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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-89273(P2017-89273A)
(43)【公開日】2017年5月25日
(54)【発明の名称】電柱内への芯材挿入工法
(51)【国際特許分類】
   E04H 12/12 20060101AFI20170421BHJP
   E04G 23/02 20060101ALI20170421BHJP
   E04G 21/16 20060101ALI20170421BHJP
【FI】
   E04H12/12
   E04G23/02 F
   E04G21/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-221767(P2015-221767)
(22)【出願日】2015年11月12日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 集会名「NRフォーラム2015」、開催場所「東京都千代田区神田淡路町2−9損保会館」、 開催日「平成27年7月17日」
(71)【出願人】
【識別番号】390031934
【氏名又は名称】日本リーテック株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000221616
【氏名又は名称】東日本旅客鉄道株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100062982
【弁理士】
【氏名又は名称】澤木 誠一
(74)【代理人】
【識別番号】100102749
【弁理士】
【氏名又は名称】澤木 紀一
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 康
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 泰宏
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 恭行
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 和博
(72)【発明者】
【氏名】葛西 卓史
(72)【発明者】
【氏名】村上 智美
【テーマコード(参考)】
2E174
2E176
【Fターム(参考)】
2E174AA01
2E174BA03
2E174CA03
2E174CA12
2E174CA38
2E176AA04
2E176BB28
(57)【要約】
【課題】従来の電柱内への芯材挿入工法は、クレーンの揚程から、所定の高さ以上の電柱には、芯材を挿入することができないという問題点があった。
【解決手段】本発明の電柱内への芯材挿入工法は、クレーン7により、芯材4を吊下げ、該芯材4を電柱2の上端から電柱2内に挿入し、該芯材4を所望の高さまで下降させた後に、上記クレーン7と上記芯材4との間に長尺部材12を介在させて、更に、芯材4を下方に降下させることを特徴とする。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クレーンにより、芯材を吊下げ、該芯材を電柱の上端から電柱内に挿入し、該芯材を所望の高さまで下降させた後に、上記クレーンと上記芯材との間に長尺部材を介在させて、更に、芯材を下方に降下させることを特徴とする電柱内への芯材挿入工法。
【請求項2】
クレーンと芯材とを連結して、該クレーンにより、上記芯材を吊下げ、該芯材を電柱の上端から電柱内に挿入し、該芯材を所望の高さまで下降させる第一工程と、
芯材固定手段を用いて、該芯材を上記電柱に固定する第二工程と、
上記クレーンと上記芯材との連結を解除すると共に、上記クレーンと上記芯材とを長尺部材を介して連結する第三工程と、
上記クレーンにより、上記長尺部材を介して、上記芯材を吊下げると共に、上記芯材と上記電柱との固定を解除する第四工程と、
上記クレーンにより、上記芯材を所望の高さまで更に下降させる第五工程と
