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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-90106(P2017-90106A)
(43)【公開日】2017年5月25日
(54)【発明の名称】構造物用点検具
(51)【国際特許分類】
   G01N 29/04 20060101AFI20170421BHJP
   E01D 19/00 20060101ALI20170421BHJP
   E01D 22/00 20060101ALI20170421BHJP
   G01N 29/12 20060101ALI20170421BHJP
【FI】
   G01N29/04
   E01D19/00
   E01D22/00 A
   G01N29/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-217306(P2015-217306)
(22)【出願日】2015年11月5日
(71)【出願人】
【識別番号】308015522
【氏名又は名称】ジビル調査設計株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】501468828
【氏名又は名称】有限会社インテス
(74)【代理人】
【識別番号】100111855
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 好昭
(72)【発明者】
【氏名】毛利 茂則
(72)【発明者】
【氏名】南出 重克
(72)【発明者】
【氏名】神出 明
【テーマコード(参考)】
2D059
2G047
【Fターム(参考)】
2D059AA14
2D059EE07
2D059GG39
2G047AA10
2G047AD12
2G047BA04
2G047BC07
2G047BC11
2G047CA03
2G047GJ02
2G047GJ14
(57)【要約】
【課題】本発明は、構造物のクラック等の点検対象を点検する点検具を点検個所に正確に位置決めして精度よく効率的に点検することができる構造物用点検具を提供することを目的とするものである。
【解決手段】構造物用点検具1は、棒状の支持部2と、支持部2の先端に取り付けられた支点部3と、支持部2に長手方向に沿って揺動可能に取り付けられるとともに先端部に転動ヘッド10が設けられた打撃点検部4と、転動ヘッド10を支持部2の先端側に移動させるように打撃点検部4を付勢する押圧部5とを備え、構造物表面の点検個所近傍に支点部3を当接させて転動ヘッド10を点検個所に押し当てた状態に設定して支点部3を中心に転動ヘッド10が転動するように支持部2を回動させて打撃点検を行う。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
棒状の支持部と、前記支持部の先端に取り付けられた支点部と、前記支持部に長手方向に沿って揺動可能に取り付けられるとともに先端部に転動ヘッドが設けられた打撃点検部と、前記転動ヘッドを前記支持部の先端側に移動させるように前記打撃点検部を付勢する押圧部とを備え、構造物表面の点検個所近傍に前記支点部を当接させて前記転動ヘッドを点検個所に押し当てた状態に設定して前記支点部を中心に前記転動ヘッドが転動するように前記支持部を回動させて打撃点検を行う構造物用点検具。
【請求項2】
前記打撃点検部は、先端に前記転動ヘッドを回動可能に取り付けられた支持バーを備えており、前記押圧部は、前記支持バーの後端側と前記支持部との間に張架されたバネ部材を備えている請求項1に記載の構造物用点検具。
【請求項3】
前記打撃点検部には、前記転動ヘッドの点検個所における転動動作に対応して点検個所近傍にマークを表示するマーク表示部が取り付けられている請求項1又は2に記載の構造物用点検具。
【請求項4】
前記支持部は、長手方向に伸縮可能に構成されている請求項1から3のいずれかに記載の構造物用点検具。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の構造物用点検具の前記支持部を取り付ける挿着体と、前記挿着体を回動させて前記支持部を回動させる回動駆動部と、前記支持部の水平方向及び上下方向の回動角度を調整する角度調整部とを備えている構造物用点検動作装置。
【請求項6】
