(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-92076(P2017-92076A)
(43)【公開日】2017年5月25日
(54)【発明の名称】発光素子
(51)【国際特許分類】
H01S 5/32 20060101AFI20170421BHJP
H01L 33/34 20100101ALI20170421BHJP
【FI】
H01S5/32
H01L33/00 188
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-215855(P2015-215855)
(22)【出願日】2015年11月2日
(71)【出願人】
【識別番号】000132725
【氏名又は名称】株式会社ソディック
(72)【発明者】
【氏名】津田 裕樹
(72)【発明者】
【氏名】松舘 政茂
(72)【発明者】
【氏名】山田 健治
(72)【発明者】
【氏名】坪利 悠司
(72)【発明者】
【氏名】高山 翼
【テーマコード(参考)】
5F173
5F241
【Fターム(参考)】
5F173AA12
5F173AD05
5F173AH40
5F173AR14
5F241AA04
5F241CA02
5F241CA33
5F241CB02
5F241CB22
(57)【要約】
【課題】発光強度の高い発光素子を提供すること。
【解決手段】p型不純物が添加された間接遷移型半導体からなるp層と、n型不純物が添加された間接遷移型半導体からなるn層と、p層とn層との間に介在するpn接合層と、を備え、p層、pn接合層およびn層は、発光部を有し、電圧が印加されることにより電子が注入され、電子が付与されることによって発光部が発光する発光素子であって、複数の発光領域を形成するための複数発光手段を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
p型不純物が添加された間接遷移型半導体からなるp層と、
n型不純物が添加された間接遷移型半導体からなるn層と、
前記p層と前記n層との間に介在するpn接合層と、
を備え、
前記p層、前記pn接合層および前記n層は、発光部を有し、
電圧が印加されることにより電子が注入され、電子が付与されることによって前記発光部が発光する発光素子であって、
複数の発光領域を形成するための複数発光手段を有することを特徴とする発光素子。
【請求項2】
前記p層の前記pn接合層と反対側の面に配置された第1電極と、
前記n層の前記pn接合層と反対側の面に配置された第2電極と、
をさらに有し、
前記第1電極は、複数電極からなり、
前記第2電極は、ひとつの電極からなり、
前記複数発光手段は、前記第1電極と前記第2電極とであることを特徴とする請求項1に記載の発光素子。
【請求項3】
前記p層の前記pn接合層と反対側の面に配置された第3電極と、
前記n層の前記pn接合層と反対側の面に配置された第4電極と、
をさらに有し、
前記第3電極は、ひとつの電極からなり、
前記第4電極は、複数電極からなり、
前記複数発光手段は、前記第3電極と前記第4電極とであることを特徴とする請求項1に記載の発光素子。
【請求項4】
前記複数発光手段は、
前記p層の前記pn接合層と反対側の面に配置された第5電極と、
前記n層の前記pn接合層と反対側の面に配置された第6電極と、
であって、
前記第5電極と前記第6電極とは、複数電極からなり、
前記複数発光手段は、前記第5電極と前記第6電極とであることを特徴とする請求項1に記載の発光素子。
【請求項5】
前記第5電極および前記第6電極は、
前記p層、前記pn接合層および前記n層の少なくとも一方向から見た断面から見て、それぞれ交互且つ対向配置され、
前記第5電極は、前記p層に対応して接合され、
前記第6電極は、前記n層に対応して接合されていることを特徴とする請求項4に記載の発光素子。
【請求項6】
両方の電極を合わせて3つ以上の電極からなる第7電極と、第8電極と、をさらに有し、
前記第7電極および前記第8電極は、前記p層の前記pn接合層と反対側の面、もしくは、前記n層の前記pn接合層と反対側の面のうちのどちらか一方に、そのすべてが配置され、
前記第7電極は、前記p層に対応して接合され、
前記第8電極は、前記n層に対応して接合され、
前記p層、前記pn接合層および前記n層の少なくとも一方向から見た断面から見て、交互に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の発光素子。
【請求項7】
前記p層の前記pn接合層と反対側の面に配置された第9電極と、
前記n層の前記pn接合層と反対側の面に配置された第10電極と、
をさらに有し、
前記複数発光手段は、
前記第9電極に対応するように複数に分割された前記p層であることを特徴とする請求項1に記載の発光素子。
【請求項8】
前記n層は、前記第10電極に対応するように複数に分割され、
前記p層と対応するように接合されていることを特徴とする請求項1または7に記載の発光素子。
【請求項9】
前記複数発光手段は、