よりなることを特徴とする電柱内への芯材挿入工法。
【請求項3】
上記芯材に、該芯材を、上記電柱の内周面から所望間隔離間して、位置させるための間隔保持部材を設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載の電柱内への芯材挿入工法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電柱内への芯材挿入工法、特に、既に建稙された、電車線などを架設するための電車線柱(電化柱)などのコンクリート製の中空電柱内に、倒壊防止用の芯材を挿入する工法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、鉄道沿線などに設けられるコンクリート製電柱の地震による倒壊を防止する工法として、例えば、図15(a)に示すように、例えば、高架橋の電柱基礎部1に建て込まれたコンクリート製の筒状の中空電柱2の空洞3内に、上端からH鋼や丸鋼などの剛性の高い芯材4を上記電柱基礎部1まで挿入し、該芯材4の基部4aをモルタルなどの硬化材5を硬化させて固定したものがある(特許文献1)。
【0003】
かかる工法が施されたコンクリート製電柱2は、図15(b)に示すように、地震などにより、上記コンクリート製電柱2の基部が折れてしまっても、該コンクリート製電柱2が剛性の高い上記芯材4により支えられて、鉄道車両等が走行する範囲(車両限界)内に支障がでる程に、該コンクリート製電柱2が倒壊しないようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015−10340号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
鉄道線路沿いに建て込まれたコンクリート製電柱に上記工法を用いる場合には、主に、道路上を走行するためのタイヤと軌道上を走行するための鉄輪を装備した道路及び軌道両用走行型のクレーン車(軌陸型クレーン車)を用いて、軌道上で作業を行う。
【0006】
かかる軌道上には、図16に示すように、架線や、該架線を支持する支持物などの障害物6が多く、特に新幹線の軌道上は、障害物が多い。そのため、ブームの長い(揚程の高い)クレーン車の方が芯材挿入作業を効率的に行えるが、かかるクレーン車は車両自体が大型化し、上記障害物に支障するため軌道上を移動することができないことがある。また、これら障害物6の隙間を縫って軌陸型クレーン車のブームを伸ばす関係上、ブームの長い(揚程の高い)クレーンはクレーン自体が大型化し、ブームを上げたり回転させたりする際に上記障害物に支障することから、ブームの長さ(揚程の高さ)にも限界がある。そのため、一般的な軌陸型クレーン車は、規定揚程約21m以下の軌陸型クレーン車が作製され、これらクレーン車を用いて、実際の施工を行っている。
【0007】
しかしながら、図17に示すように、上記軌陸型クレーン車7を利用して、芯材4を吊下げて、該芯材4を、電柱2内に上端から挿入し、電柱基礎部まで下降させるためには、上記軌陸型クレーン車7の揚程が、上記電柱2の高さの約2倍以上の長さが必要になることから、一般的に用いられている揚程21mの軌陸型クレーン車7で作業する場合、高さが11m以下の電柱2にしか、施工を行うことができないという問題点があった。
【0008】
また、上記揚程21mの軌陸型クレーン車7を使用しても、軌道上の障害物によっては、ブーム7aを最大高さまで上げられない場合もあり、かかる場合には、高さが11m以下の電柱であっても、施工ができないという問題点があった。
【0009】
本発明は上記問題点を解消しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の電柱内への芯材挿入工法は、クレーンにより、芯材を吊下げ、該芯材を電柱の上端から電柱内に挿入し、該芯材を所望の高さまで下降させた後に、上記クレーンと上記芯材との間に長尺部材を介在させて、更に、芯材を下方に降下させることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の電柱内への芯材挿入工法は、クレーンと芯材とを連結して、該クレーンにより、上記芯材を吊下げ、該芯材を電柱の上端から電柱内に挿入し、該芯材を所望の高さまで下降させる第一工程と、
