(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-94093(P2017-94093A)
(43)【公開日】2017年6月1日
(54)【発明の名称】ケースに接続された留め金を備えた腕時計
(51)【国際特許分類】
A44C 5/14 20060101AFI20170428BHJP
【FI】
A44C5/14 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【外国語出願】
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-228826(P2016-228826)
(22)【出願日】2016年11月25日
(31)【優先権主張番号】01726/15
(32)【優先日】2015年11月26日
(33)【優先権主張国】CH
(71)【出願人】
【識別番号】516355335
【氏名又は名称】ジェ・エ・エフ・シャトラン・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100173521
【弁理士】
【氏名又は名称】篠原 淳司
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100153419
【弁理士】
【氏名又は名称】清田 栄章
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ・マルティ
(57)【要約】
【課題】留め金に接続され時計ケースを備えた腕時計を提案することである。
【解決手段】腕時計であって、この腕時計が、時計ケース(2)と、留め金(3)であって、前記留め金がフレーム(4)を備え、このフレームが閉鎖された位置で時計ケースの頂部を覆ってクリップすることができかつ開いた位置で時計ケース(2)から解除されることができる留め金(3)と、ブレスレット(12)であって、前記ブレスレットが一本鎖を備え、前記一本鎖が第一の端部(120)と第二の端部(121)を備えているブレスレット(12)を備えており、前記第一の端部が前記時計ケース(2)に接続されており、前記第二の端部が留め金(3)に接続されており、時計ケースに接続されたロック部材(5)を備え、留め金(3)が開閉される時に、ロック部材がフレーム(4)の開口部(40)内に挿入されることができる位置と、ブロックされるべき留め金(3)の開閉を可能にするロック位置との間でロック部材が枢着されることにより解決される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
腕時計であって、この腕時計が、時計ケース(2)と、留め金(3)であって、前記留め金がフレーム(4)を備え、このフレームが閉鎖された位置で時計ケースの頂部を覆ってクリップすることができかつ開いた位置で時計ケース(2)から解除されることができる留め金(3)と、ブレスレット(12)であって、前記ブレスレットが一本鎖を備え、前記一本鎖が第一の端部(120)と第二の端部(121)を備えているブレスレット(12)を備えており、前記第一の端部が前記時計ケース(2)に接続されており、前記第二の端部が留め金(3)に接続されており、時計ケースに接続されたロック部材(5)を備え、留め金(3)が開閉される時に、ロック部材がフレーム(4)の開口部(40)内に挿入されることができる位置と、ブロックされるべき留め金(3)の開閉を可能にするロック位置との間でロック部材が枢着されることができることを特徴とする腕時計。
【請求項2】
時計が少なくとも一つの文字盤(7,9)を備え、フレーム(4)が開口部(40)を備え、少なくとも一つの文字盤(7)が前記開口部を通して目に見えることを特徴とする請求項1に記載の腕時計。
【請求項3】
ロック部材(5)が、時計ケース(2)に接続された枢軸(50)を備えたT字形状と、留め金の挿入を可能にする第一の方向あるいは留め金(3)のフレーム(4)に抗して押圧する第二の方向に向けられることができる頭部とを有していることを特徴とする請求項1に記載の腕時計。
【請求項4】
時計ケース(2)が、留め金が閉鎖状態を保つように、留め金(3)内でノッチ(60)と協働することができるバネ懸架式のボール(80)を備えていることを特徴とする請求項1に記載の腕時計。
【請求項5】
ロック部材(5)のシャフト(50)がロック部材を枢着するために文字盤(7,9)の上方に持上られることができることを特徴とする請求項4に記載の腕時計。
