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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-92384(P2017-92384A)
(43)【公開日】2017年5月25日
(54)【発明の名称】半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/28 20060101AFI20170421BHJP
   H01L 29/423 20060101ALI20170421BHJP
   H01L 21/338 20060101ALI20170421BHJP
   H01L 29/812 20060101ALI20170421BHJP
   H01L 29/778 20060101ALI20170421BHJP
【FI】
   H01L21/28 L
   H01L21/28 301B
   H01L29/58 Z
   H01L29/80 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-224110(P2015-224110)
(22)【出願日】2015年11月16日
(71)【出願人】
【識別番号】000154325
【氏名又は名称】住友電工デバイス・イノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087480
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 修平
(72)【発明者】
【氏名】倉知 泰代
【テーマコード(参考)】
4M104
5F102
【Fターム(参考)】
4M104AA04
4M104AA05
4M104AA07
4M104BB05
4M104BB17
4M104DD08
4M104DD16
4M104DD17
4M104DD18
4M104DD34
4M104DD68
4M104FF13
4M104GG12
4M104HH20
5F102GB01
5F102GC01
5F102GD01
5F102GJ02
5F102GJ03
5F102GJ10
5F102GL04
5F102GM04
5F102GM08
5F102GQ01
5F102GS02
5F102GS04
5F102GS09
5F102GT01
5F102GV06
5F102GV08
(57)【要約】
【課題】チャージアップに起因するダメージを抑制することが可能な半導体装置の製造方法を提供すること。
【解決手段】端部を含む上面に活性領域を備えたウェーハに対して、その下面から前記上面の端部における前記活性領域にかけて連続して延在する金属層を形成する第1工程と、前記ウェーハ上の半導体チップとなる第1領域の一部と、スクライブラインとなる第2領域の少なくとも一部を含む領域に、不活性領域によって区画された活性領域を形成する第2工程と、前記第1及び第2工程の後、プラズマエッチングによって、前記ウェーハ上に設けられた絶縁膜に開口を形成する第3工程と、を有し、前記端部における前記活性領域は、前記第2領域における前記活性領域と電気的に接続されている半導体装置の製造方法。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
端部を含む上面に活性領域を備えたウェーハに対して、その下面から前記上面の端部における前記活性領域にかけて連続して延在する金属層を形成する第1工程と、
前記ウェーハ上の半導体チップとなる第1領域の一部と、スクライブラインとなる第2領域の少なくとも一部を含む領域に、不活性領域によって区画された活性領域を形成する第2工程と、
前記第1及び第2工程の後、プラズマエッチングによって、前記ウェーハ上に設けられた絶縁膜に開口を形成する第3工程と、を有し、
前記端部における前記活性領域は、前記第2領域における前記活性領域と電気的に接続されている半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記金属層は、前記ウェーハの下面に対して原料を照射する、蒸着法またはスパッタリング法を実施することにより、前記ウェーハの下面から前記上面の活性領域に連続して延在して形成される請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記ウェーハの下面における前記金属層は、前記第3工程におけるプラズマエッチングにおいて、接地電位に接続される、請求項1または2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記開口は、ゲート電極を形成するためのゲート窓である請求項1〜3のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記第2領域における活性領域は、前記スクライブラインの幅方向の中央部に位置し、前記第2領域における不活性領域は前記スクライブラインの幅方向の端部に位置し、
