【課題】第1コネクタから第2コネクタを離脱する際に第1信号端子と第2信号端子との接続解除から第1強電端子と第2強電端子との接続解除までの間に一定の時間差を設けたレバー式コネクタ組立体において、第2コネクタが第1コネクタに嵌合する際及び第2コネクタが第1コネクタから離脱する際に、第2強電端子及び第1強電端子が損傷してしまうおそれを回避することができるレバー式コネクタ組立体を提供する。
【解決手段】レバー式コネクタ組立体1における第2コネクタ3は、ムービングハウジング50に設けられ、ムービングハウジング50が嵌合解除位置にあるときに第2強電端子60が第1強電端子31a,31bに接触するのを回避するとともに、ムービングハウジング50が嵌合解除位置から中間位置へ向けて移動する途中で第2強電端子60を第1強電端子31a,31bに接触させる第2強電端子接触回避部56a,56bを備える。
第1ハウジング、該第1ハウジングに取り付けられる第1強電端子、及び前記第1ハウジングに取り付けられる第1信号端子を備えた第1コネクタと、該第1コネクタと嵌合する第2コネクタとからなり、
該第2コネクタは、
前記第1ハウジングへの挿入時に前記第1ハウジングによって挿入方向への移動が規制される第2ハウジングと、
該第2ハウジングに対して移動可能な状態で前記第2ハウジングを収容するとともに、前記第2ハウジングの前記第1ハウジングへの挿入時に位置する嵌合解除位置、該嵌合解除位置よりも挿入方向奥側の中間位置、及び中間位置よりも挿入方向奥側の嵌合完了位置の間を移動するムービングハウジングと、
前記第2ハウジングに収容された第2強電端子と、
前記ムービングハウジングに取り付けられ、前記ムービングハウジングが前記中間位置から前記嵌合完了位置へ向けて移動する途中で前記第1信号端子に接触する第2信号端子と、
前記ムービングハウジングに設けられ、前記ムービングハウジングが前記嵌合解除位置にあるときに前記第2強電端子が前記第1強電端子に接触するのを回避するとともに、前記ムービングハウジングが前記嵌合解除位置から前記中間位置へ向けて移動する途中で前記第2強電端子を前記第1強電端子に接触させる第2強電端子接触回避部と、
前記ムービングハウジングに対し、レバー嵌合解除位置、レバー中間位置、及びレバー嵌合完了位置の間を回動可能に取り付けられるとともに、前記ムービングハウジングを、前記レバー嵌合解除位置で前記嵌合解除位置、前記レバー中間位置で前記中間位置、前記レバー嵌合完了位置で前記嵌合完了位置に位置させるレバーとを備え、
前記第1ハウジング及び前記レバーには、前記レバーが前記レバー中間位置に位置するときに前記レバーの回動をロックするとともにそのロックを解除するタイムラグロック機構が設けられていることを特徴とするレバー式コネクタ組立体。
前記タイムラグロック機構は、前記第1ハウジングに設けられたタイムラグ突起と、前記レバーに設けられた、前記タイムラグ突起に係合する係合部を有するタイムラグロックアームとを備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載のレバー式コネクタ組立体。
前記タイムラグロックアームは、前記レバーに、シーソー構造の形で支持部を中心に揺動可能に設けられ、該支持部を挟んで一方側に前記係合部を有し、他方側に押圧操作部を有することを特徴とする請求項3に記載のレバー式コネクタ組立体。
前記第1ハウジングに、前記第2ハウジングの挿入方向と反対方向の移動を規制する第2ハウジングロック部を設けたことを特徴とする請求項1乃至4のうちいずれか一項に記載のレバー式コネクタ組立体。
前記レバーに、前記第2ハウジングロック部による前記第2ハウジングの移動規制状態を解除するロック解除部を設けたことを特徴とする請求項5に記載のレバー式コネクタ組立体。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1には、本発明の一実施形態に係るレバー式コネクタ組立体1が示されている。このレバー式コネクタ組立体1は、第1コネクタ2と、第1コネクタ2と嵌合する第2コネクタ3とからなる。第1コネクタ2は、電気自動車やハイブリッド車等の高電圧バッテリーを搭載している車両側に搭載される。そして、第2コネクタ3を
図1乃至
図4に示すようにレバー80の回動によって第1コネクタ2に嵌合することにより、高電圧部を接続する。また、第2コネクタ3を、反対に
図4乃至
図1に示すようにレバー80の回動によって第1コネクタ2から離脱することにより、高電圧部を切り離す。
【0013】
ここで、第1コネクタ2は、
図5に示すように、第1ハウジング10と、タッチセーフスペーサ20と、一対の第1強電端子31a,31bと、一対の第1信号端子32a,32bとを備えている。
第1ハウジング10は、
図5に示すように、矢印ABで示す前後方向、前後方向に直交する矢印CDで示す左右方向、及び前後方向及び左右方向に直交する矢印EFで示す上下方向に延びる略直方体形状に構成される。第1ハウジング10は、絶縁性の合成樹脂を成形することによって形成される。ここで、矢印Aは前方向、矢印Bは後方向、矢印Cは左方向、矢印Dは右方向、矢印Eは上方向、及び矢印Fは下方向を示し、以下、本明細書において方向はこれを基準として説明する。
【0014】
そして、第1ハウジング10は、前壁10a、後壁10b、左壁10c、右壁10d、及び底壁10e(
図14、
図15、
図16、
図18、
図19及び
図21参照)を有し、それらの内部に上面が開口する第2コネクタ受容凹部11を有している。そして、底壁10eには、第1強電端子取付部12(
図14乃至
図16参照)と、第1信号端子取付部13(
図14、
