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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-90818(P2017-90818A)
(43)【公開日】2017年5月25日
(54)【発明の名称】可動ディスプレイ装置
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/00 20060101AFI20170421BHJP
   G02F 1/1333 20060101ALI20170421BHJP
【FI】
   G09F9/00 351
   G02F1/1333
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-224235(P2015-224235)
(22)【出願日】2015年11月16日
(71)【出願人】
【識別番号】000101732
【氏名又は名称】アルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】特許業務法人 武和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】矢吹 公徳
(72)【発明者】
【氏名】本間 昭
【テーマコード(参考)】
2H189
5G435
【Fターム(参考)】
2H189AA53
2H189AA55
2H189AA56
2H189AA62
2H189AA70
2H189CA31
2H189HA11
5G435AA01
5G435BB12
5G435DD03
5G435EE17
(57)【要約】
【課題】シャーシ内のスペースを圧迫することなく、ディスプレイ本体の上向きと下向き両方向への傾動動作を行うことができる「可動ディスプレイ装置」を提供する。
【解決手段】シャーシ1に一体化したエスカッション3に上部ガイド部3aと下部ガイド部3bを設け、エスカッション3の前方に配置されたディスプレイ本体4に、上部ガイド部3aに係脱可能な上側可動ピン13と、下部ガイド部3bに係脱可能な下側可動ピン15と、上側可動ピン13と下側可動ピン15を左右方向へ往復移動する支点切換機構5とを配設し、この支点切換機構5によってディスプレイ本体4の回動支点を、下側可動ピン15を下部ガイド部3bから離脱させたまま上側可動ピン13を上部ガイド部3aに係合させた第1軸支状態と、上側可動ピン13を上部ガイド部3aから離脱させたまま下側可動ピン15を下部ガイド部3bに係合させた第2軸支状態とに切り換え可能とした。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャーシと、前記シャーシの内部に前後方向へスライド可能に支持されたスライド部材と、前記シャーシの前方に配置されたディスプレイ本体とを備え、前記スライド部材のスライド動作に連動して前記ディスプレイ本体が傾斜姿勢を変化させるように傾動する可動ディスプレイ装置において、
前記シャーシの上側に設けられた上部軸支部と、前記シャーシの下側に設けられた下部軸支部と、前記ディスプレイ本体の上側に設けられて前記上部軸支部に係脱可能な上側被軸止部と、前記ディスプレイ本体の下側に設けられて前記下部軸支部に係脱可能な下側被軸止部と、前記ディスプレイ本体の回動支点を第1軸支状態と第2軸支状態に切り換え可能な支点切換機構とを備えると共に、前記上側被軸止部と前記下側被軸止部の中間位置で前記スライド部材の前端部が前記ディスプレイ本体に回転可能に連結されており、
前記ディスプレイ本体は、前記第1軸支状態で前記下側被軸止部を前記下部軸支部から離脱させた状態で前記上側被軸止部を前記上部軸支部に係合させ、前記第2軸支状態で前記上側被軸止部を前記上部軸支部から離脱させた状態で前記下側被軸止部を前記下部軸支部に係合させることを特徴とする可動ディスプレイ装置。
【請求項2】
請求項1の記載において、前記支点切換機構は中間状態を経由して前記第1軸支状態と前記第2軸支状態に切り換え可能となっており、この中間状態で前記ディスプレイ本体が前記上側被軸止部を前記上部軸支部に係合させると共に前記下側被軸止部を前記下部軸支部に係合させることを特徴とする可動ディスプレイ装置。
