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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-87826(P2017-87826A)
(43)【公開日】2017年5月25日
(54)【発明の名称】電子装置
(51)【国際特許分類】
   B60K 35/00 20060101AFI20170421BHJP
   B60R 11/04 20060101ALI20170421BHJP
   B60R 11/02 20060101ALI20170421BHJP
   G02B 27/01 20060101ALI20170421BHJP
【FI】
   B60K35/00 A
   B60R11/04
   B60R11/02 C
   G02B27/01
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-217182(P2015-217182)
(22)【出願日】2015年11月5日
(71)【出願人】
【識別番号】000101732
【氏名又は名称】アルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098497
【弁理士】
【氏名又は名称】片寄 恭三
(72)【発明者】
【氏名】木原 進
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 侑
【テーマコード(参考)】
2H199
3D020
3D344
【Fターム(参考)】
2H199DA03
2H199DA13
2H199DA33
2H199DA43
3D020BA04
3D020BA20
3D020BC02
3D020BC03
3D020BE03
3D344AA21
3D344AA27
3D344AA30
3D344AB01
3D344AC25
3D344AD13
(57)【要約】      (修正有)
【課題】車両の振動や運転者の姿勢の変化に応じて投射位置を補正しつつ視認性を改善する電子装置を提供する。
【解決手段】車載装置は、スクリーン272上に画像を投射するHUD170と、視認者の姿勢を検出する姿勢検出手段と、車両の振動を検出する振動検出手段と、振動検出手段により検出された振動の変位量が閾値以上であるか否かを解析する解析手段と、姿勢検出手段の検出結果および解析手段の解析結果に基づき投射手段による画像の投射位置を補正する補正手段とを有する。補正手段は、閾値以上の振動が連続する場合に、姿勢検出手段により検出された姿勢の変化に合わせて投射位置を補正する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示機能を有する電子装置であって、
画像を生成する画像生成手段と、
前記画像生成手段によって生成された画像をスクリーン上に投射する投射手段と、
視認者の姿勢を検出する姿勢検出手段と、
車両の振動を検出する振動検出手段と、
前記振動検出手段により検出された振動の変位量が閾値以上であるか否かを解析する解析手段と、
前記姿勢検出手段の検出結果および前記解析手段の解析結果に基づき前記投射手段による画像の投射位置を補正する補正手段とを有し、
前記補正手段は、前記閾値以上の振動が連続する場合に、前記姿勢検出手段により検出された姿勢の変化に合わせて前記投射位置を補正する、電子装置。
【請求項2】
前記閾値以上の振動が連続する場合に、前記画像生成手段は、文字、記号、数字等の画像を通常のときよりも強調された画像に変更する、請求項1に記載の電子装置。
【請求項3】
振動が閾値未満であるとき、前記補正手段は、前記投射位置の補正を行わず、かつ前記画像生成手段は、文字、記号、数字等の画像を通常のときよりも強調された画像に変更する、請求項1に記載の電子装置。
【請求項4】
前記補正手段は、前記姿勢検出手段により検出された姿勢の変化量から一定値を間引き、間引かれた変化量に応じて投射位置を補正する、請求項1ないし3いずれか1つに記載の電子装置。
【請求項5】
前記補正手段は、前記姿勢検出手段により検出された姿勢の間隔から一定間隔を間引き、間引かれた間隔に応じて投射位置を補正する、請求項1ないし4いずれか1つに記載の電子装置。
【請求項6】
電子装置はさらに、自車が悪路を走行しているか否かを判定する悪路判定手段を含み、
前記補正手段は、前記悪路判定手段により悪路と走行していると判定されたことを条件に前記投射位置を補正する、請求項1ないし5いずれか1つに記載の電子装置。
【請求項7】
