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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-92452(P2017-92452A)
(43)【公開日】2017年5月25日
(54)【発明の名称】コモンモードフィルタ
(51)【国際特許分類】
   H01F 17/00 20060101AFI20170421BHJP
   H01F 17/04 20060101ALI20170421BHJP
   H03H 7/01 20060101ALI20170421BHJP
【FI】
   H01F17/00 B
   H01F17/04
   H01F17/04 Z
   H03H7/01 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-166948(P2016-166948)
(22)【出願日】2016年8月29日
(31)【優先権主張番号】10-2015-0160371
(32)【優先日】2015年11月16日
(33)【優先権主張国】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】リー、クワン ジク
(72)【発明者】
【氏名】ヨー、ミュン ジャエ
(72)【発明者】
【氏名】チョ、ユ リム
【テーマコード(参考)】
5E070
5J024
【Fターム(参考)】
5E070AA20
5E070AB01
5E070BA11
5J024AA01
5J024CA06
5J024DA21
5J024DA29
5J024EA09
(57)【要約】
【課題】インピーダンス特性を向上させるとともに、フィルタリング周波数領域を維持することができるコモンモードフィルタを提供する。
【解決手段】本発明は、第1磁性体シートと、上記第1磁性体シートの上部に配置され、らせん状のコイルを少なくとも一つ以上含むコイルシートと、上記コイルシートの上部に配置される第2磁性体シートと、を含み、上記第1磁性体シートと上記コイルシートの間、または上記第2磁性体シートと上記コイルシートの間にはプライマー層が配置され、上記プライマー層の厚さは3μm〜7μmであるコモンモードフィルタに関するものである。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1磁性体シートと、
前記第1磁性体シートの上部に配置され、らせん状のコイルを少なくとも一つ以上含むコイルシートと、
前記コイルシートの上部に配置される第2磁性体シートと、を含み、
前記第1磁性体シートと前記コイルシートの間、または前記第2磁性体シートと前記コイルシートの間にはプライマー層が配置され、
前記プライマー層の厚さは3μm〜7μmである、コモンモードフィルタ。
【請求項2】
前記プライマー層は、前記第1磁性体シートと前記コイルシートの間に配置される、請求項1に記載のコモンモードフィルタ。
【請求項3】
前記プライマー層は、前記第2磁性体シートと前記コイルシートの間に配置される、請求項1に記載のコモンモードフィルタ。
【請求項4】
前記プライマー層は、前記第1磁性体シートと前記コイルシートの間、及び前記第2磁性体シートと前記コイルシートの間にそれぞれ配置される、請求項1に記載のコモンモードフィルタ。
【請求項5】
磁性体基板と、
前記磁性体基板の上部に配置され、らせん状のコイルを少なくとも一つ以上含むコイル基板と、
前記コイル基板の上部に配置される上部磁性体シートと、を含み、
前記磁性体基板と前記コイル基板の間、または前記上部磁性体シートと前記コイル基板の間にはプライマー層が配置され、
前記プライマー層の厚さは3μm〜7μmである、コモンモードフィルタ。
【請求項6】
前記プライマー層は、前記磁性体基板と前記コイル基板の間に配置される、請求項5に記載のコモンモードフィルタ。
【請求項7】
前記プライマー層は、前記上部磁性体シートと前記コイル基板の間に配置される、請求項5に記載のコモンモードフィルタ。
【請求項8】
前記プライマー層は、前記磁性体基板と前記コイル基板の間、及び前記上部磁性体シートと前記コイル基板の間にそれぞれ配置される、請求項5に記載のコモンモードフィルタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コモンモードフィルタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
技術の発展に伴い、携帯電話、家電製品、PC、PDA、LCDなどの電子機器がアナログ方式からデジタル方式に変化し、処理するデータ量の増加によって高速化している傾向にある。これにより、高速信号送信インターフェースとしてUSB 2.0、USB 3.0、及び高品位マルチメディアインターフェイス(high−definition multimedia interface;HDMI(登録商標))が広く普及している。これらのインターフェースは、現在のパーソナルコンピュータ及びデジタル高画質テレビのような多くのデジタルデバイスで使用されている。
【0003】
これらの高速インターフェースは、長い間一般的に用いられたシングルエンド(single−end)送信システムとは異なり、一対の信号ラインを使用して差動信号(差動モード信号)を送信する差動信号システムを採用する。しかし、デジタル化及び高速化している電子機器は、外部からの刺激に敏感であるため、高周波ノイズによる信号の歪みが頻繁に発生している。
