(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-87667(P2017-87667A)
(43)【公開日】2017年5月25日
(54)【発明の名称】シートラッピング製品およびそれに用いられる化粧シート
(51)【国際特許分類】
B32B 3/02 20060101AFI20170421BHJP
B32B 33/00 20060101ALI20170421BHJP
B29C 63/02 20060101ALI20170421BHJP
【FI】
B32B3/02
B32B33/00
B29C63/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-223914(P2015-223914)
(22)【出願日】2015年11月16日
(71)【出願人】
【識別番号】390030340
【氏名又は名称】株式会社ノダ
(74)【代理人】
【識別番号】100085589
【弁理士】
【氏名又は名称】▲桑▼原 史生
(72)【発明者】
【氏名】松本 浩行
【テーマコード(参考)】
4F100
4F211
【Fターム(参考)】
4F100AK01B
4F100AP00A
4F100AT00A
4F100BA02
4F100DD31B
4F100GB07
4F100HB00B
4F100JK06
4F211AD08
4F211AE00
4F211AG03
4F211SA07
4F211SC05
4F211SD12
4F211SH18
4F211SH19
4F211SJ29
4F211SP01
4F211SP04
4F211SW23
(57)【要約】
【課題】見栄えが良く、長年の使用によっても化粧シートが剥がれにくいシートラッピング製品を提供する。
【解決手段】前方側面と横側面との少なくとも一方の角が面取りされた形状を有する板状基材の表面および少なくとも前方側面から面取り側の横側面にかけて連続して一枚の化粧シートが貼着されてなるシートラッピング製品である。該化粧シート11は、少なくとも、板状基材の表面を覆う表面被覆部11aと、表面被覆部の前方および横方向に延長形成されて板状基材の前方側面から面取り部を経て横側面の一部を覆う第一側面被覆部11bと、表面被覆部から横方向に延長形成されて板状基材の面取りされた横側面の残部を覆う第二側面被覆部11cとを有する。化粧シートの第一側面被覆部と第二側面被覆部との継目は、板状基材の該横側面において面取り部12,13より後方に位置するので、目立たちにくく且つ剥がれにくい。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
施工状態において前面に現れる前方側面と横側面との少なくとも一方の角が面取りされた形状を有する板状基材と、その表面および少なくとも前方側面から面取り側の横側面にかけて連続して貼着される一枚の化粧シートとからなるシートラッピング製品であって、化粧シートは、少なくとも、板状基材の表面を覆う表面被覆部と、表面被覆部の前方および横方向に延長形成されて板状基材の前方側面から面取り部を経て横側面の一部を覆う第一側面被覆部と、表面被覆部から横方向に延長形成されて板状基材の面取りされた横側面の残部を覆う第二側面被覆部とを有し、化粧シートの第一側面被覆部と第二側面被覆部との継目が板状基材の該横側面において面取り部より後方に位置することを特徴とするシートラッピング製品。
【請求項2】
化粧シートは、さらに、表面被覆部の後方に延長形成されて板状基材の後方側面を覆う第三側面被覆部を有し、化粧シートの第二側面被覆部と第三側面被覆部との継目が板状基材の横側面と後方側面との角に沿って現われることを特徴とする、請求項1記載のシートラッピング製品。
【請求項3】
施工状態において前面に現れる前方側面と横側面との少なくとも一方の角が面取りされた形状を有する板状基材と、その表面および少なくとも前方側面から面取り形成側の横側面にかけて連続して貼着される一枚の化粧シートとからなるシートラッピング製品に用いられる該化粧シートであって、少なくとも、板状基材の表面を覆う表面被覆部と、表面被覆部の前方および横方向に延長形成されて板状基材の前方側面から面取り部を経て横側面の一部を覆う第一側面被覆部と、表面被覆部から横方向に延長形成されて板状基材の面取りされた横側面の残部を覆う第二側面被覆部とを有し、板状基材に貼着したときに第一側面被覆部と第二側面被覆部との継目が板状基材の該横側面において面取り部より後方に位置することを特徴とする化粧シート。
