特開2017-93411(P2017-93411A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特開2017093411-釣糸等の測長作製等器具 図000003
  • 特開2017093411-釣糸等の測長作製等器具 図000004
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-93411(P2017-93411A)
(43)【公開日】2017年6月1日
(54)【発明の名称】釣糸等の測長作製等器具
(51)【国際特許分類】
   A01K 97/00 20060101AFI20170428BHJP
   G01B 21/02 20060101ALI20170428BHJP
【FI】
   A01K97/00 Z
   G01B21/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】書面
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2015-240618(P2015-240618)
(22)【出願日】2015年11月24日
(71)【出願人】
【識別番号】595159932
【氏名又は名称】吉田 均
(72)【発明者】
【氏名】吉田 均
【テーマコード(参考)】
2B109
2F069
【Fターム(参考)】
2B109FA07
2B109FA10
2F069AA31
2F069BB31
2F069DD26
2F069GG25
(57)【要約】      (修正有)
【課題】釣糸等の測長や作製・改修等において、絡みつき等のトラブルがなく、精度よい測長が可能で、釣糸等の測長と作製・改修を同時に行える測長作製等器具を提供する。
【解決手段】カウンターの回転軸に繋合された測長車10の左右に二つのアイドラーをおき、左アイドラー⇒測長車10⇒右アイドラーの順に釣糸等1を架糸させ測長車円周面上での釣糸等1の交叉を回避すると共に、被巻取側の糸巻2及び巻取側の糸巻22をコイルスプリング6の反発力やマグネット7a、7bの吸引力を利用した糸巻押さえ機構を設けて釣糸等1の巻取り時に適度の張力を発生させて釣糸等1と測長車10の接触面に適度の摩擦力を誘引させて、測長用カウンターの回転軸に繋結された測長車10を回転可能とし、かつ、マグネット7a、7bの吸着力と反発力を利用して釣糸等1に常に適度の張力が付与された所定長さの部位を創出して、作製・改修も可能な測長作製等器具を提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
市販糸巻(購入した糸巻)のラベルに孔あけ等の加工をすることなく、機械式または電気式カウンターの回転軸に繋合された測長車の左右に二つのアイドラー(遊び車)を配置させ、左アイドラー⇒測長車⇒右アイドラーの順に釣糸または釣糸仕掛け(以下、釣糸等という)を架糸させ、測長車の巻取り面において釣糸等の交叉を回避し、釣糸等の測長や作製・改修実施時における釣糸等の付属物のひっかかりを防ぎ、かつ、マグネットの吸着力または反発力を利用して釣糸等の所定の長さに所定の張力が付与された部位を創出させて釣糸等の測長と作製・改修を同時に行うことを可能ならしむる釣糸等の測長作製等器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、釣糸および釣糸仕掛け(以下、釣糸等という)の測長、並びに釣糸等の測長と同時に釣糸等に編込み、目印、結び目、小物金具、等の各種付属物を結着可能とし、測長と作製・改修(以下、測長作製等という)を同時に、しかも絡みつき等のトラブルなく、かつ、釣糸等の糸巻(リール)に孔明け等の加工を施すことなく、高精度、高能率で行えるような釣糸等の測長作製等器具に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、鮎釣り用の釣糸仕掛けの場合、空中糸および空中糸より細い水中糸の2種類の釣糸を結節して、これらに編込み、目印、結び目、小物金具等の各種付属物を結着させた形で成り立っている。これら釣糸仕掛けを作る時に必要な作業は、(1)空中糸と水中糸の長さ測定または定長計測ならびにそれらの繋合、(2)空中糸の一部に長さ調節用の環状部(ループ)作製や水中糸への目印の編込み、(3)撚戻し、鼻環等の小物金具の結着、(4)釣糸等の測長作製等のための定長計測、部分長計測、全長計測、等である。