【解決手段】役務提供の依頼を受け付けるためのフォーを役務提供者に提供するフォーム提供部11と、ウェブページ上に設定されたフォームへの入力を通じて依頼者から役務提供の依頼が行われたときに、その旨を役務提供者に通知する依頼通知部12と、役務提供者が作成したコンテンツを取得したときに、役務提供が完了したことを依頼者に通知する完了通知部14と、対価の支払いを確認してコンテンツを依頼者に提供するコンテンツ提供部15とを備え、役務提供者がフォームの提供を受けてウェブページ上に設定するだけで、役務提供の依頼を随時受け付けるための環境を構築することができるようにするとともに、納品と支払いに関するリスクを軽減することができるようにする。
上記フォーム提供部は、上記ウェブページのソース文中に埋め込んで上記フォームを設定するための埋め込みタグを提供することを特徴とする請求項2に記載のサーバ装置。
上記コンテンツ取得部は、上記役務提供者が作成した上記コンテンツを取得するための第2のフォームへの入力を通じて、上記コンテンツを取得することを特徴とする請求項2または3に記載のサーバ装置。
【背景技術】
【0002】
近年、企業が外部に専門性の高い業務を委託する「アウトソーシング」と対比される業務形態として、いわゆる「クラウドソーシング」が注目されている。クラウドソーシングは、インターネットの普及に伴い発展してきた業務形態であり、公募するような形で社外の不特定の人に業務を委託するというものである。クラウドソーシングは、例えば、各種コンテンツの作成といった役務を外部の人から調達することにより、目指すべき成果を得ることを目的として行われる。
【0003】
クラウドソーシングの依頼主は、成果物や情報を比較的安価に大量に収集することが可能というメリットを享受することができる。一方、外部の役務提供者は、自らの最も得意な領域における知識や経験を活かして仕事をすることができることや、自尊心を満たすことができること、空き時間を有効に活用することができること、金銭的な利益を得ることができること等のメリットを享受することができる。クラウドソーシングは、このお互いの利益のバランスの上に成り立つ新たな業務形態である。
【0004】
上記の通り、クラウドソーシングは、基本的には依頼者から委託したい業務内容を公募の形で公表し、それに応募した第三者が役務を提供するものである。そして、依頼者と役務提供者との関係は1:n(n≧1)となる。しかしながら、この場合、役務提供者が自身の知識・経験・スキルを提供できるのは、1人の依頼者に限定される。そのため、役務提供者からすると、自身のスキル等を十分に発揮し切れていない感覚が残ってしまう。自分のスキル等を活かせる公募を多数探して応募すればよいのであるが、非常に手間がかかるという問題があった。
【0005】
なお、互いに面識のない依頼者と役務提供者との間で行われる取引のリスクを軽減することを目的として、役務提供の対価を依頼者から第三者機関に寄託し、役務提供者により役務の提供が履行されたことを確認したときに、第三者機関から役務提供者に対価の支払いを行うようにしたエスクローシステムが提供されている(例えば、特許文献1〜3参照)。逆に、対価の支払いを条件として役務(通信サービス)の提供を行うようにしたシステムも知られている(例えば、特許文献4参照)。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態による役務授受支援システムの全体構成例を示す図である。
図1に示すように、本実施形態の役務授受支援システムは、サーバ装置10と、役務提供者が使用する役務提供者端末20と、役務提供の依頼者が使用する依頼者端末30とを備えて構成されている。役務提供者端末20および依頼者端末30は、それぞれインターネット等の通信ネットワークを介してサーバ装置10に接続可能に構成されている。サーバ装置10は、役務提供者端末20と依頼者端末30との間で行われる役務の授受を支援するための処理を実行する。
【0013】
図2は、本実施形態によるサーバ装置10の機能構成例を示すブロック図である。
図2に示すように、本実施形態のサーバ装置10は、その機能構成として、フォーム提供部11、依頼通知部12、コンテンツ取得部13、完了通知部14およびコンテンツ提供部15を備えている。
【0014】
上記各機能ブロック11〜15は、ハードウェア、DSP(Digital Signal Processor)、ソフトウェアの何れによっても構成することが可能である。例えばソフトウェアによって構成する場合、上記各機能ブロック11〜15は、実際にはコンピュータのCPU、RAM、ROMなどを備えて構成され、RAMやROM、ハードディスクまたは半導体メモリ等の記録媒体に記憶されたプログラムが動作することによって実現される。
