特開2017-9478(P2017-9478A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-9478(P2017-9478A)
(43)【公開日】2017年1月12日
(54)【発明の名称】投込圧力式水位計の設置構造
(51)【国際特許分類】
   G01F 23/14 20060101AFI20161216BHJP
【FI】
   G01F23/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-126329(P2015-126329)
(22)【出願日】2015年6月24日
(71)【出願人】
【識別番号】591043581
【氏名又は名称】東京都
(74)【代理人】
【識別番号】100145470
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 健一
(72)【発明者】
【氏名】木下 美幸
(72)【発明者】
【氏名】松浦 愛
(72)【発明者】
【氏名】花田 裕輝
【テーマコード(参考)】
2F014
【Fターム(参考)】
2F014AA10
2F014AB01
2F014BA00
(57)【要約】      (修正有)
【課題】水流の速い場所でも固定が可能であり、引き上げ及び、再設置が容易で、点検等の作業時間の短縮が可能な投込圧力式水位計の設置構造を提供する。
【解決手段】下水道処理施設における処理槽内の水位の検出に用いる投込圧力式水位計の設置構造10において、処理槽12の内壁面16に固定されるとともに、下水道処理施設における処理槽12に立設するガイドレール18と、ガイドレール18に取り付けられ、処理槽12の底部20近傍において、投込圧力式水位計14を内部に内挿保護する両端が開口した保護体である保護管22と、保護管22に固定されるとともに、投込圧力式水位計14により検出される信号を処理槽12の外部に送信する水位計ケーブル24に付帯させるガイドチェーン26とを備え、保護管22には、その外周面に取付部材28が設けられ、取付部材28により、保護管22をガイドレール18に対し、上下方向に沿って摺動可能とした。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下水道処理施設における処理槽内の水位を検出する際に用いる投込圧力式水位計の設置構造において、
前記処理槽の内壁面の所定箇所にて固定されるとともに、当該下水道処理施設における処理槽に立設するガイド部材と、
当該ガイド部材に取り付けられ、前記処理槽の底部近傍において、前記投込圧力式水位計を内部に内挿することにより保護する両端が開口した保護体と、
当該保護体の上部近傍に固定されるとともに、前記投込圧力式水位計により検出される信号を処理槽の外部へと送信可能とする水位計ケーブルに付帯させるガイドチェーンと、
を備え、
前記保護体には、その外周面に取付部材が設けられ、
当該取付部材により、前記保護体を前記ガイド部材に対し、上下方向に沿って摺動可能としていることを特徴とする投込圧力式水位計の設置構造。
【請求項2】
前記ガイド部材は、1対のガイドレールから構成されるとともに、前記取付部材には、長手方向両端に、内側に向けてカギ状となる1対のフック部が形成され、
当該フック部を前記ガイドレールそれぞれの外側方向から引っ掛けることで、前記保護体を前記ガイドレールに対し、上下方向に沿って摺動可能としていることを特徴とする請求項1記載の投込圧力式水位計の設置構造。
【請求項3】
前記ガイド部材は、H型鋼から構成されるとともに、前記取付部材には、長手方向両端に、内側に向けてカギ状となる1対のフック部が形成され、
当該フック部を前記H型鋼の一方のフランジの両端に、それぞれ外側方向から引っ掛けることで、前記保護体を前記ガイド部材に対し、上下方向に沿って摺動可能としていることを特徴とする請求項1記載の投込圧力式水位計の設置構造。
【請求項4】
前記ガイド部材は、鋼板と、当該鋼板の立設方向一側辺に沿って取り付けられたパイプ部材から構成されるとともに、前記取付部材には、その所定箇所に、内側に向けてカギ状となる1対のフック部が形成され、
当該フック部により、前記パイプ部材を取り囲むことで、前記保護体を前記ガイド部材に対し、上下方向に沿って摺動可能としていることを特徴とする請求項1記載の投込圧力式水位計の設置構造。
【請求項5】