これらの作業は従来、テーブルやこたつ台の長さを目安に、あるいはこれらの面にきりのよい長さの印をつけてそれに釣糸等を合せ、その合せた回数で長さを知る方法(これを「目印測長」と名付ける)や両腕を広げた時の長さを予め測っておき、その両腕に取った釣糸等の回数から長さを知る方法(これを「両腕測長」と名付ける)、あるいは、何らかのスタンドのようなものに釣糸等をクリップ等で留めるか、釣糸等の一定長さの両端を棒状部材に取り付けたねじ等で留める方法(これを「任意引っ張り」と名付ける)で行われていた。釣糸の長さ測定や定長計測に関して、本件発明の出願者は実用新案登録第3133149号を出願して販売したのでトラブルなく高精度、高能率で行えるようになった。しかし、該実用新案は「波形スリット」という部材の波形狭小空間に釣糸等を挿通させて機械式又は電気式カウンターの回転軸を回すのに必要な摩擦力を生じせしめるための張力を釣糸等に与える方式(これを「波形スリット法」と名付ける)のため、(2)、(3)および(4)のように釣糸に各種付属物が結着された釣糸等の場合は、釣糸等の各種付属物が該波形狭小空間を通過できないか、結着された各種付属物を所定位置からずらしてしまったりするので使用できない。もし、該波形狭小空間を狭小でない空間にすると今度は必要な張力が得られないのでカウンターを回転させるための摩擦力が得られない。
これらの課題を解決するためにその後、特願2012−122427(特開2013−236608)が出願された。しかし、これは糸巻(リール)を回転自由に固定するために市販釣糸が巻かれている糸巻のラベルを破って孔をあける必要があった。しかし、市販釣糸の糸巻ラベルには、糸材質、糸号数(糸の細さ)、糸長さ等が表示されているために、使用者は該ラベルを破るのを嫌がる傾向があるのでなかなか普及しない。
以上のような状況に鑑み、釣糸等の測長と作製・改修を、市販釣糸の糸巻ラベルを破ることなく、高精度、高能率で行えるような新たな釣糸等の測長作製等器具が必要である。
関連公知技術としての特許第3641198号は0.1グラムないし3.0グラムの範囲の張力状態で巻き取られたスプール(本件発明の糸巻にあたる)の端部から順に整列して平行に巻き取られていることを特徴とする釣糸ユニットを提供すること、および該釣糸ユニットを製造するための釣糸巻取装置に関するものである。しかるに、本件発明で釣糸等に付与する張力は機械式又は電気式カウンターに繋合された測長車の回転に必要な張力であり、該公知技術のような0.1グラムないし3.0グラムのような範囲の定められた張力ではない。また張力の付与方法が該公知技術では釣糸の送り出し速度と巻取り速度の制御によるのに対し、本件発明ではマグネットの吸引または反撥力あるいはコイルスプリングに変形を与えて所要の張力を付与する方法である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
[0002]に記した実用新案登録第313314号(波形スリット法)や特願2012−122427号(特開2013−236608号)によって絡みつきなくしかも高精度、高効率で釣糸の測長や釣糸仕掛けの作製・改修が出来るようになった。しかし、該波形スリット法では、各種付属物が波形スリットの波形部材と釣糸等の接触擦れ部で引っ掛り、または各種付属物が釣糸等の所定位置からずれてしまうので釣糸のみの場合は使えるが釣糸仕掛けには使えない。また、特願2012−122427号は市販釣糸の糸巻ラベルに孔あけする必要がある。一方、関連公知技術としての特許第3641198号は所定の張力を付与した釣糸をスプール全体に平行に整列させて巻き取ることを主眼に釣糸ユニット製造上の課題解決を目的にしており、釣糸等の測長作製等上の課題解決を目的とする本件発明とはその目的と方法が異なる。そこで、釣糸等の測長と作製改修を、購入釣糸の糸巻ラベルに孔あけすることなく、高精度、高能率で行えるような新たな釣糸等の測長作製等器具が必要である。
【先行技術文献】
【0004】
【特許文献】
【特許文献】 特許第3641198号 特願2012−122427号(特開2013−236608号)
【0005】
【実用新案文献】
実用新案登録第3133149号