【請求項6】
二つの文字盤(7,9)とこれら二つの文字盤の間の分離箇所(51)を備え、ロック部材(5)のシャフト(50)がこの分離箇所の上に載置されていることを特徴とする請求項4に記載の腕時計。
【請求項7】
前記第一の文字盤(7)上に時間情報を表示するための第一の機構を備えていることを特徴とする請求項6に記載の腕時計。
【請求項8】
前記第二の文字盤(9)上に時間情報を表示するための第二の機構を備えていることを特徴とする請求項7に記載の腕時計。
【請求項9】
留め金(3)が復帰バネ(521)を有するプッシュボタン(52)を備えており、プッシュボタンが押圧されていない場合に、復帰バネがプッシュボタンをロック位置に押戻し、留め金の開口部が、ロック位置でブロックされていることを特徴とする請求項1に記載の腕時計。
【請求項10】
前記プッシュボタン(52)が、ブレスレット(12)の上方の平面内で移動するように、留め金(3)の側面上に設けられていることを特徴とする請求項9に記載の腕時計。
【請求項11】
前記プッシュボタン(52)が留め金を通る貫通孔内に係合される少なくとも二つのロッド(522)を備えており、各ロッド(522)が留め金をロックもしくはアンロックするように時計ケース(2)内で係合される枢軸(83)と協働することを特徴とする請求項10に記載の腕時計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は時計ケース、ブレスレットおよび時計ケースに接続される留め金を備えた腕時計に関する。
【背景技術】
【0002】
腕時計のブレスレットストラップは一般的に、時計が付け外し可能であるようにブレスレットを引き伸ばすか或いは開放するための留め金を備えている。留め金は一般的に時計ケースに対して反対側に設けられており、従って手首の内側にぶつかってすり減らされるようになっている。従ってこれらの留め金は、特にスポーツにとって或いは手首がテーブルや机の上面に当てられている場合に心地良くない。
【0003】
この問題を避けるために、従来技術からは時計ケース内に収容されるか或いは時計ケースに固定されるブレスレット留め金を備えた腕時計も知られている。このような構造の一例は例えば特許文献1に記載されている。
【0004】
特許文献2は腕時計を記載しており、この腕時計のケースはブレスレットの長さが変えられることができる展開型の留め金と組合されている。
【0005】
類似の解決手段は特許文献3と特許文献4に記載されている。
【0006】
これらの解決手段すべてにおいて、時計は展開可能な留め金を実装しており、この留め金によりブレスレットは引き伸ばされることができるが完全には開放されない。従って特に手に身体的不自由がある個人にとってこれらの時計を付け外しすることは困難である。加えて、これらの時計は例えば窓の表示面で表示するのには扁平に配置されている恐れがある。
【0007】
例えば機構に手を入れあるいは電池を入れ替えるために、例えば裏側が開けられる必要がある場合、時計の裏側下の展開可能な留め金により裏側は手を入れるのがより困難である。
【0008】
加えて、留め金を開閉するために、留め金を操作することが可能な構成要素は、文字盤の平面の下方の平面内で、時計の裏側の近くに置かれるのが一般的である。従ってこれらの構成要素は操作することが難しい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】国際特許出願公開第05089584号明細書
【特許文献2】スイス国特許出願公開第156174号明細書
【特許文献3】米国特許第4747604号明細書
【特許文献4】独国特許出願公開第4303173号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の課題は、留め金に接続されたケースを備えた腕時計を提案することであるが、このタイプの公知の腕時計の限定を有するものではない。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によれば、これらの課題は特に、腕時計であって、この腕時計が、時計ケースと、留め金であって、前記留め金がフレームを備え、このフレームが閉鎖された位置で時計ケースの頂部を覆ってクリップすることができかつ開いた位置で時計ケースから解除されることができる留め金と、ブレスレットであって、前記ブレスレットが一本鎖を備え、前記一本鎖が第一の端部と第二の端部を備えているブレスレットを備えており、前記第一の端部が前記時計ケースに接続されており、前記第二の端部が留め金に接続されており、時計ケースに接続されたロック部材を備え、留め金が開閉される時に、留め金が開閉されている場合に、ロック部材がフレームの開口部内に挿入されることができる位置と、ブロックされるべき留め金の開閉を可能にするロック位置との間でロック部材が枢着されることができることを特徴とする腕時計により達せられる。
