【解決手段】本発明に係るペットキャリー1は、底受皿部3と、底受皿部3に着脱可能に設けられてペットの出入り口となる開口部13が形成された本体部5と、本体部5の上部に設けられた持ち手17と、開口13部を開閉可能に覆う扉体7とを備えてなるペットキャリー1であって、底受皿部3は平面視で円形であり、本体部5は下端部が底受皿部3に着脱可能に連結され、かつ前記下端部から上方に立ち上がるドーム形状をしており、該ドーム形状の前面に正面視で円形又は楕円形の開口部13が設けられ、開口部13の縁部にその全周に亘ってフランジ部15が形成されており、扉体7は、本体部5に沿う湾曲形状であって、その両側の基端部が本体部5に回動可能に取り付けられていることを特徴とするものである。
底受皿部と、該底受皿部に着脱可能に設けられてペットの出入り口となる開口部が形成された本体部と、該本体部の上部に設けられた持ち手と、前記開口部を開閉可能に覆う扉体とを備えてなるペットキャリーであって、
前記底受皿部は平面視で円形であり、
前記本体部は下端部が前記底受皿部に着脱可能に連結され、かつ前記下端部から上方に立ち上がるドーム形状をしており、該ドーム形状の前面に正面視で円形又は楕円形の開口部が設けられ、該開口部の縁部にその全周に亘ってフランジ部が形成されており、
前記扉体は、前記本体部に沿う湾曲形状であって、その両側の基端部が前記本体部に回動可能に取り付けられていることを特徴とするペットキャリー。
前記開口部を閉止した状態において前記扉体が開放するのを防止するロック機構を有し、該ロック機構は前記本体部の上端面に設けた係止片と、前記扉体に設けられて該扉体を閉止した状態で前記係止片に係止可能な係合部とを備えてなることを特徴とする請求項1記載のペットキャリー。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ペットキャリーに要求される重要な点として、ペットの出し入れをスムーズにできること、及びペットを入れて運搬する際に、ペットキャリー自体が撓むことなく剛性が確保されていることがある。
ペットの出し入れをスムーズにするには、出入り口となる開口部を大きくすることになるが、開口部を大きくすると、剛性を確保するのが難しくなり、ペットを入れて運搬する際に撓みを生じやすくなる。つまり、開口部を大きくすることと剛性の確保とはトレードオフの関係にあると言える。
【0005】
この点、特許文献1に開示のものは、底受皿部を覆う蓋体を、提げ手を有するハッチ部と1枚又は左右2枚のドアとにより構成し、これら全てをピンによって回動可能な構造としているため、ペットを入れて運搬する場合、荷重が全てピンに作用する構造であるため撓みが生じやすいという問題がある。
また、出入り口となる開口部にドアをロックするための係止片が設けられており、人がペットの出し入れを行う場合や、あるいはハウスとして利用した場合におけるペットの出入りする場合に障害となり、また意匠的にも見栄えが悪いという問題もある。
【0006】
本発明はかかる課題を解決するためになされたものであり、剛性の確保と開口部を大きくするという両方を実現したペットキャリーを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明に係るペットキャリーは、底受皿部と、該底受皿部に着脱可能に設けられてペットの出入り口となる開口部が形成された本体部と、該本体部の上部に設けられた持ち手と、前記開口部を開閉可能に覆う扉体とを備えてなるペットキャリーであって、前記底受皿部は平面視で円形であり、前記本体部は下端部が前記底受皿部に着脱可能に連結され、かつ前記下端部から上方に立ち上がるドーム形状をしており、該ドーム形状の前面に正面視で円形又は楕円形の開口部が設けられ、該開口部の縁部にその全周に亘ってフランジ部が形成されており、前記扉体は、前記本体部に沿う湾曲形状であって、その両側の基端部が前記本体部に回動可能に取り付けられていることを特徴とするものである。
【0008】
(2)また、上記(1)記載のものにおいて、前記開口部を閉止した状態において前記扉体が開放するのを防止するロック機構を有し、該ロック機構は前記本体部の上端面に設けた係止片と、前記扉体に設けられて該扉体を閉止した状態で前記係止片に係止可能な係合部とを備えてなることを特徴とするものである。
【0009】