【0004】
これらの異常電圧及びノイズの原因としては、回路内で発生するスイッチング電圧、電源電圧に含まれている電源ノイズ、不要な電磁信号または電磁雑音などが挙げられる。これらの異常電圧及び高周波ノイズが回路に流入することを防止するための手段としてコモンモードフィルタ(Common Mode Filter:CMF)を使用している。
【0005】
このようなコモンモードフィルタのインピーダンス(Impedence)特性を向上させることができる方案が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】韓国公開特許第2014−0116678号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、インピーダンス特性を向上させるとともに、フィルタリング周波数領域を維持することができるコモンモードフィルタを提供することにある。
【0008】
また、本発明の目的は、差動モード(differential mode)の伝送効率を向上させることができるコモンモードフィルタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施形態によるコモンモードフィルタは、積層型コモンモードフィルタで、第1磁性体シートと、上記第1磁性体シートの上部に配置され、らせん状のコイルを少なくとも一つ以上含むコイルシートと、上記コイルシートの上部に配置される第2磁性体シートと、を含み、上記第1磁性体シートと上記コイルシートの間、または上記第2磁性体シートと上記コイルシートの間にはプライマー層が配置され、上記プライマー層の厚さは3μm〜7μmである。
【0010】
本発明の他の実施形態によるコモンモードフィルタは、薄膜型コモンモードフィルタで、磁性体基板と、上記磁性体基板の上部に配置され、らせん状のコイルを少なくとも一つ以上含むコイル基板と、上記コイル基板の上部に配置される上部磁性体シートと、を含み、上記磁性体基板と上記コイル基板の間、または上記上部磁性体シートと上記コイル基板の間にはプライマー層が配置され、上記プライマー層の厚さは3μm〜7μmである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一実施形態によるコモンモードフィルタは、磁性体シートとコイルシートの間にプライマー(primer)層が配置されるため、インピーダンス特性を向上させるとともに、フィルタリング周波数領域を維持することができる。
【0012】
また、本発明の一実施形態によるコモンモードフィルタは、プライマー層により、コイルと磁性体シートが直接接触することを防止することで、差動モード(differential mode)の伝送効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態によるコモンモードフィルタのうち積層型コモンモードフィルタの斜視図である。
図2図1のA−A'の断面図であって、下部磁性体シートとコイルシートの間にプライマー層が配置される構成を示したものである。
図3図1のA−A'の断面図であって、上部磁性体シートとコイルシートの間にプライマー層が配置される構成を示したものである。
図4図1のA−A'の断面図であって、下部磁性体シートとコイルシートの間、及び上部磁性体シートとコイルシートの間にそれぞれプライマー層が配置される構成を示したものである。
図5】本発明の他の実施形態によるコモンモードフィルタのうち薄膜型コモンモードフィルタの斜視図である。
図6図5のB−B'の断面図であって、磁性体基板とコイル基板の間にプライマー層が配置される構成を示したものである。
図7図5のB−B'の断面図であって、上部磁性体シートとコイル基板の間にプライマー層が配置される構成を示したものである。
図8図5のB−B'の断面図であって、磁性体基板とコイル基板の間、及び上部磁性体シートとコイル基板の間にそれぞれプライマー層が配置される構成を示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下では、添付の図面を参照し、本発明の好ましい実施形態について説明する。しかし、本発明の実施形態は様々な他の形態に変形されることができ、本発明の範囲は以下で説明する実施形態に限定されない。また、本発明の実施形態は、当該技術分野で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために誇張されることがある。
【0015】
本明細書で用いられる用語は、実施形態を説明するためのもので、本発明を制限するものではない。本明細書において、単数形は文言で特に言及しない限り、複数形も含む。明細書で用いられる「含む(comprise)」及び/または「含んでいる(comprising)」は、記載された構成要素、段階、動作、及び/または素子は、一つ以上の他の構成要素、段階、動作、及び/または素子の存在または追加を排除しない。
【0016】
本発明は、説明の便宜のためにコアレス(coreless)コモンモードフィルタに基づいて説明するが、これらに限定されるものではなく、コアを有するコモンモードフィルタにも適用可能である。
