特開2017-91718(P2017-91718A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-91718(P2017-91718A)
(43)【公開日】2017年5月25日
(54)【発明の名称】照明モジュール
(51)【国際特許分類】
   F21S 2/00 20160101AFI20170421BHJP
【FI】
   F21S2/00 431
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2015-218340(P2015-218340)
(22)【出願日】2015年11月6日
(71)【出願人】
【識別番号】000227364
【氏名又は名称】株式会社nittoh
(74)【代理人】
【識別番号】100104709
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 誠剛
(72)【発明者】
【氏名】山科 一成
(72)【発明者】
【氏名】望月 恵一
【テーマコード(参考)】
3K244
【Fターム(参考)】
3K244AA05
3K244BA08
3K244BA48
3K244CA03
3K244DA01
3K244EA02
3K244EA14
3K244GA02
3K244GA14
(57)【要約】
【課題】照明モジュールの周縁部における輝度低下を従来よりも抑制できる照明モジュールを提供する。
【解決手段】端面19および第1光出射面32を有する導光板7と、端面19に沿って配列されるとともに端面19から光を入射させる光源8と、導光板7の第1光出射面32の側に配置され、第1光出射面32から出射した光が入射する第1光入射面53と、第1光入射面53から入射した光が出射する第2光出射面4を有する光拡散板2とを有し、光拡散板2は、導光板7側に突出し、導光板7の第1光出射面32の周縁部27のうち少なくとも光源8が配列される端面19側の周縁部27に対向する位置に設けられ、周縁部27から出射する光が入射する第2光入射面51を有する凸条部26を有し、光拡散板2は、第2光出射面4の周縁部13において、第2光射出面4と光拡散板2の外周端面6とを接続する傾斜面14を有する照明モジュール。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
端面および第1光出射面を有する導光板と、
前記端面に沿って配列されるとともに前記端面から光を入射させる光源と、
前記導光板の前記第1光出射面の側に配置され、前記第1光出射面から出射した光が入射する第1光入射面と、この第1光入射面から入射した光が出射する第2光出射面を有する光拡散板とを有し、
前記光拡散板は、前記導光板側に突出し、前記導光板の前記第1光出射面の周縁部のうち少なくとも前記光源が配列される前記端面側の前記周縁部に対向する位置に設けられ、前記周縁部から出射する光が入射する第2光入射面を有する凸条部を有し、
前記光拡散板は、前記第2光出射面の周縁部において、前記第2光射出面と前記光拡散板の外周端面とを接続する傾斜面を有することを特徴とする照明モジュール。
【請求項2】
請求項1に記載の照明モジュールにおいて、
前記傾斜面は、凸面であることを特徴とする照明モジュール。
【請求項3】
請求項2に記載の照明モジュールにおいて、
前記傾斜面は、曲率中心O1が前記光拡散板の外周端面よりも前記第1光入射面の側に位置する曲面であることを特徴とする照明モジュール。
【請求項4】
請求項3に記載の照明モジュールにおいて、
前記凸条部の前記第2光入射面と前記第2出射面との間隔に対する前記曲面の曲率半径の比率が5%〜75%の範囲内にあることを特徴とする照明モジュール。
【請求項5】
請求項3に記載の照明モジュールにおいて、
前記凸条部の前記第2光入射面と前記第2出射面との間隔に対する前記曲面の曲率半径の比率が10%〜70%の範囲内にあることを特徴とする照明モジュール。
【請求項6】
請求項3に記載の照明モジュールにおいて、
前記凸条部の前記第2光入射面と前記第2出射面との間隔に対する前記曲面の曲率半径の比率が20%〜60%の範囲内にあることを特徴とする照明モジュール。
【請求項7】
請求項3〜6のいずれかに記載の照明モジュールにおいて、
前記第1光出射面の周縁部と前記第2光入射面との間には、前記第1光出射面の周縁部から出射して前記第2光入射面に入射する光の一部を遮蔽する光遮蔽部をさらに有することを特徴とする照明モジュール。
【請求項8】
請求項7に記載の照明モジュールにおいて、
前記光遮蔽部は、前記曲面の周方向の中心O2と前記曲面の曲率中心O1とを通る仮想線L1が前記第2光入射面と交差する位置P1よりも前記第1入射面の側に突出しないことを特徴とする照明モジュール。
【請求項9】
請求項8に記載の照明モジュールにおいて、
前記光遮蔽部は、前記第2光入射面に直交し、かつ、前記曲面の周方向の中心O2を通る仮想線L3が、前記第2光入射面と交差する位置P2よりも前記第1入射面の側に突出していることを特徴とする照明モジュール。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれかに記載の照明モジュールにおいて、
前記導光板および前記光源を収容する保持ケースをさらに有し、
前記光拡散板の外周端面は、前記保持ケースの外周側面と同一面内に配置されるか、または、前記保持ケースの外周側面よりも外側に配置されることを特徴とする照明モジュール。
【請求項11】
請求項10に記載の照明モジュールにおいて、
前記保持ケースの外周側面の厚みが、前記光拡散板の外周端面の厚さよりも薄いことを特徴とする照明モジュール。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれかに記載の照明モジュールを複数備え、
前記複数の照明モジュールは、光拡散板の外周端面同士が接触するように配置されてなることを特徴とする大型照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
LED(Light Emitting Diode)光源を用いた面発光装置である照明モジュールにおいては、照明モジュールの光出射面の明るさを均一化するための構造を採用している。特許文献1には、導光板の端面に沿ってLED光源を配置し、導光板から出射した光を光拡散板に入射し、光拡散板の光出射面から光を出射する照明モジュールが開示されている。この照明モジュールにおいては、光拡散板の周縁部に、導光板の光出射面に対向する凸条部を設け、この凸条部に入射する光を制御することで、照明モジュールの周縁部における輝度低下を抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−150049号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、照明分野においては、照明モジュールの商品価値を高めるために、照明モジュールの周縁部における輝度低下をより一層抑制したいというニーズがある。また、複数の照明モジュールを並置して大型の照明装置を構成する場合にも、照明モジュールの境目を目立たないようにする必要があることから、照明モジュールの周縁部における輝度低下をより一層抑制したいというニーズがある。
【0005】
そこで、本発明は、上記した事情に鑑みてなされたものであり、照明モジュールの周縁部における輝度低下を従来よりも抑制できる照明モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[1]本発明の照明モジュールは、端面および第1光出射面を有する導光板と、前記端面に沿って配列されるとともに前記端面から光を入射させる光源と、前記導光板の前記第1光出射面の側に配置され、前記第1光出射面から出射した光が入射する第1光入射面と、この第1光入射面から入射した光が出射する第2光出射面を有する光拡散板とを有し、前記光拡散板は、前記導光板側に突出し、前記導光板の前記第1光出射面の周縁部のうち少なくとも前記光源が配列される前記端面側の前記周縁部に対向する位置に設けられ、前記周縁部から出射する光が入射する第2光入射面を有する凸条部を有し、前記光拡散板は、前記第2光出射面の周縁部において、前記第2光射出面と前記光拡散板の外周端面とを接続する傾斜面を有することを特徴とする。
【0007】
本発明の照明モジュールによれば、光拡散板が第2光出射面の周縁部において傾斜面を有することから、第2光出射面の周縁部(傾斜面)から出射する光線の立ち上がり角度を従来よりも大きくすることができる(後述する図11参照。)。これにより、第2光出射面を出射側から見たときに、照明モジュールの周縁部における輝度低下を従来よりも抑制することができる。