【請求項3】
請求項1または2の記載において、前記支点切換機構は、前記上側被軸止部と前記下側被軸止部を互いに逆向きに移動させる切換レバーと、前記切換レバーを動作させる駆動アームとを備えており、前記切換レバーが前記ディスプレイ本体の左右両側にそれぞれ設けられていることを特徴とする可動ディスプレイ装置。
【請求項4】
請求項3の記載において、前記スライド部材と前記支点切換機構を制御する駆動制御手段を備えると共に、前記駆動アームはモータを駆動源として動作されるものであり、前記駆動制御手段は、前記モータを制御して前記ディスプレイ本体の回動支点を前記第1軸支状態と前記第2軸支状態のいずれか一方に切り換えた後に、前記スライド部材を前進するように駆動制御することを特徴とする可動ディスプレイ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャーシの前方に配置されたディスプレイ本体が傾斜姿勢を変化させるように傾動する可動ディスプレイ装置に係り、特に、ディスプレイ本体を上向きと下向きの両方向に傾動させるチルト機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、LCD等の表示パネルが搭載されたディスプレイ本体をシャーシの前方に配置し、シャーシの内部に配設したスライド部材を前後方向へ移動することにより、ディスプレイ本体の姿勢を変更可能とした可動ディスプレイ装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に開示された可動ディスプレイ装置では、シャーシに設けられたガイド溝にディスプレイ本体の上端部のガイドピンが摺動可能に係合していると共に、スライド部材の前端部がディスプレイ本体の下端部に回転可能に連結されており、スライド部材が後退位置から前進位置へ移動することにより、ディスプレイ本体が起立姿勢から下端側を前方へ迫り出した後傾姿勢へと変化するようになっている。
【0004】
このように構成された可動ディスプレイ装置においては、スライド部材の移動量に応じてディスプレイ本体の後傾角度が変化するため、ディスプレイ本体の表示面を搭乗者の見やすい後傾角度に調整することはできるが、太陽光の反射や景色の映り込み等を避けるために、ディスプレイ本体を後傾姿勢だけでなく前傾姿勢にも傾動できるようにした可動ディスプレイ装置が要望されている。
【0005】
このような可動ディスプレイ装置の一例として、図12に示すように、ディスプレイ本体100の上端部をシャーシ101に回転可能に軸支すると共に、ディスプレイ本体100の下端部をスライド部材102に回転可能に連結し、このスライド部材102を初期位置から前方と後方へ移動することにより、ディスプレイ本体100を後傾姿勢と前傾姿勢の両方に傾動させることが考えられる。すなわち、スライド部材102を初期位置から前方(図12の左方向)へ移動することにより、ディスプレイ本体100を実線で示す起立姿勢から破線で示す後傾姿勢へ傾動させることができると共に、スライド部材102を初期位置から後方(図12の右方向)へ移動することにより、ディスプレイ本体100を起立姿勢から一点鎖線で示す前傾姿勢へと傾動させることができる。
【0006】
また、他の例として、特許文献2に開示されているように、シャーシの内部に上段側スライド部材と下段側スライド部材とをそれぞれ前後方向へ移動可能に配置し、上段側スライド部材の前端部をディスプレイ本体の上端部に設けた上部ピンに係脱可能に連結すると共に、下段側スライド部材の前端部をディスプレイ本体の下端部に設けた下部ピンに係脱可能に連結し、これら上部ピンと下部ピンをシャーシに設けたガイド溝に摺動自在に係合させた構成の可動ディスプレイ装置が提案されている。このように構成された可動ディスプレイ装置では、上段側スライド部材を後退位置で停止させたまま下段側スライド部材が前進すると、上部ピンが上段側スライド部材との連結部から外れてガイド溝内を下降し、ディスプレイ本体は下部ピンを中心に回転して下端側を前方へ迫り出した後傾姿勢となる。これとは逆に下段側スライド部材を後退位置で停止させたまま上段側スライド部材が前進すると、下部ピンが下段側スライド部材との連結部から外れてガイド溝内を上昇し、ディスプレイ本体は上部ピンを中心に回転して上端側を前方へ迫り出した前傾姿勢となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平10−51712号公報