【0012】
ブレスレットは、もはや閉鎖されたリングを形成しない場合に、すなわち留め金がブレスレットだけによりケースに、直接このケースに固定されることなく、接続されている場合に開放されることが考慮されている。
【0013】
この解決手段は、手首の内側で留め金を必要とすることなく時計が付け外しできるという長所を提供することが明白である。
【0014】
一本鎖のブレスレットの使用は、ブレスレットが完全に開放されることができかつ特に手に身体的不自由がある個人のために時計の付け外し容易にする。
【0015】
留め金は時計ケースの頂部を覆って閉鎖されており、従って容易に操作できる。
【0016】
留め金は操作部材、例えばスタッドあるいは平らなプッシュボタンを備えており、これらの部材は留め金が時計ケースに対してロックされている場合に文字盤平面の上方にある。
【0017】
フレームは閉鎖された位置で時計ケースの頂部を覆ってクリップする。時計の文字盤と針は、留め金が閉鎖されている場合にこのフレーム内の開口部を通して見ることができる。
【0018】
一実施例において、時計が少なくとも一つの文字盤を備え、フレームが中央の開口部を備え、少なくとも一つの文字盤が前記中央の開口部を通して目に見える。
【0019】
従って留め金は時計ケースのべゼル(bezel)、すなわちウォッチミドル(watch middle)の頂部上の部材でありかつ完全にガラスを取囲んでいる。
【0020】
腕時計は時計ケースに接続されたロック部材を備えている。留め金が開閉されている場合に、ロック部材が留め金の開口部内に挿入されることができる位置と、ブロックされるべき留め金の開閉を可能にするロック位置との間でロック部材が枢着されることができる。
【0021】
開放された位置において、ロック部材の少なくとも一つの位置が縦方向であってもよく、この位置はつまりブレスレットに対して平行である。ロック位置において、ロック部材の少なくとも一部は横方向であってもよく、すなわちブレスレットに対して垂直である。
【0022】
ロック部材の操作可能な部分は時計ガラスを覆っているのが有利である。
【0023】
ロック部材は、時計ケースに接続された枢軸を備えたT字形状と、留め金の挿入を可能にする第一の方向あるいは前記フレームに抗して押圧する第二の方向に向けられることができる頭部とを有している。
【0024】
一実施形態において、ロック部材のシャフトはロック部材を枢着するために文字盤の上方に持上られることができる。
【0025】
時計ケースは、留め金が閉鎖状態を保つように、留め金内でノッチと協働することができるバネ懸架式のボールを備えていてもよい。
【0026】
留め金の遠位の側にだけボールを設けることが可能である。留め金の遠位の側と近位の側にボールを設けることが可能である。
【0027】
一実施形態において、二つの文字盤とkorera二つの文字盤の間の分離箇所を備え、ロック部材のシャフトはこの分離箇所の上に載置されている。
【0028】
腕時計は第一の文字盤上に時間情報を表示するための第一の機構を備えている。第二の機構は、前記第二の文字盤上に時間情報を表示するために設けられていてもよい。
【0029】
信頼性・安全性を改善しかつ不必要な開口部の危険を減らすために、留め金は復帰バネを有するプッシュボタンを備えている。プッシュボタンが押圧されていない場合に、復帰バネはプッシュボタンをロック位置に押戻し、留め金の開口部はロック位置でブロックされている。
【0030】
この目的で、プッシュボタンは、ブレスレットの上方の平面内で移動するように、留め金の側面上に設けられている。従ってプッシュボタンは手首に食い込まない。
【0031】
留め金の二つの縦方向面上に二つのプッシュボタンを設けることも可能であり、これらのプッシュボタンは留め金を開けるために同時に作動される必要がある。
【0032】
プッシュボタンは、留め金を通る貫通孔内に係合される複数のロッドにより案内されてもよく、各ロッドは留め金をロックもしくはアンロックするために、時計ケース内で係合される枢軸あるいは他の要素と協働する。ロッドは例えばアンロック位置で時計ケース内にこの要素を押返す。