請求項1から4のいずれかに記載の構造物用点検具を用いた打撃点検方法であって、構造物表面の点検個所近傍に前記支点部を当接させて前記転動ヘッドを点検個所に押し当てた状態に設定し、前記支点部を中心に前記転動ヘッドが転動するように前記支持部を回動させて打撃点検を行う打撃点検方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、橋梁等の下面又は建造物等の壁面などのクラック等の点検作業を行う際に用いる構造物用点検具に関する。
【背景技術】
【0002】
橋梁や建造物の老朽化に伴い強度の劣化が近年問題となっており、例えば、道路の橋梁については、既存の橋梁のうち1950年代から1973年代までの高度成長期に築造されたものが多く、これらの橋梁の架け替えや補強が必要となってきている。
【0003】
こうした橋梁や建造物の劣化を示す点検対象の1つとして、表面に生じるクラックが挙げられており、クラックの長さや溝幅を測定することが行われている。本発明者らは、特許文献1に示すように、クラックゲージ板を取り付けた棒状体を回動させてクラックゲージ板を点検個所近傍に設定する点検作業機構を用い、点検個所近傍に設定したクラックゲージ板を撮影してクラックを測定する点検装置を提案している。また、この点検装置では、打撃点検具を搭載して点検個所において所定の打撃力を加えて打音で点検する点検作業機構を備えることで、様々な点検作業を効率よく安全に行うようしている。
【0004】
一方、構造体の点検具としては、特許文献2に示すように、横断面外形が5角形から8角形で縦断面外形が円弧又は楕円弧状の対向辺となるように形成された転打子を構造体表面に転動させて打撃音を測定することで、構造体表面において剥離劣化等が生じている箇所を判別する点検具が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第5531148号公報
【特許文献2】特開2004−28581号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献2に示す点検具は、転打子を転動させて打撃音を測定するようになっているため、従来のハンマータイプの打撃点検具に比べて点検作業を効率よく行うことができるが、転打子を構造体表面に正確に押し当てて転動させる必要がある。しかしながら、肉眼では確認しにくい高所や橋梁内部の入り組んだ部位のように、転打子を正確に転動させることが困難となる場所では、点検作業を効率よく行うことが難しいといった課題がある。
【0007】
そこで、本発明は、構造物のクラック等の点検対象を点検する点検具を点検個所に正確に位置決めして精度よく効率的に点検することができる構造物用点検具を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る構造物用点検具は、棒状の支持部と、前記支持部の先端に取り付けられた支点部と、前記支持部に長手方向に沿って揺動可能に取り付けられるとともに先端部に転動ヘッドが設けられた打撃点検部と、前記転動ヘッドを前記支持部の先端側に移動させるように前記打撃点検部を付勢する押圧部とを備え、構造物表面の点検個所近傍に前記支点部を当接させて前記転動ヘッドを点検個所に押し当てた状態に設定して前記支点部を中心に前記転動ヘッドが転動するように前記支持部を回動させて打撃点検を行う。さらに、前記打撃点検部は、先端に前記転動ヘッドを回動可能に取り付けられた支持バーを備えており、前記押圧部は、前記支持バーの後端側と前記支持部との間に張架されたバネ部材を備えている。さらに、前記打撃点検部には、前記転動ヘッドの点検個所における転動動作に対応して点検個所近傍にマークを表示するマーク表示部が取り付けられている。さらに、前記支持部は、長手方向に伸縮可能に構成されている。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、上記のような構成を有することで、橋梁等の構造物の様々な点検個所に対して正確に位置決めすることができ、点検作業を精度よく効率的に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明に係る実施形態に関する正面図である。
図2】本発明に係る実施形態に関する平面図である。
図3】壁面の点検個所に構造物用点検具を配置した状態を示す説明図である。
図4】構造物用点検具を操作する様子を示す説明図である。
図5】転動ヘッドの打撃点検の際にマーキングを行うマーク表示部を取り付けた場合に関する説明図である。
図6】支持シャフトを回動させる様子を示す説明図である。
図7】構造物用点検具を取り付けた構造物用点検動作装置に関する正面図である。
図8】構造物用点検具を取り付けた構造物用点検動作装置に関する平面図である。