【0017】
図1は、本発明の一実施形態によるコモンモードフィルタのうち積層型コモンモードフィルタの斜視図であり、図2は、図1のA−A'の断面図であって、下部磁性体シートとコイルシートの間にプライマー層が配置される構成を示したものである。
【0018】
図1及び図2を参照して、本発明の一実施形態によるコモンモードフィルタ100の構成を参照すると、コモンモードフィルタ100は、内部に少なくとも一つ以上のらせん状のコイル121、122、123、124を含む磁性体本体101、及び外部電極141、142、143、144を含む。
【0019】
磁性体本体101は、第1及び第2磁性体シート110、130、及びコイルシート120を含む。
【0020】
第1及び第2磁性体シート110、130は、磁性セラミック材料で形成されることができる。
【0021】
第1磁性体シート110とは、コイルシート120の下部に位置する下部磁性体シートを意味し、第2磁性体シート120とは、コイルシート120の上部に位置する上部磁性体シートを意味する。
【0022】
コイルシート120は、複数のフェライト層を積層して形成されることができる。
【0023】
コイルシート120は、少なくとも一つ以上のコイルを含むことができ、図示されたように、第1〜第4コイル121、122、123、124を含むことができるが、これに制限されるものではない。
【0024】
第1〜第4コイル121、122、123、124は、フェライト層に導電性材料で構成される導電線を少なくとも1回以上巻線してらせん状に形成するか、または導電性ペーストやフォトレジスト工法などを用いて形成することができる。
【0025】
第1〜第4コイル121、122、123、124の一端部は、磁性体本体101の側面の一部に露出する。
【0026】
コイルシート120は、第1〜第4コイル121、122、123、124をフェライト層に形成した後、フェライト層を積層及び圧着して形成されることができる。
【0027】
第1及び第2コイル121、122は、フェライト層の導電性ビア(図示せず)によって互いに電気的に連結されることができる。導電性ビアは、ビアホールをレーザーパンチングまたは機械的パンチングの方法で形成し、ビアホールに導電性材料を充填して形成することができる。
【0028】
第1コイル121は第1外部電極141と電気的に連結され、第2コイル122は第2外部電極142と電気的に連結されることができる。
【0029】
また、第3及び第4コイル123、124は、フェライト層の導電性ビア(図示せず)によって互いに電気的に連結されることができる。また、第3コイル123は第3外部電極143と電気的に連結され、第4コイル124は第4外部電極144と電気的に連結されることができる。
【0030】
図2を参照すると、第1磁性体シート110とコイルシート120の間にはプライマー層150が配置される。
【0031】
別のコアが形成されていないコアレスタイプ(Coreless type)のコモンモードフィルタの場合、従来は、多層のコイルを形成するために、ビルドアップ絶縁フィルムが用いられた。このようなビルドアップ絶縁フィルムは、コイルシート120と磁性体シート110との接着性を高める役割を果たした。
【0032】
従来、接着層として用いられたビルドアップ絶縁フィルムの厚さが約15μmであったため、磁性体シートの厚さは約170μmであった。
【0033】
接着層の厚さが減少すると、インピーダンス特性は向上するが、コモンモード(common mode)をフィルタリングできる周波数幅が低周波側に移動するという問題が発生する。また、接着層が存在しない場合、コイルと磁性体シートが直接接触すると、差動モード(differential mode)の伝送効率が低くなる。したがって、このような接着層の厚さを最適化する必要がある。
【0034】
インピーダンス特性を向上させるためには絶縁層の厚さを減少させる必要がある。しかし、接着層が薄すぎるか存在しない場合は、フィルタリング領域が低周波領域に移動するという問題があり、差動モードの伝達効率が低下するという問題がある。
【0035】
本発明の一実施形態によるコモンモードフィルタ100は、ビルドアップ絶縁フィルムの代わりにプライマー層150が第1磁性体シート110とコイルシート120の間に配置され、プライマー層150の厚さt1が3μm〜7μmを有するため、インピーダンス特性を向上させ、周波数幅が低周波側に移動することを防止するとともに、差動モードの高伝送効率を有することができる。
【0036】
プライマー層150の厚さが3μm未満の場合は、透磁率は増加するが、フィルタリングできる領域が減少する。また、7μmを超える場合は、透磁率の増加効果が少ない。
【0037】
コモンモードフィルタ100の総厚さが一定の場合、プライマー層150の厚さt1が3μm〜7μmであると、第1磁性体シート110の厚さt2は178μm〜182μmを有することができる。
【0038】
下記表1は、コアがない0605コモンモードフィルタ(coreless 0605 CMF、コイル:14μm、フェライトシートのインダクタンス:21.5)のプライマー層の厚さによるインピーダンス値を測定したものである。
【0039】
【表1】
【0040】
表1から分かるように、プライマー層150を有するコモンモードフィルタのインピーダンスが従来のコモンモードフィルタに比べて高インピーダンス値を有することを確認することができる。
