(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-94039(P2017-94039A)
(43)【公開日】2017年6月1日
(54)【発明の名称】膿栓排出具
(51)【国際特許分類】
A61M 1/00 20060101AFI20170428BHJP
【FI】
A61M1/00 510
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-30519(P2016-30519)
(22)【出願日】2016年2月20日
(11)【特許番号】特許第5975588号(P5975588)
(45)【特許公報発行日】2016年8月23日
(31)【優先権主張番号】特願2015-222930(P2015-222930)
(32)【優先日】2015年11月13日
(33)【優先権主張国】JP
(71)【出願人】
【識別番号】515316252
【氏名又は名称】鈴木 祐子
(74)【代理人】
【識別番号】100154210
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 宏
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 祐子
【テーマコード(参考)】
4C077
【Fターム(参考)】
4C077AA26
4C077CC09
4C077EE04
(57)【要約】
【課題】腺窩から膿栓を排出するのに好適な膿栓排出具を提供すること。
【解決手段】膿栓排出具1は、一軸方向を長手とする棒状部材2、及び鏡面3aが形成された割平面と半径より大きな高さを有する球冠とを含み、鏡面3aを棒状部材2の他端側の一軸方向に交差する方向に向けて棒状部材2の一端に設けられる球欠状部材3を備える。球欠状部材3が、鏡面3aが形成された割平面を棒状部材2の他端側の一軸方向に交差する方向に向けて棒状部材2の一端に設けられていることで、その一端を咽喉に挿入して、球欠状部材3の鏡面3aにより扁桃の腺窩を視認するとともに、球欠状部材3の球冠により扁桃を押圧して腺窩から膿栓を排出することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
腺窩から膿栓を排出する膿栓排出具であって、
一軸方向を長手とする棒状部材と、
鏡面が形成された割平面と半径より大きな高さを有する球冠とを含み、前記鏡面を前記棒状部材の他端側の前記一軸方向に交差する方向に向けて前記棒状部材の一端に設けられる球欠状部材とを備えることを特徴とする、膿栓排出具。
【請求項2】
前記棒状部材は第一の発光体を備え、
前記第一の発光体は、前記割平面から法線方向に2〜20mm離間した箇所に投光することを特徴とする、請求項1に記載の膿栓排出具。
【請求項3】
前記棒状部材の他端に設けられた前記一軸方向に平行なループを有する引掛部材をさらに備えることを特徴とする、請求項1又は2に記載の膿栓排出具。
【請求項4】
前記棒状部材の他端に設けられた前記一軸方向に交差する一面を有する掻出部材をさらに備えることを特徴とする、請求項1又は2に記載の膿栓排出具。
【請求項5】
前記棒状部材の他端に設けられた半球体又は半楕円球体を有する押圧部材をさらに備えることを特徴とする、請求項1又は2に記載の膿栓排出具。
【請求項6】
前記棒状部材は第二の発光体を備え、
前記第二の発光体は、前記棒状部材の前記他端の先に2〜20mm離間した箇所に投光することを特徴とする、請求項3〜5のいずれか一項に記載の膿栓排出具。
【請求項7】
腺窩から膿栓を排出する膿栓排出具であって、
一軸方向を長手とする2〜4の棒状部材と、
前記2〜4の棒状部材の端に設けられる球欠状部材、引掛部材、掻出部材及び押圧部材のうち2以上を備え、
前記球欠状部材は、鏡面が形成された割平面と半径より大きな高さを有する球冠とを含み、前記鏡面を前記棒状部材の前記一軸方向に交差する方向に向け、
