特開2017-87630(P2017-87630A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特開2017-87630シートラッピング製品およびそれに用いられる化粧シート
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-87630(P2017-87630A)
(43)【公開日】2017年5月25日
(54)【発明の名称】シートラッピング製品およびそれに用いられる化粧シート
(51)【国際特許分類】
   B32B 37/22 20060101AFI20170421BHJP
   B29C 63/04 20060101ALI20170421BHJP
【FI】
   B32B31/10
   B29C63/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-222699(P2015-222699)
(22)【出願日】2015年11月13日
(71)【出願人】
【識別番号】390030340
【氏名又は名称】株式会社ノダ
(74)【代理人】
【識別番号】100085589
【弁理士】
【氏名又は名称】▲桑▼原 史生
(72)【発明者】
【氏名】松本 浩行
【テーマコード(参考)】
4F211
【Fターム(参考)】
4F211AH46
4F211SA01
4F211SC01
4F211SC09
4F211SD01
4F211SD18
4F211SH18
4F211SH19
(57)【要約】
【課題】見栄えが良く、長年の使用によっても化粧シートが剥がれにくいシートラッピング製品を提供する。
【解決手段】板状基材の表面から施工状態において前面に現れる前方側面、後方側面および左右横側面に一枚の化粧シート11が連続して貼着されてなるシートラッピング製品10である。化粧シートは、基材表面を覆う表面被覆部11aと、表面被覆部の前方および横方向に延長形成されて基材前方側面から横側面を覆う前方複数面被覆部11bと、表面被覆部の後方から延長形成されて基材後方側面を覆う後方側面被覆部11cとを有する。化粧シートの前方複数面被覆部と後方側面被覆部との継目14が基材の横側面と後方側面との角に沿って現れるので目立たなく、剥がれにくい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状基材の表面から施工状態において前面に現れる前方側面、後方側面および左右横側面に一枚の化粧シートが連続して貼着されてなるシートラッピング製品であって、化粧シートは、板状基材の表面を覆う表面被覆部と、表面被覆部の前方および横方向に延長形成されて板状基材の前方側面から横側面を覆う前方複数面被覆部と、表面被覆部の後方に延長形成されて板状基材の後方側面を覆う後方側面被覆部とを有し、化粧シートの前方複数面被覆部と後方側面被覆部との継目が板状基材の横側面と後方側面との角に沿って現れることを特徴とするシートラッピング製品。
【請求項2】
板状基材の少なくとも一の前方角部に面取り部が形成され、化粧シートの前記前方複数面被覆部は、板状基材の前方側面から面取り部を経て横側面を覆うことを特徴とする、請求項1記載のシートラッピング製品。
【請求項3】
化粧シートの前記後方側面被覆部が省略され、板状基材の後方側面には化粧シートが貼着されずに基材が露出された状態であり、化粧シートの前記前方複数面被覆部の両端縁が板状基材の横側面と後方側面との角に沿って位置することを特徴とする、請求項1または2記載のシートラッピング製品。
【請求項4】
さらに化粧シートの前記前方複数面被覆部のうち板状基材の一方の横側面を覆う横方向延長部分が省略され、板状基材の後方側面および該横側面には化粧シートが貼着されずに基材が露出された状態であり、化粧シートの前記前方複数面被覆部の一端縁が板状基材の該一方横側面と後方側面との角に沿って位置し、他端縁が板状基材の前方側面と他方横側面との角に沿って位置することを特徴とする、請求項3記載のシートラッピング製品。
【請求項5】
板状基材の表面から施工状態において前面に現れる前方側面、後方側面および左右横側面に一枚の化粧シートが連続して貼着されてなるシートラッピング製品に用いられる該化粧シートであって、板状基材の表面を覆う表面被覆部と、表面被覆部の前方および横方向に延長形成されて板状基材の前方側面から横側面を覆う前方複数面被覆部と、表面被覆部の後方に延長形成されて板状基材の後方側面を覆う後方側面被覆部とを有することを特徴とする化粧シート。
