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  • 特開2017093650-仕上げ装置 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-93650(P2017-93650A)
(43)【公開日】2017年6月1日
(54)【発明の名称】仕上げ装置
(51)【国際特許分類】
   D06F 65/10 20060101AFI20170428BHJP
   D06F 61/00 20060101ALI20170428BHJP
【FI】
   D06F65/10
   D06F61/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-226983(P2015-226983)
(22)【出願日】2015年11月19日
(71)【出願人】
【識別番号】592176055
【氏名又は名称】株式会社アサヒ製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100084412
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 冬紀
(72)【発明者】
【氏名】森 幸次郎
(72)【発明者】
【氏名】川口 真登
(57)【要約】
【課題】仕上げ装置の構造を簡略化する。
【解決手段】仕上げ装置は、湾曲した凸状外形部を有し、内部に導入される加熱流体によって加熱される固定の加熱体と、前記加熱体の前記凸状外形部に沿って移動するベルトと、を備え、被仕上げ物が前記加熱体の凸状外形部と前記ベルトとの間に供給され、前記供給された被仕上げ物が前記ベルトによって前記凸状外形部に沿って搬送される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
湾曲した凸状外形部を有し、内部に導入される加熱流体によって加熱される固定の加熱体と、
前記加熱体の前記凸状外形部に沿って移動するベルトと、を備え、
被仕上げ物が前記加熱体の凸状外形部と前記ベルトとの間に供給され、前記供給された被仕上げ物が前記ベルトによって前記凸状外形部に沿って搬送される仕上げ装置。
【請求項2】
請求項1に記載の仕上げ装置において、
前記加熱体の前記凸状外形部に対向して設けられ、前記ベルトを前記凸状外形部に押圧する押圧体をさらに備える仕上げ装置。
【請求項3】
請求項2に記載の仕上げ装置において、
前記押圧体は、前記凸状外形部に沿って設けられた複数の押圧ロールである仕上げ装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の仕上げ装置において、
前記被仕上げ物を前記加熱体の凸状外形部と前記ベルトとの間まで搬送する搬送部をさらに備える仕上げ装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の仕上げ装置において、
前記加熱体は、円柱体である仕上げ装置。
【請求項6】
請求項5に記載の仕上げ装置において、
前記円柱体は、外周の一部が切り欠かれた切欠部と円周部とを有し、
前記凸状外形部は、前記円周部の少なくとも一部である仕上げ装置。
【請求項7】
請求項5または6に記載の仕上げ装置において、
前記加熱体は、内部に、前記加熱流体が流入する外周空間と、前記加熱流体が存在しない内部空間とを有する仕上げ装置。
【請求項8】
請求項7に記載の仕上げ装置において、
前記加熱体は、前記凸状外形部を形成する外周板と、前記外周板との間に所定の間隙をもって配置され、内部に前記内部空間を有する内周板と、を有し、前記外周板と前記内周板との前記間隙は、前記加熱流体が流入する加熱流体室を形成する仕上げ装置。
【請求項9】
請求項8に記載の仕上げ装置において、
前記外周板と前記内周板との間隙に設けられ、前記外周板と前記内周板とを接続する補強部材を備える仕上げ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仕上げ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
