【課題】搬送用の外箱に、一体に組み立てた状態でも、上下を分離した状態でも装填でき、平坦な状態に展開して保管スペースを節約すると共に、在庫管理及び保冷・保温が容易な保冷保温箱を提供する
【解決手段】外箱100の内面に接して装填される保冷保温箱1であり、直方体の斜め下方に位置する3つの面体からなり下方部材10と、下方部材に対面するように、直方体の斜め上方に位置する3つの面体からなり上方部材20から構成し、下方部材と上方部材の3つの面体を折り曲げて組み立てた際に、接する状態となる2つの面体の各々の縁部を係合させる係合手段14,24を有し、下方部材10と上方部材20が立体とし易い構成とされている。
下方部材と上方部材を保冷保温箱として組み立てた際に、下方部材の2つの側板と上方部材の天板とが接する各々の縁部に、各々を係合させる係合手段を有していると共に、上方部材の2つの側板と下方部材の底板とが接する各々の縁部に、各々を係合させる係合手段を有している、
ことを特徴とする請求項1に記載の保冷保温箱。
【背景技術】
【0002】
従来から、ポリスチレン等の発泡樹脂は、軽量かつ優れた断熱性、緩衝性を備えており、しかも安価であることから広く梱包・運搬用の箱材、断熱材として利用されている。しかし、発泡樹脂を箱状に一体成形した場合には、紙箱、例えば段ボール箱のように平坦な状態に折りたたむことができないため、広い保管場所が必要となると共に、搬送コストが高価になるという課題があった。
【0003】
一方で、段ボール等の箱材は、平坦な状態に折りたたむことができるため、広い保管場所が不要であり、搬送コストも安価で済むという利点があった。しかし、段ボール箱等は発泡樹脂からなる搬送箱に比べて断熱性に乏しく、保冷保温を要求する搬送品、例えば苗、花、冷蔵品等を搬送するには適していなかった。そこで、発泡樹脂からなる箱材を嵩張らないようにして、保管・搬送しやすくすると共に、製造コストも安価に抑えられる技術が求められていた。
【0004】
特許文献1には、直方体容器における相隣り合う3面を一体に成形した発泡スチロール製箱を半分に分割した箱の技術が開示されている。特許文献1の技術によれば、搬送時には、一方の分割した箱を受け皿として搬送品を格納し、他方の分割した箱を被せるようにして、密封状の断熱容器として使用するとされている。保管時には、分割した箱の内面同士を同じ向きとして、順次積み重ねることにより嵩張らないように保管できるとされている。
【0005】
しかし、特許文献1の技術の容器は、単体で、アイスケーキ等を収容して搬送するものであるため、剛性を高くする必要があり展開できず、嵩張るものであった。そのため、容器を積み重ねて保冷保温するには適さず、保管スペースを低減する効果は小さかった。
【0006】
特許文献2には、発泡樹脂からなる断熱防水箱の技術が開示されている。特許文献2の技術によれば、発泡スチロール製の板材を箱状に組み立てる際に、内蓋と外蓋を隙間なく重ねられるようにし、断熱性を向上させるとされている。また、発泡スチロール製の容器を折りたたんで、在庫スペースの節約、輸送コストの低減を図ることができるとされている。
【0007】
しかし、特許文献2の断熱防水箱は、予め組み立てた段ボール製の外箱に、組み立てた断熱防水箱を装填して使用する必要があった。また、外箱の蓋板と、断熱防水箱の蓋板が閉鎖されていない状態で、搬送品を格納しようとすると、外箱と断熱防水箱の蓋板が二重に開いた状態となるため邪魔になり、搬送品が収容しにくいという課題もあった。また、断熱防水箱を複数の合成樹脂板から形成させる場合には、予め複数の接合部に接着テープを貼着させる等して組み立てる必要があり、断熱防水箱を組み立てるために手間がかかるという課題もあった。
【0008】
特許文献3には、板状断熱材からなるボックス本体と、ボックス本体の形状を保持する外被体とからなる組立式保温装置の技術が開示されている。特許文献3の技術によれば、ボックス本体の各々の部材が互いに嵌合する辺には、逆台形形状の凸部又は凹部が設けられ、凸部と凹部を嵌合させて直方体形状のボックス本体を組み立てるとされている。
【0009】
特許文献3の技術によれば、予めボックス本体を組み立てた状態とした後に、外被体の内面に沿って装填させるとされている。しかし、ボックス本体を組み立てるには、帯状となった中央部材を折り立てた状態として、側面体を嵌め込んで、搬送品を収容して、蓋を閉じる必要があり、ボックス本体の組み立てと搬送品の収容が困難で手間がかかるという課題があった。
【0010】