前記第2領域の活性領域よりも大きな幅で前記スクライブラインにおける前記ウェーハを切断する工程を有する請求項1〜4のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件は半導体装置の製造方法に関する。
【0002】
半導体装置の製造工程においては、例えばプラズマエッチング、プラズマアッシング、イオン注入およびプラズマCVD(Chemical Vapor Deposition:化学気相成長法)など、プラズマを用いた工程が実施される。プラズマエッチングでは、例えば四フッ化炭素(CF)または六フッ化硫黄(SF)などのフッ素系ガスを電離させて、プラズマ化する。プラズマ中のイオンおよびラジカルにより、窒化シリコン(SiN)膜などの絶縁膜をエッチングする。プラズマエッチングなどのドライエッチングを行うことで、ウェーハの表面に電荷(チャージ)が蓄積する(チャージアップ)。特許文献1には、ドライエッチングにおいて、チャージアップでシリコン基板に入った電子と、正イオンとを結合させる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−79392号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
プラズマエッチングを行うことで、ウェーハの表面に電荷(チャージ)が蓄積する(チャージアップ)。チャージアップにより、ウェーハの表面とウェーハ内部との間に電位差が生じ、電位差によって誘発されるプラズマからの電流がウェーハに流れる。電流によってウェーハ中の半導体層にダメージが発生する。この結果、半導体装置を駆動させた際のリーク電流が増大する。また、例えば絶縁膜のエッチングなどにおいてアーキングが発生し、半導体層が破損することもある。例えば窒化ガリウム(GaN)などの窒化物半導体によりウェーハが形成されている場合、窒化物半導体は高抵抗であるため、チャージはウェーハの表面に集中しやすい。特にウェーハの中心にチャージがたまりやすい。したがって、チャージアップに起因するダメージが発生しやすい。
【0005】
本願発明は、上記課題に鑑み、チャージアップに起因するダメージを抑制することができる電子回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一形態は、端部を含む上面に活性領域を備えたウェーハに対して、その下面から前記上面の端部における前記活性領域にかけて連続して延在する金属層を形成する第1工程と、前記ウェーハ上の半導体チップとなる第1領域の一部と、スクライブラインとなる第2領域の少なくとも一部を含む領域に、不活性領域によって区画された活性領域を形成する第2工程と、前記第1及び第2工程の後、プラズマエッチングによって、前記ウェーハ上に設けられた絶縁膜に開口を形成する第3工程と、を有し、前記端部における前記活性領域は、前記第2領域における前記活性領域と電気的に接続されている半導体装置の製造方法である。
【発明の効果】
【0007】
上記発明によれば、チャージアップに起因するダメージを抑制することができる半導体装置の製造方法を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1(a)は誘導結合型プラズマ(Induced Coupled Plasma:ICP)エッチングを示す図である。図1(b)は実施例1に係るウェーハを示す断面図である。図1(c)は比較例に係るウェーハを示す断面図である。
図2図2(a)はウェーハを例示する平面図である。図2(b)はウェーハを例示する断面図である。
図3図3(a)はウェーハを例示する平面図である。図3(b)は図3(a)の線B−Bに沿った断面図である。
図4図4(a)は第1領域を例示する断面図である。図4(b)は第2領域を例示する断面図である。
図5図5(a)はウェーハを例示する平面図である。図5(b)はウェーハの端部付近を拡大した平面図である。図5(c)は図5(b)の線C−Cに沿った断面図である。
図6図6はウェーハのうち1つの半導体チップとなる部分を拡大した平面図である。
図7図7(a)は第1領域を例示する断面図である。図7(b)は第2領域を例示する断面図である。
図8図8(a)は第1領域を例示する断面図である。図8(b)は第2領域を例示する断面図である。
図9図9(a)は第1領域を例示する断面図である。図9(b)は第2領域を例示する断面図である。
図10図10(a)は第1領域を例示する断面図である。図10(b)は第2領域を例示する断面図である。
図11図11はウェーハを例示する平面図である。
図12図12(a)は第1領域を例示する断面図である。図12(b)は第2領域を例示する断面図である。
