【解決手段】地中に埋設された配管Pを挟んで装着される線源部11及び放射線検出部12を備えて配管選別装置10が構成されている。放射線検出部は、線源部から放射されて配管を透過した放射線の計数値を検出する。配管選別装置は、配管についての配管情報を入力するためのタッチパネル24c等により構成される入力部を備えている。配管選別装置は、入力部で入力された配管情報に基づいて計数値の予測値等を演算する比較情報作成部と、その予測値と放射線検出部の検出結果との比較等に基づき、配管の用途を選別する判定部とを更に備えている。
地中に埋設された配管を挟んで装着される線源部及び放射線検出部を備え、前記線源部から放射されて前記配管を透過した放射線の計数値を前記放射線検出部で検出する配管選別装置であって、
前記配管についての配管情報を直接的または間接的に入力するための入力部と、
前記配管情報に基づいて前記計数値の予測値を演算する、または前記放射線検出部の検出結果に基づいて前記配管情報のいずれかのパラメータの予測値を演算する比較情報作成部と、
前記計数値の予測値と前記放射線検出部の検出結果との比較、または前記パラメータの予測値と前記入力部を通じて直接的または間接的に入力された当該パラメータの入力値との比較に基づき、前記配管の用途を選別する判定部とを更に備え、
前記配管情報として、少なくとも前記配管の厚みと前記線源部における前記配管の吸収係数とが前記入力部を通じて直接的または間接的に入力されることを特徴とする配管選別装置。
前記配管情報として、前記配管の内側を流れ得る水の厚みと前記線源部における水の吸収係数とが前記入力部を通じて直接的または間接的に入力されることを特徴とする請求項2に記載の配管選別装置。
前記配管に対して前記線源部及び前記放射線検出部を位置決めする位置決め機構を備え、該位置決め機構は、前記線源保持体及び前記検出部保持体の一端側で配管を挟み込む力を発揮する弾性体を有していることを特徴とする請求項6または請求項7に記載の配管選別装置。
前記線源保持体及び前記検出部保持体の相対回転において、前記線源部から放射される放射線の前記放射線検出部への入射を維持するよう前記線源部及び前記放射線検出部の角度を補正する角度補正部を備えていることを特徴とする請求項6ないし請求項9の何れかに記載の配管選別装置。
前記配管に対して前記線源部及び前記放射線検出部を位置決めする位置決め機構を備え、該位置決め機構は前記配管に磁着する磁石を備えていることを特徴とする請求項1ないし請求項10の何れかに記載の配管選別装置。
GPS信号を受信して前記配管選別装置の位置情報を取得するGPS受信部を更に備えていることを特徴とする請求項1ないし請求項11の何れかに記載の配管選別装置。
地中に埋設された配管を挟んで装着される線源部及び放射線検出部を備え、前記線源部から放射されて前記配管を透過した放射線の計数値を前記放射線検出部で検出する配管選別装置と、該配管選別装置からの情報を取得するセンタとを含んだ配管測位システムであって、
前記配管選別装置は、
前記配管選別装置の位置情報を取得するGPS受信部と、
前記配管についての配管情報を直接的または間接的に入力するための入力部と、
前記配管情報に基づいて前記計数値の予測値を演算する、または前記放射線検出部の検出結果に基づいて前記配管情報のいずれかのパラメータの予測値を演算する比較情報作成部と、
前記計数値の予測値と前記放射線検出部の検出結果との比較、または前記パラメータの予測値と前記入力部を通じて直接的または間接的に入力された当該パラメータの入力値との比較に基づき、前記配管の用途を選別する判定部と、
前記判定部の選別結果及び前記GPSの前記位置情報を無線送信する無線送信部と、
を更に備え、
前記センタは、
前記配管選別装置の前記無線送信部から無線送信された前記選別結果及び前記位置情報を無線受信する無線受信部と、
前記無線受信部が無線受信した前記選別結果及び前記位置情報を関連付け、所定の地図上にマッピングした地図情報を作成する地図作成部と、
を備えていることを特徴とする配管測位システム。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明において、特に明示しない限り、「上」、「下」、「左」、「右」、「前」、「後」は、
図1の矢印A方向から見た場合を基準として用いる。
【0014】
[第1の実施の形態]
図1は、第1の実施の形態に係る配管選別装置の外観斜視図である。
図2は、上記配管選別装置の正面図である。
図1及び
図2に示すように、配管選別装置10は、地中に埋設された配管Pに装着して配管Pの用途を選別する装置である。本実施の形態では、選別可能な配管Pの用途をガス管、水道管及び雑配管(通信・電力供給用配管)とするが、他の用途を選別するようにしたり、その他の用途を更に選別できるようにしたりしてもよい。
【0015】
配管選別装置10は、配管Pを挟んで装着される線源部11及び放射線検出部12を備えている。線源部11はγ線源を備え、当該配管選別装置10においては設計認証付の線源を用いることが好ましい。γ線源としては、10MBq以下の
137Csや
60Co等が例示される。線源部11は、線源を収容する線源用容器11aを備え、線源用容器11aは、放射線を透過させない材料、例えば鉛で形成されており、線源から放射される放射線が放射部11b以外から放射されないようにしている。線源部11では、放射部11bによって線源からの放射線が指向性をもって放射されるようになる。
【0016】
放射線検出部12は、線源部11から放射されるγ線等の放射線を検出する検出器によって構成される。検出器としては、CsI検出器やNaI検出器等が例示される。放射線検出部12は、箱状となる容器12aを備え、この容器12aの側面には放射線が入射される入射部が設けられる。
【0017】
配管選別装置10は、線源部11を保持する線源保持体(保持体)14と、放射線検出部12を保持する検出部保持体(保持体)15と、これら保持体14、15を上方から保持する装置本体16とを更に備えている。なお、装置本体16も、線源保持体14及び検出部保持体15介して線源部11及び放射線検出部12を保持する保持体となる。
【0018】
線源部11及び放射線検出部12は、線源保持体14及び検出部保持体15に保持されることで対向配置される。このとき、線源部11から放射される放射線が放射線検出部12の入射部に対して垂直に入射されるように配置されている。
【0019】