特許文献4には、一組の板状発泡内装材を組み合わせて六面体を形成させ、前記六面体を外箱に装填する保冷箱の技術が開示されている。特許文献4の技術によれば、3枚の連続する内装板状部を備える第1板状発泡内装材と、第2板状発泡内装材とを、夫々略コの字形状に折り曲げて六面体を構成するとされている。
【0011】
しかし、特許文献4の技術によれば、略コの字形状の内装材を外箱の下方に装填すると、向かい合う面が内方側に向かいやすく、搬送品が収容しにくくなると共に、上方側から他方の略コの字形状の内装材が被せにくくなると共に、上方側の内装材を引き抜く際に、引き抜きにくいため、搬送品を傷める可能性があるという課題があった。一方、略コの字形状の内装材の端面を底面として装填すると、搬送品を収容する際に、天面側の内装材の面が大きく外箱の外側に張り出すことになるため、大きな嵩張る搬送品の梱包作業の邪魔になり、収容しにくくなるという課題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明が解決しようとする課題は、搬送用の外箱に、一体に組み立てた状態でも、分解した状態でも装填でき、平坦な状態に展開して保管スペースを節約すると共に、在庫管理及び保冷・保温が容易な保冷保温箱を提供することである。より具体的には、本発明の保冷保温箱によれば、下方部材のみを先に装填して、搬送品を収容してから上方部材を外箱に挿し込むことも、下方部材と上方部材を組み立てて外箱に装填させることも可能であり、搬送品の大きさ・種類に応じて、搬送品を容易に収容することが可能である。また、保冷保温箱を展開して、板面を揃えて積み重ねた状態とすることが可能である。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の第1の発明の保冷保温箱は、直方体をなす搬送用の外箱の内面に接して装填される保冷保温箱であって、保冷保温箱は、同一形状の板体を折り曲げてなす下方部材と上方部材とからなり、下方部材は、直方体の斜め下方に位置する3つの面体からなり、上方部材は、下方部材に対面するように、直方体の斜め上方に位置する3つの面体からなり、下方部材の3つの面体を折り曲げて組み立てた際に、接する状態となる下方部材の2つの面体の各々の縁部を係合させる係合手段を有し、上方部材の3つの面体を下方部材とは反対方向に折り曲げて組み立てた際に、接する状態となる上方部材の2つの面体の各々の縁部を係合させる係合手段を有し、組み立てた下方部材を外箱に装填させて、搬送品を収容した状態で、下方部材を上方から覆うように、上方部材が挿し込み可能とされていることを特徴としている。
【0015】
本発明の第1の発明では、下方部材は底板と2つの側板とが、互いに接した受け皿形状をなし、上方部材は天板と2つの側板とが、互いに接した被せ蓋形状をなしている。係合手段は、縁部に形成されて嵌合しあうように配設された凸部と凹部をなす係合部であればよく、その形状は限定されない。凸部又は凹部は、いずれの側の縁部に形成させてもよく、その位置及び数も限定されない。組み立てた際に接する縁部の係合手段を係合させて組み立てることにより、下方部材と上方部材は容易に立体形状に組み立てられ、下方部材を外箱に嵌め込む際も、上方部材を外箱に挿し込む際も、保冷保温箱を外箱に装填することが容易になる。
【0016】
上方部材は、組み立てられた状態で挿し込むことができると共に、組み立てないで2つの側板を挿し込んでから、天板を覆うようにしてもよいことは勿論のことである。搬送品が、例えば大型の鉢に入れられた植物等のように、保冷保温箱の側面に接し易い物の場合には、予め外箱の中に一体にした保冷保温箱を装填しておいてから、搬送品を上方から滑り込ませるように収容した方が収容しやすく、張り出した葉を傷めにくい。
【0017】
上方部材と下方部材のいずれも板体からなり同一形状とされているため、単一の金型材で成形することができる。これにより、各々の部材の向きを揃えて、面がはみ出さないように積み重ねることができるため、保管スペースを節約できると共に、在庫管理も容易になるという有利な効果を奏する。
【0018】
保冷保温箱の材質はポリエチレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等の発泡樹脂材が好適であるが限定されず、例えば段ボール紙によってもよい。なお、保冷保温箱を予め組立ててから外箱に収容させるようにしてもよいことは、勿論のことである。
【0019】