【0033】
本発明の典型的な実施形態は、添付の図面により示された説明により示される。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】本発明による腕時計の第一の実施形態の斜視図を示しており、締め金は閉鎖されかつロックされている。
【
図3】ブレスレットのない、本発明による腕時計の第一の実施形態の斜視図を示しており、締め金は閉鎖されているがロックはされていない。
【
図5】本発明による腕時計の第一の実施形態の斜視図を示すが、ブレスレットは無く、留め金は時計ケースの上部の上方で開いている。
【
図6】本発明による腕時計の一実施形態の平面図を示すが、ブレスレットは無く、留め金は閉じられているがロックはされていない。
【
図7】
図6のC−C縦断面図を示すが、ブレスレットは無い。
【
図8】
図6のD−D縦断面図を示すが、ブレスレットは無い。
【
図10】本発明による腕時計の第二の実施形態の斜視図を示すが、ブレスレットは無く、留め金はロックされている。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明の第一の実施形態による腕時計の第一の実施形態を
図1〜9の例を用いて示す。
【0036】
腕時計1は、一方では時計ケース2を備え、他方では留め金3を備えており、この留め金は時計ケース上部でロックされるか或いは開けるためにロックされなくてもよい。
一本鎖のブレスレット12の第一の端部120は、留め金の片側(例えば12時の位置に)に接続されているが、ブレスレットの第二の端部121は時計ケース2の他方の側(6時の位置に)接続されている。従って開放された位置において、ブレスレットは完全に開けられていてもよく、時計はブレスレットの両端において時計ケース2および留め金と共に平らに配置されている。
【0037】
留め金3は台座6を備えており、この台座はベゼルの方式でガラスあるいは複数のガラスの周囲で時計ケース2を覆ってクリップされることができる。台座上のフレーム4は開口部40を規定しており、この開口部を通って時計の文字盤或いは複数の文字盤は、留め金が時計ケース2上で閉鎖されている場合に見れる。
【0038】
時計ケース2はウォッチミドル8を備えており、このウォッチミドルの周囲でフレーム4をクリップすることができる。弾性要素、例えば二つのバネ懸架式のボール80は、閉鎖された位置でフレーム4を保持するために6時の位置でウォッチミドルの外側面に設けられている。ノッチ或いはハウジングは、留め金が閉鎖されている場合に、これらのボールの頭部を収容するためにフレーム4の内側面において6時の位置に設けられていてもよい。フレーム4の内側面において12時の位置にある対応するノッチと一緒に、バネ懸架式のボールはウォッチミドルの外側面上で12時の位置に設けられていてもよい。
【0039】
さらに時計ケース2は、この例においては、ロック部材5の台座51により互いに分離された二つのガラスを備えている。留め金3が閉鎖されている場合に、二つの文字盤7,9は、フレーム4の開口部40を通してガラスの裏側で目に見える。一つの文字盤が各ガラスの裏側で目に見えてもよい。一実施形態において、ウォッチミドル8は二つの機構10,11を収容する。機構10は文字盤7の正面で第一の時間情報を表示するが、機構11は文字盤9の正面で別の時間情報を表示する。二つの時間情報は、例えば二つの異なる時間帯での時間あるいは一つの時間または持続時間に相当する。ガラスの一つの裏側の時間、例えば温度、標高、心拍センサ、メッセージ、カレンダ情報などからのデータに関係が無い情報を表示することも可能である。ガラスの裏側の時間情報および他方のガラス裏側の装飾物あるいは非時間情報を表示することも可能である。スケルトン時計の場合、文字盤はメインプレート或いはブリッジ(bridge)を含んでもよい。電子表示部を備えた時計の場合、文字盤は表示部を含んでもよい。
【0040】
留め金3の台座6は、閉鎖された位置で台座6のノッチ60内に収容されているウォッチミドルの形状部81により時計ケース2の上方に位置決めされている。一実施形態において、一つ或いはそれより多くの形状部が12時の位置に設けられており、一つ或いはそれより多くの形状部が6時の位置に設けられている。
【0041】
閉鎖された位置で、留め金3はロック部材5を使用している時計ケース2の頂上部の上でロックされていてもよい。ロック部材5は,時計ケース2の中心の台座51を通過している棒状シャフト50、