洗濯した後の繊維製品の仕上げ乾燥を行う装置として業務用のロール仕上機が知られている。業務用のロール仕上機では、内部に蒸気が供給されることで加熱された、回転するロール(加熱シリンダ)に繊維製品を巻き掛けることで繊維製品の仕上げ乾燥を行っている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−138022号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した特許文献に記載のロール仕上げ機では、ロールを回転させるための構造や、回転するロールに蒸気を供給するための構造が必要であり、ロール仕上げ機の構造が複雑化する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
仕上げ装置は、湾曲した凸状外形部を有し、内部に導入される加熱流体によって加熱される固定の加熱体と、前記加熱体の前記凸状外形部に沿って移動するベルトと、を備え、被仕上げ物が前記加熱体の凸状外形部と前記ベルトとの間に供給され、前記供給された被仕上げ物が前記ベルトによって前記凸状外形部に沿って搬送される。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、仕上げ装置の構造を簡略化できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】仕上げ機の構造を模式的に示す図である。
図2】(a)は熱板の斜視図であり、(b)は(a)のB−B矢視断面を模式的に示した図である。
図3】変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1,2を参照して、本発明による仕上げ装置の一実施の形態を説明する。図1は、本実施の形態の仕上げ装置の構造を模式的に示す図である。仕上げ機1は、被仕上げ物である洗濯物の仕上げ処理および乾燥処理を行う仕上げ装置である。仕上げ機1は、本体フレームである仕上げ機本体1a内に、洗濯物の仕上げ乾燥を行うための、仕上げ機本体1aに固定された略円筒形状の第1および第2の熱板100A,100Bと、後述の第1および第2の搬送ベルト221A、221Bを介して第1および第2の熱板100A,100Bの外周面に洗濯物を押しつけるための複数の第1および第2の圧迫ロール11A,11Bとがそれぞれ設けられている。仕上げ機1は、更に、洗濯物を第1の熱板100Aに搬送するための前送り装置21と、洗濯物を第1および第2の熱板100A,100Bとの間に挟んで搬送する第1および第2の搬送ベルト221A,221Bを有する第1および第2の搬送装置22A,22Bと、折り畳み装置30とが設けられている。
【0009】
本実施の形態では、仕上げ機1の図1における左側に洗濯物の入口である洗濯物入口41が設けられ、洗濯物入口41の下方に仕上げ後の洗濯物の出口である洗濯物出口42が設けられている。
前送り装置21は、洗濯物入口41から第1の熱板100Aの右斜め上方まで洗濯物を搬送する装置であり、前送りベルト211と、第1および第2の押さえベルト212,213とを有する。前送りベルト211は、洗濯物入口41の左側に設けられた駆動ローラ214と、第1の熱板100Aの右斜め上方に設けられた従動ローラ215との間に掛け回されている。前送りベルト211は、不図示の前送りモータの駆動力によって駆動ローラ214を介して駆動される。前送りベルト211および第1および第2の押さえベルト212,213は、それぞれ、たとえば幅が10センチメートル程度の耐熱性のベルトであり、図1の奥行き方向に複数並べられて掛け回されている。
【0010】
第1の押さえベルト212は、洗濯物入口41の近傍から前送りベルト211による洗濯物の搬送経路の途中まで、前送りベルト211とともに洗濯物を搬送するベルトであり、洗濯物入口41の左側に設けられたローラと、第1の熱板100Aの上方に設けられたローラとの間に掛け回されている。第1の押さえベルト212は、前送りベルト211と対向する面で前送りベルト211と接触している。第1の押さえベルト212は、不図示の前送りモータの駆動力によって駆動される。