芯材固定手段を用いて、該芯材を上記電柱に固定する第二工程と、
上記クレーンと上記芯材との連結を解除すると共に、上記クレーンと上記芯材とを長尺部材を介して連結する第三工程と、
上記クレーンにより、上記長尺部材を介して、上記芯材を吊下げると共に、上記芯材と上記電柱との固定を解除する第四工程と、
上記クレーンにより、上記芯材を所望の高さまで更に下降させる第五工程と
よりなることを特徴とする。
【0012】
また、必要に応じて、更に、芯材固定手段を用いて、上記長尺部材を介して、上記芯材を上記電柱に固定する第六工程と、
上記クレーンと上記長尺部材との連結を解除すると共に、上記クレーンと上記長尺部材とを他の長尺部材を介して連結する第七工程と、
上記クレーンにより、上記他の長尺部材を介して、上記芯材を吊下げると共に、上記芯材と上記電柱との固定を解除する第八工程と、
上記クレーンにより、上記芯材を更に下方の所望の高さまで下降させる第九工程を行うことを特徴とする。
【0013】
また、必要に応じて、上記第六工程から上記第九工程を必要なだけ繰り返す第十工程とよりなることを特徴とする。
【0014】
また、本発明の電柱内への芯材挿入工法は、クレーンと芯材とを連結して、該クレーンにより、上記芯材を吊下げ、該芯材を電柱の上端から電柱内に挿入し、該芯材を所望の高さまで下降させる第一工程と、
芯材固定手段を用いて、上記芯材を上記電柱に固定し、該芯材固定手段は、上記芯材に係合すると共に、上記クレーンにより上記芯材を下降させることにより上記電柱に係合させて上記芯材を上記電柱に固定し、また、該電柱に固定された芯材を、上記クレーンにより上記芯材を上昇させることにより上記電柱との係合を解除して上記芯材と上記電柱との固定を解除するものである第二工程と、
上記クレーンと上記芯材との連結を解除すると共に、上記クレーンと上記芯材とを長尺部材を介して連結する第三工程と、
上記クレーンにより、上記長尺部材を介して、上記芯材を吊下げて上昇させると共に、該芯材の上昇により、上記電柱との係合を解除して上記芯材と上記電との固定を解除する第四工程と、
上記クレーンにより、上記芯材を所望の高さまで更に下降させる第五工程と
よりなることを特徴とする。
【0015】
また、上記芯材に、該芯材を、上記電柱の内周面から所望間隔離間して、位置させるための間隔保持部材を設けたことを特徴とする。
【0016】
上記間隔保持部材は、上記芯材に挿入し固定される管と、該管の外周面に固定された弾性部材とよりなり、該弾性部材には、上記電柱内に形成されたレイタンス部を避ける、上下方向に延びる空隙部が形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明の電柱内への芯材挿入工法によれば、利用するクレーン車の最大揚程の半分以上よりも高い電柱にも、芯材を挿入することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の電柱内への芯材挿入工法の各工法を説明する概略図である。
図2】本発明の電柱内への芯材挿入工法の前工程における電柱の説明図である。
図3】本発明の電柱内への芯材挿入工法の第一工程におけるフックと吊り金具部を説明する説明図である。
図4】本発明の電柱内への芯材挿入工法の第一工程におけるフックと吊り金具部との連結状態の説明図である。
図5】本発明の電柱内への芯材挿入工法の第二工程におけるフックによる芯材の吊下げ方法の説明図である。
図6】本発明の電柱内への芯材挿入工法の第二工程におけるフックによる芯材の吊下げ方法の説明図である。
図7】本発明の電柱内への芯材挿入工法の第三工程に用いる継金具部材の説明図である。
図8】本発明の電柱内への芯材挿入工法の第三工程におけるフックと継金具部材と追加吊りワイヤーと吊り金具部との連結状態の説明図である。
図9】本発明の電柱内への芯材挿入工法の第六工程におけるフックによる芯材の吊下げ方法の説明図である。