電子装置はさらに、自車の現在地を算出する位置算出手段と、少なくとも悪路に関する情報を含む地図データを取得する取得手段とを含み、前記悪路判定手段は、前記現在地と前記地図データに基づいて悪路を走行しているか否かを判定する、請求項6に記載の電子装置。
【請求項8】
電子装置はさらに、空気圧を検出する空気圧検出手段と、検出された空気圧に基づきタイヤと路面との接地面積を算出する算出手段とを含み、前記悪路判定手段は、算出された接地面積に基づき悪路を走行しているか否かを判定する、請求項6に記載の電子装置。
【請求項9】
電子装置はさらに、路面の凹凸を検出するレーダーを含み、前記悪路判定手段は、レーザーの検出結果に基づき悪路を走行しているか否かを判定する、請求項6に記載の電子装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のフロントガラスまたはそのスクリーン上に、運転者にとって有益な情報を表示する機能を備えた電子装置に関し、特に、ヘッドアップディスプレイ(Head Up Display:以下、HUDと略す)により画像を投射するときの投射位置の補正に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、運転者の視線方向に画像を投射するHUDが実用化されている。HUDは、車内に設置された投射光学系からフロントガラス若しくはそこに備え付けられたスクリーン上(あるいはコンバイナ)に画像を投射し、スクリーン越しに見える現実空間にあたかも物体が存在するかのような虚像を映し出す表示システムである。運転者は、スクリーン越しに虚像を見ることで、車内の表示装置等を視認する回数を減らすことができる。
【0003】
HUDにおいて、運転者の姿勢や車両姿勢が変化すると、運転者の視野方向から投射画像が外れてしまうことがある。そこで、特許文献1の車両用走行案内装置では、車両に所定値以上の制動力が継続的に発生することが予測される区間を、車両姿勢が変化することが予測される補正対象区間に設定し、当該補正対象区間の走行中、車両姿勢を考慮してHUDの表示位置を補正している。また、特許文献2のHUDでは、車両の振動を検出するための前方カメラと、運転者を撮像するドライバーカメラとを備え、車両の振動や運転者の姿勢変化に応じて画像の投射位置を補正している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許5327025号公報
【特許文献2】特開2010−70066号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
HUDの投射位置は、通常、運転者や同乗者等のユーザー入力によって設定することが可能である。図16は、投射位置の設定方法の一例である。図16(A)に示すように、HUDとは別の車載装置のディスプレイ1にメニュー画面が表示され、ユーザーがヘッドアップディスプレイを選択すると、図16(B)に示すように、ヘッドアップディスプレイの設定項目が表示される。ユーザーは、それらの項目の中から「高さ」を選択することで、運転者の身長や姿勢に応じて、HUDの投射位置または投射角度を設定することができる。
【0006】
設定された投射位置は、特許文献1、2に記載されるように、運転者の姿勢の変化あるいは車両の姿勢の変化に応じて補正することができるが、全ての姿勢の変化に対してリアルタイムで投射位置を補正すると、投射画像に揺れが頻繁に生じ、却って視認し難くなってしまう。例えば、凹凸のある道路を走行中、運転者の頭部が小刻みに変化している場合に、それに合わせて投射位置を小刻みに補正すると、見難くなってしまう。
【0007】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、車両の振動や運転者の姿勢の変化に応じて投射位置を補正しつつ視認性を改善する電子装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る表示機能を有する電子装置は、画像を生成する画像生成手段と、前記画像生成手段によって生成された画像をスクリーン上に投射する投射手段と、視認者の姿勢を検出する姿勢検出手段と、車両の振動を検出する振動検出手段と、前記振動検出手段により検出された振動の変位量が閾値以上であるか否かを解析する解析手段と、前記姿勢検出手段の検出結果および前記解析手段の解析結果に基づき前記投射手段による画像の投射位置を補正する補正手段とを有し、前記補正手段は、前記閾値以上の振動が連続する場合に、前記姿勢検出手段により検出された姿勢の変化に合わせて前記投射位置を補正する。
【0009】
