特開2017-93379(P2017-93379A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特開2017093379-釣竿 図000003
  • 特開2017093379-釣竿 図000004
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-93379(P2017-93379A)
(43)【公開日】2017年6月1日
(54)【発明の名称】釣竿
(51)【国際特許分類】
   A01K 87/00 20060101AFI20170428BHJP
   A01K 87/04 20060101ALI20170428BHJP
【FI】
   A01K87/00 620H
   A01K87/00 610B
   A01K87/04 Z
   A01K87/00 620A
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-230499(P2015-230499)
(22)【出願日】2015年11月26日
(11)【特許番号】特許第5925951号(P5925951)
(45)【特許公報発行日】2016年5月25日
(71)【出願人】
【識別番号】515328794
【氏名又は名称】中川 輝暁
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】特許業務法人あーく特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中川 輝暁
【テーマコード(参考)】
2B019
【Fターム(参考)】
2B019AA02
2B019AA04
2B019AA05
2B019BA07
(57)【要約】
【課題】振出式で連結される複数の竿体を備える釣竿であって、穂先部における釣糸の巻き付きを抑制しながらも、竿元から穂先まで竿体内部を釣糸が挿通する一般的な中通し式の釣り竿と比べて、釣糸の挿通が容易な釣竿を提供する。
【解決手段】釣竿1は、最も穂先側の竿体10である一番竿11から、二番竿12、…と複数の竿体10が振出式で連結されている。一番竿11の竿元側の側部には第1貫通孔110、二番竿12の穂先側の側部には第2貫通孔120がそれぞれ開設されており、振出状態で第1貫通孔110及び第2貫通孔120は連通する。釣糸Lは、第1貫通孔110及び第2貫通孔120まで、釣竿1の外周に配設された環状のガイド2に挿通され、連通した第1貫通孔110及び第2貫通孔120から竿体内部へ入り、釣竿1の先端部分となる穂先部から外部へ引き出される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
振出式で連結される複数の竿体を備える釣竿であって、
第1の竿体と、
前記第1の竿体の側部に開設された第1の貫通孔と、
前記第1の竿体の竿元側に位置し、振出状態で、穂先側が前記第1の竿体の竿元側と重畳する第2の竿体と、
前記第2の竿体の側部に開設された第2の貫通孔と
を備え、
振出状態で、前記第1の貫通孔及び第2の貫通孔は、釣糸を挿通可能に連通し、
前記第1の貫通孔が開設された位置から穂先部まで、竿体内部は釣糸を挿通可能な中空に形成されている
ことを特徴とする釣竿。
【請求項2】
請求項1に記載の釣竿であって、
前記第1の竿体は、開口した前記穂先部を有する最も穂先側の竿体である
ことを特徴とする釣竿。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の釣竿であって、
前記第1の貫通孔は、軸方向の内径が、周方向の内径より長い
ことを特徴とする釣竿。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の釣竿であって、
前記第1の竿体は、
振出状態で、前記第2の竿体と重畳する部分が、他の部分より柔らかい材料で形成された部分を含む
ことを特徴とする釣竿。
【請求項5】
振出式で連結される複数の竿体を備える釣竿であって、
振出状態で、釣糸を竿体内部に挿通可能な貫通孔が側部に開設されており、
前記貫通孔が開設された位置から穂先部まで、竿体内部は釣糸を挿通可能な中空に形成されており、
振出状態で、前記貫通孔が開設された位置は、竿元側より穂先側に近い位置である
ことを特徴とする釣竿。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振出式で連結される複数の竿体を備える釣竿に関する。
【背景技術】
【0002】