【特許文献2】特開2006−276769号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、図12に示した可動ディスプレイ装置では、ディスプレイ本体を前傾姿勢(一点鎖線で示す位置)へ傾動させるとき、ディスプレイ本体がシャーシの上端側を回動支点として下端側を後退させるように移動するため、シャーシの内部にディスプレイ本体の下端側を引き込むためのスペースを確保する必要があり、当該スペースによってシャーシ内の部品配置スペースが圧迫されてしまうという問題があった。
【0009】
また、特許文献2に記載された可動ディスプレイ装置では、シャーシの内部に上段側スライド部材を動作させる駆動機構と下段側スライド部材を動作させる駆動機構とを別々に配設する必要があるため、これら2つの駆動機構によってシャーシ内のスペースが圧迫されてしまうと問題があった。
【0010】
本発明は、このような従来技術の実情に鑑みてなされたもので、その目的は、シャーシ内のスペースを圧迫することなく、ディスプレイ本体の上向きと下向き両方向への傾動動作を行うことができる可動ディスプレイ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するために、本発明の可動ディスプレイ装置は、シャーシと、前記シャーシの内部に前後方向へスライド可能に支持されたスライド部材と、前記シャーシの前方に配置されたディスプレイ本体とを備え、前記スライド部材のスライド動作に連動して前記ディスプレイ本体が傾斜姿勢を変化させるように傾動する可動ディスプレイ装置において、前記シャーシの上側に設けられた上部軸支部と、前記シャーシの下側に設けられた下部軸支部と、前記ディスプレイ本体の上側に設けられて前記上部軸支部に係脱可能な上側被軸止部と、前記ディスプレイ本体の下側に設けられて前記下部軸支部に係脱可能な下側被軸止部と、前記ディスプレイ本体の回動支点を第1軸支状態と第2軸支状態に切り換え可能な支点切換機構とを備えると共に、前記上側被軸止部と前記下側被軸止部の中間位置で前記スライド部材の前端部が前記ディスプレイ本体に回転可能に連結されており、前記ディスプレイ本体は、前記第1軸支状態で前記下側被軸止部を前記下部軸支部から離脱させた状態で前記上側被軸止部を前記上部軸支部に係合させ、前記第2軸支状態で前記上側被軸止部を前記上部軸支部から離脱させた状態で前記下側被軸止部を前記下部軸支部に係合させるように構成した。
【0012】
このように構成された可動ディスプレイ装置では、ディスプレイ本体の回動支点を第1軸支状態と第2軸支状態に切り換えるだけで、スライド部材の前後方向へのスライド移動に伴ってディスプレイ本体が上向きまたは下向きの姿勢に傾動するため、シャーシ内の部品配置スペースが圧迫されてしまうことを防止しつつ、ディスプレイ本体の上向きと下向き両方向への傾動動作を行うことができる。
【0013】
上記の構成において、支点切換機構は中間状態を経由して第1軸支状態と第2軸支状態に切り換え可能となっており、この中間状態でディスプレイ本体が上側被軸止部を上部軸支部に係合させると共に下側被軸止部を下部軸支部に係合させるようになっていると、ディスプレイ本体の傾倒方向の切り換え動作をスムーズかつ確実に行うことができて好ましい。
【0014】
また、上記の構成において、ディスプレイ本体の回動支点を第1軸支状態と第2軸支状態に切り換え可能な支点切換機構が、上側被軸止部と下側被軸止部を互いに逆向きに移動させる切換レバーと、切換レバーを動作させる駆動アームとを備えており、切換レバーがディスプレイ本体の左右両側にそれぞれ設けられていると、支点切換機構の切換動作を安定させることができて好ましい。
【0015】