好ましくは前記閾値以上の振動が連続する場合に、前記画像生成手段は、文字、記号、数字等の画像を通常のときよりも強調された画像に変更する。好ましくは振動が閾値未満であるとき、前記補正手段は、前記投射位置の補正を行わず、かつ前記画像生成手段は、文字、記号、数字等の画像を通常のときよりも強調された画像に変更する。好ましくは前記補正手段は、前記姿勢検出手段により検出された姿勢の変化量から一定値を間引き、間引かれた変化量に応じて投射位置を補正する。好ましくは前記補正手段は、前記姿勢検出手段により検出された姿勢の間隔から一定間隔を間引き、間引かれた間隔に応じて投射位置を補正する。好ましくは電子装置はさらに、自車が悪路を走行しているか否かを判定する悪路判定手段を含み、前記補正手段は、前記悪路判定手段により悪路と走行していると判定されたことを条件に前記投射位置を補正する。好ましくは電子装置はさらに、自車の現在地を算出する位置算出手段と、少なくとも悪路に関する情報を含む地図データを取得する取得手段とを含み、前記悪路判定手段は、前記現在地と前記地図データに基づいて悪路を走行しているか否かを判定する。好ましくは電子装置はさらに、空気圧を検出する空気圧検出手段と、検出された空気圧に基づきタイヤと路面との接地面積を算出する算出手段とを含み、前記悪路判定手段は、算出された接地面積に基づき悪路を走行しているか否かを判定する。好ましくは電子装置はさらに、路面の凹凸を検出するレーダーを含み、前記悪路判定手段は、レーザーの検出結果に基づき悪路を走行しているか否かを判定する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、閾値以上の車両の振動が連続する場合に、姿勢検出手段により検出された姿勢の変化に合わせて投射位置を補正するようにしたので、投射位置の補正を行いつつ視認性の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第1の実施例に係る車載装置の構成を示すブロック図である。
図2】本実施例のHUDの構成例を示すブロック図である。
図3】本実施例のHUDの表示例を示す図である。
図4】本実施例の投射制御プログラムの機能的な構成を示すブロック図である。
図5】本実施例のHUDの投射位置の補正動作を示すフローである。
図6】本実施例のHUDの投射位置の補正動作の例を示す図である。
図7】本発明の第2の実施例に係る投射制御プログラムの機能的な構成を示すブロック図である。
図8】第2の実施例の振動解析部の解析例を示し、図8(A)は、大きな振動の解析例、図8(B)は、小さな振動の解析例である。
図9図9(A)は、通常の走行時のフォントの表示例、図9(B)は、強調されたときのフォントの表示例である。
図10】本発明の第2の実施例に係るHUDの投射位置の補正動作を示すフローである。
図11】本発明の第4の実施例に係る投射位置補正部の動作を説明する図である。
図12】本発明の第4の実施例に係る投射制御プログラムの機能的な構成を示すブロック図である。
図13】本発明の第5の実施例によるレーダー検出部により検出された路面の凹凸状態の例示である。
図14】本発明の第5の実施例に係るHUDの投射位置の補正動作を示すフローである。
図15】本発明の第6の実施例に係る投射位置の補正を行うための画像の例である。
図16】従来のHUDの設定方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。本発明に係る電子装置は、好ましい態様では、車両等の移動体内に搭載される車載装置であることができる。さらに好ましい態様では、電子装置の表示機能は、フロントガラス等に画像を投射するHUDを含む。さらに本発明に係る電子装置は、ナビゲーション機能、ラジオ・テレビ受信機能、マルチメディア再生機能など、従来の車載装置に備えられていた機能を含むことができる。
【実施例】
【0013】
図1は、本発明の第1の実施例に係る車載装置の構成を示すブロック図である。車載装置10は、入力部100、位置情報算出部110、ナビゲーション部120、撮像部130、車両状態検出部140、音声出力部150、表示部160、HUD170、通信部180、記憶部190、および制御部200を含んで構成される。
【0014】
入力部100は、入力キーデバイス、音声入力認識装置、タッチパネルなどにより、ユーザーからの指示を受け取り、これを制御部200へ提供する。例えば、図16に示したようにHUDの初期設定は、入力部100を介して行われる。位置情報算出部110は、GPS衛星から送信されるGPS信号、ジャイロセンサ、加速度センサ等の自立航法センサからの検出信号などを用いて自車位置を算出する。ナビゲーション部120は、目的地までの経路を探索したり、自車位置周辺の道路地図を表示部160やHUD170に表示させたり、音声案内を音声出力部150から出力させる。
