(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-88475(P2017-88475A)
(43)【公開日】2017年5月25日
(54)【発明の名称】葉面散布剤
(51)【国際特許分類】
C05F 1/00 20060101AFI20170421BHJP
A01G 7/00 20060101ALI20170421BHJP
C05D 3/02 20060101ALN20170421BHJP
【FI】
C05F1/00
A01G7/00 604Z
C05D3/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】書面
【全頁数】4
(21)【出願番号】特願2015-232359(P2015-232359)
(22)【出願日】2015年11月10日
(71)【出願人】
【識別番号】515330993
【氏名又は名称】有限会社キャプテン
(72)【発明者】
【氏名】池谷 秋吉
(72)【発明者】
【氏名】山田 昇吾
(72)【発明者】
【氏名】山口 眞千子
【テーマコード(参考)】
2B022
4H061
【Fターム(参考)】
2B022EA10
4H061AA01
4H061GG13
4H061GG19
4H061GG46
4H061JJ02
(57)【要約】
【課題】難水溶性のために植物が吸収し辛い化石サンゴを、植物が吸収し易い水溶性に加工し、かつ対微生物のための防腐剤を添加しない安全で、長期保存できる葉面散布剤を提供する。
【解決手段】 難水溶性サンゴを可溶化する方法として、
(第1工程)浄水装置を通じて溶媒となる水道水を加工する。本製品の製造工程に用いる溶媒である水は、カートリッジに活性炭・セラミック・化石サンゴ・銀添サンゴ・陰イオン交換樹脂が充填されている浄水装置に、水道水を注入して加工する。その結果として、水道水の塩素やトリハロメタンなどの有害物質が除去され、水の分子を細分化し、雑菌の除去が行われて各種ミネラル分を含んだ、ミネラルイオン水を作り上げる。これにより難水溶性の化石サンゴと有機酸との反応性を高めることが出来る。
(第2工程)化石サンゴと有機酸(クエン酸および乳酸)とを反応させて有機酸塩(クエン酸塩および乳酸塩)を作り、溶解度を向上させる。以上の二つの工程により難水性の化石サンゴと有機酸との反応性を向上・効率化させ、難水溶性である化石サンゴを完全に可溶化することが出来る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水溶性に加工した化石サンゴを主成分とする葉面散布剤である。
【請求項2】
請求項1を乾燥し、粉末化したものである。
【請求項3】
使用前に本発明品を水(水道水、井水、雨水等 水の種類は問わない)に再溶解し、これを霧状にして植物体へ吹き付けて使用する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は草花などの小スケールの物から樹木などの大スケールに至る、あらゆる植物に対して各種ミネラル補給を行うものである。それらの補給により植物が光合成等の代謝効率を改善させることが出来るようになる。それに付随して、収穫物の味や食感を改善させるものである。
【背景技術】
【0002】
現在、化石燃料由来の硫黄酸化物(SOx)及び、窒素肥料由来の窒素酸化物(NOx)による酸性雨により土壌の酸性化が問題となっている。その為、土に根を張り、土壌から、あるいは雨から養分および水分を吸収し、生育している植物にとっては常にダメージを受けている事は容易に推測される。その結果、植物自体はもとより、収穫される作物までもが貧弱化して、収穫前の樹に実ったミカンが軟化・腐敗している状態などが認められている。
農産物の栽培を生業にしている方々はこれらの問題の改善対策として、化学肥料や農薬を用いているようであるが、それら人工の物は硫酸マグネシウムや硝酸アンモニウム、場合によっては塩化カルシウムなど、土壌の酸性化に拍車をかける硫酸根、硝酸根、塩素が多分に含まれており、これらは植物にとっては必須養分ではあるが、いずれも微量要求性物質である。つまり、これらを植物が過剰に吸収すれば過剰症による生育障害を起こす上に苦味が出るなどの品質低下を招く。また、土壌中に残留すればさらなる酸性土化が進行し、酸性雨の原因ともなり、いずれにしても、悪循環が進行し続ける。
【0003】
カルシウム(石灰)は植物にとって重要な必須元素であり、窒素、リン酸カリウムに続いてマグネシウムと同等程度の必須成分である。現状では、難水溶性のカルシウム肥料(苦土石灰、貝化石肥料 など)を土壌へ施肥するのが一般的である。