その一部またはすべてに含まれる前記発光部を複数に分割するように形成された前記p層、前記pn接合層および前記n層であることを特徴とする請求項1に記載の発光素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体レーザ等に利用される発光素子に関する。
【背景技術】
【0002】
電流注入によってレーザ発信を得る間接半導体レーザの発光素子として、特許文献1に記載の発光素子がある。この発光素子は、シリコン等の間接半導体にp型不純物が添加されたp層と、前記間接半導体にn型不純物が添加されたn層と、p層とn層との接合部に形成される、所謂活性層に相当するpn接合層とを備えている。
【0003】
p層およびn層は、その一部の領域、また、pn接合層は、そのすべての領域に電子が付与されることにより発光する発光部を有している。また、n層およびp層には電源が接続され、レーザの発信時には、n層側が正電圧、p層側が負電圧となるように順方向にバイアス電圧が印加される。これにより、n層、pn接合層およびn層内に電流が注入され、n層、pn接合層およびn層内の発光部に電子が付与されることにより、その一部またはすべてが発光する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−243824号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の発光素子では、高い発光強度を有する光を得ることができない。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、発光強度の高い発光素子を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明の発光素子は、p型不純物が添加された間接遷移型半導体からなるp層と、n型不純物が添加された間接遷移型半導体からなるn層と、前記p層と前記n層との間に介在するpn接合層と、を備え、前記p層、前記pn接合層および前記n層は、発光部を有し、電圧が印加されることにより電子が注入され、電子が付与されることによって前記発光部が発光する発光素子であって、複数の発光領域を形成するための複数発光手段を有することを特徴とするものである。
【0008】
本発明では、複数の発光領域を形成するための複数発光手段を有している。これにより、p層、pn接合層およびn層に対して電圧を印加した際、発光素子内に複数の発光領域を形成することができるため、ひとつの発光素子から複数の光源を得ることができる。従って、これらの光源から得られた光をまとめることにより、高い発光強度を有する光を得ることができる。
【0009】
第2の発明の発光素子は、前記第1の発明において、前記p層の前記pn接合層と反対側の面に配置された第1電極と、前記n層の前記pn接合層と反対側の面に配置された第2電極と、をさらに有し、前記第1電極は、複数電極からなり、前記第2電極は、ひとつの電極からなり、前記複数発光手段は、前記第1電極と前記第2電極とであることを特徴とするものである。
【0010】
本発明では、p層のpn接合層と反対側の面に配置された第1電極と、n層のpn接合層と反対側の面に配置された第2電極と、をさらに有し、第1電極は、複数電極からなり、第2電極は、ひとつの電極からなり、複数発光手段は、第1電極と第2電極とである。これにより、第1電極と第2電極との間に電圧を印加した際、第1電極と第2電極との間には複数の電流狭窄領域が生じる。従って、p層、n層およびpn接合層の発光部を複数の領域に分割し、発光素子内に複数の発光領域を形成することができる。
これにより、ひとつの発光素子から複数の光源を得ることができる。
【0011】
第3の発明の発光素子は、前記第1の発明において、前記p層の前記pn接合層と反対側の面に配置された第3電極と、前記n層の前記pn接合層と反対側の面に配置された第4電極と、をさらに有し、前記第3電極は、ひとつの電極からなり、前記第4電極は、複数電極からなり、前記複数発光手段は、前記第3電極と前記第4電極とであることを特徴とするものである。
【0012】
本発明では、p層のpn接合層と反対側の面に配置された第3電極と、n層のpn接合層と反対側の面に配置された第4電極と、をさらに有し、第3電極は、ひとつの電極からなり、第4電極は、複数電極からなり、複数発光手段は、第3電極と第4電極とである。これにより、第3電極と第4電極との間に電圧を印加した際、第3電極と第4電極との間には複数の電流狭窄領域が生じる。従って、p層、n層およびpn接合層の発光部を複数の領域に分割し、発光素子内に複数の発光領域を形成することができる。これにより、ひとつの発光素子から複数の光源を得ることができる。
【0013】
第4の発明の発光素子は、前記第1の発明において、前記複数発光手段は、前記p層の前記pn接合層と反対側の面に配置された第5電極と、前記n層の前記pn接合層と反対側の面に配置された第6電極と、であって、前記第5電極と前記第6電極とは、複数電極からなり、前記複数発光手段は、前記第5電極と前記第6電極とであることを特徴とするものである。