【0015】
撮像部130は、少なくとも運転者を撮像する撮像カメラを含み、撮像した画像データを制御部200へ提供する。この画像データは、運転者の姿勢(特に、頭部、首、視線位置)を検出するために利用される。
【0016】
車両状態検出部140は、上記したジャイロセンサや加速度センサに加え、車両の速度、ステアリングの操舵角などを検出する。さらに車両状態検出部140は、タイヤの空気圧を検出する空気圧検出センサや路面の凹凸を検出するレーダー等を含むことができる。車両状態検出部140により検出された信号は制御部200へ提供される。
【0017】
音声出力部150および表示部160は、ナビゲーション部120やその他のマルチメディア機能等が実行されたとき、音声データや画像データを出力する。さらに車載装置10は、表示部160の他にもう1つの表示機能としてHUD170を含む。
【0018】
HUD170は、フロントガラス若しくはそこに取付けられたスクリーン(またはコンバイナ)に画像を投射する。図2は、HUD170の構成例を示すブロック図である。HUD170は、光源210、照明光学系220、光変調手段230、投射光学系240、ミラー250、およびアクチュエータ260を含む。光源210は、例えば、発光ダイオードアレイなどから構成される。照明光学系220は、光源210からの光を集束し、集光した光で光変調手段230を照明する。光変調手段230は、例えば、液晶デバイス、あるいは複数の可変ミラーが2次元的に配置されたデジタルミラーデバイスなどから構成され、制御部200等から提供される画像データに基づき液晶デバイスまたはデジタルミラーデバイスを駆動し、照明された光を空間的に変調する。投射光学系240は、変調された光を集光し、ミラー250は、集光された光をフロントガラス方向に反射する。
【0019】
アクチュエータ260は、ミラー250の角度を可変とするための駆動機構(例えば、モータなど)を含む。アクチュエータ260は、制御部200からの制御信号S1に基づきミラー250の角度を調整する駆動信号を出力する。ミラー250の角度を変化させることで、投射画像の垂直方向の位置または角度を補正することができる。
【0020】
図3(A)は、HUDの表示例である。フロントのダッシュボード内にHUD170が収容され、そこからフロントガラス270のスクリーン272上に画像が投射される。画像は、例えば、次の交差点までの距離を示す案内画像、目的地までの予想到着時間、車速などの情報を含む。図3(B)は、アクチュエータ250によって投射位置が下方に補正されたときの例である。投射位置の変更は、上記したようにミラー250の角度を変化させることにより実施される。
【0021】
再び図1に戻り、通信部180は、外部のネットワークや外部機器等と有線または無線によるデータ通信を可能にする。記憶部190は、車載装置10が実行するアプリケーションソフトウエア、制御部200が実行するプログラム、ナビゲーション部120が実行する地図データ等を記憶することができる。さらに記憶部190は、HUD170によって投射される画像データを記憶することも可能である。好ましい態様では、地図データは、悪路に関する情報を含むことができる。悪路とは、路面に大きな凹凸があるような道路であり、例えば、未舗装の道路、山間部の砂利道等である。例えば、地図データに含まれるリンクデータには、悪路か否かを識別するフラグが設定される。
【0022】
制御部200は、好ましい態様では、ROM、RAMなどを含むマイクロコントローラ等から構成され、ROMまたはRAMは、車載装置10の各部の動作を制御するための種々のプログラムを格納することができる。第1の実施例では、制御部200は、HUD170の投射を制御する投射制御プログラムを実行する。
【0023】
図4は、第1の実施例に係る投射制御プログラム300の機能的な構成例を示す図である。投射制御プログラム300は、設定部310、画像生成部320、姿勢検出部330、姿勢変化判定部340、投射位置補正部350を含む。
【0024】
設定部310は、例えば、図16に示すような方法によりHUD170の投射位置等を設定する。好ましい態様では、HUD170の設定を行うとき、通常走行時の運転者の姿勢も同時に登録される。運転者の姿勢の登録は、撮像部130が運転者を撮像することにより実施される。但し、運転者の姿勢の登録は、必ずしも投射位置の設定と同時に行われる必要はなく、例えば、走行中に運転者を撮像することによって登録されるようにしてもよい。これらの設定情報は、例えば、記憶部190に保持される。
【0025】