【請求項6】
板状基材の表面から施工状態において前面に現れる前方側面および左右横側面に一枚の化粧シートが連続して貼着されてなるシートラッピング製品に用いられる該化粧シートであって、板状基材の表面を覆う表面被覆部と、表面被覆部の前方および横方向に延長形成されて板状基材の前方側面から横側面を覆う前方複数面被覆部とを有することを特徴とする化粧シート。
【請求項7】
板状基材の表面から施工状態において前面に現れる前方側面および左右いずれか一方の横側面に一枚の化粧シートが連続して貼着されてなるシートラッピング製品に用いられる該化粧シートであって、板状基材の表面を覆う表面被覆部と、表面被覆部の前方および該一方横方向に延長形成されて板状基材の前方側面から該一方横側面を覆う前方複数側面被覆部とを有することを特徴とする化粧シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、板状基材の表面および側面に一枚の化粧シートが貼着されてなるシートラッピング製品、およびそれに用いられる化粧シートに関する。
【背景技術】
【0002】
天然板材の枯渇化およびそれに伴う価格上昇などを背景として、無垢材に代えて、板状基材の表面および側面を化粧シートで被覆してなる化粧板材を建材などに用いることが広く行われている。その際に、板状基材の表面および側面に化粧シートの模様や色柄が連続して現れるようにするために、これらを一枚の化粧シートで覆うことが好ましい。
【0003】
このようなシートラッピング製品は、下記特許文献1などに公知である。特許文献1に記載されるシートラッピング製品1に用いられる基材2は、側面同士が直角に交差する単純な直方体形状を有しており、その表面2および四周側面(第一側面2b,第二側面2cを覆うように用いられる化粧シート3は、基材の隣り合う2側面2b,2cに貼着する貼付片(第一側面貼付片3b.第二側面貼付片3c)同士の間が三角形状の切欠き4であらかじめ分断されており、基材の表面から第一側面2bを覆うように貼着した後、第一側面貼付片3bの両端を折り返して第二側面貼付片3cと共に第二側面2cに貼着して、シートラッピング製品1を形成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−087160号公報(図1図5
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1記載の従来技術によると、第一側面貼付片3bの両端を折り返して第二側面貼付片3cと共に基材第二側面2cに貼着したときに、これらの継目が基材第二側面2cに斜線状に現われることになる(図1(a),図2(a),図3(a),図4(a),図5(a)参照)。
【0006】
シートラッピング製品は様々な用途に用いられるが、施工状態において後方に位置する部分は目立たず、特に、たとえば階段の踏板やカウンターとして用いられる場合、その施工状態において後面側となる後方側面は壁面に接して露出しないので見栄えに影響を及ぼさないが、壁面に接しない前方側面および横側面には化粧シートを貼着する必要がある。
【0007】
ところが、特許文献1記載の従来技術によると、施工状態において人の目につきやすい横側面に化粧シートの継目が現れるので、見栄えが悪くなる。特に木目模様などを印刷した化粧シートを用いる場合、継目が側面に現出すると、その部分で模様が途切れて連続しないので、見栄えが大きく損なわれる。また、第一側面貼付片3bの両端の折り返し部分が位置する基材横側面は人の手や物に接触する機会が多いので、長年の使用で化粧シートがこの折り返し部分で剥がれやすいという問題もある。
【0008】
したがって、本発明が解決しようとする課題は、見栄えが良く、長年の使用によっても化粧シートが剥がれにくいシートラッピング製品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題を解決するため、本願の請求項1に係る発明は、板状基材の表面から施工状態において前面に現れる前方側面、後方側面および左右横側面に一枚の化粧シートが連続して貼着されてなるシートラッピング製品であって、化粧シートは、板状基材の表面を覆う表面被覆部と、表面被覆部の前方および横方向に延長形成されて板状基材の前方側面から横側面を覆う前方複数面被覆部と、表面被覆部の後方に延長形成されて板状基材の後方側面を覆う後方側面被覆部とを有し、化粧シートの前方複数面被覆部と後方側面被覆部との継目が板状基材の横側面と後方側面との角に沿って現れることを特徴とする。