前記引掛部材は、前記棒状部材の端に設けられた前記一軸方向に平行なループを有し、
前記掻出部材は、前記棒状部材の端に設けられた前記一軸方向に交差する一面を有し、
前記押圧部材は、前記棒状部材の端に設けられた半球体又は半楕円球体を有することを特徴とする、膿栓排出具。
【請求項8】
前記球欠状部材が端に設けられた第一の棒状部材を備え、
前記第一の棒状部材は第一の発光体を備え、
前記第一の発光体は、前記割平面から法線方向に2〜20mm離間した箇所に投光することを特徴とする、請求項7に記載の膿栓排出具。
【請求項9】
前記引掛部材、前記掻出部材又は前記押圧部材が端に設けられた第二の棒状部材を備え、
前記第二の棒状部材は第二の発光体を備え、
前記第二の発光体は、前記棒状部材の前記引掛部材、前記掻出部材又は前記押圧部材が設けられた端に投光することを特徴とする、請求項7又は8に記載の膿栓排出具。
【請求項10】
前記球欠状部材、前記引掛部材、前記掻出部材及び前記押圧部材の全てを備えることを特徴とする、請求項7〜9のいずれか一項に記載の膿栓排出具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、腺窩から膿栓を排出する膿栓排出具に関する。
【背景技術】
【0002】
咽頭内の扁桃の表面にある腺窩内に食物残渣等が溜まり、固形の膿栓が形成されることがある。膿栓は、強い臭気を放つため口臭の原因になる。そこで、自らにより膿栓を除去するための道具が提案されている。例えば、特許文献1には、円錐状の透光部材の基端から光源の光を通し、透光部材の尖端から放って患部を照らし、その先端により汚れを取り除く洗浄器具が開示されている。また、特許文献2には、先端に吸引口を有する吸引パイプ部と、吸引パイプ部内を負圧にする吸引手段を内部に有するグリップ部とを備え、吸引手段により吸引パイプ部を負圧にしてその先端により膿栓を吸引して取り除く膿栓吸引具が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−478号公報
【特許文献2】実用新案登録第3137609号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、腺窩から膿栓を排出するのに好適な膿栓排出具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の膿栓排出具は、
腺窩から膿栓を排出する膿栓排出具であって、
一軸方向を長手とする棒状部材と、
鏡面が形成された割平面と半径より大きな高さを有する球冠とを含み、前記鏡面を前記棒状部材の他端側の前記一軸方向に交差する方向に向けて前記棒状部材の一端に設けられる球欠状部材とを備えることを特徴とする。
【0006】
この特徴によれば、球欠状部材が、鏡面が形成された割平面を棒状部材の他端側の一軸方向に交差する方向に向けて棒状部材の一端に設けられていることで、その一端を咽喉に挿入して、球欠状部材の鏡面により扁桃の腺窩を視認することができる。また、球欠状部材の球冠により扁桃を押圧して腺窩から膿栓を排出することも可能である。そして、角のない球平面が扁桃部に押接されるので、扁桃が傷ついてしまうことや、局所的な押圧によって不快感を感じてしまうことが極めて少ない。また、割平面の面積を確保するために球欠状部材の径がある程度大きくなると考えられ、広範囲を押圧することで、必ずしも視認されない腺窩奥に潜む膿栓を探し出すために用いることもできる。
【0007】
本発明の膿栓排出具は、
前記棒状部材は第一の発光体を備え、
前記第一の発光体は、前記割平面から法線方向に2〜20mm離間した箇所に投光することを特徴とする。
【0008】
この特徴によれば、鏡面である割平面に投影されて視認される部分に投光されるので、扁桃を明るく見て膿栓の状態を確認することができる。
【0009】