図9図8のA−A断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を図面を用いて説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明を実施するにあたって好ましい具体例であるから、技術的に種々の限定がなされているが、本発明は、以下の説明において特に本発明を限定する旨明記されていない限り、これらの形態に限定されるものではない。
【0012】
図1は、本発明に係る実施形態の構造物用点検具に関する正面図であり、図2は、その平面図である。構造物用点検具1は、棒状の支持部2と、支持部2の先端に取り付けられた支点部3と、支持部2の先端部において支持部2の長手方向に沿って揺動可能に取り付けられるとともに先端部に転動ヘッド10が設けられた打撃点検部4と、転動ヘッド10を支持部2の先端側に移動させるように打撃点検部4を付勢する押圧部5とを備え、構造物表面の点検個所近傍に支点部3を当接させて転動ヘッド10を点検個所に押し当てた状態に設定して支点部3を中心に転動ヘッド10が転動するように支持部2を回動させて打撃点検を行う。また、構造物用点検具1は、円錐状のクラックゲージ体6を取り付けた支持シャフト7と、支持シャフト7を支持部2の長手方向に沿って回動させる回動部8とを備えている。
【0013】
支持部2は、断面矩形状の外筒部材20及び外筒部材20内に挿入された断面矩形状の内筒部材21を備えており、内筒部材21の先端部に支点部3、打撃点検部4及び押圧部5が取り付けられている。内筒部材21を外筒部材20に対して長手方向に出し入れすることで支持部2を長手方向に伸縮可能に構成することができ、点検個所に応じて支持部2を伸縮させて点検動作に最適な長さに調整することが可能となる。
【0014】
外筒部材20の先端側には、ストッパピン(図示せず)を保持するリング状の保持部材20aが固定されており、内筒部材21には、長手方向に沿って所定間隔を空けて複数の係合穴(図示せず)が穿設されている。そして、調整した長さに対応した係合穴にストッパピンを嵌め込むことで支持部2の長さを維持することができる。
【0015】
支点部3は、点検個所近傍に押し当てられて支持部2が回転動作を行う際の支点として機能するようになっており、例えば、転動可能に取り付けられたボールキャスタ、テーパ状に形成されたピン部材といった、支持部2が支点部3を中心に容易に回転できるような部材が先端に取り付けられている。
【0016】
打撃点検部4は、転動ヘッド10を先端部に回動可能に取り付けた支持バー11と、支持バー11を把持する把持体12とを備えており、把持体12は、支持部2の先端部に形成された枠体内に軸ピン13により揺動可能に軸支されている。把持体12は、支持バー11の中央部分を把持するように設定されており、支持バー11は、中央付近を中心に回動可能に取り付けられて支持部2の枠体内で揺動可能となっている。
【0017】
転動ヘッド10は、支持バー11の軸方向を中心に回動可能となるように取り付けられており、外周面には、軸方向に沿って外方に向かって突出するように等間隔で角部が形成されている。そして、転動ヘッド10の外周面を点検個所の表面に当接させながら移動させることで、転動ヘッド10が表面を転がるように移動していき、その際に外周面に形成された角部を中心に持ち上がるように上下動して表面に衝突することで打撃動作が行われるようになる。こうした転動しながら打撃動作が生じるような外周面の形状であればよく、例えば、断面形状が5角形から8角形の公知の形状以外に、歯車形状やスプロケット状に角部を形成するようにすることもできる。
【0018】
転動ヘッド10の外周面に等間隔で角部が形成されていることから、転動ヘッド10が転動する軌跡上に等間隔の打撃位置で打撃音が生じるようになり、所定の間隔で生じる打撃音に基づいて公知の方法で点検することで、点検個所において問題となる部分の有無を点検することができる。転動ヘッド10の転動動作により生じる打撃音は、マイク等の音響装置(図示せず)により操作者が聞き取ることで、点検作業を効率よく行うことが可能となる。なお、打撃音以外でも点検を行うことが可能で、例えば、転動ヘッド10が転動する際に受ける衝撃力を圧力センサ等で測定することで、点検個所の剥離劣化等の状態を点検することもできる。
【0019】