【0010】
本願の請求項2に係る発明は、請求項1記載のシートラッピング製品において、板状基材の少なくとも一の前方角部に面取り部が形成され、化粧シートの前記前方複数面被覆部は、板状基材の前方側面から面取り部を経て横側面を覆うことを特徴とする。
【0011】
本願の請求項3に係る発明は、請求項1または2記載のシートラッピング製品において、化粧シートの後方側面被覆部が省略され、板状基材の後方側面には化粧シートが貼着されずに基材が露出された状態であり、化粧シートの前方複数面被覆部の両端縁が板状基材の横側面と後方側面との角に沿って位置することを特徴とする。
【0012】
本願の請求項4に係る発明は、請求項3記載のシートラッピング製品において、さらに化粧シートの前記前方複数面被覆部のうち板状基材の一方の横側面を覆う横方向延長部分が省略され、板状基材の後方側面および該横側面には化粧シートが貼着されずに基材が露出された状態であり、化粧シートの前記前方複数面被覆部の一端縁が板状基材の該一方横側面と後方側面との角に沿って位置し、他端縁が板状基材の前方側面と他方横側面との角に沿って位置することを特徴とする。
【0013】
本願の請求項5に係る発明は、板状基材の表面から施工状態において前面に現れる前方側面、後方側面および左右横側面に一枚の化粧シートが連続して貼着されてなるシートラッピング製品に用いられる該化粧シートであって、板状基材の表面を覆う表面被覆部と、表面被覆部の前方および横方向に延長形成されて板状基材の前方側面から横側面を覆う前方複数面被覆部と、表面被覆部の後方に延長形成されて板状基材の後方側面を覆う後方側面被覆部とを有することを特徴とする。
【0014】
本願の請求項6に係る発明は、板状基材の表面から施工状態において前面に現れる前方側面および左右横側面に一枚の化粧シートが連続して貼着されてなるシートラッピング製品に用いられる該化粧シートであって、板状基材の表面を覆う表面被覆部と、表面被覆部の前方および横方向に延長形成されて板状基材の前方側面から横側面を覆う前方複数面被覆部とを有することを特徴とする。
【0015】
本願の請求項7に係る発明は、板状基材の表面から施工状態において前面に現れる前方側面および左右いずれか一方の横側面に一枚の化粧シートが連続して貼着されてなるシートラッピング製品に用いられる該化粧シートであって、板状基材の表面を覆う表面被覆部と、表面被覆部の前方および該一方横方向に延長形成されて板状基材の前方側面から該一方横側面を覆う前方複数面被覆部とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に係る発明によれば、板状基材の表面から四周側面にかけて連続して一枚の化粧シートが貼着されるので、色や柄が統一された見栄えの良い化粧板材とすることができる。特に、木目柄を有する化粧シートを用いた場合、板状基材の表面だけでなく四周側面にも連続して木目柄が現出するので、天然木材のように見える効果がある。
【0017】
また、化粧シートの隣接延長部同士の継目が、施工状態においては見えにくく、場合によっては壁面などに接して見えなくなる後方側面角部に沿って現われ、人の目に付きやすい前方や側方の側面には化粧シートの継目が表われないので、目立つことがなく、しかも化粧シートの剥がれを防止するので、良好な見栄えを維持し且つ長期間に亘って維持することができる。
【0018】
請求項2に係る発明によれば、基材の前方側面角部に面取りが施された場合であっても、基材の前方側面から該面取り部を経て横側面にかけて化粧シートの前方複数面被覆部で覆われるので、面取り部を含めた基材側面に連続する化粧シートにより見栄えの良い化粧を施すことができる。
【0019】
請求項3に係る発明によれば、化粧シートの後方側面被覆部が省略されるので、化粧シートに係るコストを低減することができる。化粧シートの後方側面被覆部を省略すると、板状基材の後方側面には化粧シートが貼着されずに基材が露出した状態となるが、該後方側面を壁面などに突き当てた状態で施工されるシートラッピング製品(階段踏板やカウンターなど)にあっては該後方側面に化粧を施す必要がないので、このような実施形態も本発明の範囲内である。
【0020】
