
二次成形装置は、一次成形品1を加熱する加熱部2と、加熱部2で加熱される一次成形品1を回転させる回転部3と、回転部3で回転させることによって外側に変形する一次成形品1を受け止めて所定形状に成形するための成形面411,421を有する成形型4と、を台フレーム5の上に備えている。
【0022】
加熱部2は、一次成形品1を、軟化点以上で融点未満の温度になるように加熱温度を設定できるように構成されている。具体的には、加熱部2は、ガン状放熱器であるヒートガンから構成され、本体部2Aと本体部2Aの先端(図1では下端)に備えたノズル部2Bとを備え、ノズル部2Bの先端から下方に向かって熱風が吹き出るようになっている。
【0023】
加熱部2は、下側ほど下方に位置する斜め下方に延びるアーム6の先端部(下端部)に保持されている。このアーム6の基端部が、長手方向が上下方向に沿うように取り付けられた単軸ロボット7に取り付けられており、アーム6を介して加熱部2を上下方向に移動させることができるようになっている。従って、アーム6が下方に移動することによって、図1の実線で示すように加熱部2のノズル部2Bが成形型4内に位置する加熱位置と、アーム6が上方に移動することによって、図1の2点鎖線で示すように加熱部2のノズル部2Bを成形型4の上方へ退避させた退避位置とに加熱部2を位置変更させることができる。また、加熱部2の先端側部分には、前記加熱位置において成形型4の上端の開口4Kを閉じる円板状の熱保護板8が取り付けられている。単軸ロボット7は、台フレーム5に立設された縦長状の固定フレーム9の上端に前後方向に位置調整可能に取り付けられた支持体10に取り付けられている。一次成形品1が、例えば硝子材料で成形されている場合には、変形温度となる700℃〜750℃の間の任意の温度になるように加熱部2の加熱温度を設定する。また、一次成形品1が、ポリプロピレンの場合には、変形温度が128℃〜167℃であり、また、ポリスチレンの場合には、変形温度が90℃から104℃であるが、これら変形温度は、材料によって異なる。尚、一次成形品1を成形する熱可塑性樹脂には、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂(例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート)、ポリカーボネ―ト系樹脂、ポリ乳酸系樹脂などが挙げられる。
【0024】
回転部3は、成形型4が載置される円板状の円板部材3Aと、電動モータ3Bと、電動モータ3Bの回転力を円板部材3Aに伝達するための伝動機構3Cとを備えている。円板部材3Aの回転数は、一次成形品1の大きさや重量等を考慮して、約600rpm〜1200rpmの間の任意の回転数に設定することができる。尚、ここでは、一次成形品1がコップの場合の回転数を示しているため、一次成形品1がコップ以外のものである場合には、その一次成形品1に合った回転数を設定することになる。
【0025】
伝動機構3Cは、図1及び図2に示すように、電動モータ3Bから動力を伝達する第1ローラチェーンカップリング11、ギアボックス12、第2ローラチェーンカップリング13を備え、第2ローラチェーンカップリング13を介して三爪スクロールチャック14に前記動力が伝達されて円板部材3Aが回転される。三爪スクロールチャック14には、チャック操作用ハンドル15を備えており、このチャック操作用ハンドル15を操作することによって、一次成形品1を三爪スクロールチャック14で円板部材3Aに締め付けて固定することができる。図2に示す16は、電動モータ3Bの停止時に使用する電磁ブレーキである。
【0026】
成形型4は、木製(金属製でもよい)で半円状の2つの分割成形型41,42からなり、一方の分割成形型41に対して他方の分割成形型42が縦軸X回りで揺動開閉自在に構成されている。各分割成形型41又は42の内面には、成形面411又は421が形成されている。各成形面411又は421は、上端から下部側にかけて外側に円弧状に凸となる円弧状の上側成形面411a又は421aと、上側成形面411a又は421aの下端から略上下方向に垂下する直線状の下側成形面411b又は421bとを備える。
【0027】
成形型4の前方側には、作業者をガードするためのガード部材17が、台フレーム5に立設された縦長状の固定壁18の上端に設けられている。2つの分割成形型41,42は、金属製の外枠19,20にそれぞれビス止めされている。
【0028】