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述の課題を解決するため本件発明では、釣糸等の糸巻を保持するための手段として、市販釣糸の糸巻ラベルに孔あけ不要な左右2個の糸巻台が用意される。一方の糸巻台に置かれた釣糸等糸巻から一端が引き出された釣糸等は2つのアイドラー(遊び車)のうちの一方のアイドラー⇒測長車⇒他方のアイドラーの順に架糸される。架糸された釣糸等の端は他方の糸巻台に保持された巻取用の糸巻に巻取られる。巻取り長さと同じ量だけ測長車の円周を回転させるので、この回転量をアナログ式または電気式カウンターで表示させて巻取り長さを知ることが出来る。測長車を回転させるに必要な摩擦力を生じせしめるに必要な張力の付与、巻取り側と巻き取られ側の各糸巻の固定等は、左右糸巻台に施された所定の仕掛けで可能せしめる。かくして、市販釣糸の糸巻ラベルに孔あけをすることなく、釣糸等の測長作業と同時に、釣糸等に、編込み、目印、結び目、小物金具等の各種付属物を結着可能な新たな釣糸等の測長作製等器具が提供される。
【発明の効果】
【0007】
前述の[先行技術文献]によって釣糸等の測長作業と同時に、釣糸等に、編込み、目印、結び目、小物金具等の各種付属物を結着可能とさせるような新たな釣糸等の測長作製等器具が提供された。しかし、これらの技術においては糸巻を回転自由に保持するために市販釣糸が巻かれている糸巻のラベルを破って孔をあける必要があった。ふつう購入釣糸の糸巻ラベルには、糸材質、糸号数(糸の細さ)、糸長さ等が表示されているために、使用者はラベルを破るのを嫌がるのである。しかるに本件発明は糸巻ラベルに孔あけの必要なく、釣糸等の測長作業と同時に、釣糸等に、編込み、目印、結び目、小物金具等の各種付属物を結着可能な新たな釣糸等の測長作製等器具が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】 本発明を実施するための最良の形態の正面図で(a)は通常状態、(b)はスライドバーの伸長状態である。なお、釣糸等に編込み、目印、結び目、小物金具等の各種付属物を結着させるには(b)のスライドバーの伸長状態において行う。
図2】 本発明を実施するための最良の形態の平面図で(a)は通常状態、(b)はスライドバーの伸長状態である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本件発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
【実施例】
【0010】
図1に示すように、釣糸等1が巻かれた糸巻2は、糸巻台3に嵌込まれた糸巻スペーサー3aの凹部に保持される。なお、糸巻2を直接糸巻台3に保持しないで糸巻スペーサー3を介して保持する理由は、糸巻2のサイズに適合したそれぞれの糸巻スペーサー3に交換可能とするためである。
該糸巻台3の外周部には、糸巻ホルダー3bが繋結される。該糸巻ホルダー3bの底面の外周と内周は円弧状であり、その外周は該糸巻台3の外周とほぼ一致するように配設される。また、糸巻ホルダー3bは糸巻台との直交方向に所定高さをもち糸巻台との平行方向に所定長さを有する。糸巻ホルダー3bの平行方向の先端部に所定径の貫通孔3cが穿設される。該貫通孔3cにはスライドナット4がスライド自由、かつ回転自由に挿通される。該スライドナット4は上下2つのフランジ4a、4bを有し、下方のフランジ4bはその円周面に指で押えるときのすべり止めギザギザ(ローレット)が付設される。スライドナット4の内部は空洞となっており、その内面の全部または一部にはメスねじ4cが螺穿される。メスねじ4cには上端に回転つまみ5aを具備した押えねじ5が螺通され、その後、押えねじ5の下端には押え円板5bが嵌結される。
【0011】
糸巻2を糸巻スペーサー3aに軽く押えるために、スライドナットの下部フランジ4bと糸巻ホルダー3bの間に柔らかなコイルスプリング6を配置するか、もしくは、押え円板5bの下部と糸巻ホルダー3aに互いに極性の異なる、つまり互いに引付け合うマグネット7aおよび7bが嵌込まれる。コイルスプリング6または互いに引付け合うマグネット7aおよび7bは、釣糸等1が巻かれた糸巻2を適度に上から押さえつけ、測長車10の釣糸等1との接触部において適度の摩擦力を生じさせるために必要なものである。