【0014】
本発明では、複数発光手段は、p層のpn接合層と反対側の面に配置された第5電極と、n層の前記pn接合層と反対側の面に配置された第6電極と、であって、第5電極と第6電極とは、複数電極からなり、複数発光手段は、第5電極と第6電極とである。これにより、第5電極と第6電極との間に電圧を印加した際、第5電極と第6電極との間には複数の電流狭窄領域が生じる。従って、p層、n層およびpn接合層の発光部を複数の領域に分割し、発光素子内に複数の発光領域を形成することができる。これにより、ひとつの発光素子から複数の光源を得ることができる。
【0015】
第5の発明の発光素子は、前記第4の発明において、前記第5電極および前記第6電極は、前記p層、前記pn接合層および前記n層の少なくとも一方向から見た断面から見て、それぞれ交互且つ対向配置され、前記第5電極は、前記p層に対応して接合され、前記第6電極は、前記n層に対応して接合されていることを特徴とするものである。
【0016】
本発明では、第5電極および第6電極は、p層、pn接合層およびn層の少なくとも一方向から見た断面から見て、それぞれ交互且つ対向配置され、第5電極は、p層に対応して接合され、第6電極は、n層に対応して接合されている。これにより、積層方向と直交する方向においても、新たなpn接合層を形成することができる。さらに、第5電極と第6電極との間に電圧を印加した際、隣り合うp層とn層との間でも電流狭窄が生じるため、p層、n層およびpn接合層の発光部をより多くの領域に分割し、発光素子内により多くの発光領域を形成することができる。これにより、ひとつの発光素子から複数の光源を得ることができる。
【0017】
第6の発明の発光素子は、前記第1の発明において、両方の電極を合わせて3つ以上の電極からなる第7電極と、第8電極と、をさらに有し、前記第7電極および前記第8電極は、前記p層の前記pn接合層と反対側の面、もしくは、前記n層の前記pn接合層と反対側の面のうちのどちらか一方に、そのすべてが配置され、前記第7電極は、前記p層に対応して接合され、前記第8電極は、前記n層に対応して接合され、前記p層、前記pn接合層および前記n層の少なくとも一方向から見た断面から見て、交互に配置されていることを特徴とすることを特徴とするものである。
【0018】
本発明では、両方の電極を合わせて3つ以上の電極からなる第7電極と、第8電極と、をさらに有し、第7電極および第8電極は、p層の前記pn接合層と反対側の面、もしくは、n層の前記pn接合層と反対側の面のうちのどちらか一方に、そのすべてが配置され、第7電極は、p層に対応して接合され、第8電極は、n層に対応して接合され、p層、pn接合層およびn層の少なくとも一方向から見た断面から見て、交互に配置されている。これにより、第7電極と第8電極との間に電圧を印加した際、隣り合うp層とn層との間において、複数の電流狭窄が生じる。従って、p層、n層およびpn接合層の発光部を複数の領域に分割し、発光素子内に複数の発光領域を形成することができる。これにより、ひとつの発光素子から複数の光源を得ることができる。
【0019】
第7の発明の発光素子は、前記第1の発明において、前記p層の前記pn接合層と反対側の面に配置された第9電極と、前記n層の前記pn接合層と反対側の面に配置された第10電極と、をさらに有し、前記複数発光手段は、前記第9電極に対応するように、複数に分割された前記p層であることを特徴とするものである。
【0020】
本発明では、p層のpn接合層と反対側の面に配置された第9電極と、n層のpn接合層と反対側の面に配置された第10電極と、をさらに有し、複数発光手段は、第9電極に対応するように、複数に分割されたp層である。これにより、複数に分割されたp層とn層との間に複数の接合部が形成される。従って、pn接合層を複数に分割し、発光素子内に複数の発光領域を形成することができる。これにより、ひとつの発光素子から複数の光源を得ることができる。
【0021】
第8の発明の発光素子は、前記第1または7の発明において、前記n層は、前記第10電極に対応するように複数に分割され、前記p層と対応するように接合されていることを特徴とするものである。
【0022】
本発明では、n層は、第10電極に対応するように複数に分割され、p層と対応するように接合されている。これにより、これにより、p層と複数に分割されたn層との間に複数の接合部が形成される。従って、pn接合層を複数に分割し、発光素子内に複数の発光領域を形成することができる。これにより、ひとつの発光素子から複数の光源を得ることができる。
【0023】
第9の発明の発光素子は、前記第1の発明において、前記複数発光手段は、その一部またはすべてに含まれる前記発光部を複数に分割するように形成された前記p層、前記pn接合層および前記n層であることを特徴とするものである。
【0024】
