【解決手段】ラゲッジボックス1は、車両内において物品を収納する車両用のラゲッジボックスである。ラゲッジボックス1は、物品を収納する収納凹部12が形成され、少なくとも外側底面14に凹凸形状を有した発泡成形体からなるラゲッジボックス本体10と、ラゲッジボックス本体10の外側底面14に配置された通気性シート20と、を備える。
前記通気性シートは、前記凹凸形状の凹部の空間の少なくとも一部を残すように、前記ラゲッジボックス本体の前記外側底面に配置されていることを特徴とする請求項1に記載のラゲッジボックス。
【背景技術】
【0002】
従来から、樹脂製の発泡成形体は、軽量で加工性に優れているため、様々な形状に成形されて使用される。例えば、このような発泡成形体は、工具や物品を収納するラゲッジボックスの材料として広く利用されている。
【0003】
たとえば、特許文献1には、物品を収納する収納凹部が形成され、少なくとも外側底面に凹凸形状を有した発泡成形体からなるラゲッジボックスが、開示されている。このラゲッジボックスによれば、外側底面に凹凸形状を有することにより、平面状の外側底面を有するものに比べて、ラゲッジボックス(発泡成形体)と他の部材(車体やシート等)との接触面積が小さくなるため摩擦が低下する。この結果、ラゲッジボックスと他の部材とが擦れたときに生じる音鳴り(異音)を防止することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このラゲッジボックスでは、その外側底面とこれに接触する他の部材とが、擦れたときに生じる異音を低減することができるが、他の部材である車体やシート等を介してラゲッジボックスから車内に伝わる異音を十分に低減することはできない。
【0006】
本発明は、このような点を鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、車両で発生した異音が、ラゲッジボックスを介して車内に伝わることを低減することができるラッゲジボックスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような点を鑑みて、本発明に係るラゲッジボックスは、車両内において物品を収納する車両用のラゲッジボックスであって、該ラゲッジボックスは、前記物品を収納する収納凹部が形成され、少なくとも外側底面に凹凸形状を有した発泡成形体からなるラゲッジボックス本体と、該ラゲッジボックス本体の前記外側底面に配置された通気性シートと、を備えたことを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、ラゲッジボックス本体の凹凸形状を有した外側底面に、通気性シートが配置されているので、外側底面の凹凸形状の凹部の形状と、通気性シートの気孔とを利用して、ラゲッジボックスの底面から車内に向かう音を遮音することができる。
【0009】
より好ましい態様としては、前記通気性シートは、前記凹凸形状の凹部の空間の少なくとも一部を残すように、ラゲッジボックス本体の前記外側底面に配置されている。この態様によれば、前記ラゲッジボックス本体の外側底面の凹部の残された空間で、ラゲッジボックスの底面から車内に伝わる音を遮音することができる。
【0010】
この態様では、ラゲッジボックスを車内に搭載したときに、ラゲッジボックスとこれが接触する部材との間で、外側底面の凹部の空間の少なくとも一部が残されていれば、通気性シートの配置状態は限定されるものではない。
【0011】
したがって、本発明でいう、「(外側底面の)凹凸形状の凹部の空間の少なくとも一部を残すように、ラゲッジボックス本体の外側底面に配置されている」とは、通気性シートとラゲッジボックス本体との間に凹部の空間が形成されるように通気性シートをラゲッジボックス本体の外側に配置した場合ばかりでなく、外側底面の凹部の空間の一部を残すように、凹部の壁面に沿って通気性シートを外側底面に配置する場合も、含む。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、車両で発生した異音が、ラゲッジボックスを介して車内に伝わることを低減することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明の2つの実施形態に係るラゲッジボックスについて、図面を参照しながら説明する。