【0008】
また、本発明の照明モジュールによれば、上記の結果、複数の照明モジュールを並置したときに、隣接する照明モジュール間の輝度の落ち込みが少ない大判の照明装置を構成することができる。また、本発明の照明モジュールによれば、光拡散板が第2光出射面の周縁部において傾斜面を有することから、非点灯時においても、隣接する照明モジュール間の境目が目立ち難い大判の照明装置を構成することができる。
【0009】
[2]本発明の照明モジュールにおいては、前記傾斜面は、凸面であることが好ましい。
【0010】
本発明の照明モジュールによれば、傾斜面が凸面であることから、傾斜面の外周側ほど、第2光出射面の周縁部(傾斜面)から出射する光線の立ち上がり角度を大きくすることができる(後述する図11参照。)。これにより、第2光出射面を出射側から見たときに、照明モジュールの周縁部における輝度低下をより一層抑制することができる。
【0011】
[3]本発明の照明モジュールにおいては、前記傾斜面は、曲率中心O1が前記光拡散板の外周端面よりも前記第1光入射面の側に位置する曲面であることが好ましい。
【0012】
本発明の照明モジュールによれば、傾斜面が上記したような曲面であることから、傾斜面の外周側ほど、第2光出射面の周縁部(傾斜面)から出射する光線の立ち上がり角度を大きくすることができる(後述する図11参照。)。これにより、第2光出射面を出射側から見たときに、照明モジュールの周縁部における輝度低下をより一層抑制することができる。
【0013】
また、本発明の照明モジュールによれば、傾斜面が上記したような曲面であることから、第2光出射面の周縁部(傾斜面)から出射する光線の立ち上がり角度の変化を連続的にすることができるので、輝度の変化が滑らかになり視者に輝度むらを感じさせ難くすることができる。
【0014】
[4]本発明の照明モジュールにおいては、前記凸条部の前記第2光入射面と前記第2出射面との間隔に対する前記曲面の曲率半径の比率が5%〜75%の範囲内にあることが好ましい。
【0015】
上記比率が5%未満の場合には、曲面に入射する光量が小さい(すなわち、曲面よりも第2光出射面の中心側の平坦な面に入射する光量が大きい)ことから(後述する図14(c)参照。)、照明モジュールの周縁部における輝度向上効果が視者に十分視認できるほどには高くならない(後述する図14(b)参照。)。これに対して、上記比率が5%以上の場合には、曲面に入射する光量が大きくなることから(後述する図15(c)参照。)、照明モジュールの周縁部における輝度向上効果が視者に十分視認できる程高くなる。
【0016】
一方、上記比率が75%を超える場合には、曲面の長さに占める光線Hの幅の割合が小さくなるとともに、凸状部内の光路長が短くなることから(後述する図23(c)参照。)、曲面における輝度が高くなり、輝度むらが大きくなり好ましくない(後述する図23(b)参照。)。これに対して、上記比率が75%以下の場合には、曲面の長さに占める光線Hの幅の割合が上記比率が75%を超える場合よりも大きくなるとともに、凸状部内の光路長が上記比率が75%を超える場合よりも長くなることから(後述する図22(c)参照。)、曲面における輝度が低くなり、上記比率が75%を超える場合よりも輝度むらが目立たなくなる(後述する図22(b)参照。)。なお、ここでいう光線Hとは、第2光入射面から入射し内側側面で全反射した光のうち凸条部26内を散乱しない状態で進行する光線をいう。
【0017】
なお、後述する図15(b)においては、照明モジュールの周縁部における輝度が図14(b)の場合と比べてそれほど向上していないようにも見えるが、実際に周縁部を出射側から見た場合の官能評価においては、上記比率が5%〜75%の範囲内で周縁部の輝度の向上と均一化が観察され、第2光出射面の全面の輝度分布についても周縁部を含め輝度の均一化を図ることができることが確認されている。
【0018】
[5]本発明の照明モジュールにおいては、前記凸条部の前記第2光入射面と前記第2出射面との間隔に対する前記曲面の曲率半径の比率が10%〜70%の範囲内にあることが好ましい。
【0019】
上記比率が10%以上の場合には、曲面に入射する光量がより一層大きくなることから(後述する図15(c)参照。)、周縁部における輝度向上効果がより一層高くなる(後述する図15(b)参照。)。一方、上記比率が70%以下の場合には、曲面の長さに占める光線Hの幅の割合がより一層大きくなるとともに、凸状部内の光路長がより一層長くなることから(後述する図21(c)参照。)、曲面における輝度が低くなり、より一層輝度むらが目立たなくなる(後述する図21(b)参照。)。
【0020】
[6]本発明の照明モジュールにおいては、前記凸条部の前記第2光入射面と前記第2出射面との間隔に対する前記曲面の曲率半径の比率が20%〜60%の範囲内にあることが好ましい。
【0021】
上記比率が20%以上の場合には、曲面に入射する光量がより一層大きくなることから(後述する図16(c)参照。)、周縁部における輝度向上効果がより一層高くなる(後述する図16(b)参照。)。一方、上記比率が60%以下の場合には、曲面の長さに占める光線Hの幅の割合がより一層大きくなるとともに、凸状部内の光路長がより一層長くなることから(後述する図20(c)参照。)、曲面における輝度が低くなり、より一層輝度むらが目立たなくなる(後述する図20(b)参照。)。
【0022】
[7]本発明の照明モジュールにおいては、前記第1光出射面の周縁部と前記第2光入射面との間には、前記第1光出射面の周縁部から出射して前記第2光入射面に入射する光の一部を遮蔽する光遮蔽部をさらに有することが好ましい。
【0023】
本発明の照明モジュールによれば、光拡散板(第2光出射面)の周縁部は光源に近いため、内側に比べて輝度が高くなり易い。そこで、上記箇所に光遮蔽部を備えることで、凸条部に入射する光の一部を遮蔽して、周縁部における輝度むらを低減できる。
【0024】
[8]本発明の照明モジュールにおいては、前記光遮蔽部は、前記曲面の周方向の中心Oと前記曲面の曲率中心O1とを通る仮想線L1が前記第2光入射面と交差する位置P1よりも前記第1入射面の側に突出しないことが好ましい。
【0025】
このような構成とすることにより、光拡散板2の第2光入射面から入射する光の光量をある程度確保することが可能となることから、第2光出射面を出射側から見たときの周縁部の輝度の低下を抑制できる。
【0026】
[9]本発明の照明モジュールにおいては、前記光遮蔽部は、前記第2光入射面に直交すし、かつ、前記曲面の周方向の中心O2を通る仮想線L3が、前記第2光入射面と交差する位置P2よりも前記第1入射面の側に突出していることが好ましい。
【0027】
このような構成とすることにより、光源から周縁部に直接進行する光線を遮断できることから、周縁部における輝度むらをより一層低減できる。
【0028】
[10]本発明の照明モジュールにおいては、前記照明モジュールが前記導光板および前記光源を収容する保持ケースをさらに有し、前記光拡散板の外周端面は、前記保持ケースの外周側面と同一面内に配置されるか、または、前記保持ケースの外周側面よりも外側に配置されることが好ましい。
【0029】
このように、光拡散板の外周端面が、保持ケースの外周側面と同一面内に配置されるか、または、保持ケースの外周側面よりも外側に配置されることで、照明モジュールを出射面側から見たときに、保持ケースの外周側面が見え難くなる。また、複数の照明モジュールを並置したときに、隣接する光拡散板の外周端面同士を密着でき、個々の光拡散板の周囲に暗部が生じることを防ぐことができる。なお、光拡散板の外周端面は、前記保持ケースの外周側面よりもマイナス公差分だけ突出することが好ましい。
【0030】
[11]本発明の照明モジュールにおいては、前記保持ケースの外周側面の厚みが、前記光拡散板の外周端面の厚さよりも薄いことが好ましい。
【0031】
このように、保持ケースの厚みが、光拡散板の厚みよりも薄いことから、照明モジュールを出射方向の斜めから見たときに、保持ケースを見難くすることができる。
【0032】
[12]本発明の大型照明装置は、本発明の照明モジュールを複数備え、前記複数の照明モジュールは、光拡散板の外周端面同士が接触するように配置されてなることを特徴とする。
【0033】
本発明の大型照明装置によれば、隣接する照明モジュール間の境目をより一層目立たないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】実施形態に係る係る照明1モジュールを示す外観図である。