ところが、根から吸収されたカルシウムは篩管による再転流がほとんどなく移動性が小さいことが既知の事実として知らされている。つまり、根からの吸収のみではカルシウムを必要としている部位の要求に対し供給不足が示唆されている。
なお、カルシウム不足で引き起こされる病害として、「トマトの尻腐れ病」「リンゴのビターピット」が知られている。いずれも生育旺盛な部位で起こる病気であり、カルシウムが行き届いていないことが示唆されている。
【0004】
従来の葉面散布剤は液肥が主であり、液肥では開封後の雑菌混入による腐敗が懸念される。その結果、この腐敗に対応するために防腐剤が用いられるなど、植物にとって必要では無いものが混入されている。
【0005】
一方、2015年にTPPが大筋合意に至ったことにより、我が国の農業は大きな影響を受けることになる。それは、安い農産物の輸入増のみならず、農薬の規制緩和により、外国からの作物の安全性見直しを迫られることも予想される、従って我が国の農業の未来志向としては、安い費用で高品質という付加価値を保って対抗していく必要性が出てくる。
社団法人 農山漁村文化協会発行 「農業技術事典」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、従来のような化学肥料や農薬を用いない肥料として、葉面散布剤が求められている。
【0007】
人工肥料には硫酸根、硝酸根、塩素が多量に含まれている。これらの施肥結果として発生する酸性雨により酸性土を引き起こすことになる、これらの物質は、本発明では一切使用していないため、発明品の散布によっての環境悪化(ひいては環境破壊)はありえない。
【0008】
カルシウムは根から吸収されても、それを必要とする部位に届けられ難い。本発明品は難水溶性である化石サンゴを加工して水に溶け易くした葉面散布剤である。植物は葉面など地上部からも養分を吸収できる事は周知の事実であることから、水溶性に加工済みの化石サンゴを要求部位へスプレーなどの機器を用いて散布することにより至極簡単に供給でき、カルシウムを含むミネラル成分欠乏症予防対策として有効である。
【0009】
液肥の腐敗性および腐敗防止のためには防腐剤が投入されている。
本発明品は乾燥状態(粉末)であるため、腐敗する事は無く。また、同理由より防腐剤の添加・混合の必要性が無い。
【0010】
環境悪化に伴う収穫作物の品質劣化が懸念されるが、本発明品を散布することにより植物体内にカルシウムを主とし、他の必須ミネラル成分が補給される。これらにより細胞レベルから強化(カルシウムはアポプラストへ作用して物理的な細胞強化するなど)されるために台風など物理的障害に耐えるようになり得る。また、補酵素の役目も果たすことから代謝効率が改善・向上して作物の糖分生産量増加や植物体合成(タンパク質生産)効率化に基づく葉面積拡大などの効果が得られる。
【0011】
TPP合意による日本の農業衰退が懸念されるが、以上のように、本製品は品質改善・向上が望めることから、高品質な作物を得ることが出来る。つまり、守り(輸入)の農業から高付加価値作物を持って攻め(輸出)の農業への変革が可能になる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
有機酸物質(クエン酸、乳酸)を用いて難水溶性である化石サンゴを可溶化させる。
【0013】
これを乾燥・粉末化する。
【0014】
散布する際は水を用いて再溶解する。
【0015】
再溶解した溶液は適宜散布機器へ充填し、植物へ吹き付ける。
【発明の効果】
【0016】
本発明品の散布により、補酵素が補給され、代謝が改善される。目視確認で特に解り易い点は植物の葉面積が拡大する点である。これにより光合成効率が改善され、炭素同化代謝(光合成)効率が上昇する。つまり単位時間当たりのグルコース生産量が向上し、貯蔵糖であるデンプン生産量が上昇する。貯蔵糖は必然的に果物やイモ類の塊根(サツマイモ)などの可食部に集中するために甘みが向上する。
【0017】
甘みをはじめとする味の改善は、偏食抑制効果に有効である。
【0018】
また、光合成効率改善はCO
2削減効率改善と同義とも言え、つまりは地球温暖化改善に通じることとなる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
化石サンゴ、クエン酸、乳酸等の原料を計量する。
【0020】
計量した原料を、反応容器へ投入し、その中に化学物質を除去した水道水(冷水)を注入する。
【0021】
前項の反応容器に投入した原料と冷水を静置下で数日間維持させる。
【0023】
分離された固体を取り出して、乾燥する