本発明の第2の発明は、第1の発明の保冷保温箱であって、下方部材と上方部材を保冷保温箱として組み立てた際に、下方部材の2つの側板と上方部材の天板とが接する各々の縁部に、各々を係合させる係合手段を有していると共に、上方部材の2つの側板と下方部材の底板とが接する各々の縁部に、各々を係合させる係合手段を有していることを特徴としている。
【0020】
係合手段は、縁部に形成されて嵌合しあうように配設された凸部と凹部であればよく、その形状は限定されない。凸部又は凹部は、いずれの側の縁部に形成させてもよく、その位置及び数も限定されない。更に、組立の際に接着テープを補助的手段として使用してもよいことは勿論のことである。
【0021】
第2の発明によれば、天板と底板が各々の側板と連なるか、又は係合手段で係合されていることにより、組み立てた後に型崩れしにくく、搬送品を傷めにくい保冷保温箱となる。また、下方部材と上方部材とを面体のまま一体にして、保冷保温箱として速やか且つ簡易に組み立てられるようにして、梱包作業を容易にすることもできる。
【0022】
本発明の第3の発明は、第1又は第2の発明の保冷保温箱であって、組み立てられた下方部材の2つの側板の開放された側縁には突出干渉部がなく、組み立てられた上方部材の2つの側板の開放された側縁にも突出干渉部がなく、組み立てられた下方部材を外箱に装填する状態で、上方部材と下方部材の接する側縁が干渉しないように、上方部材が下方部材の上方から挿し込み可能とされていることを特徴としている。
【0023】
突出干渉部がないとは、必ずしも縁部が直線状に形成されている必要はなく、下方部材の開放された縁部に受け部が形成され、上方部材の開放された縁部に被り部が形成されていてもよい。上方部材と下方部材の接する側縁に突出干渉部がないことにより、下方部材を搬送用箱に装填し、搬送品が収納されてから、搬送品の上方を覆うように、上方部材を搬送用箱に装填して梱包することが可能とされる。
【0024】
これにより、搬送品を収容する際に上方部材の天板が支障にならず、搬送品や天板を破損させにくくなるという有利な効果を奏する。また、保冷保温箱を組み立ててから搬送品を収容する必要がなく、梱包作業が容易になる。
【0025】
本発明の第4の発明は、第1又は第2の発明の保冷保温箱であって、下方部材と上方部材が湾曲可能な薄板材からなり、下方部材と上方部材とが接する各々の開放された側縁に、各々を係合させる係合手段を備え、組み立てられた下方部材を外箱体に装填した状態で、上方部材を下方部材の上方から挿し込む際に、開放された側縁に備えられた係合手段が係合しないように、開放された側縁を備える側板を湾曲させて、上方部材が下方部材の上方から挿し込み可能とされ、上方部材が挿し込まれた状態で開放された側縁に備えられた係合手段が係合されることを特徴としている。
【0026】
係合手段は、縁部に形成されて嵌合しあうように配設された凸部と凹部であればよく、その形状は限定されない。凸部又は凹部は、いずれの側の側縁に形成させてもよい。保温保冷箱をなす板材が、湾曲可能な薄板材からなっているため、凸部又は凹部を備えた側板を湾曲させて、凸部が形成されている側縁を、凹部が形成されている側縁に引っ掛からないようにして、上方部材を下方部材の上から挿し込むことができるようになる。上方部材の側板を挿し込んでから、苗等を収容して天板を閉じればよい。第4の発明によれば、隣り合う側縁の凸部と凹部が係合した状態で、保冷保温箱が外箱の中に装填されるので、搬送中に、保温保冷箱の周囲に隙間があきにくいという有利な効果がある。
【0027】
本発明の第5の発明は、第1から第4の発明の保冷保温箱であって下方部材及び上方部材が、発泡樹脂製の薄板材からなることを特徴としている。発泡樹脂製の薄板体とは、例えば発泡させたポリスチレンシート、ポリエチレンシート等であればよい。発泡ポリスチレンシートは、保冷保温性能が高く、所定幅のロール材から切り出して、真空成型により様々な形状に加工することが容易である。これにより、保冷保温性の高い保冷保温箱を容易かつ安価に製造することができる。また、発泡ポリスチレンシートは柔軟性が高く、湾曲させた状態に曲げやすい。
【0028】
発泡樹脂製の薄板材は、軽量で断熱性が高いと共に加工しやすい。苗、花、冷蔵品等の搬送品の大きさや形状に応じた、保冷保温箱を安価に提供することができ、外気温により影響を受けやすい物を、外気温の影響を受けない状態で搬送できる。
【0029】