図18、及び
図21参照)とが設けられている。また、底壁10eには、第2ハウジング挿入規制部14(
図15及び
図16参照)が設けられている。
【0015】
また、第1ハウジング10の前壁10a及び後壁10bには、
図1及び
図5に示すように、上縁の左右方向略中央部から切りかかれた一対の切欠10fが形成されている。これら切欠10fには、後述するレバー80を回動可能に支持する一対の支軸53が上方から挿入可能となっている。また、第1ハウジング10の前壁10a及び後壁10bの切欠10fよりもやや下方には、
図1、
図2及び
図5に示すように、一対のカム軸15(前側のカム軸のみ図示)が設けられている。これらカム軸15は、後述するレバー80のカム溝84にカム係合する。
【0016】
また、第1ハウジング10の前壁10a及び後壁10bの右端寄りには、
図1、
図5、
図24及び
図25に示すように、上下方向においてカム軸15とほぼ同じ高さの位置に一対の信号端子接触検知突起16が設けられている。
更に、第1ハウジング10の前壁10a及び後壁10bの右端寄りには、
図1、
図5、及び
図25に示すように、信号端子接触検知突起16よりも上方の位置に、一対のタイムラグ突起17が設けられている。これらタイムラグ突起17は、後述するように、レバー80に設けられたタイムラグロックアーム91とともにタイムラグロック機構90を構成する。
【0017】
また、第1ハウジング10の前壁10a及び後壁10bの左右方向略中央部には、
図1、
図3、
図5及び
図28乃至
図29に示すように、後述する第2ハウジング40の挿入方向と反対方向の移動を規制する一対の第2ハウジングロック部18が設けられている。
次に、タッチセーフスペーサ20は、第1ハウジング10に取り付けられた第1強電端子31a,31bに作業者が触れて感電することを防止するものである。タッチセーフスペーサ20は、外形が第1ハウジング10の前壁10a、後壁10b、左壁10c、右壁10d、及び底壁10eに沿うような形で形成され、第1ハウジング10の第2コネクタ受容凹部11内に上下動可能に設置される。タッチセーフスペーサ20は、絶縁性の合成樹脂を成形することによって形成される。
【0018】
また、一対の第1強電端子31a,31bは、
図5に示すように、それぞれ、雄型のタブ端子で構成され、電線W1に圧着接続される。一対の第1強電端子31a,31bのそれぞれは、金属板を打ち抜き及び曲げ加工することによって形成される。各第1強電端子31a,31bは、第1ハウジング10の第1強電端子取付部12に取り付けられ、それらの接触部が
図16に示すように第2コネクタ受容凹部11内に突出している。
【0019】
また、一対の第1信号端子32a,32bは、
図5に示すように、それぞれ、雌型コンタクトで構成され、電線W2に圧着接続される。一対の第1信号端子32a,32bのそれぞれは、金属板を打ち抜き及び曲げ加工することによって形成される。各第1信号端子32a,32bは、信号端子収容ハウジング33に収容される。各第1信号端子32a,32bを収容した信号端子収容ハウジング33は、
図14及び
図18に示すように、第1ハウジング10の第1信号端子取付部13に取り付けられる。
【0020】
次に、第2コネクタ3は、レバー式コネクタであり、第2ハウジング40、ムービングハウジング50、第2強電端子接触回避部56a,56b、第2強電端子60、第2信号端子70、及びレバー80を備えている。
ここで、第2ハウジング40は、
図6に示すように、左右方向に長く延びる略角筒形状を有し、その内部の右側に第1収容キャビティ41aが設けられ、左側に第2収容キャビティ41bが設けられている。第1収容キャビティ41a及び第2収容キャビティ41bは、互いに連通するとともに、第2ハウジング40の右側から左側にかけて貫通するように形成されている。そして、第2ハウジング40の底壁42には、底壁42の右縁から左縁に至るまで延びる細長にスリット43が形成されている。スリット43は、上下方向に貫通している。また、第2ハウジング40の頂壁の前縁及び後縁の左右方向中央部には、一対の係止板部44が前後に突出するように形成されている。この第2ハウジング40は、
図16に示すように、第1ハウジング10の第2コネクタ受容凹部11に挿入されたときに、第1強電端子取付部12及び第2ハウジング挿入規制部14の上端に当接する。これにより、下方向、即ち挿入方向への移動が規制される。
【0021】
また、第2強電端子60は、
図6に示すように、端子本体61と、一対の補強板ばね62a,62bとを備える。端子本体61は、金属板を打ち抜き及び曲げ加工することによって形成され、第1端子部61aと、第2端子部61bと、第1端子部61a及び第2端子部61bを連結する連結部61cとを備える。第1端子部61aは、一対の弾性接触アーム61aaと、これら一対の弾性接触アーム61aaを連結する頂板部61abとを備えている。頂板部61abは、各弾性接触アーム61aaに弾性を付与する。一対の弾性接触アーム61aaは、互いの間で雄型のタブ端子で構成される一方の第1強電端子31aを受容して接触する。一方、第2端子部61bは、一対の弾性接触アーム61baと、これら一対の弾性接触アーム61baを連結する頂板部61bbとを備えている。頂板部61bbは、各弾性接触アーム61baに弾性を付与する。一対の弾性接触アーム61baは、互いの間で雄型のタブ端子で構成される他方の第1強電端子31bを受容して接触する。そして、
図6に示すように、一対の補強板ばね62a,62bのうち一方の補強板ばね62aは、第1端子部61aの外周を覆うように第1端子部61aに装着される。また、他方の補強板ばね62bは、第2端子部61bの外周を覆うように第2端子部61bに装着される。そして、