図13図13(a)は第1領域を例示する断面図である。図13(b)は第2領域を例示する断面図である。
図14図14(a)は第1領域を例示する断面図である。図14(b)は第2領域を例示する断面図である。
図15図15(a)は第1領域を例示する断面図である。図15(b)は第2領域を例示する断面図である。
図16図16はウェーハを例示する平面図である。
図17図17(a)は第1領域を例示する断面図である。図17(b)は第2領域を例示する断面図である。
図18図18(a)はウェーハを例示する断面図である。図18(b)は半導体装置を例示する断面図である。
図19図19はリーク電流の測定結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の一形態は、(1)端部を含む上面に活性領域を備えたウェーハに対して、その下面から前記上面の端部における前記活性領域にかけて連続して延在する金属層を形成する第1工程と、前記ウェーハ上の半導体チップとなる第1領域の一部と、スクライブラインとなる第2領域の少なくとも一部を含む領域に、不活性領域によって区画された活性領域を形成する第2工程と、前記第1及び第2工程の後、プラズマエッチングによって、前記ウェーハ上に設けられた絶縁膜に開口を形成する第3工程と、を有し、前記端部における前記活性領域は、前記第2領域における前記活性領域と電気的に接続されている半導体装置の製造方法である。プラズマエッチングにより、ウェーハ表面がチャージアップする。プラズマエッチングにより絶縁膜が除去され、第1領域および第2領域の活性領域が露出する。このため、チャージは第1領域および第2領域の活性領域に分散する。また、金属層はウェーハの上面の端部に設けられ、活性領域と接触する。このため、チャージは、第2領域の活性領域を通じて金属層に流れ、ウェーハの下面に逃げる。これにより、ウェーハの上面からチャージが除去される。この結果、チャージアップに起因するダメージを抑制することができる。
(2)前記金属層は、前記ウェーハの下面に対して原料を照射する、蒸着法またはスパッタリング法を実施することにより、前記ウェーハの下面から前記上面の活性領域に連続して延在して形成されることが好ましい。
(3)前記ウェーハの下面における前記金属層は、前記第3工程におけるプラズマエッチングにおいて、接地電位に接続されることが好ましい。チャージが金属層に流れるため、チャージアップに起因するダメージは抑制される。
(4)前記開口は、ゲート電極を形成するためのゲート窓であることが好ましい。これにより、ゲート電極の設けられる領域のダメージを抑制し、リーク電流を低減することができる。
(5)前記第2領域における活性領域は、前記スクライブラインの幅方向の中央部に位置し、前記第2領域における不活性領域は前記スクライブラインの幅方向の端部に位置し、前記第2領域の活性領域よりも大きな幅で前記スクライブラインにおける前記ウェーハを切断する工程を有することが好ましい。ウェーハを切断することにより、第2領域の活性領域は除去され、半導体チップの端部は不活性領域となる。このため、半導体チップのショートが抑制される。
【0010】
本発明の実施例について説明する。
【実施例1】
【0011】
まず、本発明の実施例1の原理について説明する。図1(a)は誘導結合型プラズマ(Induced Coupled Plasma:ICP)エッチングを示す図である。図1(a)に示すように、プラズマエッチング装置20はチャンバー22、ステージ24、高周波電源25、キャパシタ26およびコイル28を備える。ステージ24は、チャンバー22内であって、コイル28と対向する位置に設けられている。ステージ24はキャパシタ26を介して高周波電源25に接続されている。ウェーハ10は、チャンバー22内のステージ24上に配置される。ウェーハ10は、例えば窒化物半導体層などの半導体層を含む。ウェーハ10は、図4(a)および図4(b)で後述する不活性化処理の実行後のものである。
【0012】
図1(b)は実施例1に係るウェーハ10を示す断面図である。図1(b)に示すように、ウェーハ10は、活性領域12および不活性領域14を含む。図1(b)に示すように、ウェーハ10のうち、半導体チップとなる領域(第1領域16)およびスクライブラインとなる領域(第2領域18)、および端部19において、ウェーハ10の下面から上面にかけて活性領域12が形成されている。第2領域18の活性領域と端部19の活性領域とは連続している。ウェーハ10のうち一部の領域の上面側に不活性領域14が形成されている。金属層30が、ウェーハ10の下面から上面の端部にかけて設けられている。金属層30は、活性領域12の上面、側面および下面に接触している。また、ウェーハ10の上面には、窒化シリコン(SiN)膜などの絶縁膜44が設けられ、絶縁膜44上にはレジスト46が設けられている。レジスト46は第1領域16上に開口部46aを有し、第2領域18上に開口部46bを有する。
【0013】