本発明の第6の発明は、第1から第5の発明の保冷保温箱であって、下方部材と上方部材の各々を展開して重ねた状態で、下方部材と上方部材との間に隙間をあける離間手段を備え、前記離間手段は、下方部材と上方部材のいずれかの縁部から外方に突出された突出部とされ、前記突出部を折り曲げて、下方部材と上方部材とを積み重ねた状態で、下方部材と上方部材の間に隙間があけられることを特徴としている。
【0030】
外箱に保冷保温箱を装填する際には、突出部は折り取ってもよく、側縁よりも内側に折り曲げた状態としてもよい。突出部は、空気が流通できる程度の僅かな隙間を形成させられればよく、形状・配置・数等は限定されない。離間手段が備えられていることにより、保冷保温箱を冷蔵庫、冷凍庫、加温庫に収納して冷却・加温させる場合に、夫々の部材を積み重ねても、夫々の部材の間に冷却又は加温された空気が流通され、夫々の部材が満遍なく蓄熱される。
【0031】
第6の発明によれば、保冷保温箱の内部が長時間に亘って冷却又は保温された状態となり、苗や冷凍食品等の外気温の影響を受けやすい搬送品を搬送しても傷みにくく、また寒冷地に苗を搬送させる場合であっても、低い外気温により土に含まれる水分がより凍結されにくくなる。
【0032】
本発明の第7の発明は、搬送箱であって、第1から第6の発明の保冷保温箱と、前記保冷保温箱を内面に沿って装填させる折りたたみ可能な外箱とを含んでいることを特徴としている。外箱は段ボール紙を材質とすると、安価で加工しやすく好適であるが、これに限定されない。例えば樹脂製、厚紙製、木製であってもよい。保冷保温箱と外箱が組み合わされていることにより、外箱と保冷保温箱の間に隙間があきにくく、搬送の際に破損しにくく、保冷保温効果も維持しやすい。
【発明の効果】
【0033】
・本発明の第1の発明によれば、組み立てた際に接する縁部の係合手段を係合させて組み立てることにより、下方部材と上方部材は容易に立体形状に組み立てられ、下方部材を外箱に嵌め込む際も、上方部材を外箱に挿し込む際も、保冷保温箱を外箱に装填することが容易になる。また、各々の部材の向きを揃えて、面がはみ出さないように積み重ねることができるため、保管スペースを節約できると共に、在庫管理も容易になるという有利な効果を奏する。
・本発明の第2の発明によれば、天板と底板が各々の側板と連なるか、又は係合手段で係合されていることにより、組み立てた後に型崩れしにくく、搬送品を傷めにくい保冷保温箱となる。また、下方部材と上方部材とを面体のまま一体にして、保冷保温箱として速やか且つ簡易に組み立てられるようにして、梱包作業を容易にすることもできる。
【0034】
・本発明の第3の発明によれば、搬送品を収容する際に上方部材の天板が支障にならず、搬送品や天板を破損させにくくなるという有利な効果を奏する。また、保冷保温箱を組み立ててから搬送品を収容する必要がなく、梱包作業が容易になる。
・本発明の第4の発明によれば、隣り合う側縁の凸部と凹部が係合した状態で保冷保温箱が外箱の中に装填されるので、搬送中に、保温保冷箱の周囲に隙間があきにくいという有利な効果がある。
・本発明の第5の発明によれば、保冷保温性の高い保冷保温箱を容易かつ安価に製造することができる。搬送品の大きさや形状に応じた、保冷保温箱を安価に提供することができ、外気温により影響を受けやすい物を、外気温の影響を受けない状態で搬送できる。
【0035】
・本発明の第6の発明によれば、保冷保温箱の内部が長時間に亘って冷却又は保温された状態となり、苗や冷凍食品等の外気温の影響を受けやすい搬送品を搬送しても傷みにくく、また寒冷地に苗を搬送させる場合であっても、低い外気温により土に含まれる水分がより凍結されにくくなる。
・本発明の第7の発明によれば、保冷保温箱と外箱が組み合わされていることにより、外箱と保冷保温箱の間に隙間があきにくく、搬送の際に破損しにくく、保冷保温効果も維持しやすい。
【発明を実施するための形態】
【0037】
一体に組み立てた状態でも、分離させて組み立てた状態でも、搬送用の外箱に容易に装填可能とするという目的を、直方体の斜め下方をなす下方部材と、直方体の斜め上方をなす上方部材とを、同一形状の板体からなし、各々の板体を立体に組み立てる際に、接する状態となる各々の2つの面の接縁部に係合部を備えさせることにより、容易に立体に組み立てられるようにし実現した。
【実施例1】
【0038】
実施例1では、
図1から
図4を参照して、外箱100に装填される保冷保温箱1を説明する。