図2図1に示す照明モジュール1を表面側から見た平面図で、各光源部の配置の概略を示す説明図である。
図3図1に示す照明モジュール1を裏面側から見た斜視図である。
図4図3の切断線A−Aで切断した切断面を示す断面図である。
図5】LED光源から出射した光が光拡散板の第2光出射面から出射するまでの光の経路を示す説明図である。
図6図3の切断線B−Bで切断した切断面を示す断面図である。
図7図3の切断線C−Cで切断した切断面を示す断面図である。
図8図3の切断線D−Dで切断した切断面を示す断面図で、LED基板の回路接続部を保持ケースとフレームの間に介在する位置の固定構造を示す図である。
図9図8に対して、保持ケースとフレームの間にLED基板が介在しない位置の固定構造を示す断面図である。
図10】LED基板と接続基板の接続構造の一部を示す図である。
図11】実施形態に係る照明モジュールの効果を説明するために示す図である。
図12】光遮光部46の突出量を説明するために示す図である。
図13】試験例におけるシミュレーション方法を示す図である。
図14】設計例1におけるシミュレーション結果を示す図である。
図15】設計例2におけるシミュレーション結果を示す図である。
図16】設計例3におけるシミュレーション結果を示す図である。
図17】設計例4におけるシミュレーション結果を示す図である。
図18】設計例5におけるシミュレーション結果を示す図である。
図19】設計例6におけるシミュレーション結果を示す図である。
図20】設計例7におけるシミュレーション結果を示す図である。
図21】設計例8におけるシミュレーション結果を示す図である。
図22】設計例9におけるシミュレーション結果を示す図である。
図23】設計例10におけるシミュレーション結果を示す図である。
図24】傾斜面14の変形例を説明するために示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明の実施の形態に係る照明モジュールについて、図面を参照しながら説明する。
【0036】
1.照明モジュールの構成
図1は、実施形態に係る照明モジュール1を示す外観図であり、上段に記載の(A)は斜視図、下段に記載の(B)は側面図である。なお、以下の説明において、矢視X1方向を右側(右辺側)、矢視X2方向を左側(左辺側)、矢視Y1方向を前方(前辺側)、矢視Y2方向を後方(後辺側)、矢視Z1方向を上方向(上面側)、矢視Z2方向を下方向(下面側)とそれぞれ規定して説明する。また、矢視Z1方向を表面側、矢視Z2方向を裏面側と記載することがある。なお、上方向(上面側)である矢視Z1方向は、照明モジュール1の照明方向、すなわち照明光の出射側である。
【0037】
図1(A),(B)に示すように、照明モジュール1は、表面側に光拡散板2が配置され、裏面側にケース部材である保持ケース3が配置されている。保持ケース3は、熱伝導率が高い金属板で形成されるが、軽量化の観点からアルミニウム製とすることが好ましい。光拡散板2と保持ケース3とは、複数の固定部材によって一体化されている。光拡散板2の上面は、外部に光を射出する第2光出射面4である。なお、固定部材による固定構造については、図6図9を参照して後述する。保持ケース3の外周側面5は、光拡散板2の外周側面6と同一面内に配置されるか、光拡散板2の外周側面6の内側に配置される。光拡散板2と保持ケース3で挟まれた空間には、後述する導光板7、光源であるLED光源8、フレーム9、および光遮蔽フレーム10などが収容されている(図2図4参照)。保持ケース3の4辺の周縁部11の上下方向の厚みは、周縁部11の内側部分12の厚みよりも薄く形成されている。すなわち、内側部分12は、周縁部11に対して下方に凸となっている。また、内側部分12は、周縁部11から上方に少しくぼんだ溝部24から下方に突出するように形成されている(図3参照)。なお、以下に示す照明モジュール1は、左右方向の長さが600mm、前後方向の長さ(幅)が300mmの長方形で、周縁部11の厚みが約10mm、内側部分の厚みが約12mmの薄い扁平な場合を例示している。
【0038】
図2は、照明モジュール1を表面側から見た平面図で、各光源部の概略の配置を示す説明図である。図2に示すように、照明モジュール1は、左辺側の第1の光源部15と右辺側の第2の光源部16と、前辺側の第3の光源部17と、後辺側の第4の光源部18とを有している。第1の光源部15と第2の光源部16とは、互いに対向するように配置されている。また、第3の光源部17と第4の光源部18とについても、互いに対向するように配置されている。第1の光源部15から第4の光源部18の4つの光源部のそれぞれには、複数のLED光源8が導光板7の各辺に設けられた端面19に沿って配列されている。また、LED光源8および端面19を覆うように光遮蔽フレーム10が配置されている。第1の光源部15から第4の光源部の4つの光源部の各々に配置されるLED光源8の数やピッチは、図2では分かりやすく図示するために簡略化して表しているが、要求される明るさや第2光出射面4の広さによって適宜選択可能である。なお、図2に示すように、光遮蔽フレーム10は、左辺側と右辺側は同じもので対向する関係にあり、前辺側と後辺側は同じもので対向する関係にあり、左右のものと前後のものは、長さのみが異なるものとなっているため、以下の説明では、左辺側を例示して説明する。
【0039】
図2に示すように、導光板7には、各4辺の端面19からLED光源8に向かう方向に突出される凸部20が間隔を開けて設けられ、隣り合う凸部20の間にLED光源8が配設されている(図4図6も参照)。図2に示す凸部20の位置と、隣り合う凸部20の間に配置されるLED光源8の数や位置は、分かりやすくするために簡略化して表しているが、任意に設定可能である。
【0040】
図3は、照明モジュール1を裏面側から見た斜視図である。保持ケース3には、4つの辺に連続する周縁部11と、周縁部11の内側において周縁部11よりも凸となる内側部分12と、周縁部11と内側部分12の間に内側部分12を囲む溝部24とが設けられている。周縁部11には、固定部材として第1のネジであるネジ21および第2のネジであるネジ22が配置されている。また、溝部24には、固定部材として第3のネジであるネジ23が配置されている。ネジ21による固定構造は図6を参照し、ネジ22による固定構造は図7を参照し、ネジ23による固定構造は図8および図9を参照して後述する。なお、対向する左辺側と右辺側の各ネジの配置は対となるように配置され、前辺側と後辺側の各ネジの配置も対となるように配置されている。ネジ21、ネジ22およびネジ23各々の数と配置距離(ピッチ)は、照明モジュール1の平面サイズによって適宜設定される。
【0041】
図4は、図3の切断線A−Aで切断した切断面を示す断面図である。前述したように、照明モジュール1は、左辺側の第1の光源部15と、右辺側の第2の光源部16と、前辺側の第3の光源部17と、後辺側の第4の光源部18とを備えている。第1の光源部15から第4の光源部18の各光源部のそれぞれは、構成要素の数やサイズが異なるものの、構成要素の一つひとつは同様に説明可能であるため、以下の説明では、左辺側の第1の光源部15を代表例として説明する。
【0042】
図4に示すように、照明モジュール1は、導光板7と、導光板7の左辺側の端面19に沿って配列された複数のLED光源8と、LED光源8が出射した光が直接光拡散板2に入射されないように、また、外部に漏れないように遮蔽する断面U字形状(導光版7の側に凹みを有する溝形状)の光遮蔽フレーム10と、導光板7の表面側に沿うように配置される光拡散板2などとを備えている。なお、第1光源部15とは、照明モジュール1の左辺側において、端面19と、複数のLED光源8と、光遮蔽フレーム10と、光拡散板2の左辺側に形成された凸条部26と、凸条部26に対向する部分である導光板7の周縁部27などとが配置された部分を言う。なお、端面19は、図2に示したように、隣り合う凸部20の間に形成される導光板7の側面(凸部20に対する底面に相当する)である。
【0043】
なお、図4では、光源としてLED光源8を用いた場合を例示しているが、光源としては、CCFL(Cold Cathode Fluorescent Lamp:冷陰極蛍光管)、電球(たとえば白熱電球)や蛍光灯などを用いることが可能であって、光源の種類は限定されない。しかし、LED光源は、他の光源と比べ、消費電力が小さい、発熱量が小さい、小型化しやすい、並びにコストなどで優れている。したがって、以下の各図の説明では、光源としてLED光源8を用いた場合を説明する。