【0011】
第2の押さえベルト213は、前送りベルト211による洗濯物の搬送経路の途中から第1の熱板100Aの上部まで洗濯物を搬送するベルトであり、前送りベルト211の上方に設けられたローラ216と、第1の熱板100Aの上部に設けられた小径ローラ217との間に掛け回されている。第2の押さえベルト213は、洗濯物の搬送経路の上流側では前送りベルト211と対向する面で前送りベルト211と接触し、洗濯物の搬送経路の下流側では以下に述べる第1の搬送ベルト221Aと対向する面で第1の搬送ベルト221Aと接触している。第2の押さえベルト213は、不図示の前送りモータの駆動力によって駆動される。
【0012】
第1および第2の熱板100A、100Bは、上述のように、仕上げ機本体1aに固定され、内部に高温の蒸気が導入されて外周面が加熱される。第1および第2の熱板100A、100Bの詳細な構成は、後述する。
【0013】
第1の搬送装置22Aは、第1の熱板100Aの上部から第2の熱板100Bの上部まで洗濯物を搬送する装置であり、第1の搬送ベルト221Aを有する。第1の搬送ベルト221Aは、第1の熱板100Aの上方に設けられた駆動ローラ222と、第2の熱板100Bの上部に設けられた小径ローラ223と、第1の熱板100Aの左斜め下方に設けられた駆動ローラ224との間に掛け回されている。第1の搬送ベルト221Aは、たとえば幅が10センチメートル程度の耐熱性のベルトであり、図1の奥行き方向に複数並べられて掛け回されている。第1の搬送ベルト221Aは、第1の熱板100Aの外周面に略12時の位置から反時計方向に略3時の位置まで接触しており、第1の熱板100Aの外周面との間に洗濯物を挟んで、第1の熱板100Aの外周面上を摺動する。第1の搬送ベルト221Aは、駆動モータ50が駆動する駆動ローラ222,224によって駆動される。
【0014】
第1の圧迫ロール11Aは、第1の熱板100Aの図1における紙面奥行き方向の長さと略同じ長さの押圧ロールであり、仕上げ機本体1aに回転自在に軸支されている。第1の圧迫ロール11Aは、仕上げ機1の運転中には、不図示の空気圧シリンダによって、第1の搬送ベルト221Aを第1の熱板100Aに押し付ける。すなわち、第1の圧迫ロール11Aは、第1の搬送ベルト221Aを第1の熱板100Aの外周面に向かって押圧する押圧体である。第1の搬送ベルト221Aが駆動されると、第1の圧迫ロール11Aは第1の搬送ベルト221Aの駆動力で回転する。本実施の形態の仕上げ機1では、7本の第1の圧迫ロール11Aが第1の熱板100Aの周方向に沿って、洗濯物の搬送方向の上流側に並べて配置されている。
【0015】
前送り装置21によって送られた洗濯物は、第1の熱板100Aの外周面と第1の搬送ベルト221Aとの間に挟まれ、第1の搬送ベルト221Aの駆動力によって第1の熱板100Aの外周面上を滑って搬送される。洗濯物は、第1の搬送ベルト221Aによる搬送中に第1の圧迫ロール11Aおよび第1の搬送ベルト100Aによって、第1の熱板100Aに押圧されて、仕上げ乾燥処理が施される。
【0016】
第2の搬送装置22Bは、第2の熱板100Bの上部から折り畳み装置30の入口側まで洗濯物を搬送する装置であり、第2の搬送ベルト221Bを有する。第2の搬送ベルト221Bは、第2の熱板100Bの上方に設けられた駆動ローラ232と、折り畳み装置30の入口近傍に設けられたローラ233と、第2の熱板100Bの左方に設けられた駆動ローラ234との間に掛け回されている。第2の搬送ベルト221Bは、たとえば幅が10センチメートル程度の耐熱性のベルトであり、図1の奥行き方向に複数並べられて掛け回されている。第2の搬送ベルト221Bは、第2の熱板100Bの外周面に略12時の位置から時計方向に略9時の位置まで接触しており、第2の熱板100Bの外周面上で摺動する。第2の搬送ベルト221Bは、駆動モータ50が駆動する駆動ローラ232,234によって駆動される。