(3)また、上記(1)又は(2)に記載のものにおいて、前記扉体は、前記開口部を閉止した状態では前記持ち手を覆わないように構成されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明においては、底受皿部と、該底受皿部に着脱可能に設けられてペットの出入り口となる開口部が形成された本体部と、該本体部の上部に設けられた持ち手と、前記開口部を開閉可能に覆う扉体とを備えてなるペットキャリーであって、前記底受皿部は平面視で円形であり、前記本体部は下端部が前記底受皿部に着脱可能に連結され、かつ前記下端部から上方に立ち上がるドーム形状をしており、該ドーム形状の前面に正面視で円形又は楕円形の開口部が設けられ、該開口部の縁部にその全周に亘ってフランジ部が形成されており、前記扉体は、前記本体部に沿う湾曲形状であって、その両側の基端部が前記本体部に回動可能に取り付けられていることにより、剛性の確保と開口部を大きくするという両方を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施の形態に係るペットキャリーの扉体を開放した状態の斜視図である。
【
図2】本発明の一実施の形態に係るペットキャリーの扉体を開放した状態の正面図である。
【
図3】本発明の一実施の形態に係るペットキャリーの扉体を開放した状態の側面図である。
【
図4】本発明の一実施の形態に係るペットキャリーの扉体を閉止した状態の斜視図である。
【
図5】本発明の一実施の形態に係るペットキャリーの扉体を閉止した状態の側面図である。
【
図6】本発明の一実施の形態に係るペットキャリーの扉体の取付部の構造の説明図である。
【
図7】本発明の一実施の形態に係るペットキャリーの扉体の取付部に設置される部品の説明図である。
【
図8】本発明の一実施の形態に係るペットキャリーのロック機構の説明図である(その1)。
【
図9】本発明の一実施の形態に係るペットキャリーのロック機構の説明図である(その2)。
【
図10】本発明の一実施の形態に係るペットキャリーのロック機構の説明図である(その3)。
【
図11】本発明の一実施の形態に係るペットキャリーのロック機構の説明図である(その4)。
【
図12】本発明の一実施の形態に係るペットキャリーのロック機構の説明図である(その5)。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本実施の形態のペットキャリーは、
図1〜
図5に示すように、底受皿部3と、底受皿部3に着脱可能に設けられた本体部5と、本体部5に本体部5を覆うように取り付けられた扉体7を備えている。
以下、各構成部品を詳細に説明する。
【0013】
<底受皿部>
底受皿部3は円形の皿形状からなる。底受皿部3は、バックル方式の係止部材9によって本体部5に着脱可能に連結される。
底受皿部3は、
図3に示すように、底部から上方に向かって拡径して、途中で段部11が形成され、段部11からさらに拡径して外方に突出した形状になっている。
【0014】
<本体部>
本体部5は、下端部が底受皿部3の上端部と同様の円形の突出形状部5aとなっており、この突出形状部5aから上方にむかって立ち上がるドーム形状部5bを有している。このドーム形状部5bはほぼ半球体になっている。
そして、本体部5は、突出形状部5aを係止部材9によって底受皿部3の上端部に連結することで突出形状部5aが底受皿部3と一体化される。このように、本体部5の下端部を底受皿部3と連結することで、連結部が帯状の突出した形状となり、剛性の向上を図っている。
【0015】
ドーム形状部5bの前面には、正面視で略楕円形の開口部13が設けられ、開口部13の縁部にその全周に亘ってフランジ部15が形成されている。すなわち、ドーム形状部5bの前面は、
図1に示すように、線Aに沿って切欠きが形成され、この切欠きから内側に向かってフランジ部15が形成され、フランジ部15のさらに内側が開口部13となっている。
そして、線Aに沿って切欠いた部分の面積、すなわち切欠きがなかったとした場合の切欠き部の球面状の表面積(以下、「切欠き表面積」という)を、切欠きがなかった場合のドーム形状部5b全体の表面積(以下、「ドーム全体表面積」という)を比較すると、切欠き表面積はドーム全体表面積の約29%を占めている。その結果、開口部13の面積が広く、ペットの出し入れを極めて容易に行うことができる。
その一方で、開口部13の周縁には、全周に亘って内向きのフランジ部15が形成されていることで、広い開口でありながら、剛性が高くなっている。
【0016】
上述の切欠き表面積を広くしたとしても、フランジ部15の幅を広くすると開口部13の面積が狭くなるが、
図2に示すように、開口部13における下辺のフランジ部15の幅方向は水平方向になっており、フランジ部15の幅が広くてもペットの出し入れの障害になることはない。この意味で、フランジ部15における開口部13の下辺側は水平内向きにするのが好ましい。