【0044】
導光板7の裏面28側(光拡散板2に対して反対側の面)には、反射板29が配置されている。反射板29は、薄い反射シートでもよく、導光板7の裏面28に貼着してもよい。また、反射板に替えて導光板7の裏面28に反射コートを設けてもよく、また、省略することも可能である。反射板29の平面形状は、導光板7の平面外形形状とほぼ同じであるが、LED光源8の下方の少なくとも一部を覆うように配置される。反射板29は、導光板7の裏面28に密接され、導光板7内を進行する光を光拡散板2の方向に反射させる機能を有する。反射板29の下方側には、フレーム9が配設されている。
【0045】
フレーム9は、熱伝導率が高い金属製の板材で形成されるが、軽量化の観点からアルミニウム製とすることが好ましい。フレーム9は、図2および図3に示すように、平面形状が長方形の枠形状をしており、外周枠部30の内側は表裏を貫通する開口部31となっている。外周枠部30の4辺は、ほぼ同じ幅である。したがって、開口部31の平面形状は長方形である。フレーム9は、後述するLED基板35および光遮蔽フレーム10を一体化する機能を有する(図6参照)。なお、図示は省略するが、フレーム9は、開口部31の対角を連結する梁を形成し、補強するようにしてもよい。
【0046】
導光板7は、光透過率が高いアクリル系樹脂で成形され、LED光源8から出射される光が入射される端面19、光拡散板2と対向する第1光出射面32、および第1光出射面32の反対側の面となる裏面28を備えている。端面19は、LED光源8から出射される光の入射面であり、第1光出射面32は、導光板7から光拡散板2に対して光を出射する光出射面である。なお、前述した凸部20のLED光源8に対向する側面も端面19と同様に、LED光源8から出射される光が入射される光入射面といえる。裏面28は、反射板29に密接されると共に、導光板7の内部を進行する光の反射面として機能する。LED光源8は、光源基板であるLED基板35に実装され、端面19に沿って配置されている。LED光源8は、導光板7の厚み範囲に配置されるが、導光板7の厚み方向のほぼ中央に配置すればなおよい。中央に配置することで、中央に配置しない場合に比べて第1光出射面32から出射する光量が多くなる。
【0047】
なお、LED光源8から導光板7の端面19に入射される光の強さは、LED光源8と端面19の距離に左右される。すなわち、LED光源8が端面19に近づけば入射される光の強さが増し、遠ざかれば入射される光の強さが減る。図2に示したように、導光板7には、各4辺の端面19からLED光源8の方向(LED基板35側に)に向かって凸部20が設けられ、隣り合う凸部20の間にLED光源8を配設するようにしている。図4に示すように、凸部20の先端面は、LED基板35の基板側部36に当接されている。つまり、LED光源8と端面19との間隔は、凸部20の先端面の端面19からの距離で規制される。一方、LED基板35のLED光源8が実装される基板側部36は、光遮蔽フレーム10の側部45で左方への移動が規制される。このようにして、LED光源8と端面19の距離がほぼ一定に保持されることで、端面19に入射される光の強さは、ほぼ一定となるように管理可能となる。
【0048】
LED基板35は、フレキシブル基板であって、図10に示すように、LED光源8が実装される基板側部36と、基板側部36の下方側において基板側部36に直交するように曲げられて延在される回路接続部37とを有する。回路接続部37は、右辺方向に向かって延長され、接続基板38を介して回路部39に接続される(図10参照)。回路部39は、LED光源8の点灯制御を行うICチップや抵抗素子などの回路素子を有している。LED基板35は、回路接続部37を光遮蔽フレーム10に設けられた孔部40に挿通することで、回路接続部37を保持ケース3と光遮蔽フレーム10の下板部41との間に配置できるようになっている。
【0049】
LED光源8を構成するLED素子の一つ一つは、白色LED素子であって、回路部39からの入力信号によって、各LED素子からの発光を制御する。なお、LED素子として、赤色LED素子、緑色LED素子および青色LED素子がひとつにパッケージされたタイプのLEDランプを用いることも可能で、回路部39からの入力信号によって、各色のLED素子からの発光、混色により指定色の発光を行うことができる。なお、LED光源8は、LED基板35に実装されて、フレーム9の外周枠部30にネジ21によって固定される。この固定構造は図6を、LED基板35と回路部39の接続構造は図10を参照して後述する。
【0050】
光遮蔽フレーム10は、アルミニウム製の板を曲げ折りして成形されている。光遮蔽フレーム10は、端面19に沿いつつ、LED基板35の基板側部36の背面側に配置される側部45と、側部45の光拡散板2側端部から側部45に直交し右辺側に延長される上板部46と、保持ケース3側端部から側部45に直交し、右辺側に延長される下板部41とを有する。上板部46は、第1光出射面32側に延長されている。上板部46は光遮蔽部であって、以下の説明では光遮蔽部46と記載する。光遮蔽フレーム10は、側部45と下板部41との接続部に表裏を貫通する孔部40を有する。孔部40には、LED基板35の回路接続部37が挿通される。光遮蔽フレーム10は、光遮蔽部46と下板部41との間に導光板7と反射板29およびフレーム9を配設し、ネジ21で一体化して光源ユニット50を構成する(図6参照)。光遮蔽部46は、LED光源8から出射される光がそのまま光拡散板2に入射しないように、つまり、LED光源8の光が、LED光源8よりも図示上方向に配置される光拡散板2に直接入射させない光遮蔽機能を有する。
【0051】
光拡散板2は、光散乱粒子が含まれたアクリル系樹脂で成形されており、図2に示すように平面視において長方形であって、照明モジュール1の平面形状および平面サイズを規定している。つまり、照明モジュール1を真上から見たとき、光拡散板2の下方にある保持ケース3は見えないようになっている。光拡散板2には、導光板7の第1光出射面32に向かって突設された凸条部26が形成されている。凸条部26は、左辺側の第1光源部15、右辺側の第2光源部16、前辺側の第3光源部17、および後辺側の第4光源部18に連続するように形成されている。凸条部26は、導光板7の周縁部27に対向する位置に配置されている。凸条部26の導光板7に対向する先端部平面は、導光板7の第1光出射面32から出射された光が入射される第2光入射面51である。つまり、導光板7の周縁部27は、凸条部26の第2光入射面51と対向する部分をいう。
【0052】
光拡散板2には、LED光源8の配列方向に直交する平面における断面形状において、凸条部26に囲まれた凹部空間52が形成されている。凹部空間52の底面(第1光射出面32に対向する面)である第1光入射面53は、第1光出射面32から出射した光が入射する光入射面である。光拡散板2の外周側面6は、空気に接する面であり、凸条部26の内側側面54は凹部空間52に面し、空気に接する面である。したがって、凸条部26の内側から外周側面6に臨界角を超えて入射する光は、外周側面6で全反射する。また、凸条部26の内側から内側側面54に臨界角を超えて入射する光は、内側側面54で全反射する。外周側面6と内側側面54とは互いに平行な面であり、第2光入射面51は、外周側面6および内側側面54に直交する面である。
【0053】
凸条部26の第2光入射面51は、LED光源8あるいは第1光出射面32(特に周縁部27)から出射する光が光遮蔽部46により遮蔽される領域である遮蔽領域Bと、光遮蔽部46により遮蔽されることなく光が入射する領域である入射領域Cとを有する。すなわち、凸条部26の第2光入射面51と、導光板7の周縁部27との間に光遮蔽部46を配置することにより、周縁部26から出射した光が第2光入射面51に入射する光量を制限することができる。遮蔽領域Bは、LED光源8から出射された光が導光板7を介さずに直接光拡散板2に入射しない広さ(左右方向の幅寸法)を少なくとも有する。また、遮蔽領域Bの広さ(左右方向の幅寸法)と入射領域Cの広さ(左右方向の幅寸法)とは、第1光出射面32から第2光入射面51に入射する光が第2光出射面4から出射する際に、第2光出射面4の全体の明るさが均一となるように設定される。第1光出射面32から第2光入射面51に入射した光は主に、第2光出射面4の周縁部から出射することになる。第2光出射面4の周縁部の明るさが、この周縁部よりも内側の明るさに近づくように、遮蔽領域Bの広さおよび入射領域Cの広さが設定される。遮蔽領域Bの広さをX、入射領域Cの広さをYとすると、X:Yは1:0.5〜1:5が好ましく、X:Yは1:1〜1:3がより好ましい。光拡散板2は、凸条部26の第2光入射面51で光遮蔽フレーム10の光遮蔽部46と密接される。右辺側の光遮蔽フレーム10、前辺側の光遮蔽フレーム10および後辺側の光遮蔽フレーム10も、左辺側の光遮蔽フレーム10と同様な条件で設定される。