【請求項4】
さらに、表面被覆部の後方に延長形成されて板状基材の後方側面を覆う第三側面被覆部を有し、板状基材に貼着したときに第二側面被覆部と第三側面被覆部との継目が板状基材の横側面と後方側面との角に沿って現われることを特徴とする、請求項3記載の化粧シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、板状基材の表面および側面に一枚の化粧シートを貼着してなるシートラッピング製品、およびそれに用いられる化粧シートに関する。
【背景技術】
【0002】
天然板材の枯渇化およびそれに伴う価格上昇などを背景として、無垢材に代えて、板状基材の表面および四周側面を化粧シートで被覆してなる化粧板材を建材などに用いることが広く行われている。その際に、板状基材の表面および四周側面に化粧シートの模様や色柄が連続して現れるようにするために、これらを一枚の化粧シートで多くことが好ましい。
【0003】
このようなシートラッピング製品は、下記特許文献1などに公知である。特許文献1に記載されるシートラッピング化粧板Aは、板状基材1の表面1aおよび四側面1b,1b,1c,1cに一枚の化粧シート20’が連続して貼着されて化粧シート層20を形成しており、化粧シートの切除部21による継目が基材側面同士の角に沿って現われるものとされている(
図2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015−020305号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1記載の従来技術によるシートラッピング製品は床材としての用途を想定している(段落0024)が、このようなシートラッピング製品は多種多様な建材用途に使用される。たとえば、階段の踏板やカウンターなどに使用される場合を考えると、施工状態において前面に現れる前方側面と横側面との角部は人の目につきやすく、また、人の体や物に触れやすい。したがって、特許文献1のようにこの角部に化粧シートの継目が現れると、該継目で化粧シートの柄模様が分断されてしまうことによって見栄えが悪くなり、また、長年の使用により該継目から化粧シートが剥がれやすくなる。
【0006】
また、上記した階段の踏板やカウンターなどでは、意匠性を高めるとともに、人の体や物が当たったときに怪我や破損を生じにくいものとするために、基板の前方側面と横側面とがなす角部に面取りが施される場合があるが、特許文献1記載の従来技術では、床材としての用途を想定していることから、このような面取り形状の基材に化粧シートをラッピングすることについては何ら考慮されていない。化粧シートの継目が面取り部の領域内に形成されると、前述した見栄えの低下や化粧シートの剥離などの不利欠点がより顕著になる。
【0007】
したがって、本発明が解決しようとする課題は、見栄えが良く、長年の使用によっても化粧シートが剥がれにくいシートラッピング製品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題を解決するため、本願の請求項1に係る発明は、施工状態において前面に現れる前方側面と横側面との少なくとも一方の角が面取りされた形状を有する板状基材と、その表面および少なくとも前方側面から面取り側の横側面にかけて連続して貼着される一枚の化粧シートとからなるシートラッピング製品であって、化粧シートは、少なくとも、板状基材の表面を覆う表面被覆部と、表面被覆部の前方および横方向に延長形成されて板状基材の前方側面から面取り部を経て横側面の一部を覆う第一側面被覆部と、表面被覆部から横方向に延長形成されて板状基材の面取りされた横側面の残部を覆う第二側面被覆部とを有し、化粧シートの第一側面被覆部と第二側面被覆部との継目が板状基材の該横側面において面取り部より後方に位置することを特徴とする。
【0009】
本願の請求項2に係る発明は、請求項1記載のシートラッピング製品において、化粧シートは、さらに、表面被覆部の後方に延長形成されて板状基材の後方側面を覆う第三側面被覆部を有し、化粧シートの第二側面被覆部と第三側面被覆部との継目が板状基材の横側面と後方側面との角に沿って現われることを特徴とする。
【0010】