図1(c)は比較例に係るウェーハ10Rを示す断面図である。ウェーハ10Rにおいては、第2領域18および端部19の上面側は不活性領域14である。また、金属層30はウェーハ10Rに設けられていない。
【0014】
図1(a)に示したプラズマエッチング装置20を用いてプラズマエッチング処理を行う。チャンバー22内には例えばSFガスなどのエッチングガスが導入される。チャンバー22内の圧力は例えば0.1〜5Paである。コイル28に電流を流すことで発生する電界および磁界により、SFガスがプラズマ化する。高周波電源25のバイアスパワーは例えば10Wである。図1(b)および図1(c)に破線の矢印で示すように、イオンおよびラジカルをウェーハ10および10Rに衝突させることで、絶縁膜44のエッチングを行う。絶縁膜44を除去することにより、ウェーハ10および10Rの上面が露出する。
【0015】
図1(b)および図1(c)に示すように、プラズマエッチングが行われることで、絶縁膜44およびレジスト46の表面に正の電荷(チャージ)が蓄積する、いわゆるチャージアップが起こる。
【0016】
図1(c)に示した比較例では、チャージアップにより、プラズマとウェーハ10Rとの間に電位差が生じ、電位差によって誘発されるプラズマからの電流がウェーハに流れる。図1(c)中に実線の矢印で示すように、チャージが第1領域16の活性領域12に集中するため、第1領域16の活性領域12に大きな電流A1が流れる。電流A1が流れることにより第1領域16の活性領域12にダメージが発生する。この結果、ウェーハ10Rに形成される電界効果トランジスタ(Field Effect Transistor:FET)などの半導体装置が劣化する。活性領域12のうちゲート電極直下のチャネル層などの半導体層(ゲート領域)にダメージが生じると、FETを駆動させた際のゲートリーク電流が増大する。また、プラズマエッチング工程などにおいてアーキングが発生し、ウェーハ10Rに形成されたキャパシタなどの受動素子またはFETなどが破損することもある。ウェーハ10Rに含まれる絶縁基板、およびGaNなどの窒化物半導体は高抵抗であるため、チャージはウェーハ10Rの表面に集中しやすく、特にウェーハの中心にたまりやすい。したがって、チャージアップに起因するダメージが発生しやすい。
【0017】
一方、図1(b)に示した実施例1では、プラズマエッチングにより、第1領域16および第2領域18の活性領域12が露出する。このため、実施例1において露出する活性領域12の面積が比較例よりも大きくなる。したがって、図1(b)中に実線の矢印で示すように、チャージが第1領域16および第2領域18両方の活性領域12に分散する。また、金属層30は活性領域12の下面、側面および上面に接触する。このため、チャージは、第2領域18および端部19の活性領域12を通じて金属層30に流れ込み、さらにウェーハ10の下面に流れる。
【0018】
これにより、ウェーハ10上面のチャージが除去される。この結果、ウェーハ10に流れる電流A1は、比較例より小さくなる。したがって、第1領域16の活性領域12のダメージが抑制される。活性領域12のゲート領域のダメージが抑制されることにより、FETを駆動させた際のリーク電流も低減する。また、アーキングも抑制される。後述の図5(a)に示すように、第2領域18の活性領域は第2領域18の延在方向に延在する。また図1(b)に示すように、活性領域12はウェーハ10の端部19において金属層30と接触している。このため、ウェーハ10の中央部のチャージが、第2領域18および端部19の活性領域12を通じて、金属層30に流れる。この結果、ウェーハ10の中央部におけるチャージの集中が抑制され、チャージアップによるダメージが抑制される。また、ウェーハ10全体がほぼ同一電位となるため、プラズマエッチングのエッチングレートがほぼ一定となる。この結果、安定したエッチングが可能となる。
【0019】
次に、ウェーハ10の層構造について説明する。図2(a)はウェーハ10を例示する平面図である。図2(b)はウェーハ10を例示する断面図である。図2(b)に示すように、ウェーハ10においては、下から基板32、チャネル層34、電子供給層36およびキャップ層38が積層されている。電子供給層36はチャネル層34の上面に接触している。基板32とチャネル層34との間にバッファ層が設けられていてもよい。
【0020】
基板32は例えばSiC(炭化シリコン)、Si(シリコン)またはサファイアなどにより形成されている。チャネル層34、電子供給層36、及びキャップ層38は、例えばエピタキシャル成長された窒化物半導体層である。チャネル層34は例えばi−GaN(ノンドープの窒化ガリウム)により形成されている。電子供給層36は、例えばAlGaN(窒化アルミニウムガリウム)により形成されている。キャップ層38は例えばGaNにより形成されている。
【0021】