本発明の膿栓排出具は、
前記棒状部材の他端に設けられた前記一軸方向に平行なループを有する引掛部材をさらに備えることを特徴とする。
【0010】
この特徴によれば、さらに、引掛部材のループにより扁桃の腺窩から膿栓を引っ掛けて出すことができる。
【0011】
本発明の膿栓排出具は、
前記棒状部材の他端に設けられた前記一軸方向に交差する一面を有する掻出部材をさらに備えることを特徴とする。
【0012】
この特徴によれば、さらに、掻出部材の一面により扁桃の腺窩から膿栓を掻き出すことができる。
【0013】
本発明の膿栓排出具は、
前記棒状部材の他端に設けられた半球体又は半楕円球体を有する押圧部材をさらに備えることを特徴とする。
【0014】
この特徴によれば、さらに、押圧部材の半球体又は半楕円球体により扁桃を押圧して腺窩から膿栓を排出することができる。半球体又は半楕円球体の径を小さくすることができ、膿栓が形成された腺窩の周縁を的確に捉えて、好適な角度から押圧することができる。
【0015】
本発明の膿栓排出具は、
前記棒状部材は第二の発光体を備え、
前記第二の発光体は、前記棒状部材の前記他端の先に2〜20mm離間した箇所に投光することを特徴とする。
【0016】
この特徴によれば、引掛部材、掻出部材又は押圧部材、及びその周辺を明るく見つつ、膿栓を排出することができる。
【0017】
本発明の膿栓排出具は、
腺窩から膿栓を排出する膿栓排出具であって、
一軸方向を長手とする2〜4の棒状部材と、
前記2〜4の棒状部材の端に設けられる球欠状部材、引掛部材、掻出部材及び押圧部材のうち2以上を備え、
前記球欠状部材は、鏡面が形成された割平面と半径より大きな高さを有する球冠とを含み、前記鏡面を前記棒状部材の前記一軸方向に交差する方向に向け、
前記引掛部材は、前記棒状部材の端に設けられた前記一軸方向に平行なループを有し、
前記掻出部材は、前記棒状部材の端に設けられた前記一軸方向に交差する一面を有し、
前記押圧部材は、前記棒状部材の端に設けられた半球体又は半楕円球体を有することを特徴とする。
【0018】
この特徴によれば、球欠状部材、引掛部材、掻出部材及び押圧部材のうちの2以上を目的に応じて設計した膿栓排出具を提供することができる。
【0019】
本発明の膿栓排出具は、
前記球欠状部材が端に設けられた第一の棒状部材を備え、
前記第一の棒状部材は第一の発光体を備え、
前記第一の発光体は、前記割平面から法線方向に2〜20mm離間した箇所に投光することを特徴とする。
【0020】
この特徴によれば、鏡面である割平面に投影されて視認される部分に投光されるので、扁桃を明るく見て膿栓の状態を確認することができる。
【0021】
本発明の膿栓排出具は、
前記引掛部材、前記掻出部材又は前記押圧部材が端に設けられた第二の棒状部材を備え、
前記第二の棒状部材は第二の発光体を備え、
前記第二の発光体は、前記棒状部材の前記引掛部材、前記掻出部材又は前記押圧部材が設けられた端に投光することを特徴とする。
【0022】
この特徴によれば、引掛部材、掻出部材又は押圧部材、及びその周辺を明るく見ることができるので、投光しない場合よりも的確に膿栓を排出することができる。
【0023】
本発明の膿栓排出具は、
前記球欠状部材、前記引掛部材、前記掻出部材及び前記押圧部材の全てを備えることを特徴とする。
【0024】
この特徴によれば、球欠状部材、引掛部材、掻出部材及び押圧部材の全てを備えた膿栓排出具が提供される。膿栓の状況を視認しつつ、引掛部材のループにより扁桃の腺窩から膿栓を引っ掛けて出すこと、掻出部材の一面により扁桃の腺窩から膿栓を掻き出すこと、押圧部材の半球体又は半楕円球体により腺窩から膿栓を押圧して排出することを、膿栓の状況に基づいて選択することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明の膿栓排出具によれば、簡便に、腺窩から膿栓を排出することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】