【0015】
フォーム提供部11は、役務提供者が役務提供の依頼を受け付けるためのフォームを役務提供者端末20に提供する。このフォームは、役務提供者が任意のウェブページ上に設定して使用することができるようになされたものである。具体的には、フォーム提供部11は、ウェブページのソース文中に埋め込んでフォームを設定するための埋め込みタグを提供する。
【0016】
例えば、役務提供者端末20からサーバ装置10にアクセスし、フォーム提供の依頼操作を行うと、フォーム提供部11は、フォームを設定するための埋め込みタグを提供する。
図3は、このフォーム提供時における画面遷移例を示す図である。
【0017】
図3(a)は、役務提供者端末20からサーバ装置10にアクセスしたときに役務提供者端末20に表示される新規フォーム作成依頼画面の一例を示している。この例では、タイトル入力欄31に所望のタイトルを入力し、メッセージ入力欄32に所望のメッセージを入力した上で、フォーム作成ボタン33を押下することにより、フォーム提供の依頼操作を行うことができるようになっている。
【0018】
図3(b)は、フォーム作成ボタン33が押下されたときに遷移して表示される画面の一例を示している。この例では、フォーム提供部11により生成された埋め込みタグがタグ表示欄34に表示されている。役務提供者は、この表示された埋め込みタグをコピーして、任意のウェブページのソース文中に埋め込むことが可能である。
【0019】
この埋め込みタグは、タイトル入力欄31に入力されたタイトルと、メッセージ入力欄32に入力されたメッセージと、依頼者が役務提供を依頼する際に入力する必要事項の入力欄とをウェブページ上の所定位置に表示させるための機能を有するタグである。また、この埋め込みタグは、依頼者が入力欄に入力した必要事項をサーバ装置10に送信するための機能も有している。
【0020】
図4は、埋め込みタグをソース文中に埋め込んだウェブページの表示例を示す図である。
図4に示す例では、フォームのタイトル41と、役務提供者から依頼者に伝えるメッセージ42と、依頼者が役務提供を依頼する際に入力する必要事項の入力欄43と、送信ボタン44とが画面右側の領域に表示されている。
図4の例では、役務授受支援システムにて支援の対象とする役務が翻訳であり、その翻訳を依頼する際に入力すべき必要事項として、依頼者の名前(省略可)、メールアドレス、タイトル(省略可)、翻訳原文の4つが設定されている。
【0021】
埋め込みタグが埋め込まれたウェブページに依頼者端末30からアクセスし、依頼者が入力欄43に必要事項を入力して送信ボタン44を押下すると、当該必要事項の情報が埋め込みタグの機能によってサーバ装置10に送信される。
【0022】
依頼通知部12は、フォーム提供部11により役務提供者端末20に提供されてウェブページ上に設定されたフォームに対する依頼者端末30からの入力を通じて、依頼者から役務提供の依頼が行われたことを検知したときに、役務提供の依頼があったことを役務提供者端末20に通知する。
【0023】
すなわち、依頼通知部12は、
図4の送信ボタン44の押下に応じて必要事項の情報が依頼者端末30から送信されてきた場合、依頼者から役務提供の依頼が行われたことを検知し、役務提供の依頼があったことを役務提供者端末20に通知する。このとき依頼通知部12は、必要事項の1つとして含まれている翻訳原文を送信することにより、翻訳依頼の通知を行う。
【0024】
なお、依頼通知部12による依頼の通知は、メールの送信によって行うことが可能である。この場合に使用する役務提供者のメールアドレスは、例えば、役務提供者が役務提供者端末20からサーバ装置10にアクセスしてフォーム提供の依頼を行う際に登録しておく。例えば、サーバ装置10へのログイン情報として役務提供者にメールアドレスとパスワードとを登録させ、これをサーバ装置10に保存しておいて、役務提供者に対する役務提供の依頼通知の際に使用する。これにより、依頼者は、役務提供者のメールアドレスを知らなくても、役務提供者に対して役務の提供を依頼することができる。
【0025】
なお、サーバ装置10から役務提供者端末20にメール送信をする際に、
図4の入力欄43に必要事項の1つとして入力された依頼者のメールアドレスは、送信元アドレスとして使用しない。これにより、依頼者のメールアドレスが役務提供者に知られないようにすることができる。