竿元側に配置される筒状の竿体内に、穂先側に配置される竿体を収納可能に順次連結した振出式の釣竿が普及している。このような振出式の釣竿は、穂先側に位置する竿体を竿元側の竿体内部から順次引き出し連結することにより、一本の釣竿として使用することができる。そして、使用しない場合、振出式の釣竿は、穂先側の竿体を竿元側の竿体内部に順次挿入して収納することにより、全長を短くコンパクトにすることができる。振出式の釣竿では、各竿体の外周部にそれぞれ環状のガイドが配設され、配設された複数のガイドに釣糸を通すことにより、竿元に配設されたリールから穂先まで釣糸を案内する、所謂、外ガイド式の釣竿が広く普及している。
【0003】
しかしながら、外ガイド式の釣竿では、釣糸が弛んだ場合、釣糸がガイドに絡まるというトラブルが発生する虞がある。特に、穂先又は穂先近傍のガイドに釣糸が巻き付き絡まる場合が多く、容易に解きほぐすことができないような事態にまでなることがある。
【0004】
そこで、釣糸がガイドに絡まることがない釣竿として、竿元側から竿体の内部に釣糸を通し、穂先から釣糸を引き出した中通し式の釣竿が販売されており、また様々な改良品が開発されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7−227181号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、中通し式の釣竿には、釣糸の挿通が難しい等の様々な問題がある。
【0007】
本発明は斯かる事情に鑑みたものであり、穂先部における釣糸の巻付きを抑制しながらも、釣糸の挿通が容易な釣竿の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本願記載の釣竿は、振出式で連結される複数の竿体を備える釣竿であって、第1の竿体と、前記第1の竿体の側部に開設された第1の貫通孔と、前記第1の竿体の竿元側に位置し、振出状態で、穂先側が前記第1の竿体の竿元側と重畳する第2の竿体と、前記第2の竿体の側部に開設された第2の貫通孔とを備え、振出状態で、前記第1の貫通孔及び第2の貫通孔は、釣糸を挿通可能に連通し、前記第1の貫通孔が開設された位置から穂先部まで、竿体内部は釣糸を挿通可能な中空に形成されていることを特徴とする。
【0009】
また、本願記載の釣竿は、振出式で連結される複数の竿体を備える釣竿であって、振出状態で、釣糸を竿体内部に挿通可能な貫通孔が側部に開設されており、前記貫通孔が開設された位置から穂先部まで、竿体内部は釣糸を挿通可能な中空に形成されており、振出状態で、前記貫通孔が開設された位置は、竿元側より穂先側に近い位置であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る釣竿は、穂先側に位置する竿体に開設された貫通孔から穂先部までの間に釣糸を挿通する。これにより、穂先部における釣糸の巻付きを抑制しながらも、竿元から穂先まで竿体内部を釣糸が挿通する一般的な中通し式の釣竿と比べて、釣糸の挿通が容易である等、優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に係る釣竿の外観の一例を示す概略外観図である。
図2】本発明に係る釣竿の外観の一例の一部を拡大して示す概略外観図である。
図3】本発明に係る釣竿の一例の一部を拡大して示す概略外観図である。
図4】本発明に係る釣竿の一例の一部を拡大して示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態は、本発明を具現化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
【0013】
図1は、本発明に係る釣竿1の外観の一例を示す概略外観図である。図1は、釣竿1を側面から示す概略外観図であり、図1(a)は、釣竿1の全体の外観を示し、図1(b)は、釣竿1の穂先近傍の外観を示している。図1に示す釣竿1は、所謂、振出竿であり、長尺円筒状をなす複数の竿体10を順次振出式に連結して構成されている。釣竿1は、全体として竿元側から穂先側にかけて細くなるようにテーパー状に構成されている。釣竿1の穂先に位置する一番竿11は、最小径の竿体10であり、一番竿11の竿元側に連結される竿体10である二番竿12は、一番竿11より大径となるように構成され、更に二番竿12の竿元側に連結される三番竿13は、二番竿12より大径となるように構成されている。このように、図1に例示する釣竿1は、穂先の一番竿11から竿元の六番竿16まで6本の竿体10を順次振出式に連結し、更に六番竿16の竿元側を把持部(グリップ)に固定して構成されている。なお、竿体10の本数等の構成は適宜設計することが可能である。
【0014】
このように構成された釣竿1は、穂先側に位置する竿体10を竿元側の竿体10内部から順次引き出した振出状態とすることにより、一本の釣竿1として使用することができる。そして、使用しない場合、釣竿1は、穂先側の竿体10を竿元側の竿体10内部に順次挿入して収納することにより、全長を短くコンパクトにすることができる。