この場合において、ユーザー(搭乗者)の手動操作によって駆動アームを動作するようにしても良いが、スライド部材と支点切換機構を制御する駆動制御手段を備えると共に、駆動アームがモータを駆動源として動作されるものであり、駆動制御手段が、このモータを制御してディスプレイ本体の回動支点を第1軸支状態と第2軸支状態のいずれか一方に切り換えた後に、スライド部材を前進するように駆動制御するものであることが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明の可動ディスプレイ装置によれば、シャーシ内のスペースを圧迫することなく、ディスプレイ本体の上向きと下向き両方向への傾動動作を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施形態例に係る可動ディスプレイ装置の概略構成を示す斜視図である。
図2】該可動ディスプレイ装置に備えられる支点切換機構の第1軸支状態を背面側から見た説明図である。
図3】該支点切換機構の中間状態を背面側から見た説明図である。
図4】該支点切換機構の第2軸支状態を背面側から見た説明図である。
図5】該可動ディスプレイ装置に備えられるディスプレイ本体の起立状態を示す説明図である。
図6】該ディスプレイ本体の正チルト動作を示す説明図である。
図7】ディスプレイ本体を後傾姿勢に移行させた状態を示す説明図である。
図8】該ディスプレイ本体の逆チルト動作を示す説明図である。
図9】該可動ディスプレイ装置に備えられる制御駆動手段のブロック図である。
図10】該制御駆動手段による正チルト時の動作手順を示すフローチャートである。
図11】該制御駆動手段による逆チルト時の動作手順を示すフローチャートである。
図12】従来提案に係る可動ディスプレイ装置の概略構成を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
発明の実施の形態について図面を参照して説明すると、図1に示すように、本発明の実施形態例に係る可動ディスプレイ装置は、前面を開口する箱形形状のシャーシ1と、シャーシ1の内部に前後方向(Y1−Y2方向)へスライド可能に支持されたスライド部材2と、シャーシ1の前面に一体化された枠状のエスカッション3と、エスカッション3の前方に配置されたディスプレイ本体4と、ディスプレイ本体4の内部に組み込まれた支点切換機構5等を備えて構成されている。
【0019】
スライド部材2は全体的に平面視コの字状に形成されており、このスライド部材2はモータ6を駆動源としてシャーシ1の底面上を前後方向へ往復移動する。モータ6の回転量と回転方向は後述する駆動制御部(図9参照)によって制御され、この駆動制御部にはスライド部材2の前後方向の位置を検出する位置検出スイッチの検出信号等が入力されるようになっている。スライド部材2は左右方向(X1−X2方向)の前端部にそれぞれ軸孔2aを有しており、これら軸孔2aはディスプレイ本体4の両側面中央付近に設けられた支軸4aに回転自在に連結されている。
【0020】
エスカッション3はシャーシ1の前面開口よりも大きめに形成されており、このエスカッション3の下部側はシャーシ1の底面よりも下方へ突出している。エスカッション3の両内側面における上側には溝状の上部ガイド部3a(上部軸支部)が設けられており、これら上部ガイド部3aはシャーシ1の上下方向(Z1−Z2方向)に沿って延びている。また、エスカッション3の両内側面における下側には溝状の下部ガイド部3b(下部軸支部)が設けられており、これら下部ガイド部3bもシャーシ1の上下方向に沿って延びているが、その長さは上部ガイド部3aに比べて短寸なものとなっている。
【0021】
ディスプレイ本体4にはLCD等の図示せぬ表示パネルが搭載されており、この表示パネルの表示面はディスプレイ本体4の前面に露出している。また、表示パネルの背面側には支点切換機構5の構成部品が配置されている。この支点切換機構5によって、シャーシ1(エスカッション3)に対するディスプレイ本体4の回動支点が後述する第1軸支状態と第2軸支状態に切り換えられるようになっている。
【0022】