本発明では、複数発光手段は、その一部またはすべてに含まれる発光部を複数に分割するように形成されたp層、pn接合層およびn層である。従って、発光素子内に複数の発光領域を形成することができる。これにより、ひとつの発光素子から複数の光源を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】(a)〜(d)は、本実施形態に係る発光素子の長手方向から見た断面図である。
【
図2】(a),(b)は、本実施形態に係る発光素子の長手方向から見た断面図である。
【
図3】(a)は、本実施形態に係る発光素子を上から見た図であって、(b)は、そのX−X断面図である。
【
図4】本実施形態に係る発光素子の長手方向から見た断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0027】
本実施形態は、半導体レーザやLED光源として利用され、n層側が正電圧、p層側が負電圧となるように順方向にバイアス電圧を印加することにより発光する発光素子に、本発明を適用した一例である。なお、発光素子は、所定厚みを有し、厚み方向に直交する方向から見て矩形状をなす直方体形状であるが、図面上では全形の図示を省略し、長手方向から見た断面図によって、その構成を説明する。また、以下では、
図1〜4に示す上下、左右、前後の各方向を、上下方向、左右方向および前後方向と定義し、これらの方向語を適宜使用して説明する。
【0028】
[1]電極構成により複数の発光領域を形成する構成
(a)
図1の(a)に示すように、発光素子100は、シリコン等の間接半導体にp型不純物が添加されたp層1と、間接半導体にn型不純物が添加されたn層2と、p層1とn層2との接合部に形成されたpn接合層3とを備えている。p層1の表面には、幅、前後方向の長さ、厚み、および、形状の等しい3つのp型電極4a,4b,4cが等間隔に接合されている。n層2の表面には、その全面にひとつのn型電極5が接合されている。
【0029】
本実施形態では、発光素子100のp層1の表面には、3つのp型電極4a,4b,4cが等間隔に接合されている。n層2の表面には、その全面にひとつのn型電極5が接合されている。これにより、p型電極4a,4b,4cとn型電極5との間に電圧を印加した際、p型電極4a,4b,4cとn型電極5との間には、3つの電流狭窄領域C1,C2,C3が生じる。従って、p層1、n層2およびpn接合層3の発光部を3つの領域C1,C2,C3に分割し、発光素子100内に3つの発光領域C1,C2,C3を形成することができる。これにより、ひとつの発光素子100から3つの光源を得ることができる。従って、これらの光源からの光をまとめることにより、強い発光強度を有する光を得ることができる。なお、このn型電極5は、n層2の全表面に形成されている必要はなく、n層2の表面のうちの一部に接合されていても構わない。
【0030】
(b)
図1の(b)に示すように、発光素子100のn層2の表面には、幅、前後の長さ、厚み、および、形状の等しい3つのn型電極7a,7b,7cが等間隔に接合されている。p層1の表面には、その全面にひとつのp型電極6が接合されている。これにより、p型電極6とn型電極7a,7b,7cとの間に電圧を印加した際、p型電極6とn型電極7a,7b,7cとの間には、3つの電流狭窄領域C4,C5,C6が生じる。従って、p層1、n層2およびpn接合層3の発光部を3つの領域C4,C5,C6に分割し、発光素子100内に3つの発光領域C4,C5,C6を形成することができる。これにより、ひとつの発光素子100から3つの光源を得ることができる。なお、このp型電極6は、p層1の全表面に形成されている必要はなく、例えば、p型電極6は、p層1の表面のうちの一部に接合されていても構わない。
【0031】
(c)
図1の(c)に示すように、発光素子100のp層1およびn層2の表面には、幅、前後方向の長さ、厚み、および、形状の等しい3つのp型電極8a,8b,8c、および、n型電極9a,9b,9cが等間隔に接合されている。また、各p型電極8a,8b,8cとn型電極9a,9b,9cとは、上下方向において対向して配置されている。これにより、p型電極8a,8b,8cとn型電極9a,9b,9cとの間に電圧を印加した際、p型電極8a,8b,8cとn型電極9a,9b,9cとの間には、3つの電流狭窄領域C7,C8,C9が生じる。従って、p層1、n層2およびpn接合層3の発光部を3つの領域C7,C8,C9に分割し、発光素子100内に3つの発光領域C7,C8,C9を形成することができる。これにより、ひとつの発光素子100から複数の光源を得ることができる。
【0032】
(d)