画像生成部320は、HUD170によって投射される画像を生成する。画像の生成方法は、特に限定されないが、1つの態様では、画像生成部320は、制御部200から生成すべき画像データを受け取ることができる。別の態様では、画像生成部320は、記憶部190から読み出した画像データを生成する画像とすることができる。画像生成部320は、例えば、自車が走行中、車両状態検出部140から取得された車速情報に基づき自車の速度を表す画像を生成したり、あるいはナビゲーション部120が起動されているとき、次の交差点の案内画像や目的地の予想到着時間を表す画像を生成する。
【0026】
姿勢検出部330は、撮像部130によって撮像された運転者の姿勢を検出する。好ましくは、運転者の姿勢として、運転者の頭部、首、視線の位置等を検出する。これらの検出は、例えば、画像データを解析することによって検出される。
【0027】
姿勢変化判定部340は、姿勢検出部330によって検出された運転者の姿勢と、登録された運転者の姿勢とを比較し、姿勢に変化が生じているか否かを判定する。この判定には、姿勢の変化量と、姿勢の変化方向とが含まれる(以下、これらを姿勢変化ベクトルと称する)。姿勢変化判定部340は、判定結果を投射位置補正部350へ提供する。
【0028】
投射位置補正部350は、姿勢変化判定部330によって姿勢変化があったと判定されたとき、その姿勢変化ベクトルに合わせて、予め設定された投射位置または投射角度を補正する。投射位置補正部350は、図2に示すように、アクチュエータ260に対して、姿勢変化ベクトルに応じた制御信号S1を出力し、アクチュエータ260は、制御信号S1に基づきミラー250の角度を調整する。例えば、姿勢変化判定部330によって運転者の姿勢が前傾したと判定されたとき、図3(B)に示すように、投射位置が下方に補正される。
【0029】
図5に、投射位置の補正動作のフローを示す。HUD170は、画像生成部320によって生成された画像を、設定部310によって設定された投射位置に投射する(S100)。HUD170による投射が行われている間、姿勢検出部330は、一定の検出周期で運転者の姿勢を検出し、運転者の姿勢を監視する(S102)。姿勢変化判定部340は、検出された運転者の姿勢と、登録された運転者の姿勢とを比較し、両者の姿勢に一定以上の差が生じたとき、姿勢変化があったと判定する(S104)。姿勢変化があったと判定されると、投射位置補正部350は、姿勢変化ベクトルに応じて投射位置を補正する(S106)。姿勢変化判定部340により姿勢変化が判定されなくなったとき(S108)、投射位置補正部350による投射位置の補正が終了し、投射位置は、元の状態に戻される(S110)。
【0030】
図6は、本実施例による投射位置の補正の一例を示す図である。図6(A)は、通常の走行時、すなわち登録されたときの運転者Uの姿勢を例示している。登録されたときの運転者Uの姿勢は軸Yであり、このとき、運転者の視線方向Eに投射位置P1がある。図6(B)は、悪路を走行しているときの運転者Uの姿勢の例示である。悪路走行時は、運転者Uは前方に注意を注ぐため、前傾姿勢Y1となり、視線方向Eが下方を向き、視線方向Eから投射位置P1が外れ易くなる。姿勢変化判定部340によって、運転者の姿勢に変化がある(軸Yから軸Y1)と判定されると、図6(C)のように、投射位置補正部350は、姿勢変化ベクトルに合わせて投射位置をP2に補正する。これにより、悪路運転中に運転者Uが前傾姿勢になったとても、投射された画像を良好に視認することができる。
【0031】
次に、本発明の第2の実施例について説明する。第1の実施例では、運転者の姿勢変化が生じたとき、これとほぼ同期してリアルタイムに投射位置を補正するものであるが、すべての姿勢変化に応じて投射位置を補正すると、投射画像の揺れが頻繁になり、画像が却って見難くなってしまうことがある。第2の実施例は、これらを考慮し、投射位置の補正等を行う。
【0032】
図7は、第2の実施例による投射表示プログラム300Aの機能的な構成を示すブロック図である。投射表示プログラム300Aは、第1の実施例のときの構成に加えてさらに、振動検出部360、振動解析部370、表示画像強調部380を含む。振動検出部360は、車両状態検出部140の検出結果に基づき車両の振動を検出する。より具体的には、車両に搭載された加速度センサの重力方向の加速度成分を検出する。振動解析部370は、振動検出部360によって検出された振動レベルを解析する。好ましくは、振動解析部370は、図8(A)、(B)に示すように、振動の±変化量と閾値Th+、Th−とを比較し(変化量の絶対値と閾値との比較でもよい)、変化量が閾値以上であれば、比較的大きな振動であると解析し、変化量が閾値未満であれば小さい振動であると解析する。図8(A)は、大きい振動、図8(B)は、小さい振動である。