線源保持体14及び検出部保持体15の内側には、配管Pに接触する接触部14a、15aが形成されている。接触部14a、15aは、配管P側に向かって次第に拡がる一対の傾斜縁によってそれぞれ形成されている。これら傾斜縁は、配管選別装置10を配管Pに装着したときに略点接触するようになる。かかる点接触によって、線源部11からの放射線の放射方向が配管Pの延出方向に直交し且つ配管Pの中心を通る線上にあり、放射線検出部12の入射部も同じ線上にあるよう位置決めされる。これにより、配管Pの径寸法が変わっても、線源部11からの放射線が配管Pの直径となる部分で透過して放射線検出部12に入射されるようになる。
【0020】
線源保持体14及び検出部保持体15の上端側は、装置本体16の下面側に対して調整機構18(
図1では不図示)を介して連結されている。調整機構18は、配管Pの径寸法に応じて線源部11及び放射線検出部12の離間距離を調整する。調整機構18は、装置本体16内において左右方向に延在する左右一対のレール部材18aと、これらレール部材18aにそれぞれ設けられたスライダ部材18bとを備えている。スライダ部材18bは、レール部材18aに案内されて左右方向に移動可能に設けられる。また、スライダ部材18bは、線源保持体14及び検出部保持体15に連結され、それらの左右方向の移動が調整機構18によって案内される。これにより、調整機構18を介して配管Pの径寸法に応じて線源部11及び放射線検出部12の離間距離が調整され、種々の径寸法(例えば呼び径:80A〜300A)の配管Pに配管選別装置10を装着可能となる。
【0021】
なお、スライダ部材18bは、モータ等の駆動源を含む駆動機構によって左右方向に移動可能としてもよい。このとき、配管Pの径寸法を測定するセンサを設け、このセンサの出力結果に応じてスライダ部材18bの移動量を決定し、線源部11及び放射線検出部12の離間距離を調整するようにしてもよい。
【0022】
線源保持体14及び検出部保持体15の大きさは、選別する配管Pの種々の径寸法に応じた上下幅に形成される。言い換えると、選別する配管Pのうち、最大径となる配管Pに接触部14a、15aを接触させたときに、装置本体16が配管Pに干渉しないようになっている。
【0023】
装置本体16は、上面視でT字に沿う形状であって上下方向に厚みを有する扁平な形状に形成されている。装置本体16は、左右方向に延出する前方形成体20と、前方形成体20の後部に連なって前後方向に延びる後方形成体21とを備えている。前方形成体20の下面に調整機構18が設けられる。後方形成体21の上面には把持部22が取り付けられている。把持部22は、作業者が手で握った際に適した形状、大きさに設けられ、配管選別装置10の持ち運びや取扱いを楽に行えるようになる。
【0024】
装置本体16の内部には、電池が内蔵可能に設けられ、後方形成体21の後端側には電力供給ケーブルCを接続するための接続口(不図示)が設けられている。従って、電源として二次電池を使用する場合には、接続口に接続された電力供給ケーブルCを介して充電を行えるようになる。なお、電池を使用せずに、電力供給ケーブルCからの供給される電力によって配管選別装置10の各部を作動させるようにしてもよい。
【0025】
前方形成体20の上面には、上面視概略方形状の隆起部20aが形成されている。この隆起部20aには、2つの点灯部24a、24bとタッチパネル24cとが設けられている。2つの点灯部24a、24bは、隆起部20aの前端において左右に並んで設けられている。2つの点灯部24a、24bは、相互に異なる色を発光するLED等からなり、例えば、一方の点灯部24aを赤色、他方の点灯部24bを緑色に発光するようにする。これにより、配管Pの選別結果に応じて発光する点灯部24a、24bを変えることで選別結果を表示することができる。
【0026】
また、隆起部20aの上面には、タッチパネル24cが設けられている。タッチパネル24cには、配管Pの選別結果が表示され、これに加え、選別結果以外の放射線検出に基づく演算結果等が表示されるようにしてもよい。また、タッチパネル24cは、作業者による操作によって、配管Pについての配管情報を入力するための後述する入力部としても機能する。
【0027】
図3は、配管選別装置の構成を示すブロック図である。
図3に示すように、配管選別装置10は、制御部101、測定部102、無線通信部103、入力部104、表示部105、記憶部106、GPS(Global Positioning System:全地球測位システム)受信部107及び、電源部108を備えている。
【0028】
制御部101は、中央処理装置(CPU)等からなり、配管選別装置10全体を制御する。制御部101は、記憶部106に記憶されているプログラムに従い、測定部102や無線通信部103等から入力される情報に対する各種の演算処理や、各種の制御処理(表示部105の表示制御等)を行う。
【0029】
測定部102は、線源部11及び放射線検出部12(
図1参照)を含んで構成される。測定部102は、線源部11から放射されて放射線検出部12に入射した放射線を計数し、その計数値を測定して制御部101に出力する。なお、測定部102において、計数値を線量に変換した線量値を出力するようにしてもよい。
【0030】
無線通信部103は、通信インターフェースであり、後述するセンタ4に対して基地局3(
図5参照)を通じ、無線通信により各種情報、データ、指令の送受信を行う。従って、無線通信部103は、無線送信部及び無線受信部としての機能を有している。無線通信部103は、例えば、制御部101に出力された測定部102の測定結果情報をセンタ4に送信し、この情報に基づきセンタ4にて処理された各種の情報を受信する。
【0031】
入力部104は、タッチパネル24c(
図1参照)を含み、作業者等からの操作によるデータ(例えば後述する配管情報等)を取得して制御部101に出力する。なお、入力部104としては、タッチパネル24cに加えて或いはタッチパネル24cに代えて作業者によって操作されるキーや操作ボタン等を利用してもよい。また、入力部104は、通信インターフェースとしてパソコン等の外部装置から有線又は無線通信によってデータを取得するようにしたり、データを内蔵するメモリーカード等の記憶媒体を接続可能なスロット等のインターフェースとしたりしてもよい。
【0032】
表示部105は、2つの点灯部24a、24b(
図1参照)及びタッチパネル24cを含み、更にそれらを制御するコントローラを備えて構成されている。表示部105は、制御部101の演算結果について、点灯部24a、24bの点灯及び消灯を切り替えて表示したり、タッチパネル24cの表示領域に表示画面として文字や画像、グラフ、その他のアイコン等として表示したりする。
【0033】