次に、実施例1に係る半導体装置の製造方法について、詳しく説明する。図3(a)はウェーハ10を例示する平面図である。図3(b)は図3(a)の線B−Bに沿った断面図である。図3(a)および図3(b)に示すように、蒸着法(真空蒸着法)またはスパッタリング法などにより、ウェーハ10の下面に向かって原料を照射することで、ウェーハ10に金属層30を形成する。蒸着法またはスパッタリング法などによれば、照射された原料は、図3(a)に示すように、ウェーハ10の下面のみならず、側面および上面の端部にまで連続して延在し、金属層30はウェーハ10を囲む。図3(b)に示すように、金属層30はウェーハ10の下面、側面、および上面の端部に接触する。金属層30は例えばウェーハ10に近い方からチタン/タングステン(Ti/W)を積層した膜であり、200nmの厚さを有する。
【0022】
図4(a)は第1領域16を例示する断面図である。図4(b)は第2領域18を例示する断面図である。図4(a)に示すように第1領域16における活性領域を活性領域12aと記載し、図4(b)に示すように第2領域18における活性領域を活性領域12bと記載することがある。図4(a)および図4(b)に示すように、ウェーハ10の上面にレジスト40を形成する。図4(a)に示すように、第1領域16の中央部はレジスト40に覆われ、周縁部はレジスト40から露出する。図4(b)に示すように、第2領域18の中央部はレジスト40に覆われ、周縁部はレジスト40から露出する。レジスト40を形成した後、例えば加速電圧30〜120keV、ドーズ量1〜5×1012/cmで、アルゴン(Ar)イオンを注入することにより、ウェーハ10のレジスト40から露出した領域を不活性化する。図4(a)および図4(b)に示すように、キャップ層38、電子供給層36、およびチャネル層34の上側の一部が不活性領域14となる。第1領域16の中央部および第2領域18の中央部は不活性化されず、活性領域12aが残存する。スクライブラインの幅方向において第2領域18の中央部が活性領域12b、端部が不活性領域14となる。不活性化処理の後、レジスト40を除去する。
【0023】
図5(a)はウェーハ10を例示する平面図である。図5(b)はウェーハ10の端部付近を拡大した平面図である。図5(c)は図5(b)の線C−Cに沿った断面図である。図6はウェーハ10のうち1つの半導体チップとなる部分を拡大した平面図である。図5(a)、図5(b)および図6に示すように、第1領域16の活性領域12aは不活性領域14に囲まれる。不活性領域14は第2領域18の活性領域12bに囲まれる。図5(a)から図5(c)に示すように、複数の活性領域12aの間は、活性領域12bおよび不活性領域14により分離される。また、図5(c)に示すように、ウェーハ10の端部19は金属層30に覆われているため、Arイオンから保護され、不活性化されない。したがって、ウェーハ10の端部に活性領域12(活性領域12cとする)が残存し、金属層30と接触する。また図5(b)に示すように活性領域12bは第2領域18の延在方向に延在しており、図5(c)に示すように端部19の活性領域12cと連続し、電気的に接続されている。
【0024】
図7(a)は第1領域16を例示する断面図である。図7(b)は第2領域18を例示する断面図である。図7(a)に示すように、例えば蒸着・リフトオフ法により、第1領域16のキャップ層38の上面に、例えば2つのオーミック電極42を形成する。その後、例えば600℃で熱処理を行うことで、活性領域12aとオーミック電極42との間でオーミック接触を形成する。2つのオーミック電極42のうち一方はソース電極、他方はドレイン電極として機能する。オーミック電極42は、例えばキャップ層に近い方から順にタンタル/アルミニウム/タンタル(Ta/Al/Ta)などの金属を積層した、厚さ300〜500nmの電極である。図7(b)に示すように、オーミック電極42は第2領域18には形成されない。
【0025】
図8(a)は第1領域16を例示する断面図である。図8(b)は第2領域18を例示する断面図である。図8(a)および図8(b)に示すように、例えばプラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法または原子層堆積(Atomic Layer Deposition:ALD)法などにより、ウェーハ10の上面に絶縁膜44を形成する。絶縁膜44は、例えば厚さ50〜100nmのSiNなどの絶縁体により形成されている。
【0026】
図9(a)は第1領域16を例示する断面図である。図9(b)は第2領域18を例示する断面図である。図9(a)および図9(b)に示すように、絶縁膜44の上にレジスト46を形成する。図9(a)に示すように、レジスト46は第1領域16のキャップ層38の上に開口部46aを有する。図9(b)に示すように、レジスト46は第2領域18のキャップ層38の上に開口部46bを有する。開口部46aおよび46bからは絶縁膜44が露出する。