前記投込圧力式水位計は、前記保護管の内部に設けられた水位計載置部に載置されることを特徴とする請求項1〜4何れか1項記載の投込圧力式水位計の設置構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下水道施設における各処理槽において、処理水等の水位を計測する機器として用いられている投込圧力式水位計の設置構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、下水道施設における各処理設備では、流入する下水、処理水等の水位を常に監視することで、ポンプ設備の運転制御を行っている。そして、この水位計測には、投込圧力式水位計が用いられているが、この水位計は、測定精度が高く、下水道施設では欠かせないものとされ、沈砂池、ポンプ井等々、多くの施設で使用されてきている。なお、水位計は定期的に点検を行う必要があり、その際に、水中に投下されている検出器部分を引き上げるといった作業を要している。
【0003】
投込圧力式水位計50は、図7に示すように、水面上から垂下するように設置しているため、水流の影響を受けないよう、処理槽52内に固定された防波管と呼ばれる保護管54に投込圧力式水位計50を収容している。しかし、汚水ポンプ井(処理槽52)では、油脂分が水面上に多量に浮遊しているため、汚水ポンプの運転停止で、水位の上昇下降を繰り返すことによって、保護管54の内部に、保護管54に設けられている通気孔56から油脂分が侵入し、それが粘土状の塊であるスカム58となって、通気孔56を閉塞してしまっている。
【0004】
また、処理槽の底部の汚泥内で発生した硫化水素等で、汚泥等が浮上し、保護管54内にスカム58として侵入・堆積し、保護管54内部も閉塞してしまう。そして、これらの事が原因となって、次のような問題が生じてしまっていた。1つ目は、点検時に水位計の引き上げが困難になってしまうこと、2つ目は、検出器の引き上げ後に行う、水位計の再設置が困難になってしまうこと、そして、3つ目は、通気孔の閉塞や、保護管の閉塞により、測定水中等との圧力差が生じ、水位計測が正常に行われなくなってしまうことである。
【0005】
このように、水位計点検の都度、一日がかりの高所及び池内作業を伴うスカム除去作業が発生し、場合によっては、費用が高額となる浚渫工事(工事費100〜200万円)が必要であった。このため、スカムの影響を受けず、ポンプ井からの検出器の引き上げ、再設置が容易で、点検・清掃が短時間で可能となる推計の設置構造が望まれていた。
【0006】
そこで、例えば、特許文献1には、汚水中に防波管をガイドとして設置される検出器と、空気中に設置される変換器と、前記検出器と前記変換器を接続する中空パイプ入りケーブルとからなる投込式水位計において、前記防波管内径より小径で内接する外径を有する中空の円筒形の重錘を備え、この円筒形の重錘内を前記中空パイプ入りケーブルが貫通するように配置したことを特徴とする投込式水位計が開示されている。
【0007】
そして、この技術によると、防波管内壁に内接する円筒形を基本とする構造簡単な重錘を吊り・落しすることにより、防波管内壁及び底部や検出器用ケーブルなどに付着・密着又は堆積したゴミ・スカムなどを、防波管内壁や検出器用ケーブル等を損傷させることなく、容易に離脱、破損、放散又は掻き出しできる。したがって、水位計回路の長期に亙る信頼性が確保できるとともに、定期点検作業の迅速・簡便化を図れ、さらに点検周期の延長も期待できるとされている。
【0008】
そして、特許文献2には、下端部が水面下に挿入されて設置される防波管と、 この防波管の内部に挿入される圧力式水位計と、 前記防波管の下端の開口部に着脱自在に設けられると共に通孔が形成された底蓋と、 前記底蓋に連結されてこの底蓋と一体に変位し、前記防波管に沿って略平行に水面より上方まで延設された操作棒と、 前記操作棒の水面より上側に設けられて該操作棒を操作する操作部とを備え、前記操作棒は、前記操作部による操作で軸方向及び周方向に変位可能であることを特徴とする圧力式水位計測装置が開示されている。
【0009】
この技術によれば、操作部による軸方向及び周方向の操作を底蓋に直接伝達させることが可能となり、底蓋を操作部の操作通りに動かすことができるため、底蓋の開閉動作を的確に行うことが可能となり、防波管内のスカム・堆積物等の除去を容易にすることができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2003−75229号公報