図8に示すように、第2強電端子60は、第1端子部61aが第1収容キャビティ41a内に位置し、第2端子部61bが第2収容キャビティ41b内に位置するように、第2ハウジング40内に収容される。この際に、
図8に示すように、各弾性接触アーム61aaの先端に設けられた外側への湾曲部61acが第2ハウジング40の底壁42上に乗る。また、図示はしないが、各弾性接触アーム61baの先端に設けられた外側への湾曲部が第2ハウジング40の底壁42上に乗る。
【0022】
また、ムービングハウジング50は、
図6に示すように、前壁50a、後壁50b、左壁50c、及び右壁50dを有し、上下方向に貫通する第2ハウジング収容貫通孔51を有する。また、ムービングハウジング50は、右壁50dから右方向に突出する第2信号端子取付部52を備える。ムービングハウジング50は、絶縁性の合成樹脂を成形することによって形成される。
【0023】
そして、ムービングハウジング50の前壁50a及び後壁50bには、
図6及び
図10に示すように、レバー80を回動可能に支持する一対の支軸53が突出形成される。
また、ムービングハウジング50の前壁50a及び後壁50bのそれぞれの左右方向略中央部には、上縁から下方に延びるように切欠かれた一対の切欠54が形成される。そして、ムービングハウジング50の第2ハウジング収容貫通孔51内には、
図9及び
図10に示すように、第2強電端子60を収容した第2ハウジング40が上下方向移動可能に収容される。
【0024】
但し、第2ハウジング40は、その頂壁に設けられた一対の係止板部44が切欠54の下縁に載置された状態で第2ハウジング収容貫通孔51内に収容され、ムービングハウジング50に対して下方への移動が規制される。この際、
図10に示すように、ムービングハウジング50に設けられた後述の第2強電端子接触回避部56aが第2強電端子60の一対の弾性接触アーム61aa間に入り込んで一対の弾性接触アーム61aa間の間隔を押し広げる。また、第2強電端子接触回避部56bが第2強電端子60の一対の弾性接触アーム61ba間に入り込んで一対の弾性接触アーム61ba間の間隔を押し広げる。これにより、第2強電端子60のムービングハウジング50に対する上方への移動が規制される。また、各弾性接触アーム61aaの先端に設けられた外側への湾曲部61acが第2ハウジング40の底壁42上に乗っている。また、各弾性接触アーム61baの先端に設けられた外側への湾曲部が第2ハウジング40の底壁42上に乗っている。これにより、第2ハウジング40の上方への移動が第2強電端子60によって規制され、結果として、第2ハウジング40のムービングハウジング50に対する上方への移動が規制される。従って、第2強電端子60を収容した第2ハウジング40をムービングハウジング50に収容した状態では、これら第2強電端子60及び第2ハウジング40はムービングハウジング50に対して上下動が規制されたものとなっている。
【0025】
但し、後述するように、第2ハウジング40の下方向への移動が規制された場合に、ムービングハウジング50に対し第2強電端子接触回避部56a,56bの一対の弾性接触アーム61aa,61baに対する摩擦力よりも大きな力が下方へ作用するとする。すると、ムービングハウジング50は、下方へ移動できる。つまり、ムービングハウジング50は、第2ハウジング40に対して移動可能な状態で第2ハウジング40を収容していることになる。
【0026】
そして、ムービングハウジング50は、第2コネクタ3を第1コネクタ2に嵌合するときに、第2ハウジング40及び第2強電端子60を収容した状態で、タッチセーフスペーサ20の内側で第1ハウジング10の第2コネクタ受容凹部11内に挿入される。この際、第2ハウジング40は、前述したように、第1ハウジング10の第1強電端子取付部12及び第2ハウジング挿入規制部14の上端に当接する。これにより、第2ハウジング40の下方向、即ち挿入方向への移動が規制される。
【0027】
そして、ムービングハウジング50は、第2ハウジング40の第1ハウジング10への挿入時に位置する嵌合解除位置(
図2及び
図13乃至
図16参照)、中間位置(
図3及び
図17乃至
図19参照)、及び嵌合完了位置(
図4及び
図20乃至
図22参照)間を移動する。中間位置は、嵌合解除位置よりも挿入方向奥側(下側)である。また、嵌合完了位置は、中間位置よりも挿入方向奥側である。ここで、ムービングハウジング50が嵌合解除位置から中間位置へ移動する際には、ムービングハウジング50に対し第2強電端子接触回避部56a,56bの各一対の弾性接触アーム61aa,61baに対する摩擦力よりも大きな力が下方へ作用することが必要である。一方、ムービングハウジング50が中間位置から嵌合解除位置へ移動する際には、ムービングハウジング50に対し第2強電端子接触回避部56a,56bの一対の弾性接触アーム61aa,61baに対する摩擦力よりも大きな力が上方へ作用することが必要である。
【0028】
次に、第2強電端子接触回避部56a,56bについて説明する。
図7に示すように、ムービングハウジング50の後壁50bの左右方向中央部には、後壁50bから前壁50aに至るまで延びる(
図7には、前後方向中央で切断されている)仕切壁55が設けられている。この仕切壁55の右面と右壁50dの左面には、互いに対向する一対の第2強電端子接触回避部56aが設けられている。一方、仕切壁55の左面と左壁50cの右面には、互いに対向する一対の第2強電端子接触回避部56bが設けられている。第2強電端子接触回避部56a,56bのそれぞれは壁面から突出する上下方向に細長い突起で形成される。また、第2強電端子接触回避部56a,56bは、左右方向に沿って整列した位置に配置される。