【0015】
釣竿1を構成する三番竿13から六番竿16までの各竿体10には、穂先側の部位の外周に環状のガイド2が配設されており、更に、把持部の外周には、釣糸Lを巻き取るリール3が配設されている。図1(b)に示すように二番竿12の側部にあたる外周部分には、第2貫通孔120が開設されている。リール3から引き出された釣糸Lは、六番竿16に配設されたガイド2から三番竿13に配設されたガイド2まで順次挿通して案内され、更に、二番竿12の第2貫通孔120を挿通し、一番竿11の先端部分となる穂先部から外部へと引き出される。長尺円筒状をなす各竿体10の内部は、釣糸Lを挿通可能な中空に形成されており、一番竿11の先端部分は釣糸Lを挿通可能に開口している。穂先部から外部へ延伸される釣糸Lの先端部分には釣り針、錘等の図示しない仕掛けが結着されている。なお、ここでは穂先部として一番竿11の先端に開設された開口から釣糸Lを引き出す形態を示しているが、先端近傍であれば、外周部分に釣糸Lを引き出すための開口を設けていても良い。即ち、ここでいう穂先部とは、最先端のみならず、先端の近傍をも含む概念である。
【0016】
図2は、本発明に係る釣竿1の外観の一例の一部を拡大して示す概略外観図である。図2は、釣竿1の一番竿11及び二番竿12の重畳部分を拡大して示している。なお、二番竿12の内部に収容される一番竿11の部分については破線にて示している。図2は、振出状態における重畳部分を示しており、一番竿11の竿元側が、二番竿12の穂先側の内部に入り込み、一番竿11の竿元側と二番竿12の穂先側とが重畳して連結されている。図2に示すように一番竿11の側部にあたる外周部分には、第1貫通孔110が開設されている。振出状態において、一番竿11に開設された第1貫通孔110と、二番竿12に開設された第2貫通孔120とは、釣糸Lを挿通可能に連通している。第1貫通孔110は、軸方向(釣竿1の長手方向)の内径が周方向の内径より長い長円状に形成されており、第2貫通孔120は軸方向の内径及び周方向の内径が略等しい円状に形成されている。そして、第1貫通孔110の軸方向の内径は、第2貫通孔120の軸方向の内径より長く、第1貫通孔110及び第2貫通孔120の周方向の内径は略等しくなるように形成されている。また、第1貫通孔110の開口部は、釣糸Lとの摩擦による損耗、竿体10の強度の低下等の弊害を防止すべく、開口部に適合する長円状をなし、金属、樹脂等の材料で形成された補強部材111の嵌着等の加工がなされている。同様にして、第2貫通孔120の開口部にも、開口部に適合する環状をなす補強部材121の嵌着等の加工がなされている。更に、第2貫通孔120の開設による二番竿12の強度低下を防止するため、略菱形状をなす金属、樹脂等の材料で形成された補強枠(フレーム)122が、補強部材121の周囲に配設されている。補強部材121及び補強枠122を第2貫通孔120の開口部に配設することにより、二番竿12の強度が開口により低下することを防止することができる。なお、補強枠122の形状は略菱形状に限らず、適宜設計することが可能である。
【0017】
図3は、本発明に係る釣竿1の一例の一部を拡大して示す概略外観図である。図3は、釣竿1の一番竿11及び二番竿12の重畳部分を拡大して示している。図3に例示する釣竿1は、一番竿11の材質の一部を変更した形態を示している。一番竿11には長円状をなす第1貫通孔110が開設されていることもあり、一番竿11と二番竿12との重畳部分は、他の竿体10の重畳部分と比べ、また従来の振出式の釣竿1と比べて軸方向に長くなりがちである。このため、釣竿1のしなり具合(調子)が、理想的な曲線から外れる虞がある。図3に例示した一番竿11は、竿体10の穂先側となる竿体本体11aに、柔らかい樹脂等の材料を円筒状に形成した補助体11bを連結して構成されている。竿体本体11aの竿元側には、補助体11bの穂先側が連結されており、竿体本体11aの竿元側の外径と補助体11bの穂先側の外径とは略同一となるように形成されている。即ち、一番竿11は、振出状態で、二番竿12と重畳する部分(補助体11b)が、他の部分(竿体本体11a)より柔らかく可撓性が高くなるように選択された材料を用いて形成されている。ここでいう柔らかいとは、曲げ弾性率が高いという意味である。また、柔らかさ(曲げ弾性率)の比較は、重畳する部分(補助体11b)と、他の部分(竿体本体11a)とにおいて、それぞれ連結部分の近傍を比較したものである。即ち、補助体11bと、竿体本体11aの穂先部分とを比較したものではなく、補助体11bと竿体本体11aとの略同一の外径となる連結部分の近傍の部位を比較した結果、補助体11bの方が竿体本体11aより曲げ弾性率が高いということを示す。
【0018】