本願の請求項3に係る発明は、施工状態において前面に現れる前方側面と横側面との少なくとも一方の角が面取りされた形状を有する板状基材と、その表面および少なくとも前方側面から面取り形成側の横側面にかけて連続して貼着される一枚の化粧シートとからなるシートラッピング製品に用いられる該化粧シートであって、少なくとも、板状基材の表面を覆う表面被覆部と、表面被覆部の前方および横方向に延長形成されて板状基材の前方側面から面取り部を経て横側面の一部を覆う第一側面被覆部と、表面被覆部から横方向に延長形成されて板状基材の面取りされた横側面の残部を覆う第二側面被覆部とを有し、板状基材に貼着したときに第一側面被覆部と第二側面被覆部との継目が板状基材の該横側面において面取り部より後方に位置することを特徴とする。
【0011】
本願の請求項4に係る発明は、請求項3記載の化粧シートにおいて、さらに、表面被覆部の後方に延長形成されて板状基材の後方側面を覆う第三側面被覆部を有し、板状基材に貼着したときに第二側面被覆部と第三側面被覆部との継目が板状基材の横側面と後方側面との角に沿って現われることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る発明によれば、板状基材の表面から側面にかけて連続して一枚の化粧シートが貼着されるので、色や柄が統一された見栄えの良い化粧板材とすることができる。特に、木目柄を有する化粧シートを用いた場合、板状基材の表面から側面にかけて連続して木目柄が現出するので、天然木材のように見える効果がある。
【0013】
また、化粧シートの第一側面被覆部と第二側面被覆部との継目が基材の横側面において面取り部より後方に位置して現れ、人の体や物が当たりやすい面取り部は、基材前方側面から面取り部を経て横側面の一部を覆う第一側面被覆部によって被覆される。したがって、化粧シートの剥がれを防止し、良好な見栄えを維持し且つ長期間に亘って維持することができる。
【0014】
さらに、化粧シートの第一側面被覆部の横方向延長長さと第二側面被覆部の延長長さを適宜に設定することにより、基材の横側面に現れる化粧シートの継目位置を自在に変更することができる。たとえば、第一側面被覆部の横方向延長長さを相対的に大きくすると共に第二側面被覆部の延長長さを相対的に短くすると、化粧シートの継目が基材の後方側面との角部に近い位置となり、施工状態において見えにくく且つ触れにくい後方(奥側)に位置することになるので、見栄えを良好に維持すると共に、化粧シートの剥がれを防止する効果がより一層向上する。また、化粧シートの柄模様が連続するように見える位置に継目を形成するように考慮することができる。
【0015】
請求項2に係る発明によれば、化粧シートに第三側面被覆部を設けることにより基材の後方側面も被覆することができるので、施工状態において後方側面も見えるような用途(オープン階段の踏板など)にも好適に使用可能なシートラッピング製品を提供することができる。
【0016】
請求項3に係る発明によれば、施工状態において前面に現れる前方側面と横側面との少なくとも一方の角が面取りされた形状を有する板状基材の表面および少なくとも前方側面から面取り部を経て横側面にかけて連続して一枚の化粧シートを貼着してシートラッピング製品とするために好適に用いられる化粧シートを提供することができる。
【0017】
請求項4に係る発明によれば、施工状態において前面に現れる前方側面と横側面との少なくとも一方の角が面取りされた形状を有する板状基材の表面、後方側面および少なくとも前方側面から面取り部を経て横側面にかけて連続して一枚の化粧シートを貼着してシートラッピング製品とするために好適に用いられる化粧シートを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明によるシートラッピング製品を示す斜視図(a)〜(c)である。
【
図2】
図1に示す各シートラッピング製品(a)〜(c)に用いる化粧シートの形状を示す平面図(a)〜(c)である。
【
図3】
図1(a)〜(c)のシートラッピング製品を連続的に製造する際の化粧シート(連続する2枚のみを図示)の配置およびカット部分を示す平面図(a)〜(c)である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1は本発明によるシートラッピング製品の幾つかの実施形態を示す斜視図であり、
図1(a)のシートラッピング製品10は、前方側面の両端に曲面状の面取り部12,12が施された基材の表面および四側面を一枚の化粧シート11で覆うように貼着したものであり、