【0029】
第2強電端子接触回避部56a,56bのうち第2強電端子接触回避部56aは、ムービングハウジング50を第2コネクタ受容凹部11内に挿入する際に、第2強電端子60の一対の弾性接触アーム61aa間に入り込んで一対の弾性接触アーム61aa間の間隔を押し広げている。これにより、第1強電端子31aが一対の弾性接触アーム61aa間にそれら弾性接触アーム61aaに接触することなく挿入される。第2強電端子接触回避部56aを構成する突起の幅は、タブ端子で構成される第1強電端子31aの板厚よりも大きい。
【0030】
そして、ムービングハウジング50が第2コネクタ受容凹部11内に挿入されると、ムービングハウジング50は
図15に示す嵌合解除位置となる。このとき、第2強電端子接触回避部56aは、第2強電端子60の一対の弾性接触アーム61aa間に入り込んで一対の弾性接触アーム61aa間の間隔を押し広げる状態を維持する。これにより、
図16に示すように、ムービングハウジング50が嵌合解除位置にあるときに、一対の弾性接触アーム61aaが第1強電端子31aに接触するのを回避する。
【0031】
また、第2強電端子接触回避部56bも、ムービングハウジング50を第2コネクタ受容凹部11内に挿入する際に、第2強電端子60の一対の弾性接触アーム61ba間に入り込んで一対の弾性接触アーム61ba間の間隔を押し広げている。これにより、第1強電端子31bが一対の弾性接触アーム61ba間にそれら弾性接触アーム61aaに接触することなく挿入される。第2強電端子接触回避部56bを構成する突起の幅も、タブ端子で構成される第1強電端子31bの板厚よりも大きい。
【0032】
また、ムービングハウジング50が嵌合解除位置にあるときも、第2強電端子接触回避部56bは、第2強電端子60の一対の弾性接触アーム61ba間に入り込んで一対の弾性接触アーム61ba間の間隔を押し広げる状態を維持する。これにより、ムービングハウジング50が嵌合解除位置にあるときに、一対の弾性接触アーム61baが第1強電端子31bに接触するのを回避する。
【0033】
そして、第2強電端子接触回避部56aは、
図19に示すように、ムービングハウジング50が嵌合解除位置から中間位置になったとき、正確には中間位置になる途中で第2強電端子60の一対の弾性接触アーム61aa間から抜け出す。これにより、一対の弾性接触アーム61aa間の間隔を狭めて一対の弾性接触アーム61aaを、第1ハウジング10に取り付けられた第1強電端子31aに接触させる。
【0034】
また、第2強電端子接触回避部56bも、同様に、ムービングハウジング50が嵌合解除位置から中間位置になったとき、正確には中間位置になる途中で第2強電端子60の一対の弾性接触アーム61ba間から抜け出す。これにより、一対の弾性接触アーム61ba間の間隔を狭めて一対の弾性接触アーム61baを、第1ハウジング10に取り付けられた第1強電端子31bに接触させる。
【0035】
なお、第2強電端子接触回避部56a,56bは、ムービングハウジング50が中間位置から嵌合完了位置に移動した際にムービングハウジング50とともに移動する(
図22参照)。このとき、各一対の弾性接触アーム61aa,61baの第1強電端子31a,31bに対する接触状態は維持される。
【0036】
また、第2強電端子接触回避部56aは、ムービングハウジング50が中間位置から嵌合解除位置になる途中で第2強電端子60の一対の弾性接触アーム61aa間に入り込む。これにより、一対の弾性接触アーム61aa間の間隔を広げて一対の弾性接触アーム61aaを第1強電端子31aに対し非接触とする。第2強電端子接触回避部56bも、同様に、ムービングハウジング50が中間位置から嵌合解除位置になる途中で第2強電端子60の一対の弾性接触アーム61ba間に入り込む。これにより、一対の弾性接触アーム61ba間の間隔を広げて一対の弾性接触アーム61baを第1強電端子31bに対し非接触とする。
【0037】
次に、第2信号端子70は、
図6に示すように、平板状のハウジング固定部71と、ハウジング固定部71の下縁から下方に延びる一対の接触部71a,71bとを備えている。第2信号端子70は、金属板を打ち抜き加工することによって形成される。この第2信号端子70は、
図18に示すように、ハウジング固定部71がムービングハウジング50の第2信号端子取付部52に圧入固定され、一対の接触部71a,71bが露出した形で下方に突出する。
【0038】
そして、第2信号端子70の一対の接触部71a,71bのうち一方の接触部71aは、
図21に示すように、ムービングハウジング50が嵌合完了位置になったとき、正確には嵌合完了位置になる途中で一方の第1信号端子32aに接触する。また、第2信号端子70の他方の接触部71bも、ムービングハウジング50が嵌合完了位置になる途中で他方の第1信号端子32aに接触する。
【0039】
なお、第2信号端子70の一対の接触部71a,71bのそれぞれは、ムービングハウジング50が嵌合完了位置から中間位置になる途中で一対の第1信号端子32a,32bのそれぞれと非接触になる。
次に、レバー80は、
図6に示すように、一対の脚部81と、これら脚部81の端部でこれら脚部81を連結する連結部82とを備えている。レバー80は、合成樹脂を成形することによって一体に形成される。そして、レバー80の各脚部81には、ムービングハウジング50の支軸53が入り込む支軸用孔83が形成されている。レバー80は、ムービングハウジング50の支軸53に対し回動可能に軸支される。また、各脚部81には、第1ハウジング10に設けられたカム軸15がカム係合するカム溝84が形成されている。