請求項4に係る発明によれば、化粧シートの後方側面被覆部および前方複数面被覆部の一方の横方向延長部分が省略されるので、化粧シートに係るコストを低減することができ、さらに、長尺連続化粧シートから所定形状の化粧シートを一枚ずつカットして得る際の不要部分が小さくなるので、さらにコスト低減効果が得られる。化粧シートの後方側面被覆部および前方複数面被覆部の該横方向延長部分を省略する(したがって前方複数面被覆部はこの場合実質的に二側面被覆部となる)と、板状基材の後方側面および該横側面には化粧シートが貼着されずに基材が露出した状態となるが、これらの面を壁面などに突き当てた状態で施工されるシートラッピング製品(階段踏板やカウンターなど)にあっては該後方側面に化粧を施す必要がないので、このような実施形態も本発明の範囲内である。
【0021】
請求項5に係る発明によれば、板状基材の表面から四側面を連続して被覆してシートラッピング製品とするために好適に用いられる化粧シートが提供される。
【0022】
請求項6に係る発明によれば、板状基材の表面から施工状態において前面に現れる前方側面および左右横側面を連続して被覆してシートラッピング製品とするために好適に用いられる化粧シートが提供される。
【0023】
請求項7に係る発明によれば、板状基材の表面から施工状態において前面に現れる前方側面および左右いずれか一方の横側面を連続して被覆してシートラッピング製品とするために好適に用いられる化粧シートが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明によるシートラッピング製品を示す斜視図(a)〜(d)である。
図2図1に示す各シートラッピング製品(a)〜(d)に用いる化粧シートの形状を示す平面図(a)〜(d)である。
図3図1(a)〜(d)のシートラッピング製品を連続的に製造する際の化粧シートの配置およびカット部分を示す平面図(a)〜(d)である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
図1は本発明によるシートラッピング製品の幾つかの実施形態を示す斜視図であり、図1(a)のシートラッピング製品10は、面取りが施されていない板状基材(符号なし)の表面および四周側面を一枚の化粧シート11で覆うように貼着したものであり、図1(b)のシートラッピング製品10は、基材前方側面の両端に曲面状の面取り部12,12が施された基材の表面および四周側面を一枚の化粧シート11で覆うように貼着したものであり、図1(c)のシートラッピング製品10は、基材前方側面の両端に斜面状の面取り部13,13が施された基材の表面および四周側面を一枚の化粧シート11で覆うように貼着したものであり、図1(d)のシートラッピング製品10は、基材前方側面の一端(左端)のみに曲面状の面取り部12(または斜面状の面取り部13)が施された基材の表面および四周側面を一枚の化粧シート11で覆うように貼着したものである。これらシートラッピング製品10の側面において、化粧シート11の継目14が、基材の横側面と後方側面との角に沿って現れる。化粧シート11には木目調などの任意の印刷模様が施されている。
【0026】
図1(a)〜(d)に示すシートラッピング製品10には、図2(a)〜(d)にそれぞれ示されるようにカットされた化粧シート11が用いられる。すなわち、図1(a)のシートラッピング製品10に用いられる化粧シート11は、表面被覆部11aと、基材前方側面から左右の横側面を覆う前方複数面被覆部11bと、基材後方側面を覆う後方側面被覆部11cとを有する。表面被覆部11aは、基材表面と略同一形状および同一寸法を有する。前方複数面被覆部11bは、表面被覆部11aから基材側面高さ(基材厚)と略同一寸法の幅で前方に突出し、且つ、表面被覆部11aから基材横側面の長さ(基材幅)と略同一寸法で左右両側に突出する横方向延長部分11d,11dを有する。また、後方側面被覆部11cは、表面被覆部11aから基材側面高さ(基材厚)と略同一寸法の幅で後方に突出しているが、左右両側への突出部は無い。この化粧シート11の表面被覆部11aを基材表面に貼着し、且つ、前方複数面被覆部11bおよび後方側面被覆部11cを基材の前方側面および後方側面との角に沿ってそれぞれ折り曲げて、接着剤でこれらの面に貼着することにより、図1(a)のシートラッピング製品10が得られる。
【0027】