【0015】
〔第1実施形態〕
以下に、
図1および
図2を参照して、第1実施形態に係るラゲッジボックスを説明する。
図1(a)は、本発明の第1実施形態に係るラゲッジボックス1を上方から見たときの模式的斜視図であり、
図1(b)は、
図1(a)に示すラゲッジボックス1を下方(底面側)から見たときの模式的斜視図である。
図2(a)は、
図1(b)に示すラゲッジボックス1の底面1a近傍の拡大断面図であり、
図2(b)は、その変形例に係る拡大断面図である。
【0016】
図1に示すように、本実施形態に係るラゲッジボックス1は、車両用のラゲッジボックスであり、たとえば、自動車のトランクルームやラゲージスペース等の車両内において、物品を収納する部材(車両用物品収納部材)である。
【0017】
図1(a),(b)に示すように、ラゲッジボックス1は、物品を収容するラゲッジボックス本体10と、その底面に配置された通気性シート20と、を少なくとも備えている。以下に示す本実施形態では、ラゲッジボックス1は、収納凹部12が、上方に開放しているが、例えば、収納凹部12を覆う蓋体が、ラゲッジボックス本体10に一体的または別体としてさらに設けられていてもよい。
【0018】
図1(a)に示すように、ラゲッジボックス本体10には、物品を収納する複数の収納凹部12が形成された発泡成形体からなる。発泡成形体の材質としては、熱可塑性樹脂の発泡樹脂であることが好ましい。熱可塑性樹脂には、ポリオレフィン系樹脂(例えばポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂など)、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ乳酸系樹脂など)、ポリカーボネート系樹脂などが挙げられる。
【0019】
ラゲッジボックス本体10の外側側面13には、シボ模様などを有した凹凸形状(図示せず)が、形成されている。このような凹凸形状は、発泡成形体を成形する際の成形金型にこの凹凸形状に応じた成形面を設けることにより、得ることができる。これにより、ラゲッジボックス1を使用する際に、ラゲッジボックス1から露出した外側側面13に、傷等がついても、これを目立たなくすることができる。
【0020】
本実施形態では、さらに、ラゲッジボックス本体10の外側底面14も、
図2(a)に示すように、凹凸形状を有しており、外側底面14には、通気性シート20が配置されている。
【0021】
通気性シート20としては、例えば、フェルト、不織布、発泡ポリウレタン等を挙げることができ、通気性シート20の厚さ方向に沿って、通気可能な複数の空孔が形成されているのであれば、特にその素材は限定されるものではない。
【0022】
通気性シート20は、外側底面14に形成された凹凸形状の凹部16の空間Sを残すように、ラゲッジボックス本体10の外側底面14に、たとえば接着剤または粘着剤を介して、取り付けられている(貼着されている)。
【0023】
具体的には、通気性シート20と、ラゲッジボックス本体10の外側底面14との間に、空間Sが形成されるように、通気性シート20は、ラゲッジボックス本体10の外側底面14に取付けられている。
【0024】
なお、本実施形態では、通気性シート20をラゲッジボックス本体10の外側底面14に、接着剤または粘着剤で貼着した。この他にも、例えば、
図1(b)に示す通気性シート20をさらにラゲッジボックス本体10の外側側面13まで延在させ、外側側面13のみで、通気性シート20をラゲッジボックス本体10に貼着してもよい。この場合には、通気性シート20とラゲッジボックス本体10の外側底面14とを、粘着剤または接着剤を介さずに接触させる(配置する)ことができる。
【0025】
本実施形態に係るラゲッジボックス1によれば、上述したように、外側底面14の凹部16の空間Sを残すように、ラゲッジボックス本体10の凹凸形状を有した外側底面14に、通気性シート20が配置されている。これにより、ラゲッジボックス1の底面1aから車内に向かう音を、通気性シート20の気孔および凹部16の空間Sで遮音することができる。
【0026】
図2(a)に示す本実施形態では、外側底面14の凹部16の空間Sを残すように、通気性シート20を配置したが、例えば、
図2(b)に示す変形例のように、外側底面14の凹部16を埋めるように、外側底面14に通気性シート20を配置してもよい。