ガード部材17は、固定壁18の上端に固定された固定フレーム21に上下一対のローラスライドレール22,22を介して左右方向に移動自在に取り付けられている。従って、ガード部材17に付設のU字状の取っ手23を持って左右方向に移動させることによって、ガード部材17を、成形型4の前方に位置して作業者をガードするガード位置(図3の実線参照)と、成形型4の前方から左右方向一方へ移動して他方の分割成形型42を縦軸X回りで揺動開閉可能とする退避位置(図3の2点鎖線参照)とに位置させることができるように構成している。
【0029】
また、本発明に係る一次成形品を二次成形するための二次成形方法は、合成樹脂材料又は硝子材料で成形された筒状(図1(a)では円筒状)の側壁部1Aを有する一次成形品1を二次成形する方法であって、一次成形品1を成形型4の内側に配置し、その状態で一次成形品1を回転させながら加熱することによって一次成形品1の側壁部1Aを成形型4の成形面411,421に沿うように変形させる変形工程を備えている。
【0030】
一次成形品1は、材料となる合成樹脂又は硝子を溶融し、溶融した合成樹脂又は硝子を成形型内に所定の圧力で射出して成形される、あるいは成形型の内部に、チューブ状のパリソンを位置させ、そのパリソンの内部に圧力エアを吹き込んで膨らませることによって、成形型の成形面にパリソンを押し付けて成形される。このようにして成形された一次成形品は、前記二次成形装置を用いて二次成形品に成形されることになり、その成形工程について説明する。
【0031】
まず、成形型4の内側に一次成形品1をセット(配置)し、ヒートガン2を加熱位置に位置させる。すると、熱保護板8で成形型4の上端が閉じられる。この状態において、ヒートガン2を作動させて加熱を開始するとともに電動モータ3Bを駆動することによって、円板部材3Aを回転させて一次成形品1を回転させる。一次成形品1が軟化状態になると、一次成形品1の側壁部1Aが回転による遠心力を受けて外側へ変形する。その変形する一次成形品1の側壁部1Aを成形型4の成形面411,421で受け止めて所定形状に変形させることによって、側壁部1Aを変化に富んだ所望の形状(上側部分が外側に円弧状に凸となるように湾曲した円弧形状)の二次成形品24(図1(b)参照)にすることができる。そして、軟化状態となった一次成形品1が遠心力を受けて変形するものであるため、成形型4が複数の分割成形型41,42から構成されていても、分割成形型41,42同士の接合部(繋ぎ目)に強固な力で押し付けられることがないため、二次成形品24の表面の分割成形型41,42同士の接合部(繋ぎ目)に対応する部分に、パーティングラインが突出形成されることがない。また、前記変形により二次成形品24の肉厚が薄い部分と厚い部分とが混在する肉厚のバラツキ(偏肉)が発生することによって、更に変化の富んだ二次成形品24を得ることができる。
【0032】
図1(a)に示す一次成形品1を外側に変形させて成形される図1(b)に示す二次成形品24は、回転による遠心力を受けて外側へ拡がるように変形して成形される。そのため、二次成形品24の側壁部24A及び底部24Bの直径が、一次成形品1の側壁部1A及び底部1Bの直径よりも大きくなり、しかも二次成形品24の高さが一次成形品1の高さよりも低くなっている。尚、二次成形品24の二次成形時に、前述のように変形による肉厚のバラツキ(偏肉)が発生することになるが、一次成形品1の成形時に前記肉厚のバラツキを見越した肉厚、つまり成形された二次成形品24の薄い部分が最低限必要となる肉厚になるように一次成形品1の肉厚を設定しておけば、強度面において不利になるようなことはない。
【0033】
図示していないが、前記ヒートガン2(加熱部)で加熱されて変形可能となった容器(一次成形品)1の上端の開口側端を底部1B側へ押圧する押圧部(図示せず)を二次成形装置に備えていれば、加熱されて変形可能となった容器1の側壁部1Aの外側への変形を迅速に行うことができ、二次成形にかかる時間を短縮することができる。尚、前記押圧部は、二次成形方法においては、押圧工程となり、押圧工程を備えていれば、前記同様の効果を生じる。
【0034】
尚、本発明に係る一次成形品の二次成形方法及び一次成形品の二次成形装置は、実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0035】