【特許文献2】特開2012−233803号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上記特許文献1記載の投込式水位計は、確かに、防波管の内壁と、ケーブル間の汚水中の混入物などを押しやりと掻き出しにより、防波管から除去等でき、内壁への付着、密着の確率を低減することができるが、やはり、その除去作業は煩雑なものとなり、また、内部に重錘を配置しているため、点検作業も時間がかかってしまうという問題がある。また、防波管を汚水水面下に没入させた際の固定が、的確になされないため、水流の速い場所での設置には向いていない。
【0012】
さらに、上記特許文献2記載の圧力式水位計測装置は、操作部により、底蓋の開閉を自在に行うことで、防波管内のスカム・堆積物等の除去を容易にすることができるといったメリットはあるが、特許文献1記載の投込式水位計同様、やはり、除去作業は煩雑なものとなる。防波管の底よりも上の位置における内壁に付着しているスカム等を清掃するのは非常に難しく、その作業に非常に時間がかかってしまい、さらに、点検作業も困難なものとなってしまう。
【0013】
本発明が解決しようとしている課題は、上述の問題に対応するためのもので、水流の速い場所でも流出無く固定が可能で、水位計測誤差の低減が図れ、スカム等の影響が少なく、清掃を簡易なものとし、引き上げ及び、再設置が容易で、点検等の作業時間の大幅な短縮を図ることができる投込圧力式水位計の設置構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上述の課題を解決するために、本発明は、以下の技術的手段を講じている。
即ち、請求項1記載の発明は、下水道処理施設における処理槽内の水位を検出する際に用いる投込圧力式水位計の設置構造において、前記処理槽の内壁面の所定箇所にて固定されるとともに、当該下水道処理施設における処理槽に立設するガイド部材と、当該ガイド部材に取り付けられ、前記処理槽の底部近傍において、前記投込圧力式水位計を内部に内挿することにより保護する両端が開口した保護体と、当該保護体の上部近傍に固定されるとともに、前記投込圧力式水位計により検出される信号を処理槽の外部へと送信可能とする水位計ケーブルに付帯させるガイドチェーンとを備え、前記保護体には、その外周面に取付部材が設けられ、当該取付部材により、前記保護体を前記ガイド部材に対し、上下方向に沿って摺動可能としていることを特徴とする投込圧力式水位計の設置構造である。
【0015】
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の投込圧力式水位計の設置構造であって、前記ガイド部材は、1対のガイドレールから構成されるとともに、前記取付部材には、長手方向両端に、内側に向けてカギ状となる1対のフック部が形成され、当該フック部を前記ガイドレールそれぞれの外側方向から引っ掛けることで、前記保護体を前記ガイドレールに対し、上下方向に沿って摺動可能としていることを特徴としている。
【0016】
さらに、請求項3記載の発明は、請求項1記載の投込圧力式水位計の設置構造であって、前記ガイド部材は、H型鋼から構成されるとともに、前記取付部材には、長手方向両端に、内側に向けてカギ状となる1対のフック部が形成され、 当該フック部を前記H型鋼の一方のフランジの両端に、それぞれ外側方向から引っ掛けることで、前記保護体を前記ガイド部材に対し、上下方向に沿って摺動可能としていることを特徴としている。
【0017】
そして、請求項4記載の発明は、請求項1記載の投込圧力式水位計の設置構造であって、前記ガイド部材は、鋼板と、当該鋼板の立設方向一側辺に沿って取り付けられたパイプ部材から構成されるとともに、前記取付部材には、その所定箇所に、内側に向けてカギ状となる1対のフック部が形成され、当該フック部により、前記パイプ部材を取り囲むことで、前記保護体を前記ガイド部材に対し、上下方向に沿って摺動可能としていることを特徴としている。また、請求項5記載の発明は、請求項1〜4何れか1項記載の投込圧力式水位計の設置構造であって、前記投込圧力式水位計は、前記保護管の内部に設けられた水位計載置部に載置されることを特徴としている。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る投込圧力式水位計の設置構造によれば、保護体が、ガイド部材に沿って、上下摺動できるように取り付けられているため、保護体の引き上げ清掃や、投込圧力式水位計の点検作業や再設置作業が簡易なものとなる。また、ガイド部材に沿って保護体と、それに内挿される投込圧力式水位計を下降させ、設置すれば良いため、水流に対して開放状態を保て、水面上に多量に浮遊する油脂分等からなるスカムの保護体内への侵入・蓄積の問題を解消することが可能となる。