【0054】
光拡散板2は、図5に示すように、第2光出射面4の周縁部13において、第2光射出面4と前記光拡散板2の外周端面6とを接続する傾斜面14を有する。実施形態においては、凸面であり、さらに詳しく言えば、曲率中心O1(図12参照)が光拡散板2の外周端面6よりも第1光入射面53の側に位置する曲面である。
【0055】
凸条部26の、第2光入射面51と第2出射面4との間隔に対する曲面の曲率半径の比率は、5%〜75%の範囲内にある。上記比率は、10%〜70%の範囲内にあることが好ましく、20%〜60%の範囲内にあることがより一層好ましい。
【0056】
光遮蔽部46は、曲面の周方向の中心O2と曲面の曲率中心O1とを通る仮想線L1が第2光入射面51と交差する位置P1よりも第1入射面53の側に突出しない。また、光遮蔽部46は、第2光入射面51に直交し、かつ、曲面の周方向の中心O2を通る仮想線L3が、第2光入射面51と交差する位置P2よりも第1入射面53の側に突出している(後述する図12参照。)。
【0057】
照明モジュール1は、導光板7および光源8を収容する保持ケース3をさらに有し、光拡散板2の外周端面6は、保持ケース3の外周側面5と同一面内に配置されるか、または、前記保持ケース6の外周側面5よりも外側に配置される。保持ケース3の外周側面5の厚みは、光拡散板2の外周端面6の厚さよりも薄い。
【0058】
次に、LED光源8から出射された光が、第2光出射面4から出射するまでの光の経路について、図5を参照しながら説明する。図5は、LED光源8から出射した光が光拡散板2の第2光出射面4から出射するまでの光の経路を示す説明図である。左辺側の第1の光源部15側のLED光源8から出射された光の一部は、導光板7の端面19から導光板7内に進入し、たとえば、破線L1で示すように、導光板7の第1光出射面32および裏面28で全反射されながら右辺側に向かって進み、いずれは、第1光出射面32から出射される。LED光源8から出射された光の他の一部には、第1光出射面32または裏面28で全反射されることなく、第1光出射面32から出射されるものもある。
【0059】
右辺側の第2の光源部16のLED光源8から出射された光も左辺側と同様に導光板7の右辺側の端面19から導光板7内に進入する。導光板7内に入射された光は、左辺側に進み、導光板7の第1光出射面32および裏面28で全反射され、いずれは、第1光出射面32から出射される。
【0060】
同様に、前辺側の第3の光源部17のLED光源8から出射された光も、右辺側および左辺側と同様に導光板7の前辺側の端面19から導光板7内に進入する。導光板7内に入射された光は、後辺側に進み、導光板7の第1光出射面32および裏面28で全反射され、いずれは、第1光出射面32から出射される。後辺側の第4の光源部18のLED光源8から出射された光も、前辺側と同様に導光板7の後辺側の端面19から導光板7内に進入する。導光板7内に入射された光は、前辺側に進み、導光板7の第1光出射面32および裏面28で全反射され、いずれは、第1光出射面32から出射される。
【0061】
導光板7の第1光出射面32から出射された光は、光拡散板2の凹部空間52の底面である第1光入射面53、および凸条部26の第2光入射面51に入射され、光拡散板2内を進行して第2光出射面4から出射される。光拡散板2には光散乱粒子が含有されている。そのため、光拡散板2内に入射した光が光拡散板2内で散乱されることで、第2光出射面4から出射する光の照度分布の均一化を図ることができる。
【0062】
LED光源8から出射される光は、LED光源8に近い位置では明るく、遠くなるに従い暗くなる。しかしながら、照明モジュール1は、左辺側の第1の光源部15、右辺側の第2の光源部16、前辺側の第3の光源部17および後辺側の第4の光源部18を備えている。左右方向で対向する第1の高原部15と第2の光源部16とから出射される光が互いに補完しあい、また、前後方向で対向する第3の光源部17と第4の光源部18とから出射される光も互いに補完し合い、導光板7の第1光出射面32の明るさが均一化される。
【0063】
図5に示すように、導光板7のLED光源8に近い周縁部27には、光遮蔽フレーム10の光遮蔽部46が配置されている。光遮蔽部46により、LED光源8および周縁部27から凸条部26へ入射する光が制限される。つまり、第2光入射面51の一部は遮蔽領域Bとなっていて、LED光源8から出射されて第2光入射面51に向かう光の一部は遮蔽領域Bで、すなわち光遮蔽部46により遮蔽される。一方、入射領域Cでは、第1光出射面32から凸条部26の第2光入射面51に向けて出射された光の一部が入射される。
【0064】
凸条部26の第2光入射面51から入射された光の一部は、破線L2で示すように、凸条部26の内側側面54と外周側面6との間で全反射されながら、また、光散乱粒子で散乱されながら進む。そして、光拡散板2の第2光出射面4の主として凸条部26の配置領域上方、すなわち、第2光出射面4のLED光源8が配置される側の周縁部から出射される。凸条26内に入射された光の一部は、内側側面54と外周側面6とで全反射しながら、また、光散乱粒子で散乱されながら進むことで、第2光出射面4から拡散状態で出射される。凸条部26に入射した光は主として凸条部26の配置位置の上方から出射する。このようにして、周縁部を含めて第2光出射面4の明るさが均一化される。なお、第2光出射面4から出射する光は、光散乱粒子で拡散されるので、出射された光の強さと色調(光の波長)は、第2光出射面53の上方において、どの方向から見ても変わらないようになっている。
【0065】
続いて、照明モジュール1の各部の固定構造について図6図9を参照して説明する。これら固定構造は、第1の光源部15から第4の光源部18の各光源部共に、同様な構造であるため、以下の説明では、左辺側の第1の光源部15を例示して説明する。
【0066】
図6は、図3の切断線B−Bで切断した切断面を示す断面図である。LED基板35には、LED光源8が実装されている。そして、LED基板35の回路接続部37を光遮蔽フレーム10に設けられた孔部40に挿入し、光遮蔽フレーム35の下板部41の裏面側に沿わせ、フレーム9側から光遮蔽フレーム10の下板部41、LED基板35の回路接続部37の順に積み重ねる。そして、固定部材であるネジ21を回路接続部37と下板部41とが重なった位置に設けられた貫通孔から挿入し、フレーム9の外周枠部30に固定する。この際、ネジ21による固定前に反射板29と導光板7をフレーム9と光遮蔽部46の間に配設しておく。なお、ネジ軸部55の先端部は、フレーム9を貫通しない。
【0067】
前述したように、LED光源8と端面19とが近づく方向の距離は、凸部20の端面19からの位置(突出量)で規制される。また、LED基板35のLED光源8が実装される基板側部36は、フレーム9の側部45で基板側部36の左方への移動が規制される。一方、LED基板35の前後方向の位置は、光遮蔽フレーム10に設けられた孔部40によって規制される(図10参照)。なお、LED基板35の位置を規制する規制軸をフレーム9に設け、回路接続部37に規制軸を挿通する孔を設けるようにしてもよい。このように、フレーム9、光遮蔽フレーム10、LED光源8を含むLED基板35がネジ21で一体化された構成を光源ユニット50とする。なお、光源ユニット50は、導光板7および反射板29を含む。
【0068】
LED基板35と接続基板38の電気的接続がハンダ固定の場合には、LED基板35に接続基板38を接続した状態で前述したようにネジ21によってフレーム9に固定する。ネジ21を締め付けた後に、保持ケース3を光源ユニット50に取り付けるが、保持ケース3の周縁部11には、ネジ頭部56の逃げ孔57が設けられている。ネジ21の頭部56は、保持ケース3の周縁部11から外面側(裏面側)に突出させない。
【0069】
図7は、図3の切断線C−Cで切断した切断面を示す断面図である。ここでは、光源ユニット50を、光拡散板2に固定する構造について説明する。光源ユニット50は、図6に示したように、フレーム9、光遮蔽フレーム10、およびLED光源8を含むLED基板35が固定部材であるネジ22で一体化された構成となっている。光源ユニット50は、光遮蔽フレーム10の下板部41の貫通孔、フレーム9に設けられた貫通孔Aおよび導光板7に設けられた貫通孔7Aにネジ22のネジ軸部60を挿入し、光拡散板2の凸条部26に固定される。保持ケース3の周縁部11には、ネジ22のネジ頭部58の逃げ孔59が設けられ、ネジ頭部58は、保持ケース3の周縁部11から外面側(裏面側)に突出させないようにしている。