【0017】
第2の圧迫ロール11Bは、第1の圧迫ロール11Aと同一の構成であり、第2の搬送ベルト221Bを第2の熱板100Bの外周面に向けて押し付ける、すなわち押圧する。
第1の熱板100Aと第1の搬送ベルト装置221Aと第1の圧迫ロール11Aによって仕上げおよび乾燥処理された洗濯物は、第2の熱板100Bの外周面と第2の搬送ベルト221Bとの間に挟まれ、第2の搬送ベルト221Bの駆動力によって第2の熱板100Bの外周面上を滑って搬送される。洗濯物は、第2の搬送ベルト221Bによる搬送中に第2の圧迫ロール11Bおよび第2の搬送ベルト100Bによって、第2の熱板100Bに押圧されて、再度の仕上げ乾燥処理が施される。
【0018】
駆動モータ50は、上述したように、第1および第2の搬送ベルト221A,221Bを駆動するモータである。駆動モータ50の駆動力は、図1において一点鎖線で示したチェーン51を介して第1および第2の搬送ベルト221A,221Bの駆動ローラ222,224,232,234に伝達される。このようにして、第1および第2の搬送ベルト221A,221Bは、駆動モータ50の駆動力で駆動される。
【0019】
折り畳み装置30は、洗濯物の搬送方向の上流側のベルトコンベア31と、下流側のベルトコンベア32とを有する。折り畳み装置30は、ベルトコンベア31とベルトコンベア32とが協働して、第2の搬送装置22Bによって搬送された洗濯物を受け取って折り畳む、公知の装置である。
【0020】
図2(a)は、第1および第2の熱板100A、100Bの斜視図であり、図2(b)は、図2(a)のB−B矢視断面を模式的に示した図である。本実施の形態では、第1の熱板100Aと第2の熱板100Bとは構造が同一である。以下の説明では、第1の熱板100Aと第2熱板100Bとを区別せず、熱板100として構造を説明する。熱板100は、外観が円柱体状の加熱体であり、円周部110と、外周の一部が切り欠かれた切欠部111とを有する。より具体的には、熱板100は、上述したように略横型部分円筒形状を呈しており、外周板101と、内周板102と、一対の端板103,103と、補強板104と、一対の封止板105,105とを有する。
【0021】
外周板101と内周板102とは、一部が切り欠かれた円筒形状であり、外周板101は、横断面が所定の半径(R)の円弧形状であり、内周板102は、横断面が所定の半径(R-△-t)の円弧形状である。なお、tは、内周板の板厚である。以下の説明では、tが内周板102の半径に対して十分に小さいので、内周板102の半径を単に(R-△)と表す。
外周板101と内周板102とは、両者間の間隙(△)が円周方向にほぼ一定になるように、同心状に配置されている。なお、外周板101と内周板102との間隙(△)は、図2(a)に示したように、外周板101の半径(R)に比べて、非常に小さいが、図2(b)では、間隙(△)を誇張して、図2(a)よりも大きく描いている。
【0022】
一対の端板103,103は、外周板101および内周板102の軸方向の両端に取り付けられた部分円盤状の板であり、外周板101の形状に合わせて円盤の一部を切り欠いた扇形状を呈している。補強板104は、端板103と略同形状の板状部材であり、熱板100の両端に配置された一対の端板103,103の間で端板103,103と平行に配置され、周縁部分が内周板102の内周面に溶接されている。本実施の形態では、補強板104の配設数は1であるが、補強板104の配設数は2以上であってもよい。また、熱板100の強度上、不具合がないのであれば、補強板104を設けなくてもよい。
封止板105は、外周板101および内周板102の周方向の端部に取り付けられ、外周板101と内周板102との間隙(△)を塞いでいる。
【0023】
熱板100には、外周板101と、内周板102と、一対の端板103,103と、封止板105とによって囲まれた密閉空間である蒸気室106が形成されている。一方の端板103は、その上端付近に、蒸気室106へ蒸気を供給するための蒸気供給口107が、その下端付近に、ドレンを排出するためのドレン排出口108が、それぞれ設けられている。