記憶部106は、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)、不揮発性メモリ等を備えている。ROMでは、制御部101が各種の演算、制御を行うためのプログラムや、アプリケーションとして機能するためのプログラム、データ等が記憶される。RAMは、制御部101の作業領域として用いられたり、測定部102の測定結果情報や、無線通信部103により受信された情報等が制御部101を介して記憶される。RAMでは、ROMから読み出されたプログラムやデータ、入力部104から入力されたデータ、制御部101が各種プログラムに従って実行した演算結果等が一時的に記憶される。不揮発性メモリでは、制御部101の演算によって生成されたデータのうち、長期的な保存が必要なデータが記憶される。
【0034】
GPS受信部107は、GPS衛星から発せられるGPS信号をGPSアンテナによって受信し、その受信した信号を処理する。この処理によって、リアルタイムでの配管選別装置10の位置情報(経緯度座標)を測位し、制御部101に出力する。GPS受信部107は装置本体16(
図1参照)の内部等、放射線検出部12(
図1参照)と一体になるように設けられる。
【0035】
電源部108は、乾電池等の一次電池や、繰り返しの充放電が可能な二次電池、或いは、商用電源に接続される電力供給ケーブルC(
図1参照)によって構成され、配管選別装置10の各種電気系統に電力を供給する。
【0036】
図4は、配管選別装置における制御部の機能ブロック図である。
図4に示すように、本実施の形態に係る制御部101は、比較情報作成部101a、判定部101b、表示制御部101c、及び送信制御部101eとして機能する。これらの機能ブロックは、記憶部106に記憶されたプログラムが制御部101によって実行されることによって実現される。なお、
図4に示す制御部101の機能ブロックは、本発明に関連する構成のみを示しており、それ以外の構成については省略している。
【0037】
前記配管P(
図1参照)についての配管情報は、直接的または間接的に入力部104を通じて入力される。ここで配管情報とは、配管Pの情報に限らず、配管Pの外装材としての保温材や外装板の情報や配管Pの内容物の情報を含むものであり、例えば、表1に例示されるものである。具体的には配管情報としては、下記表1に示す直径や厚み、材質、吸収係数を含み、記憶部106(
図3参照)に記憶される。更に、装置情報として、表2に例示する線種(ここでは
137Csを例示)やコリメータの情報、検出器の種類(ここではCsIを例示)と大きさ、線源・検出部間距離等を記憶部106に記憶するとよい。なお、表1及び表2では、各項目の具体的な名称や数値の記載は省略とする。なお、水及びガスの厚みは、配管Pの直径から配管厚みを2倍した値を差し引いて演算してもよい。なお、厚みや吸収係数は、数値そのものを入力する場合に限らず、これらの数値を間接的に演算により算出可能な情報を入力してもよい。
【0040】
比較情報作成部101aは、直接的または間接的に入力された配管P(
図1参照)に関する配管情報に基づいて計数値の予測値を演算する。具体的には、比較情報作成部101aは、下記式1に基づき計数値の予測値を演算する。なお、吸収係数μと密度ρとの関係は下記式2のとおりである。
【0042】
例えば、比較情報作成部101aは、配管Pの用途毎、つまり、ガス管(内容物がガス)の場合と、水道管(内容物が水)の場合とで計数値の予測値を演算する。ガス管の場合は、ガス管の内径(配管直径−配管厚み×2)分ガスによる減衰が効くものとしてガスの吸収係数を用いて理論値を演算し、水道管の場合は、水道管の内径(配管直径−配管厚み×2)分水による減衰が効くものとして水の吸収係数を用いて計数値の予測値を演算する。なお、ガスの吸収係数は、水の吸収係数に比して極めて小さいため無視して計算してもよい。
【0043】
判定部101bは、比較情報作成部101aで求めた計数値の予測値と、放射線検出部12での検出結果として計数値(実測値)との比較に基づき、配管Pの用途を選別する。なお、この比較においては、判定部101bは比較情報作成部101aで求めた計数値の予測値を比較情報として直接用いなくてもよい。判定部101bは、この予測値に対して所定係数の乗算等を行い配管Pの用途別に比較情報としての閾値となる上限値及び下限値を演算し、この閾値範囲内に放射線検出部12での検出結果が収まるか比較するとよい。
【0044】
例えば、判定部101bは、配管Pが「ガス管」の場合の計数値の予測値に対して所定係数の乗算等を行い閾値を演算し、この閾値範囲内に実測値が収まる場合「ガス管」と配管の用途を選別する。また、判定部101bは、配管Pが「水道管」の場合の計数値の予測値に対して所定係数の乗算等を行い閾値を演算し、この閾値範囲内に実測値が収まる場合「水道管」と配管の用途を選別するとよい。そして、「ガス管」、「水道管」の両方の閾値範囲内に実測値が収まらない場合には、「雑配管」と配管の用途を選別するとよい。更に、判定部101bは、これら用途に応じた表示、つまり、判定結果を表示部105に行わせる指令を表示制御部101cに出力するとよい。
【0045】
なお、配管Pの判定が例えばガス管と水道管との二択の場合、比較情報作成部101aが「ガス管」の計数値の予測値のみを演算し、判定部101bが「ガス管」の場合の計数値の予測値に対して所定係数の乗算等を行い閾値を演算し、この閾値範囲内に実測値が収まる場合「ガス管」と配管の用途を選別し、この閾値範囲内に実測値が収まらない場合「水道管」と配管の用途を選別してもよい。なお、上記と逆に「水道管」の計数値の予測値のみを演算し、「水道管」の場合の計数値の予測値に対して所定係数の乗算等を行い閾値を演算し、この閾値範囲内に実測値が収まる場合「水道管」と配管の用途を選別し、この閾値範囲内に実測値が収まらない場合「ガス管」と配管の用途を選別してもよい。
【0046】
なお上記では、判定部101bが、計数値の予測値に対して所定係数の乗算等を行って閾値を演算し、この閾値範囲内に実測値が収まるかどうか比較するものとしたが、判定部101bが、実測値に対して所定係数の乗算等を行って閾値を演算し、この閾値範囲内に計数値の予測値が収まるか比較し配管Pの用途を選別するものとしてもよい。
【0047】
上述の判定方法はあくまでも例示であり、他の判定方法を用いてもよい。例えば、比較情報作成部101aが、放射線検出部12で検出される計数値の実測値(検出結果)に基づいて配管情報のいずれかのパラメータの予測値を演算(逆算)し、判定部101bがこのパラメータの予測値と入力部104を通じて直接的または間接的に入力された当該パラメータの入力値との比較に基づき、配管Pの用途を選別してもよい。