なお、ドーム全体表面積に占める切欠き表面積の割り合いは、25%以上が好ましく、30%以上がより好ましい。もっとも、本体部5の上端部には持ち手17を設ける必要があることから、切欠き表面積のドーム全体表面積に占める面積割合の上限値は、40%程度である。
【0017】
ドーム形状部5bの上端部には持ち手17が設けられている。持ち手17は、半円のリング状をしており、ドーム形状部5bの上端面にその両端部が回動可能に取り付けられている。ドーム形状部5bの上端面には、持ち手17を倒した状態で収納するための半円の溝部19が形成されている。この溝部19は、ドーム形状部5bの後方側に形成されている。
ドーム形状部5bの開口部13は、ドーム形状部5bの中心線より、前方寄りの位置から、約90°の角度で切欠くように設けられている(
図3参照)。
ドーム形状部5bの周壁面には、内部を見えるようにするためのスリット21が複数設けられている。
【0018】
以上のように、本体部5は、下端部が突出形状部5aでその上方にドーム形状部5bが形成されると共に突出形状部5aが底受皿部3と一体化され、かつ開口部13の全周縁にフランジ部15が形成されることで、内部にペットを入れた状態で持ち手17を持って持ち上げても、本体部5の形状が大きく撓むことがない、高剛性の構造である。
【0019】
<扉体>
扉体7は、ドーム形状部5bに沿う湾曲形状であって、その両端の基部がドーム形状部5bに回動可能に取り付けられている
扉体7は側面視で扇形形状をしており、中心角度が75°程度になっている(
図3参照)。
扉体7の基端部がドーム形状部5bに回動機構22によって回動可能に取り付けられている。
扉体7が取り付けられている回動機構22について、
図6に基づいて説明する。
【0020】
<回動機構>
回動機構22が設けられるドーム形状部5bの左右には外方に突出する突面部23が形成され、さらに突面部23の下方には突面部23よりもさらに外方に突出する台部25が形成されている。
突面部23の中心部には、中空の軸部材27が固定されており、軸部材27には、係止穴29が設けられている。
台部25の上端面は、凹陥する凹陥部31が中央に形成され、凹陥部31を挟む前後には前凸部33と後凸部35が形成されている。
【0021】
扉体7の基部には軸部材27が挿入される軸穴37が設けられている。軸穴37の外面側の周縁には、全周に亘ってギザギザの凹凸歯39が設けられている。軸穴37の内面側には、軸穴37と同径の穴が形成され弾性体からなる弾性リング41と、弾性リング41の内側に貼付されると共に軸穴37と同径の穴が形成された滑りリング43が貼り付けられている。
【0022】
扉体7の基部には軸穴37を挟むように直線状の前辺部45と後辺部47が形成されており、これら前辺部45と後辺部47はそれぞれドーム形状部5b側の台部25の前凸部33と後凸部35と協働して扉体7の開放時及び閉止時の位置決め手段として機能する。
【0023】
扉体7の基部はカバー体49によって覆われている。
カバー体49は、上部が半円形となった長丸を半分にしたような形状をしている。カバー体49の下辺は、凸辺になっており、ドーム形状部5b側の突出部の凹陥部31に挿入できる形状になっている。カバー体49の内面側には、
図7に示すように、扉体7のギザギザの凹凸歯39と噛み合うような凸凹歯51が形成されている。また、カバー体49の内面側には、軸部に挿入されて固定されるように内側に弾性変形可能な挿入筒部53が設けられ、挿入筒部53には係止穴29に係止する係止突部55が設けられている。
【0024】
以上のように構成された回動機構22の作用を説明する。
扉体7は、軸穴37を軸部材27に挿入し、カバー体49を装着することで、突面部23とカバー体49で挟まれた状態となり、軸部材27を軸として回動する。このとき、弾性リング41が設けられていることで、扉体7は適度な圧力で押圧されており、かつ扉体7の外面側の凹凸歯39とカバー体49の凸凹歯51とが常時こすれ合うことで、任意の回動位置で保持できるようになっている。
【0025】
扉体7を開放した状態では、
図3に示すように、扉体7の下辺側が水平状態となる。このとき、扉体7の後辺部47とドーム形状部5bの台の後凸部35が当接して位置決め手段として機能している。
この状態では、扉体7の上辺側は、垂直よりも後方側に傾斜した状態になっている。
このため、扉体7は開放した状態で安定することができる。それ故に、扉体7の開放状態を維持するためのロック機構等は不要である。