【0070】
なお、導光板7に設けられた貫通孔7Aおよびフレーム9に設けられた貫通孔9Aと、ネジ22のネジ軸部60の間には、光拡散板2と導光板7とフレーム9との温度変化による伸縮の差を吸収できる程度の隙間が設けられている。前述したように、光拡散板2および導光板7は、アクリル系樹脂で成形されていて、フレーム9は、アルミニウム板で成形されている。アクリル系樹脂の熱膨張率は、アルミニウムに対して約3倍である。したがって、温度変化によって、光拡散板2、導光板7およびフレーム9のそれぞれの伸縮量が異なり、温度変化に伴い照明モジュール1が反ってしまうことが考えられる。そこで、導光板7に設けられた貫通孔7Aおよびフレーム9に設けられた貫通孔9Aと、ネジ22のネジ軸部60との間に、この伸縮量の差を吸収できる程度の隙間を設けている。
【0071】
また、ネジ22のネジ軸部60の先端部は、光拡散板2の凸条部26内で第1光入射面53よりも第2光入射面51側になるような長さを有している。図7では、ネジ軸部60の先端部は、第1光入射面53のほぼ延長線上にあるが、ネジの固定強度が得られる範囲で、第2光入射面51側になるようなネジ軸部長さにすることが好ましい。そうすることによって、光拡散板2の外周側面6と内側側面54との間で全反射しながら第2光出射面4から出射する光の経路(図5参照)は、ネジ軸60の先端部から光拡散板2の第2光出射面4までの厚みが十分確保できるから、ネジ22によって妨げられることはない。
【0072】
一方、導光板7には、ネジ挿通用に複数の貫通孔7Aが設けられている。導光板7は、ほぼ全体が光の経路となっているので、貫通孔7Aが光の経路を妨げることも考えられる。しかし、前述したように、導光板7では、左辺側では右辺側からの光で明るさを補完し、右辺側では左辺側からの光で明るさを補完するようになっていて、前辺側および後辺側でも同様に相互に明るさを補完するようになっていて、貫通孔7Aは光の経路を妨げない。
【0073】
図8は、図3の切断線D−Dで切断した切断面を示す断面図で、LED基板35の回路接続部37が保持ケース3とフレーム9との間に介在する位置の固定構造を示す。図6および図7で説明したように、光拡散板2、導光板7、反射板29、光遮蔽フレーム10、およびLED基板35(LED光源8付き)は、ネジ21、ネジ22で一体化されている。この一体化された状態で、保持ケース3は、固定部材であるネジ23によってフレーム9の外周枠部30に固定される。ネジ23による固定は、保持ケース3の溝部24内で行われる。ネジ23のネジ頭部61は、保持ケース3の周縁部11から外面側(裏面側)に突出しない。また、ネジ軸部62の先端部は、フレーム9を貫通しない。
【0074】
図9は、保持ケース3とフレーム9との間にLED基板35を介在させない位置の固定構造を示す断面図である。このような位置では、保持ケース3は、溝部24の形成位置でフレーム9の外周枠部30に直接固定される。したがって、図9に示す固定構造では、図8に示した固定構造よりも、周縁部11の厚みがLED基板35の厚み分薄くなる。なお、ネジ23のネジ頭部61は、保持ケース3の周縁部11から外面側(裏面側)に突出させないようにしている。また、ネジ23のネジ軸部62の先端部は、フレーム9を貫通しない。
【0075】
一つの照明モジュール1において、図8および図9で示した固定構造が混在する。ここで、LED基板35は、フレキシブル基板であって、厚みが約0.15mmであり、回路接続部37は、フレーム9の溝部24の断面形状に倣って容易に変形可能である。一方、保持ケース3の厚みは約0.5mmであり、平面積に対しては極めて薄く、しかも上記2通りの固定部の距離を厚み差に対して大きくしていることで容易に撓むことが可能となっている。したがって、LED基板35を介在させて固定する位置と、LED基板を介在させずに固定する位置において、保持ケース3を裏面側からみても変形の差は認識できない程度の変形である。また、フレーム9は、保持ケース3に対して剛性があり変形しないので、導光板7および光拡散板2における光の経路に影響を与えることはない。
【0076】
前述したように、ネジ21、ネジ22およびネジ23の各ネジ頭部は、保持ケース3の周縁部11の外面側(裏面側)に突出しない構造としている。このようにすれば、照明モジュール1を裏面側から見たときにすっきりした外観が得られると共に、照明モジュール1を壁などに装着する際、固定部材であるネジが邪魔になることがない。
【0077】
次に、LED基板35と接続基板38の接続構造、および厚み方向の配置構造について説明する。
【0078】
図10は、LED基板35と接続基板38の接続構造の一部を示す図であり、上段の(A)は、照明モジュール1を裏面側から見た斜視図、(A)の下段左方の(B)は、(A)の切断線E−Eで切断した切断面を示す断面図、(B)の右方の(C)は、(A)の切断線F−Fで切断した切断面を示す断面図である。図10(A)に示すように、LED基板35は、光遮蔽フレーム10に設けられた孔部40に回路接続部37が挿通され、回路接続部37は、フレーム9の裏面に沿って接続基板38との交差位置まで延長されている。LED基板35の一方の面(裏面35Aとする)および他方の面(表面35Bとする)には、不図示の配線層が形成されている。裏面35A側には、LED光源8が実装されている。裏面35A側の配線層には、LED光源8を実装するための配線が形成される。また、表面35Bの回路接続部37にも不図示の配線層が形成されている。表面35B側の配線層には、接続基板38と電気的接続を行うための配線が形成されている。裏面35A側の配線層と表面35B側の配線層とは、スルーホールなどで接続されている。
【0079】
LED基板35の回路接続部37は、先端部が接続基板38と重ね合わされて接続手段で電気的に接続される。接続基板38の裏面38Aには、不図示の配線層が形成されている。この配線層には、LED基板35(LED光源8)と回路部39とを接続する配線と、外部電源と回路部39とを接続する配線などが形成されている。図10(B)に示すように、LED基板35の表面35Bに設けられた配線層と接続基板38の配線層との接続は、接続手段であるハンダ64によって電気的に接続される。なお、ハンダ接続部の保護および絶縁を兼ねて、2点鎖線で示した領域(図10(A)参照)に樹脂盛り部(ポッティング)65が設けられる。なお、ハンダ接続部と樹脂盛り部とを含めて接続部66とする。接続部66は、フレーム9の外周枠部30の内側(開口部31内)に突出するように配置される。つまり、接続部66は、フレーム9と交差しない位置に配置される。
【0080】
接続基板38の裏面38Aには、回路部39が周知の接合手段によって固定される。回路部39は、LED光源8の点灯制御を行うICチップや抵抗素子などの回路素子を有している。これらの回路素子は、樹脂モールドなどで1パッケージ化して接続基板38に接合してもよく、回路素子単体で接続基板38に接合してもよい。回路部39が1パッケージ化されている場合には、接続基板38に設けられた配線に対応させるように回路部39の端子を配置し、ハンダまたは導電性接着剤などの接合手段で電気的に接続する。また、回路素子単体で接合する場合には、接合後、各回路素子を樹脂モールドなどで覆うことが好ましい。LED基板35と回路部39とは、接続基板38の裏面38Aに設けられた配線層によって接続される。つまり、LED光源8と回路部39とが電気的に接続されている。なお、接続基板38には、不図示のリード線が接続されており、このリード線は、外部の電源部に接続され、回路部39に電力を供給できるようになっている。
【0081】
回路部39は、図10(C)に示すように、接続基板38の裏面38Aに電気的に接続され、フレーム9の外周枠部30と開口部31とを跨ぐような位置に配設されている。フレーム9が無い場合には、回路部39は、たとえば図中39Aで示す位置となる。回路部39を、フレーム9に当接させることで、回路部39とフレーム9との交差量H分だけ接続基板38は保持ケース3側に寄せられる。つまり、LED基板35が撓められ、その弾性力が、回路部39とフレーム9の接触圧となる。回路部39は、LED光源8を点灯することで発熱する。しかし、回路部39と熱伝導率が高いフレーム9とを当接させることにより、回路部39の熱を、フレーム9から保持ケース3に伝達し、保持ケース3に接触している保持ケース3から逃がすようにしている。