一番竿11と二番竿12との重畳部分が長くなっても、柔軟な補助体11bを竿体本体11aの竿元側に連結して一番竿11を形成し、重畳部分の可撓性と他の部分の可撓性との差が不連続にならないようにして可撓性の境目を可及的になくすように設計することで、重畳部分で釣竿1のしなり具合が不自然にならないように構成することができる。
【0019】
以上のように構成された上述の釣竿1は、穂先近傍にガイド2が配設されていないため、従来の外ガイド式の釣竿1と比べ、釣糸Lがガイド2に絡まるというトラブルの発生を抑制する等の効果を奏する。特に、釣糸Lは穂先近傍のガイド2に絡まり易いため、穂先側の一番竿11及び二番竿12のガイド2を排除しただけでも、その効果は顕著である。また、上述の釣竿1は、二番竿12の穂先近傍から、実質的には一番竿11のみの内部に釣糸Lを挿通するため、ほぼ全ての竿体10の内部に釣糸Lを挿通させる従来の中通し式の釣竿1と比べ、釣糸Lの挿通が容易である等の効果を奏する。更に、上述の釣竿1は、従来の中通し式の釣竿1と比べ、釣糸Lが竿体10内で詰まり難い等の効果を奏する。また、上述の釣竿1は、従来の中通し式の釣竿1と比べ、竿体10の引き出し及び収納の際に、釣糸Lが複雑に屈曲することにより、竿体10内で釣糸Lが絡まったり、連結する竿体10の隙間に釣糸Lが噛み込むというトラブルが発生し難く、竿体10の引き出し及び収納作業が容易である等の効果を奏する。上述の釣竿1が、竿体10の引き出し及び収納作業が容易であるという効果は、釣糸Lが海水に濡れた場合等の竿体10に張り付き易い場合の作業性において特に顕著である。
【0020】
上述の釣竿1は、振出状態において一番竿11と二番竿12との重畳部分で連通するように一番竿11の竿元側に第1貫通孔110を開設し、二番竿12の穂先側に第2貫通孔120を開設している。例えば、連通する貫通孔を開設せず、一番竿11のみに貫通孔を設けるものとし、重畳部分より穂先側に釣糸Lを挿通する貫通孔を開設した場合、釣糸Lが噛み込むため一番竿11を二番竿12に収納することが困難になる。また、二番竿12のみに貫通孔を設けるものとし、重畳部分より竿元側に釣糸Lを挿通する貫通孔を開設した場合、貫通孔を挿通させた釣糸Lを更に一番竿11の内部を挿通させる作業が困難となる。即ち、振出状態において、一番竿11と二番竿12との重畳部分で連通するように第1貫通孔110及び第2貫通孔120を開設することにより、上述の釣竿1は、一番竿11を二番竿12に収納する際の釣糸Lの噛み込みを防止することが可能であり、また、釣糸Lの挿通作業を容易にすることが可能とである。
【0021】
また、上述の釣竿1は、一番竿11に開設する第1貫通孔110を長円状に形成することにより、第1貫通孔110と第2貫通孔120とを連通させるための位置決めが容易となり、しかも、一番竿11を二番竿12から容易に引き出すことが可能であり、また引き出された一番竿11を容易に二番竿12に収納することが可能となる。
【0022】
図4は、本発明に係る釣竿1の一例の一部を拡大して示す模式図である。図4は、二番竿12の内部に一番竿11が収納されている場合において、第1貫通孔110と第2貫通孔120とを連通させるための位置決めに関する作業を模式的に示している。なお、図4(a)が位置決め前の状態であり、図4(b)が位置決め後の状態を示している。位置決め作業は、穂先側が上方を向くように釣竿1を立てた状態で行われる。一番竿11の竿体10及び二番竿12の竿体10の双方とも、竿元側から穂先側にかけて細くなるようにテーパー状に構成されている。従って、図4(a)に示すように、一番竿11が二番竿12の内部に収納されている状態において、一番竿11は、二番竿12の内部に隙間をもって遊嵌しており、周方向の回動及び軸方向の上下動が容易な状態となっている。ここで、一番竿11の先端に開設された開口から引き出された釣糸Lを上方向へ引っ張り上げると、第1貫通孔110と第2貫通孔120との間を渡された釣糸Lの張力により、一番竿11は、上方向に引き上げられながら、第1貫通孔110が第2貫通孔120と連通する位置にくるように周方向に回動する。そして、上方向へ引っ張った釣糸Lを緩め、再度、上方向へ引っ張り上げるという作業を繰り返すと、図4(b)に示すように、第1貫通孔110と第2貫通孔120との周方向の位置が略一致する。このように、第1貫通孔110を長円状に形成することにより、第1貫通孔110と第2貫通孔120とを連通させるための位置決めを容易に行うことが可能となる。
【0023】