図1は、外箱に保冷保温箱を装填させる状態を、斜視図により説明する説明図である。保冷保温箱は、厚さ4mmのポリスチレンシートの板体からなり、直方体形状をなし、外箱をなす段ボール箱の内面に接する大きさとされている。なお外箱の大きさは限定されない。
【0039】
外箱に保冷保温箱を装填するには、段ボール箱からなる外箱100の側板と底板を組み立てた状態とし、天部が開放された状態としておく。保冷保温箱の下方部材10は、底板11から伸びている側板12を、
図2において上方向に折り上げるようにし、側板12から側方に伸びている側板13を、側方に折り曲げて、側板13に備えられている凸部と、底板に備えられている凹部とを係合部14として係合させて、立体に組み立てる(
図2(B)図参照)。
【0040】
立体とした下方部材10を、段ボール箱の上方から、挿し込むようにして装填させる(
図1A矢印参照)。そして、苗、花等の外気温により傷みやすい収容物を収容する。苗等の小さな収容物は、小分けした状態で仕切り壁により仕切られて収容されるが、保冷保温箱の中に一つの観葉植物が収容されるようにしてもよい。
【0041】
保冷保温箱の上方部材20は、下方部材と同一形状の板体からなっている。上方部材の天板21から伸びている側板22を、
図2において下方向に折り下げるようにし、側板22から側方に伸びている側板23を側方に折り曲げて、側板23に備えられている凸部と、天板に備えられている凹部とを係合部24として係合させて、立体に組み立てる(
図2(A)図参照)。収容物を収容してから、収容物の上方を覆うように、立体とした上方部材20を、外箱100の上方から、挿し込むようにして装填させる(
図1B矢印参照)。そして外箱をなす段ボール箱の蓋板が閉じられて梱包された状態となる。
【0042】
図2から
図4を参照して、保冷保温箱1の構成を詳細に説明する。
図2は、保温保冷箱1の展開図である。
図3は、折目部30の成形方法を説明する断面図である。
図4は、板体の折目部30の形状と板体の折り曲げ方法を説明する断面図である。下方部材10と上方部材20は、同一形状であるが、理解を容易にするため、下方部材の展開図(
図2(B)図)の上方に、回転させて上方部材の展開図(
図2(A)図)を示している。保温保冷箱1の上方部材20と下方部材10とは、ロール状に巻かれた幅1m、厚さ1mmのポリスチレンシートを加熱し発泡させて、厚さ4mmの平坦な板にしてから、折目部30をプレスしながら裁断して、同一の形状の板体として成形される。同一の金型で成形できるという有利な効果がある。
【0043】
図2(B)図に示している下方部材10は、略L字形状に成形され、底板11と、底板の底縁の一つに連なる第1の側板12と、第1の側板に連なる第2の側板13との3つの面体とからなっている。第2の側板13は、底板11と第1の側板12とが連なった底縁の一方の端部、
図2(B)図においては、右方の端部に接するように、第1の側板12の側縁に連なっている。底板11と第1の側板12、第1の側板12と第2の側板13は、夫々折目部30を介して連なっている。
【0044】
下方部材10は、第1の側板12を折り上げておき、第2の側板13の底縁が底板11の底縁に接するように第2の側板13を折り曲げて下方部材10が組み立てられる。組み立てられる際に接する第2の側板13の底縁と底板11の底縁とに、一方が凸部、他方が凹部をなすように、各々が係合しあう位置・形状で係合部14が形成されている。保冷保温箱1では、第2の側板13の底縁の略中央部に凸部が、底板11の底縁の略中央部に凹部が形成されている。
【0045】
保冷保温箱1の折目部30は、
図3(A)図に示すように、外面に刃部41を備えた重ね合わせ板体40により、板体を上方から押し潰して(
図3(A)図矢印参照)、下方の面が薄膜形状に繋がった折目部30とされる。実施例1では7枚の板体が、先方が交互に出没するように重ね合わせられ、刃部41は内方が傾斜した状態とされている。
【0046】
折目部30の断面形状は、板材の厚さよりも僅かに広い幅の陥没凹部31とされている。保冷保温箱1では板材の厚さが4mmとされ、折目部成形型の厚さは4.9mmとされている。なお、折目部30を、
図3(B)図に示すように、上下方向から先方が窄まった突片42で挟んで(
図3(B)図矢印参照)、板材を押し潰して、上方、下方のいずれの方向に折り曲げられる折目部43としてもよいことは勿論のことである。
【0047】
ここで、
図4を参照して、下方部材の折目部30において、側板の折り曲げ方を説明する。
図4(B−1)図は
図2(B)図のB−B位置の断面図を示し、