図1(b)のシートラッピング製品10は、前方側面の両端に斜面状の面取り部13,13が施された基材の表面および四側面を一枚の化粧シート11で覆うように貼着したものであり、
図1(c)のシートラッピング製品10は、前方側面の一端(左端)のみに曲面状の面取り部12が施された基材の表面および四側面を一枚の化粧シート11で覆うように貼着したものである。化粧シート11の継目14は、シートラッピング製品10の横側面において、基材の面取り部12,13より後方に位置している。
【0020】
図1(a)〜(c)に示すシートラッピング製品10には、
図2(a)〜(c)にそれぞれ示されるようにカットされた化粧シート11が用いられる。すなわち、
図1(a)のシートラッピング製品10に用いられる化粧シート11は、表面被覆部11aと、基材前方側面から左右の面取り部12,12を経て横側面の一部を覆う第一側面被覆部11bと、基材横側面の残部を覆う第二側面被覆部11c,11cと、基材後方側面を覆う第三側面被覆部11dとを有する。表面被覆部11aは、基材表面と略同一形状および同一寸法を有する。第一側面被覆部11bは、表面被覆部11aから基材側面高さ(基材厚)と略同一寸法の幅で前方に突出し、且つ、左右両側に突出する横方向延長部分11e,11eを有する。各横方向延長部分11eの長さは、面取り部12の曲面に沿った長さより大きく設定される。各第二側面被覆部11cは、表面被覆部11aから基材側面高さ(基材厚)と略同一寸法の幅で左右方向に突出し、その長さは、基材の後方角部15から面取り部12にまでは至らない長さであり、第一側面被覆部11cを基材の前方側面から面取り部12を経て横側面にまで巻き込んで貼着すると共に第二側面被覆部11cを基材横側面に貼着したときに、これらの先端が合致して継目14を形成するように設定される。また、第三側面被覆部11dは、表面被覆部11aから基材側面高さ(基材厚)と略同一寸法の幅で後方に突出しているが、左右両側への突出部は無い。この化粧シート11の表面被覆部11aを基材表面に貼着し、且つ、第一側面被覆部11b、第二側面被覆部11c,11cおよび第三側面被覆部11dを基材四側面に貼着することにより、
図1(a)のシートラッピング製品10が得られる。
【0021】
図1(b)のシートラッピング製品10に用いられる化粧シート11(
図2(b))も同様である。
図2(c)のシートラッピング製品10に用いられる化粧シート11(
図2(c))もほぼ同様であるが、この例では、基材の前方側面の一端(右端)のみに曲面状の面取り部12(または斜面状の面取り部13)が形成されているので、第二側面被覆部11cは該面取り側に延長する横方向延長部分11dのみを有し、非面取り側の辺11fは表面被覆部11aの左側短辺の延長線上にある。また、非面取り側の第二側面被覆部11c’の両端は表面被覆部11aの長辺の延長線上にあって、その短辺と同一長さに形成されている。
【0022】
図1(a)〜(c)のシートラッピング製品10の製造工程について、
図3(a)〜(c)を参照して説明すると、複数の板状基材を所定間隔を置いて順次に搬送装置により所定速度で搬送しながら、基材の搬送速度に同期した速度でローラから送り出される長尺連続化粧シートの表面被覆部11aを基材表面に貼着し、且つ、搬送方向両側に配置したローラにより、第一側面被覆部11bの中央部を基材前方側面に貼着すると共に、第三側面被覆部11dを基材後方側面に貼着する。次いで、板状基材間の所定位置(
図3(a)〜(c)に矢印16で示す)で化粧シートを切断すると共に、不要部分(
図3(a)〜(c)に斜線部で示す)をレーザーでカットして、
図2(a)〜(c)の形状の化粧シート11とする。その後、表面、前方側面および後方側面に化粧シート11が貼着された基材を搬送装置から下ろして、化粧シート11の第一側面被覆部11bの横方向延長部分11e,11eを基板の面取り部12,12を経て左右横側面の一部まで回り込ませるようにして手作業で貼着して、
図1(a)〜(c)のシートラッピング製品10を製造する。手作業に代えて、表面、前方側面および後方側面に化粧シート11が貼着された基材を別の搬送装置に移送して、その搬送方向両側に配置したローラで基板左右横側面に対する化粧シート貼り作業を行っても良い。オープン階段用の踏板など裏面にも化粧シートを貼着する必要があるときは、上記工程の前または後に、基材の裏面に別の化粧シートを貼着する工程を追加して行う。
【0023】