【0048】
パラメータについては、配管や水、ガスの直径、厚みや吸収係数に限らず、外装材としての保温材や外装板の直径、厚みや吸収係数を用いることもできる。配管Pの内容物を水又はガスと仮定し、ブラックボックスとして逆算したいずれかのパラメータの予測値と、そのパラメータの入力値とを比較することで、配管Pの内容物が仮定したものか否か選別することができる。なお、この際に、上記と同様に判定部101bは、パラメータ、入力値のいずれか一方に所定係数の乗算等を行って上限値及び下限値を演算し、他方がこの閾値範囲内に収まるかどうか比較するとよい。
【0049】
例えば、判定部101bは、配管Pの内容物をガスと仮定した場合のパラメータの予測値に対して所定係数の乗算等を行って閾値を演算し、この閾値範囲内に入力値が収まる場合「ガス管」と配管の用途を選別する。また、判定部101bは、配管Pの内容物を水と仮定した場合のパラメータの予測値に対して所定係数の乗算等を行って閾値を演算し、この閾値範囲内に入力値が収まる場合「水道管」と配管の用途を選別する。そして、「ガス管」、「水道管」の両方の閾値範囲内に入力値が収まらない場合には、「雑配管」と配管の用途を選別するとよい。
【0050】
表示制御部101cは、判定部101bから出力された指令に応じ、2つの点灯部24a、24bやタッチパネル24c(
図1参照)の表示を切り替えるようを制御する。例えば、配管Pの用途の選別結果がガス管である場合に赤色の点灯部24aを点灯、水道管である場合に緑色の点灯部24bを点灯したり、タッチパネル24cに「ガス管」、「水道管」、「雑配管」と文字表示したりするよう制御する。また、表示制御部101cは、入力部104で入力した情報等、各種情報がタッチパネル24cの表示領域に表示されるよう制御する。
【0051】
送信制御部101eは、各種情報を無線通信部103から逐次送信するよう制御する。この送信する情報としては、GPS受信部107による位置情報、判定部101bにおける配管Pの用途の選別結果がある。従って、判定部101bにおいて配管Pの用途の選別結果と、その選別を行った時点でのGPS受信部107による位置情報とが同じタイミングで送信される。なお、送信する情報としては、測定部102で測定した放射線の計数値等の情報を送信するようにしてもよい。
【0052】
続いて、上記配管選別装置10を用いた配管測位システムについて説明する。
図5は、第1の実施の形態に係る配管測位システムの構成図である。
図5に示すように、配管測位システム1は、少なくとも1台の上述した配管選別装置10と、配管選別装置10に対して基地局3を介して無線通信するセンタ4と、を備えている。基地局3とセンタ4とは、インターネット、無線又は有線のLAN(Local Area Network)等の通信網5を介して通信が行われる。基地局3は、その通信エリアに位置する配管選別装置10と無線通信を行う。なお、配管選別装置10と基地局3とは、図示しない中継器を介して無線通信を行うようにしてもよい。
【0053】
次いで、センタ4について説明する。
図6は、センタの構成を示すブロック図である。
図6に示すように、センタ4は、制御部401、無線通信部403、入力部404、表示部405、記憶部406及び、電源部408を備えている。
【0054】
制御部401は、中央処理装置(CPU)等からなり、センタ4全体を制御する。制御部401は、記憶部406に記憶されているプログラムに従い、無線通信部403を介して受信した各種情報に対する演算処理や、各種の制御処理を行う。
【0055】
無線通信部403は、通信インターフェースであり、配管選別装置10に対して基地局3(
図5参照)を通じ無線通信により各種情報、データ、指令の送受信を行う。従って、無線通信部403は、無線送信部及び無線受信部としての機能を有している。無線通信部403は、例えば、配管選別装置10のGPS受信部107による位置情報、判定部101bにおける配管Pの用途の選別結果情報、測定部102の測定結果情報等を受信したり(
図3参照)、この情報に基づき制御部401にて演算した後述する情報を配管選別装置10に送信したりする。
【0056】
入力部404は、例えば、キーボード、ボタン、キー、タッチパネル型ディスプレイ、マイク等を含み、オペレータ等からの操作によるデータを取得して制御部401に出力する。また、入力部404は、通信インターフェースとしてパソコン等の外部装置から有線又は無線通信によってデータを取得するようにしたり、データを内蔵するメモリーカード等の記憶媒体を接続可能なスロット等のインターフェースとしたりてもよい。
【0057】
表示部405は、ディスプレイ等によって構成され、センタ4を操作、管理するオペレータに対し、制御部401での演算処理結果や、無線通信部403で受信した配管選別装置10の各種情報を表示する。
【0058】
記憶部406は、配管選別装置10の記憶部106と同様の構成となるが、念のために以下に説明する。記憶部406は、RAMやROM、不揮発性メモリ等を備えている。ROMでは、制御部401が各種の演算、制御を行うためのプログラムや、アプリケーションとして機能するためのプログラム、データ等が記憶される。RAMは、制御部401の作業領域として用いられたり、無線通信部403により受信された情報等が制御部401を介して記憶される。RAMでは、ROMから読み出されたプログラムやデータ、入力部404から入力されたデータ、制御部401が各種プログラムに従って実行した演算結果等が一時的に記憶される。不揮発性メモリでは、制御部401の演算によって生成されたデータのうち、長期的な保存が必要なデータが記憶される。
【0059】
電源部408は、例えば、商用電源等が採用され、上述の各部に対して電力を供給する。
【0060】
図7は、センタにおける制御部の機能ブロック図である。
図7に示すように、本実施の形態に係る制御部401は、地図作成部401a及び受信制御部401bとして機能する。これらの機能ブロックは、記憶部406に記憶されたプログラムが制御部401によって実行されることによって実現される。なお、
図7に示す制御部401の機能ブロックは、本発明に関連する構成のみを示しており、それ以外の構成については省略している。
【0061】
地図作成部401aは、配管Pが埋設された地域の実際の地図データに対し、配管選別装置10から送信されて無線通信部403が受信した各種情報を対応付けて地図情報となる画像データを作成する。この地図情報の作成の一例を述べると、実際の地図データに対し、送信されたGPS受信部107(