図3及び5の縦方向位置と
図1の横方向位置の間で前記棒状シャフトを上げることにより枢着されることができる頭部とを備えている。縦方向位置において、
図5に示されるように、ロック部材5の頭部は留め金を開閉するために留め金フレーム4の開口部40を抜けることができる。従って留め金3の外れを防いでいる留め金フレーム4の上側面上で止めるために、ロック部材はさらに持上げられ、次いで
図3の横方向位置に枢着されることができる。
【0042】
先に記載された留め金はロック部材5だけによりロックされている。すなわち、このロック部材が閉鎖されていないと、例えば見落としがあった結果もしくは引っかかるようになると、ブレスレットの留め金はウォッチミドル8の一方の面あるいは両方の面上でバネ懸架式のボール80だけで確実にロックされている。
【0043】
(図を不要なもので一杯にしないようにブレスレットの無い)
図10〜12aに関連して記載された第二の実施形態は、例えば図示されたような6時の位置であるいは12時の位置で、留め金3の縦方向面の一つの上でのプッシュボタン52による付加的な保護安全性を提供する。このプッシュボタンは完全に留め金を外すために作動されるはずである。従ってこの実施形態は、時計ケースの上側面の先端のロック部材5と留め金の縦方向面の一つの上のプッシュボタン52による二重の保護を提供する。これら二つの要素は留め金を開けるために連続して作動される必要がある。ロック部材5のロックはロック部材を回すことによる手動である。対照的にプッシュボタン52により与えられたロックはバネ84と521による自動式であってもよく、これらのバネはプッシュボタンをロック位置に押戻す。前の実施形態におけるように、留め金が開いている場合に付加的な保護・安全性を提供しかつ聞き取れかつ触知できる反応を作り出すために、バネ懸架式のボールは、プッシュボタン52と向かい側の留め金3の縦方向面および/またはプッシュボタンと同じ面に設けられていてもよい。
【0044】
留め金3の縦方向面の一つの上のプッシュボタン52の位置により、手首への食い込みのリスクを背負う側面上でのプッシュボタンの突出という不利な条件を避けることが可能になる。プッシュボタン52はブレスレットの上方の一平面内で動き、従って手首と接触する恐れはない。この解決手段は、たとえ時計ケースに接続されていない展開バックルを備えた留め金でさえも留め金にとって有利である。
【0045】
図11と12に関して、プッシュボタン52は二つのロッド522を備えており、これらのロッドは留め金3を貫通する縦方向の貫通孔内に係合されている。異なる数のロッド、例えば三つのロッドが設けられていてもよい。各ロッドの周囲の復帰バネ521はプッシュボタン52を外側へ、すなわちロック位置へ押戻す。プッシュボタンの外側への移動は、二つのロッド522の間の付加的孔内に係合されているネジ85により制限されている。このネジは案内要素としても作用する。内側で、プッシュボタン52の貫通の深さは、ロッド522の肩部520に制限されており、この肩部は留め金3の支承部61に抗して支承するようになる。
【0046】
ロッド522の端部は時計ケース2を通って止まり孔82内に係合されている枢軸或いはピン83を押付ける。バネ84は各枢軸(或いはピン)を外側へ押戻すが、同時に枢軸が止まり孔を出るのを完全に防いでいる。図示されたロック位置において、枢軸83は時計ケース2の側面から突出しかつ留め金3内の貫通孔に入る。従ってこれらの枢軸は持上げられることができない留め金3の開口部と向い合せになる。プッシュボタン52を押圧することにより、ロッド522は枢軸83を押戻し時計ケース2と接触し、従って留め金3を隠して解放する。
【符号の説明】
【0047】
1 腕時計
2 時計ケース
3 留め金
4 留め金フレーム
40 留め金フレーム内の開口部
5 ロック部材
50 ロック部材のシャフト
51 ロック部材の台座
52 プッシュボタン
520 ロッド52の肩部
521 プッシュボタンの復帰バネ
522 プッシュボタンロッド
6 留め金の台座
60 位置決めノッチ
61 留め金の支承部分
7 第一の文字盤
8 ウォッチミドル
80 バネ懸架式のボール
81 位置決め形状部
82 ウォッチミドルの縦方向面上の止まり孔
83 枢軸・ピン
84 枢軸保持部および復帰バネ
85 プッシュボタン案内部および保持ネジ
9 第二の文字盤
10 第一の機構
11 第二の機構
12 ブレスレット
120 ブレスレットの第一の端部
121 ブレスレットの第二の端部
【外国語明細書】