図4(B−2)図は底板11から第1の側板12を折り上げた状態を示し、
図4(B−3)図は第1の側板12から第2の側板13を折り曲げた状態を示している。第1の側板12は、底板側の折目部側縁32が折れ曲げられて、第1の側板の端面15が底板の上面に載るように組み立てられる。第2の側板13は、第2の側板側の折目部側縁33が折り曲げられて、第2の側板13の面部の端部16が、第1の側板12の端面17に被るようにして組み立てられる。
【0048】
一方、
図2(A)図に示している上方部材20も、略L字形状に成形され、下方部材10と同一の大きさ、形状とされている。天板21と、天板の天縁の一つに連なる第3の側板22と、第3の側板に連なる第4の側板23との3つの面体とからなっている。第4の側板23は、天板21と第3の側板22とが連なった天縁の一方の端部、
図2(A)図においては、左方の端部に接するように、第3の側板22の側縁に連なっている。天板と第3の側板、第3の側板と第4の側板は、下方部材と同一の形状の折目部30を介して、夫々連なっている。
【0049】
上方部材の第3の側板22を折り下げておき、第4の側板23の天縁が天板21の天縁に接するように第4の側板23を折り曲げて上方部材が組み立てられる。組み立てられる際に接する第4の側板の天縁と天板の天縁とに、一方が凸部、他方が凹部をなすように、各々が係合しあう位置・形状で係合部24が形成されている。保冷保温箱1では、第4の側板23の天縁の略中央部に凸部が、天板21の天縁の略中央部に凹部が形成されている。上方部材の折目部30は、下方部材と同様にして形成される。
【0050】
図4を参照して、上方部材の折目部において側板22,23の折り曲げ方を説明する。
図4(A−1)図は
図2(A)図のA−A位置の断面図を示し、
図4(A−2)図は天板21から第3の側板22を折り下げた状態を示し、
図4(A−3)図は第3の側板22から第4の側板24を折り曲げた状態を示している。第3の側板22は、折目部30の両側縁が反対方向に折り曲げられて、第3の側板の端面25が天板21から吊り下げられるように組み立てられる。第4の側板側も、折目部30の両側縁が反対方向に折り曲げられて、第4の側板23の面部の端部27が、第3の側板の端面28に被るようにして組み立てられる。
【0051】
上方部材の各々の側板22,23は、天板21から吊り下げられた状態となり、下方部材の各々の側板12,13は、底板11に載った状態となる。また、下方部材10と上方部材20のいずれにおいても、側板から折り曲げられる各々の側板は、折り曲げられた方の側板の端面が、折り曲げられる方の側板の面部の端部に被った状態となる。同一の形状の板材が、前記のように折り曲げられることにより、下方部材10と上方部材20が、保冷保温箱1の直方体の中心点に対して、点対称の形状に組み立てられる。
【0052】
保冷保温箱1では、下方部材10がなす開放された側縁18と、上方部材がなす開放された側縁29のいずれにも、側縁から外側に突出された部分がないため、上方部材を外箱の中に挿し込む際に、上方部材の側縁が下方部材の側縁に引っ掛からないで、上方部材20が下方部材10を上方から覆うように挿し込み可能とされている。
【実施例2】
【0053】
実施例2では、
図5を参照して、実施例1の保冷保温箱1とは、3つの面体の連なり方が異なる構成の保冷保温箱2を説明する。
図5は、保冷保温箱の展開図を示している。板体の厚さ、材質は保冷保温箱1と同様であり、説明を省略している。
【0054】
図5(B)図に示している下方部材は、略L字形状に成形され、底板11と、底板に連なる第1の側板12と第2の側板13とからなり、第1の側板と第2の側板とは底板の底縁の一つに接するように、底板から連なっている。また、下方部材の第1の側板12と第2の側板13を折り上げて組み立てた際に、第1の側板と第2の側板が接する縁部には、一方が凸部、他方が凹部をなすように、各々が係合しあう位置・形状で係合部14が形成されている。保冷保温箱2では、第2の側板の側縁の略中央部に凸部が、第1の側板の側縁の略中央部に凹部が形成されている。
【0055】
底板と第1の側板、底板と第2の側板とは、折目部30を介して連なっている。折目部30の断面形状は、
図4(B−1)図に示している。下方部材10は、第1の側板12と、第2の側板13を、折目部30の底板側の端縁51で折り上げて、第1の側板の凸部と第2の側板の凹部が係合されて下方部材が組み立てられる。保冷保温箱2では、第1の側板12の端面が底板11の上面に載り、第2の側板13の端面も底板11の上面に載るように組み立てられる(