【0040】
また、レバー80は、第1ハウジング10に設けられたカム軸15がカム溝84にカム係合した状態で、
図2及び
図13に示すレバー嵌合解除位置、
図3及び
図17に示すレバー中間位置、及び
図4及び
図20に示すレバー嵌合位置間を回動する。レバー中間位置は、レバー嵌合解除位置から回動角で約45°の位置である。レバー嵌合完了位置は、レバー嵌合解除位置から回動角で約90°の位置である。そして、レバー80は、レバー嵌合解除位置にあるときにはムービングハウジング50を前述した嵌合解除位置に位置させる。また、レバー80は、レバー中間位置にあるときにはムービングハウジング50を前述した中間位置に位置させる。更に、レバー80は、レバー嵌合完了位置にあるときにはムービングハウジング50を前述した嵌合完了位置に位置させる。
【0041】
また、レバー80の各脚部81の内面には、
図26乃至
図29に示すように、第2ハウジングロック部28による第2ハウジング40の移動規制状態を解除するロック解除部85が設けられている。ロック解除部85は、各脚部81の内面であって、支軸用孔83に対して連結部82寄りの位置に内方に延びるように設けられた軸部で形成される。
そして、このレバー80及び第1ハウジング10には、
図3、
図17及び
図25に示すように、レバー80がレバー中間位置に位置するときにレバー80の回動をロックするとともにそのロックを解除するタイムラグロック機構90が設けられる。
【0042】
タイムラグロック機構90は、
図25に示すように、第1ハウジング10の前壁10a及び後壁10bのそれぞれに設けられた一対のタイムラグ突起17と、レバー80に設けられた、各タイムラグ突起17に係合する係合部92を有する一対のタイムラグロックアーム91とで構成されている。
【0043】
ここで、各タイムラグロックアーム91は、レバー80にシーソー構造の形で支持部91aを中心に揺動可能に設けられる。そして、各タイムラグロックアーム91は、
図25に示すように、支持部91aを挟んで一方側の内面に係合部92を有し、他方側の外面に押圧操作部94を有する。係合部92は、各タイムラグロックアーム91の他方側の内面から内方に向けて突出形成される。そして、押圧操作部94を外側から内方に向けて押圧すると、タイムラグロックアーム91の他方側は支持部91aを中心に外方に向けて変位する。これにより、係合部92が外方に向けて変位し、係合部92によるタイムラグ突起17に対する係合が解除される。
【0044】
なお、各タイムラグロックアーム91の係合部92の近傍には、開口93が形成される。この開口93により、レバー80がレバー中間位置にあるときに外方からタイムラグ突起17を確認することができる。また、開口93によりレバー80がレバー嵌合完了位置にあるときに外方から信号端子接触検知突起16を確認することができる。
このタイムラグロック機構90は、第2コネクタ3を第1コネクタ2から離脱させるときに実益がある。つまり、レバー80をレバー嵌合完了位置からレバー中間位置に回動したときに、係合部92がタイムラグ突起17に係合してレバー80の回動をロックする。このレバー中間位置においては、ムービングハウジング50が中間位置にあり、第2信号端子70の一対の接触部71a,71bのそれぞれは、既に一対の第1信号端子32a,32bのそれぞれと非接触となっている。
【0045】
そして、レバー80をレバー中間位置からレバー嵌合解除位置まで回動して第2コネクタ3を第1コネクタ2から離脱させるには、タイムラグロックアーム91の押圧操作部94を外側から内方に向けて押圧する。これによって、係合部92によるタイムラグ突起17に対する係合を解除してから、レバー80をレバー嵌合解除位置に向けて回動する。すると、ムービングハウジング50が中間位置から嵌合解除位置に移動し、この途中で、第2強電端子60が一対の第1強電端子31a,31bに対し非接触となる。
【0046】
つまり、第2信号端子70と一対の第1信号端子32a,32bとの接触状態が解除されてから第2強電端子60と一対の第1強電端子31a,31bとの接触状態が解除されるまでの間に、タイムラグロック機構90によるレバー80のロック時間及びそのロックの解除時間が必要になる。このため、一対の第1信号端子32a,32bと第2信号端子70との接続解除から一対の第1強電端子31a,31bと第2強電端子60との接続解除までの間に一定の時間差を設けることができる。
【0047】
また、タイムラグロックアーム91の係合部92の先端の、信号端子接触検知突起16に対向する側には、
図24に示すように、傾斜面92aが形成されている。一方、信号端子接触検知突起16は略山形に形成され、係合部92に対向する側は傾斜面92aに接触する傾斜面92aとなっている。ここで、レバー80を
図17に示すレバー中間位置から
図20に示すレバー嵌合完了位置に回動する際に、レバー80は
図23に示す位置を経由する。この位置では、
図24に示すように、第2信号端子70の一対の接触部71a,71bが一対の第1信号端子32a,32bに接触している。しかし、この位置ではタイムラグロックアーム91の係合部92の傾斜面92aが信号端子接触検知突起16の傾斜面16aに当接する。このため、係合部92の傾斜面92aが信号端子接触検知突起16の傾斜面16aを乗り越える際に信号端子接触検知突起16から反力が発生し、その反力によりタイムラグロックアーム91、つまりレバー80が押し戻される。このため、レバー80がこの反力を下回る力で回動されたとき、レバー80が押し戻され、第2信号端子70の一対の第1信号端子32a,32bに対する接触状態は回避される。これにより、信号端子の半嵌合を防止することができる。レバー80が前述の反力を上回る力で回動されたときのみ、係合部92が信号端子接触検知突起16を乗り越え、レバー80はレバー嵌合完了位置に至る。そして、このとき第2信号端子70の一対の接触部71a,71bが一対の第1信号端子32a,32bに確実に接触していることになる。