【0026】
この役務提供の依頼通知を受け取った役務提供者は、自らのスキル等を活かして役務提供を行うことにより、翻訳文というコンテンツを作成する。そして、作成したコンテンツをサーバ装置10に送信する。例えば、依頼通知のメールに付されているハイパーリンクをクリックして役務提供者端末20からサーバ装置10にアクセスし、コンテンツ提供の操作を行うことにより、役務提供者が作成したコンテンツをサーバ装置10にアップロードする。
【0027】
図5は、役務提供者端末20からサーバ装置10にコンテンツをアップロードする際の画面例を示す図である。この画面は、役務提供者が作成したコンテンツをサーバ装置10が役務提供者端末20から取得するための第2のフォームに相当する。
図5に示す例では、タイトル入力欄51と、無料メッセージ入力欄52と、課金メッセージ入力欄53と、フィー入力欄54と返信ボタン55とが表示されている。
【0028】
タイトル入力欄51は、役務提供者から依頼者に返信するメールのタイトルが入力される。なお、
図4の入力欄43に必要事項の1つとしてタイトルが入力されている場合、そのタイトルの先頭に「Re:」の文字を付加した情報を
図5のタイトル入力欄51に自動入力するようにしてもよい。
【0029】
無料メッセージ入力欄52には、役務提供者から依頼者に無料で伝えるメッセージが入力される。課金メッセージ入力欄53には、役務提供者から依頼者に有料で伝えるメッセージが入力される。ここでは、役務提供者が作成したコンテンツ(翻訳文)が課金メッセージ入力欄53に入力される。フィー入力欄54には、役務提供の対価を表す金額が入力される。
【0030】
以上の各入力欄51〜54に役務提供者が情報を入力して返信ボタン55を押下すると、当該各入力欄51〜54に入力された情報がサーバ装置10に送信される。コンテンツ取得部13は、このようにして役務提供者端末20から送信されるコンテンツ、すなわち、役務提供の依頼の通知に応じて役務提供者が役務提供を通じて作成したコンテンツを役務提供者端末20から取得する。
【0031】
上述したように、
図5に示した第2のフォームは、役務提供の対価を表すフィー入力欄54を含んでおり、役務提供者は自由に対価を設定することができるようになっている。コンテンツ取得部13は、課金メッセージ入力欄53に入力された翻訳のコンテンツと共に、フィー入力欄54に入力された対価の情報を取得する。
【0032】
完了通知部14は、コンテンツ取得部13によりコンテンツの取得が行われた場合、役務提供が完了したことを依頼主の依頼者端末30に通知する。このとき完了通知部14が依頼者端末30に通知する情報には、
図5の各入力欄51〜54に入力された情報のうち、課金メッセージ入力欄53に入力された課金メッセージ以外の情報が含まれる。すなわち、返信用のタイトル、無料メッセージおよび役務提供の対価の情報が依頼者端末30に通知される。また、課金メッセージの文字数も依頼者端末30に通知される。
【0033】
この役務提供の完了通知も、メール送信によって行う。この場合に使用する依頼者のメールアドレスは、
図4の入力欄43に必要事項の1つとして入力されたメールアドレスを使用する。これにより、役務提供者は、依頼者のメールアドレスを知らなくても、依頼者に対して役務提供の完了を通知することができる。なお、サーバ装置10から依頼者端末30にメール送信をする際に、役務提供者のメールアドレスは、送信元アドレスとして使用しない。これにより、役務提供者のメールアドレスが依頼者に知られないようにすることができる。
【0034】
図6は、完了通知部14により送信されるメールの記載例を示す図である。
図6の例では、返信用のタイトル61、無料メッセージ62、課金メッセージの文字数63、役務提供の対価64、対価の支払を行うための決済画面に遷移するためのハイパーリンク65の各情報が表示されている。
【0035】
依頼者は、課金メッセージの文字数63や、依頼から納品までの納期、対価の金額などを参照して、提供された役務の品質や信頼性、価格の妥当性などを考慮し、必要に応じて対価を支払う。対価の支払いは、ハイパーリンク65をクリックして遷移する決済画面を通じて行う。
【0036】
コンテンツ提供部15は、完了通知部14による役務提供完了の通知後に、依頼者から役務提供の対価の支払いがあったか否かを確認し、支払いの確認がとれた場合、コンテンツ取得部13により取得済みのコンテンツを依頼主の依頼者端末30に提供する。
【0037】