以上においては、板状基材の表面および四側面(またはさらに裏面)が化粧シート11で被覆されたシートラッピング製品10を対象として説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、たとえば、第三側面被覆部11dを省略した化粧シート11で板状基材の表面、前方側面および左右横側面を被覆したシートラッピング製品としても良い。化粧シート11の第三側面被覆部11dを省略すると、板状基材の後方側面には化粧シートが貼着されずに基材が露出した状態となるが、基材後方側面を壁面などに突き当てた状態で施工されるシートラッピング製品(階段踏板やカウンターなど)にあっては基材後方側面に化粧を施す必要がないので、このような実施形態も本発明の範囲内である。この実施形態によれば、化粧シート11の面積が第三側面被覆部11d省略分だけ小さくて済むので、施工状態における見栄えを良好に維持しながら、化粧シートに係るコストを低減することができる。
【0024】
また、基材前方側面の前方角部の一方のみに面取り部12,13が施されている場合(たとえば
図1(c))においては、第三側面被覆部11dを省略するだけでなく、さらに、第一側面被覆部11bの非面取り側の横方向延長部分11eおよび非面取り側の第二側面被覆部11cをも省略した化粧シート11で板状基材の表面、前方側面および面取り側の横側面を被覆したシートラッピング製品としても良い。化粧シート11の第三側面被覆部11dと第一側面被覆部11bの非面取り側横方向延長部分11eおよび非面取り側の第二側面被覆部11cを省略すると、板状基材の後方側面および非面取り側横側面には化粧シートが貼着されずに基材が露出した状態となるが、基材の後方側面と該横側面を壁面などに突き当てた状態で施工されるシートラッピング製品(階段踏板やカウンターなど)にあっては基材のこれらの面に化粧を施す必要がないので、このような実施形態も本発明の範囲内である。この実施形態によれば、上記と同様に化粧シートの面積が小さくて済むことによるコスト低減効果に加えて、化粧シートをカットする際の不要部分(
図3(a)〜(c)の斜線部)が小さくなるので、施工状態における見栄えを良好に維持しながら、化粧シートに係るコストを大きく低減することができる。
【0025】
なお、化粧シート11の第一側面被覆部11bの横方向延長部11eと第二側面被覆部11cとの継目14は、面取り部12,13より後方に位置することが必須であるが、これを満たす限りにおいて、その位置は限定されず、継目14の位置に応じて、第一側面被覆部11bの横方向延長部11eおよび第二側面被覆部11cの長さを設定する。いずれの場合も、前者の長さは、面取り部12,13を完全に覆うが後方角部15の手前に終端が位置する寸法であり、後者の長さは、後方角部15から面取り部12,13の手前に前端が位置する寸法であり、且つ、これらの長さ合計は、面取り部12,13の面長さに基材横側面(面取りされていない平面部分)の長さを加えた寸法に等しくなるように設定される。
【0026】
図示の実施例では、第一側面被覆部11bの横方向延長部11eの先端位置が、第二側面被覆部11cの外側長辺と整列しているので、化粧シートをカットする際の不要部分(
図3(a)〜(c)の斜線部)を最小化することができるメリットがあるが、必ずしもこれに限定されるものではなく、第一側面被覆部11bの横方向延長部11eを面取り部12,13を経て基板横側面に貼着する際の作業効率や、継目位置による意匠的効果などを考慮した上で適宜に設定することができる。たとえば、第一側面被覆部11bの横方向延長部11eの長さを相対的に大きくすると共に第二側面被覆部の延長長さを相対的に短くすると、化粧シートの継目が基材の後方側面との角部に近い位置となり、施工状態において見えにくく且つ触れにくい後方(奥側)に位置することになるので、見栄えを良好に維持すると共に、化粧シートの剥がれを防止する効果がより一層向上する。また、化粧シートの柄模様が連続するように見える位置に継目14が形成されるように考慮することも可能である。
【符号の説明】
【0027】
10 シートラッピング製品
11 化粧シート
11a 表面被覆部
11b 第一側面被覆部
11c 第二側面被覆部
11d 第三側面被覆部
11e 第二側面被覆部の横方向延長部分
11f 第一側面被覆部の非面取り側の辺
12 曲面状の面取り部
13 斜面上の面取り部
14 化粧シートの継目
15 後方角部
16 化粧シートのカット位置