図1は、膿栓排出具の特に先端の構成を示す図である。
【
図2】
図2は、変形例に係る膿栓排出具の全体構成を示す図である。
【
図3】
図3は、変形例に係る膿栓排出具の特に他端の構成を示す図である。
【
図4】
図4は、発光体及び投光状況を示す図である。
【
図5】
図5は、発光体及び投光状況を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【実施例1】
【0028】
本実施例は、膿栓排出具の基本的な構成を説明するものである。
【0029】
図1に、本実施形態に係る膿栓排出具1、特にその先端の構成を示す。膿栓排出具1は、腺窩から膿栓を排出するための道具であり、棒状部材2及び球欠状部材3を備える。
【0030】
棒状部材2は、ユーザが手指で膿栓排出具1を支持するための部材である。棒状部材2は、一軸方向(図面上下方向)を長手として円形断面を有する棒形状を有し、十分な強度を与えるために例えばプラスチックから形成され、長さ15cm及び直径4mmとする。
【0031】
球欠状部材3は、ユーザが扁桃の腺窩を視認するための鏡と扁桃を押圧して腺窩から膿栓を排出するための排出具とを兼ね備えた膿栓排出具1の頭部である。球欠状部材3は、棒状部材2の一端に、球体の一部をこれに交差する平面(割平面と呼ぶ)により一部が欠けた球欠形状を有する。ただし、球欠形状の頭部は、割平面と球冠とを有し、半径より大きな高さ(すなわち、割平面の中心から球体の中心を通る球欠の頂点までの長さ)を有する。割平面には、例えば独立して構成された鏡体を割平面に固定する等して、鏡面3aが形成されている。
【0032】
球欠状部材3は、鏡面3aを棒状部材2の他端(すなわち、基端)側に、棒状部材2の長手に交差する方向(
図1(B)における左下方向)に向けて、棒状部材2の先端に設けられている。ここで、鏡面3aにより扁桃の腺窩を視認する目的より、棒状部材2の長手に対する鏡面3aの角度θは120〜150度の範囲内であることが望ましい。また、球欠状部材3は、扁桃を押圧する目的のために適度の強度を有する例えばシリコンより構成される。
【0033】
上述の構成の膿栓排出具1により、球欠状部材3が設けられた膿栓排出具1の先端を咽喉に挿入し、球欠状部材3の鏡面3aを扁桃の腺窩に向け、鏡面3aにより扁桃を視認し、棒状部材2を180度回転して球欠状部材3の球冠を扁桃の腺窩に向け、球冠により扁桃を押圧することで腺窩から膿栓を排出することができる。
【0034】
以上詳細に説明したように、本実施例の膿栓排出具1は、一軸方向を長手とする棒状部材2、及び鏡面3aが形成された割平面と半径より大きな高さを有する球冠とを含み、鏡面3aを棒状部材2の他端側の一軸方向に交差する方向に向けて棒状部材2の一端に設けられる球欠状部材3を備える。球欠状部材3が、鏡面3aが形成された割平面を棒状部材2の他端側の一軸方向に交差する方向に向けて棒状部材2の一端に設けられていることで、その一端を咽喉に挿入して、球欠状部材3の鏡面3aにより扁桃の腺窩を視認するとともに、球欠状部材3の球冠により扁桃を押圧して腺窩から膿栓を排出することができる。
【0035】
図2に、変形例に係る膿栓排出具11の全体構成を示す。膿栓排出具11は、先述の膿栓排出具1の棒状部材2の基端に別の頭部が設けられたものである。別の頭部を除く棒状部材2及び球欠状部材3は先述のとおりである。別の頭部は、一例として、引掛部材4である。
【0036】
図3(A)に、変形例に係る膿栓排出具11の特に他端の構成を示す。引掛部材4は、直径7mm程度の円環を有し、円環の一端が棒状部材2の基端に固定されている。なお、円環に限らず、棒状部材2の基端から長手方向に延び出し、長手方向に平行なループをなして基端に戻るループでもよい。引掛部材4の円環又はループにより、扁桃の腺窩から膿栓を引っ掛けて排出することができる。引掛部材4は、膿栓を排出できかつ扁桃を擦損しない目的のために適度の強度を有する例えばシリコンより構成される。