図10】本発明の電柱内への芯材挿入工法の第六工程におけるフックによる芯材の吊下げ方法の説明図である。
図11】本発明の電柱内への芯材挿入工法の後工程の芯材を電柱内で固定する説明図である。
図12】本発明の電柱内への芯材挿入工法の第2実施例の間隔保持部材の説明図である。
図13】本発明の電柱内への芯材挿入工法の第2実施例の他の間隔保持部材の説明図である。
図14図13の間隔保持部材の他の使用例を示す平面図である。
図15】(a)従来の電柱内への芯材挿入工法の説明図である。(b)震災等により電柱が折れ曲っても、芯材により支えられて電柱が倒壊しない状態の説明図である。
図16】電車線設備の一例の写真図である。
図17】従来における軌陸型クレーン車の施工状態の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下図面によって本発明の実施例を説明する。
【実施例1】
【0020】
本発明の電柱内への芯材挿入工法を説明する。なお、図1は、各工程を示す概略図であり、主に、全体像を示すものであるため、本願発明に用いるフック7c、吊り金具9、継金具部材11、追加吊りワイヤー12、13等との具体的な連結状態は省略して図示したものである。
【0021】
(前工程)
【0022】
まず、図2に示すように、例えば、高架橋の電柱基礎部1に建稙された中空コンクリート製電柱2の下部の周壁に、空洞3内へのぞき穴兼用の硬化材充填用の充填孔8を設ける。
【0023】
なお、上記電柱2は、天端キャップ2aなどで天端が閉鎖された、例えば、外径400mm、内径260mmの筒状からなり、例えば、長さが約11mであり、上記電柱基礎部1に基礎面1bから約1m埋め込まれて建て込まれている。
【0024】
また、上記電柱2の天端キャップ2aを取り外す、或いは破壊などして、上記電柱2の天端(又は上部)を開放し、上端開口部2bを形成させる。
【0025】
(第一工程)
【0026】
次に、図3に示すように、例えば、軌陸型クレーン車7の吊りワイヤー7bの先端に固定されたフック7cと、芯材4の上端に固定して設けた吊り金具部9とを係合して連結し、上記クレーン7と上記芯材4とを連結する。
【0027】
なお、上記芯材4は、H鋼や丸鋼などの剛性の高い棒体であり、例えば、直径130mm、長さ4m、重さ500kgの鋼棒である。
【0028】
そして、上記軌陸型クレーン車7により、上記吊りワイヤー7bを縮小して上記芯材4を吊下げて、そして、上記芯材4の下端が、上記電柱2の上端面よりも上になるまで上昇させる。
【0029】
なお、上記吊り金具部9は、上記電柱2内に挿入可能な大きさに形成され、例えば、図3に示すように、吊下げ用開口部9a(吊下げ用係合部)と、止め棒用開口部9b(止め棒係合部)とを有し、該吊下げ用開口部9aは、上記吊り金具部9の上部に設けられ、シャックル金具や吊下げ用ワイヤーの取付金具などが着脱自在に挿入(係合)されるように形成され、また、上記止め棒用開口部9bは、上記吊り金具部9の下部に設けられ、後述する止め棒10が着脱自在に挿入(係合)されるように形成される。
【0030】
そして、図4に示すように、上記フック7cに、例えば、帯ワイヤー19を介して設けたシャックル金具20が、上記吊り金具部9の吊下げ開口部9a内に挿入されて連結され、上記クレーン7により上記芯材4が吊下げられるようになる。
【0031】
なお、上記フック7cは大きいので、上記吊り金具部9の吊下げ用開口部9aに挿入できず、そのため、上記帯ワイヤー19及びシャックル金具20などの連結手段を介して、上記フック7cと上記吊り金具部9とが連結される。
【0032】
そして、図1(a)、に示すように、上記クレーン7により、吊りワイヤー7bを伸長させて、上記芯材4を下降させて、上記芯材4を、上記電柱2の上端開口部2bから電柱2内の空洞3内に挿入し、更に、上記芯材4を、上記吊り金具部9の止め棒用開口部9bが、上記電柱2の上端面より若干上部に位置する所望の位置まで、下降させる。
【0033】
(第二工程)
【0034】