【0019】
また、保護体内に、処理槽の底部の汚泥内で発生した硫化水素等で、汚泥等が浮上しても、水流で除去されるため、投込圧力式水位計の移動の妨げにならなくなる。さらに、本発明では、水位計ケーブルにガイドチェーンを付帯させているため、水流による水位計ケーブルの流出防止ができ、また、水位計測誤差の低減が可能となる。そして、本発明では、保護体は、その外周面に設けられ、内側に向けてカギ状のフック部が形成された取付部材によってガイド部材に取り付けられているため、安定した固定と、スムースな上下摺動が可能となっている。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明に係る投込圧力式水位計の設置構造の第1の実施形態を示した概略図である。
図2】本発明に係る投込圧力式水位計の設置構造の第1の実施形態における保護管を示したもので、(a)は側面図、(b)は平面図、(c)はガイド部材に取り付けられるフック部の拡大平面図を表している。
図3】本発明に係る投込圧力式水位計の設置構造の第2の実施形態を示した概略図である。
図4】本発明に係る投込圧力式水位計の設置構造の第2の実施形態における保護管を示したもので、(a)は側面図、(b)は平面図、(c)はガイド部材に取り付けられるフック部の拡大平面図を表している。
図5】本発明に係る投込圧力式水位計の設置構造の第3の実施形態を示した概略図である。
図6】本発明に係る投込圧力式水位計の設置構造の第3の実施形態における保護管を示したもので、(a)は側面図、(b)は平面図、(c)はガイド部材に取り付けられるフック部の拡大平面図を表している。
図7】従来の投込圧力式水位計の設置構造を示した概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係る投込圧力式水位計の設置構造の実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明に係る投込圧力式水位計の設置構造の第1の実施形態を示した概略図で、図2は、本発明に係る投込圧力式水位計の設置構造の第1の実施形態における保護管を示したもので、(a)は側面図、(b)は平面図、(c)はガイド部材に取り付けられるフック部の拡大平面図を表している。符号については、10が投込圧力式水位計の設置構造、12が処理槽、14が投込圧力式水位計、16が処理槽内壁面、18がガイドレール、20が処理槽底部、22が保護管、23が水位計載置部、24が水位計ケーブル、26がガイドチェーン、28が取付部材、30がフック部、34がスカムを表している。
【0022】
本実施形態における投込圧力式水位計の設置構造10は、図1に示すように、まず、下水道処理施設における処理槽12内の水位を検出する際に用いる投込圧力式水位計14を設置する際の構造であって、処理槽12の内壁面16の所定箇所にてアンカーで固定されるとともに、下水道処理施設における処理槽12に立設するガイド部材である1対のガイドレール18と、ガイドレール18に取り付けられ、処理槽12の底部20において、投込圧力式水位計14を内部に内挿することにより保護する両端が開口した保護体である保護管22を備えている。なお、本実施形態では、投込圧力式水位計14は、保護管22内部に設けられた水位計載置部23に載置されている。また、保護体を保護管としているが、本発明における保護体は管状のものに限定されるものではない。
【0023】
さらに、保護管22の上部近傍に固定されるとともに、投込圧力式水位計14により検出される信号を処理槽12の外部へと送信可能とする水位計ケーブル24に付帯させるガイドチェーン26とを備えており、保護管22には、その外周面に取付部材28が設けられ、この取付部材28により、保護管22をガイドレール18に対し、上下方向に沿って摺動可能となっている。なお、本実施形態では、図中、保護管22を処理槽12の底部20に着地させているが、例えば、ガイドレール18の最下部に板状のストッパーを設け、このストッパーを保護管22と底部20の間に介在させることで、保護管22を底部20に着地させないよう構成しても良い。
【0024】