【0037】
図3(B)に、さらに別の変形例に係る膿栓排出具11の特に他端の構成を示す。別の頭部として、棒状部材2の長手に交差する方向に掻き出し面5aを有する掻出部材5が設けられている。すなわち、掻出部材5は、耳かきのような形状を有する。掻出部材5により、その掻き出し面5aにより扁桃の腺窩から膿栓を掻き出すことができる。掻出部材5は、膿栓を排出できかつ扁桃を擦損しない目的のために適度の強度を有する例えばシリコンより構成される。
【0038】
図3(C)に、さらに別の変形例に係る膿栓排出具11の特に他端の構成を示す。別の頭部として、例えば長径10mm程度の半楕円球体を有する押圧部材6が設けられている。押圧部材6の半楕円球体により扁桃を押圧して腺窩から膿栓を排出することができる。押圧部材6の棒状部材2寄りの箇所は楕円球状でなくてもよく任意の形状で問題ない。押圧部材6は、扁桃を押圧する目的のために適度の強度を有する例えばシリコンより構成される。
【0039】
なお、球欠状部材3、引掛部材4、掻出部材5及び押圧部材6について、2〜4の棒状部材の一端又は他端に、任意の組み合わせ方で設けることができる。また、球欠状部材3、引掛部材4、掻出部材5及び押圧部材6の全てを設けても、これらのうち2つ又は3つを設けてもよい。膿栓に対する処置に対応して設計すればよい。
【実施例2】
【0040】
本実施例は、膿栓排出具への投光を説明するものである。
【0041】
図4は、発光体及び投光状況を示す図である。
図1に示した膿栓排出具1に、第一の発光体71が設けられている。第一の発光体71は、例えば小型の電球であり、電池(非図示)からの電源を受け、スイッチ(非図示)の操作により発光する。
【0042】
第一の発光体71は、
図4(B)において点線で示した範囲に投光する。図において網掛けで示した領域71aの全箇所に投光される。領域71aは、鏡面3aから2〜20mm離れた箇所である。図においては長方形で示されているが、鏡面3aが円形であるので、領域71aは図と交差する方向に径を有する円柱形である。
【0043】
実際に扁桃を見る状況では、図面左方から領域71aに向けて扁桃が存在する(領域71a内の図面右側に扁桃の表面がある)。扁桃の表面は、投光され、鏡面3aによって明るく見える。
【0044】
図5は、発光体及び投光状況を示す図である。
図3に示した膿栓排出具1に、第二の発光体72が設けられている。第二の発光体72は、例えば小型の電球であり、電池(非図示)からの電源を受け、スイッチ(非図示)の操作により発光する。
【0045】
図5について、
図4との相違は、投光方向である。
図4においては、球欠状部材3の鏡面3aに投射される扁桃の部分に投光した。一方引掛部材4、掻出部材5及び押圧部材6については、これらの部材によって直接に処置をするので、これらの部材(棒状部材2の端部)に投光することで処置対象を明るくし、処置を容易にする。
なお、引掛部材4については、
図5(A)において
図3(A)から90度回転した状態を示した。引掛の操作における対象物に投光するものである。
【0046】
なお、図においては1のみの第二の発光体72を示したが、引掛部材4、掻出部材5及び押圧部材6の周囲に向けて多方向から投光して一様な明るさとするため2以上の第二の発光体72を棒状部材2の周囲に設けてもよい。
【0047】
第二の発光体72を棒状部材2の先端部(透明又は半透明にして透光性を持たせてもよい)に設け、引掛部材4、掻出部材5及び押圧部材6に向けて投光してもよい。この際、引掛部材4、掻出部材5及び押圧部材6を透明にして陰影ができないようにすることもできる。
【0048】
また、引掛部材4、掻出部材5及び押圧部材6を光透過性部材とし、棒状部材2の中間に電球を設けてもよい。この場合、引掛部材4、掻出部材5及び押圧部材6が第二の発光体72を兼用する。