次に、図5に示すように、上記吊り金具部9の上記止め棒用開口部9bに、棒状の止め棒10を挿入し、上記クレーン7により、上記吊りワイヤー7bを伸長させて、上記芯材4を下降させ、そして、図6に示すように、上記止め棒10が上記電柱2の上端面で支えらえて、上記止め棒10を介して、上記芯材4が上記電柱2に支持されて固定されるようにする。
【0035】
なお、上記止め棒10(芯材固定手段)は、上記電柱2の空洞3の直径より
も長い棒体であって、上記芯材4を吊下げることができる強度を有するものである。
【0036】
また、上記芯材4は、例えば、500kgなどと重量が大きいため、その重力により、上記電柱2の上端面に上記止め棒10を載置するだけで、上記電柱2に固定されるようになる。
【0037】
(第三工程)
【0038】
次に、図1(b)に示すように、上記吊り金具部9の吊下げ用開口部9aから、上記シャックル金具20を取り外し、上記吊り金具部9から上記フック7cを取り外して、上記芯材4と上記クレーン7との連結を解除すると共に、図1(c)に示すように、上記フック7cに継金具部材11を係合して連結すると共に、該継金具部材11と上記吊り金具部9とを、追加吊りワイヤー12などの長尺部材を介して連結し、上記クレーン7と上記芯材4とを上記追加吊りワイヤー12を介して連結する。
【0039】
なお、上記継金具部材11は、上記電柱2内に挿入できる大きさに形成され、例えば、図7に示すように、上側吊下げ用開口部11a(上側吊下げ用係合部)と、止め棒用開口部11b(止め棒用係合部)と、下側吊下げ用開口部11c(下側吊下げ用係合部)とを有し、該上側吊下げ用開口部11aは、上記継金具部材11の上部に設けられ、シャックル金具や吊下げワイヤーの取付金具などが着脱自在に挿入(係合)されるように形成され、また、上記止め棒用開口部11bは、上記継金具部材11の中央部に設けられ、上記止め棒10が着脱自在に挿入(係合)されるように形成され、また、上記下側吊下げ用開口部11cは、上記継金具部材11の下部に設けられ、上記追加吊りワイヤー12の取付金具などが着脱自在に挿入(係合)されるように形成される。
【0040】
そして、図8に示すように、上記フック7cに帯ワイヤー19を介して設けたシャックル金具20が、上記継金具部材11の上側吊下げ用開口部11a内に挿入されて連結され、また、上記追加吊りワイヤー12の上端に設けられた取付金具12aが、上記下側吊下げ用開口部11cに挿入されて連結され、また、上記追加ワイヤー12の下端に設けられた取付金具12bが、上記吊り金具部9の吊下げ用開口部9aに挿入されて連結され、上記クレーン7と上記芯材4とが上記追加吊りワイヤー12を介して連結されるようになる。
【0041】
(第四工程)
【0042】
次に、図1(d)に示すように、上記クレーン7により、上記吊りワイヤー7bを縮小させて、上記追加吊りワイヤー12を介して、上記芯材4を吊下げて、上記吊り金具部9を若干上昇させ、これにより、上記止め棒10による上記芯材4と電柱2との固定が解除されるので、上記吊り金具9の止め棒用開口部9bから上記止め棒10を抜き取る。
【0043】
なお、上記追加吊りワイヤー12のみで、上記芯材4を電柱基礎部1まで下降させ、上記電柱2の底部1aに着地させることができるような場合には、上記継金具部材11を省略して、上記フック7cと上記追加吊りワイヤー12の上端とを連結するようにしてもよい。
【0044】
(第五工程)
【0045】
次に、上記クレーン7により、上記吊りワイヤー7bを伸長させて、上記芯材4を更に下降させて、上記継金具部材11の止め棒用開口部11bが、上記電柱2の上端面より若干上部に位置する所望の位置まで、下降させる。
【0046】
なお、上記追加吊りワイヤー12のみで、上記芯材4を電柱基礎部1まで下降させ、底部1aに着地させることができるような場合には、上記芯材4を底部1aまで下降し、第六工程に移行せずに、後工程に移行するようにする。
【0047】
(第六工程)
【0048】
次に、図9に示すように、上記継金具部材11の上記止め棒開口部11bに、上記止め棒10を挿入し、上記クレーン7により、上記吊りワイヤー7bを伸長させて、上記芯材4を下降させ、そして、図10に示すように、上記止め棒10が上記電柱2の上端面で支えらえて、上記止め棒10を介して、上記芯材4が上記電柱2に支持して固定されるようにする。