【0048】
次に、第2コネクタ3を第1コネクタ2に嵌合するまでの作用及び第1コネクタ2から第2コネクタ3を離脱するまでの作用について、
図1乃至
図4、
図13乃至
図25、及び
図26乃至
図29を参照して説明する。
先ず、第2コネクタ3を第1コネクタ2に嵌合する際に、
図1に示すように、第2コネクタ3においてレバー80の連結部82を上にした状態にする。この状態で、第2コネクタ3のムービングハウジング50を、タッチセーフスペーサ20の内側で第1ハウジング10の第2コネクタ受容凹部11内に挿入する。この際、第1ハウジング10に設けられたカム軸15をレバー80のカム溝84に入れ込む。
【0049】
ここで、ムービングハウジング50を第2コネクタ受容凹部11内に挿入する際に、第2強電端子接触回避部56a,56bはそれぞれ第2強電端子60の一対の弾性接触アーム61aa,61ba間に入り込んで一対の弾性接触アーム61aa,61ba間の間隔を押し広げている。このため、一対の弾性接触アーム61aa,61baのそれぞれは第1強電端子31a,31bが接触せずにそれらの間に挿入されるのを許容する。この際、第1強電端子31a,31bは第2ハウジング40のスリット43から一対の弾性接触アーム61aa,61ba間に入り込む。
【0050】
そして、ムービングハウジング50を第2コネクタ受容凹部11内に挿入すると、
図2及び
図13に示すように、レバー80がレバー嵌合解除位置に位置し、ムービングハウジング50が嵌合解除位置に位置する。ムービングハウジング50が嵌合解除位置にあるときには、第2ハウジング40は、
図16に示すように、第1ハウジング10の第1強電端子取付部12及び第2ハウジング挿入規制部14の上端に当接する。これにより、第2ハウジング40の下方向、即ち挿入方向への移動が規制される。
【0051】
また、ムービングハウジング50が嵌合解除位置にあるときには、
図15及び
図16に示すように、第2強電端子接触回避部56a,56bのそれぞれは、第2強電端子60の一対の弾性接触アーム61aa、61ba間に入り込んで一対の弾性接触アーム61aa,61ba間の間隔を押し広げる状態を維持する。従って、ムービングハウジング50が嵌合解除位置にあるときには
図16に示すように一対の弾性接触アーム61aa,61baのそれぞれが第1強電端子31a,31bに接触するのを回避している。また、
図14に示すように、第2信号端子70の接触部71a,71bのそれぞれは、第1信号端子32a,32bのそれぞれに接触しない。
【0052】
そして、レバー80がレバー嵌合解除位置から少しだけ回動すると(回動角で約10°程度、
図27参照)、一対の第2ハウジングロック部18が第2ハウジング40の一対の係止板部44を上方からロックする。これにより、第2ハウジング40の挿入方向と反対方向(上方向)の移動を規制する。
【0053】
次に、
図3及び
図17に示すように、レバー80を更に回動し、レバー80をレバー中間位置に位置させる。これにより、レバー80の支軸53と第1ハウジング10に設けられたカム軸15との間の距離が短くなるため、ムービングハウジング50は嵌合解除位置よりも挿入方向奥側(下側)にある中間位置に移動する。ムービングハウジング50が嵌合解除位置から中間位置になる途中で、第2強電端子接触回避部56a,56bのそれぞれは第2強電端子60の各一対の弾性接触アーム61aa,61ba間から抜け出す。ムービングハウジング50が中間位置になったときには、
図19に示すように、第2強電端子接触回避部56a,56bは第2強電端子60の各一対の弾性接触アーム61aa間から完全に抜け出している。これにより、各一対の弾性接触アーム61aa,61ba間の間隔を狭めて各一対の弾性接触アーム61aa,61baが第1強電端子31a,31bに接触する。これにより、第1強電端子31aと第1強電端子31bとが第2強電端子60によって互いに導通し、高電圧部が接続される。一方、
図18に示すように、第2信号端子70の一対の接触部71a,71bのそれぞれは、第1信号端子32a,32bのそれぞれに対し非接触となっている。
【0054】
このように、第2強電端子60が第1強電端子31a,31bに対して摺動することなく接触するので、第2コネクタ3が第1コネクタ2に嵌合する際に、第2強電端子60及び第1強電端子31a,31bが損傷してしまうおそれを回避することができる。
ここで、第2強電端子60は、雄型のタブ端子で構成される第1強電端子31a,31bを互いの間で受容して接触する各一対の弾性接触アーム61aa,61baを備えている。
【0055】
また、第2強電端子接触回避部56a,56bは、タブ端子の板厚よりも幅の大きい突起で構成されている。そして、第2強電端子接触回避部56a,56bは、ムービングハウジング50が嵌合解除位置にあるときに第2強電端子60の各一対の弾性接触アーム61aa,61ba間に入り込む。これによって、各一対の弾性接触アーム61aa,61ba間の間隔を広げて各一対の弾性接触アーム61aa,61baが第1強電端子31a,31bに接触する。また、第2強電端子接触回避部56a,56bは、ムービングハウジング50が嵌合解除位置から中間位置へ向けて移動する途中で各一対の弾性接触アーム61aa,61ba間から抜け出る。これによって、各一対の弾性接触アーム61aa,61ba間の間隔を狭めて一対の弾性接触アーム61aa,61baを第1強電端子31a,31bに接触させる。このようにすることで、第2強電端子60及び第2強電端子接触回避部56a,56bを簡単な構成で、第2強電端子接触回避部の機能を実現できる。