以上のように糸巻台3に保持された糸巻ホルダー3aに置かれた糸巻2に巻かれた釣糸等1は、回転自由に配設されたガイドローラー8を介して右アイドラー9a⇒測長車10⇒左アイドラー9bと架糸される。右、左アイドラー9a、9bは表面板11に螺結された門型フレーム12に架持される。また、測長車10は機械式又は電気式カウンター13(図2にも示す)の回転軸14に繋結される。
【0012】
釣糸等1の一端が、例えば左アイドラー9bの中心部に位置すること等、本発明品の所定部位に位置することを確認しておき、その状態でカウンター13のリセットボタン13aを押してカウンター数字表示13bをすべてゼロとする。
該釣糸等1は使用者の手指で巻取側の糸車22を回転させることによって該糸車22に巻き取られる。この時、釣糸等1の巻取量Lは、カウンター表示数字13bで表されるカウンター回転軸14の回転数をNとし、測長車10の釣糸等1との接触部の直径をDとすると、L=D×円周率(≒3.14)×Nで与えられる。
【0013】
スライド板15はベース板16にスライド自由に挿入され、スライド板15には2つのマグネット17aと17bが組み込まれ、ベース板16には1つのマグネット17cが組み込まれる。17aと17cは極性が反対、つまり互いに引き合うように配置される。17bと17cは極性が同じ、つまり互いに反発するように配置される。
この状態で所定の長さを巻取ったあと、左側スライドナット44の下部フランジ4bbを指で押えて左側回転つまみ5aaを回転させ、左側押え円板5bbを下進させて糸巻22が回転できない程度に糸巻スペーサー3aaに押えつける。この状態でスライド板15の把手孔15aを使ってスライド板15を引き出した状態が図1(b)である。
【0014】
このとき、スライド板15に組み込まれたマグネット17bとベース板16に組み込まれたマグネット17cの位置関係は、図1(b)のようにマグネット17bがマグネットの大きさ程度だけ左側になるような位置で停止するようにストッパー15bがスライド板に取り付けられる。この状態から釣糸等1を僅かに巻き戻す方向(右方向)に右側糸巻2を回転させてその状態を保ったままで右側スライドナット4の下部フランジ4bを指で押えて右側回転つまみ5aを回転させて、右側押え円板5bを下進させて糸巻2が回転できない程度に糸巻スペーサー3aに押えつける。釣糸等1の2点18と19の間にはマグネット17bとマグネット17cの反発力が常に作用することになるので釣糸等1のこの区間には常に張力が作用するのでこの区間は決して弛むことはない。
【0015】
かくしてピンと張った釣糸等1の2点18、19を利用して目印の取付けやループ作製のための編込み、または撚り戻しその他小物部品等の取付け等が可能となる。
以上のようにして一連の作業が終了した後、スライド板15を押し戻し釣糸等1のだぶついた部分は左側糸巻22を回して巻き取る。さらに測長を続ける場合は押えてあった糸巻2を弛めて左側糸巻22を巻取りながら測長を続ける。
【符号の説明】
【0016】
1 釣糸等(釣糸および釣糸仕掛け)
2 糸巻(右側)
22 糸巻(左側)
3 糸巻台(右側)
3a 糸巻スペーサー(右側)
3aa 糸巻スペーサー(左側)
3b 糸巻ホルダー(右側)
3c 糸巻ホルダーの貫通孔(右側)
4 スライドナット(右側)
44 スライドナット(左側)
4a スライドナット上部フランジ(右側)
4b スライドナット下部フランジ(右側)
4bb スライドナット下部フランジ(左側)
5 押えねじ(右側)
5a 押えねじの回転つまみ(右側)
5aa 押えねじの回転つまみ(左側)
5b 押えねじの押え円板(右側)
5bb 押えねじの押え円板(左側)
6 コイルスプリング(右側)
7a マグネット(押え円板側)(右側)
7b マグネット(糸巻スペーサー側)(右側)
8 ガイドローラー(右側)
9a 右側アイドラー
9b 左側アイドラー
10 測長車
11 表面板
12 門型フレーム
13 カウンター
13a カウンターリセットボタン
13b カウンター数字表示
14 カウンター回転軸
15 スライド板
15a スライド板把手孔
15b スライド板に付けたストッパー
16 ベース板
16a ストッパー溝
17a マグネット(スライド板左)
17b マグネット(スライド板右)
17c マグネット(ベース板)
18−19 釣糸等の張力が付与された部分の長さ
図1
図2