図1図4に示すように、支点切換機構5は、駆動源であるモータ7と、モータ7の回転軸に固着されたウォーム8に噛合するギア列9と、ギア列9の最終段ギアに噛合されて回転可能な一対の駆動アーム10と、各駆動アーム10に連結されて上下方向へ移動可能な一対の切換レバー11と、各切換レバー11の上端部に連結されて左右方向へ移動可能な一対の上側中継レバー12と、各上側中継レバー12に固着されて一体的に移動する一対の上側可動ピン13(上側被軸止部)と、各切換レバー11の下端部に連結されて左右方向へ移動可能な一対の下側中継レバー14と、各下側中継レバー14に固着されて一体的に移動する一対の下側可動ピン15(下側被軸止部)とによって主に構成されている。
【0023】
モータ7はディスプレイ本体4の下部中央付近に搭載されており、このモータ7の回転量と回転方向も前述した駆動制御部によって制御され、駆動制御部には切換レバー11の上下方向の位置を検出する位置検出スイッチ(図9参照)の検出信号も入力されるようになっている。
【0024】
一対の駆動アーム10はギア列9を挟んだ左右位置に配置されており、これら駆動アーム10は軸部16を中心に互いに逆向きに回転するようになっている。駆動アーム10の外側端部は切換レバー11の下端部に連結されており、この連結部を介して駆動アーム10の回転運動が切換レバー11の直線運動に伝達される。
【0025】
一対の切換レバー11はディスプレイ本体4の左右両側に上下方向(Z1−Z2方向)へ移動動可能に支持されており、これら切換レバー11の上下両端部には階段状のカム孔11a,11bが形成されている。上方のカム孔11aには上側中継レバー12に設けたピン12aが挿入されており、下方のカム孔11bには下側中継レバー14に設けたピン14aが挿入されている。これにより、切換レバー11の上下方向の直線運動がカム孔11a,11bとピン12a,14aを介して上側中継レバー12と下側中継レバー14の左右方向の直線運動に変換される。
【0026】
一対の上側可動ピン13は上側中継レバー12と一体的に左右方向へ移動し、これら上側可動ピン13はエスカッション3に設けられた上部ガイド部3aと係脱可能となっている。また、一対の下側可動ピン15は下側中継レバー14と一体的に左右方向へ移動し、これら下側可動ピン15はエスカッション3に設けられた下部ガイド部3bと係脱可能となっている。
【0027】
すなわち、図2に示すように、切換レバー11が最も上方位置にあるとき、上側可動ピン13はディスプレイ本体4の側面から突出しているが、下側可動ピン15はディスプレイ本体4の側面の内方へ没しており、ディスプレイ本体4は下側可動ピン15を下部ガイド部3bから離脱させたまま上側可動ピン13を上部ガイド部3aに係合させた第1軸支状態となっている。
【0028】
この状態からモータ7の回転によって切換レバー11が最上位置から下方(Z2方向)へ移動すると、図3に示すように、上側中継レバー12のピン12aが上方のカム孔11aの垂直部分を移動するため、上側可動ピン13はディスプレイ本体4の側面から突出した状態を維持するが、下側中継レバー14のピン14aが下方のカム孔11bの傾斜部分を移動するため、下側可動ピン15がディスプレイ本体4の側面から突出し、ディスプレイ本体4は上側可動ピン13を上部ガイド部3aに係合させると共に下側可動ピン15を下部ガイド部3bに係合させた状態(これを中間状態と呼ぶ)となる。
【0029】
さらにモータ7が回転して切換レバー11が最下位置まで移動すると、図4に示すように、上側中継レバー12のピン12aが上方のカム孔11aの垂直部分を越えて傾斜部分を移動するため、上側可動ピン13はディスプレイ本体4の側面の内方へ没した位置へ移動し、下側中継レバー14のピン14aが下方のカム孔11bの傾斜部分を越えて垂直部分を移動するため、下側可動ピン15はディスプレイ本体4の側面から突出した状態を維持し、ディスプレイ本体4は上側可動ピン13を上部ガイド部3aから離脱させたままた下側可動ピン15を下部ガイド部3bに係合させた第2軸支状態となる。
【0030】
このように支点切換機構5によってディスプレイ本体4の回動支点を第1軸支状態と第2軸支状態に切り換えることにより、図5図8に示すように、スライド部材2の前後方向へのスライド移動に伴ってディスプレイ本体4を前傾姿勢だけでなく後傾姿勢に傾動することができる。
【0031】