【0056】
次に、
図4及び
図20に示すように、レバー80を更に回動し、レバー80をレバー嵌合完了位置に位置させる。これにより、レバー80の支軸53と第1ハウジング10に設けられたカム軸15との間の距離が更に短くなるため、ムービングハウジング50は中間位置よりも挿入方向奥側(下側)にある嵌合完了位置に移動する。ムービングハウジング50が嵌合完了位置になる途中で第2信号端子70の一対の接触部71a,71bのそれぞれが第1信号端子32a,32bのそれぞれに接触する。そして、ムービングハウジング50が嵌合完了位置になったときには、
図21に示すように、第2信号端子70の一対の接触部71a,71bのそれぞれが第1信号端子32a,32bのそれぞれに確実に接触した状態を維持する。これにより、第1信号端子32aと第1信号端子32bとが第2信号端子70によって互いに導通することになる。一方、第2強電端子60の各一対の弾性接触アーム61aa,61baは、
図22に示すように、第1強電端子31a,31bのそれぞれに接触している状態を維持する。
【0057】
なお、前述したように、レバー80を
図17に示すレバー中間位置から
図20に示すレバー嵌合完了位置に回動する際に、レバー80は
図23及び
図24に示す位置を経由することになる。このとき、タイムラグロックアーム91の係合部92の傾斜面92aが信号端子接触検知突起16の傾斜面16aを乗り越える際にレバー80が押し戻される反力が発生する。このため、その反力を上回る力でレバー80を回動する必要がある。
【0058】
そして、タイムラグロックアーム91の係合部92が信号端子接触検知突起16を乗り越えると、レバー80がレバー嵌合完了位置となる。ここで、作業者は、タイムラグロックアーム91の係合部92が信号端子接触検知突起16を乗り越えるときに発する音及び節度感にて嵌合完了を確認することができる。
以上により、第2コネクタ3は第1コネクタ2に嵌合する。
【0059】
そして、第1コネクタ2から第2コネクタ3を離脱するときには、レバー80を反対方向に回動し、
図20に示すレバー嵌合完了位置から
図17に示すレバー中間位置に位置させる。これにより、レバー80の支軸53と第1ハウジング10に設けられたカム軸15との間の距離が長くなるため、ムービングハウジング50は嵌合完了位置よりも挿入方向手前側(上側)にある中間位置に移動する。ここで、第2強電端子60の各一対の弾性接触アーム61aa,61baは、第1強電端子31a,31bに接触する状態を維持する。一方、ムービングハウジング50が中間位置になる途中で第2信号端子70の一対の接触部71a,71bのそれぞれが第1信号端子32a,32bのそれぞれに対し非接触となる。これにより、第1強電端子31a,31b及び第2強電端子60に電流が流れなくなる。そして、ムービングハウジング50が中間位置になったときには、
図18に示すように、第2信号端子70の一対の接触部71a,71bのそれぞれが第1信号端子32a,32bのそれぞれに対し非接触状態を維持する。
【0060】
ここで、レバー80をレバー嵌合完了位置からレバー中間位置に回動したときに、
図25に示すように、タイムラグロックアーム91の係合部92がタイムラグ突起17に係合してレバー80の回動をロックする。
このため、レバー80をレバー中間位置からレバー嵌合解除位置まで回動するには、タイムラグロックアーム91の押圧操作部94を外側から内方に向けて押圧し、係合部92によるタイムラグ突起17に対する係合を解除する。
【0061】
そして、レバー80を
図17に示すレバー中間位置から
図13に示すレバー嵌合解除位置まで回動する。これにより、レバー80の支軸53と第1ハウジング10に設けられたカム軸15との間の距離が更に長くなるため、ムービングハウジング50は中間位置よりも挿入方向手前側(上側)にある嵌合解除位置に移動する。ここで、ムービングハウジング50が嵌合解除位置になる途中で、第2強電端子接触回避部56a,56bのそれぞれは第2強電端子60の各一対の弾性接触アーム61aa,61ba間に入り込む。ムービングハウジング50が嵌合解除位置になったときには、
図15に示すように、第2強電端子接触回避部56a,56bは第2強電端子60の各一対の弾性接触アーム61aa間から完全に入り込んでいる。これにより、各一対の弾性接触アーム61aa,61ba間の間隔を広げて各一対の弾性接触アーム61aa,61baが第1強電端子31a,31bに対し非接触となる。これにより、高電圧部が切り離される。一方、第2信号端子70の一対の接触部71a,71bのそれぞれは第1信号端子32a,32bのそれぞれに対し非接触状態を維持している。
【0062】
このように、第2信号端子70と一対の第1信号端子32a,32bとの接触状態が解除されてから第2強電端子60と一対の第1強電端子31a,31bとの接触状態が解除されるまでの間に、タイムラグロック機構90によるレバー80のロック時間及びそのロックの解除時間が要される。このため、一対の第1信号端子32a,32bと第2信号端子70との接続解除から一対の第1強電端子31a,31bと第2強電端子60との接続解除までの間に一定の時間差を設けることができる。
【0063】