【0024】
図2(b)に示すように、外周板101と内周板102との間、すなわち、蒸気室106には、熱板100の円筒形状を保つために、外周板101と内周板102とを接続する補強部材109が複数設けられている。
このように、熱板100は、内部に、蒸気が流入する外周空間(蒸気室106)と、蒸気が存在しない内部空間である、内周板102の内周側の空間とを有する。なお、この外周空間(蒸気室106)の容積は、内周板102の内周側の空間の容積よりも十分に小さく定められている。
【0025】
なお、外周板101および内周板102は、それぞれ横断面が半径(R)、(R-△)の円弧形状であるが、円弧の両端部を直線状にしてもよい。すなわち、図2(b)に示したように、半径(R)、(R-△)の円弧形状の範囲Aと、直線形状の範囲B、Cとを設けてもよい。すなわち、外周板101と内周板102とは、円筒部の範囲Aと、平板部の範囲B、Cとを有していてもよい。このように構成した場合には、洗濯物は、前送り装置21から第1の熱板100Aに導入されるとき、平板部Bではなく、円筒部Aに導入される。第2の熱板100Bも同様である。
また、外周板101の円弧の長さは、図2(a),(b)に示した例では、半径(R)の円の全周長さの約3/4程度であるが、それよりも短くしても良いし、長くしても良い。
【0026】
本実施の形態の仕上げ機1では、次のようにして洗濯物の仕上げ処理および乾燥処理が行われる。図1に示すように、前送り装置21は、洗濯物入口41で前送りベルト211に載せられた洗濯物を矢印a〜矢印eの順に第1の熱板100Aの上方へ搬送する。このとき、洗濯物は、前送りベルト211と第1の押さえベルト212の間に挟み込まれて搬送される。
【0027】
次いで、前送り装置21は、前送りベルト211に載せられた洗濯物を矢印fで示すように第1の熱板100Aの上方で第1の熱板100Aの右方まで搬送し、従動ローラ215の通過後は矢印gで示すように洗濯物を左斜め下方に向かって搬送する。このとき、洗濯物は、前送りベルト211と第2の押さえベルト213の間に挟み込まれて搬送される。その後、前送りベルト211が第2の押さえベルト213から左方に向かって離間するので、洗濯物は、が第2の押さえベルト213に載って搬送され、その直後に、が第2の押さえベルト213と第1の搬送ベルト221Aとの間に挟まれて、矢印hで示すように第1の熱板100Aの上端に向かって搬送される。
【0028】
第1の熱板100Aおよび第2の熱板100Bは、図2に示した蒸気供給口107から加熱流体である蒸気が供給されて加熱されている。
第1の搬送装置22Aは、第1の熱板100Aの上端に到達した洗濯物を第1の搬送ベルト221Aと第1の熱板100Aの外周面との間に引き込んで、矢印i〜矢印kで示すように、加熱された第1の熱板100Aの外周面上で洗濯物を滑らせながら、第1の熱板100Aの外周面に沿って反時計方向に搬送する。
第1の圧迫ロール11Aは、第1の熱板100Aの外周面上を滑って行く洗濯物を第1の搬送ベルト221Aの上から第1の熱板100Aに向かって加圧する。
なお、第1の圧迫ロール11Aで押圧されていない場所であっても、洗濯物は、第1の搬送ベルト221Aの張力によって第1の熱板100Aの外周面に押圧されている。
【0029】
第1の搬送装置22Aは、第1の熱板100Aの外周面に沿って洗濯物を搬送した後、矢印lおよび矢印mで示すように、第2の熱板100Bの上端に向かって洗濯物を搬送する。第2の熱板100Bの上方では、洗濯物は、第1の搬送ベルト221Aと第2の搬送ベルト221Bとの間に挟まれて、矢印mで示すように第2の熱板100Bの上端に向かって搬送される。
【0030】
第2の搬送装置22Bは、第2の熱板100Bの上端に到達した洗濯物を第2の搬送ベルト221Bと第2の熱板100Bの外周面との間に引き込んで、矢印n〜矢印qで示すように、加熱された第2の熱板100Bの外周面上で洗濯物を滑らせながら、第2の熱板100Bの外周面に沿って時計方向に搬送する。