図1(b)〜(d)のシートラッピング製品10に用いられる化粧シート11(図2(b)〜(d))もほぼ同様であるが、面取り部12,13が形成された基板に用いる場合は、前方複数面被覆部11bの左右突出長さについて、面取り部12,13の面に沿った長さを勘案し、これを基材の面取り部12,13を経て横側面に貼着したときに、その先端が基材横側面と後方側面との間の角に到達し、後方側面被覆部11cとの間の継目が該角に沿って現れるようにする。
【0028】
図1(a)〜(d)のシートラッピング製品10の製造工程について、図3(a)〜(d)を参照して説明すると、複数の板状基材を所定間隔を置いて順次に搬送装置により所定速度で搬送しながら、基材の搬送速度に同期した速度でローラから送り出される長尺連続化粧シートの表面被覆部11aを基材表面に貼着し、且つ、搬送方向両側に配置したローラにより、前方複数面被覆部11bの中央部を基材前方側面に貼着すると共に、後方側面被覆部11cを基材後方側面に貼着する。次いで、板状基材間の所定位置(図3(a)〜(d)に矢印15で示す)で化粧シートを切断すると共に、不要部分(図3(a)〜(d)に斜線部で示す)をレーザーでカットして、図2(a)〜(d)の形状の化粧シート11とする。その後、表面、前方側面および後方側面に化粧シート11が貼着された基材を搬送装置から下ろして、化粧シート11の前方複数面被覆部11bの横方向延長部分11d,11dを基板の左右横側面に手作業で貼着して、図1(a)〜(d)のシートラッピング製品10を製造する。手作業に代えて、表面、前方側面および後方側面に化粧シート11が貼着された基材を別の搬送装置に移送して、その搬送方向両側に配置したローラで基板左右横側面に対する化粧シート貼り作業を行っても良い。オープン階段用の踏板など裏面にも化粧シートを貼着する必要があるときは、上記工程の前または後に、基材の裏面に別の化粧シートを貼着する工程を追加して行う。
【0029】
以上においては、板状基材の表面および四側面(またはさらに裏面)が化粧シート11で被覆されたシートラッピング製品10を対象として説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、たとえば、後方側面被覆部11cを省略した化粧シート11で板状基材の表面、前方側面および左右横側面を被覆したシートラッピング製品としても良い。化粧シート11の後方側面被覆部11cを省略すると、板状基材の後方側面には化粧シートが貼着されずに基材が露出した状態となるが、基材後方側面を壁面などに突き当てた状態で施工されるシートラッピング製品(階段踏板やカウンターなど)にあっては基材後方側面に化粧を施す必要がないので、このような実施形態も本発明の範囲内である。この実施形態によれば、化粧シート11の面積が後方側面被覆部11c省略分だけ小さくて済むので、施工状態における見栄えを良好に維持しながら、化粧シートに係るコストを低減することができる。
【0030】
また、基材前方側面の前方角部の一方のみに面取り部12,13が施されている場合(たとえば図1(d))においては、後方側面被覆部11cを省略するだけでなく、さらに、前方複数面被覆部11bの一方(この実施形態では面取り部非形成側)の横方向延長部分11dをも省略した化粧シート11で板状基材の表面、前方側面および一方横側面を被覆したシートラッピング製品としても良い。化粧シート11の後方側面被覆部11cおよび該横方向延長部分11dを省略すると、板状基材の後方側面および該横側面には化粧シートが貼着されずに基材が露出した状態となるが、基材後方側面および該横側面を壁面などに突き当てた状態で施工されるシートラッピング製品(階段踏板やカウンターなど)にあっては基材のこれらの面に化粧を施す必要がないので、このような実施形態も本発明の範囲内である。この実施形態によれば、上記と同様に化粧シートの面積が小さくて済むことによるコスト低減効果に加えて、化粧シートをカットする際の不要部分(図6(a)〜(d)の斜線部)が小さくなるので、施工状態における見栄えを良好に維持しながら、化粧シートに係るコストを大きく低減することができる。
【符号の説明】
【0031】
10 シートラッピング製品
11 化粧シート
11a 表面被覆部
11b 前方複数面被覆部
11c 後方側面被覆部
11d 前方複数面被覆部の横方向延長部分
12 曲面状の面取り部
13 斜面上の面取り部
14 化粧シートの継目
15 化粧シートのカット位置
図1
図2
図3