ここで、図2に示すように、保護管22の外周面に設けられた取付部材28には、長手方向の両端に、内側に向けてカギ状となる1対のフック部30が形成されていて、この1対のフック部30を1対のガイドレール18それぞれに外側方向から引っ掛けることで、ガイドレール18の上下方向に沿って摺動可能となっている。
【0025】
このように、1対のガイドレールに沿って、保護管22が、上下摺動できるように取り付けられているため、保護管22の引き上げ清掃や、投込圧力式水位計の点検作業、再設置作業が簡易なものとなる。
【0026】
また、本実施形態によれば、ガイドレール18に沿って保護管22を、それに内挿される投込圧力式水位計14とともに下降させ、設置すれば良いため、水流に対して開放状態を維持できる。その結果、水面上に多量に浮遊する油脂分等からなるスカム34の保護管22内への侵入・蓄積を防ぐことが可能となり、また、処理槽の底部の汚泥内で発生した硫化水素等により保護管22内に浮上するスカム34も、水流で除去することができるようになる。
【0027】
さらに、本実施形態では、図1に示すように、水位計ケーブル24にガイドチェーン26を付帯させているため、水流による水位計ケーブル24の流出防止ができるようになり、そのため、水位計測誤差の低減も可能となっている。
【0028】
続いて、本発明に係る投込圧力式水位計の設置構造の第2の実施形態について図面を参照しながら説明する。
図3は、本発明に係る投込圧力式水位計の設置構造の第2の実施形態を示した概略図で、図4は、本発明に係る投込圧力式水位計の設置構造の第2の実施形態における保護管を示したもので、(a)は側面図、(b)は平面図、(c)はガイド部材に取り付けられるフック部の拡大平面図を表している。符号については、36がH型鋼、38がフランジである以外は、図1及び2と同様である。
【0029】
本実施形態における投込圧力式水位計の設置構造10は、図3に示すように、まず、下水道処理施設における処理槽12内の水位を検出する際に用いる投込圧力式水位計14を設置する際の構造であって、処理槽12の内壁面16の所定箇所にて固定されるとともに、下水道処理施設における処理槽12に立設するガイド部材であるH型鋼36と、H型鋼36に取り付けられ、処理槽12の底部20において、投込圧力式水位計14を内部に内挿することにより保護する両端が開口した保護体である保護管22を備えている。なお、本実施形態では、投込圧力式水位計14は、保護管22内部に設けられた水位計載置部23に載置されている。また、保護体を保護管としているが、本発明における保護体は管状のものに限定されるものではない。
【0030】
さらに、保護管22の上部近傍に固定されるとともに、投込圧力式水位計14により検出される信号を処理槽12の外部へと送信可能とする水位計ケーブル24に付帯させるガイドチェーン26とを備えており、保護管22には、その外周面に取付部材28が設けられ、この取付部材28により、保護管22をH型鋼36に対し、上下方向に沿って摺動可能となっている。なお、本実施形態では、図中、保護管22を処理槽12の底部20に着地させているが、例えば、H型鋼36の最下部に板状のストッパーを設け、このストッパーを保護管22と底部20の間に介在させることで、保護管22を底部20に着地させないよう構成しても良い。
【0031】
ここで、図4に示すように、保護管22の外周面に設けられた取付部材28には、内側に向けてカギ状となる1対のフック部30が形成されていて、この1対のフック部30をH型鋼36の一方のフランジ38の両端に、それぞれ外側方向から引っ掛けることで、H型鋼36の上下方向に沿って安定的に摺動可能となっている。このように、H型鋼36に沿って、保護管22が、上下摺動できるように取り付けられているため、保護管22の引き上げ清掃や、投込圧力式水位計の点検作業、再設置作業が簡易なものとなる。
【0032】
また、本実施形態によれば、H型鋼36に沿って保護管22を、それに内挿される投込圧力式水位計14とともに下降させ、設置すれば良いため、水流に対して開放状態を維持できる。その結果、水面上に多量に浮遊する油脂分等からなるスカム34の保護管22内への侵入・蓄積を防ぐことが可能となり、また、処理槽の底部の汚泥内で発生した硫化水素等により保護管22内に浮上するスカム34も、水流で除去することができるようになる。
【0033】
さらに、本実施形態では、図3に示すように、水位計ケーブル24にガイドチェーン26を付帯させているため、水流による水位計ケーブル24の流出防止ができるようになり、そのため、水位計測誤差の低減も可能となっている。
【0034】