また、第2強電端子60が第1強電端子31a,31bに対して摺動することなく非接触となるので、第2コネクタ3が第1コネクタ2から離脱する際にも、第2強電端子60及び第1強電端子31a,31bが損傷してしまうおそれを回避することができる。
そして、タイムラグロック機構90は、第1ハウジング10に設けられたタイムラグ突起17と、レバー80設けられた、タイムラグ突起17に係合する係合部92を有するタイムラグロックアーム91とを備えている。このため、タイムラグロック機構90を簡単な構成で実現することができる。
【0064】
更に、タイムラグロックアーム91は、レバー80に、シーソー構造の形で支持部91aを中心に揺動可能に設けられ、支持部91aを挟んで一方側に係合部92を有し、他方側に押圧操作部94を有する。このため、タイムラグロック機構90によるロック解除を達成するための構成を簡単に実現することができるとともに、ロック解除を容易に行うことができる。
なお、前述したように、レバー80がレバー嵌合解除位置からレバー中間位置に向けて少しだけ回動すると(回動角で約10°程度、
図27参照)、一対の第2ハウジングロック部18が第2ハウジング40の一対の係止板部44を上方からロックする。これにより、第2ハウジング40の挿入方向と反対方向(上方向)の移動を規制する。
【0065】
ここで、前述したように、レバー80を
図17に示すレバー中間位置から
図13に示すレバー嵌合解除位置に向けて回動する途中で、第2強電端子接触回避部56a,56bのそれぞれが第2強電端子60の各一対の弾性接触アーム61aa,61ba間に入り込む。従って、第2強電端子接触回避部56a,56bのそれぞれが第2強電端子60の各一対の弾性接触アーム61aa,61ba間に入り込むときには、第2ハウジングロック部18により第2ハウジング40の上方向への移動が規制されている。当該第2強電端子接触回避部56a,56bのそれぞれは上方向に移動しつつ各一対の弾性接触アーム61aa,61ba間に入り込む。このため、第2ハウジング40の上方向への移動が規制されていないと、第2強電端子接触回避部56a,56bの上方向への移動によって第2ハウジング40及び第2強電端子60が上方向へ浮いてしまう。そうなると、第2強電端子接触回避部56a,56bのそれぞれが各一対の弾性接触アーム61aa,61ba間に入り込むことができず、第2強電端子60が第1強電端子31a,31bに接触したままとなる。従って、第2ハウジングロック部18により第2ハウジング40の上方向への移動を規制することにより、第2強電端子接触回避部56a,56bのそれぞれが第2強電端子60の各一対の弾性接触アーム61aa,61ba間に確実に入り込むことができる。
【0066】
一方、第2ハウジングロック部18により第2ハウジング40の上方向への移動を規制したままであると、第2ハウジング40を第1コネクタ2から離脱することができない。
このため、前述したように、レバー80に、第2ハウジングロック部18による第2ハウジング40の移動規制状態を解除する一対のロック解除部85を設けてある。
このロック解除部85の作用について、
図26乃至
図28を参照して説明する。
【0067】
レバー80をレバー嵌合完了位置からレバー中間位置まで回動すると、
図26に示すように、各ロック解除部85は各第2ハウジングロック部18に近づくが当接しない。このため、第2ハウジングロック部18による第2ハウジング40の移動規制状態が維持される。
更に、レバー80をレバー中間位置から更にレバー嵌合解除位置の少し手前の位置(レバー嵌合解除位置から回動角で約10°の位置)まで回動すると、
図27に示すように、各ロック解除部85は、第2ハウジングロック部18に当接する。第2ハウジングロック部18による第2ハウジング40の移動規制状態が維持される。
【0068】
また、レバー80をレバー嵌合解除位置まで回動すると、
図28に示すように、各ロック解除部85は、第2ハウジングロック部18を変位させ、第2ハウジングロック部18による第2ハウジング40へのロック状態が解除される。
これにより、
図29に示すように、第2コネクタ3を第1コネクタ2から離脱させることができる。
【0069】
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明はこれに限定されずに種々の変更、改良を行うことができる。
例えば、第1強電端子31a,31bを雄型のタブ端子とし、第2強電端子60を第1強電端子31a,31bを互いの間で受容して接触する一対の弾性接触アーム61aa,61baを備えるものとする必要は必ずしもない。第1強電端子を雌型、第2強電端子を雄型としてもよい。
【0070】
また、第2強電端子接触回避部56a,56bは、タブ端子の板厚よりも幅の大きい突起で構成されている必要は必ずしもない。
更に、タイムラグロック機構90は、レバー80がレバー中間位置に位置するときにレバー80の回動をロックするとともにそのロックを解除するものであれば、タイムラグ突起17及びタイムラグロックアーム91で構成する必要は必ずしもない。
【0071】
また、タイムラグロックアーム91を設ける場合、レバー80に、シーソー構造の形で支持部91aを中心に揺動可能に設けられる必要は必ずしもない。
また、第1ハウジング10に、第2ハウジングロック部18を設ける必要は必ずしもない。また、レバー80に、ロック解除部85を設ける必要は必ずしもない。
また、レバー中間位置は、レバー嵌合解除位置から回動角で約45°の位置である必要は必ずしもなく、レバー嵌合完了位置は、レバー嵌合解除位置から回動角で約90°の位置である必要は必ずしもない。