【0027】
図10(a)は第1領域16を例示する断面図であり、図11の線D−Dに沿った断面図である。図10(b)は第2領域18を例示する断面図である。図11はウェーハ10のうち1つの半導体チップとなる部分を拡大した平面図である。図10(a)、図10(b)および図11に示すように、レジスト46の開口部46aおよび46bから露出する絶縁膜44を、プラズマエッチングにより除去する。図10(a)および図11に示すように、プラズマエッチングにより、絶縁膜44に開口部44aが形成される。開口部44aはゲート窓であり、活性領域12aの一部(ゲート領域)が開口部44aから露出する。図10(b)および図11に示すように、プラズマエッチングにより、絶縁膜44に開口部44bが形成され、活性領域12bが開口部44bから露出する。また図11に示すように、ソースパッドおよびドレインパッドの設けられる領域には開口部44cが形成される。なお、開口部44cは設けなくてもよい。プラズマエッチングには、例えば図1(a)に示したプラズマエッチング装置20を用いる。プラズマエッチングは例えばエッチングガスにSFガス、圧力0.1〜5Pa、バイアスパワー10Wの条件で実施する。金属層30はプラズマエッチング装置20の接地電位に接続する。プラズマエッチングの後、レジスト46を除去する。
【0028】
プラズマエッチングにより、ウェーハ10の表面がチャージアップする。図1(b)において説明したように、チャージは第1領域16および第2領域18の活性領域12に分散する。第2領域18の活性領域12bはウェーハ10の端部まで延在し、端部19の活性領域12cと連続している。金属層30はウェーハ10の端部において活性領域12cと接触している。ウェーハ10の下面の金属層30はプラズマエッチング装置20の接地電位に接続されるため、チャージは第2領域18を通じて金属層30に流れ、ウェーハ10の裏面側に流れ込む。したがって、チャージはウェーハ10の上面から除去される。この結果、チャージアップに起因する第1領域16の活性領域12aのダメージが抑制される。第1領域16の活性領域12aのうちゲート電極の直下となるチャネル層34など半導体層のダメージが抑制されるため、リーク電流が低減する。
【0029】
ウェーハ10の基板32が例えばSiCまたはサファイアなどにより形成された絶縁基板の場合、ウェーハ10の表面はチャージアップしやすい。また、ウェーハ10に含まれる半導体がGaNのような窒化物半導体の場合、ウェーハ10の表面はチャージアップしやすい。実施例1によれば、ウェーハ10が絶縁基板および窒化物半導体を含んでいる場合でも、チャージを除去することができる。この結果、チャージアップに起因するダメージを抑制することができる。
【0030】
図12(a)は第1領域16を例示する断面図である。図12(b)は第2領域18を例示する断面図である。図12(a)に示すように、例えば蒸着・リフトオフ法により、プラズマエッチングにより露出した第1領域16のキャップ層38の上面に、ゲート電極48を形成する。ゲート電極48は、キャップ層38に近い方から順にニッケル/パラジウム/金(Ni/Pd/Au)を積層して形成されており、厚さは例えば300〜600nmである。図12(b)に示すように、ゲート電極48は、第2領域18には形成されない。
【0031】
図13(a)は第1領域16を例示する断面図である。図13(b)は第2領域18を例示する断面図である。図13(a)および図13(b)に示すように、例えばプラズマCVD法またはALD法などにより、絶縁膜50を形成する。図13(a)に示すように、絶縁膜50は絶縁膜44およびゲート電極48を覆う。図13(b)に示すように、絶縁膜50は第2領域18におけるキャップ層38を覆う。絶縁膜50は、例えば厚さ50〜400nmのSiNなどの絶縁体により形成されている。
【0032】
図14(a)は第1領域16を例示する断面図である。図14(b)は第2領域18を例示する断面図である。図14(a)および図14(b)に示すように、絶縁膜50の上にレジスト52を形成する。図14(a)に示すように、レジスト52は第1領域16において、オーミック電極42の上に開口部52aを有する。図14(b)に示すように、レジスト52は第2領域18の絶縁膜50の上に開口部52bを有する。開口部52aおよび52bからは絶縁膜50が露出する。
【0033】