【0041】
即ち、プライマー層150が存在しない場合は、最も高いインピーダンス値を有するようになるが、前述のように、プライマー層150がないと、コイルと磁性体シートが直接接触するため、差動モード(differential mode)の伝送効率が低くなるという問題がある。
【0042】
プライマー層150は、BPA type epoxy、biphenyl epoxy、rubber modified epoxy、novolac type硬化剤、thermoplastic polymerから選択されるいずれか一つ、またはこれらの組み合わせであってよい。
【0043】
また、プライマー層150の添加剤は、非磁性体の無機物粉末、例えば、シリカ(silica)またはアルミナ(alumina)であってよい。
【0044】
図3は、図1のA−A'の断面図であって、第2磁性体シート130とコイルシート120の間にプライマー層150が配置される構成を示したものである。
【0045】
本発明の一実施形態によるコモンモードフィルタ100は、ビルドアップ絶縁フィルムの代わりにプライマー層150が第2磁性体シート130とコイルシート120の間に配置され、プライマー層150の厚さt1が3μm〜7μmを有するため、インピーダンス特性を向上させ、周波数幅が低周波側に移動することを防止するとともに、差動モードの高伝送効率を有することができる。
【0046】
プライマー層150の厚さが3μm未満の場合は、透磁率は増加するが、フィルタリングできる領域が減少する。また、7μmを超える場合は、透磁率の増加効果が少ない。
【0047】
コモンモードフィルタ100の総厚さが一定の場合、プライマー層150の厚さt1が3μm〜7μmであると、第2磁性体シート130の厚さt2は、178μm〜182μmを有することができる。
【0048】
図4は、図1のA−A'の断面図であって、第1磁性体シート110とコイルシート120の間、及び第2磁性体シート130とコイルシート120の間にそれぞれプライマー層が配置される構成を示したものである。
【0049】
本発明の一実施形態によるコモンモードフィルタ100は、ビルドアップ絶縁フィルムの代わりにプライマー層150が第1磁性体シート110とコイルシート120の間、及び第2磁性体シート130とコイルシート120の間に配置され、プライマー層150の厚さt1が3μm〜7μmを有するため、インピーダンス特性を向上させ、周波数幅が低周波に移動することを防止するとともに、差動モードの高伝送効率を有することができる。
【0050】
プライマー層150の厚さが3μm未満の場合は、透磁率は増加するが、フィルタリングできる領域が減少する。また、7μmを超える場合は、透磁率の増加効果が少ない。
【0051】
コモンモードフィルタ100の総厚さが一定の場合、プライマー層150の厚さt1が3μm〜7μmであると、第1及び第2磁性体シート110、130の厚さt2は、178μm〜182μmを有することができる。
【0052】
図5は、本発明の他の実施形態によるコモンモードフィルタのうち薄膜型コモンモードフィルタの斜視図であり、図6図5のB−B'の断面図であって、磁性体基板とコイル基板の間にプライマー層が配置される構成を示したものである。
【0053】
図5及び図6を参照して、本発明の他の実施形態によるコモンモードフィルタ200の構成を参照すると、コモンモードフィルタ200は、内部に少なくとも一つ以上のらせん状のコイル221、222を含む磁性体本体201、及び外部電極241、242、243、244を含む。
【0054】
磁性体本体201は、磁性体基板210、コイル基板220、及び上部磁性体シート230を含む。
【0055】
磁性体基板210及び上部磁性体シート230は、磁性セラミック材料で形成されることができる。
【0056】
コイル基板220は、フェライト基板に複数のコイルを形成し、絶縁層で覆って形成することができる。例えば、第1及び第2コイル221、222は、フェライト基板に導電性材料で構成される導電線を少なくとも1回以上巻線してらせん状に形成するか、または導電性ペースト、フォトレジスト工法などを用いて形成することができる。
【0057】
コイル基板220は、少なくとも一つ以上のコイルを含むことができ、図示されたように、第1及び第2コイル221、222を含むことができるが、これに制限されるものではない。
【0058】
第1及び第2コイル221、222の一端部は、接続電極270を介して磁性体本体201の上面の一部に露出することができる。接続電極270により、第1コイル221は第1及び第3外部電極241、243と電気的に連結されることができ、第2コイル222は第2及び第4外部電極242、244と電気的に連結されることができる。
【0059】
第1及び第2コイル221、222は、導電性ビア(図示せず)によって互いに電気的に連結されることができる。導電性ビアは、ビアホールをレーザーパンチングまたは機械的パンチング方法で形成し、ビアホールに導電性材料を充填して形成することができる。
【0060】
図6を参照すると、磁性体基板210とコイル基板220の間には、プライマー層250が配置される。
【0061】