図1の(d)に示すように、発光素子200は、幅、前後方向の長さ、厚み、および、形状の等しいp層10a,10bとn層11a,11bとが、左右方向において、p層10a、n層11a、p層10b、n層11bとなるように交互に配置された第1の層50と、幅、前後方向の長さ、厚み、および、形状の等しい4つのp層10c,10dとn層11c,11dとが、左右方向において、n層11c、p層10c、n層11d、p層10dとなるように交互に配置された第2の層60と、第1の層50と第2の層60との接合部に配置されたpn接合層30とを備えている。上下方向において、p層10aとn層11c、n層11aとp層10c、p層10bとn層11d、n層11bとp層10dは、対向するように配置されている。また、p層10a、n層11a、p層10bおよびn層11bの表面には、p型電極12a、n型電極12b、p型電極12c、n型電極12dがそれぞれ接合され、n層11c、p層10c、n層11dおよびp層10dの表面には、幅、前後の長さ、厚み、および、形状の等しいn型電極13a、p型電極13b、n型電極13c、p型電極13dが異なる層に対して干渉しないように接合されている。これにより、左右方向においても、新たなpn接合層32a〜32cを形成することができる。さらに、p型電極12a、n型電極12b、p型電極12cおよびn型電極12dとn型電極13a、p型電極13b、n型電極13cおよびp型電極13dとの間に電圧を印加した際、上下方向に生じる電流狭窄領域C10〜C13のみならず、左右方向において隣り合うp層とn層との間でも電流狭窄領域C14〜C19が生じるため、発光部を10つの領域に分割し、発光素子200内に10つの発光領域C10〜C19を形成することができる。
【0033】
(e)
図2の(a)に示すように、発光素子300のp層14とn層15とは、左右方向に並べて配置されている。また、p層14の上側表面にはp型電極17、n層15の上側表面にはn型電極18が、互いに干渉することなく接合されている。また、このp電極17とn電極18とは、幅と、前後方向の長さ、厚み、および、形状が等しい。従って、左右方向にpn接合層16を形成することができる。また、p型電極17とn型電極18との間に電圧を印加した際、電流狭窄領域C20を形成することができる。
【0034】
(f)
図2の(b)に示すように、発光素子400は、幅、前後方向の長さ、厚み、および、形状の等しい2つのp層19a,19bとひとつのn層20とが、左右方向において、p層19a、n層20、p層19bと交互に並ぶように配置されている。これにより、左右方向において、p層19aとn層20との間にはpn接合層21が形成され、n層20とp層19bとの間にはpn接合層22が形成されている。p層19a、n層20およびp層19bの上側表面には、p型電極23a、n型電極24、p型電極23bが、異なる層に対して干渉しないように接合されている。これにより、p型電極23a、n型電極24およびp型電極23bに電圧を印加した際、左右方向において隣り合うp層19aとn層20、n層20とp層19bとの間において、2つの電流狭窄領域C21,C22が生じる。従って、p層19a、n層20およびp層19b、pn接合層21,22の発光部を2つの領域C21,C22に分割し、発光素子400内に2つの発光領域C21,C22を形成することができる。これにより、ひとつの発光素子400から2つの光源を得ることができる。
【0035】
[2]pn接合層を複数に分割する構成
(g)
図3の(a)に示すように、発光素子500のp層25は、左右方向および前後方向において、等しい大きさで等間隔に複数分割されている。また、
図3の(b)に示すように、隣接するp層25aと25b,25bと25cとの間には、例えば、不純物が添加されていない間接半導体28が形成されている。これにより、複数に分割されたp層25と、n層26との間には、複数のpn接合部27a,27b,27c,・・・が形成される。従って、上下方向から見て、pn接合層27を複数に分割し、発光素子500内に複数の発光領域を形成することができる。これにより、ひとつの発光素子500から複数の光源を得ることができる。なお、p層25は、左右方向または/および前後方向において、等しい大きさ且つ等間隔で並べられていなくても構わない。また、p層25ではなくn層26のみ、もしくは、p層25とn層26の両方を複数分割し、それぞれ上下方向において対応するように接合することにより、複数のpn接合層を形成しても構わない。
【0036】
(h)
図4に示すように、複数のpn接合層35a,35b,35cが形成されるように、不純物が添加されていない間接半導体の層を、その間を埋めるように形成しても構わない。これにより、発光素子600内に複数の発光領域を形成することができるため、ひとつの発光素子600から複数の光源を得ることができる。
【0037】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施形態や実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な設計変更が可能なものである。
【0038】
本実施形態では、上から順に、p層、pn接合層およびn層が積層されていると記載したが、上下方向においてp層とn層とが逆となるように積層されていても構わない。
【0039】
また、本実施形態に係る発光素子は、半導体レーザのみならず、LED光源などに適用することができる。
【符号の説明】
【0040】
1 p層
2 n層
3 pn接合層
100 発光素子