図3参照)の位置情報(経度緯度)から、配管Pを選別した地点を求めて関連付け、この地点に対し、配管Pの用途の選別結果も関連付ける。そして、実際の地図データ上に配管Pを選別した地点が、例えばマークやアイコン等で表示される画像データを作成する。このとき、マーク等を配管Pの用途の選別結果毎に区別できるように色分けしたり、異なる形状としたり、「ガス管」「水道管」とする文字を付記したりする。更に、関連付けた地点に対し、放射線の計数値も選択的に関連付けて表示させるようにしてもよい。地図作成部401aで作成される画像データは、記憶部406で記憶され、表示部405のディスプレイに表示可能とされる。
【0062】
また、無線通信部403から画像データを無線送信することによって、その画像データを配管選別装置10の無線通信部103が受信し、タッチパネル24cで表示するようにしてもよい。画像データにあっては、携帯電話やスマートフォン等の端末機器において無線受信できるようにし、その表示領域に表示させてもよい。これにより、配管工事の現場において、作業者が工事個所やその周辺に埋設された配管Pの用途を知ることができる。更に、画像データの表示は、GPS受信部107が受信して演算したリアルタイムの位置を中心とした地図となる画像データを自動的に表示するよう制御してもよい。
【0063】
なお、地図作成部401aでは、上述した各種情報によってデータベースを作成して記憶部406で記憶しておいてもよい。この場合、任意のタイミングにて、入力部404等からの出力に基づく指令に応じてデータベースから必要な情報を読み出し、この読み出した情報から実際の地図データに上述した表示を重ね合わせる画像データを作成してもよい。また、データベースにおいて、配管Pを選別した日時も併せて関連付け、選別の履歴管理をできるようにしておいてもよい。
【0064】
受信制御部401bは、配管選別装置10から送信された各種情報を逐次受信するよう制御する。
【0065】
次いで、本実施の形態に係る配管選別方法について説明する。
図8は、配管選別方法の一例を示すフローチャートである。
図8に示すように、本実施の形態に係る配管選別方法は、入力ステップ(ステップ(以下、「ST」という)01)、装着ステップST02、検出ステップST03、比較情報作成ステップST04、判定ステップST05、表示ステップST06、送信ステップST07の順に実施する。なお、これらステップは、あくまでも一例に過ぎず、この構成に限定されるものではない。
【0066】
先ず、地中に埋設された配管Pの配管情報を直接的または間接的に入力する入力ステップST01を実施する。入力ステップST01では、作業者がタッチパネル24c(
図1参照)を操作することによって上述した配管情報を入力する。入力方法としては、タッチパネル24cに限定されず、上述した入力部104(
図3参照)を用いた各種方法を採用することができる。入力した配管情報は、記憶部106に記憶され、判定ステップST05での処理に利用される。
【0067】
入力ステップST01を実施した後、
図2に示すように、配管Pを挟んで線源部11及び放射線検出部12を装着する装着ステップST02を実施する。装着ステップST02では、調整機構18を介して線源保持体14及び検出部保持体15を大きく離間してから、それらの間に配管Pを挿入する。次いで、離間した線源保持体14及び検出部保持体15を接近する方向にスライド移動させ、接触部14a、15aにおける一対の傾斜縁を配管Pに点接触させる。かかる点接触によって、線源部11からの放射線の放射方向が配管Pの延出方向に直交し且つ配管Pの中心を通る線上に配置され、放射線検出部12の入射部も同じ線上にあるよう配置される。この状態にて、不図示の位置決め機構を介して線源保持体14及び検出部保持体15のスライド移動が規制され、配管Pが線源保持体14及び検出部保持体15で挟み込まれた状態となる。これにより、線源部11及び放射線検出部12が位置決めされて装着ステップST02が完了する。
【0068】
ここで、配管Pにあっては、配管Pを腐食等から保護するために外装材が設けられる場合がある。配管Pに外装材が設けられる場合には、外装材を取り外すことなく、外装材の外側から上述のように装着ステップST02を実施する。
【0069】
装着ステップST02を実施した後、検出ステップST03を実施する。検出ステップST03では、配管選別装置10の電源を投入し、配管Pの径寸法に応じた時定数を経過した後、線源部11から放射されて配管Pを透過した放射線を放射線検出部12で検出する。放射線検出部12で検出した放射線は、配管Pを透過することで減衰し、配管Pの内容物によって減衰量が変化する。つまり、配管P内がガスよりも水の方が放射線の減衰量が増加し、検出される放射線の計数値が減少することとなる。検出ステップST03の検出結果は、記憶部106に記憶され、判定ステップST05での処理に利用される。
【0070】
検出ステップST03を実施した後、入力ステップST01で入力された配管情報に基づいて計数値の予測値を演算する、または検出ステップST03の検出結果に基づいて配管情報のいずれかのパラメータの予測値を演算する比較情報作成ステップST04を実施する。比較情報作成ステップST04では、比較情報作成部101a(
図4参照)の処理として、上述した処理を実施する。
【0071】
比較情報作成ステップST04を実施した後、比較情報作成ステップST04で演算した計数値の予測値と検出ステップST03の検出結果との比較、または比較情報作成ステップST04のパラメータの予測値と入力ステップST01の当該パラメータの入力値との比較とに基づき、配管Pの用途を選別する判定ステップST05を実施する。判定ステップST05では、判定部101b(
図4参照)の処理として、上述した処理を実施する。これにより配管Pの用途を選別し、選別結果に応じた表示を行わせる指令を表示制御部101c(
図4参照)に出力すると共に、配管Pの用途の選別結果をセンタ4に送信する指令を送信制御部101e(
図4参照)に出力する。
【0072】
判定ステップST05を実施した後、配管Pの用途を表示する表示ステップST06を実施する。表示ステップST06では、判定部101bからの指令に応じ表示制御部101c(
図4参照)にて、上述のように2つの点灯部24a、24bやタッチパネル24c(
図1参照)を制御し、それらの表示を切り替える。これにより、選別する配管Pの用途が「ガス管」、「水道管」、「雑配管」であると作業者に報知することができる。
【0073】
判定ステップST05を実施した後、表示ステップST06の実施前又は実施後、送信ステップST07を実施する。送信ステップST07では、GPS受信部107がGPS信号を受信して位置情報を取得する。そして、送信制御部101eにて、GPS受信部107による位置情報と、判定ステップST05における配管Pの用途の選別結果とをセンタ4に送信するよう制御する。