【0033】
振動解析部370の解析結果は、投射位置補正部350および表示画像強調部380へ提供される。表示画像強調部380は、例えば画像生成部320によって生成された画像の一部または全部に、文字、記号、数字などのフォントが含まれている場合には、それらのフォントの画像が強調されるように画像データを変更する。強調の方法は、特に限定されないが、例えば、線が太くなるようにしたり、他の画像とのコントラストが大きくなるように明るくしたり、あるいはサイズを大きくするようにしてもよい。図9(A)は、通常のときのフォントの表示例であり、図9(B)は、線の太さが強調されたときのフォントの表示例である。
【0034】
図10は、第2の実施例による投射位置の補正の動作を説明するフローである。ステップS200、S202の処理は、第1の実施例のときのステップS100、S102と同様である。第2の実施例では、姿勢変化の監視に加えて、振動検出部360によって車両の振動が監視される(S204)。姿勢変化判定部340によって運転者の姿勢の有無が判定され(S206)、姿勢変化があると判定されると、振動解析部370により振動レベルが解析される(S208)。つまり、振動の変化量と閾値とが比較され、図8(A)のように大きな振動か、あるいは図8(B)のように小刻みな小さな振動かが解析される。大きな振動であると解析された場合には、振動解析部370はさらに、そのような振動が突発的なものではなく連続的なものか否かを解析する(S210)。例えば、振動検出部360の検出周期がTsであるとき、少なくとも複数周期において振動の変化量が閾値以上であれば連続的と解析される。例えば、図8(B)に示すような突発的な1つの振動A1、A2が生じたとしても、これは連続的と解析されない。
【0035】
大きな振動が連続的であると解析された場合、投射位置補正部350は、第1の実施例のときと同様に運転者の姿勢変化ベクトルに応じて投射位置を補正し、かつ表示画像強調部380がフォントの強調を実行する(S212)。これにより、運転者は、姿勢に応じて補正された投射位置で、強調されたフォントを見ることができるため視認性が向上する。一方、小さな振動であると解析されたとき、あるいは大きな振動であるが連続的でないと解析されたとき、投射位置補正部350は、運転者の姿勢の変化に応じた投射位置の補正を行わず、表示画像強調部380がフォント強調を実行する(S214)。小刻みな振動のとき、姿勢の変化も小刻みであるので、姿勢の変化の全てに応じて投射位置を補正すれば、投射画像の揺れが頻繁となり、画像が見難くなるが、本実施例は、そのような画像の頻繁な揺れを防止し、その一方で、フォントを強調することで視認性を向上させる。また、ここではフォントを強調する例を示したが、小刻みな振動のときにフォント以外の表示画像も必要に応じて強調することができる。
【0036】
次に、本発明の第3の実施例について説明する。第1、第2の実施例では、投射位置補正部350は、運転者の姿勢の変化量に応じて投射位置を補正するが、言い換えれば、姿勢の変化量に投射位置の補正量を直接比例させるが、第3の実施例では、姿勢の変化量を間引いて投射位置を補正する。図6(B)、(C)に示すように、運転者Uの姿勢がYからY1のように変化したとき、その変化量は、Y−Y1の関数で表される。例えば、第1の実施例では、Y−Y1の変化量に応じて投射位置が補正されるが、第3の実施例では、(Y−Y1)−Cの変化量に応じて投射位置が補正される。Cは、変化量を間引くための定数であり、予め規定される。このように、検出された変化量から一定値を間引くことで、投射位置の補正量を緩和または減衰させ、仮に、姿勢の変化量に同期して投射位置を補正する場合であっても、画像の頻繁な揺れを抑制することができる。
【0037】
次に、本発明の第4の実施例について説明する。第4の実施例では、投射位置補正部350は、姿勢検出部330の検出間隔を一定間隔で間引いて投射位置の補正を行う。図11に投射位置補正の動作例を示す。姿勢検出部33は、検出周期Tpで運転者の姿勢を検出し、例えば、時刻t1、t2、t3、t4、t5・・・tnで運転者の姿勢を検出する。姿勢変化判定部340は、検出周期Tpと同じ周期で姿勢の変化の有無を判定し、すなわち、時刻t1、t2、t3、t4、t5・・・tnで姿勢の変化の有無を判定する。投射位置補正部350は、姿勢変化判定部340の判定する周期に同期して投射位置を補正することも可能であるが、第4の実施例では、例えば、時刻t1、t3、t5・・・のように一定の間隔を間引いたタイミングで投射位置の補正を行う。つまり、投射位置補正部350は、検出周期Tpの2倍の周期2×Tpで投射位置の補正を行う。これにより、運転者の姿勢変化の全てに応じてリアルタイムで投射位置を補正する場合に生じ得る頻繁な画像の揺れを抑制し、視認性を向上させることができる。