別のコアが形成されていないコアレスタイプ(Coreless type)のコモンモードフィルタの場合、従来は、多層のコイルを形成するために、ビルドアップ絶縁フィルムが用いられた。このようなビルドアップ絶縁フィルムは、コイル基板220と磁性体基板210との接着性を高める役割を果たした。
【0062】
従来、接着層として用いられたビルドアップ絶縁フィルムの厚さが約15μmであったため、磁性体シートの厚さは約170μmであった。
【0063】
接着層の厚さが減少すると、インピーダンス特性は向上するが、コモンモード(common mode)をフィルタリングできる周波数幅が低周波側に移動するという問題が発生する。また、接着層が存在しない場合、コイルと磁性体シートが直接接触すると、差動モード(differential mode)の伝送効率が低くなる。したがって、このような接着層の厚さを最適化する必要がある。
【0064】
インピーダンス特性を向上させるためには絶縁層の厚さを減少させる必要がある。しかし、接着層が薄すぎるか存在しない場合は、フィルタリング領域が低周波領域に移動するという問題があり、差動モードの伝達効率が低下するという問題がある。
【0065】
本発明の一実施形態によるコモンモードフィルタ200は、ビルドアップ絶縁フィルムの代わりにプライマー層250が磁性体基板210とコイル基板220の間に配置され、プライマー層250の厚さt1が3μm〜7μmを有するため、インピーダンス特性を向上させ、周波数幅が低周波側に移動することを防止するとともに、差動モードの高伝送効率を有することができる。
【0066】
プライマー層250の厚さが3μm未満の場合は、透磁率は増加するが、フィルタリングできる領域が減少する。また、7μmを超える場合は、透磁率の増加効果が少ない。
【0067】
コモンモードフィルタ200の総厚さが一定の場合、プライマー層250の厚さt1が3μm〜7μmであると、磁性体基板210の厚さt2は、178μm〜182μmを有することができる。
【0068】
プライマー層250は、BPA type epoxy、biphenyl epoxy、rubber modified epoxy、novolac type硬化剤、thermoplastic polymerから選択されるいずれか一つ、またはこれらの組み合わせであってよい。
【0069】
また、プライマー層250の添加剤は、非磁性体の無機物粉末、例えば、シリカ(silica)またはアルミナ(alumina)であってよい。
【0070】
図7は、図5のB−B'の断面図であって、上部磁性体シートとコイル基板の間にプライマー層が配置される構成を示したものである。
【0071】
本発明の一実施形態によるコモンモードフィルタ200は、ビルドアップ絶縁フィルムの代わりにプライマー層250が上部磁性体シート230とコイル基板220の間に配置され、プライマー層250の厚さt1が3μm〜7μmを有するため、インピーダンス特性を向上させ、周波数幅が低周波側に移動することを防止するとともに、差動モードの高伝送効率を有することができる。
【0072】
プライマー層250の厚さが3μm未満の場合は、透磁率は増加するが、フィルタリングできる領域が減少する。また、7μmを超える場合は、透磁率の増加効果が少ない。
【0073】
コモンモードフィルタ200の総厚さが一定の場合、プライマー層250の厚さt1が3μm〜7μmであると、上部磁性体シート230の厚さt2は、178μm〜182μmを有することができる。
【0074】
図8は、図5のB−B'の断面図であって、磁性体基板210とコイル基板220の間、及び上部磁性体シート230とコイル基板220の間にそれぞれプライマー層が配置される構成を示したものである。
【0075】
本発明の一実施形態によるコモンモードフィルタ200は、ビルドアップ絶縁フィルムの代わりにプライマー層250が上部磁性体基板210とコイル基板220の間、及び上部磁性体シート230とコイル基板220の間に配置され、プライマー層250の厚さt1が3μm〜7μmを有するため、インピーダンス特性を向上させ、周波数幅が低周波に移動することを防止するとともに、差動モードの高伝送効率を有することができる。
【0076】
プライマー層250の厚さが3μm未満の場合は、透磁率は増加するが、フィルタリングできる領域が減少し、7μmを超える場合は、透磁率の増加効果が少ない。
【0077】
コモンモードフィルタ200の総厚さが一定の場合、プライマー層250の厚さt1が3μm〜7μmであると、磁性体基板210と上部磁性体シート230の厚さt2は、178μm〜182μmを有することができる。
【0078】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の範囲はこれに限定されず、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から外れない範囲内で多様な修正及び変形が可能であるということは、当技術分野の通常の知識を有するものには明らかである。
【符号の説明】
【0079】
100、200 コモンモードフィルタ
101、201 磁性体本体
110 第1磁性体シート
120 コイルシート
130 第2磁性体シート
150、250 プライマー層
210 磁性体基板
220 コイル基板
230 上部磁性体シート
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8