【0074】
このように送信ステップST07を実施することで、配管Pの用途を選別すると同時に、その選別結果と選別を行った場所の位置情報とがセンタ4に送信される。そして、センタ4では、地図作成部401a(
図7参照)にて、上述のように実際の地図データ上に、配管Pを選別した地点と、その地点における配管Pの用途の選別結果とがマッピングされた地図情報が作成される。これらの処理は、配管選別装置10を取り扱う作業者の意識に拘らずに自動的に実施することができる。従って、複数台の配管選別装置10を用いて、数か月間や数年間等、長期に亘って配管Pの選別を行うと、多数箇所での選別結果が網目状に表示される地図情報を作成することができる。これにより、配管工事の計画時や配管工事にて掘削する前に、その地点で埋設された配管Pの予測性を高めることができ、工事期間の短縮化や作業準備の容易化を図ることができる。
【0075】
このような実施の形態によれば、配管Pを透過した放射線の検出結果と入力部104からの配管情報とに基づいて配管Pの用途を選別することができる。これにより、配管Pの用途を特定するために作業者の経験や勘に頼る必要がなくなるので、選別作業の短時間化を図ることができ、且つ、誤った選別を防止して選別の正確性を高めることができる。
【0076】
ここで、従来の配管工事について述べると、ガス管や水道管等の配管に破損等が生じると、生活に支障をきたすこととなるため、未然に補修や取り替え等の工事を行っている。但し、配管にあっては埋設場所が不明で、掘削したときに工事予定の配管以外の配管が混在している場合があり、特に年代が古い配管は、その用途つまりガス管であるか水道管であるかを外観から選別することが困難となる。このため、埋設された配管の用途に応じた複数の配管業者が共同で配管の選別を実施している。言い換えると、例えば、ガス管の修理を行う場合、ガス管業者のために他業種業者が立ち合いのもと配管を選別しており、全ての配管業者において非効率的な対応となっていた。
【0077】
この点、上記配管選別装置10を用いて配管Pの用途の選別を行えるようにすることで、外観での選別が困難であっても、短時間で簡単且つ正確に配管Pの用途を選別することができる。これにより、ガス管業者のために他業種業者が立ち合う等、複数の配管業者が共同で選別する必要をなくすことができ、配管業者の対応の効率化を図ることができる。
【0078】
次に、本発明の前記以外の実施の形態について説明する。なお、以下の説明において、説明する実施の形態より前に記載された実施の形態と同一若しくは同等の構成部分については同一符号を用いる場合があり、説明を省略若しくは簡略にする場合がある。
【0079】
[第2の実施の形態]
図9は、第2の実施の形態に係る配管選別装置の外観斜視図である。
図9に示すように、第2の実施の形態に係る配管選別装置10では、線源部11及び放射線検出部12が外部に露出するように線源保持体14及び検出部保持体15に保持される。線源保持体14及び検出部保持体15は、配管Pの外周面に沿って四分円弧状に延出しており、上端側で連結体30に連結されている。線源保持体14及び検出部保持体15は、連結体30に対し、ねじ部材等の連結具31を介して着脱自在に設けられる。従って、大きさの異なる線源保持体14及び検出部保持体15を複数用意しておき、配管Pの径寸法が変わる場合、これに応じて用いる線源保持体14及び検出部保持体15を変更することで種々の径寸法の配管Pに配管選別装置10を装着可能となる。
【0080】
連結体30の手前側の端部には立ち上がり部32が連なって形成され、この立ち上がり部32から後方に向かって円柱状の取手部33が延出している。また、連結体30の後側の端部には、斜め上向きとなる箱状に形成された本体部34が設けられている。
【0081】
本体部34の上面には、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等からなる表示領域36が設けられ、この表示領域36は、表示部を構成すると共に第1の実施の形態のタッチパネル24c(
図1参照)と同様の表示がなされる。表示領域36の左側には表示部を構成する2つの点灯部24a、24bが設けられ、表示領域36の右側には入力部を構成する複数の操作ボタン37が並んで設けられている。本体部34と放射線検出部12とはケーブル38により接続され、ケーブル38を介して検出結果の入出力や電力供給を行えるようになっている。
【0082】
ここで、線源部11及び放射線検出部12は、配管Pに対向する位置に磁石40が設けられている(放射線検出部12の磁石は不図示)。磁石40は、配管Pが鉄等の磁性体である場合に磁着し、この磁着によって配管Pに対して線源部11及び放射線検出部12を位置決めすることができる。ここにおいて、磁石40によって位置決め機構が構成され、配管Pに配管選別装置10を容易且つ迅速に装着できるようになる。なお、磁石40は、線源部11からコリメートされ照射される放射線を妨げないように中央に開口部が設けられる。
【0083】
このような実施の形態によれば、本体部34と放射線検出部12とを分離したので、それぞれを個別に保守することができる。
【0084】
[第3の実施の形態]
図10は、第3の実施の形態に係る配管選別装置の外観斜視図である。
図10に示すように、第3の実施の形態に係る配管選別装置10では、第2の実施の形態の放射線検出部12に本体部34を一体に設けて単一の筐体44に組み込んだものである。第3の実施の形態では、放射線検出部12の上部に本体部34が配置され、表示領域36が上方に向けられている。表示領域36の右側に複数の操作ボタン37が設けられ、その右側に2つの点灯部24a、24bが設けられている。
【0085】
このような実施の形態によれば、本体部34と放射線検出部12とを一体として製品コストの低減を図ることができる。
【0086】
[第4の実施の形態]
図11は、第4の実施の形態に係る配管選別装置の外観斜視図である。
図11に示すように、第4の実施の形態に係る配管選別装置10では、線源保持体14及び検出部保持体15が四角形の板体によって形成されている。そして、線源保持体14及び検出部保持体15において、配管Pに対向する面の四隅には、位置決め機構を構成する磁石50が設けられている(検出部保持体15側の2つの磁石は不図示)。これら磁石50が配管Pに磁着することで、配管Pに対して線源部11及び放射線検出部12を位置決めすることができる。
【0087】