【産業上の利用可能性】
【0049】
腺窩から膿栓を排出するのに好適な膿栓排出具である。例えば自宅において手軽に膿栓をケアし、直接的に口臭予防ができるので、利用を欲する個人が多いと考えられる。
また、医療機関においても、膿栓除去に通院する患者に適用できるので、利用を欲する医療機関が多いと考えられる。
介護においても、同様に被介護者(主に高齢者)の膿栓除去による口腔ケアに活用できるので、介護施設、介護を行う個人による利用も多く考えられる。
【符号の説明】
【0050】
1 膿栓排出具
2 棒状部材
3 球欠状部材
3a 鏡面
4 引掛部材
5 掻出部材
5a 掻き出し面
6 押出部材
71 第一の発光体
72 第二の発光体
11 膿栓排出具
【手続補正書】
【提出日】2016年6月12日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
腺窩から膿栓を排出する膿栓排出具であって、
一軸方向を長手とする棒状部材と、
鏡面が形成された割平面と半径より大きな高さを有する球冠とを含み、前記棒状部材の一端に設けられる球欠状部材とを備え、
前記鏡面は該一端に対する前記棒状部材の他端側に向き、
前記鏡面の前記棒状部材の長手方向に対する角度が120〜150度であることを特徴とする、膿栓排出具。
【請求項2】
前記棒状部材は第一の発光体を備え、
前記第一の発光体は、前記割平面から法線方向に2〜20mm離間した箇所に投光することを特徴とする、請求項1に記載の膿栓排出具。
【請求項3】
前記棒状部材の他端に設けられた前記一軸方向に平行なループを有する引掛部材をさらに備えることを特徴とする、請求項1又は2に記載の膿栓排出具。
【請求項4】
前記棒状部材の他端に設けられた前記一軸方向に交差する一面を有する掻出部材をさらに備えることを特徴とする、請求項1又は2に記載の膿栓排出具。
【請求項5】
前記棒状部材の他端に設けられた半球体又は半楕円球体を有する押圧部材をさらに備えることを特徴とする、請求項1又は2に記載の膿栓排出具。
【請求項6】
前記棒状部材は第二の発光体を備え、
前記第二の発光体は、前記棒状部材の前記他端の先に2〜20mm離間した箇所に投光することを特徴とする、請求項3〜5のいずれか一項に記載の膿栓排出具。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0005
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0005】
本発明の膿栓排出具は、
腺窩から膿栓を排出する膿栓排出具であって、
一軸方向を長手とする棒状部材と、
鏡面が形成された割平面と半径より大きな高さを有する球冠とを含み、前記棒状部材の一端に設けられる球欠状部材とを備え、
前記鏡面は該一端に対する前記棒状部材の他端側に向き、
前記鏡面の前記棒状部材の長手方向に対する角度が120〜150度であることを特徴とする。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
この特徴によれば、球欠状部材が、
棒状部材の一端に、鏡面が該一端に対する棒状部材の他端側に向き、鏡面の棒状部材の長手方向に対する角度θ(図1参照)が120〜150度で、設けられていることで、その一端を咽喉に挿入して、球欠状部材の鏡面により扁桃の腺窩を視認することができる。また、球欠状部材の球冠により扁桃を押圧して腺窩から膿栓を排出することも可能である。そして、角のない球平面が扁桃部に押接されるので、扁桃が傷ついてしまうことや、局所的な押圧によって不快感を感じてしまうことが極めて少ない。また、割平面の面積を確保するために球欠状部材の径がある程度大きくなると考えられ、広範囲を押圧することで、必ずしも視認されない腺窩奥に潜む膿栓を探し出すために用いることもできる。