なお、洗濯物が第1の熱板100Aから第2の熱板100Bへ移動する過程で、すなわち、矢印i〜矢印nの位置において、洗濯物の第1の熱板100Aと接触していた面は上方を向き、第1の熱板100Aと接触していなかった面は下方を向く。したがって、第1の熱板100Aと接触していなかった面は、第2の熱板100Bと接触することとなる。これにより、洗濯物の両面が第1および第2の熱板100A、100Bと接触するので、洗濯物の仕上がりが良好となり、乾燥ムラも防止できる。
第2の圧迫ロール11Bは、第2の熱板100Bの外周面上を滑って行く洗濯物を搬送ベルト221Bの上から第2の熱板100Bに向かって加圧する。
なお、第2の圧迫ロール11Bで押圧されていない場所であっても、洗濯物は、第2の搬送ベルト221Bの張力によって第2の熱板100Bの外周面に押圧されている。
【0031】
第2の搬送装置22Bは、第2の熱板100Bの外周面に沿って洗濯物を搬送した後、矢印rで示すように、折り畳み装置30の上流側のベルトコンベア31の右端(上流端)に向かって洗濯物を搬送する。
折り畳み装置30は、矢印s〜矢印uで示すように洗濯物を左方に搬送する過程で、上述したように、ベルトコンベア31とベルトコンベア32とが協働して、第2の搬送装置22Bによって搬送された洗濯物を受け取って折り畳む。折り畳み装置30で折り畳まれた洗濯物は、矢印uで示すように洗濯物出口42から仕上げ機1の外部に搬送されて、矢印vで示すように、ベルトコンベア32の下方に排出される。
【0032】
本実施の形態の仕上げ機1では、次の作用効果を奏する。
(1)仕上げ装置1は、円周外形部を形成する外周板101を有し、内部に導入される蒸気によって加熱される固定の熱板100A、100Bと、熱板100A、100Bの外周板101に沿って移動する搬送ベルト221A,221Bと、を備え、洗濯物が熱板100A、100Bの外周板101と搬送ベルト221A,221Bとの間に供給され、供給された洗濯物が搬送ベルト221A,221Bによって熱板100A、100Bの外周板101に沿って搬送される。
このように仕上げ装置1では、洗濯物が搬送ベルト221A,221Bによって搬送されて、熱板100A、100Bの外周板101の表面を移動する。熱板100は仕上げ機本体1aに固定されて不動なので、熱板100の軸支構造や蒸気導入用のロータリジョイント等が不要であり、仕上げ装置1の構造を簡素化できる。
【0033】
(2)仕上げ装置1は、熱板100A、100Bの円周外形部を形成する外周板101に対向して設けられ、搬送ベルト221A,221Bを熱板100A、100Bの外周板101に押圧する圧迫ロール11A,11Bを備える。これにより、洗濯物を効率的に熱板100A、100Bの外周板101に押圧できるので、皺伸ばしを良好に行うことができる。
【0034】
(3)熱板100A、100Bは、円周外形部を形成する外周板101と、外周板101との間に所定の間隙をもって配置され、内部に内部空間を有する内周板102と、を有し、外周板101と内周板102との間隙は、蒸気が流入する蒸気室を形成する。従って、蒸気は、外周板101と内周板102との間の蒸気室に流入して、円周外形部を直接に加熱するが、内周板102の内部空間には、導入されないので、蒸気の消費量を削減できるとともに、外周板の予熱時間も短くなる。
さらに、切欠部111、すなわち、洗濯物と接触しない熱板100A,100Bの円周部分に蒸気室106を設けないようにしたことで、蒸気室106の容積を減らすことができ、蒸気の消費量を削減できるとともに、予熱時間も短くなる。
【0035】
(4)熱板100A,100Bを円筒形状とすることで、熱板100A,100Bを小型化しつつ、洗濯物の加熱距離を長くすることができる。
【0036】
(5)第1の熱板100Aと第2の熱板100Bとを設け、洗濯物の第1の熱板100Aと接触する面と第2の熱板100Bと接触する面とが異なるように構成した。これにより、たとえば枕カバーのように袋状になった洗濯物であっても、仕上がり状態が良好となり、乾燥ムラも防止できる。