図15(a)は第1領域16を例示する断面図であり、図16の線E−Eに沿った断面図である。図15(b)は第2領域18を例示する断面図である。図16はウェーハ10のうち1つの半導体チップとなる部分を拡大した平面図である。図15(a)、図15(b)および図16に示すように、プラズマエッチングを行い、レジスト52の開口部52aおよび52bから露出する絶縁膜50を除去する。図15(a)および図16に示すように、プラズマエッチングにより、絶縁膜44および50に開口部51が形成され、オーミック電極42の表面が開口部51から露出する。図15(b)および図16に示すように、プラズマエッチングにより、絶縁膜44および50に開口部53が形成され、活性領域12bが開口部53から露出する。また図16に示すように、ゲートパッド、ソースパッドおよびドレインパッドの設けられる領域には開口部55が形成される。プラズマエッチングには、例えば図1(a)に示したプラズマエッチング装置20を用いる。プラズマエッチングは例えばエッチングガスにSFガス、圧力0.1〜5Pa、バイアスパワー10Wの条件で実施する。
【0034】
プラズマエッチングにより、ウェーハ10の表面がチャージアップする。図1(b)において説明したものと同様の原理により、チャージは第1領域16および第2領域18の活性領域に分散し、第2領域18を通じて金属層30に流れ、ウェーハ10の裏面側に流れ込む。したがって、チャージはウェーハ10の上面から除去される。この結果、チャージアップに起因するウェーハ10のダメージが抑制される。
【0035】
図17(a)は第1領域16を例示する断面図である。図17(b)は第2領域18を例示する断面図である。図17(a)に示すように、例えば電解メッキ法により、オーミック電極42の上面に配線層54を形成する。具体的には、オーミック電極42および絶縁膜50の上にシードメタル(不図示)を設け、シードメタルに電流を流すことで、配線層54を形成する。配線層54は例えば厚さ1〜5μmのAuにより形成され、オーミック電極42と電気的に接続されている。配線層54の形成後、シードメタルは、例えばエッチングなどにより除去する。また、図17(b)に示すように、配線層54は第2領域18には形成されない。
【0036】
図18(a)はウェーハ10を例示する断面図である。図18(b)は半導体チップ60を例示する断面図である。図18(a)に示すように、複数の第1領域16の間には第2領域18が位置する。図18(b)に示すように、ブレード62を用いて、第2領域18をスクライブラインとして、ウェーハ10を切断する。これにより、ウェーハ10を個片化し、複数の半導体チップ60を形成する。図18(a)に示すように、第2領域18の中央部は活性領域12bである。またスクライブラインの幅W1(例えば100μm)は、活性領域12bの幅W2(例えば80μm)より大きい。このため、第2領域18の活性領域12bはダイシングにより除去される。したがって、半導体チップ60の端部は不活性領域14となる。これにより、例えばゲートパッドなどに接続されるワイヤが半導体チップ60の端部に接触しても、ワイヤと活性領域12とのショートが抑制される。
【0037】
次に、実施例1に係る製造方法により製造された半導体チップ60と、比較例に係る製造方法により製造された半導体チップとにおける、リーク電流の測定結果について説明する。図1(c)に示したように、比較例では、第2領域18および端部19が不活性領域14であり、かつ金属層30がウェーハ10Rに設けられていない。他の処理は、実施例1と同じである。ここでは、半導体チップのFETにおけるゲート・ドレイン間の逆方向2端子ゲートリーク電流(以下、リーク電流)を比較している。FETの基板32はSiC、チャネル層34はGaN、電子供給層36はAlGaN、キャップ層38はGaNにより形成されている。
【0038】
図19はリーク電流の測定結果を示す図である。横軸はドレイン・ソース間電圧Vds、縦軸はリーク電流Igを示す。実線は実施例1、破線は比較例の実験結果を示す。
【0039】
図19に示すように、実施例1および比較例の両方において、ドレイン・ソース間電圧Vdsの上昇と共に、リーク電流は上昇する。実施例1におけるリーク電流は、比較例におけるリーク電流の1000分の1程度である。
【0040】
比較例においては、チャージが第1領域16の活性領域に集中する。このため、第1領域16のゲート電極付近の部分に大きなダメージが生じる。これによりリーク電流が増大する。
【0041】
一方、実施例1によれば、第2領域18に活性領域12bが残存し、ウェーハ10の端部の活性領域12cは金属層30に接触する。このため、プラズマエッチングにおいて発生するチャージを、第2領域18を通じて、金属層30に逃がすことができる。これにより、チャージアップに起因する第1領域16の活性領域12aのダメージを抑制することができる。図10(a)に示したように、絶縁膜44に開口部44a(ゲート窓)を設ける際、活性領域12a、特にゲート電極48直下の領域(ゲート領域)のダメージが抑制される。この結果、図19に示したように、半導体チップ60のFETにおけるリーク電流を大幅に低減することができる。また、アーキングによる破損を抑制することもできる。
【0042】