図5はシャーシ1の前面開口がディスプレイ本体4によって塞がれたクローズ状態を示しており、ディスプレイ本体4はエスカッション3の前方で起立姿勢に保持されている。このとき、スライド部材2は後退方向(Y2方向)の末端位置にあり、シャーシ1に対するディスプレイ本体4の軸支状態は、上側可動ピン13が上部ガイド部3aの上端部と係合すると共に、下側可動ピン15が下部ガイド部3bの下端部と係合する中間状態となっている。
【0032】
この状態で支点切換機構5の作動により下側可動ピン15と下部ガイド部3bの係合を解除した後、すなわち、ディスプレイ本体4を中間状態から第1軸支状態に切り換えた後、スライド部材2を前進方向(Y1方向)に移動させると、図6に示すように、上側可動ピン13が上部ガイド部3a内を下方に向かって摺動し、ディスプレイ本体4は起立姿勢から下端側を前方へ迫り出した後傾姿勢へと変化する。そして、スライド部材2が前進方向の末端位置まで移動すると、図7に示すように、上側可動ピン13は上部ガイド部3aの下端部まで移動し、ディスプレイ本体4は最大後傾角度まで傾動してオープン状態となる。
【0033】
一方、ディスプレイ本体4が起立姿勢に保持されているとき、支点切換機構5の作動により上側可動ピン13と上部ガイド部3aの係合を解除した後、すなわち、ディスプレイ本体4を中間状態から第2軸支状態に切り換えた後、スライド部材2を前進方向(Y1方向)に移動させると、図8に示すように、下側可動ピン15が下部ガイド部3b内を上方に向かって摺動し、ディスプレイ本体4は起立姿勢から上端側を前方へ迫り出した前傾姿勢へと変化する。
【0034】
次に、前述した駆動制御部によるスライド部材2の駆動用モータ6と支点切換機構5の駆動用モータ7の駆動制御について、図9図11を参照しつつ詳細に説明する。
【0035】
図9に示すように、この駆動制御部20は、正チルト用キー21と逆チルト用キー22と第1〜第4位置検出スイッチ23,24,25,26との出力信号を取り込み、これら各信号に基づいてスライド部材2の駆動用モータ6と支点切換機構5の駆動用モータ7の回転量と回転方向を制御する。
【0036】
ここで、正チルトとは、ディスプレイ本体4が下端側を前方へ迫り出す後傾姿勢へ変化する上向きの傾倒動作(図6参照)であり、逆チルトとは、ディスプレイ本体4が下端側を後方へ引き込む前傾姿勢へ変化する下向きの傾倒動作(図8参照)であり、これら両方向の動作は正チルト用キー21と逆チルト用キー22をユーザーが操作することで選択的に指示される。なお、正チルト用キー21と逆チルト用キー22は、ディスプレイ本体4の前面周縁部に配置したスイッチ部品の操作部をユーザーが押圧操作するものや、あるいは、タッチ式表示パネルの表示画面上に表示されたアイコンをユーザーがタッチするものであっても良い。
【0037】
第1および第2位置検出スイッチ23,24は、スライド部材2の前後方向における移動端部の位置を検出するものであり、例えば、スライド部材2の移動方向の両端部に一対のプッシュスイッチを配置し、これらプッシュスイッチをスライド部材2で押圧するように構成すれば良く、スイッチの代わりにエンコーダや可変抵抗器を用いることも可能である。
【0038】
第3および第4位置検出スイッチ25,26は、切換レバー11の上下方向における移動端部の位置を検出するものであり、例えば、切換レバー11の移動方向の両端部に一対のプッシュスイッチを配置し、これらプッシュスイッチを切換レバー11で押圧するように構成すれば良く、スイッチの代わりにエンコーダや可変抵抗器を用いることも可能である。なお、前述したように、切換レバー11が上下方向に往復移動すると、それに伴ってディスプレイ本体4の側面に対する上側可動ピン13と下側可動ピン15の突出状態が変化するようになってため、これら上側可動ピン13と下側可動ピン15の左右方向の移動を位置検出スイッチ24で直接検出するようにしても良い。
【0039】
図10は正チルト動作を実行する手順を示すフローチャートであり、同図に示すように、まず、ユーザーが正チルト用キー21を操作すると(ステップS1)、駆動制御部20は第1位置検出スイッチ23の出力信号がオンになったか否かを判定する(ステップS2)。すなわち、スライド部材2が後退方向の末端位置にあれば第1位置検出スイッチ23からオン信号が出力されるが、スライド部材2が後退位置の手前にあると第1位置検出スイッチ23からオン信号が出力されないため、ステップS2でNoの場合は、モータ6を逆転駆動してスライド部材2が後退方向の末端位置まで移動させた後(ステップS3)、第1位置検出スイッチ23からオン信号が出力された時点でモータ6を停止する。