【0049】
(第七工程)
【0050】
次に、図1(e)に示すように、上記継金具部材11の上側吊下げ用開口部11aから、上記シャックル20を取り外すと共に、必要があれば、上記フック7cから帯ワイヤー19も取り外すことにより、上記継金具部材11から上記フック7cを取り外し、上記クレーン7と上記継金具部材11との連結を解除すると共に、図1(f)に示すように、上記フック7cと上記継金具部材11とを、他の追加吊りワイヤー13などの他の長尺部材により連結し、上記クレーン7と上記追加吊りワイヤー12とを上記他の追加吊りワイヤー13を介して連結する。
【0051】
具体的には、上記フック7cと、上記他の追加吊りワイヤー13の上端に設けられた取付金具(図示せず)とを連結し、また、下端に設けられた取付金具(図示せず)を上記継金具部材11の上側吊下げ用開口部11aに挿入して連結し、上記クレーン7と上記追加吊りワイヤー12とを他の追加吊下げワイヤー13を介して連結するようにする。
【0052】
なお、上記において、上記フック7cと上記他の追加吊りワイヤー13の上端とを連結したが、上記他の追加吊りワイヤー13のみでは、芯材4を底部1aに着地させることができない場合には、更に他の追加吊りワイヤーを追加するために、上記フック7cに、他の継金具部材11を連結すると共に、該他の継金具部材11と上記他の追加吊りワイヤー13の上端とを連結し、上記フック7cと上記他の吊下げワイヤー13とを他の継金具部材11を介して連結するようにする。
【0053】
(第八工程)
【0054】
そして、上記クレーン7により、上記吊りワイヤー7bを縮小させて、上記追加ワイヤー12及び他の追加ワイヤー13を介して、上記芯材4を吊下げて、上記継金具部材11を若干上昇させて、これにより、上記止め棒10による上記芯材4と電柱2との固定が解除されるので、上記継金具部材11の止め棒用開口部11bから上記止め棒10を抜き取る。
【0055】
(第九工程)
【0056】
次に、図1(g)に示すように、上記クレーン7により、上記吊りワイヤー7bを伸長して、上記芯材4を所望の位置まで下降させる。
【0057】
なお、上記所望の位置は、図1(h)に示すように、上記芯材4を、電柱基礎部1の底部1aまで着地させることができる場合には、該底部1aであり、着地させることができない場合には、上記他の継金具部材11の止め棒用開口部11bが、上記電柱2の上端面より若干上部に位置する位置となる。
【0058】
そして、かかる第九工程において、上記芯材4を底部1aに着地させることができる場合には、該芯材4を底部1aに着地させて、第十工程に移行せずに、後工程に移行するようにする。
【0059】
(第十工程)
【0060】
上記第九工程において、まだ、上記芯材4を底部1aに着地させることができない場合には、着地できるまで、上記第六工程から第九工程までを必要なだけ繰り返す。
【0061】
(後工程)
【0062】
上記芯材4を底部1aに着地させた後は、上記フック7aと上記他の追加吊りワイヤー13との連結を解除して、各長尺部材、継金具部材等をそのまま上記電柱2内に挿入し、図11に示すように、上記充填孔8を介して、電柱外から内に無収縮モルタルなどの硬化材5を挿入し、上記電柱2の基部と上記芯材4の基部との間に、該硬化材を充填させて、硬化させ、上記芯材4を上記電柱2内に固定するようにする。
【0063】
また、上記電柱2の上端に天端キャップ2aを設けて、上記電柱2の天端を閉鎖するようにする。そして、上記充填孔8は孔埋めされる。
【0064】
本発明の工法によれば、利用する軌陸型クレーン車の揚程の半分以上よりも高い電柱、例えば、15m電柱など、11m以上の電柱に芯材を挿入することができるようになる。
【0065】
また、軌陸型クレーン車のクレーン高さを低く抑えることができるので、安全性を高めることができる。
【0066】
また、電柱2の補強作業の迅速化を図ることができる。
【実施例2】
【0067】