図6に示したハイパーリンク65のクリックにより遷移した決済画面を通じて対価の支払いが行われると、その決済を行った決済サーバ(図示せず)からサーバ装置10に対して、決済完了の通知が送信される。コンテンツ提供部15は、この決済完了の通知を受けた場合、依頼者から役務提供の対価の支払いがあったと判断し、コンテンツを依頼主の依頼者端末30に提供する。
【0038】
このコンテンツの提供も、メール送信によって行う。
図7は、コンテンツ提供部15により送信されるメールの記載例を示す図である。
図7の例では、
図6に示したメールと同じ返信用のタイトル61および無料メッセージ62の他に、課金メッセージ(翻訳文)73が表示されている。依頼者は、このメールの受信により、依頼した役務の提供(翻訳)を受けることができる。
【0039】
以上詳しく説明したように、本実施形態のサーバ装置10では、役務提供の依頼を受け付けるためのフォームを役務提供者に提供し、当該フォームを役務提供者が任意のウェブページ上に設定して使用することができるようにしている。また、本実施形態のサーバ装置10では、ウェブページ上に設定されたフォームへの入力を通じて、依頼者から役務提供の依頼が行われたときに、役務提供の依頼があったことを役務提供者に通知し、その通知に応じて役務提供者が作成したコンテンツを取得すると、役務提供が完了したことを依頼者に通知する。その後、依頼者から役務提供の対価の支払いがあったことを確認して、コンテンツを依頼者に提供するようにしている。
【0040】
上記のように構成した本実施形態によれば、役務提供者は、自分のスキル等を活かせるクラウドソーシングの公募を自ら探して応募する必要がなく、サーバ装置10からフォームの提供を受けてウェブページ上に設定するだけで、役務提供の依頼を随時受け付けるための環境を構築することができる。そして、そのフォームへの入力を通じて、依頼者から実際に役務提供の依頼が行われた場合、役務提供者は、役務提供を行って作成したコンテンツをサーバ装置10に提供し、これを依頼者が取得すれば、依頼者から支払われた対価を確実に受け取ることができる。一方、依頼者は、役務提供者による役務提供が完了した後に対価の支払いをすればよいので、対価を支払えば確実にコンテンツを取得することができる。
【0041】
以上により、本実施形態によれば、役務提供者が自身のスキル等を十分に発揮し得る場を提供し、かつ、その場を通じて行われる依頼者と役務提供者との間の取引のリスク、すなわち、依頼者が対価を支払ったのにコンテンツを取得できないとか、依頼者がコンテンツを取得したのに役務提供者が対価を取得できないといったリスクを軽減することができる。
【0042】
なお、上記実施形態では、提供する役務の例として翻訳を挙げて説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、占い、命名、悩み相談、ロゴの作成など、テキストデータや画像データ等のコンテンツの作成によって提供可能な役務であれば、どのような役務にも適用することが可能である。
【0043】
また、上記実施形態では、役務授受支援システムが1つの役務(一例として、翻訳)にのみ対応する例について説明したが、複数種類の役務に関する授受の支援を行うことも可能である。この場合、サーバ装置10が提供するフォーム(埋め込みタグ)として、役務の種類毎に変えた複数種類のフォームを役務提供者からの選択に応じて提供するようにしてもよい。
【0044】
また、上記実施形態では、
図7のように、メール本文中にコンテンツを埋め込んで提供する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、メール本文に対してコンテンツのファイルを添付して提供するようにしてもよい。あるいは、コンテンツをダウンロード可能な状態でサーバ装置10に保存しておき、依頼者端末30からサーバ装置10にアクセスしてコンテンツをダウンロードするようにしてもよい。
【0045】
また、上記実施形態では、対価の支払いが確認できたときに、課金メッセージを含んだメールを再送信する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、上記のようにファイル添付またはサーバ装置10からのダウンロードによってコンテンツを提供する場合において、対価の支払い前はコンテンツが利用できないように制限をかけておき、対価の支払いが確認できたときに、制限を解除する鍵情報等を送信するようにしてもよい。
【0046】
その他、上記実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。