【0040】
ステップS2でYesの場合はステップS4へ移行し、支点切換機構5の駆動用モータ7を正転駆動して切換レバー11を上方へ移動させた後、第3位置検出スイッチ25の出力信号がオンになったか否かを判定し(ステップS5)、第3位置検出スイッチ25の出力信号がオンになった時点でモータ7を停止する(ステップS6)。すなわち、切換レバー11が上方向の末端位置まで移動することによって第3位置検出スイッチ25がオン動作され、当該位置で下側可動ピン15がディスプレイ本体4の側面から内方へ後退するため、ディスプレイ本体4は下側可動ピン15を下部ガイド部3bから離脱させたまま上側可動ピン13を上部ガイド部3aに係合させた第1軸支状態となる(図2参照)。
【0041】
次に、ステップS7へ移行してスライド部材2の駆動用モータ6を正転駆動し、スライド部材2を後退方向の末端位置から前進方向へ移動させる。これにより、ディスプレイ本体4の支軸4aが前方へ押圧され、上側可動ピン13が上部ガイド部3a内を下方に向かって摺動するため、ディスプレイ本体4は起立姿勢から下端側を前方へ迫り出した後傾姿勢へと変化する(図6参照)。
【0042】
次に、ステップS8へ移行して第2位置検出スイッチ24からオン信号が出力されたか否かを判定し、第2位置検出スイッチ24がオン動作した時点でモータ6を停止する(ステップS9)。すなわち、スライド部材2が前進方向の末端位置まで移動することによって第2位置検出スイッチ24がオン動作され、当該位置でディスプレイ本体4は最大後傾角度に移行してオープン状態となり、この時点で正チルト動作が完了する。
【0043】
図11は逆チルト動作を実行する手順を示すフローチャートであり、この逆チルト動作は、支点切換機構5の駆動用モータ7の回転方向が相違する点を除くと正チルト動作と基本的に同様である。
【0044】
すなわち、ユーザーが逆チルト用キー22を操作すると(ステップS10)、第1位置検出スイッチ23からオン信号が出力されたか否かを判定し(ステップS11)、ステップS11でNoの場合は、モータ6を正転駆動してスライド部材2を後退方向の末端位置まで移動させた後(ステップS12)、第1位置検出スイッチ23からオン信号が出力された時点でモータ6を停止する。
【0045】
ステップS11でYesの場合はステップS13へ移行し、支点切換機構5の駆動用モータ7を正チルト動作時と逆向きに駆動して切換レバー11を下方へ移動させた後、第4位置検出スイッチ26の出力信号がオンになったか否かを判定し(ステップS14)、第4位置検出スイッチ26の出力信号がオンになった時点でモータ7を停止する(ステップS15)。すなわち、切換レバー11が下方向の末端位置まで移動することによって第4位置検出スイッチ26がオン動作され、当該位置で上側可動ピン13がディスプレイ本体4の側面から後退するため、ディスプレイ本体4は上側可動ピン13を上部ガイド部3aから離脱させたまま下側可動ピン15を下部ガイド部3bに係合させた第2軸支状態となる(図4参照)。
【0046】
次に、ステップS16へ移行してスライド部材2の駆動用モータ6正転駆動し、スライド部材2を後退方向の末端位置から前進方向へ移動させる。これにより、ディスプレイ本体4の支軸4aが前方へ押圧され、下側可動ピン15が下部ガイド部3b内を上方に向かって摺動するため、ディスプレイ本体4は起立姿勢から上端側を前方へ迫り出した前傾姿勢へと変化する(図8参照)。
【0047】
次に、ステップS17へ移行して第2位置検出スイッチ24からオン信号が出力されたか否かを判定し、第2位置検出スイッチ24がオン動作した時点でモータ6を停止する(ステップS18)。すなわち、スライド部材2が前進方向の末端位置まで移動することによって第2位置検出スイッチ24がオン動作され、当該位置でディスプレイ本体4は最大前傾角度となり、この時点で逆チルト動作が完了する。
【0048】