スクライブライン(第2領域18)には、スクライブラインの延在方向に延在する活性領域12bが形成される。スクライブラインの幅W1は変更することができるが、活性領域12bの幅W2より大きいことが好ましい。また、スクライブラインの幅方向において第2領域18の中央部は活性領域12bであり、端部は不活性領域14であることが好ましい。これにより、活性領域12bがダイシングにより除去され、半導体チップ60の端部が不活性領域14となるためである。この結果、例えばワイヤなどが半導体チップ60の端部に接触しても、活性領域12とワイヤとのショートは抑制される。また、第2領域18の少なくとも一部が活性領域12bであればよい。例えば、第2領域18の全体が活性領域12bである場合、ダイシングにより活性領域12bの全てを除去することが好ましい。
【0043】
金属層30は、蒸着法またはスパッタリング法によりウェーハ10の下面に原料を照射することで形成される。これによりウェーハ10の下面から、側面および上面の端部にかけて金属層30が形成される。金属層30はプラズマエッチング装置20の接地電位に接続することが好ましい。プラズマエッチングにより発生したチャージが金属層30に流れやすくなる。また、金属層30はウェーハ10の外周を囲む。特に、図3(a)および図3(b)に示すように、金属層30はウェーハ10の外周を完全に囲むことが好ましい。これにより、チャージはウェーハ10の平面内の各方向に流れ、効率的に除去される。アルゴンのイオン注入以外にウェーハ10に活性領域12または不活性領域14を形成する工程を行ってもよい。これによりスクライブライン(第2領域18)および端部19に活性領域が形成されればよい。
【0044】
図10(a)および図10(b)に示した絶縁膜44のプラズマエッチング、ならびに図15(a)および図15(b)に示した絶縁膜50のプラズマエッチングの両方において、活性領域12bが露出する。このため、2回のプラズマエッチングにおいて発生するチャージが除去される。プラズマエッチングを3回以上行う場合でも、活性領域12bを露出させることで、活性領域12bを通じてチャージを金属層30に逃がすことができる。また、例えばプラズマアッシングおよびプラズマCVDなど、プラズマを用いるエッチング以外の工程において発生するチャージを除去することもできる。特に図10(a)から図11に示したように、活性領域12aが露出する工程においては、活性領域12bも露出することが好ましい。これにより、チャージが活性領域12aおよび12bに分散し、ダメージを効果的に抑制することができる。
【0045】
実施例1において、半導体チップ60はFETを含むとしたが、例えばFET以外のトランジスタ、またはトランジスタ以外を含んでもよい。半導体チップ60は複数のFETを含んでもよい。一枚のウェーハ10から得られる半導体チップ60の数はいくつでもよい。スクライブライン(第2領域18)中の活性領域12bが大きくなるほど、チャージが活性領域12bに分散し、金属層30に流れやすくなる。したがって、一枚のウェーハ10から得られる半導体チップ60の数を増やすことで、スクライブラインの本数を増やし、チャージを効果的に除去することができる。
【0046】
ウェーハ10は化合物半導体を含む。化合物半導体は、例えば砒素系半導体および窒化物半導体などを含む。砒素系半導体とはガリウム砒素(GaAs)など砒素(As)を含む半導体である。窒化物半導体とは、窒素(N)を含む半導体であり、例えば窒化ガリウム(GaN)、窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)、窒化インジウムガリウム(InGaN)、窒化インジウム(InN)、および窒化アルミニウムインジウムガリウム(AlInGaN)などがある。なお、ウェーハ10は、FET以外のトランジスタ、およびトランジスタ以外の半導体素子を含んでもよい。絶縁膜44および50は、SiN以外に酸化シリコン(SiO)、窒化酸化シリコン(SiON)により形成されてもよい。
【0047】
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明はかかる特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0048】
10 ウェーハ
12、12a、12b、12c 活性領域
14 不活性領域
16 第1領域
18 第2領域
19 端部
20 プラズマエッチング装置
22 チャンバー
24 ステージ
25 高周波電源
26 キャパシタ
28 コイル
30 金属層
32 基板
34 チャネル層
36 電子供給層
38 キャップ層
40、46、52 レジスト
42 オーミック電極
44、50 絶縁膜
44a、44b、46a、46b、50a、50b、51、52a、52b、
53、55 開口部
48 ゲート電極
54 配線層
60 半導体チップ
図1
図2
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