【0082】
LED基板35には、裏面35Aおよび表面35B共に、LED光源8との接続部分および接続基板38との接続部分を除く領域全面に絶縁層を設けることが好ましい。また、接続基板38の裏面38A側においても、LED基板35との接続部分および回路部39との接続部分を除く全面に絶縁層を設けることが好ましい。絶縁層を設けることで、他の部材との接触によるショートを防止できる。また、照明モジュール1の使用環境によって結露する場合が考えられるが、そのような場合においても、絶縁層を設けることで結露によるショートを防止できる。
【0083】
図10では、LED基板35と接続基板38との接続手段は、ハンダ64であるが、周知のフレキシブル基板用コネクタを用いて接続することが可能である。図示は省略するが、図10を参照しながら説明する。フレキシブル基板用コネクタは、接続基板38の裏面38Aの所定位置に実装される。LED基板35の先端部をフレキシブル基板用コネクタに差し込めば、LED基板35と接続基板38との電気的接続が可能となる。なお、LED基板35のフレキシブル基板用コネクタへの挿入部に、補強用の基板を設けておけば、フレキシブル基板用コネクタとの接続の信頼性を高められる。フレキシブル基板用コネクタは、接続部66と同様に、フレーム9の開口部31内に、外周枠部30と交差しないように配置される。
【0084】
2.照明モジュールの効果
図11は、実施形態に係る照明モジュールの効果を説明するために示す図である。図12は、光遮光部46の突出量を説明するために示す図である。
【0085】
実施形態に係る照明モジュール1によれば、光拡散板2が第2光出射面4の周縁部13において傾斜面14を有することから、第2光出射面4の周縁部13(傾斜面14)から出射する光線の上方に向けた立ち上がり角度を従来よりも大きくすることができる(図11参照。)。すなわち、傾斜面14により、周縁部13(傾斜部14)から出射する光線が、第2光出射面4に対して直角に近づく方向に出射させられる。これにより、第2光出射面4を出射側から見たときに、照明モジュールの周縁部における輝度低下を従来よりも抑制することができる。
【0086】
また、実施形態に係る照明モジュール1によれば、上記の結果、複数の照明モジュール1を並置したときに、隣接する照明モジュール1間の輝度の落ち込みが少ない大判の照明装置を構成することができる。また、実施形態に係る照明モジュール1によれば、光拡散板2が第2光出射面4の周縁部13において傾斜面14を有することから、非点灯時においても、隣接する照明モジュール1間の境目が目立ち難い大判の照明装置を構成することができる。
【0087】
また、実施形態に係る照明モジュール1によれば、傾斜面14が凸面であることから、傾斜面14の外周側ほど、第2光出射面4の周縁部13(傾斜面14)から出射する光線の立ち上がり角度を大きくすることができる(図11参照。)。これにより、第2光出射面4を出射側から見たときに、照明モジュール1の周縁部13における輝度低下をより一層抑制することができる。
【0088】
また、実施形態に係る照明モジュール1によれば、傾斜面14が上記したような曲面であることから、傾斜面14の外周側ほど、第2光出射面4の周縁部13(傾斜面14)から出射する光線の立ち上がり角度を大きくすることができる(図11参照。)。これにより、第2光出射面4を出射側から見たときに、照明モジュール1の周縁部13における輝度低下をより一層抑制することができる。
【0089】
また、実施形態に係る照明モジュール1によれば、傾斜面14が上記したような曲面であることから、第2光出射面4の周縁部13(傾斜面14)から出射する光線の立ち上がり角度の変化を連続的にすることができるので、輝度の変化が滑らかになり視者に輝度むらを感じさせ難くすることができる。
【0090】
また、実施形態に係る照明モジュール1によれば、凸条部26の、第2光入射面51と第2出射面4との間隔に対する曲面の曲率半径の比率が5%以上であることから、曲面に入射する光量が大きくなり(後述する図15(c)参照。)、照明モジュール1の周縁部13における輝度向上効果が視者に十分視認できる程高くなる。また、上記比率が75%以下であることから、曲面に占める光線Hの照明面積の割合が上記比率が75%を超える場合よりも大きくなるとともに、凸状部内の光路長が上記比率が75%を超える場合よりも長くなることから(後述する図22(c)参照。)、曲面における輝度が低くなり、上記比率が75%を超える場合よりも輝度むらが目立たなくなる(後述する図22(b)参照。)。
【0091】
また、実施形態に係る照明モジュール1によれば、第1光出射面32の周縁部27と第2光入射面51との間に上記した光遮蔽部46をさらに有する。このため、第2光入射面51から凸条部26に入射する光の一部を遮光して、周縁部における輝度むらを低減できる。
【0092】
また、実施形態に係る照明モジュール1によれば、光遮蔽部46が、仮想線L1が第2光入射面51と交差する位置P1よりも第1入射面53の側に突出しない。このため、光拡散板2の第2光入射面51から入射する光の光量をある程度確保することが可能となることから、第2光出射面4を出射側から見たときの周縁部13の輝度の低下をより一層抑制できる(図12参照。)。
【0093】
また、実施形態に係る照明モジュール1によれば、光遮蔽部46が、仮想線L3が第2光入射面51と交差する位置P2よりも第1入射面53の側に突出している。このため、光源8から周縁部13に直接進行する光線を遮断できることから、周縁部13における光量むらを低減できる(図12参照。)。
【0094】
また、実施形態に係る照明モジュール1によれば、照明モジュール1が導光板7および光源8を収容する保持ケース3をさらに有し、光拡散板2の外周端面6が、保持ケース3の外周側面5と同一面内に配置されるか、または、保持ケース6の外周側面5よりも外側に配置されることから、照明モジュール1を出射面側から見たときに、保持ケース3の外周側面5が見え難くなる。また、複数の照明モジュール1を並置したときに、隣接する光拡散板2の外周端面6同士を密着でき、個々の光拡散板4の周囲に暗部が生じることを防ぐことができる。
【0095】
また、実施形態に係る照明モジュール1によれば、保持ケース3の外周側面5の厚みが、光拡散板2の外周端面6の厚さよりも薄いことから、照明モジュール1を出射方向の斜めから見たときに、保持ケース3を見難くすることができる。
【0096】
[試験例]
本試験例は、傾斜面14が曲面である場合において、凸条部26の第2光入射面51と第2出射面4との間隔D(図4参照)に対する曲面の曲率半径R(図4参照)の比率をどの位にしたら、第2光出射面4の周縁部13から出射する光線の立ち上がり角度を大きくすることができるようになるかを明らかにするための試験例である。試験は、基本的には実施形態に係る照明モジュール1と同様の構成の照明モジュールについて、凸条部26の第2光入射面51と第2出射面4との間隔Dに対する曲面の曲率半径Rの比率を変化させながら第2光出射面4の周縁部13から出射する光の軌跡(進行状態)や第2光出射面4の周縁部13の輝度をシミュレーションすることによって行った。シミュレーションは、サイバネットシステム株式会社の照明設計解析ソフトウェア「ライトツールズ(Light Tools)」を用いて行った。試験例は、以下の設計例(設計例1〜10)について行った。
【0097】
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
試料名 比率 備考 対応図面
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設計例1 0% 傾斜面なし 図14
設計例2 10% 傾斜面あり 図15
設計例3 20% 傾斜面あり 図16
設計例4 30% 傾斜面あり 図17
設計例5 40% 傾斜面あり 図18
設計例6 50% 傾斜面あり 図19
設計例7 60% 傾斜面あり 図20
設計例8 70% 傾斜面あり 図21
設計例9 75% 傾斜面あり 図22
設計例10 100% 傾斜面あり 図23
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【0098】