なお、正チルト動作によって後傾姿勢となったディスプレイ本体4を逆チルト動作する場合や、逆チルト動作によって前傾姿勢となったディスプレイ本体4を正チルト動作する場合、ディスプレイ本体4の回動支点が第1軸支状態から第2軸支状態へ、または第2軸支状態から第1軸支状態へと切り換えられるが、その際に、支点切換機構5は中間状態(図3参照)を経由して第1軸支状態と第2軸支状態に切り換えることになる。すなわち、起立姿勢にあるときのディスプレイ本体4は、上側可動ピン13を上部ガイド部3aに係合させると共に下側可動ピン15を下部ガイド部3bに係合させた中間状態(図3参照)となっているため、ディスプレイ本体4の回動支点が第1軸支状態と第2軸支状態との間で切り換えられる途中で、上側可動ピン13と下側可動ピン15の両方が対応するガイド部3a,3bから脱落してしまうことはなく、ディスプレイ本体4を正逆両方向に確実にチルト動作することができる。
【0049】
以上説明したように、本実施形態例に係る可動ディスプレイ装置では、ディスプレイ本体4に搭載した支点切換機構5によってディスプレイ本体4の回動支点を第1軸支状態と第2軸支状態に切り換えるだけで、スライド部材2の前後方向へのスライド移動に伴ってディスプレイ本体4が上向きまたは下向きの姿勢に傾動するため、シャーシ1内の部品配置スペースが圧迫されてしまうことを防止しつつ、ディスプレイ本体4の上向きと下向き両方向への傾動動作を行うことができる。
【0050】
また、本実施形態例では、支点切換機構5は中間状態を経由して第1軸支状態と第2軸支状態に切り換え可能となっており、この中間状態でディスプレイ本体4が上側可動ピン13を上部ガイド部3aに係合させると共に下側可動ピン15を下部ガイド部3bに係合させるようになっているため、ディスプレイ本体4の傾倒方向の切り換え動作をスムーズかつ確実に行うことができる。
【0051】
また、本実施形態例では、支点切換機構5が、上側可動ピン13と下側可動ピン15を互いに逆向きに移動させる切換レバー11と、この切換レバー11を動作させる駆動アーム10とを備えており、切換レバー11がディスプレイ本体4の左右両側にそれぞれ設けられているため、支点切換機構5の切換動作を安定させることができる。
【0052】
なお、上記実施形態例では、支点切換機構5の駆動アーム10をモータ7を駆動源として回動することにより、上側可動ピン13と下側可動ピン15の出入動作を行うようにしているが、例えば、駆動アーム10の近傍に偏心板を回転自在に配設し、この偏心板をディスプレイ本体4の外部からユーザーが手動操作することによって駆動アームを回動するようにしても良い。
【0053】
また、上記実施形態例では、ディスプレイ本体側に可動ピンを設けてエスカッション側にガイド部を設けたが、これとは逆に、ディスプレイ本体側にガイド部を設けてエスカッション側に可動ピンを設けても良い。
【0054】
また、上記実施形態例では、ディスプレイ本体の可動ピンがエスカッションに対して上下方向にスライド可能に軸止されると共に、ディスプレイ本体の中間部がスライド部材の前端部に対して上下方向にスライド不能に軸支されているが、これとは逆に、ディスプレイ本体の中間部がスライド部材の前端部に対して上下方向にスライド可能に軸支されると共に、ディスプレイ本体の可動ピンがエスカッションに対して上下方向にスライド不能に軸止されるようにしても良い。
【符号の説明】
【0055】
1 シャーシ
2 スライド部材
2a 軸孔
3 エスカッション
3a 上部ガイド部(上部軸支部)
3b 下部ガイド部(下部軸支部)
4 ディスプレイ本体
4a 支軸
5 支点切換機構
6 モータ
7 モータ
8 ウォーム
9 ギア列
10 駆動アーム
11 切換レバー
11a,11b カム孔1
12 上側中継レバー
12a ピン
13 上側可動ピン(上側被軸止部)
14 下側中継レバー
14a ピン
15 下側可動ピン(下側被軸止部)
16 軸部
20 駆動制御部
21 正チルト用キー
22 逆チルト用キー
23 第1位置検出スイッチ
24 第2位置検出スイッチ
25 第3位置検出スイッチ
26 第4位置検出スイッチ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12