線源保持体14及び検出部保持体15には、連結治具51が装着可能に設けられる。連結治具51は、線源保持体14及び検出部保持体15に沿って配置される一対の取付面部52と、各取付面部52の上端側を連結して半円弧状に延出する掛け渡し部53とを備えている。線源保持体14及び検出部保持体15と取付面部52とは、ねじ部材等の連結具55を介して着脱自在に設けられる。掛け渡し部53は、種々の径寸法の配管Pにおける上面に沿って載置できるよう、大きさや曲率が異なるものが複数用意される。従って、配管Pの径寸法が変わる場合、これに応じて用いる掛け渡し部53を変更することで、線源部11及び放射線検出部12の離間距離を変え、種々の径寸法の配管Pに配管選別装置10を装着可能となる。なお、磁石50によって配管Pに線源部11及び放射線検出部12を装着した後、線源保持体14及び検出部保持体15から連結治具51を取り外して利用することもできる。
【0088】
このような実施の形態によれば、第2及び第3の実施の形態のような取手部33を省略することができ、構造の簡略化を通じて製品コストの低減を図ることができる。
【0089】
[第5の実施の形態]
図12から
図23は、第5の実施の形態に係る配管選別装置の外観図であり、
図12は斜視図、
図12を左右反対側から見た斜視図、
図14は
図12の正面図、
図15は
図12の背面図、
図16は
図12の左側面図、
図17は
図12の右側面図、
図18は
図12の平面図、
図19は
図12の底面図である。
図12に示すように、第5の実施の形態に係る配管選別装置10では、線源保持体14及び検出部保持体15が、上下方向中間部にて交差するフレーム状に形成されている。線源部11は、線源保持体14の下端(一端)側に保持され、放射線検出部12は、検出部保持体15の下端(一端)側に保持されている。線源保持体14及び検出部保持体15は、その交差位置にて回転軸部200を介して相対回転可能に設けられ、この相対回転によって、配管Pの径寸法に応じて線源部11及び放射線検出部12の離間距離を調整できる。従って、線源保持体14及び検出部保持体15は、線源部11及び放射線検出部12を保持する保持体を構成しつつ、回転軸部200と共に調整機構18を構成する。
図12から
図19では、比較的小径(例えば、呼び径80A)の配管Pに装着した状態を示し、
図20から
図23は、比較的大径(例えば、呼び径300A)の配管Pに装着した状態を示す。
図20は、その状態の斜視図、
図21は
図20の正面図、
図22は
図20の背面図、
図23は
図20の平面図である。
【0090】
図12に戻り、線源保持体14及び検出部保持体15は、概略左右対称となる構造となっており、前後に所定間隔を隔てて配置された前フレーム201と、後フレーム202とをそれぞれ備えている。前フレーム201及び後フレーム202の上端(他端)間には、作業者が把持して線源保持体14及び検出部保持体15を相対回転させるための取っ手(把持部)204が設けられている。取っ手204の下方において、前フレーム201及び後フレーム202がばね装着軸205によって連結されている。2本のばね装着軸205を架け渡すように、コイルばね(弾性体)206が複数本(本実施の形態では3本)装着され、コイルばね206は2本のばね装着軸205が接近する方向の弾性力を発揮する。
【0091】
ばね装着軸205の下方にて、線源保持体14及び検出部保持体15の前フレーム201同士及び後フレーム202同士がX字状をなすように交差し、この交差位置で回転軸部200が貫通している。回転軸部200の下方において、前フレーム201及び後フレーム202が連結軸208によって連結されている。前フレーム201及び後フレーム202の連結軸208より下方領域は、下端側が接近するように湾曲形成されている(
図14、
図15参照)。
【0092】
前フレーム201及び後フレーム202の下端間には、回転支持部となるボルト210、211を介して支持体212、213が回転可能に支持されている。線源保持体14における支持体212に線源部11が支持され、検出部保持体15における支持体213に放射線検出部12が支持されている。各支持体212、213の内側(対向する側)には、接触体214、215が設けられている。線源保持体14において、支持体212、接触体214及び線源部11がユニットとなり、このユニットがボルト210を中心として、各フレーム201、202と相対回転可能となる。また、検出部保持体15において、支持体213、接触体215及び放射線検出部12がユニットとなり、このユニットがボルト211を中心として、各フレーム201、202と相対回転可能となる。
【0093】
接触体214、215は、配管P側に向かって次第に拡がる上下一対の傾斜面をそれぞれ備え、これら傾斜面が配管選別装置10を配管Pに装着したときに略線接触する。かかる線接触によって、線源部11からの放射線の放射方向及び放射線検出部12による放射線の検出方向が配管Pの延出方向に直交し且つ配管Pの中心を通る線上となる。なお、接触体214、215において、放射線が通過する部分には穴215a(穴214aは
図13参照)が形成されている。
【0094】
線源保持体14及び検出部保持体15の前フレーム201同士が交差する位置には、線源保持体14及び検出部保持体15の相対角度に基づいて配管Pの径寸法を表示する配管径測定部220が設けられている。
図24及び
図25は、第5の実施の形態に係る配管径測定部の説明図である。
図24及び
図25に示すように、配管径測定部220は、回転軸部200から放射方向に複数の目盛221aが施された円板状の配管径表示板221と、手前側の前フレーム201に形成されて目盛221aを指し示すための突起(指示部)222とを備えている。本実施の形態の配管選別装置10にあっては、測定する配管Pの径寸法に比例して線源部11及び放射線検出部12の距離が変化し、この変化に応じて線源保持体14及び検出部保持体15の回転軸部200を中心とする相対回転角度も変化する。従って、かかる変化によって突起222が指し示す位置も変化し、配管径表示板221には、配管Pの径寸法(呼び径)に応じて突起222が指し示す位置に目盛221aが施されている。これにより、配管Pに配管選別装置10を装着したときに、突起222が指し示す目盛221aによって配管Pの径寸法(呼び径)を簡単に認識することができる。
【0095】
図15及び