例えば、一次成形品1を、図4(a)に示すように、上端に向かうほど外拡がりとなるテーパー形状の側壁部1Aと、側壁部1Aの一端を閉じる円形の底部1Bとを有する有底筒状の容器(コップ)からなっている。前記側壁部1Aの外面には、略楕円形状(菱形状や多角形状あるいは円形状等、どのような形状であってもよい)の凹部(模様)1Hが多数形成されている。その一次成形品1を二次成形した二次成形品25を、図4(b)に示している。図4(b)の二次成形品25は、側壁部25Aと円形の底部25Bとからなっている。前記側壁部25Aの上部には、外側に凸となるように円弧状に湾曲した湾曲部分25aを備えた形状になっている。また、一次成形品1を外側に変形させて成形される二次成形品25は、回転による遠心力を受けて外側へ拡がるように変形して成形される。そのため、二次成形品25の側壁部25A及び底部25Bの直径が、一次成形品1の側壁部1A及び底部1Bの直径よりも大きくなり、しかも二次成形品25の高さが一次成形品1の高さよりも低くなっている。また、外面に形成されている略楕円形状の各凹部(模様)25Hは、側壁部25A及び底部25Bの変形に伴って潰れることがなく、しかも前記と同様に一次成形品1に比べて二次成形品25の方が、高さが低くて左右幅が広くなっている。図4(a)では、側壁部1Aの外面に凹部(模様)1Hを形成したが、側壁部1Aの内面に凹部又は凸部あるいはそれら両方が形成された模様を備えたものであってもよい。この場合も、一次成形品1を二次成形しても、側壁部1Aの内面に形成された模様が潰れることがなく、前記と同様に一次成形品1に比べて二次成形品25の方が、高さが低くて左右幅が広くなる模様となる。また、図4(b)に示した二次成形品25の形状も自由に変更できる。例えば図5(a)に示すように、下方に外側に凸となる円弧状に湾曲した下側部分26Uを備えたどっしりとした安定感のある形状の二次成形品26であってもよい。また、図5(b)に示すように、側壁部27Aが内側に凸となる円弧状に湾曲した凹部分27Kを備えた形状の二次成形品27であってもよい。また、一次成形品1の側壁部1Aの下端部に、図6に示すように、同一間隔で側面視略三角形状の脚部1Rを多数備えた形状のものを二次成形してもよい。また、図示していないが、側壁部に外側に凸となる凸部と内側に凹となる凹部とを備えた形状の二次成形品であってもよい。例えば本体の上端の口部に螺合されるキャップを備えたペットボトルにおいて、口部の内側に螺子部を形成した本体を一次成形し、その一次成形品の口部は、熱を加えないようにする。そして、本体のみに熱を加えて本体をいろんな形状に二次成形することができる。これによって、口部の外側を螺子が形成されていないフラットな面にして飲み易い口部を有する変化の富んだ形状のペットボトルを得ることができる。
【0036】
前記実施形態では、平面視円形状の一次成形品を二次成形するようにしたが、平面視楕円形状、矩形状、多角形状等、どのような形状の一次成形品を二次成形してもよい。
【0037】
また、前記実施形態では、一次成形品1と成形型4の両方が回転するように構成したが、成形型4は回転しない固定型とし、一次成形品1のみ回転するように構成してもよい。この場合、成形型4を、一次成形品1の外周面を全て囲う円筒状に構成しなくてもよい。つまり、一次成形品1の外周面の一部を囲うように平面視において円弧状の部分型から構成して実施することもできる。このように円弧状の部分型から構成しても、一次成形品1が回転することで部分型の内面の成形面に一次成形品1の外周面が順次当接して所定形状に成形することができる。
【0038】
また、前記実施形態では、一次成形品1に内側から熱を加える構成であったが、一次成形品1に外側から熱を加えてもよいし、一次成形品1に内側及び外側の両方から熱を加えてもよい。また、加熱部2の具体的構成は、自由に変更できる。
【0039】
また、前記実施形態では、成形型を2つの分割成形型41,42から構成したが、3つ以上の分割成形型から構成してもよい。
【符号の説明】
【0040】
1…一次成形品(容器)、1A…側壁部、1B…底部、1H…凹部、1R…脚部、2…加熱部(ヒートガン)、2A…本体部、2B…ノズル部、3…回転部、3A…円板部材、3B…電動モータ、3C…伝動機構、4…成形型、4K…開口、5…台フレーム、6…アーム、7…単軸ロボット、8…熱保護板、9…固定フレーム、10…支持体、11…第1ローラチェーンカップリング、12…ギアボックス、13…第2ローラチェーンカップリング、14…三爪スクロールチャック、15…チャック操作用ハンドル、17…ガード部材、18…固定壁、19,20…外枠、21…固定フレーム、22,22…ローラスライドレール、23…取っ手、24…二次成形品、24A…側壁部、24B…底部、25…二次成形品、25A…側壁部、25B…底部、25H…凹部、25a…湾曲部分、26…二次成形品、26U…下側部分、27…二次成形品、27A…側壁部、27K…凹部分、41,42…分割成形型、411,421…成形面、411a,421a…上側成形面、411b,421b…下側成形面、S…二次成形装置、X…縦軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6