続いて、本発明に係る投込圧力式水位計の設置構造の第3の実施形態について図面を参照しながら説明する。
図5は、本発明に係る投込圧力式水位計の設置構造の第3の実施形態を示した概略図で、図6は、本発明に係る投込圧力式水位計の設置構造の第2の実施形態における保護管を示したもので、(a)は側面図、(b)は平面図、(c)はガイド部材に取り付けられるフック部の拡大平面図を表している。符号については、40が鋼板、42がパイプ部材である以外は、図1及び2と同様である。
【0035】
本実施形態における投込圧力式水位計の設置構造10は、図5に示すように、まず、下水道処理施設における処理槽12内の水位を検出する際に用いる投込圧力式水位計14を設置する際の構造であって、処理槽12の内壁面16の所定箇所にて固定されるとともに、下水道処理施設における処理槽12に立設する鋼板40と、鋼板40の立設方向一側辺に沿って取り付けられたパイプ部材42から構成されるガイド部材に取り付けられ、処理槽12の底部20において、投込圧力式水位計14を内部に内挿することにより保護する両端が開口した保護体である保護管22を備えている。なお、本実施形態では、投込圧力式水位計14は、保護管22内部に設けられた水位計載置部23に載置されている。また、保護体を保護管としているが、本発明における保護体は管状のものに限定されるものではない。
【0036】
さらに、保護管22の上部近傍に固定されるとともに、投込圧力式水位計14により検出される信号を処理槽12の外部へと送信可能とする水位計ケーブル24に付帯させるガイドチェーン26とを備えており、保護管22には、その外周面に取付部材28が設けられ、この取付部材28により、保護管22を鋼板40及びパイプ部材42から構成されるガイド部材に対し、上下方向に沿って摺動可能となっている。なお、本実施形態では、図中、保護管22を処理槽12の底部20に着地させているが、例えば、鋼板40及びパイプ部材42から構成されるガイド部材の最下部に板状のストッパーを設け、このストッパーを保護管22と底部20の間に介在させることで、保護管22を底部20に着地させないよう構成しても良い。
【0037】
ここで、図6に示すように、保護管22の外周面に設けられた取付部材28には、内側に向けてカギ状となる1対のフック部30が形成されていて、この1対のフック部30でパイプ部材42の周囲を、外側からそれぞれ近接して取り囲むことで、ガイド部材の上下方向に沿って安定的に摺動可能となっている。このように、ガイド部材に沿って、保護管22が、上下摺動できるように取り付けられているため、保護管22の引き上げ清掃や、投込圧力式水位計の点検作業、再設置作業が簡易なものとなる。
【0038】
また、本実施形態によれば、ガイド部材に沿って保護管22を、それに内挿される投込圧力式水位計14とともに下降させ、設置すれば良いため、水流に対して開放状態を維持できる。その結果、水面上に多量に浮遊する油脂分等からなるスカム34の保護管22内への侵入・蓄積を防ぐことが可能となり、また、処理槽の底部の汚泥内で発生した硫化水素等により保護管22内に浮上するスカム34も、水流で除去することができるようになる。
【0039】
さらに、本実施形態では、図5に示すように、水位計ケーブル24にガイドチェーン26を付帯させているため、水流による水位計ケーブル24の流出防止ができるようになり、そのため、水位計測誤差の低減も可能となっている。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明によれば、保護管の引き上げ清掃や、投込圧力式水位計の点検作業が簡易なものとなり、また、水流に対して開放状態を保てるため、水面上に多量に浮遊する油脂分等からなるスカムの保護管内への侵入・蓄積の問題を解消することが可能となり、そして、水流による水位計ケーブルの流出防止ができ、さらに、水位計測誤差の低減が可能となるため、様々な態様の処理槽における水位計測に好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0041】
10 投込圧力式水位計の設置構造
12 処理槽
14 投込圧力式水位計
16 処理槽内壁面
18 ガイドレール
20 処理槽底部
22 保護管
23 水位計載置部
24 水位計ケーブル
26 ガイドチェーン
28 取付部材
30 フック部
34 スカム
36 H型鋼
38 フランジ
40 鋼板
42 パイプ部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7