押圧部5は、コイルバネ等のバネ部材を打撃点検部4の支持バー11の後端側と支持部2との間に張架して構成されており、支持バー11の後端側を支持部2の方に引き寄せるように付勢することで、図1に示すように、打撃点検部4の転動ヘッド10を支持部2の先端側に移動させた状態に設定している。なお、バネ部材の取付位置は、支持バー11の後端側以外に取り付けるようにしてもよく、例えば、把持体12よりも先端側において支持部2との間にバネ部材を取り付けたり、把持体12を所定の方向に回動するように付勢するバネ部材を支持部2の枠体内に取り付けるようにすることもできる。
【0020】
図3は、壁面Wの点検個所に構造物用点検具1を配置した状態を示す説明図である。支持部2の長手方向に対して傾斜した壁面Wの点検個所近傍に支点部3を当接した場合に、打撃点検部4は、押圧部5により転動ヘッド10を支持部2の先端側に移動させるように付勢されているため、点検個所に転動ヘッド10が押し当てられるようになる。この場合、転動ヘッド10に加えられる押圧力は、転動ヘッド10が角部で持ち上げられて上下動することが可能となるように設定する。押圧力が強すぎると、転動ヘッド10が転動せずに壁面に密着したまま摺動するようになり、押圧力が弱すぎると、打撃音が不安定となって正確な点検を行うことが難しくなる。
【0021】
壁面に対して支持部2の長手方向の角度が変化した場合でも、押圧部5により打撃点検部4が常時付勢されているため、転動ヘッド10を常時点検個所に押し当てた状態に設定することができる。図3では、壁面W’に対してほぼ直交する方向に設定しており、この場合でも転動ヘッド10は壁面W’に対して押し当てられて打撃点検を行うことができる。また、壁面W”に対して支持部2の長手方向を傾斜する方向に設定した場合にも転動ヘッド10を壁面W”に押し当てることができる。このように、構造物の様々な形状の壁面に対して転動ヘッド10を押し当てた状態に設定することができ、広範囲の構造物に対して正確な点検作業を効率よく行うことが可能となる。
【0022】
押圧部5は、上述したバネ部材以外の機構を用いて転動ヘッド10を壁面に押し当てることもできる。例えば、支持バー11を把持する把持体12を駆動モータ等により回転駆動して転動ヘッド10を壁面に押し当てる押圧力を加えるようにしてもよい。
【0023】
図4は、構造物用点検具1を操作する様子を示す説明図である。この例では、操作者が支持部2を両手で把持して支点部3を壁面の点検個所近傍に押し当てる。その際に、打撃点検部4の転動ヘッド10が壁面の点検個所に押し当てられた状態となる。そして、転動ヘッド10を壁面に押し当てた状態で支点部3を中心に転動ヘッド10が円運動するように支持部2を回動させることで、転動ヘッド10は支点部3の周囲を移動しながら転動するようになる。このように、操作者は、支点部3を壁面に押し当てた状態で支持部2を回転するように操作すればよく、簡単な操作により打撃点検を効率よく正確に行うことができる。また、支持部2を断面矩形状の外筒部材20を用いているので、両手で把持しながら回転操作を容易に行うことが可能となる。
【0024】
図5は、転動ヘッド10の打撃点検の際にマーキングを行うマーク表示部9を取り付けた場合に関する説明図である。この例では、支持バー11の転動ヘッド10の近傍に着脱可能にマーク表示部9を取り付けている。マーク表示部9は、先端部にチョーク等のマーキング部材9bを取り付けた駆動ユニット9aを備えており、駆動ユニット9aには、支持バー11に係合して取り付ける取付部材(図示せず)が設けられている。駆動ユニット9aは、シリンダ等の駆動装置からなり、点検個所に向かってマーキング部材9bを進退動作させるようになっている。
【0025】
そして、図5に示すように、支点部3を壁面Wに押し当てて転動ヘッド10を壁面Wの表面に押し当てられた状態に設定した場合に、駆動装置9aを駆動してマーキング部材9bを壁面Wに向かって前進させてマーキング部材9bの先端部を壁面Wに当接させた状態に設定する。この場合、支点部3が壁面Wに押し当てられたことを検知する検知スイッチを設けて、検知スイッチの検知信号により駆動装置9bを駆動するようにしてもよい。
【0026】
支持部2の回転操作により転動ヘッド10とともにマーキング部材9bが連動して打撃位置に追従してラインがマーキングされるようになる。そのため、点検作業が行われた箇所が表示されるようになるとともに問題となる箇所を容易に特定することができるようになる。
【0027】
マーク表示部9は、転動ヘッド10が点検個所に押し当てられた場合にマーキング部材が点検個所近傍に当接した状態に設定されていればよく、上述した進退動作に代えてマーキング部材を回動動作させて点検個所近傍に当接させることもできる。
【0028】