図13は、試験例におけるシミュレーション方法を説明するために示す図である。図13(a)は試験例においてシミュレーションを行う領域Rを示す図であり、図13(b)はシミュレーションの結果、光拡散板2の周縁部13から出射する光の光線を示す図であり、図13(c)は光拡散板2の周縁部13から出射する光の輝度分布を算出する様子を示す図である。なお、図13は、設計例1〜10のうち設計例1を例にとって、試験例におけるシミュレーション方法を説明している。
【0099】
図14図23は、各設計例(設計例1〜10)におけるシミュレーションの結果を示す図である。図14(a)〜図23(a)は、第2出射面4と直交する方向(正面方向)から周縁部13を見たときの輝度分布を示す平面図であり、図14(b)〜図23(b)は、第2出射面4と直交する方向(正面方向)から周縁部13を見たときのG−G線に沿った輝度分布を示すグラフであり、図14(c)〜図23(c)は、第2光入射面51から入射し、内側側面54で全反射した光のその後の進行状態を、凸条部26内を散乱しない状態で進行する光線Hを代表して用いて概略的に示す図である。なお、光線Hは、凸条部26内を散乱しない状態で進行する光であるため、同一の照射距離であれば、凸条部26内を散乱しながら進行する光(散乱光)に比べて光強度の低下が少ない。このため、上記した光線Hの軌跡を解析することで、照明モジュールの周縁部における輝度低下を定性的に理解することができる。
【0100】
試験例におけるシミュレーションは、図13に示すように、光拡散板2の周縁部13から出射する光の光量を、第2光出射面4と直交する方向から所定の開口数の光量測定装置で測定したものとして算出することにより行った。輝度測定装置の開口数は0.26とした。また、試験例においてシミュレーションを行う領域は、光拡散板2の外周端面6から測定して0〜3mmの範囲である。
【0101】
試験例の結果、図14図23からも明らかなように、凸条部26の第2光入射面51と第2出射面4との間隔に対する曲面の曲率半径の比率が高くなるほど、周縁部13の輝度が高くなる一方で、輝度むらが大きくなる、そして、上記比率が低くなるほど、周縁部13の輝度が低くなる一方で、輝度むらが小さくなることがわかった。
【0102】
これは、次のことが理由として考えられる。すなわち、周縁部13の輝度分布には、(a)第2光入射面51から入射し周縁部13から出射する光(光線Hおよび散乱光の両方の光)の周縁部13の出射面に至るまでの光路長(凸条部内光路長)と、(b)傾斜面14に占める光線Hの照射面積の割合(光線Hの傾斜面出射割合)と、が大きく影響している。
【0103】
周縁部13は、第2光出射面4の中でLED光源8に近い位置である。これに加えて、曲率半径の比率が大きくなると、傾斜面14が内側側面54および第2光入射面51に近づくため、散乱光および光線Hの凸条部内光路長が短くなり、傾斜面14に光強度の高い光が入射する。
【0104】
そのため、曲率半径の比率が大きくなると、周縁部13の輝度が全体的に高くなる。
一方で、LED光源8に近い周縁部13における傾斜面14の曲率半径の比率を大きくし、散乱光および光線Hの凸条部内光路長を短くすることで、周縁部13の輝度が、周縁部13の内側の第2光出射面4の輝度に比べて高くなり易く、第2光出射面4の輝度むらの原因となり易い。
【0105】
さらに、光線Hについては散乱光に比べて光強度が高いため、曲率半径の比率が大きくなり光線Hの傾斜面出射割合が小さくなると、光線Hの部分の輝度がその周囲の輝度に比べて一層輝度が高くなり易く輝度むらを生じ易いと考えられる。
【0106】
従って、曲率半径の比率が大きくなるに従って、周縁部13の輝度は不均一になり易く、加えて、第2光出射面4の輝度分布についても周縁部13の部分が輝度むらの原因となり易い。逆に、曲率半径の比率が小さくなるほど、周縁部13の輝度は均一になり易く、また、第2光出射面4の全面の輝度分布についても周縁部13を含め輝度の均一化を図り易い。
【0107】
しかしながら、周縁部13を正面方向から観測した場合の官能評価は、図14(a)(b)から図23(a)(b)に示すシミュレーション上の輝度分布の結果と必ずしも対応していない。官能評価においては、曲率半径の比率が、5%以上75%以下の範囲において、周縁部13の輝度の向上と均一化が観察され、また、第2光出射面4の全面の輝度分布についても周縁部13を含め輝度の均一化が図られた。
【0108】
これは、図14(c)から図23(c)に示すように、傾斜面14から出射する光線Hの第2光出射面4に対する角度(光線Hの立ち上り角度)が影響していると考えられる。
つまり、光線Hの立ち上り角度を大きくする(第2光反射面4に対して直角に近づける)ことで、視者が第2光出射面4を正面から観察したときに、周縁部13の輝度の向上と輝度むらの低減をシミュレーション結果以上に認識し易くなると考えられる。
【0109】
従って、光線Hの凸条部内光路長および傾斜面出射割合に加えて、光線Hの立ち上り角度を適切に設定することで、第2光出射面4が正面方向から観察されたときの周縁部13の輝度の向上と均一化が図られると共に、周縁部13を含めた第2光出射面4全面の輝度の均一化が図られると考えられる。
【0110】
以上説明したように、照明モジュールの周縁部における輝度むらを抑制しつつ輝度低下を抑制するという観点からは、凸条部26の第2光入射面51と第2出射面4との間隔に対する曲面の曲率半径の比率が5%〜75%の範囲内にあることが好ましいことが分かった。そして、上記観点からは、上記比率が10%〜70%の範囲内にあることがより一層好ましく、上記比率が20%〜60%の範囲内にあることがさらに好ましいことがわかった。
【0111】
なお、本発明は前述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【0112】
(1)上記した実施形態においては、傾斜面14を第2光出射面4と外周側面6とを連続的に接続し断面が円弧形状の曲面としたが、本発明はこれに限定されるものではない。図24は、傾斜面14の変形例を説明するために示す図である。図24(a)は傾斜面14を第2光出射面4と外周側面6とを連続的に接続し断面が円弧形状の曲面とした場合を示し、図24(b)は傾斜面14を第2光出射面4と外周側面6とを不連続に接続し断面が円弧形状の曲面とした場合を示し、図24(c)は傾斜面14を第2光出射面4と外周側面6とを連続的に接続し断面が楕円形状とした曲面とした場合を示し、図24(d)は傾斜面14を第2光出射面4と外周側面6とを不連続に接続する平面とした場合を示す。図24(b)〜図24(d)に示すように、傾斜面を第2光出射面4と外周側面6とを不連続に接続する曲面としてもよいし、傾斜面を断面が楕円形状の曲面としてもよいし、傾斜面を第2光出射面4と外周側面6とを接続する直線状の傾斜面としてもよい。
【0113】
(2)上記した実施形態においては、本発明の照明モジュールを単独で用いる場合を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、本発明の照明モジュールを複数備え、当該複数の照明モジュールを並置した大型照明装置の態様で用いることもできる。この場合、各照明モジュールは、光拡散板2の外周端面6同士が接触するように配置するのが好ましい。これにより、隣接する照明モジュール間の境目をより一層目立たないようにすることができる。
【符号の説明】
【0114】
1…照明モジュール、2…光拡散板、3…保持ケース、4…第2光出射面、5…外周側面(保持ケース3の)、6…外周側面(光拡散板2の)、7…導光板、7A…貫通孔、8…LED光源(光源)、9…フレーム、9A…貫通孔、10…光遮蔽フレーム、11…周縁部(保持ケース3の)、12…内側部分(保持ケース3の)、13…周縁部(第2光出射面4の)、14…傾斜部、15…第1の光源部、16…第2の光源部、17…第3の光源部、18…第4の光源部、19…端面、20…凸部(導光板7の)、21,22,23…ネジ、24…溝部(保持ケース3の)、26…凸条部、27…周縁部(導光板7の)、28…裏面、29…反射板、30…外周枠部(フレームの)、31…開口部、32…第1光出射面、35…LED基板、36…基板側部、37…回路接続部、38…接続基板、 39…回路部、40…孔部、41…下板部、45…側部、46…上板部(光遮蔽部)、50…光源ユニット、51…第2光入射面、52…凹部空間、53…第1光入射面、54…内側側面、55,60,62…ネジ軸部、56,58,61…ネジ頭部、57,59…逃げ孔、64…ハンダ、65…樹脂盛り部、66…接続部、70…レンズ、L…光線、L1,L2,L3…仮想線、O1,O2…中心、P1,P2…位置
図1
図2
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