【0038】
なお、第3の実施例と第4の実施例を組み合わせることで、変化量から一定値Cを間引き、かつ検出間隔から一定間隔を間引いて投射位置の補正を行うことも可能である。さらに第3および第4の実施例は、第1、第2の実施例と組み合わせることも可能である。
【0039】
次に、本実施例の第5の実施例について説明する。図12は、第5の実施例に係る投射表示プログラム300Bの機能的な構成を示す図であり、第5の実施例は、第1ないし第4の実施例の構成に加えて、悪路判定部390を備える。悪路判定部390は、自車が悪路を走行しているか否かを判定し、その判定結果を投射位置補正部350へ提供する。好ましい態様では、悪路判定部390は、位置情報算出部110によって算出された自車位置と、地図データとを参照し、自車が走行している道路が悪路であること示すフラグがリンクデータに設定されているとき、悪路を走行していると判定する。
【0040】
他の好ましい態様としては、悪路判定部390は、車両状態検出部140に含まれるタイヤの空気圧を検出する空気圧センサを参照する。具体的には、悪路判定部390は、空気圧センサの検出結果からタイヤと路面との接地面積を算出し、当該接地面積に基づき悪路か否かを判定する。例えば、凹凸の激しい路面では、接地面積が通常の舗装道路のときよりも大きくなるか、あるいは接地面積の変化が大きくなるので、そのような場合には悪路を走行していると判定することができる。
【0041】
さらに他の好ましい態様として、悪路判定部390は、車両状態検出手段140に含まれる路面の凹凸を検出するレーダーを参照する。図13は、路面をレーダーによりスキャンしたときの路面の凹凸の検出状態400を表しており、凹凸が大きいところでは、格子状の線形に大きな歪みが生じる。悪路判定部390は、このようなレーダーにより検出された路面の凹凸が一定以上であるとき、悪路と判定することができる。
【0042】
第5の実施例では、悪路判定部390の判定結果を投射位置の補正を行うための加重要件とすることができる。図14に、第5の実施例の動作フローを示す。同図に示すフローは、図5に示す第1の実施例のときのフローに、悪路判定(S105)を追加したものであり、それ以外は同じである。すなわち、運転者の姿勢変化があると判定され、かつ自車が悪路を走行していると判定された場合に、投射位置の補正が行われる。第5の実施例は、他の実施例と組み合わされても良く、例えば、図10に示す第2の実施例と組み合わされても良い。この場合には、大きな振動が連続的であると判定され、かつ悪路を走行していると判定されたときに、投射位置の補正および表示画像の強調が実行され、悪路を走行していないと判定されたときに、投射位置の補正が行われず表示画像の強調が行われるようにしてもよい。
【0043】
次に、本発明の第6の実施例について説明する。第1の実施例では、アクチュエータ260がミラー250の角度を変更することで投射位置の補正を行うようにしたが、第6の実施例は、アクチュエータを用いることなく、投射する画像データを変更することで投射位置の補正を行う。図15(A)は、通常の走行時の画像データD1であり、画像フレームのほぼ中央に速度等の情報が配置され、図15(B)は、投射位置を下方に補正するときの画像データD2であり、画像フレームの下方に速度等の情報が配置され、図15(C)は、投射位置を上方に補正するときの画像データD3であり、画像フレームの上方に速度等の情報が配置される。例えば、運転者の姿勢(頭部や視線)と前傾となったとき、図15(B)に示す画像データD2が投射され、運転者の姿勢が後傾となったとき、図15(C)に示す画像データD3が投射される。ミラー250の角度は一定であるが、投射される画像を変更することで、事実上の投射位置の補正を行うことができる。
【0044】
以上、本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明は、特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の要旨の範囲において、種々の変形、変更が可能である。
【符号の説明】
【0045】
1:ディスプレイ 10:車載装置
100:入力部 110:位置情報算出部
120:ナビゲーション部 130:撮像部
140:車両状態検出部 150:音声出力部
160:表示部 170:HUD
180:通信部 190:記憶部
200:制御部
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