クラックゲージ体6は、透明な樹脂製の薄板を円錐台状に形成した押え体の周縁開口に平面状のゲージ板を固定して構成されている。そして、点検個所に生じているクラックの表面にクラックゲージ体6を押し当ててゲージ板を密着させることでクラックの幅及び長さを正確に測定することができる。クラックゲージ体6は、頂点部分が支持シャフト7の先端部に固定されており、支持シャフト7は、支持部2の長手方向に沿って配置されている。回動部8は、支持部2の先端部に取付固定された駆動モータ80を備えており、駆動モータ80の駆動軸は、支持部2の長手方向と直交する方向に設定されている。そして、支持シャフト7の後端部は、回動軸81に取り付けられており、回動軸81は図示せぬ歯車機構を介して駆動モータ80の駆動軸と連動して回動するようになっている。そして、駆動モータ80が回転駆動することで、回動軸81が回動して支持シャフト7が駆動軸を中心に支持部2の先端側から後端側に向かって支持部2の長手方向に沿って回動するようになる。
【0029】
図6は、支持シャフト7を回動させる様子を示す説明図である。クラックゲージ体6を使用しない場合には、駆動モータ80を駆動して支持シャフト7を支持部2の後端側に移動させて、転動ヘッド10による打撃点検作業の邪魔にならない収納位置に設定する。クラックゲージ体6を用いてクラックの測定を行う場合には、駆動モータ80を駆動して支持シャフト7を支持部2の先端側に移動させて、支持シャフト7を支持部2の長手方向に沿うように設定し、支持部2の先端側の測定位置にクラックゲージ体6を配置する。支持シャフト7が支持部2の先端部とほぼ直線状に配列するように設定されているので、支持部2を把持して長手方向に向かって押圧力を加える場合に、支持シャフト7が支持部2とともに長手方向に移動してクラックゲージ体6を点検個所のクラックに対して確実に押し当てることができる。そして、クラックゲージ体6は円錐大状に末広がりに形成されており、支持シャフト7を介して頂点部分に押圧力が加わるので、点検個所にずれることなくしっかりと周縁開口が押し当てられるようになる。そのため、ゲージ板が点検個所のクラックに密着した状態となり、ゲージ板に表示された目盛によりクラックを正確に測定することができる。
【0030】
以上説明した例では、操作者が直接構造物用点検具1を把持して点検作業を行っているが、遠隔操作により点検作業を行うこともできる。図7は、構造物用点検具を取り付けた構造物用点検動作装置に関する正面図であり、図8は、その平面図である。また、図9は、図8のA−A断面図である。
【0031】
構造物用点検動作装置100は、構造物用点検具1の支持部2の後端側を支持して、支持部2の長手方向の伸縮動作及び支持部2の水平方向の回動角度及び上下方向の回動角度を調整する角度調整動作を行って点検個所に打撃点検部4を位置決めし、支持部2の回転動作を行って位置決めした打撃点検部4を回動させて点検作業を行う。以下の説明では、支持部2の長手方向を「軸方向」、支持部2の回動動作の中心軸を「中心軸」、中心軸を中心とする円周の周方向を「周方向」として説明する。
【0032】
構造物用点検動作装置100は、支持部2を着脱可能に取り付ける筒状の挿着体101を備えており、挿着体101の内部に支持部2の後端側の外筒部材20を挿入して固定することで支持部2を取り付けるようになっている。挿着体101の両端部には、リング状の一対の連結部材102がベアリング等の軸受を介して取り付けられている。挿着体101は、連結部材102に対して周方向に回動可能になっており、軸方向には移動しないように規制されている。一対の連結部材102の間には、外周に歯列が形成された略円形状の回動板103が軸方向に沿って取付固定されている。
【0033】
挿着体101には、先端側の連結部材102の外側に回転駆動部104が設けられており、回動駆動部104は、歯車部材104bを回動させる回動モータ104aを備えており、回動モータ104aは、連結部材102に取り付けられている。歯車部材104bは、挿着体101の周囲にリング状に取付固定されており、先端側の連結部材102の外側に配置されてカバー体101a内に収容されている。また、回動モータ104aを回転駆動することで、歯車部材104bが周方向に回動するようになり、挿着体101は、歯車部材104bの回動により連結部材102に対して周方向に回動するようになる。
【0034】