扉体7を開放した状態では、扉体7は持ち手17を覆うようになるが、持ち手17は、溝部19に収納されているので、扉体7と持ち手17が干渉することがない。
【0026】
扉体7を閉止した状態では、
図4に示すように、扉体7が開口部13を完全に覆うようになっている。このとき扉体7の基部の前辺部45が、ドーム形状部5bの前凸部33と当接して位置決めとして機能している。閉止状態では、扉体7の上辺はドーム形状部5bの中心よりも前方にあり、持ち手17は扉体7に覆われていない状態となっている。このため、扉体7を閉止した状態で持ち手17を持つことができ、ペットを入れて扉体7を閉止した状態での運搬が可能である。
【0027】
扉体7を閉止した状態で扉体7が開放するのを防止するロック機構57が設けられている。
ロック機構57は、扉体7を閉めた状態における扉体7の上辺部に設けられたロック片59と、ドーム形状部5b側に設けられた係止片61によって構成される。ロック片59は、左右方向に移動可能に扉体7に設けられ、扉体7の外面側に操作部63があり、扉体7の内面側に係止片61に係合する係合部65が突出している。
ドーム形状部5b側の係止片61は、
図8に示すように、開口の縁の頂上付近に上方に向けて突出するように設けられた台形状の片部材である。
【0028】
ロック片59を左右に移動して、係合部65を係止片61の前方側に位置させることで(
図9、11、12参照)、扉体7が開放側に移動しようとすると係合部65が係止片61に当接することで扉体7の動きを規制して扉体7が開放できないようになっている。
扉体7を開放したい場合には、ロック片59を開放側に移動して係合部65と係止片61の位置をずらすようにすればよい。
【0029】
なお、ドーム形状部5bの上部であって係止片61を挟む両側には、上方に突出する凸部67が設けられているが(
図1、
図2、
図8、
図9参照)、これは扉体7がドーム形状部5b側に必要以上に撓むのを防止することで、係合部65と係止片61が当接状態にあるときに、これらがずれて外れるのを防止する機能を果たしている。
【0030】
以上のように構成された本実施の形態に係るペットキャリー1の使用方法の一例を、ペットキャリー1の動作と共に説明する。
ペットキャリー1は運搬具として使用できることに加えて、室内に載置してペットハウスとしても使用できる。
運搬具として使用する場合、ペットを底受皿部3に入れた状態で扉体7を閉止し、ロック機構57によって扉体7の開放を防止した状態で、持ち手17を持って運搬する。
持ち手17でペットキャリー1を提げた状態でも、開口部13の開口縁部の全周に亘ってフランジ部15が形成され、かつ本体部5の下端部が全周に亘って底受皿部3と一体化されているので、剛性が高く、ペットキャリー1の撓みがほとんどない。
【0031】
また、開口部13にはロック機構等がないので、ペットを内部に収容して、扉体7を閉じた状態(
図4参照)において、ペットがロック機構にいたずらしてロックを解除したり、あるいはロック機構にペットが引っかかったりすることがない。
【0032】
ペットを出す場合には、ロック機構57のロック片59をスライドしてロックを外して扉体7が開放可能な状態にする。そして、扉体7と開口部13との間に必要な隙間が形成できる程度に扉体7を回動する。このとき、凹凸歯39と凸凹歯51のギザギザ同士の噛み合いによって、扉体7は手で保持しなくても任意の位置で開放状態を維持できるので、操作が容易である。また、扉体7を全開にする必要がないのでペットの飛び出しを防止できる。
【0033】
また、ペットキャリーを室内に置いてペットハウスとして用いる場合においては、通常、扉体7を開放した状態にしておくが、
図1に示すように、開口部13の周縁にはロック機構等がなく、ペットの出入りの際に引っ掛かったりすることがない。
【0034】
前述したように、開口部13を広くすることと剛性を高くすることはトレードオフの関係にあるが、本実施の形態のペットキャリー1は、全周縁にフランジ部15を形成することによって、大きな開口部13を形成可能であるにもかかわらず剛性が高い構造になっている。
また、ロック機構57を扉体7の上辺とドーム形状部5bの頂上付近に設けた係止片61によって構成したことで、開口部13には従来例のような係止片が不要となり、ペットの出し入れの障害がないことに加えて見た目もすっきりとして意匠性に優れる。
【0035】
なお、本実施の形態のペットキャリー1に収容するペットの種類は限定されるものではないが、底受皿部3が円形になっていることから、寝る際に丸くなる習性のある猫に好適である。