図4(B−2)図参照)。
【0056】
図5(A)図に示している上方部材は、略L字形状に成形され、天板21と、天板に連なる第3の側板22と第4の側板23とからなり、第3の側板と第4の側板とは天板の天縁の一つに接するように、天板から連なっている。また、上方部材の第3の側板22と第4の側板23を、折目部30の両側縁を反対側に折り曲げて組み立てた際に、第3の側板と第4の側板が接する縁部には、一方が凸部、他方が凹部をなすように、各々が係合しあう位置・形状で係合部24が形成されている。保冷保温箱2では、第4の側板の側縁の略中央部に凸部が、第3の側板の側縁の略中央部に凹部が形成されている。
【0057】
天板と第3の側板、天板と第4の側板とは、折目部30を介して連なっている。折目部の断面形状は、
図4(A−1)図に示している。上方部材20は、第3の側板22と、第4の側板23を折り下げて、第3の側板の凸部と第4の側板の凹部が係合されて上方部材が組み立てられる。保冷保温箱2では、第1の側板22の端面が天板21の下面に吊り下がり、第2の側板23の端面も天板21の下面に吊り下がるように組み立てられる(
図4(A−2)図参照)。
【0058】
保冷保温箱2は、上方部材の各々の側板は、天板から吊り下げられた状態となり、下方部材の各々の側板は、底板に載った状態となる。同一の形状の板材が、前記のように折り曲げられることにより、上方部材20と下方部材10が、保冷保温箱の直方体の中心点に対して、点対称の形状に組み立てられる。
【0059】
保冷保温箱2でも、下方部材がなす開放された側縁18と、上方部材がなす開放された側縁29のいずれにも、側縁から外側に突出された部分がないため、上方部材を外箱の中に挿し込む際に、上方部材の側縁が下方部材の側縁に引っ掛からないで、上方部材が下方部材を上方から覆うように挿し込み可能とされている。
【実施例3】
【0060】
実施例3では、
図6を参照して、実施例1の保冷保温箱1において、天板21と、天板に接することとなる下方部材の側板12,13との接縁部、底板11と底板に接することとなる上方部材の側板22,23との接縁部に係合手段が形成された保冷保温箱3を説明する。
図6は、保冷保温箱3の展開図を示している。折目部30の断面形状は、
図4を参照する。面体の折り曲げ方については、保冷保温箱1と同じであるため、
図6に
図2と同一の符号を付して説明を省略している。
【0061】
図6(B)図に示している底板の開放された2つの底縁の各々と、
図6(A)図に示している天板の開放された2つの天縁の各々には、凹部53が形成されている。また、保冷保温箱として一体とされる際に天板と接することなる側板の天縁、底板と接することとなる側板の底縁には凸部54が形成されている点が、保冷保温箱1とは異なっている。係合部は、いずれを凸部又は凹部としてもよいが、保冷保温箱3においては天板と底板に凹部を形成させている。
【0062】
保冷保温箱3として一体とされた際に、底板と4つの側板、天板と4つの側板が係合された状態となっているため、外箱に装填して搬送している際に保冷保温箱3の面体の位置がずれて、形状が型崩れしにくい。
【実施例4】
【0063】
実施例4では、
図7を参照して、実施例3の保冷保温箱3において、第1の側板と第2の側板の開放された側縁18,18及び第3の側板と第4の側板の開放された縁部29,29に段部が形成されている保冷保温箱4を説明する。
図7は、保冷保温箱4の展開図を示している。折目部30の断面形状は、
図4を参照する。面体の折り曲げ方については、保冷保温箱1と同じであるため、図に同一の符号を付して説明を省略している。
【0064】
保冷保温箱4においては、実施例3の保冷保温箱の係合部14,24,53,54に加えて、
図7(B)図に示しているように、第1の側板と第2の側板の開放された側縁18,18に下方段部55が形成されている。また、
図7(A)図に示しているように、第3の側板と第4の側板の開放された側縁にも上方段部56が形成されている。
【0065】
上方部材20を、外箱100の中に装填された下方部材20の上に挿し込む際に、上方段部56の切欠き部を下方段部55の突出し部に沿わせて挿し込むことにより、上方段部を下方段部に載せるように容易に組み立てることができる。保冷保温箱4によれば、上方段部56の突出し部の内方側面が下方段部55の切欠き部の端面に接し、下方段部55の突出し部の内方側面が上方段部56の切欠き部の端面に接することとなるため、搬送中においても保冷保温箱3の面体の位置がずれて、形状が型崩れしにくい。