挿着体101の後端側の連結部材102の外側に伸縮駆動部105が設けられており、伸縮駆動部105は、挿着体101の後端部に取付固定された支持枠体101bに外付けされた駆動モータ105aを備えている。駆動モータ105aは、その駆動軸105bが中心軸に一致するように取り付けられており、駆動軸105bの先端部には、中心軸と一致する方向に棒状のネジ部材105cが取付固定されている。ネジ部材105cは、支持部2の内筒部材21内に挿入されており、内筒部材21の後端側の内部に固定されたナット部材105dに螺着している。ネジ部材105cの先端部には、内筒部材21の内周面に摺動可能に当接するガイド部材105eが取り付けられている。駆動モータ105aを回転駆動することで、ネジ部材105cが中心軸を中心に回転して、ナット部材105dがネジ部材105c上を軸方向に移動するようになる。そのため、ナット部材105dの軸方向の移動に伴い内筒部材21が軸方向に移動するようになり、外筒部材20に対して内筒部材21が軸方向に移動して支持部2が全体として軸方向に伸縮するようになる。
【0035】
角度調整部106は、回動板103を回動可能に軸支する軸支部材106aを備えており、軸支部材106aには、回動モータ106bが取付固定されている。回動モータ106bの駆動軸には、回動板103と噛合する駆動歯車106cが取り付けられている。そのため、回動モータ106bを回転駆動することで、回動板103が回動するようになり、回動板103とともに連結部材102が回動して挿着体101の上下方向の回動角度を調整することができる。
【0036】
軸支部材106aは、支柱部材106dの上端部に固定されており、支柱部材106dは、走行台車107の基台107aに設置された支持台106eに回動可能に支持されて立設されている。走行台車107内に挿入された支柱部材106dの下端部分の周囲には、歯車部材106fが取り付けられており、歯車部材106fは、走行台車107内に取付固定された回動モータ106gの駆動軸に固定された駆動歯車と噛合している。そのため、回動モータ106gを回転駆動することで、歯車部材106fが回動して支柱部材106dが上下方向の回動中心軸を中心に回動するようになる。支柱部材106dが回動することで、軸支部材106aを介して回動板103に支持された挿着体101の水平方向の回動角度を調整することができる。
【0037】
こうして、回動モータ106b及び106gの駆動制御を行うことで、挿着体101に取り付けられた支持部2を点検個所に向かう方向に正確に角度調整することができる。
【0038】
走行台車107には、レールL上を走行する車輪109を回動させる走行駆動部108が設けられている。走行駆動部108は、車輪109の車軸に固定されている駆動プーリ108b及び108cに伝動ベルトを介して駆動力を伝達する走行モータ108aを備えており、走行モータ108aを回転駆動することで、車輪109を回動させて走行台車107をレールL上に沿って走行制御することができる。
【0039】
したがって、特許文献1に記載されているように、橋梁等の構造物の下方にアーム部材を設置して、アーム部材に設けられたレール上に構造物用点検動作装置100を設置して走行台車107を遠隔操作により走行させることで、構造物の下側に構造物用点検具1を配置することができる。そして、撮影機構を搭載した別の走行台車をアーム部材上を走行させて構造物用点検動作装置100及び構造物の点検部位を撮影して点検動作を確認しながら遠隔操作により点検作業を行う。まず、角度調整部106を遠隔操作により制御して支持部2を点検個所に向かうように水平方向及び上下方向の回動角度を調整する。次に、伸縮駆動部105を遠隔操作により制御して支持部2を伸縮させて支点部3を点検個所近傍の表面に当接させて転動ヘッド10を点検個所にセットする。次に、回動駆動部104を遠隔操作により制御して支持部2を中心軸を中心に回動させて転動ヘッド10を点検個所において表面に接触させながら移動させて打撃点検を行う。打撃点検により生じる打撃音は、構造物用点検具1に取り付けたマイク等の音響装置により測定して点検個所における構造物の剥離劣化等の状態を点検することができる。
【符号の説明】
【0040】
1・・・構造物用点検具、2・・・支持部、3・・・支点部、4・・・打撃点検部、5・・・押圧部、6・・・クラックゲージ体、7・・・支持シャフト、8・・・回動部、9・・・マーク表示部、10・・・転動ヘッド、11・・・支持バー、12・・・把持体、13・・・軸ピン、20・・・外筒部材、21・・・内筒部材、80・・・駆動モータ、100・・・構造物用点検動作装置、101・・・挿着体、102・・・連結部材、103・・・回動板、104・・・回動駆動部、105・・・伸縮駆動部、106・・・角度調整部、107・・・走行台車、108・・・走行駆動部、109・・・車輪
図1
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