上記底部1aに載置された芯材4は、上記電柱2内の中心位置に設置され、固定されることが望ましい。また、上記芯材4を上記電柱2内に挿入する際も、上記芯材4が上記電柱2内の中心位置となるように、下降することが、スムーズに入れ込むことができる。
【0068】
そこで、本発明の第2実施においては、上記芯材4を上記電柱2内に挿入する前に、上記芯材4に間隔保持部材14を設ける。
【0069】
上記間隔保持部材14は、例えば、図12に示すように、塩ビ管などの円筒状の管15と、該管15の外周面に固定した、弾性材よりなるクッション材16とよりなり、該クッション材16は、例えば、上記管15の外周面に巻き付けて固定したホース管などがある。そして、例えば、2つの上記間隔保持部材14を上記芯材4に挿入して、該芯材4の上部と下部にそれぞれ固定するようにする。
【0070】
なお、上記間隔保持部材14の管15の内径は、例えば、上記芯材4の外径より若干大きく形成され、また、上記間隔保持部材14の外径は、上記間隔保持部材14を固定した芯材4を上記電柱2内に挿入した時に、スムーズに挿入できるように、上記電柱の内面から10mm〜20mm程度離間できる程度の大きさに形成されることが望ましく、例えば、内径が260mmの電柱には、外径が220mm〜240mmとなる間隔保持部材14を用いるのが好ましい。
【0071】
なお、上記クッション材16として、図12に示すように、ホース管を巻き付けたもの他に、例えば、図13に示すように、例えば、スポンジからなる複数のクッション材片16aから構成するようにし、該複数のクッション材片16aを、上記管14aの外周面に、周方向に沿って所望の間隔離間して、固定したものであってもよく、例えば、周方向に3等分した位置に3つの上記クッション材片16aをそれぞれ固定したものであってもよい。
【0072】
また、上記クッション材16の形状は、上記間隔保持部材14を上記電柱2内に挿入した時に、上記芯材4が、上記電柱2内の中心に位置するような形状となる。
【0073】
本発明においては、上記間隔保持部材14を固定した芯材4を、上記電柱2内に挿入するようにしたので、上記芯材4をスムーズに挿入できると共に、上記芯材4を上記電柱2の底部1aの略中心位置に設置できるようになる。
【0074】
また、上記間隔保持部材14は、緩衝材としての効果もある。
【0075】
なお、図14に示すように、コンクリート製の筒状の中空電柱2の内周面の一側には、下端から上端に向かって軸方向に延びる、中心側に突出したレイタンス部17が形成されており、かかるレイタンス部17に、上記クッション材16が当接すると、芯材4を電柱内の中心に位置させることができない場合がある。
【0076】
そこで、上記クッション材16の外周部の一側に、上下方向に延びる空隙部18を設け、該空隙部18に、上記レイタンス部17が位置するようにして、上記間隔保持部材14を固定した芯材4を、電柱に挿入する時に、上記クッション材16が、上記レイタンス部17に接触しないようにして、上記芯材4を電柱2内の中心に位置させるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明は、電化柱、電力柱、電話柱や電信柱などの電柱以外に、中空柱にも適用できる。
【符号の説明】
【0078】
1 電柱基礎部
1a 底部
1b 基礎面
2 電柱
2a 天端キャップ
2b 上端開口部
3 空洞
4 芯材
4a 基部
5 硬化材
6 障害物
7 軌陸型クレーン車
7a ブーム
7b 吊りワイヤー
7c フック
8 充填孔
9 吊り金具部
9a 吊下げ用開口部
9b 止め棒用開口部
10 止め棒
11 継金具部材
11a 上側吊下げ用開口部
11b 止め棒用開口部
11c 下側吊下げ用開口部
12 追加吊りワイヤー
12a 取付金具
12b 取付金具
13 他の追加吊りワイヤー
14 間隔保持部材
15 管
16 クッション材
16a クッション材片
17 レイタンス部
18 空隙部
19 帯ワイヤー
20 シャックル
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