また、一番竿11を二番竿12に収納した状態から引き出すに従って、重畳部分における一番竿11の外径と二番竿12の内径との差が小さくなる。一番竿11の外径と二番竿12の内径との差が、釣糸Lの外径と比べて十分に大きい場合には、釣糸Lが噛む状態とはなり難いが、一番竿11を引き出すに従って、この差が小さくなり、一番竿11と二番竿12との間に釣糸Lが噛みやすくなる。ここで、第1貫通孔110を長円状に形成していると、一番竿11を引き出したときに、釣糸Lは第1貫通孔110から一番竿11の内部に入り込み易くなるため、一番竿11と二番竿12との間に釣糸Lが噛み込むことを防止することができる。即ち、一番竿11に開設する第1貫通孔110を長円状に形成することにより、一番竿11を二番竿12から容易に引き出すことが可能であり、また、引き出された一番竿11を容易に二番竿12に収納することが可能である。なお、第1貫通孔110の軸方向の内径が周方向の内径より長い形状であれば、長円状で無くても良く、楕円状、対角線が軸方向となる菱形状、長辺が軸方向となる長方形状等の他の形状であっても良い。
【0024】
本発明は、以上説明した実施形態に限定されるものではなく、他のいろいろな形態で実施することが可能である。そのため、上述した実施形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、なんら拘束されない。更に、請求の範囲の均等範囲に属する変形及び変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【0025】
例えば、前記実施形態では、振出状態において一番竿11と二番竿12との重畳部分で連通するように一番竿11の竿元側に第1貫通孔110を開設し、二番竿12の穂先側に第2貫通孔120を開設する形態を示したが、本発明はこれに限るものではない。例えば、二番竿12と三番竿13との重畳部分で連通するように二番竿12の竿元側に第1の貫通孔を開設し、三番竿13の穂先側に第2の貫通孔を開設する等、様々な形態に展開することが可能である。即ち、釣糸Lを竿体内部に挿通可能な貫通孔が側部に開設されており、振出状態で、貫通孔が開設された位置が、竿元側より穂先側に近い位置となるのであれば、様々な形態に展開することが可能である。そして、そのような形態において、上述した釣糸Lの噛み込み及び挿通の作業性等の問題を解決することができるのであれば、二の竿体10に連通させる貫通孔を開設するのではなく、一の竿体10のみに貫通孔を設けるようにしても良い。
【符号の説明】
【0026】
1 釣竿
10 竿体
11,12,13,…,16 一番竿、二番竿、三番竿、…、六番竿
110 第1貫通孔
111 補強部材
11a 竿体本体
11b 補助体
120 第2貫通孔
121 補強部材
122 補強枠
2 ガイド
3 リール
L 釣糸
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2016年3月7日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
上記課題を解決するために、本願記載の釣竿は、振出式で連結される三以上の竿体を備える釣竿であって、第1の竿体と、前記第1の竿体の側部に開設された第1の貫通孔と、前記第1の竿体の竿元側に位置し、振出状態で、穂先側が前記第1の竿体の竿元側と重畳する第2の竿体と、前記第2の竿体の側部に開設された第2の貫通孔と、前記第2の竿体の竿元側に位置し、振出状態で、穂先側が前記第2の竿体の竿元側と重畳する第3の竿体と、前記第2の竿体に開設された第2の貫通孔より竿元側の竿体の外周に配設され、釣糸を挿通可能な複数の環状のガイドとを備え、前記第1の竿体及び第2の竿体は、前記第3の竿体に対し、内部に収納可能で、かつ振出可能な移動体であり、振出状態で、前記第1の貫通孔及び第2の貫通孔が重畳して、釣糸を挿通可能に連通し、前記第1の貫通孔が開設された位置から穂先部まで、竿体内部は釣糸を挿通可能な中空に形成されており、前記第1の竿体は、開口した前記穂先部を有する最も穂先側の竿体であることを特徴とする。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正3】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
振出式で連結される三以上の竿体を備える釣竿であって、
第1の竿体と、
前記第1の竿体の側部に開設された第1の貫通孔と、
前記第1の竿体の竿元側に位置し、振出状態で、穂先側が前記第1の竿体の竿元側と重畳する第2の竿体と、
前記第2の竿体の側部に開設された第2の貫通孔と
前記第2の竿体の竿元側に位置し、振出状態で、穂先側が前記第2の竿体の竿元側と重畳する第3の竿体と、
前記第2の竿体に開設された第2の貫通孔より竿元側の竿体の外周に配設され、釣糸を挿通可能な複数の環状のガイドと
を備え、
前記第1の竿体及び第2の竿体は、前記第3の竿体に対し、内部に収納可能で、かつ振出可能な移動体であり、
振出状態で、前記第1の貫通孔及び第2の貫通孔が重畳して、釣糸を挿通可能に連通し、
前記第1の貫通孔が開設された位置から穂先部まで、竿体内部は釣糸を挿通可能な中空に形成されており、
前記第1の竿体は、開口した前記穂先部を有する最も穂先側の竿体である
ことを特徴とする釣竿。