【0037】
(6)外周板101と内周板102との間隙には、外周板101と内周板102とを接続する補強部材109が設けられるので、外周板101の強度が補強され、外周板101の板厚を薄くできるので、熱板100A、100Bの熱容量を減らすことができ、予熱に要するエネルギを削減でき、予熱時間を短縮化できるとともに、仕上げ機1を軽量化できる。
【0038】
次のような変形も本発明の範囲内であり、変形例の一つ、もしくは複数を上述の実施形態と組み合わせることも可能である。
(変形例1)
上述の説明では、内周板101の内側は、補強板104を除いて単なる空間であったが、内周板101の内側に仕上げ機1の何かしらの構成部材を配置してもよく、たとえば断熱性の材料など、何かしらの材料が充てんされていてもよい。また、内周板101に代えて、内周板101の外周面と同形状の外周面を有する中実の部材を配置してもよい。
【0039】
(変形例2)
上述の説明では、熱板100には切欠部111が設けられていた。しかし、熱板100に切欠部111を設けなくてもよい。すなわち、熱板100の構造は、径が異なる2つの管状部材を略同軸に配置した二重管構造であってもよく、内側の管状部材と外側の管状部材との間の空間に蒸気を導入するようにしてもよい。
なお、内側の管の内部は中空構造であってもよく、中実構造であってもよい。
また、熱板100の構造は、二重管構造ではなく、一つの有蓋の円筒から構成し、有蓋の円筒の内部空間に蒸気を導入するようにしてもよい。
【0040】
(変形例3)
上述の説明では、熱板100A,100Bの外周板101は、半径(R)の円周部を有したが、すなわち、熱板100A,100Bは、外形状が円形状であったが、熱板100A,100Bの外形状を円形状以外にすることもできる。
図3は、湾曲した凸状外形部を有する熱板100Cを示したもので、熱板100は、例えば放物面などの凸状に湾曲した曲面とすることができる。
【0041】
(変形例4)
上述の説明では、第1の熱板100Aの外周側に第1の圧迫ロール11Aを設け、第2の熱板100Bの外周側に第2の圧迫ロール11Bを設けたが、第1および第2の圧迫ロール11A,11Bの両方、又はその一方を省略することもできる。
第1および第2の圧迫ロール11A,11Bの一方を省略する場合には、圧迫ロールによる皺伸ばし効果は、洗濯物が濡れている場合の方が、洗濯物が乾いている場合よりも大きいので、第2の圧迫ロール11Bを省略した方が仕上げ乾燥処理に対する影響を少なく抑えられる。
【0042】
(変形例5)
第1および第2の圧迫ロール11A,11Bに代えて、外周板101の外周面と略同じ曲率の凹状に形成された凹状面を有し、この凹状面が外周板101の外周面に向かって押圧されるように構成された押圧体を設けるようにしてもよい。
【0043】
(変形例6)
上述の説明では、仕上げ機1の図1における左側に洗濯物入口41と洗濯物出口42とが設けられている。しかし、仕上げ機1の図1における右側に洗濯物出口42を設けてもよい。
【0044】
(変形例7)
上述の説明では、仕上げ機1には、第1の熱板100Aおよび第2の熱板100Bの2つの熱板100が設けられていた。しかし、仕上げ機1に設ける熱板の数は、1つでもよく、3つ以上でもよい。
また、折り畳み装置30の設置を省略してもよい。
【0045】
上記では、種々の実施の形態および変形例を説明したが、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の態様も本発明の範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0046】
1;仕上げ機、11A、11B;圧迫ロール、21;前送り装置、22A,22B;搬送装置、100;熱板、100A;第1の熱板、100B;第2の熱板、101;外周板、102;内周板、104;補強板、106;蒸気室、109;補強部材、110;円周部、111;切欠部、212;第1の押さえベルト、213;第2の押さえベルト、221A;第1の搬送ベルト、221B;第2の搬送ベルト
図1
図2
図3