【実施例5】
【0066】
実施例5では、
図8を参照して、実施例3の保冷保温箱3において、第1の側板と第2の側板の開放された側縁18と第3の側板と第4の側板の開放された側縁29に係合部が形成されている保冷保温箱5を説明する。
図8は、保冷保温箱5の展開図を示している。折目部30の断面形状は、
図4を参照する。面体の折り曲げ方については、保冷保温箱1と同じであるため、
図8に
図7と同一の符号を付して説明を省略している。
【0067】
保冷保温箱5においては、実施例3の保冷保温箱の係合部に加えて、
図8(B)図に示すように、第1の側板12の開放された側縁に凹部58が形成され、第2の側板13の開放された側縁に凸部57が形成されている。また、
図6(A)図に示すように、第3の側板22の開放された側縁に凹部58が形成され、第4の側板24の開放された側縁に凸部57が形成されている。
【0068】
上方部材20を、外箱100の中に装填された下方部材20の上に挿し込む際は、上方部材20を組み立てて立体としていない状態で、天板21を開放したまま、保冷保温箱5の薄板材からなる、上方部材と下方部材において凹部58と凸部57とが形成された側縁を湾曲させて、上方部材の第4の側板の凸部57が、下方部材の第1の側板の凹部58に嵌り、下方部材の第2の側板の凸部57が、上方部材の第3の側板の凹部58に嵌るようにさせる。側板を挿し込んでから天板21の凹部53に下方部材の側板の凸部54を嵌め込むようにすればよい。
【0069】
保冷保温箱5によれば、保冷保温箱をなす、全ての稜線が一体化又は係合部により係合されているため、搬送中においても保冷保温箱3の面体の位置がずれて、保冷保温箱の形状が型崩れすることはない。
【実施例6】
【0070】
実施例6では、
図9を参照して、展開した状態で重ね合わせた際に、板体と板体とを離間させるように隙間をあけるように保冷保温箱6に形成させる離間手段59を説明する。
図9(A)図は、下方部材10の展開図であるが、上方部材20も同一形状とされる。板体の構成は、実施例1の保冷保温箱1と同一であり、詳細な説明は省略する。下方部材10の周囲には、板体を重ね合わせた際に板体が垂れ下がらないような間隔で離間手段59が形成されている。離間手段59は厚部材63と薄部材60とからなり、薄部材60の一方の端部が上方部材又は下方部材をなす板体61に連なつている。
【0071】
図9(B)図は、板体を重ね合わせた状態を説明する断面図を示している。薄部材60の両縁を折り曲げるようにして、厚部材63を板体61に折り重ねるようにして、板体61を積み重ねることにより、板体と板体の間に離間した隙間62が形成される。厚部材の厚さは隙間があけられる厚さであればよく、薄部材60の厚さは容易にもぎ取れる厚さであればよい。板体と板体を重ねた状態で。保冷・保温庫で保冷・保温してから、上方部材又は下方部材として組み立てる前に、離間手段59をもぎ取るようにすればよい。
【0072】
(その他)
・上記の実施例では、上方部材が下方部材とは分離された状態で、下方部材の上部を覆う実施例を説明したが、各々の実施例の保冷保温箱を予め一体に組み立ててから、外箱に装填してもよいことは勿論のことである。特に、保冷保温箱5は、全ての稜線が一体化又は係合部により係合されるように形成されているため、予め保冷保温箱として一体に組み立てて使用する場合には、好適である。
・上記の実施例では、下方部材と上方部材の形状も折目部の陥没方向も同じに形成された実施例を説明したが、折目部の陥没方向が逆に形成された保冷保温箱であってもよい。この場合には、上方部材と下方部材とで異なる金型を必要とするが、積み重ねて保管し、保冷保温しやすい。
・上記の実施例では、異なった形状、異なった折目部の実施例を説明したが、これらを変形して適用してもよいことは勿論のことである。例えば、折目部を、凹部を表裏逆方向に形成し、上方部材と下方部材のいずれか一方を裏返した状態で、折目部が逆方向に形成された同一の形状の板体となるようにしてもよい。そうすると、折目部の折り方が統一されて組み立てやすいという有利な効果がある。
・今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の技術的範囲は、上記した説明に限られず特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。