【0027】
この場合であっても、外側底面14の凹部16内に埋められた通気性シート20の部分にも通気性シート20の気孔が形成されるので、ラゲッジボックス1の底面1aから車内に向かう音を、通気性シート20の気孔で好適に遮音することができる。
【0028】
〔第2実施形態〕
以下に、本発明の第2実施形態に係るラゲッジボックス1Aを、
図3〜
図5を参照しながら説明する。
図3は、第2実施形態に係るラゲッジボックス1Aを下方(底面側)から見たときの模式的分解斜視図である。
図4(a)は、
図3に示すラゲッジボックス1Aの底面1a近傍の拡大断面図であり、
図4(b)は、その変形例に係る拡大断面図である。
図5は、
図3に示すラゲッジボックスの変形例に係る模式的分解斜視図である。
【0029】
なお、本実施形態に係るラゲッジボックス1Aが第1実施形態のものと相違する点は、ラゲッジボックス本体10Aの外側底面14Aの形状と、通気性シート20の配置状態である。したがって、以下にこの点を詳述し、第1実施形態と同じ構成は、同じ符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0030】
図3に示すように、本実施形態に係るラゲッジボックス本体10Aの外側底面14Aには、ラゲッジボックス本体10Aの幅方向(具体的には短手方向)にわたって、複数の凹溝16Aが形成されている。本実施形態では、複数の凹溝16Aを形成することにより、ラゲッジボックス本体10Aの外側底面14Aは、凹凸形状となっている。
【0031】
図4(a)に示すように、ラゲッジボックス本体10Aの外側底面14Aには、第1実施形態と同様に、通気性シート20が配置されている。具体的には、ラゲッジボックス本体10Aの外側底面14Aと通気性シート20との間に、凹溝16Aの空間Sを残すように、通気性シート20は、ラゲッジボックス本体10Aの外側底面14Aに、たとえば接着剤または粘着剤を介して、貼着されている。
【0032】
本実施形態に係るラゲッジボックス1Aによれば、ラゲッジボックス本体10Aの外側底面14Aと通気性シート20との間に空間Sが形成されているので、ラゲッジボックス1Aの底面1aから車内に向かう音を、通気性シート20の気孔および凹溝16Aの空間Sで遮音することができる。
【0033】
また、
図4(b)に示す変形例のように、ラゲッジボックス本体10Aの外側底面14Aの凹溝16Aの一部の空間S1を残すように、凹溝16Aの壁面に沿って通気性シート20を外側底面14Aに配置してもよい。
【0034】
この場合であっても、ラゲッジボックス本体10Aの底面1aに、凹溝16Aの形状に応じた凹溝(の空間S1)が形成されるので、ラゲッジボックス1Aの底面1aから車内に向かう音を、空間S1でも遮音することができる。
【0035】
さらに、
図3に示すラゲッジボックス本体10Aでは、ラゲッジボックス本体10Aの幅方向に亘って、凹溝16Aを形成したが、例えば、
図5に示すように、ラゲッジボックス本体10Aの外側底面14Aの周縁部14aを残すように、凹溝16Aを形成してもよい。
【0036】
これにより、
図4(a)に示すように、ラゲッジボックス本体10Aの外側底面14Aに、通気性シート20を配置することで、ラゲッジボックス本体10Aの外側底面14Aと通気性シート20との間には、見かけ上の閉空間が形成される。これにより、ラゲッジボックス1Aの側面方向から音が逃げることを抑えることができる。
【0037】
以上、本発明のいくつかの実施形態について詳述したが、本発明は、前記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲および明細書に記載された本発明の精神を逸脱しない範囲で、種々の設計変更を行うことができるものである。
【0038】
例えば、第1実施形態では、ラゲッジボックス本体の外側側面にも、凹凸形状を設けたが、ラゲッジボックスの外側底面のみに、凹凸形状を設けてもよい。
【0039】
さらに、第2実施形態では、ラゲッジボックス本体の外側底面に、複数の凹溝を設けたが、例えば、凹溝の代わりに、矩形状などの多角形状の凹部、円形状または楕円形状の凹部等を設けてもよい。また、第2実施形態では、凹溝を一方向に沿って複数形成したが、凹溝同士が交差するように、凹溝を複数形成してもよい。