図22に示すように、本実施の形態の配管選別装置10は角度補正部230を備えている。角度補正部230は、回転軸部200に固定されて上方に延びるブラケット231と、ブラケット231の上端側と支持体212、213との間でクランク状に延びる連結フレーム232、233とを備えている。連結フレーム232、233は、ブラケット231及び支持体212、213と回転中心となるピン235〜237を介して相対回転可能に連結されている。従って、線源保持体14及び検出部保持体15の相対回転によって、連結フレーム232、233の下端間が離間接近するように相対回転する。
【0096】
図15及び
図22を比較すると、配管Pの径寸法に応じて線源保持体14及び検出部保持体15の相対回転角度を変えても、連結フレーム232、233の一端側を支持するボルト236、237と、線源部11及び放射線検出部12を支持するためのピン210、211との上下位置が概略一定に保たれる。言い換えると、角度補正部230においては、線源保持体14及び検出部保持体15の相対回転角度の変化に応じ、各ピン236、237と各ボルト210、211との上下位置が概略一定に保たれるよう、連結フレーム232、233の長さ、形状及び取り付け位置が設定される。従って、配管Pの径寸法に応じて線源保持体14及び検出部保持体15が角度変化しても、角度補正部230によって線源部11から放射される放射線が放射線検出部12の入射部に対して垂直に入射されるように維持される。これにより、配管Pに対して配管選別装置10を装着する際、線源部11及び放射線検出部12の角度調整作業を省略或いは簡略にすることができ、配管Pへの装着を簡単且つ迅速に行うことができる。
【0097】
なお、連結フレーム232、233は、線源保持体14及び検出部保持体15の内側(配管P側)にはみ出さないように形成され、配管Pへの装着時に連結フレーム232、233が邪魔にならないようになっている。
【0098】
ここで、回転軸部200の前方にはハンドル240が設けられている。このハンドル240は、後述のように接触体214、215にて配管Pを挟み込んで測定する際、位置ずれや振動等がないように線源保持体14及び検出部保持体15を固定するために用いられる。
【0099】
以上の構成において、配管Pを挟んで線源部11及び放射線検出部12を装着する場合、両方の取っ手204を把持し、コイルばね206の弾性力に抗して各取っ手204が離れるように操作する。この操作によって回転軸部200を中心として線源保持体14及び検出部保持体15が相対回転し、線源部11及び放射線検出部12を大きく離間する。次いで、それらの間に配管Pを挿入し、コイルばね206の弾性力によって線源部11及び放射線検出部12を配管Pに近付けて接触体214、215における一対の傾斜面を配管Pに線接触させる。この線接触と上述した角度補正部230による角度補正とによって、線源部11からの放射線の放射方向が配管Pの延出方向に直交し且つ配管Pの中心を通る線上に配置され、放射線検出部12の入射部も同じ線上にあるよう配置される。この状態にて、コイルばね206の弾性力によって接触体214、215が配管Pを挟み込み、線源部11及び放射線検出部12が位置決めされる。ここにおいて、コイルばね206及び接触体214、215を含んで位置決め機構が構成される。
【0100】
図示においては、配管Pの上方から配管選別装置10を装着した場合を説明したが、配管Pの側方から配管選別装置10を装着して線源部11からの放射線の放射方向が上下方向になるようにしてもよい。この場合、配管Pの底側だけに位置する液体や収容物を検出し易くなる。また、配管選別装置10を異なる2方向から装着して配管Pの用途を選別してもよく、この際、最初に装着した1方向で配管Pの用途が不確定と判定、表示された場合のみ、異なる方向で配管選別装置10を装着して配管Pの選別を行ってもよい。
【0101】
このような実施の形態によれば、取っ手204を両手で持って離間接近する操作によって、線源保持体14及び検出部保持体15を相対回転し、配管Pの径方向両側に線源部11及び放射線検出部12を容易に配置することができる。また、配管Pからの配管選別装置10の取り外しも、同様の操作によって容易に行うことができ、作業負担の軽減、作業の短時間化を図ることができる。
【0102】
また、コイルばね206によって線源保持体14及び検出部保持体15を付勢して接触体214、215で配管Pを挟み込むので、線源部11及び放射線検出部12を配管Pの径方向両側に配置すると同時に放射線を検出できるよう位置決めすることができる。また、位置決めの解除は、コイルばね206に抗する力を取っ手204を介して付与すれば行えるようになる。従って、線源保持体14及び検出部保持体15を相対回転する構成に加え、コイルばね206を設けることで、配管Pへの配管選別装置10の着脱をより一層簡略化することができる。
【0103】
本発明は上記実施の形態に限定されず種々変更して実施することが可能である。また、上記実施の形態で説明した数値、寸法、材質、方向については特に制限はない。その他、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更することが可能である。
【0104】
例えば、表示部105を構成する点灯部24a、24bやタッチパネル24c等の構成は省略してもよい。この場合、配管Pの用途の選別結果や各種演算結果を、端末装置等の外部装置に送信して出力するようにしてもよい。但し、上記各実施の形態のように、点灯部24a、24b等を備えた構成とした方が、作業者に配管Pの用途の選別結果等を報知させ易くなる点で有利となる。
【0105】
また、表示部105は、判定部101bの選別結果等を音声で出力するスピーカに変更したり、追加したりしてもよい。
【0106】
また、入力部104にあっては、マイクや、無線によるリモートコントローラに変更したり、追加したりしてもよい。
【0107】
また、上記各実施の形態では、選別する配管Pの用途をガス管及び水道管とした場合を説明したが、これに限られるものでない。他の用途を選別する他、その他の用途を更に選別できるようにする、つまり3種類以上の用途を選別できるようにしてもよい。例えば、ガス管及び水道管に加え、通信・電力供給用配管(以下、「通信管」とする)を選別できるようにする場合、通信管を選別する際に放射線検出部12で検出される計数値の比較情報となる閾値も併せて演算する。そして、その閾値の範囲内に放射線検出部12で検出される実測値が収まる場合、「通信管」とする配管Pの用途を選別結果として求め、これに応じた表示を行う。
【0108】
また、配管選別装置10の制御部101における比較情報作成部101a、判定部101bの処理は、センタ4の制御部401で実施してもよい。これにより、複数の配管選別装置10の情報処理をセンタ4にて一括して実施することができる。